裁判編

奈良県と奈良市が推奨する奈良ブランド豚肉「郷Pork(郷ポーク)」を生産する村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、当ウェブサイト掲載記事に関して、当会代表に対し訴訟を提起しました。以下は、原告である村田商店と、被告である当会代表の、それぞれの主張です。わかりやすくするため、「原告」を「村田養豚場(村田畜産/村田商店)」、「被告」を「当会代表」と表記します。双方が裁判所に提出した書面の原文については、下記リンクをご覧ください。当ウェブサイトでは、今後も、原告・被告双方の主張を全て掲載します。また当会としては、本裁判において、当ウェブサイトの記事が、事実を摘示するものであり、かつ、公益を目的としたものであることを、明らかにしていく所存です。そしてそのことが、関連行政機関に、村田養豚場に対する適切な指導を促すことを期待しています。

目次

  1. 当会代表は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対し、当会代表がインターネット上に掲載した、「GO-PORK FACTS 奈良ブランド豚肉『郷Pork(郷ポーク)』について知るべきこと」という表題の記事 (URL:https://goporkfacts.com/index.html) を削除せよ
  2. 当会代表は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対し、110万円及びこれに対する本訴状送達の日から支払済みまで、年5分の割合による金員を支払え
  3. 訴訟費用は、当会代表の負担とする

との判決並びに第2項につき仮執行の宣言を求める。

PREMISE.1
奈良を代表する
ブランド豚農場

村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、豚肉の畜産農場である「村田養豚場」の経営を業とする株式会社 であり、そこで飼育される豚肉は、「郷ポーク」として、奈良市内のレストランに出荷され、ブランド豚として名高い。

当会代表は、「弥勒の道プロジェクト」なるプロジェクトを立ち上げ(甲1)、そのプロジェクトの活動の一環として、「GO-PORK FACT 奈良ブランド豚肉『郷Pork(郷ポーク)』について知るべきこと」と題された記事(以下、「本 件記事」という。)をインターネット上に掲載した(甲2)。(訴状:第1 当事者

<略>

本件記事の内容は、前に述べたように、村田養豚場が、他人所有地を権原なく掘削しているということや、犬を大量に放し飼いにし、公道を占拠しているといったこと、そして赤田川の水質汚濁の原因ともなっているというものであり、「郷ポーク」という奈良を代表するブランド豚を生産していることで知られているということを合わせると、これらの記事が村田養豚場を経営する村田商店の社会的評価を著しく低下させるものであることは明らかである。(訴状:第3 本件記事が村田商店の名誉を毀損するものであること

村田養豚場(村田畜産/村田商店)が訴状第1で指摘する通り、村田商店の経営する村田養豚場が生産する「郷ポーク」は、ブランド豚として名高い。本件記事 FACT 5 でも紹介したとおり、奈良市はふるさと納税の返礼品として「郷ポーク」を採用しており、「郷ポークセット」など「郷ポーク」を使用した返礼品を紹介するウェブページでは、「奈良が誇る、流通量の少ない希少なブランド豚」という表現を用いている(乙4)。

また平成30(2018)年5月には、奈良市の興福寺で行われた第76期名人戦において、奈良ホテルが佐藤天彦名人と羽生善治竜王のそれぞれに「郷ポーク」を用いた料理を提供したが、このことは新聞やテレビのニュースで、地元の食材が使われたという、明るい話題として取り上げられた(乙5の1乙5の2)。

2018-05-20-将棋:第76期名人戦七番勝負 第3局 老舗ホテルが食・宿用意 大盤解説は満席 /奈良---毎日新聞

したがって、「郷ポーク」を生産する村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、法令及びガイドラインを遵守しているか否かはもちろん、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が「奈良が誇る」にふさわしく、高い倫理観を持って行動しているかどうかについて、「郷ポーク」の消費者にくわえ、奈良県民、中でも奈良市民、さらには奈良を愛する多くの一般市民が、関心を寄せることは正当であると考えられる。

よって本件記事記載の事実が、公共の利害に関する事実に該当することは明らかである。村田養豚場(村田畜産/村田商店)自身、訴状において「郷ポーク」が「奈良を代表するブランド豚」であると自負しているのであるから、そのような「名高いブランド」を確立した現在、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、自らが「奈良を代表する」にふさわしいかどうか、常に一般市民から問われ得る立場となったことを自覚しているべきであろう。

本訴訟は、本件記事が虚偽であるか否かが中核的争点であるので、本書面では、「公共目的や公共の利害」に関する反論も行わない。

第1回弁論準備手続において、公共目的および公共の利害については争点とせず、真実性・真実相当性のみを争点とすることが確認された。

PREMISE.2
赤田川北の
境界確定経緯

村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張を検討する上で必要となるため、平成21年(ワ)第1125号損害賠償請求事件判決文(甲5)及び木津川市議会議事録(乙6)に基づき、赤田川北側の土地に係る木津川市市有土地境界確定図(以下、「本件市有土地境界確定図」という。)が確定されるまでの経緯(以下、「本件境界確定経緯」という。)を確認する。

村田養豚場の敷地範囲

  1. 東鳴川町502土地所有者の〈東鳴川Cの父〉と村田養豚場〈村田商店代表乙の父〉は、平成14(2002)年3月1日、東鳴川町502土地について、〈東鳴川Cの父〉を賃貸人、〈村田商店代表乙の父〉を賃借人、賃貸借期間を同日から3か年・更新可、賃料年額12万円、賃料の支払は1年分を賃貸人の住所に持参払い、畜産業を営むことを目的とする土地賃貸契約を締結した(甲5-3頁)。

  2. 〈村田商店代表乙の父〉は、平成14(2002)年2月から山林伐採及び土砂撤去工事を開始した(甲5-5頁)。

  3. 平成16(2004)年夏頃、〈村田商店代表乙の父〉は、隣接の加茂町の〈加茂町B亡夫〉ほか2名から、境界を侵害して工事を行なっているとの苦情を受けた(甲5-5頁)。

  4. 平成17(2005)年2月以降、〈東鳴川C〉は、東鳴川町502賃貸借契約に基づく〈村田商店代表乙の父〉からの賃料支払いを拒否した(甲5-6頁)。

  5. 平成17(2005)年8月、〈村田商店代表乙の父〉は、〈加茂町B亡夫〉らから、不動産侵奪廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反の容疑で告訴された(乙6-1頁/甲5-6頁)。

  6. 平成19(2007)年6月25日、木津川市定例会において建設部長が次のように答弁した。「ご質問の養豚場問題につきましては、京都府・木津警察署により捜査が進められておりまして、旧加茂町から引き継ぎ、木津川市においても捜査機関からの捜査・協力依頼に対して積極的に協力しているところでございます。道路につきましては、旧町の町道は3町ともすべて合併により木津川市に引き継ぎ、木津川市の認定道路となってございます。この問題は、合併前の加茂町議会において活発に議論されており、認定道路における違法行為として早期に解決すべき問題であると考えてございます。旧加茂町議会において議論のあったように、測量図等のある精度の高い資料で道路を特定できるものがあれば、これをもとに現地で道路の区域を確認できるのではないかと考えています。」(乙6-2頁)

  7. 平成19(2007)年7月下旬、上記告訴(本件境界確定経緯5)に係る京都府警の捜査に協力する形で、木津川市が現地立ち会いと測量作業を行った。立ち会いには、京都府側と奈良県側の双方の土地所有者も同時に招集され、京都府警に対し各自所有地の境界の確認が行われた。木津川市は、道路管理者として市道の位置を確認した。通常の境界確定手続は、隣接所有者が測量専門業者に委託して市に申請されるが、今回は木津川市自らが積極的に測量を行い、図面の作成から行った。木津川市は、境界確定手続が完了すれば、これをもとに道路上の支障物件の撤去等について、警察と協議しつつ、具体的な方法を検討していきたいとした(乙6-4頁)。

  8. 〈村田商店代表乙の父〉は平成19(2007)年夏頃、再び〈加茂町B亡夫〉から土地の境界を侵害しているとの抗議を受けたため、同年9月3日、東鳴川町502土地の範囲の確認を求め、〈東鳴川C〉を相手方に、奈良簡易裁判所に対し、民事調停の申立てを行ったが不成立となった(甲5-6頁)。

  9. 平成19(2007)年11月20日、本件市有土地境界確定図が確定。

  10. 平成19(2007)年12月10日、木津川市定例会において木津川市長が次のように答弁した。「市道管理につきまして、関係土地所有者の同意を得た中で、道路の境界の確定手続を現在完了いたしたところでございます。今後、境界確定をもとに、通行の支障となる物件の撤去を求めていく考えを持っております。それと、今後につきましては、通行支障物件の撤去と道路の原状復旧を求めるため、警察との連携をとりつつ、有効な措置をとっていきたいというふうに考えております。被害者との認識はあるのかということでございますが、木津川市としてはそういうふうな認識をいたしております。」(乙6-7頁)

  11. 〈村田商店代表乙の父〉は平成20(2008)年2月29日、上記告訴につき不起訴処分となったが、検察官の指導を受けて工事を中断した(甲5-6頁)。

  12. 平成20(2008)年7月8日、木津川市が〈村田商店代表乙の父〉に、市道上にある建物の撤去を口頭で求めたが、〈村田商店代表乙の父〉は「奈良市側の所有者から借地している範囲に市道が入っていると聞いている。市の言うこともわかるが、所有者から話があってしかるべき」と述べ、市の求めを拒否した。そこで木津川市が東鳴川町502土地所有者〈東鳴川C〉に事情を聞いたところ、〈東鳴川C〉は「内容は土地の明け渡しに関して双方の借地契約書の借地期限の違いから調停が行われ、不成立になった。相手の契約書の借地期限の切れる来年2月まで静観をしたい」旨述べた(乙6-15頁)。

  13. 平成21(2009)年2月下旬、木津川市は、木津川市長名において「市道2092号に建築されている事務所については、市道を不法に占有している行為であり、速やかに撤去するよう請求します」という文書を発送した。しかしながら、不在のため、郵便局での保管期間を過ぎた3月9日に返送されてきた。このことを受け、翌日の3月10日に再度、文書を発送した(乙6-21頁)。

  14. 平成21(2009)年12月15日、〈東鳴川C〉が〈村田商店代表乙の父〉に対し損害賠償請求の訴えを提起(甲5-6頁)。

  15. 平成22(2010)年4月14日付け内容証明郵便で、〈村田商店代表乙の父〉が〈東鳴川C〉に対し、東鳴川町502賃貸借契約の解除を通知(甲5-6頁)。

  16. 平成23(2011)年3月9日、木津川市定例会で建設部長が次のように答弁。「市有地に設置されているプレハブにつきましては、平成21(2009)年10月ごろに養豚場経営者がプレハブを撤去することとなっておりました。しかしながら、養豚場経営者が予定しているプレハブの代替建築物の建築場所が市街化調整区域であることから、都市計画法などの法令に基づく整理が必要でありましたので、プレハブの代替建築物の建築等について、養豚場経営者を初め京都府並びに奈良市と協議を行ってまいりました。現在、養豚場経営者が申し出た計画について、京都府と奈良市で協議が進められているところでございます。しかし、当市としまして、京都府、奈良市での都市計画法の整理と同時指導ではなく、道路管理者として不法占用の対応を速やかに進めることが必要であることから、速やかな撤去を求めています。」

  17. 平成23(2011)年10月19日撮影の航空写真においても、市道上に建築物が存在することが確認できる(乙7の1)。

    市道上の建物

  18. 平成24(2012)年3月21日、控訴審判決言渡し。〈村田商店代表乙の父〉の反訴請求を棄却(甲6)。

  19. 平成24(2012)年5月17日、木津川市道上の建築物が撤去された旨報告があった(乙7の3)。

  20. 平成25(2013)年9月20日、最高裁第二小法廷が〈村田商店代表乙の父〉の上告を棄却。

  21. 現在、市道上に建築物は置かれていない。平成25(2013)年5月に撮影された写真(乙7の2)では、市道上に建築物はなく、他人地である長尾2土地に設置されている。

    建物が移動した

    しかし結局、その建築物は平成28(2016)年春頃まで他人地である長尾2土地に設置された。平成28(2016)年春頃以降は、やはり他人地である奈良市東鳴川町502土地に設置されている。

以上のように、本件市有土地境界確定図の原確定は、木津川市もまた村田養豚場(村田畜産/村田商店)による行為の被害者であるという認識の下、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の不法占用から市の財産たる市道を守るため、京都府木津警察署の捜査と連携して行われたものである。しかし、実際に違法な建築物を撤去させるまでには、原確定から4年以上の歳月を要した。

PREMISE.3
水質調査と
境界修正の経緯

村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張を検討する上で必要となるため、木津川市による赤田川水質汚濁状況調査から本件市有土地境界確定図修正に至るまでの経緯を確認する。

  1. 平成28(2016)年12月26日、木津川市による赤田川の水質検査で著しい水質汚濁が検出(高田でBODが30mg/L、CODが26mg/L)。そこで木津川市は調査頻度を年4回から月1回以上に増やした。その後も環境基準値を大幅に超える異常な水質汚濁が頻発する(乙8の1)。
  2. 平成29(2017)年4月10日、木津川市が京都府山城南保健所とともに、エヌエス環境株式会社と赤田川の水質汚濁について協議(乙8の1)。エヌエス環境株式会社は赤田川の大腸菌群数について「し尿レベルの汚染」と指摘。
  3. 平成29(2017)年4月14日、木津川市が京都府山城南保健所とともに、京都府山城南農業改良普及センターを訪れ助言を求めた。その結果「現在の水質が続けば、水稲・ナス等への生育への影響が懸念される」と指摘される(乙8の2乙15)。
  4. 平成29(2017)年4月21日、木津川市が京都府庁を訪れ赤田川の水質汚濁について協議(乙9)。
  5. 平成29(2017)年5月30日、木津川市が赤田川水質汚濁状況調査を実施(乙10)。
  6. 平成29(2017)年6月23日、京都やましろJAから木津川市長に赤田川の水質改善要望書が直接手渡された(乙11)。
  7. 平成29(2017)年7月21日、西小・大門・高田・観音寺・大野の流域五地区から合同で木津川市長に赤田川の水質改善要望書が直接手渡された(乙12)。
  8. 平成29(2017)年8月17日、木津川市が奈良県と協議。木津川市及び京都府による村田養豚場への立ち入り調査について、奈良県に調整を依頼するが、翌日拒否された旨報告が返る。村田養豚場(村田畜産/村田商店)は京都府が求めた調査内容も回答拒否(乙13)。
  9. 平成29(2017)年10月22日、台風21号。
  10. 平成29(2017)年11月7日、木津川市長が奈良県農林部長と懇談し、水質を改善したいこと、事業者を適切に指導してほしいことを依頼(乙14)。
  11. 平成29(2017)年11月8日、赤田川水質汚濁状況調査報告書(乙15)が奈良県畜産課及び奈良市保健所に手渡され、ECメーターのピークが夜間にあることも合わせて報告された。ECメーターの夜間のピークは奈良側でも衝撃をもって受け止められている(乙16の1)。
  12. 平成29(2017)年11月14日、木津川市長が奈良県知事を訪問し、赤田川水質汚濁状況調査報告書と要請書(乙17の1)を手渡す。木津川市は当初、この要請書を木津川市長と京都府知事の連名で発出することを目指しており(乙17の2)、検討途中の文案では「事業所が上流側の汚濁源の一つとなっている可能性が示唆されています」と、かなり踏み込んだ表現をしていた(乙17の3)。
  13. 平成29(2017)年11月22日、木津川市長が奈良市長を訪問し、赤田川水質汚濁状況調査報告書と要請書(乙18の1)を手渡す。
  14. 平成29(2017)年12月8日、EC連続モニタリング調査を再開。夜間のピークが消え、10時と14時にピークが現れる(乙19)。
  15. 平成30(2018)年1月16日、村田養豚場が奈良県畜産課を通じ12月8日から22日のEC連続モニタリング調査の詳細について問い合わせ。木津川市はそれに回答(乙20)。
  16. 平成30(2018)年2月16日、奈良県が「養豚場は[不開示]の費用をかけて排水処理施設の改修を行う意向を示している」と連絡(乙21)。
  17. 平成30(2018)年3月5日、奈良県から木津川市に以下の連絡(乙22)。
    • 村田養豚場の意向が変わり、排水対策の実施自体がどうなるかわからない状況になった。
    • (養豚場が)過去から主張されている、木津川市の市道管理、水路管理、境界確定等の改善を改めて求められ、これらが整理されなければ、予定されていた排水対策は取りやめるという意向であった。
    • 本件について、関係行政機関(木津川市、京都府、奈良市)と話し合う場を求められ、これに奈良県も同席してほしいという意向であった。
  18. 平成30(2018)年3月、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が木津川市に対し数度にわたり文書を送る(乙27)。
  19. 平成30(2018)年3月26日、翌27日にかけ村田養豚場から関連行政機関に直接電話。3月29日の17時以降であれば、全ての行政機関の日程調整がつくため協議を行うことになった(乙23)。
  20. 平成30(2018)年3月29日、赤田川水質汚濁に係る関係行政機関と村田養豚場の合同会議が開かれた(乙24)。
  21. 平成30(2018)年6月7日、木津川市が奈良市を訪問して村田養豚場の赤田川を挟んで北側の土地に関する市有土地境界確定図の修正について協議(乙25)。
  22. 平成30(2018)年6月26日、木津川市が奈良市に電話をして村田養豚場の赤田川を挟んで北側の土地に関する市有土地境界確定図の修正について協議(乙26)。
  23. 平成30(2018)年8月10日、木津川市が、村田養豚場の赤田川を挟んで北側の土地に関する市有土地境界確定図から、東鳴川町502と長尾2の土地境界線を削除した(乙27)。
  24. 平成30(2018)年8月21日、奈良市よりファックスがあり、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が本件市有土地境界確定図の追加修正を求めている旨連絡があった(乙28)。
  25. 平成30(2018)年11月28日、木津川市が、村田養豚場の赤田川を挟んで北側の土地に関する市有土地境界確定図から、赤田川に架かる橋付近の木津川市道の土地境界線を削除した(乙28)。

ISSUE.1
無断掘削・他人地占拠
はあったか

東鳴川502の賃貸借契約は継続していたか。

本件記事においては、村田養豚場が他人所有地を無断で掘削しているという内容が記載されているが、かかる記載は真実ではない。

本件記事によれば、航空写真に土地境界線等を加筆した図を用いた上で、村田養豚場は、奈良市東鳴川町502番(甲3の1、以下、「東鳴川町502」という。)、木津川市加茂町西小長尾2番(甲3の2、以下、「長尾2」という。)及び木津川市加茂町西小長尾谷1-乙(甲3の3、以下、「長尾谷1ー乙」という。)を所有者に無断で不法に掘削し、占拠していると記載されている。

しかし、東鳴川町502 については、先代の所有者である亡〈東鳴川Cの父〉(以下、「亡〈東鳴川Cの父〉」という。)から、村田養豚場(村田畜産/村田商店)代表〈村田商店代表乙〉の父である〈村田商店代表乙の父〉(以下、 「訴外〈村田商店代表乙の父〉」という。)が賃借しており(甲4、以下、「本件賃貸借契約 」という。)、その契約において、畜産業を営むために土地を掘削することも使用方法として認められていた。

東鳴川町502の所有者が、相続により現在の所有者である〈東鳴川C〉(以下、「訴外〈東鳴川C〉」という。)となった後、本件賃貸借契約をめぐって訴訟となっていることは事実であるが(御庁平成21年(ワ)第1125号損害賠償請求本訴事件、平成22年(ワ)第390号損害賠償請求反訴事件)、この訴訟の判決の中でも、本件賃貸借契約においては、東鳴川町502の掘削をすることも契約内容として含まれていたとの判示がされ、訴外〈東鳴川C〉の請求が棄却されている(甲5)。

同訴訟は、訴外〈東鳴川C〉により控訴されているが、控訴審(平成23年(ネ)第3211号)においても、原審と同様の判断がされている(甲6)。つまり、村田養豚場が東鳴川町502を掘削しているのは、所有者との賃貸借契約に基づく権原によるものであって、不法であると論難される理由はない。

また、当会代表は、本件記事の中で、「2009年には、村田氏と東鳴川のCさんとの山林賃貸借契約はどのような解釈によっても解消しています。」と述べるが、前記訴訟において、本件賃貸借契約が解除されたということはなく、その後、本件賃貸借契約が解消された事実は存在していない。

なお、前記訴訟において被告であった訴外〈村田商店代表乙の父〉は、反訴として、訴外〈東鳴川C〉に対し、債務不履行に基づく本件賃貸借契約の解除及び損害賠償請求を行っているが、これは、訴外〈東鳴川C〉が、前記訴訟を提起したということ自体が、本件賃貸借契約における、賃借人に土地を使用収益させる義務を履行する意思がないことを明らかにしたとして提起したものである。本件賃貸借契約の内容として、土地の掘削をすることが含まれているとの判示がされた以上、訴外〈村田商店代表乙の父〉には契約解除をする必要性はない。実際に、前記訴訟後、訴外〈村田商店代表乙の父〉及び訴外〈東鳴川C〉の双方から、本件賃貸借契約の解消の申出がされたことはない。

以下のとおり、平成17(2005)年2月以降、東鳴川町502所有者〈東鳴川C〉が本件賃貸借契約の解消を望んでいたことは明らかである。

  • 平成17(2005)年2月以降、〈東鳴川C〉は、東鳴川町502賃貸借契約に基づく〈村田商店代表乙の父〉からの賃料支払いを拒否した(本件境界確定経緯4/甲5-6頁)。
  • 平成20(2008)年7月頃、木津川市からの問い合わせに対し、〈東鳴川C〉は「内容は土地の明け渡しに関して双方の借地契約書の借地期限の違いから調停が行われ、不成立になった。相手の契約書の借地期限の切れる来年2月まで静観をしたい」旨述べた(本件境界確定経緯12/乙6)。
  • 平成21(2009)年12月15日、〈東鳴川C〉が〈村田商店代表乙の父〉に対し損害賠償請求の訴えを提起(本件境界確定経緯14/甲5-6頁)。

よって、〈村田商店代表乙の父〉が平成22(2010)年4月14日付け内容証明郵便で、〈東鳴川C〉に対し、東鳴川町502賃貸借契約の解除を通知したことにより(本件境界確定経緯15/甲5-6頁)、〈東鳴川C〉が本件賃貸借契約が完全に解消されたと受け取るのは当然である。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)は「前期訴訟後、訴外〈村田商店代表乙の父〉及び訴外〈東鳴川C〉の双方から、本件賃貸借契約の解消の申出がされたことはない」とするが、すでに解消されている契約について、重ねて解消の申出を行う必要はない。事態はむしろ逆であって、いずれかから再契約の申出があり、双方が再契約に合意しない限り、本件賃貸契約が解消されたという事実は覆らない。

当会代表は、平成27(2015)年10月頃に、長尾2所有者の一人、〈加茂町B〉の紹介で、〈加茂町B〉とともに〈東鳴川C〉と面会し、東鳴川町502に関する事情を詳しく聞き取っているが、〈東鳴川C〉はその際はっきりと「賃貸契約はどのような解釈によっても完全に解消した」と述べている。この言葉遣いからは、〈東鳴川C〉が本件賃貸借契約の解消のため、様々な苦労(上記ア〜ウ)を強いられてきたことがうかがえる。

また当会代表は、平成31(2019)年3月2日、村田養豚場(村田畜産/村田商店)代理人より本件御通知書(乙1)が到達したことを受け、〈東鳴川C〉に電話をして賃貸契約の有無について改めて確認している。この時にも〈東鳴川C〉は次のように述べている。

  • 村田さんに今は東鳴川502の使用権はない。
  • 裁判では山林掘削時には村田さんの使用権があったということになった。
  • でも今現在は賃貸契約などはない。
  • 小屋やゴミは片付けてもらわないと困る。

なお、村田養豚場(村田畜産/村田商店)代理人が当会代表に送付した本件御通知書には、本件賃貸借契約が継続していることが書かれていない(乙1)。村田養豚場(村田畜産/村田商店)が主張するとおり、本件賃貸借契約が途切れなく継続していたのであれば、そのことが本件御通知書で指摘されなかったことは不自然である。

したがって、本件賃貸借契約が、東鳴川町502掘削をめぐる訴訟が提起されたことにより解消されたことは事実である。よって、本件賃貸借契約が継続していることを前提とした村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張は、すべて根拠がない。

本件市有土地境界確定図から削除された境界線は誤りだったか。

続いて、長尾2及び長尾谷1ー乙についても、村田養豚場が不法に掘削し、また、廃棄物を不法に投棄している等の記事が掲載されているが、これも真実ではない。

  1. まず、東鳴川町502と長尾2との境界(=府県境界、以下、「本境界」という。)について、平成30年8月10日及び同年11月8日に、木津川市作成の土地境界画定図の修正がされており、その内容は、木津川市管理里道の南端部分が削除され、本境界が未確定ゆえ削除されたというものである(甲7の1乃至4)。

    つまり、東鳴川町502及び長尾2の境界については、現状未確定の状態となっており、東鳴川町502についての使用権原を有する村田養豚場が、長尾2について、他人所有地を不法に掘削していると非難される根拠が存在していない。そうであるにも関わらず、本件記事においては、あたかも村田養豚場が他人所有地を不法で掘削、占拠しているということが確定的に記載されているのであり、真実とは到底いえない。

    なお、当会代表は、木津川市より、前記公図修正の後、公図が修正された旨の周知をされ、「弥勒の道プロジェクト」ホームページ上への掲載について配慮されたいとの指示を受けている(甲8)にもかかわらず、本件記事において、修正前の公図に基づく境界線を掲載し続けている。

  2. また、村田養豚場が、産業廃棄物を赤田川北の荒れ地に不法に投棄しているのではないかという疑いがあるというような記事も掲載されている。この件について、当会代表は奈良市への問合せの結果及び村田商店代表者村田昌香へ長尾2の所有者が問い合わせた結果も掲載している。

    奈良市への問合せ結果については、村田養豚場が廃棄物を違法に処理 していたという事実は確認できなかったとの回答を得ており、その事実自体は記載があるものの、「奈良市からは最後までまともな返答を得られませんでした」などとまとめ、村田養豚場が、廃棄物を違法に処理していることが間違いないことであるかのように記載している。

    さらに、村田商店代表者〈村田商店代表乙〉に対する問合せの結果についても、「コンクリート片などを埋めたと聞かされた」と記載するばかりで、村田商店代表者〈村田商店代表乙〉が、説明をした内容を正確に記載していない。このとき、村田商店代表者〈村田商店代表乙〉は、再生クラッシャーというものを埋めたが、それは、コンクリート片などを含む再生物であり、不法な廃棄物ではないということを説明しているにもかかわらず、その説明の記載はほとんどされていない。

このように、本件記事の内容は、村田養豚場が違法に廃棄物処理を行っていることは間違いないにもかかわらず、奈良市及び村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、まともに取り合おうとしないという構成になっており、真実を掲載した記事であるとは言い難い。

1)東鳴川町502及び長尾2の境界線が削除された理由は、未確定ゆえではない。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)は「本境界が未確定ゆえ削除された」とするが、実際にはそのような理由で削除されたのではない。平成30(2018)年8月10日施行の木津川市の回議書「法定外道路(加茂町西小長尾・長尾谷地内)の市有地境界確定図の修正について」(甲7の1)には、誤りの内容として次のように書かれている。

  • 境界線が、奈良市域まで入っている。
  • 本件確定に関係のない民々界が記載されている。
  • 方位の記載がない。

またこれより前に、木津川市管理課が奈良市を訪れて、本件市有土地境界確定図の修正について協議しているが、その報告書では同じ理由がもう少しわかりやすい表現で書かれている(乙25)。

  • 長尾2と東鳴川町502の民々界が記載されていること(ヒゲ線だけで足りるのに)。
  • 奈良市側と思われる箇所にまで里道を作ったこと(奈良市・奈良市地元の了解を得ずに)。

すなわち、本件市有土地境界確定図修正は、木津川市による奈良市側への越境確定が問題視されたために行われたものである。越境の可能性がある境界線については、奈良市等と連携して再確定手続きを進める上で必要とされたことから、木津川市で確定した境界線が一旦未確定とされた。つまり、それらの境界線は「未確定ゆえ削除された」のではない。

なお、平成30(2018)年11月28日施行の木津川市の回議書「法定外道路(加茂町西小長尾・長尾谷地内)の市有地境界確定図の修正について」(甲7の2)には、今後の方針として「上記の修正により推定線としたため、改めて確定線とするため、当該市有里道敷に市有水路敷(準用河川赤田川)も含め、既確定を考慮して、本市が申請人となって府県境確定を奈良県・奈良市に申請する」とあり、木津川市が修正前の既確定を尊重して、削除した境界線を奈良市とともに再確定する方針であることがわかる。本件境界確定経緯から、これは当然のことと言える。

したがって、平成30(2018)年8月10日及び平成30(2018)年11月28日に本件市有土地境界確定図修正があったからと言って、それ以前に遡って土地境界が未確定であったとみなすことはできない。

2)本件市有土地境界確定図修正手続きは違法であり、修正後の境界確定図は無効である。

平成30(2018)年8月10日施行の木津川市の回議書「法定外道路(加茂町西小長尾・長尾谷地内)の市有地境界確定図の修正について」(甲7の1)には資料として、修正前の本件市有土地境界確定図に係る隣接所有者の同意書が付属している。これを見ると、修正前の確定図では隣接所有者全員が同意書に署名捺印し、同意書と本件市有土地境界確定図の写しの両方にまたがって割印が押されている(乙27)。

なお「木津川市所管法定内公共用財産、法定外公共用財産及び市有地境界確定事務取扱要領」(以下、「要領」という。)には、修正あるいは訂正に関する規定が存在しないため、一度確定した市有地境界確定図の修正を行うためには、要領第15条に定められた再確定の規定に従わなければならない。この場合、境界確定の手続きを再度はじめからやり直すことになるので、当然のことながら、要領第10条に定める隣接所有者の同意書についても再度提出される必要がある(乙76)。

ところが、平成30(2018)年8月10日の修正及び平成30(2018)年11月28日の修正では、いずれも修正前の本件市有土地境界確定図と同様の同意書が提出されていない(乙27乙28)。

木津川市は、本件確定図修正前の平成30(2018)年6月末から7月中旬にかけ、木津川市管理課が隣接所有者を戸別訪問しているが、このとき口頭で本件市有土地境界確定図を修正する大まかな方針を隣接所有者に伝え、その方針に対し隣接所有者から口頭で了承を得たことをもって、隣接所有者の了解を得たとしている(乙27)。しかし隣接所有者は事前に口頭で了承を求められたのみで、修正後の本件市有土地境界確定図を見せられてもおらず、それどころか本件確定図が修正されたことすら、隣接所有者には通知されていない。このような手続きは明らかに要領を逸脱している。

さて当会代表は確かに、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が指摘するように、本件市有土地境界確定図修正の後、木津川市からメールで本件市有土地境界確定図が修正された旨を周知され、「弥勒の道プロジェクト」ホームページ上の掲載について配慮をお願いされている(甲8)。ただし、メールの内容は「指示」と呼べるようなものではなく、「配慮」についても具体的に何をどうするべきか不明で、またなぜそのような修正がなされたかについても具体的な説明がなかった。当然当会代表は本件境界確定経緯を知っているので、このような修正はあり得ないと感じ、平成31(2019)年2月、木津川市に対し本件市有土地境界確定に関する行政文書の開示を請求した(乙29)。その中においても当会代表は、同意書が提出されていないこと及び隣接所有者に修正を通知していないことは違法である旨指摘しているが、この指摘に対して、木津川市は、理由説明書及び補充理由説明書において次のように答えている(乙30)。

  • 同意書が提出されていないことについて。
    ➡規定がない以上、本市の裁量の範囲内と考える(同意書が提出されていないことは認めている)。
  • 修正が通知されていないことについて。
    ➡隣接所有者に説明を行った際に、再度、本市により改めて確定手続きを行うことを前提に一旦修正することで了解を得たため、本件修正後に改めて本件修正の完了の報告や通知、修正図を見せたりはしていなかったものである。

一方、木津川市法定外公共物管理条例第17条では、以下のとおり「協議による境界の確定」が定められている(乙77)。

第17条 市長は、法定外公共物の境界が明らかでないためにその管理に支障があるときは、隣接地の所有者に対し、必要な事項を通知して、境界を確定するための協議を求めることができる。
2 前項の規定により協議を求められた隣接地の所有者は、同項の通知に従い、その場所に立ち会って境界の確定につき協議するよう努めなければならない。
3 市長及び隣接地の所有者は、第1項の協議が整ったときは、書面により、確定された境界を明らかにするものとする。

木津川市法定外公共物管理条例

本条文が木津川市に与えている権限は「(隣接所有者に)協議を求めること」であって「(木津川市が)自ら確定すること」あるいは「(木津川市が)自ら修正すること」ではない。したがって木津川市が、隣接所有者と協議を持つことなく、隣接所有者による同意書も得ずに、本件市有土地境界確定図を修正したことは、木津川市法定外公共物管理条例及び要領に照らして、明らかに違法である。しかも令和元(2019)年8月現在、未だ隣接所有者に修正が通知されていないことは理解に苦しむ。木津川市は直ちに違法な修正を撤回するべきと考える。

いずれにせよ、木津川市は本件市有土地境界確定図の修正について「本市により改めて確定手続きを行うことを前提に一旦修正する」ものとしており、木津川市としては、この修正は手続き上必要とされた仮のものという認識であることがうかがえる。

3)本件市有土地境界確定図修正は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による排水設備改修の交換条件とされていた。

平成30(2018)年8月10日施行の木津川市の回議書「法定外道路(加茂町西小長尾・長尾谷地内)の市有地境界確定図の修正について」(乙27)別紙「本件修正に至る経緯」を見ると、本件市有土地境界確定図修正は、隣接所有者ではない第三者からの抗議あるいは指摘が発端となっていることがわかる。結論から言えば、この第三者は村田養豚場(村田畜産/村田商店)である。

本件市有土地境界確定図の修正を要望していたのが村田養豚場(村田畜産/村田商店)であることは、平成19(2007)年の確定時からこれに疑義を述べていたのが村田養豚場(村田畜産/村田商店)の他に存在しないことに加え、木津川市が当会代表に送った本件市有土地境界確定図修正を周知するメールを、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が知っていた事実からも明らかである。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)は当会代表に送った本件御通知書において、前述のメールが「村田養豚場から赤田川と周辺環境を守る有志の会」宛に送られたものと思い込んでいる(乙1)。これはそのようなメールを送るよう木津川市に要求した当人以外にあり得ない思い込みと言える。なぜなら、もし村田養豚場(村田畜産/村田商店)が情報公開請求などで事後的に前述のメールを知ったのであれば、宛先を正しく認識できたはずだからである。すなわち、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は平成30(2017)年11月28日の修正前から、本件市有土地境界確定図が修正されることを知っていたということになる。一方で本件市有土地境界確定図の修正は隣接所有者にも通知されておらず、当会代表も前述のメールがなければ修正を知り得なかった。よって、木津川市にこのようなメールを要求できたのは修正の発端となった苦情申立者以外にあり得ないと結論できる。

前述の「本件修正に至る経緯(乙27)」によると、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は平成28(2016)年にも本件市有土地境界確定図の修正を求めているが、この時の木津川市は修正には取り掛かっていない。「本件修正に至る経緯(乙27)」の記述からは、修正に必要な奈良市の協力が十分には得られなかったことがその理由とうかがえる。

ところが、平成30(2018)年3月に、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が数度に渡って文書による指摘を木津川市に送付して以降、木津川市は、それ以前と同様、奈良市の協力が得られる目処が立っていない(乙26)にも拘わらず、修正へと見切り発車してしまうのである。

平成30(2018)年11月28日施行の木津川市の回議書「法定外道路(加茂町西小長尾・長尾谷地内)の市有地境界確定図の修正について」(甲7の2)には、平成30(2018)年8月21日に奈良市から送られてきたファックス文書が添付されている(乙28)。このファックス文書は、8月10日の修正に関し、奈良市に対しても、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が追加の修正を主張してきたことを木津川市に伝えるもので、「(村田養豚場(村田畜産/村田商店))が奈良市に言って来られ、木津川市に言うようにとのことでしたので、お伝えします」との口ぶりから、このファックスが奈良市の意向というよりも、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の意向によって送られたものとわかる。このファックス文書では、奈良市に連絡してきた人物が誰であるかが不開示となっているが、この時点で本件市有土地境界確定図の修正を知り得たのは、最初の苦情申立者以外にないので、この人物は村田養豚場(村田畜産/村田商店)である。

平成30年11月20日起案の回議書「法定外道路(加茂町西小長尾・長尾谷地内)の市有地境界確定図の再修正について」-05

結局木津川市は、8月21日のファックスにある修正要求を反映させる形で、平成30(2018)年11月28日に本件市有土地境界確定図を修正し、同日、当会代表にこれを周知するメールを送った。

本件境界確定経緯を考えると、この修正は極めて不可解だと言わなければならない。木津川市は、京都府警の捜査に協力する形で、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の違法行為を是正させるために確定した境界線(本件境界確定経緯参照)を、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の求めに応じて、あろうことかただ削除し、しかもそれを山林掘削の被害者が含まれる隣接所有者には通知せず、「一旦修正」としながらも削除した境界線を未だ再確定していない。

実はこの木津川市の異様な動きは、赤田川水質汚濁問題と連動している。赤田川水質汚濁問題について詳しくは後述するが、村田商店の経営する村田養豚場の北を流れる木津川の支流、赤田川では、平成28(2016)年12月以降、木津川市の水質調査でたびたび異常な水質汚濁が検知されていた。

これを受け、木津川市は平成29(2017)年5月30日に赤田川を遡る現地調査を行い、その後も詳細な分析を続けている(乙10)。また下流では農業への影響が心配されたため、平成29年夏ごろ、農協や下流地域から、赤田川の水質改善を求める要望書が、木津川市長に直接手渡された(乙11乙12)。

こうした下流域農家の懸念を背景に、木津川市長の問題解決への意気込みは強く、平成29(2017)年11月、木津川市長は奈良県知事と奈良市長を相次いで訪問し、赤田川水質汚濁状況調査報告書と要請書(乙17の1乙18の1)を両者に自ら手渡している。

この間木津川市は、月1回以上の水質調査を継続するとともに、機会を捉えては奈良県などに水質改善への協力を要請しているが、平成30(2018)年2月16日、ようやく奈良県から「養豚場は[不開示]の費用をかけて排水処理施設の改修を行う意向を示している」という情報が、木津川市にもたらされた(乙21)。

ところが、平成30(2018)年3月5日、奈良県から木津川市に、一転して以下のような報告がなされる(乙22)。

  • 村田養豚場の意向が変わり、排水対策の実施自体がどうなるかわからない状況になった。
  • (養豚場が)過去から主張されている、木津川市の市道管理、水路管理、境界確定等の改善を改めて求められ、これらが整理されなければ、予定されていた排水対策は取りやめるという意向であった。
  • 本件について、関係行政機関(木津川市、京都府、奈良市)と話し合う場を求められ、これに奈良県も同席してほしいという意向であった。

イにある「境界確定」とは、本件市有土地境界確定図のことである。この連絡のすぐ後、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は木津川市の複数の部局に質問状を送っている(乙27別紙)。

また平成30(2018)年3月23日に開かれた木津川市と奈良県畜産課との協議でも、奈良県畜産課が次のように発言している(乙23)。

養豚場は、基本的には、引き続き排水処理について改善措置を図る意向と思うが、法令違反の事実がない中、木津川市の対応によって、今後の方向を考えるといった話も聞いている。

このころ以降、本件市有土地境界確定図の修正は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に村田養豚場の排水設備を改修させるための交換条件となったとみられる。村田養豚場(村田畜産/村田商店)と木津川市のやり取りは不開示となっており、どのような交渉がなされたか不明であるが、下流域からの強い水質改善要求にさらされていた木津川市が、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の示した交換条件(上記イ)を実質的に受け入れたのだとしても不思議はない。実際木津川市は平成30(2018)年の4月から9月にかけ、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の要求にある水路工事も行なっている。

以上のように、赤田川の水質改善を焦る木津川市が、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の示した交換条件を満たすため、本件市有土地境界確定図の修正を急いだのだと考えると、木津川市が、隣接所有者との協議を省略し、要領に定められた同意書を提出せず、隣接所有者に修正図を通知してもいないことの理由が推測できる。

奈良市の協力が得られない現状では、境界線を削除した場合、それらをいつどのように再確定するのか、全く見通しが立たないことになるが、この状態で、隣接所有者が境界線の削除に同意することは、本件境界確定経緯からみて、まずあり得ない。それゆえ木津川市は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に排水設備を改修させるための交換条件を満たすべく、本件市有土地境界確定図の修正を、隣接所有者から隠す必要に迫られたのであろう。

以上見てきたように、本件市有土地境界確定図の修正は、木津川市の自発的な修正というよりも、赤田川水質汚濁問題をも利用した、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の強い働きかけによるものと言える。

4)村田養豚場(村田畜産/村田商店)には原確定を尊重する道義的責任がある。

上記3)で検討したとおり、木津川市に本件市有土地境界確定図の修正を求めたのは、村田養豚場(村田畜産/村田商店)である。また、8月21日の奈良市からファックスによれば、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は確定点番号を細かく指定して追加の修正を求めている。これらの事実から、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、本件市有土地境界確定図の原確定について、その詳細を熟知していることは明らかである。

本件市有土地境界確定図が、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の違法行為をやめさせるために確定されたという経緯を鑑みれば(本件境界確定経緯参照)、村田養豚場(村田畜産/村田商店)には、当時の隣接所有者が同意した、原確定の境界線を尊重する道義的責任があると言わなければならない。

またどのような事情があれ、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が山林を掘削したことによって、それまで土地所有者間で土地境界として了解されていた地形上の目印が失われたことは事実である。したがって、土地所有者間で、失われた地形上の目印に替えて、新たな地形上の目印を頼りに、それまでと異なる土地境界線が同意されたとしても、地形を失わせた原因者たる村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、そのことにことさら疑義を申し立てることは、道義にもとる行為である。少なくともそれは、「奈良を代表する」にふさわしい振る舞いとは言えないであろう。

以上のとおり、本件市有土地境界確定図から削除された境界線がはじめから誤りであったとする村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張は不当である。よって、本件市有土地境界確定図から東鳴川町502と長尾2の境界線が削除されたことをもって、過去に遡って当該境界線が未確定であるとし、ゆえに明確な境界侵害はなかったとする村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張は、すべて根拠がない。なお本件境界確定経緯からみて、そもそも村田養豚場(村田畜産/村田商店)には原確定の境界線を尊重する道義的責任がある。

現状1 つづく汚泥・生ゴミ等の投棄

本件記事公開後も、東鳴川町502には、様々なものが捨てられたり置かれたりしていた。中でも、豚舎から出たと見られる汚泥を、冬から春にかけ頻繁に投棄していたことは、東鳴川町502が赤田川に隣接することから赤田川の水質への影響が心配される(乙31)。

東鳴川町502には、汚泥が積み重なっているため、常に真っ黒な水が溜まった水たまりができており、気温が上がると、水たまりにも拘わらず、たくさんの泡が浮いている。こうした汚泥から染み出した汚水が、赤田川へ流れ込んでいることは確実と思われる。

2018年1月12日撮影

冬期は生ゴミの投棄も多く、東鳴川町502には多くのカラスが常に群がっている(乙31)。下写真のオレンジ色のものは、ニンジンの切れ端と思われる。

2017年2月16日撮影

ところで平成30(2018)年、平成31年(令和元年)ともに、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は春頃になると、投棄した汚泥を畑の畝のように整形する作業を行っている(乙31)。

2019年6月24日撮影

これは汚泥の投棄について「畑作のために土壌を改良している」と説明できるよう形を整えているものと考えられる。ただし、この場所に畑作の実態はない。確かに、片隅に家庭菜園程度に作物が植えられてはいるが、ほとんど管理されておらず、雑草に覆われている。

2019年8月26日撮影

そのほかの場所は、畑の畝のようになっているとは言ってもゴミ混じりで、とても作物の育成に適した土には見えない。実際、赤田川北の小屋の横にあった汚泥にはほとんど雑草が生えなかった(乙31)。

2019年9月10日撮影

当会代表は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)のこうした行為を、不法投棄や家畜排せつ物法違反に該当するのではないかと考えていたが、東鳴川町502所有者〈東鳴川C〉は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)との一連の裁判で心身ともに疲弊しきっている様子が見られ、〈東鳴川C〉に村田養豚場(村田畜産/村田商店)による違法疑いのある行為を知らせたとしても、適切な対応を避けてしまうおそれがあった。その場合、将来なんらかの事故や災害があったときに、〈東鳴川C〉が違法疑いのある行為を知っていて放置したのは容認していたからだと判断される危険があると考え、〈東鳴川C〉にこうした現状を知らせることはあえて控えた上で、当会代表としては、事故や災害等で汚泥が流れ出した場合に備え、その原因者を特定できるよう証拠の保全に務めていたものである。

現状2 所有権の移転

以上、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の訴状および本件提訴前の状況を前提として、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による請求の原因を検討してきた。しかしながら、本件訴状の到達を受けて、令和元年8月9日、当会代表が東鳴川町502所有者 〈東鳴川C〉に、改めて賃貸借契約の有無等について確認したところ、以下のような回答があった。

  • 東鳴川町502土地は8月の末に村田さんに売却することになっている。
  • 村田さんがまた借りるということにしても永久に借りることになるから、どうせなら売ってほしいというので、そこまで売ってほしいならということになった。
  • 夏までに、奈良側の隣接所有者とは境界を確定した。
  • 村田さんが言うには、今までも使ってきたのは事実だから、今まで賃借していたことにして、その分の賃料を払いたいとのことで、今までの賃料数年分と、今年の分は半年分を、8月初め頃に払ってもらった。
  • 京都側の境界は村田さんが木津川市と相談しているというので、知らない。
  • 京都側のことはよくわからないが、村田さんは木津川市とは市道の買い取りについても相談していると言っていた。
  • 木津川市加茂町西小長尾2土地所有者の〈加茂町B〉さんが何か言ってきても、村田さんが対応するということになっている。

上記は電話でのやり取りであった上、〈東鳴川C〉は「あの土地と自分はもう関係がない」として、当会代表の問い合わせに対しあまり協力的ではなかった。そのため詳細は不明であるが、令和元年9月現在、すでに東鳴川町502の所有権は村田養豚場関係者に移っている。

村田養豚場の敷地範囲

したがって、訴状における村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張とは関係なく、東鳴川町502所有者の許可なく村田養豚場(村田畜産/村田商店)が同土地に設置したり投棄したりしていた物について、現在ではその違法性を疑う根拠が失われている。東鳴川町502所有者と村田養豚場(村田畜産/村田商店)の間で東鳴川町502の売買契約が成立したうえ、過去に遡って本件賃貸借契約が継続していたとみなすことに双方が合意したことにより、過去における村田養豚場(村田畜産/村田商店)の行為が、〈東鳴川C〉にすべて認容されたと解すことができるためである。ただし、本件賃貸借契約が継続していたとみなす合意は、令和元年8月初めに成立したのであるから、本件賃貸借契約が過去から途切れずに継続していたことを前提とする村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張は不当である。

よって、上記現状1で報告した東鳴川町502における汚泥投棄についても、現在では、土地所有者の許可なしに投棄したとして、その違法性を問うことはできない。今後同様のことが繰り返された場合は、家畜排せつ物法に基づき、奈良県によって適切な指導がなされているかどうかが問われることになると思われる。

以上のとおり、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張には根拠がない。それだけでなく、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が東鳴川町502を取得したことで、今後村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、現在および将来の行為に対しても、訴状同様の主張を行うことが強く危惧される。すなわち境界が未確定であるから不動産侵奪に当たらないと主張して、修正前の本件市有土地境界確定図にある東鳴川町502と長尾2の境界を無視し、長尾2や公道上に物や建築物を設置したり、あるいは検察官に指導されて中断した山林掘削を再開するような事態が今後起こりかねない。

なお現在でも、修正前の本件市有土地境界確定図において長尾2とされている場所には、村田養豚場のトラックやコンテナが置かれており、橋のそばにある犬の檻についても、長尾2の上に置かれている可能性が高い(乙32)。

境界線を重ねた航空写真

また木津川市は、今後、奈良市と連携して、一旦削除した境界線の再確定を進めると考えられるが、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が本件訴訟の論拠を保つために再確定協議を拒んだり、あるいは原確定に沿った再確定を拒絶し、長尾2を大きくえぐる形で新たな境界線を提案するおそれもある。

しかし先に検討したように、村田養豚場(村田畜産/村田商店)には本件市有土地境界確定図の原確定を尊重する道義的責任がある。村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、原確定を踏襲した境界線の再確定に快く協力するべきと考える。また、原確定は、京都府警の捜査に協力する形で、京都府警に対して、当時の土地所有者がそれぞれの土地の土地境界を示したものであることを、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は改めて思い起こすべきである。これまでに検討したように、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が原確定の境界線を熟知しているのは明らかであるから、仮に村田養豚場(村田畜産/村田商店)が次また無断で他人地を掘削するなどした場合に、検察官が村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対し二度目の温情を示すとは限らないということを、あらかじめ指摘しておきたい。

1 争点とすべき本件記事内容

本件記事において、重大なる虚偽事実の摘示は、次の部分である(下線は、本書面にて、重要部分に付けたもの。)

  1. 「・・・村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、2003年頃他人の山林を侵奪し、・・・、不法掘削した他人地・・・を・・・占拠し続けています」(1頁本文3行目〜6行目)。
  2. 「これら村田養豚場(村田畜産/村田商店)による不法行為や迷惑行為・・・」 (1頁本文8行目〜9行目)。
  3. 山林侵奪 他人地占拠」(2頁表題)
  4. 「2003年頃他人の山林を掘削・侵奪し、その後も不法掘削した他人地を実質的に占拠し続けています・・・」(2頁本文1行目〜3行目)
  5. 「・・・村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、赤田川北側の他人の山林を無断で削る事件を起こしました。村田養豚場の敷地は上図のようになっており、削られた山林はすべて他人の土地です。」(3頁本文2行目〜4行目)
  6. 「東鳴川のCさんの先代が、村田氏の先代にこの山林を賃貸していました。・・・借りている山林を突如削り始めたのです。この件は裁判になっています」(3頁本文5行目〜8行目)
  7. 「2009年には、村田氏と東鳴川のCさんとの山林賃貸契約はどのような解釈によっても解消しています」(9頁本文5行目〜6行目)
  8. 「京都府木津川市側のAさんBさんは完全に巻き添えで山林を破壊され・・」 (3頁本文9行目)
  9. 「2005年AさんB さんらは村田養豚場(村田畜産/村田商店)を刑事告訴しました・・」(3頁本文10行目)
  10. 「村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、削りとった他人地で野焼きを繰り返し、農場主が現行犯逮捕されています」(4頁本文2行目〜3行目)
  11. 「しかし、山林を削り取られたAさんBさんらによる刑事告訴はなぜか起訴猶予に終わりました」(4頁本文3行目〜4行目)

以上、ア乃至サで当会代表が記事に記載していることを纏めれば、次の通りとなる。

== (i)村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、借地(奈良市東鳴川町502番、当時の所有者〈東鳴川Cの亡父〉、以下、「東鳴川町502」という)を土地所有者に無断で掘削、侵奪し、裁判にまでなった。(i)また、土地所有者との借地契約は解消されているので、 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、東鳴川町502を不法占拠している。(iii)そして、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、東鳴川町502の北隣地である土地(京都府木津川市加茂町西小長尾2番、同1-乙、当時の所有者は〈加茂町B〉ら、以下、「長尾2」「長尾1ー乙」という。)までをも掘削し、〈加茂町B〉らは刑事告訴したが、なぜか起訴猶予になった。

そして、それらの村田養豚場(村田畜産/村田商店)の山林侵奪行為は、「不法行為」(民法709条)に該当する ==

2 東鳴川町502の不法掘削について

しかしながら、まず、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、東鳴川町502について、借地契約締結後の平成14年から東鳴川町502を掘削したものであるが、当時の所有者で賃貸人であった〈東鳴川Cの亡父〉義治(以下「〈東鳴川Cの亡父〉」という、記事中ではCさんの先代)に無断で掘削したものではない。この点は、民事裁判で確定している。

すなわち、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が訴状5頁(2)で既述し、当会代表も事実経過として被告第1準備書面13頁 14)で適示しているように、当時の東鳴川町502を〈東鳴川Cの亡父〉から相続した所有〈東鳴川C〉(以下「〈東鳴川C〉」という、記事中のCさん)は、東鳴川町502を掘削した〈村田商店代表乙の父〉(村田養豚場(村田畜産/村田商店)代表者〈村田商店代表乙〉の父)に対して、質貸借契約における借地人の用法違反等を理由として損害賠償請求訴訟を提起した(御庁平成21年(ワ)第1125号損害賠償請求本訴事件、以下「本件訴訟」という)。

しかし、平成23年9月30日、判決が下され、東鳴川町502を掘削することは借地契約の内容として含まれていると判示され、〈東鳴川C〉の請求は乗却された(甲5)。そして、同訴訟は、〈東鳴川C〉により控訴されたが、平成24年3月21日、控訴審(平成23年(ネ)第3211号)においても、原判決は維持され(甲6)、〈東鳴川C〉は上告しなかったので、遅くとも、平成24年4月中には判決が確定した。

よって、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、東鳴川町502を不法掘削した事実の存しないことは、本件訴訟の裁判確定によって明白である。本件訴訟の裁判確定は平成24年4月であるから、平成28年6月頃に掲載された本件配事は、明らかに虚偽なる事実の適示である。

すなわち、上記ア「・・・村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、2003年頃 他人の山林を侵害し、・・・、不法掘削した他人地・・・を・・・占拠し続けてい ます」、上記エ「2003年頃他人の山林を掘削・侵奪」、オ「他人の山林を無断で削る事件を起こしました。」は明らかな虚偽の事実の適示である。

また、カの「借りている山林を突如削り始めたのです。この件は裁判になっています」という記事も、不法掘削でないことが確定した裁判であるのに、裁判となった事実だけを適示し、あたかも不法掘削が裁判で認められたかのように表示するものであって、虚偽の事実の適示というべきである。

3 東鳴川町502の不法占有

次に、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、東鳴川町502を侵奪(不法占有)している事実もない。その理由は以下の通りである。

(1)占有権限

訴状で既述の通り、前記、不法掘削による借地契約の用法違反を根拠になされた損害賠償請求訴訟(御庁平成21年(ワ)第1125号損害賠償請求本訴事件)に対して、被告であった〈村田商店代表乙の父〉は、反訴として、〈東鳴川C〉に対し、債務不履行に基づく本件借地契約の解除及び損害賠償請求を行っている(以上、本訴、反訴をあわせて、「本件訴訟」という)。これは、〈東鳴川C〉が、前記訴訟を提起したということ自体が、本件借地契約における、賃借人に土地を使用収益させる義務を履行する意思がないことを明らかにしたとして提起したものである。

しかし、この反訴事件は、原審では、〈村田商店代表乙の父〉の主張が認められ、〈東鳴川C〉に5031万2652円の損害賠償支払義務が命じられた(甲5) ものの、控訴審では覆されて、〈村田商店代表乙の父〉の請求は棄却された(甲6)。控訴審においては、本件訴訟紛争によって、〈村田商店代表乙の父〉の東鳴川502の使用収益が法的に困難になったとまでは評価できないとし(甲6、8頁)、〈東鳴川C〉の債務不履行責任は認められないとしたのである(甲6、9頁)。

従って、反訴請求でなされた、〈村田商店代表乙の父〉の本件借地契約の解除は、解除原因がないので、無効である。そして、実際的にも、本訴において、契約の内容として、土地の掘削をすることが含まれているとの判示がなされた以上、〈村田商店代表乙の父〉には契約解除をする必要性もなくなったのである。

よって、本件訴訟の確定によって、東鳴川町502の借地契約は解除されることがなく、賃貸借契約が継続していることが明らかにされたのである。

そして、本件訴訟確定後も、借地契約当事者のいずれからも、借地契約解除の申出がなされたことは一度もない。

従って、後述の東鳴川502の売買契約による、令和元年8月27日の、村田養豚場(村田畜産/村田商店)代表者〈村田商店代表乙〉による東鳴川町502の所有権取得に至るまで、本件借地契約は継続していたのである。

よって、村田養豚場(村田畜産/村田商店)には、東鳴川町502に対する法的な占有権限があったのであるから、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が東鳴川町502を侵奪(不法占有)したという事実はない。

(3)村田養豚場(村田畜産/村田商店)と〈東鳴川C〉の実質的な関係

また、本件訴訟確定後の村田養豚場(村田畜産/村田商店)と〈東鳴川C〉との実質的な関係からみても、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の不法占拠(侵奪)の事実が無いことが明らかである。

すなわち、本件訴訟は、その判決確定によって、結局、本訴・反訴ともに認められず、笑質的にゼロ和解に等しい結果に終わった。そのため、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、当時の訴訟代理人弁護士からは、その委任契約の終了時に、今後〈東鳴川C〉との契約関係をどうするかについては、〈東鳴川C〉と直接話し合って決めるようにと指導された。

そこで、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、本件訴訟確定後、東鳴川町502をこのまま賃貸し続けるのか、あるいは、〈東鳴川C〉が望むならば売買するのか、〈東鳴川C〉に打診した。

これに対して、当初、〈東鳴川C〉は、本件訴訟の控訴審費用の借入及び〈東鳴川C〉居宅の外壁の修理工事費用の支払いのため、東鳴川町502に建設会社の担保が付けられたので(甲3の1)、売却ができないから暫く待ってほしいということであった。

その後、平成25年10月25日には、上記担保は抹消された(甲3の1)。

しかし、それでも、その後、〈東鳴川C〉は、再三の村田養豚場(村田畜産/村田商店)の申し入れに対しても、「考えておく」と言いながら、なかなか結論を出してくれなかった。

そして、平成28年ころ、村田養豚場(村田畜産/村田商店)代表者〈村田商店代表乙〉が申し入れた際、〈東鳴川C〉は「・・・ 実は・・・」と、〈村田商店代表乙〉に、次のような話を打ち明けた。

それは「・・実は、東鳴川町502については、共産党議員や〈加茂町B〉氏(後述の長尾2の所有者の一人)から、村田には東鳴川502を貸したり売ったりしないように責められ、「売らない、貸さない」約束の一筆を取られている。それで、売るのも、賃料取るのも隣躇しているんや」という、尋常でない打ち明け話であった。

この「弱常でない打ち明け話」は、本件の実態を如実に表していると言わねばならない。すなわち、私権侵害が先にあるのではなく、環境団体の活動によって、私権が利用されている図式である。

そして、〈東鳴川C〉は、〈村田商店代表乙〉に対して、「・・・そんな事情があるので、とりあえず、ねえちゃん、勝手に使っており・・」と言った。

実際、本件訴訟確定後、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、東鳴川町502を使用することについて、〈東鳴川C〉から不法占拠であるとの抗議を受けたことは一度たりともない。

そして、〈東鳴川C〉は、平成31年5月頃になり、漸く、東鳴川町502の処分について前向きに取り組むようになった。その理由は、一つとして、当会代表からの東鳴川町502に関する問い合わせによって、もう煩わされたくない、東鳴川町502には関わりたくない、という気持ちが強くなったことにあるようであった。そして、もう一つは、〈東鳴川C〉が〈東鳴川C〉の弁護士に相談すると、上記「売らない、貸さない」といった書面には効力がないと言ってもらえたこと、にあるようであった。

そして、上記の通り、令和元年8月27日、東鳴川町502の売買契約が成立し、東鳴川町502は〈村田商店代表乙〉の所有となった(甲11)。

そして、売買協議の中で、賃料も一部払われた(甲12の1乃至3)。

(4)小括

以上の通り、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、東鳴川町502を不法占拠(侵奪)した事実の存しないことは、上記訴訟の経緯と確定判決、そして、その後の村田養豚場(村田畜産/村田商店)と地主〈東鳴川C〉の実質的関係から、明らかである。

従って、東鳴川町502 の不法占拠(侵奪)に関する本件記事は、明らかに虚偽なる 事実の摘示である。

すなわち、上記ウ「山林侵奪 他人地占拠」(2頁表題)上記キ「2009年には、村田氏と東鳴川のCさんとの山林賃貸契約はどのような解釈によっても解消しています」は明らかな嘘偽の事実の適示である。

4 長尾2、本件士地3の不法掘削について

上記の通り、〈村田商店代表乙の父〉は、平成14年から東鳴川町502を〈東鳴川Cの亡父〉との借地契約に基づき掘削していたところ、平成16年夏ごろ、〈加茂町B〉ら(以下「〈加茂町B〉ら」という) から、東鳴川町502の境界を越境して掘削工事を行っていると苦情を受けた。そして、〈加茂町B〉らは、平成19年夏ごろまでに、〈村田商店代表乙の父〉を不動産侵奪、廃棄物処理法違反の容疑で告訴した。そして、〈村田商店代表乙の父〉は、平成19年末頃まで工事を続けたが、その後、検察官の指導を受けて、掘削工事を中止した(以上、甲5、5頁〜6頁)。

当会代表は、この平成16年夏ごろから平成19年末ころまでの掘削工事について、東鳴川町502を越境して、長尾2、長尾1ー乙まで不法掘削したと主張しているものである。

しかし、以下の理由から、そのような不法掘削の事実は存しない。

(1)〈東鳴川Cの亡父〉の指示

〈東鳴川Cの亡父〉は、本件借地契約時の平成14年1月上旬、〈東鳴川C〉を同行の上、〈村田商店代表乙の父〉に対して、東鳴川町502の境界を説明した(甲5、5頁(4))。そして、〈村田商店代表乙の父〉は、平成14年1月10日、〈業者A〉に対し、〈東鳴川Cの亡父〉の説明した上地の範囲を指示した上、同工房との間で、東鳴川町502の山林伐採及び土砂撤去工事請負契約を締結し、同工房は、上記指示された範囲内で工事を行った(甲5、5頁(5))。

ところで、その際、東鳴川町502と長尾2,長尾1ー乙は、いずれも山林であり、かつ、地主もほとんど出入りすることがないような放置された山林であったので、明確な境界標等は一切なかった。しかし、〈東鳴川Cの亡父〉は、歩いて、〈村田商店代表乙の父〉に境界を示してくれたところ、その示されたところを境に、樹木の塊りや成育状況など、林相に差異が見られた。そのため、〈村田商店代表乙の父〉は、その〈東鳴川C〉の境界の指示に従い、その範囲までが借地の範囲と認識して、以降の掘削工事を行ってきたのである。

よって、〈村田商店代表乙の父〉の掘削行為は、〈東鳴川Cの亡父〉の境界指示に基づく行為であるから、不法掘削ではない。万が一、〈東鳴川Cの亡父〉の指示に境界越境があったとすれば、掘削工事の責任は、〈東鳴川Cの亡父〉にあるのであって、〈村田商店代表乙の父〉に責任はなく、〈村田商店代表乙の父〉に不法行為責任は成立しない。

(2)刑事告訴の帰趨

上記の通り、〈加茂町B〉らは、平成19年夏ごろまでに、〈村田商店代表乙の父〉を不動産侵奪、廃棄物処理法違反の容疑で告訴した。しかし、平成20年2月29日、この告訴事件は不起訴となった。それは、当会代表が本件記事で適示しているように「起訴猶予」でなく、あくまでも「不起訴」処分である。

そして、この不起訴処分にあたって、〈村田商店代表乙の父〉は、上記の通り、検察官から掘削工事を中止する指導を受けたが、既に掘削済みの山林部分についての原状回復の指導は受けていない。

従って、〈加茂町B〉らの刑事告訴の結果、少なくとも既に堀削済みの山林部分についての不動産侵奪は認められなかったものである。

(3)その後の〈加茂町B〉らの法的主張がないことについて

そして、平成20年2月29日、〈村田商店代表乙の父〉の不起訴処分の後、〈加茂町B〉らは、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対して、〈村田商店代表乙の父〉の不法掘削を民事上問資する法的手段は何ら取っていない。民事訴訟を提起していないのはもとより、内容証明郵便通知等による法的請求すら行っていない。

当時、〈東鳴川C〉は、民事裁判を提起し、〈村田商店代表乙の父〉の不法掘削を主張し損害賠償請求していたにもかかわらず、〈加茂町B〉らは、〈東鳴川C〉と歩調を合わせる形で、不法掘削による損害賠償請求を行うことをしなかったのである。

その理由は明白である。それは、〈加茂町B〉らが、〈村田商店代表乙の父〉の不動産侵奪を証明する証拠(すなわち、東鳴川町502と長尾2,長尾1ー乙間の境界を客観的に示し、〈村田商店代表乙の父〉の行為が長尾2,長尾1ー乙に及んでいる事実を客観的に示す証拠)が無かったからに他ならない。

そして、〈加茂町B〉らの、〈村田商店代表乙の父〉に対する、不法行為による損害賠償請求権は、本件記事が掲載される平成28年6月ころには、とっくに時効消滅してしまったのである。

(4) 木津川市作成の市有土地境界確定図について

当会代表は、以上の諸事実が存するにもかかわらず、木津川市作成の「市有土地境界確定図」(甲7の3)に基づき、東鳴川町502と長尾2との境界を本件記事中に 掲載し、それをもって、長尾2の侵奪を主張している。

しかし、上記境界確定図は、平成30年8月10日及び同年11月28日に、修正されている。その結果が甲7号証の4の「市有土地境界確定図」である(以下「修正図」という、また、甲7の3の図面は「旧図」という)。

従って、「旧図」に基づき、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の不動産侵奪の根拠とするのは明らかな誤りである。訴状で既述の通り、当会代表は、木津川市より、「旧図」の本件記事への掲載について配慮するように指示を受けている(甲8)。

また、山林の境界確定は難しく、ここで、その詳細に立ち入ることはしないが、境界は当事者の主観ではなく客観的資料に基づき確定されるものであり、私人に処分権はない。そして、境界確定訴訟において参考にされる「古図」(東鳴川町の前身である東里村で保管されてきた古図、甲13)においては、東鳴川町502 (甲11で「〈東鳴川Cの亡父〉」との記載ある左上の土地)とその北側の長尾2との境界は、長尾2側に曲線で膨らんでいるが、それは、「旧図」で記された一直線の境界と明らかに異なる。

古図

このことからだけでも、「旧図」が参照にされるべきでないことは明らかである。

(5) 小括

以上の通り、長尾2、長尾1ー乙の不法掘削については、〈東鳴川Cの亡父〉の境界指示による掘削工事であったこと、〈加茂町B〉らの刑事告訴の帰趨及び〈加茂町B〉らの民事的請求がないまま、損害賠償請求権は時効消滅していること、そして、当会代表の論拠とする木津川市作成の「旧図」は修正されて根拠にならないことから、本件記事は、虚偽の事実摘示であることに間違いない。

すなわち、ウ「山林優輝 他人地占拠」(2頁表題)、「京都府木津川市側のA さんBさんは完全に巻き添えで山林を破壊され・・」(3頁本文7行目〜8行目) は、明らかに虚偽事実の適示である。

また、ケ「AさんB さんらは村田養豚場(村田畜産/村田商店)を刑事告訴しました・・」(3頁本文9行目) サ「しかし、山林を削り取られたAさんBさんらに よる刑事告訴はなぜか起訴猶予に終わりました」(4頁本文3行目〜4行目)は、 起訴猶予でなく不起訴処分であるから、虚偽の事実であって、かつ、「刑事告訴の 記載」自体も、それが「なぜか・・・終わった」という記載と合わせて、全体として、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の犯罪の成立をにおわせるような記載となっており、虚偽の事実記載と言わねばならない。

また、コ「村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、削りとった他人地で野焼きを繰り返し、農場主が現行犯逮捕されています」(4頁本文2行目〜3行目)との記載は、〈村田商店代表乙の父〉は、かつて、野焼きの廃棄物処理法で逮捕されたことはあるが、他人地を削り取った行為(不動産侵奪)で現行犯逮捕されたことはない。同記載は、まるで、不動産侵奪の刑事責任が問賛されたかのような記載になっており、虚偽事実である。

5 まとめ

以上の通り、本件記事のうち、山林侵奪、他人地占有(FACT.1)に関する 記事については、「東鳴川町502の不法掘削」「東鳴川町502の不法占有」「長尾2、長尾1ー乙の不法掘削」が含まれるところ、それらは、いずれも虚偽の事実である。

そして、山林侵奪、他人地占有(FACT, 1)は、記事の第一番目の記事であり、他の記事と比較しても、違法性や犯罪性のインパクトの強い記事になっている。 山林侵奪、他人地占有(FACT.1)の記事は、本件記事冒頭のイ.「これら村田養豚場(村田畜産/村田商店)による不法行為や迷惑行為・・・」に該当しないのに、民事上の不法行為が成立していると断じ、更には、犯罪性をもにおわせる記事になっており、その名誉棄損性は甚だしい。

加えて、山林侵奪、他人地占有(FACT, 1)は、記事の第一番目に存することで、FACT.2以下の不法行為性、犯罪性を印象付ける記事になっいるものである。従って、本件記事全体の名誉棄損性を強めるものとして許しがたい。

1 東鳴川町502の不法掘削について

そもそも本件記事に、東鳴川町502の掘削のみを取り出して、「無断で掘削、侵奪」したと記述している箇所はない(甲2)。

また村田養豚場(村田畜産/村田商店)による山林掘削工事は、東鳴川町502とそれ以外を区別して行われたものではなく、かつ、後述するように、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による山林掘削工事全体の中に「無断で掘削、侵奪」した他人地が含まれることは明らかである。したがって、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による掘削工事全体を指して、他人の山林を無断で不法に掘削、侵奪した工事であったと指摘することは、虚偽事実の摘示ではない。

加えて、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が指摘する民事裁判で確定したのは、東鳴川町502の掘削が「賃貸借契約」(村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、訴状においては「本件賃貸借契約 」としているので、以下、本書面では、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の訴訟における表現である「本件賃貸借契約」とする)に含まれることであり、〈村田商店代表乙の父〉が無断で掘削したかどうかについて、裁判所は明確な判断を下していない。

裁判で確定した通り、本件賃貸借契約内に掘削が含まれていたとしても、例えば、図面を示して山林掘削予定の範囲を説明し、山土の処分方法についても打ち合わせするなどして、〈村田商店代表乙の父〉が〈東鳴川C〉から事前に十分な確認を得ていれば、そもそも訴訟が提起されるような事態にはならなかったはずである。一般に、借りている土地の形状を大きく変える工事を行う場合、借主が図面を示すなどして貸主と入念に打ち合わせをすることが、強く期待されると考えられる。したがって、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の指摘する民事裁判の結果をふまえても、貸主の確認を十分に受けなかったという意味で、「〈村田商店代表乙の父〉が、〈東鳴川C〉に無断で山林を掘削した」と指摘することは、依然として虚偽とは言えない。

以上のことから、村田養豚場(村田畜産/村田商店)第1準備書面、第2、1、「ア」「エ」「オ」を虚偽事実の摘示とする村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張は、全く当を得ないものである。

なお「カ」の記述は、〈村田商店代表乙の父〉による山林掘削が、〈東鳴川C〉にとって不本意な工事であったことを示すため、村田養豚場(村田畜産/村田商店)も認めているように、事実のみを摘示したものである。

当会代表は、平成27(2015)年10月22日、長尾2所有者の一人、〈加茂町B〉の紹介で、〈加茂町B〉とともに、長尾2所有者の〈東鳴川C〉宅を訪れ、詳細な聞き取りを行った。本件記事の当該箇所は、この時の聞き取りを元に書かれている。そのため表現が、御庁平成21年(ワ)第1125号損害賠償請求事件における、「裁判所の判断」(甲5)と異なるところはあるが、本件記事では、〈村田商店代表乙の父〉が東鳴川町502を土地所有者から賃借していたこと、及び、〈村田商店代表乙の父〉が「どのように使ってもいいという約束で先代から借りた」と主張していたことにも触れている。

2 東鳴川町502の不法占有について

(1)〈東鳴川C〉は、当会代表に対し、本件賃貸借契約が継続しているという認識を示さなかった。

ア 〈東鳴川C〉に対する聞き取り

 前述の通り、当会代表は、平成27(2015)年10月22日に、〈加茂町B〉とともに、〈東鳴川C〉の自宅を訪れているが、その際当会代表が〈東鳴川C〉から聞いた話はおよそ以下の通りである。

  • 〈村田商店代表乙の父〉の先代〈村田商店代表乙の祖父〉が存命のうちはなごやかな関係だった。

  • 東鳴川町では、特に二人、先代〈村田商店代表乙の祖父〉と仲よくしていた人がいた。

  • ところが仲よくしていた三人が全員亡くなってから、〈村田商店代表乙の父〉が暴れ出した。

  • 最後に亡くなったのは、〈東鳴川Cの亡父〉。

  • 〈村田商店代表乙の父〉に東鳴川町502を掘削されたことで裁判を起こしたが、逆に工事代を請求され、最初の弁護士が頼りなかったため一審で負けた。それで弁護士を替えて控訴し、最終的にチャラにはなったものの、不本意な結果に終わった。

  • そのあと村田養豚場に東鳴川町502で勝手をさせないため、大きな建設会社の抵当権がつけば手を出せないだろうということで、パートタイムの勤め先でもある〈建設会社N〉に、東鳴川町502に抵当権をつけてもらった。

  • 今は村田さんに東鳴川町502を貸していない。平成21(2009)年には、東鳴川町502の賃貸借契約はどのような解釈によっても解消している。(この発言は非常に自信に満ちた態度で語られた。)

  • 駐車するぐらいは黙認しているが、東鳴川町502に置いてあるものは撤去してほしいと思っている。

以上の通り、本件記事は、東鳴川町502所有者である〈東鳴川C〉が、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に東鳴川町502を賃貸していないことを、当会代表が〈東鳴川C〉に直接確認した上で書かれたものである。したがって、当会代表には、摘示事実が真実であると信ずるについて相当の理由があった。

また、平成31(2019)年3月に、当会代表が〈東鳴川C〉から電話で聞き取った際にも、〈東鳴川C〉は、上記と同様に賃貸借契約はない旨、改めて明言している。

イ 〈東鳴川C〉が、平成21(2009)年に本件賃貸借契約が解消しているとする根拠

御庁本訴・平成21年(ワ)第1125号 損害賠償請求事件、反訴・平成22年(ワ)第390号損害賠償請求事件(以下、「東鳴川町502裁判原審」という。)の判決「3 反訴請求について、(1) 請求の原因、ウ」に、「当会代表(〈村田商店代表乙の父〉)は,平成22年4月14日付け内容証明郵便で,村田養豚場(村田畜産/村田商店)(〈東鳴川C〉)の債務不履行により,本件契約を解除することを通知し,同郵便は村田養豚場(村田畜産/村田商店)(〈東鳴川C〉)に翌15日に配達された。」とある(甲5ー6頁)。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、東鳴川町502裁判の結果によって、本件賃貸借契約を解除するとの上記通知は効力を失ったとするが、アの通り、〈東鳴川C〉が当会代表に対してそのような認識を示したことはない。

さて、〈東鳴川C〉が、東鳴川町502裁判の結果に拘わらず、本件賃貸借契約の解除が有効のままであると認識していたとすると、少なくともこの〈東鳴川C〉の立場からは、以下の通り、平成21(2009)年に本件賃貸借契約が解消していたと考えることが可能である。

  1. 東鳴川町502裁判原審・控訴審の判決によれば、確かに村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、平成17(2005)年2月28日から平成22(2010)年2月16日までの間、毎年3月から1年分の賃料の供託を続けている(甲5甲6)。しかし、〈東鳴川C〉は、当会代表の聞き取りに対し、村田養豚場(村田畜産/村田商店)から賃料は受け取っていないと語っていた上、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は〈東鳴川C〉が供託金を受領したとは主張しておらず、また村田養豚場(村田畜産/村田商店)からは〈東鳴川C〉が供託金を受領した証拠も提出されていない。

    そのため村田養豚場(村田畜産/村田商店)が供託した賃料が最終的にどのように処理されたか不明であるが、〈東鳴川C〉が本件賃貸借契約が解除されたままであると認識しており、かつ、言葉通り賃料を受け取っていなかったとすると、〈東鳴川C〉が、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が積み立てた供託金については、その後村田養豚場(村田畜産/村田商店)自身が取り戻したはずだと考えることは、大いにあり得る。

    なお、村田養豚場(村田畜産/村田商店)自身が供託金を取り戻していた場合、民法496条1項ただし書の規定により、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は供託をしなかったものとみなされるので、平成17(2005)年2月以降、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、〈東鳴川C〉に、賃料を支払っていなかったことになる。

  2. 当会代表第1準備書面「第2、4 東鳴川町502・2・3に係る木津川市市有土地境界確定図が確定されるまでの経緯」で示した通り、木津川市は、平成19(2007)年の3町合併当初から、木津川市道敷に村田養豚場(村田畜産/村田商店)が違法に建築した小屋の撤去に取り組んできたが、その取り組みの中で、平成20(2008)年8月ごろに、木津川市管理課が作成した「(村田)養豚場一件、経過概略」(乙81ー2頁)によれば、当時、〈東鳴川C〉と〈村田商店代表乙の父〉の間で、本件賃貸借契約をめぐって主張の違いがあり、このころ〈村田商店代表乙の父〉は、何らかの根拠に基づき、平成21(2009)年2月まで本件賃貸借契約が継続すると主張していた。

すなわち、本件賃貸借契約の解除が有効であり、供託金は村田養豚場(村田畜産/村田商店)が取り戻したという認識を前提とすれば、本件賃貸借契約に基づく、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による賃料の支払いは、平成16(2004)年2月が最後であったとみなされる(ア)ところ、一方で〈村田商店代表乙の父〉が、平成20(2008)年8月ごろに、平成21(2009)年2月まで本件賃貸借契約が継続すると主張していた(イ)ことを考慮すると、本件賃貸借契約は、遅くとも平成21(2009)年には解消した、と言うことができる。

したがって、平成27(2015)年10月22日に 、〈東鳴川C〉が当会代表に対し、時期を明確に「平成21(2009)年」とした上で、本件賃貸借契約は解消したと明言したことには、上記のような根拠が意識されていたと考えられ、信憑性がある。

(2)本件賃貸借契約が継続していた実態はない。

ア 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、東鳴川町502において、畜産業(牛の放牧)を営んでいない

本件賃貸借契約は、東鳴川町502において畜産業(牛の放牧)を行うことを目的として締結されたものである(甲5ー5頁、甲6ー7頁)ところ、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、東鳴川町502裁判終結の後、東鳴川町502において、計画されていた畜産業(牛の放牧)を、全く実行していない。

イ 「尋常でない打ち明け話」は事実と異なる。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、〈東鳴川C〉から「実は、東鳴川町502については、共産党議員や〈加茂町B〉氏(後述の長尾2の所有者の一人)から、村田には本件土地を貸したり売ったりしないよう責められ、「売らない、貸さない」約束の一筆を取られている」(村田養豚場(村田畜産/村田商店)第1準備書面9頁)という「尋常でない打ち明け話」を聞いたとするが、この「尋常でない打ち明け話」の内容は、事実と異なる。

〈東鳴川C〉が、平成18(2006)年11月3日に、土地不譲渡確約書を交わしたのは事実であるが、その相手は、東鳴川町502に隣接する東鳴川町501の共同所有者らである(乙80の1)。なお後述するように、東鳴川町502に隣接する東鳴川町501の共同所有者らもまた、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による山林掘削の被害者である。

平成18年11月3日-土地不譲渡確約書(東鳴川町501・502)

同様の土地不譲渡確約書は、同じ頃、長尾2共同所有者の間でも交わされた(乙80の2)。その後、奈良市東鳴川町と木津川市加茂町西小両地域の関係者の間で、それぞれの土地不譲渡確約書が交換されている。

つまりこの土地不譲渡確約書は、〈東鳴川C〉と、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による山林掘削の被害を受けた隣接地所有者らが、所有地を誰にも譲渡しないと互いに確約することで、自らの所有地及びその隣接地が村田養豚場(村田畜産/村田商店)の手に渡ることを阻止し、そのことにより、将来にわたって、村田養豚場(村田畜産/村田商店)から再び土地境界の侵害を受けないことの保証としようとしたものである。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)は「尋常でない打ち明け話」とするが、これは全く驚くような話ではない。すでに死亡した人物による指示だと一方的に主張して、隣接所有者の抗議も聞かず、検察官に止められるまで山林を掘削し続けるような、まさに尋常でない状況が再発することのないよう、〈東鳴川C〉と山林掘削被害者らが、自衛のために約束を交わしただけのことである。

したがって、〈東鳴川C〉が、本当に村田養豚場(村田畜産/村田商店)のいう「尋常でない打ち明け話」をしたかについては疑念があるが、仮にこれが、実際に村田養豚場(村田畜産/村田商店)に語られたものだとしても、それほど不思議はない。

〈東鳴川C〉が居住する奈良市東鳴川町は極めて小さな山村である。その中にあって、自分の土地を賃借していた借主が、隣人の山林を掘削してしまったとあれば、〈東鳴川C〉が、村落の中で非常に肩身の狭い思いをさせられていたことは、想像に難くない。

さて、もし〈東鳴川C〉が、同じ村落の中にいる隣人と、土地不譲渡確約書を交わしたのだと、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に正直に明かした場合、今度は村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、その隣人のところへ話をしに行く可能性がある。そうすると、ますます隣人に迷惑をかけることとなりかねないので、〈東鳴川C〉が、さほど交流のない京都側の関係者の名前を出して、東鳴川町502の賃貸や売却を断ることには、一定の動機が見出せる。

また、自らの意思として、東鳴川町502の賃貸や売却を断ることは、〈東鳴川C〉にとって、困難を伴うことであったと考えられる。当会代表は、平成27(2015)年秋頃、長尾2所有者の一人である〈加茂町B〉のほか、奈良市東鳴川町の観音講に集う地元住民(氏名不詳)からも、〈東鳴川C〉が、一連の東鳴川町502裁判で心身ともに疲弊し、経済的にも追い詰められて、一時はノイローゼのようになっていたと聞いた。〈東鳴川C〉にとって、村田養豚場(村田畜産/村田商店)と再び鋭く対立し、その結果、何らかの裁判に巻き込まれることは悪夢以外の何物でもなかったと思われる。

そこで、〈東鳴川C〉としては、東鳴川町502の賃貸や売却を断るにしても、村田養豚場(村田畜産/村田商店)を刺激しすぎないよう工夫する必要があったと考えられる。村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、当初、〈東鳴川C〉から、東鳴川町502に抵当権がついたので、しばらく待ってほしいと言われたことを指摘するが、前述の通り、〈東鳴川C〉は当会代表の聞き取りに対しては、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に勝手をさせないため、〈建設会社N〉に抵当権をつけてもらったと述べている。すなわち、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の指摘は、東鳴川町502への抵当権設定が、〈東鳴川C〉の期待通りに、効果を上げていたことを示すものと解する余地もある。

以上の通り、村田養豚場(村田畜産/村田商店)のいう「尋常でない打ち明け話」は事実と異なっており、〈東鳴川C〉の村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対する態度が、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が指摘するほど好意的であったかどうかについても、大いに疑問がある。少なくとも、「村田養豚場(村田畜産/村田商店)と〈東鳴川C〉の実質的関係」に、本件賃貸借契約が継続していたことを示唆するような実態があったとは考えがたい。

ウ 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は令和元(2019)年5月ごろ、〈東鳴川C〉に好条件を示した

前述の通り、東鳴川町502隣接地所有者は、平成18(2006)年11月に土地不譲渡確約書を交わしていたので、令和元(2019)年8月27日に、〈東鳴川C〉が、東鳴川町502を村田養豚場(村田畜産/村田商店)に売却したことは、土地不譲渡確約書に反することであるから、売却の情報を受け、長尾2所有者の一人である〈加茂町B〉が、〈東鳴川C〉に事情を聞きに行ったことは当然のことと言える。

令和元(2019)年11月ごろ、当会代表が、〈東鳴川C〉に面会した〈加茂町B〉から聞き取ったところによると、〈東鳴川C〉は、東鳴川町502の売買に関して、村田養豚場(村田畜産/村田商店)から、それまでとは異なる好条件を提示されたと話していたという。さらに、当初は10年の分割払いという話だったが、それでは10年先まで本当に支払われるかわからないため、一括払いを要求したところ、すでに全額振り込まれているとのことであった。〈東鳴川C〉は、具体的な金額については、〈加茂町B〉に語らなかった。しかし、東鳴川町502裁判などに費やした額程度は最低限取り返せたとして、それなりに満足している様子ではあったという。

また、東鳴川町502売却にあたり、土地不譲渡確約書を交わした、東鳴川町502に隣接する東鳴川町501共同所有者らから、東鳴川町502と東鳴川町501の土地境界を法的に確定しない限り、売却は認めないと強く言われたが、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が土地境界確定の費用を全額負担することになったので、令和元(2019)年夏ごろまでに関係者が立ち会って土地境界が確定され、売却が可能になったとのことである。その一方、長尾2の共同所有者らには、事前に売却の話は伝えられなかった。

確かに当会代表は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)代理人より本件御通知書(乙1)が到達したことを受け、平成31(2019)年3月2日に、〈東鳴川C〉に電話をして東鳴川町502に係る賃貸借契約の有無等について改めて確認している。このときも〈東鳴川C〉は、今は村田養豚場(村田畜産/村田商店)に東鳴川町502の使用権がないことや、賃貸借契約はないこと、小屋やゴミは片付けてもらわないと困ることなど、それまで同様の回答をしているが、この当会代表による問い合わせがあったことによって、〈東鳴川C〉が、何らかの紛争に巻き込まれる危険を感じた可能性はある。

しかしながら、令和元(2019)年5月ごろから、〈東鳴川C〉が東鳴川町502の売却に前向きとなったとすれば、それはむしろ、〈東鳴川C〉の事情というよりも、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の事情を反映したものであろう。このころ村田養豚場(村田畜産/村田商店)には、それまでと異なる好条件を〈東鳴川C〉に示してでも、東鳴川町502を取得しなければならない、何らかの事情ができたものと考えられる。

エ 村田養豚場(村田畜産/村田商店)が賃料の供託を再開した証拠は提出されていない。

東鳴川町502裁判確定後、〈東鳴川C〉が、本件賃貸借契約が継続していないという認識(前述当会代表による〈東鳴川C〉に対する聞き取り)の下、村田養豚場(村田畜産/村田商店)から賃料を受け取ることを拒否していたにも拘わらず、村田養豚場(村田畜産/村田商店)はこれに対抗して賃料の供託を再開したとは主張していない。また賃料の供託を再開した証拠も提出されていない。

オ 令和元(2019)年8月8日付けの領収書(甲12の1乃至3)は、本件賃貸借契約の継続を示すものではない。

求釈明により提出された令和元(2019)年8月8日付けの領収書には、賃料の対象となる賃借期間について、それぞれ、「2017年1月〜12月」(甲12の1)、「2018年1月〜12月」(甲12の2)、「2019年1月〜6月」(甲12の3)、としている。

領収証

しかし、本件賃貸借契約は、3月1日から翌年の2月末日までの先払いとされている(甲4)。〈東鳴川C〉は、令和元(2019)年8月末に、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に東鳴川町502を売却する予定となっていたのであるから、令和元(2019)年分を、本件賃貸借契約の通り 、半年分として「2019年3月〜8月」とした方が、賃貸借期間と売却時期とが連続し、都合がよい。

ところが、前述の通り、実際の領収書ではそうなっておらず、本件賃貸借契約に規定された賃貸借期間を無視して、年末ごとに支払いを区切っている。すなわち、賃貸借期間が別のものに変わっている以上、令和元(2019)年8月に、過去に遡った賃料の支払いが一部なされたとしても、そのこと自体が直ちに本件賃貸借契約の連続性を示すとは言えない。

したがって、 令和元(2019)年8月8日付けの領収書(甲12の1乃至3)を、本件賃貸借契約が継続していたことの証拠とみなすことはできず、これらはむしろ本件賃貸借契約が断絶していたことの証拠であるとさえ言える。

(3)小括

以上の通り、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は本件賃貸借契約が途切れなく継続していたとするが、〈東鳴川C〉は当会代表に対し、本件賃貸借契約は解消したと明言していた。

また、村田養豚場(村田畜産/村田商店)のいう「尋常でない打ち明け話」の内容は事実と異なっており、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張する、村田養豚場(村田畜産/村田商店)と当時の東鳴川町502所有者〈東鳴川C〉の実質的関係の実態には疑念がある。

加えて、東鳴川町502裁判ののち、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は賃料の供託を再開しておらず、一時期供託していた賃料についても、〈東鳴川C〉が受領した証拠は提出されていない。さらに、令和元(2019)年8月8日に、事後的に支払われた賃料については、賃料の対象期間が、本件賃貸借契約と整合しない。また、本件記事が公開された平成28(2016)年6月を含む期間について、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が〈東鳴川C〉に賃料を支払った証拠は提出されていない。

さらに、東鳴川町502において、本件賃貸借契約の目的である畜産業(牛の放牧)が行われることはなかった。

したがって、本件賃貸借契約が継続していた実態はなく、村田養豚場(村田畜産/村田商店)第1準備書面、第2、1、「ウ」「キ」は虚偽ではない。少なくとも、当会代表には、摘示事実が真実であると信ずるについて相当の理由があった。

3 長尾2、長尾谷1ー乙の不法掘削について

(1)不法行為と不法行為責任の有無

ア 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、〈加茂町B〉らの刑事告訴が不起訴処分に終わったこと、及び、〈加茂町B〉らがその後民事訴訟を提起しなかったことを指摘して、〈村田商店代表乙の父〉による不法掘削はなかったと主張するが、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の指摘するこれらの事実は、〈村田商店代表乙の父〉の不法行為責任が、結果的に問われなかったことのみを示すものであって、そのことは必ずしも、〈村田商店代表乙の父〉による不法掘削がなかったことを担保しない。

イ また、後述するように、〈村田商店代表乙の父〉による不法掘削があったことは明らかであるので、〈村田商店代表乙の父〉の不法行為責任の軽重に、当然議論の余地はあるとしても、東鳴川町502裁判において裁判所に事実として認められているように、〈村田商店代表乙の父〉が、〈加茂町B〉らから複数回にわたって抗議を受けていた(甲5甲6)ことを鑑みれば、〈村田商店代表乙の父〉に不法行為責任が全くなかったとは、到底考えられない。

ウ 加えて、〈加茂町B〉らは、刑事告訴の告訴状において、平成16(2004)年4月28日に、〈加茂町B〉らが現地で〈村田商店代表乙の父〉に抗議した際、〈村田商店代表乙の父〉が口頭では工事の中止を了解したことや、平成17(2005)年2月25日に、〈村田商店代表乙の父〉の代理人が、やはり掘削の中止と堆積物の撤去で合意していたことを指摘している(乙82)。告訴状記載の事実があったとすれば、〈村田商店代表乙の父〉に、故意あるいは過失が全くなかったとは到底考えられない。

エ なお、本件記事に、〈村田商店代表乙の父〉の「不法行為責任」について触れた箇所はない。

(2)〈加茂町B〉らによる民事訴訟がなかったことについて

以下は〈加茂町B〉からの聞き取りを当会代表がまとめたものである。内容については、本書面提出前に〈加茂町B〉の確認を受けた。

ア 当時、すでに〈加茂町B〉らは全員高齢であり、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対し訴訟を提起することは、体力的にも資金的にも、大きな負担であった。実際、〈加茂町B〉の亡夫、〈加茂町Bの亡夫〉は、山林掘削対応による心労もあって、刑事告訴をした頃、脳梗塞で倒れ、それから10年と経たないうちに死亡している。

また刑事告訴に続いて民事訴訟を提起したとしても、山が元に戻されるとは限らず、負担に耐えるだけの成果があるかどうかは、〈加茂町B〉らにとって予測不能であった。

イ しかし一方で、〈加茂町B〉らは、刑事告訴に先立ち、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、東鳴川町502及びその隣接地を取得することのないよう、〈加茂町B〉らの他、東鳴川町502隣接所有者の間で、土地を第三者に譲渡しないことを確約する確約書を取り交わしている(乙80)。〈加茂町B〉によれば、確約書には明記されていないが、土地を賃貸しないことも、当事者間で合意されていたとのことである。

ウ さらに、刑事告訴を受けた京都府警の捜査に協力する形で、平成19(2007)年11月20日、木津川市が市有土地境界確定図を確定し、その際、〈加茂町B〉らと〈東鳴川C〉の同意を得て、木津川市は、府県境の明示を兼ね、東鳴川町502と長尾2の境界線についても確定した。

そしてその後、〈加茂町B〉らによる刑事告訴は不起訴処分に終わったものの、検察官の指導によって、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による掘削工事は止まった。

エ これらによって、〈加茂町B〉らは、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、東鳴川町502及びその隣接地を、再び掘削することはできなくなったと考え、その点では安心できたので、高齢の身には負担の大きな、民事訴訟という解決を選ばなかったのである。

すなわち、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が東鳴川町502を取得あるいは再び賃借することは、土地不譲渡確約書により防がれると考えられ、たとえ村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、東鳴川町502を越えて、長尾2の掘削を再開したとしても、今度は、木津川市の市有土地境界確定図という信頼性の高い根拠に基づき、刑事告訴など法的措置が可能となるであろう。この二重の防御をもって、〈加茂町B〉らは村田養豚場(村田畜産/村田商店)による掘削の拡大を、将来にわたって阻止できると確信し、ひとまず安心したのである。

オ また、〈加茂町B〉は当会代表の聞き取りに対し、これまでに複数回、口頭で、村田養豚場(村田畜産/村田商店)代表〈村田商店代表乙〉に、越境しているものを撤去し山を元に戻すよう要求してきたと述べている。すなわち〈加茂町B〉らは、被害の拡大を防いだ上で、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の代替わりによって、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の態度が変わることに期待し、機会を捉えては、口頭で村田養豚場(村田畜産/村田商店)を説得する方法を選んだということである。

カ そのため、令和元(2019)年8月末に村田養豚場(村田畜産/村田商店)が東鳴川町502を取得したことは、〈加茂町B〉らにとって想定外であり、この事態は二重の防御の一角が崩れたことを意味した。

そしてそれを実証するかのように、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、令和元(2019)年10月7日付けで、豚コレラ対策として、イノシシ侵入防止のための防護柵を、長尾2に越境する形で、東鳴川町502の周囲に設置する旨、〈加茂町B〉ら長尾2共同所有者全員に通知している(乙84の1)。

この防護柵設置通知書(以下、「本件防護柵設置通知書」という。)の中で村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、防護柵位置が長尾2に越境する形となっていることについて、東鳴川町502と長尾2の土地境界が未確定であるという、本訴訟と同様の主張をした上で、公図などを参考に防護柵の位置を決めたと説明している。しかし一方で村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、防護柵の位置が土地境界であるとも府県境であるとも考えていないとしている。

これを受け、長尾2共同所有者らは、令和元(2019)年10月20日、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対し、長尾2に越境して防護柵を設置しないよう求める内容証明郵便(以下、「本件防護柵返答」という。)を送付した(乙84の2)。

なお本件防護柵返答によれば、長尾2共同所有者らが求めていたのは、長尾2に越境して置かれているものの撤去と、長尾2に越境して防護柵を設置しないことであり、長尾2共同所有者らは、防護柵の設置そのものには、反対していなかった。村田養豚場(村田畜産/村田商店)が防護柵を設置する場合は、東鳴川町502前所有者である〈東鳴川C〉と長尾2共同所有者が合意した土地境界、すなわち平成19(2007)年11月20日確定の市有土地境界確定図(村田養豚場(村田畜産/村田商店)のいう「旧図」。以下、「本件原確定」という。)にある土地境界を越えないよう、求めただけである。

ところが村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、令和元(2019)年11月28日に、京都府畜産課と木津川市農政課にファックスを送り、長尾2共同所有者らが、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による防護柵設置そのものを了承していないかのように訴え、「対応」を依頼している(乙84の3)。

このファックスには、長尾2共同所有者らが村田養豚場(村田畜産/村田商店)に送った内容証明郵便が添付されているが、一枚目のみの添付となっており、長尾2共同所有者らが、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による防護柵設置そのものには反対していないことがわかる二枚目が省略されている。村田養豚場(村田畜産/村田商店)による、こうした行政への働きかけには、長尾2に対する、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の強い執着が表れていると考えられる。

そして令和2(2020)年1月10日ごろ、長尾2共同所有者らが認めていないにも拘わらず、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、村田養豚場を囲う防護柵を、長尾2に越境する位置に設置した(乙84の4)。

長尾2に越境して設置された防護柵

当然のことながら、長尾2共同所有者らは、これに対し、越境して設置された防護柵の撤去を改めて要求している(乙84の5)。

キ 以上のとおり、長尾2共同所有者らは、本件原確定にある府県境が、〈東鳴川C〉と合意した土地境界であると認識しており、これまで法的手段に訴えなかったのは、土地不譲渡確約書と本件原確定によって、長尾2を村田養豚場(村田畜産/村田商店)から守りつつ、代替わりに期待して、越境物を撤去し土地境界を守るよう、いずれは村田養豚場(村田畜産/村田商店)を説得できるであろうと考えていたためである。

しかし、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が東鳴川町502を取得した後の、令和元(2019)年10月20日には、長尾2共同所有者らは 、内容証明郵便で、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対し、越境して柵をしないことに加え、越境して置かれているものを撤去するよう求めており(乙84の2)、防護柵が設置されたのちにも、長尾2共同所有者らは 、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対し同様の要求を行なっている(乙84の5)。

ク ところで、この防護柵設置に合わせ、村田養豚場の敷地の間にある木津川市道に、木津川市道を封鎖する形で、門扉が三箇所も設置されたが、木津川市と京都府警は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対し、これら門扉設置に係る道路使用許可および道路占用許可を出している。

この道路占用(使用)許可は、その法的根拠が希薄である上、村田養豚場が、敷地に挟まれた市道と敷地の間に柵をせず、両者を何によっても区分していない現状を放置しながら、木津川市及び京都府警が、市道に三箇所もの門扉設置を認めることは、市民の通行権との兼ね合いにおいて、著しくバランスを欠いていると言わなければならない。当会代表としては、木津川市と京都府警の判断には重大な問題があると考えるが、本書面ではこれ以上立ち入らない。

(3)不法掘削はあった。

ア 確かに、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の指摘するとおり、東鳴川町502と長尾2の土地境界(以下、「本件境界」という。)は、明確ではなかったと思われる。しかし、本件境界が確定されていないとしても、本件境界が取りうる線は、隣接する府県境確定点や地形、公図、あるいは「古図」から、ある程度絞りこむことができる。そこで、〈村田商店代表乙の父〉による掘削域が、東鳴川町502内に収まるものではなかったことを、以下の資料から検討する。なお、以下の資料は全て、本件記事が公開された平成28(2016)年6月より前に、当会代表が入手していたものである。

(ア) 地内平面図 里道(京都府相楽郡木津町・京都府相楽郡加茂町・奈良県奈良市中ノ川町・奈良県奈良市東鳴川町)(以下、「本件地内平面図」という。)(乙85

地内平面図 里道(京都府相楽郡木津町・京都府相楽郡加茂町・奈良県奈良市中ノ川町・奈良県奈良市東鳴川町)

昭和58(1983)年に、木津町、加茂町、奈良市共同で作成された地内平面図である。乙85は、当会代表が「弥勒の道プロジェクト」の活動として、古い道を調べるために、平成26(2014)年12月ごろ、奈良市土木管理課において入手した写しである。白黒コピーのため分かりにくいが、白丸を実線で結んだものが朱線明示線となっており、確定した里道境界と府県境界が、原本では朱線で明示されている。

(イ) 木津川市の平成19(2007)年11月13日付け回議書「市有土地の境界確定について(木津川市加茂町西小長尾2、長尾谷1ー乙)(以下、「本件原確定回議書」という。)(乙83

木津川市が本件原確定にあたって参照した、奈良市側を含む公図や地籍図が添付されている。その中には、本件地内平面図とほぼ同じ図面が含まれる(乙83ー30枚目)が、これは国有水路境界確定図として作成されたもので、本件地内平面図と同時に作成されたものとみられる。この図面にも、確定した府県境が書き込まれており、木津川市は本件原確定にあたって、この赤田川南岸の確定済み府県境を参考にしたと思われる。

また、当会代表は、平成27(2015)年9月9日、長尾谷1ー乙所有者である〈加茂町A〉に聞き取りを行い、〈加茂町A〉家保管の長尾谷の公図複製図(乙87)を閲覧しているが、〈加茂町A〉家の公図複製図は本件原確定回議書に添付された「木津川市加茂町長尾谷」の公図(乙83ー8枚目)とほぼ同じものである。

〈加茂町A〉家の公図複製図

ただし、〈加茂町A〉家の公図複製図では、戦前に付け替えた道が鉛筆書きで書き込まれていた一方、木津川市の公図にある道は古い道筋のままであった。そこで後述する公図と航空写真の合成にあたっては、〈加茂町A〉家保管の公図複製図にある、曲がりくねった新しい道の存在を考慮した。

(ウ) 本件防護柵設置通知書(乙84の1

村田養豚場(村田畜産/村田商店)が特に重要だと考えているとみられる公図が添付されている。

(エ) 「古図」(甲13

村田養豚場(村田畜産/村田商店)が特に重要だと考えている地図と思われる。なお、この「古図」には原図が存在する。明治22(1889)年10月12日作成の、「添上郡鳴川村実測全図」がそれである。当会代表は、平成27(2015)年1月20日、古い道を調べるため、奈良市東部出張所を訪れ、添上郡鳴川村実測全図を含め、旧東里村各村の実測全図の複製図をいくつか閲覧の上、許可を得て撮影している(乙86ー1)。

添上郡鳴川村実測全図

なお、添上郡鳴川村実測全図の「古図」に該当する範囲を拡大すると、村田養豚場(村田畜産/村田商店)のいう「古図」が、添上郡鳴川村実測全図を白黒で写し取ったものであることがわかる(乙86ー2)。

添上郡鳴川村実測全図(養豚場付近拡大)

ところで、少なくとも東鳴川町では、全戸に添上郡鳴川村実測全図の白黒の写しが配布されているものと思われる。当会代表が、平成27(2015)年秋頃、東鳴川町の民家を訪れ、地域の歴史などについて話を聞いた際、添上郡鳴川村実測全図の写真を見せたところ、家主にそれと同じものが家にあると言われ、白黒の写しを見せられているからである。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)のいう「古図」は、その白黒の写しの一部をコピーして、土地の所有者を書き込んだものと考えられる。村田養豚場(村田畜産/村田商店)のいう「古図」には、〈東鳴川C〉の亡父〈東鳴川Cの亡父〉の名前が見えることから、「古図」とは言いながら、土地の所有者が書き込まれた時期は、そう古いことではない。

また、村田養豚場の敷地に当たる土地にも、元の所有者名が書かれているところを見ると、村田養豚場が現在地に移転してきた際、周辺の土地の所有者がわかるよう、地域住民から渡されたものとも考えられる。

そうすると、〈村田商店代表乙の父〉は、山林掘削時にはすでにこの「古図」を所持していたということになる。つまり、山林掘削時、〈村田商店代表乙の父〉は、すでに亡くなっていた〈東鳴川Cの亡父〉の指示以外にも、「古図」という、土地境界を判断する上で重要な資料を持ち合わせていた可能性もある。

(オ) 航空写真

国土地理院やウェブ上の地図サービスから入手できる航空写真により、東鳴川町502周辺の状況を確認することができる。今回現在の航空写真として、平成30(2018)年ごろの航空写真を用いたが、本件記事が公開された平成28(2016)年6月には、最新の航空写真として、平成28(2016)年ごろの航空写真が、ウェブ上の地図サービスから閲覧可能であった。

イ 上記資料から、本件境界が取りうる線は、下記条件を満たす必要があるとわかる。

(ア)【本件境界条件1】本件境界南西端点は、赤田川南岸の府県境確定点近傍にある。

本件原確定回議書に添付された「木津川市加茂町長尾谷」の公図(乙83ー8枚目)及び「奈良市東鳴川町地籍図」(乙83ー31枚目)に加え、「古図」(甲13乙86ー2)を見ると、本件境界の南で赤田川を渡る府県境の線が、赤田川沿いに遡ったり下ったりせず、赤田川を滑らかに横切っていることがわかる。

これらの図面は、厳密な測量に基づいていないため信頼性は低いが、複数の図面で境界線が滑らかに赤田川を横切っていることは、図面が実際を反映している証左と考えられる。 したがって、本件境界南西端点が、赤田川南岸の府県境確定点近傍にあることは明らかである。

(イ)【本件境界条件2 】本件境界北東端点は掘削域北東に現存する稜線か、その南西方向延長線上にある。

本件原確定回議書に添付された「奈良市東鳴川町第六号」の公図(乙83ー10枚目)及び「古図」(甲13乙86ー2)を見ると、北東から南西へ、赤田川へ向かってほぼ直線的に伸びる府県境の線が、東鳴川町501と東鳴川町502の境界で、やや西へ折れ曲がることがわかる。

上述のほぼ直線的な府県境の線は、長尾2と東鳴川町501の境界でもあり、比較的明瞭な稜線となっている。つまり、本件境界北東端点は、この掘削されずに現存する稜線上、あるいは、その南西方向延長線上の掘削域になければならない。

(ウ)【本件境界条件3】 本件境界北東端点は、赤田川南岸府県境確定点から東北東方向に直線距離で109.3m以内になければならない。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)のいう「古図」の原図である添上郡鳴川村実測全図は、「実測」というだけあって、村界に関しては、時計回りに、方角と距離の実測値が記載されている(乙86ー2ー左上180度回転拡大図)。例えば、赤田川南岸から北東へ伸びる村界に、黒字で「六十度廿分」とあるのは北を0度とした方角を表し、赤字で「十二間二分」とあるのが距離である。

この実測値によれば、赤田川南岸府県境確定点から、60度20分で22.18m、79度50分で18.73m、79度50分で44.18m、78度40分で24.18m進んだところに、本件境界北東端点がある。すなわち添上郡鳴川村実測全図に従えば、赤田川南岸府県境確定点から本件境界北東端点までは、一度緩やかに折れ曲りつつ、ほぼ直線的に東北東へ、合計109.3m(60.1間)である。

ただし、添上郡鳴川村実測全図にある方角の実測値は偏角を補正していないと見られ、方角が数度ずれている。そこで、実測値の再現にあたっては、明治22(1889)年の近畿地方の推定偏角である西偏4.4度(日本考古地磁気データベース/日本周辺での推定地磁気方位<http://mag.center.ous.ac.jp/reduction/cal.cgi>による)で方角を補正した。

ところで村田養豚場(村田畜産/村田商店)も指摘する通り、「古図」上の本件境界は、ほぼ直線に近いものの、一度緩やかに折れ曲がっており、なだらかな弧を描いているように見える。したがって、 本件境界北東端点は、赤田川南岸府県境確定点から、東北東方向へ、少なくとも直線距離で109.3m以内になければならないと言える。

ウ 次に航空写真を用いて、上記条件を満たす本件境界線が、どこにあるかを検討する。

(ア) まず、赤田川南岸の府県境は、本件地内平面図(乙85)及び本件地内平面図と同時に作成された国有水路境界確定図によって確定している(乙83ー30枚目)。

昭和58年国有水路境界確定図

そこで、昭和21(1946)年10月2日に米軍が撮影した航空写真(国土地理院:コース番号M275−A−8)に、本件地内平面図を重ね合わせたものが、乙88ー1である。乙88ー1 を見ると、耕作地の区画や道筋が、航空写真と本件地内平面図とで、よく一致している。赤丸で強調した地点が赤田川南岸府県境確定点であり、赤い線は府県境確定線である。

米軍が撮影した航空写真(国土地理院:コース番号M275−A−8)に、本件地内平面図を重ね合わせた合成図

赤田川の北側では、山の稜線が府県境となっているが、この航空写真では、東から当たった日光により、山の西側に影ができており、植生の違いもあって、稜線と思われる場所に影ができている。白い点線は、稜線と思われる場所である。

(イ) ただし、この航空写真は、撮影範囲の端で歪みが生じているので、昭和50(1975)年3月14日撮影の航空写真(地理院地図シームレス衛星写真用に歪みが補正されたもの)を用いて、稜線の白い点線を多少調整した(乙88ー2)。昭和50(1975)年ごろ、この付近では樹木が広く伐採されたとみられ、乙88ー2の右上には、伐採されなかった樹木がところどころに残されているが、伐採域との境は土地境界でもあると考えられるため、府県境の稜線がわかりやすくなっている。

昭和50(1975)年3月14日撮影の航空写真(地理院地図シームレス衛星写真用に歪みが補正されたもの)に、本件地内平面図を重ね合わせた合成図

(ウ) このようにして、赤田川北側の稜線の位置が、おおよそわかったので、これを現在の航空写真(Yahoo!地図の平成30(2018)年ごろの航空写真)と重ね、さらに本件境界条件1乃至3等を図示したものが、乙88ー3である。

現在の航空写真(Yahoo!地図の平成30(2018)年ごろの航空写真)と重ね、さらに本件境界条件1乃至3等を図示した合成図

加えて、乙88ー3には、〈村田商店代表乙の父〉による掘削(埋立)域の外縁を紫の線で示した。これを見ると、〈村田商店代表乙の父〉による掘削域が東鳴川町502内に収まっていないことは、下記の通り、明らかである。

  1. ① 掘削域外縁は、赤田川南岸府県境確定点から70mほど下流(北西)で赤田川に達しており、本件境界条件1「本件境界南西端点は、赤田川南岸の府県境確定点近傍にある」を満たしていない。したがって、掘削域内に長尾2及び木津川市道及び長尾谷1ー乙が含まれることは確実である。

  2. ② 掘削域北東端は、本件境界条件2「 本件境界北東端点は掘削域北東に現存する稜線か、その南西方向延長線上にある」を満たすが、赤田川南岸府県境確定点から、掘削域北東端までは、およそ130mであり、これは、本件境界条件3「本件境界北東端点は、赤田川南岸府県境確定点から東北東方向に直線距離で109.3m以内になければならない」を満たしていない。すなわち、〈村田商店代表乙の父〉は、東鳴川町502の北東端を20mほど越境して掘削を進めた可能性が高い。

(エ) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は不法掘削はなかったと主張するが、これは、本件境界が掘削域の外縁もしくはその外側にあると主張していることと同義である。しかし、以上のとおり、本件境界が掘削域の外縁もしくはその外側にあることはあり得ない。

このことは、乙88ー3に公図や古図を合成することで、よりわかりやすくなる。

公図合成図

まず、乙88ー4は、本件原確定回議書に添付された「木津川市加茂町長尾谷」の公図(乙83ー8枚目・黄色)及び「木津川市加茂町長尾」の公図(乙83ー9枚目・緑色)及び「奈良市東鳴川町第六号」の公図(乙83ー10枚目・水色)及び「奈良市東鳴川町第三号」の公図(乙83ー11枚目・青紫色)を、縮尺と角度を航空写真に合わせ、乙88ー3に合成したものである。

これらの公図は、厳密な測量に基づいておらず、方位の表示も全く不正確であるが、それでも縮尺や角度を航空写真に合わせて調整すると、ある程度は実際の地形や道筋などに一致する。

中でも、木津川市側の長尾谷及び長尾の公図を、赤田川の川筋と木津川市の里道に合わせて配置すると、本件境界にあたる公図上の府県境が、白い点線で表した稜線推定線にほぼ一致することや、奈良市東鳴川町第三号の公図を、赤田川の川筋に合わせて配置すると、公図上の本件境界北東端点が、赤田川南岸府県境確定点から109.3mのあたりにくることなどは、非常に興味深い。

すなわち、これほど不正確に見える公図であっても、道や川に対する府県境の角度や、距離の比率などには、一定程度信頼がおけるものと考えられる。

したがって少なくとも、本件境界が、〈村田商店代表乙の父〉による掘削域外縁もしくはその外側に位置し得ないことは、乙88ー4からも明らかである。

(オ) 次に、乙88ー5は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)のいう「古図」(甲13・水色)及び村田養豚場(村田畜産/村田商店)が本件防護柵通知書に添付した「木津川市加茂町長尾2」の公図(乙84ー1ー3枚目・黄色、同4枚目・緑色)を、乙88ー3に重ね合わせたものである。

古図合成図

村田養豚場(村田畜産/村田商店)が信頼性が高いと考えるだけあって、「古図」は、航空写真や本件地内平面図と、驚くほどの一致を見せている。赤田川の川筋、白い点線で表した稜線推定線、赤線で表した本件地内平面図の府県境、これらはほぼ完全に「古図」と一致している。したがって、「古図」の精度はそれなりに高いと考えられる。

仮に、乙88ー5に重ね合わせた「古図」が、実際の本件境界を正しく反映しているとすると、〈村田商店代表乙の父〉が、長尾2、木津川市道、長尾谷1ー乙に加え、奈良市東鳴川町501を、不法掘削したことは一目瞭然である。さらには、掘削域の半分以上を不法掘削が占めていたということにもなるであろう。

さて、村田養豚場(村田畜産/村田商店)第1準備書面によれば、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は「古図」に信頼を置いているようであるから、乙88ー5により、少なくとも、〈村田商店代表乙の父〉の山林掘削工事に、不法掘削が含まれていたということについては、村田養豚場(村田畜産/村田商店)も同意できるものと考える。

エ なお、当会代表は平成28(2016)年6月の時点では、合成図を作成するなどして、上記同様の詳細な検討は行ってはいない。しかし、〈村田商店代表乙の父〉が不法掘削を行ったことは、当会代表が平成28(2016)年6月より前に入手していた、添上郡鳴川村実測全図や関連公図、本件地内平面図などと、国土地理院が公開している年代ごとの航空写真を見比べれば、誰の目にも明らかである。

オ また、当会代表第1準備書面、第2、6、(2)、3)で検討したように、平成30(2018)年8月及び11月に行われた、木津川市による本件原確定の修正は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の求めに応じたものであるが、もし村田養豚場(村田畜産/村田商店)が不法掘削がなかったと信じているのであれば、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、本件原確定にある確定点108及び202についても削除を求め、掘削面の外縁もしくはその外側までが、奈良市東鳴川町502であるのだから、そもそも木津川市の市有土地境界確定図に奈良市域に関する記載があること自体がおかしいと、主張しなければならない。ところが、平成30(2018)年ごろの村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、そのような要求をしていない(甲7の4乙28)ので、少なくともこの頃以降の村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、確定点108及び202よりも東側に、東鳴川町502と長尾2の境界があることについては認めている、ということになる。

平成30年11月28日修正の市有土地境界確定図

そうすると、確定点108及び202は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が掘削あるいは埋め立てた範囲に含まれ、かつ、公図によれば、確定点108及び202が明示する木津川市道の東側には長尾2が一定の幅を持って存在し、当該指市道と赤田川の間には長尾谷1ー乙が存在しているので、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が木津川市に確定点108及び202の削除を求めなかったことは、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が少なくとも現在は、不法掘削の存在を認めている、ということを意味する。

(4)本件原確定は、本件境界に関する、長尾2共同所有者らと東鳴川町502前所有者〈東鳴川C〉との合意を表す。

ア 平成28(2016)年6月時点においては、本件原確定は修正されていないので、本件原確定にある本件境界(以下、「本件原確定境界」と言う。)を根拠に、平成19(2007)年11月20日以降、長尾2に村田養豚場(村田畜産/村田商店)が様々なものを設置していることについて、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が長尾2を不法占用していると指摘することは、仮に村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張が正しいとしても、全く虚偽ではない。

イ したがって、ここで争われているのは、本件原確定(「旧図」)が修正された平成30(2018)年11月に、本件原確定境界が無効となったか否かである。

ウ さて村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、平成30(2018)年8月及び11月に、本件原確定(「旧図」)が修正されたことをしきりに強調するが、この修正により、過去に遡って、本件原確定境界が完全に無効化すると主張しているのは、実のところ村田養豚場(村田畜産/村田商店)だけである。

当会代表第1準備書面、第2、6、(2)で検討したように、木津川市はそのような見解を示していない。また当会代表が本件原確定の修正そのものに、不信感を持った理由については、当会代表第1準備書面、第2、6、(2)で詳しく述べた。

ところで、当会代表が求釈明で求めた、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による木津川市に対する質問書と木津川市からの回答書が、村田養豚場(村田畜産/村田商店)から提出されたならば、村田養豚場(村田畜産/村田商店)がなぜ、本件原確定修正により、本件原確定境界がはじめから無効となるとの見解を持つに至ったかが、明らかとなるであろう。村田養豚場(村田畜産/村田商店)の質問書には、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が本件境界をはじめから無効だと考えた理由が、詳しく書かれていると見られ、また木津川市が、村田養豚場(村田畜産/村田商店)にそのような解釈を確信させ得る返答をしたどうかについても、確認できるからである。

エ 一方、言うまでもなく、長尾2共同所有者らは、本件原確定が修正されたことにより、本件原確定境界が無効化したとは考えていない。

そもそも、本件原確定は、長尾2共同所有者らと、東鳴川町502の前所有者である〈東鳴川C〉との間で成立した、本件境界に関する合意を表すものでもある。

つまり、木津川市が本件原確定をどのように修正しようとも、長尾2共同所有者らと東鳴川町502前所有者である〈東鳴川C〉が、平成19年に、本件原確定境界を、本件境界とすることで合意した事実が消えることはない。

したがって、少なくとも、長尾2共同所有者らと東鳴川町502前所有者である〈東鳴川C〉が合意した土地境界として、本件原確定境界は現在でも有効である。

オ なお、本件原確定は、京都府警の捜査に協力する形で作成され、本件原確定に係る現地立会いと同時に行われた、京都府警による境界確認には、東鳴川町502前所有者である〈東鳴川C〉、長尾2共同所有者ら、長尾谷1ー乙所有者のほか、木津川市職員及び奈良市職員も立ち会っている。本件原確定境界は、京都府警が捜査の一環として関わった上で、木津川市及び隣接所有者の確認を経て確定したものである(乙6ー4頁)。

平成19年の現地立会い風景

さらに本件原確定回議書によれば、木津川市は、奈良市側を含め関連する公図や地籍図を蒐集しており(乙83)、木津川市が、それらとの整合性を検討した上で、本件原確定境界を確定したことがうかがえる。

しかも、本件原確定境界は、正確な測量に基づいており、市有土地境界確定に準じる信頼性を有する。

カ また本件原確定境界は、赤田川南岸府県境確定点と、掘削域の最も高い場所を結ぶ直線となっており、これは本件境界条件1「本件境界南西端点は、赤田川南岸の府県境確定点近傍にある」及び本件境界条件2「本件境界北東端点は掘削域北東に現存する稜線か、その南西方向延長線上にある」を概ね満たしている。本件境界条件3「本件境界北東端点は、赤田川南岸府県境確定点から東北東方向に直線距離で109.3m以内になければならない」は満たさないが、本件境界北東端点の元の地形は掘削されて消失しており、現地に地形上の目印が残っていない以上、やむを得ないと言える。

ちなみに、乙88ー3乙88ー4乙88ー5の、赤田川北側にある赤い直線が、本件原確定境界である。乙88ー4及び乙88ー5を見ると、本件原確定境界が、白い点線で表した稜線推定線や「古図」の本件境界にも近く、全く的外れではないことがよくわかる。少なくとも、掘削域の外縁(紫色の太線)もしくはその外側に本件境界があるとする村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張よりは、比べるまでもなく、山林掘削前の元の境界に近いと言える。

キ ところで村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)第1準備書面において、「境界は当事者の主観ではなく客観的資料に基づき確定されるもの」だと指摘しているが、以上の通り、本件原確定境界は、客観的資料に基づき確定されたものである。

一方、本件境界が掘削域外縁もしくはその外側にあるとする村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張は、死亡した〈東鳴川C〉の亡父の指示のみが、その根拠となっている。村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張が真実であれば、〈村田商店代表乙の父〉は、今でも、掘削域外縁付近にあるはずの、樹木の塊や林相の差異を、具体的に指し示すことができるということになるが、いずれにせよ〈東鳴川Cの亡父〉が死亡している以上、「死人の口」を客観的に検証することなど不可能である。本件原確定境界と村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張のどちらが、「当事者の主観」であるかは論を俟たない。

(5)村田養豚場(村田畜産/村田商店)の本件境界に関する主張は一貫していない。

ア 村田養豚場(村田畜産/村田商店)第1準備書面及び本件防護柵設置通知書における、本件境界に関する村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張は、以下の通り一貫していない。

  1. ① 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、本件境界が掘削域外縁もしくはその外側にあると主張している。(村田養豚場(村田畜産/村田商店)第1準備書面、第2、4、(1)乃至(3))

  2. ② 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、本件境界は「古図」と矛盾するべきではないと主張している。(村田養豚場(村田畜産/村田商店)第1準備書面、第2、4、(4))

  3. ③ 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、木津川市加茂町西小長尾2の公図を参考に、防護柵の位置を決めたとするが、防護柵の位置は、本件境界とも府県境とも考えていないと主張している。(乙84ー1

イ (2)で検討したように、①は②によって否定されるから、①と②が両立することはできない。③は、②に則りながら、公図を参考にした防護柵の位置は、本件境界とは考えないと主張している。しかも、③の防護柵の位置は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が参考にしたと言う公図あるいは「古図」における本件境界の、直線に近い緩やかなカーブと比べ、カーブの膨らみが大き過ぎ、明らかに境界線の進む方角が北に偏っており(乙88ー5)、②とも矛盾する。

ウ 本来、もし村田養豚場(村田畜産/村田商店)が本件原確定境界を否定したいのであれば、本件原確定境界を上回る根拠と信頼性に基づき、別の境界線を具体的に提示するべきところ、以上の通り、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の本件境界に関するいくつかの主張は互いに矛盾しており、ただ本件境界に関する本家土地1前所有者と長尾2共同所有者の間で成立した合意をなかったことにしたいという執念だけはうかがえるものの、何ら具体的境界線の提案を伴わないため、信用するに値しない。

(6)小括

以上のとおり、〈村田商店代表乙の父〉の不法行為責任が結果的に問われなかった一方で、長尾2及び長尾谷1ー乙及び木津川市道及び東鳴川町501に対する不法掘削は確かに存在した。

したがって、村田養豚場(村田畜産/村田商店)第1準備書面、第2、1、「ウ」「ク」は虚偽ではない。

同「サ」については、平成20(2008)年3月13日の木津川市平成20年第1回定例会において、当時の市議が、関係者が京都地方検察庁に問い合わせたところ、起訴猶予としての不起訴である旨、回答を得たと報告していることに基づく(乙6ー10頁)。

同「ケ」「コ」は本件記事では一続きの文章である。本件記事の文章では、野焼きでは現行犯逮捕された(ケ)が、山を削り取られたことに関する刑事告訴は起訴猶予に終わった(コ)と言う文脈となっている。

つまり「コ」の「しかし」は、直前の、「削り取った他人地で野焼きを繰り返し、農場主が現行犯逮捕されています」を受けるものである。村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、これを切り離し、さらに文章の順番を逆にして取り上げているが、このことは、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の指摘するようには、これらの文章を解釈できないことを、村田養豚場(村田畜産/村田商店)自身自覚しているためと考えられる。

すなわち、「現行犯」逮捕されるのであるから、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が繰り返していた「野焼き」がその理由であることは、通常の読解力があれば読み取れるはずである。しかも、「しかし」で始まる続く文章に、「山林を削り取られたAさんBさんらによる刑事告訴はなぜか起訴猶予に終わりました」とあるので、現行犯逮捕の理由が、他人地を削り取ったことでないことは、いっそう明らかである。

なお、木津川市の平成20年第3回定例会において、木津川市建設部長が「問題解決の端緒になると期待しておりました関係土地所有者からの不動産を侵奪されたことに伴う告発状については、不起訴処分という結果になりました」と述べている(乙6ー15頁)。

当会代表第1準備書面、第2、「4 東鳴川町502・2・3に係る木津川市市有土地境界確定図が確定されるまでの経緯」で確認したとおり、当時、木津川市は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が木津川市道上に違法に設置した小屋を撤去させるため、数年がかりで、様々な働きかけを行っていた。このころ関係者の間で、刑事告訴が当然起訴に至るであろうと期待されていたことは、木津川市建設部長が「期待をしていた」と述べていることにも表れている。

したがって、当会代表が「なぜか」と表現をしたことは、全く突飛な発想ではない。

まとめ

以上のとおり、本件記事のうち、山林侵奪、他人地占拠(FACT.1)に関する記事については、そもそも東鳴川町502のみを取り上げて不法掘削だったとする記述はなく、「東鳴川町502の不法占有」「長尾2、長尾谷1ー乙の不法掘削」については、真実を摘示するものである。少なくとも、当会代表には、摘示事実が真実であると信ずるについて相当の理由があった。

1 本件土地1の不法掘削について

(1)真実性
ア 不法掘削の要件
  1. (ⅰ)掘削権限のないこと
  2. (ⅱ)故意過失
イ 本件掘削行為へのあてはめ

(ⅰ)につき、本件掘削行為が借地契約の内容として含まれ、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が掘削権限を有していたことを判示した裁判が確定している。よって、(ⅱ)を検討する までもなく、本件掘削行為は不法掘削ではない。

ウ 小括

よって、本件土地1の不法掘削に関する記事は「真実」でない。

(2)相当性

上記裁判が確定したのは平成24年4月である。従って、本件記事が掲載された平成28年6月時点において、既に、上記裁判は確定していた。また、当会代表が、 〈東鳴川C〉から聞き取ったとする平成27年10月22日時点においても、既に、上記裁判は確定していた。

そして、当会代表は、〈東鳴川C〉から聞いて、上記裁判がなされたことを知っていたので あるから、上記裁判の確定判決の内容も知っていたか、少なくとも、調査して知るべきであった。

よって、当会代表には、適示事実が真実であると信ずるについて、相当の理由はない。

2 本件土地1の不法占有について

(1)真実性
ア 不法占有の要件
  1. (ⅰ)占有権限のないこと
  2. (ⅱ)故意過失
イ 本件占有行為へのあてはめ

(ⅰ)につき、占有権限として、借地契約が存在していた。すなわち、上記裁判の反訴事件において、賃貸人の債務不履行を原因とする、村田養豚場(村田畜産/村田商店)からの借地契約の解除は、認容されなかった。そして、その後、借地契約当事者のどちらも、相手方に対して、契約解除の意思表示をしなかった。ましてや、本件土地1について、賃貸人から村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対して、土地明渡請求がなされたことは訴訟内外を通じて一度もなかった。

加えて、村田養豚場(村田畜産/村田商店)から一部賃料の供託行為がなされていたし、また、令和元年8月8日、借地契約当事者間で一部賃料の授受も行われた。

賃貸人の事情によって、全期間の賃料の授受がなされていなかったからといって、借地契約の存在を否定することはできず、却って、質料の一部でも授受がなされたことは、質貸借契約の存在を認定するに足る。

よって、(ⅱ)を検討するまでもなく、本件占有行為は不法占有ではない。

ウ 小括

よって、本件土地1の不法占有に関する記事は「真実」でない。

(2)相当性

当会代表は、〈東鳴川C〉(賃貸人)が、当会代表に対し、平成27年10月22日に、「本件土地1の賃貸借契約はどのような解釈によっても解消している、この発言は非常に自信に満ちた態度で語られた。」などと主張している(被告書面15頁)。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、当会代表のこの主張事実を否認する。また、仮に、〈東鳴川C〉から、そのような話があったとしても、それは契約の一方当事者の話に過ぎないので、当会代表は、それを鵜呑みにしてはならない。もし、当会代表が、〈東鳴川C〉の「賃貸借契約はどのような解釈によっても解消している」と言う根拠を聞いたとすれば、結局のところ、〈東鳴川C〉が、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対して、契約の解約及び本件土地1の明渡請求をしていないことが明らかになったはずである。

従って、当会代表の誤信には過失がある。

よって、当会代表には、適示事実が真実であると信ずるについて相当の理由はない。

3 本件土地2、本件土地3(以下「本件土地2等」という)の不法掘削について

(1) 真実性
ア 不法掘削の要件
  1. (ⅰ)「本件土地2等」の境界の越境行為
  2. (ⅱ)故意過失
イ 本件掘削行為へのあてはめ
(ⅰ)境界の越境行為
a 現時点において、境界未確定である。

木津川市作成の「市有土地境界図」は(甲7の3)から(甲7の4)に変更されている。従って、(甲7の3)は、境界確定の根拠にはならない。

また、当会代表は、(甲7の3)は、「本件土地2共同所有者らと、本件土地1の前所有者である〈東鳴川C〉との間で成立した、本件境界に関する合意を表す」とか 「(甲7の4)によって、合意は無効化していない」と主張している(被告書面37頁)が、その主張は否認し争う。

また、仮に(甲7の3)の元になる、何らかの合意があったとしても、それは、当事者間において。客観的資料に基づいた熟慮の上での合意ではなかった。

そもそも、境界は、当事者の合意で勝手に定められるものではない。

従って、(甲7の3)の「市有土地境界図」あるいは、当会代表が、その元になった当事者の何らかの合意を主張するとしても、それによって、本件境界は確定していない。

本件境界確定は、あくまでも、今後、本件土地2の共同所有者と本件士地1の現所有者である村田養豚場(村田畜産/村田商店)との間の境界確定訴訟において、確定されるべきものである。そして、境界確定訴訟の当事者適格は、本件土地2の共同所有者と村田養豚場(村田畜産/村田商店)以外の者にはなく、当会代表には、本件境界を語る資格がない。

b 航空写真・公図・古図

当会代表は、航空写真・公図・古図を煎ね合わせるなどして、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の境界越境行為が明らかであるなどと主張する(被告書面 35頁)。

しかし、不正確な公図や古図を重ね合わせただけで、境界が確定するわけでは毛頭ない。当会代表は、「村田養豚場(村田畜産/村田商店)は古図に信頼を宣いているようである」(被告書面35頁)などと主張するが、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、別に全般的に古図に信頼を置いている わけではない。村田養豚場(村田畜産/村田商店)が古図を取り上げたのは、(甲7の3)の「市有土地境界図」の一直線の境界が山林境界として余りに不自然であたっため、その境界主張を弾劾するために示した証拠に過ぎない。

そもそも、山林は、土地に高低差がある等のため、公図や古図などの土地の広さの表示については信用できず、それらを重ねても、証拠価値はない。

他方、山林境界において、その占有、管理状況は、山林の重要な資料になるところ、当会代表の作成した重ね図は、現実の占有状況と全く異なる。

たとえば、乙88の5において、「636」と表示されている土地の西端(左端)に撮形されている建物は、本来、「637」土地上の建物である。「637」と表示されている土地の中央に位置している建物は、本来、「639」土地上の建物である。「639」と表示されている土地の土地の西端と「631−2」と表示されている土地の東端にかかって撮影されている建物は、本来、「631−1」土地上に存する建物である。

このように、当会代表の作成した重ね図と現実の占有状況には、明らかに齟齬が生じているが、その理由は、上記公図、古図の土地の広さの表示の不正確性に加えて、当会代表の重ね方の角度にも問題があるからである。

ただし、本件において、これ以上、山林の境界問題に深入りする必要はない。重要なのは、山林境界を確定するためには、多岐に渡る要素を考察する必要があるが、結局のところ、山林境界は境界確定訴訟で決せられるしかないといううことである。そして、それは、境界確定訴訟の当事者適格ある者が論争すべきものである。

c 小括

以上のとおり、本件境界については、いまだ、境界が確定していない。その事実だけが、真実である。

よって、当会代表は、境界の越境行為の真実性を証明できない。

(ⅱ)故意・過失
a 〈東鳴川Cの亡父〉の指示

確定判決の理由中(甲5)で述べられている通り、平成14年1月上旬、本件掘削行為は、賃貸人〈東鳴川Cの亡父〉の境界の指示に従って、行なわれたものである(5頁(4))。

たしかに、平成19年夏ごろまでに、〈村田商店代表乙の父〉は、〈加茂町B亡夫〉らから、境界を侵奪していると抗議を受けたが(6頁 (12))、〈村田商店代表乙の父〉は、その抗議に対して、「民事調停の申立てを行い、正当な権利者として行動をとっている」(7頁13行目~)。

従って、〈村田商店代表乙の父〉は、〈東鳴川Cの亡父〉の境界の指示を信じて、「本件土地2等」を掘削したと評価できる。そして、〈東鳴川Cの亡父〉の境界の指示は、樹木の塊や成育状況などの林相の差異に基づく指示であったので、〈村田商店代表乙の父〉は、それを信頼したのである。

従って、〈村田商店代表乙の父〉の掘削行為は、仮に客観的に、境界を越境していたとしも、無過失である。

b 当会代表の境界根拠

また、当会代表は、(甲7の3)の「市有土地境界図」あるいは、その元になった当事者の何らかの合意を、境界の根拠として主張するが、そのようなものは、〈村田商店代表乙の父〉の掘削当時は存在せず、後から作られたものであって、〈村田商店代表乙の父〉は、掘削当時、それを知る由もない。

また、当会代表は、航空写真、公図、古図を重ね合わせるなどして、正しい境界を主張しようとしているが、当時賃借人であった〈村田商店代表乙の父〉が、所有者である〈東鳴川Cの亡父〉の指示する境界を信じ、あえて、航空写真や公図や古図を確認しなかったとして、責められることはない。

よって、この意味においても、〈村田商店代表乙の父〉に過失はない。

c 小括

以上から、いかなる意味においても、掘削行為の故意過失はない。

よって、境界の越境行為の真実性如何に関わらず、不法掘削の記事は真実ではない。

(2)相当性

当会代表は、本件記事掲載時、次の事実を知っているか、当然、知るべきであった。

  1. (i)不動産侵奪罪の告訴に対して不起訴になって、刑事事件として問責されなかった事実

  2. (ⅱ)本件土地2共同所有者らの損害賠償請求権は、平成19年夏ごろから3年経過した平成22年には時効消滅しているため、本件土地2共同所有者らの民事上の権利が喪失しており、記事掲載の平成28年6月時点では、それから5年以上が経過している事実

  3. (ⅲ)掘削行為当時には、(甲7の3)の「市有土地境界図」は作成されていないし、その元になった当事者の何らかの合意のほか、いかなる境界合意も境界確定もなされていなかった事実

よって、当会代表には、適示事実が真実であると信ずるについて相当の理由はない。

1 「第1 被告第2準備書面「第3 山林侵奪、他人占拠(FACT.1) について」に対する反論」に対する反論

(1) 「1 東鳴川町502の不法掘削について」について

被告第2準備書面13〜14頁ですでに述べたとおり、本件記事に、東鳴川町502の掘削のみを取り出して、「不法掘削」だと記述している箇所はない。したがって、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張は、「(1)真実性」「(2)相当性」のいずれも、全く当を得ないものである。

また、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による山林掘削工事は、東鳴川町502とそれ以外とを区別したものではなく、かつ、被告第2準備書面27〜36頁で検討したとおり、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による山林掘削工事が、長尾2及び長尾谷1ー乙に越境していたことは明らかであるから、当会代表が、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による山林掘削工事の全体について、不法掘削であったと論評することは、言うまでもなく表現の自由の範疇に属する。

なお、法的な見解の表明は、判決等により裁判所が判断を示すことができる事項に係るものであっても、意見ないし論評の表明に当たる(平成16年07月15日 最高裁第一小法廷判決 平成15年(受)第1793号、1794号 謝罪広告等請求事件)。

(2) 「2 東鳴川町502の不法占有について」について

ア 「(1)真実性」について

確かに、東鳴川町502の掘削をめぐる裁判の控訴審(以下、「東鳴川町502控訴審」という。)で、裁判所は「控訴人(〈東鳴川C〉)による本訴提起は、本件契約に基づく賃貸人の義務に違反するものではないというべきである」との判断を示している(甲6ー9頁ー(7)。かっこ内は当会代表による補足)。

しかし裁判所は、それによって、本件賃貸借契約の解除が無効となるかどうかについては、何の判断も示していない。

一方で裁判所は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)(東鳴川町502控訴審被控訴人)が、「本件土地において畜産業を営むことを断念した」と認定している(甲6ー9頁ー(6))。なお、畜産業を営むことは、本件賃貸借契約において、賃借の目的と定められていた。よって、これを村田養豚場(村田畜産/村田商店)が断念したということは、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が賃貸借契約を継続する必要がなくなったことを意味する(甲6ー7頁ーア)。

ところで、当時東鳴川町502の所有者であった〈東鳴川C〉は、平成17(2005)年以降、村田養豚場(村田畜産/村田商店)から賃料を受け取ることを拒否しているので(甲6ー7頁ーエ)、〈東鳴川C〉が、本件賃貸借契約の更新を望んでいなかったことは明らかである。したがって、〈東鳴川C〉には、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による契約解除の意思表明を拒絶する理由がないから、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による本件賃貸借契約の解除は、内容証明郵便が〈東鳴川C〉に到達した平成22(2010)年4月15日に、その効力が発生したと解することができる。

以上のとおり、 東鳴川町502控訴審において、裁判所は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による本件賃貸借契約の解除が無効となったとの判断を示していないが、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が契約解除撤回の意思表示をした証拠及び〈東鳴川C〉が撤回に同意した証拠は、これまでのところ提出されていない。また本件賃貸借契約が継続していた実態がないことは、被告第2準備書面17〜22頁ですでに述べた。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、原告第3準備書面において、「賃貸人から村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対して、土地明渡請求がなされたことは訴訟内外を通じて一度もなかった」と主張するが、この件に限らず、村田養豚場(村田畜産/村田商店)には、法的手段を用いた要求でなければ、一切聞く耳を持たず無視しても構わないとする態度がまま見られる。

一般に、法的手段に訴えることは、個人にとって、経済的にも精神的にも負担が極めて大きい。まして連続して裁判等を遂行することは、ほとんどの個人にとり、重すぎる負担と言える。その点で村田養豚場(村田畜産/村田商店)は資金力のある法人であり、裁判等法的手段を遂行する経済的資源あるいは人的資源を、個人である〈東鳴川C〉より豊富に持つことは疑いようがない。このように社会的にみて比較強者である側が、比較弱者に対し、何か要求があるのであれば、その都度法的手段を用いるべきとの立場をとることは、多くの場合、恫喝的に要求を拒絶するのと同じ効果を持ち、望ましいこととは言えない。このような態度は、「奈良を代表するブランド豚」を生産する農場に、全くふさわしいものではない。

また村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、原告第3準備書面において、「令和元(2019)年8月8日、借地契約当事者間で一部賃料の授受も行われた」と強調している。しかし、 令和元(2019)年8月8日は、本訴訟が提起されたあとであるばかりか、村田養豚場(村田畜産/村田商店)と〈東鳴川C〉の間で売買交渉が成立し、東鳴川町502が村田養豚場(村田畜産/村田商店)に売却されることが決まった後でもある。

すでに被告第1準備書面29〜30頁で述べたとおり、当会代表は、令和元(2019)年8月9日、〈東鳴川C〉に電話をかけ、改めて賃貸借契約の有無等について確認しているが、その際〈東鳴川C〉は、東鳴川町502の売却が決まったことを明かして、次のように答えた。

  • (ア)「村田さんがまた借りるということにしても永久に借りることになるから、どうせなら売ってほしいというので、そこまで売ってほしいならということになった。」

  • (イ)「村田さんが言うには、今までも使ってきたのは事実だから、今まで賃借していたことにして、その分の賃料を払いたいとのことで、今までの賃料数年分と、今年の分は半年分を、8月初め頃に払ってもらった。」

また、長尾2共同所有者の一人である〈加茂町B〉と、本件原確定の再確定に影響することが懸念されたため、〈加茂町B〉から相談を受けていた木津川市議の〈木津川市議P〉が、令和元(2019)年8月中旬ごろ、〈東鳴川C〉の自宅を訪れ、東鳴川町502売却の事情について、詳細を聞き取っている。〈木津川市議P〉によれば、このとき〈東鳴川C〉は次のように語ったとのことである。

  • (ウ)「去年までは村田さんも何も言って来なかったが、今年の2・3月くらいから頻繁に電話がかかって来た。最初は「新しい豚小屋を造るので資材置き場として土地を貸してほしい」という話だった。しかし以前の事があるので、一度貸したら永久に使われかねない。そこで「貸すつもりはない。資材も置くな」と返事をしたところ、しばらくして「買い取りたい」と言ってきた。」

上記、(ア)乃至(ウ)のいずれにおいても、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が〈東鳴川C〉に語ったとされる内容は、本件賃貸借契約が継続していることを前提としていない。

加えて、すでに手放すことが決定している土地について、これまでも使っていたのは事実だからと、土地の購入代金とは別に、数年分の賃料を払いたいと、買主から申し出られた場合(上記(イ))、売主である〈東鳴川C〉にこれを断る理由がないのは当然である。このような、売却交渉成立後に追加で支払われた賃料に、本件賃貸借契約の継続を認定する効力があるとは、到底考えられない。

したがって、本件賃貸借契約が継続していなかったことは真実であり、少なくとも、当会代表が、本件記事において、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が東鳴川町502を不法占拠していると論評したことは、表現の自由の範疇に属する。

イ 「(2)相当性」について

(ア) 〈東鳴川C〉が、平成21(2009)年に本件賃貸借契約が解消しているとした根拠に関しては、被告第2準備書面15〜17頁ですでに述べた。

なお、木津川市の平成20(2008)年第3回定例会においても、木津川市の建設部長が、「奈良市側の所有者(〈東鳴川C〉)から話をそういうことで聞くことにいたしました。内容は土地の明け渡しに関して双方の借地契約書の借地期限の違いから調停が行われ、不成立になったということ、相手(〈村田商店代表乙の父〉)の契約書の借地期限の切れる来年2月まで静観をしたいということで、奈良市の所有者(〈東鳴川C〉)と情報交換をしております」と述べている(乙6ー15頁。括弧内は当会代表による補足)が、このうち「相手の契約書の借地期限の切れる来年2月」は、言うまでもなく平成21(2009)年2月である。すなわち、この答弁の内容は、〈東鳴川C〉が、平成21(2009)年に本件賃貸借契約が解消していると述べたことと整合する。

また、木津川市議会議事録(乙6)は、本件記事公開当初より、本件記事に付属する資料として、インターネット上に公開されており、当然のことながら、当会代表は本件記事公開前に、この議事録についても目を通している。

木津川市議会議事録(乙6)の質問や答弁から読み取れる、上記のような経緯をふまえると、当時、〈東鳴川C〉が本件賃貸借契約の解消を望んでいたことは明らかであって、東鳴川町502控訴審後も、〈東鳴川C〉が本件賃貸借契約を継続したと考える方が、不自然だと言える。

(イ) 加えて当会代表は、〈東鳴川C〉と、東鳴川町502隣接地所有者らが、土地を売らない確約書を交わし、その際、土地を貸さないことについても約束したということ(被告第2準備書面18頁乙80の1及び)を、平成27(2015)年秋ごろには、〈加茂町B〉から聞いていた。

以上のとおり、当会代表には、本件賃貸借契約が継続していなかったことが真実であると信じるについて相当の理由があった。また、当会代表が、本件記事において、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が東鳴川町502を不法占拠していると論評したことは、表現の自由の範疇に属する。

(3) 「3 長尾2、長尾谷1ー乙(以下「長尾2等」という)の不法掘削について」について

ア 「(1)真実性」について
(ア) 「(ⅰ)境界の越境行為」について
a 「a 現時点において、境界未確定である。」という主張について
(a) 本件境界をめぐる動き

① 東鳴川町502の土地境界については、平成18(2006)年10月26日に、東鳴川町502の所有者と、東鳴川町502に隣接する長尾2及び東鳴川町501の所有者らの間で確認された、境界確認書が存在する乙104。以下、「本件境界確認書」という。)。また、本件境界確認書が作成されてすぐ、平成18(2006)年11月3日には、関係者の間で土地不譲渡確約書が交わされた(被告第2準備書面18頁乙80の1及び)。

平成18年10月26日-東鳴川町502土地境界確認書-03

② 本件境界確認書の測量図(乙104)における、東鳴川町502と長尾2の土地境界(以下、「本件境界」という。)の長さは、98.87mである。一方、平成19(2007)年11月20日に確定した市有土地境界確定図(9木管第7ー85号)における本件境界の長さ(201ー308ー309ー300の合計)は117.93mであり(甲7の3)、これは本件境界確認書の測量図(乙104)における本件境界より、20mほど長い。

したがって、 本件境界確認書測量図における本件境界の北端( 乙104測量図 ーK23)は、明らかに、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による掘削域の内側にある。

③ 上記は、以下のような事情によると考えられる。

関係者が本件境界確認書に係る現地立ち合いを行なった平成18(2006)年5月21日時点では、関係者の間で東鳴川町502の北端だと了解されていた場所の周辺が、まだ掘削されずに残っており、その地点を東鳴川町502の北端とすることに、関係者全員が合意した。

ところが、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による掘削はその後も続き(甲6ー7頁)、この間に、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による掘削域は、さらに北側にも広がった。

その結果、本件境界確認書測量図における本件境界の北端(乙104測量図 ーK23)周辺は、地形が完全に破壊されて、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による掘削域の内側に取り込まれる形となった。

それだけでなく、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による掘削が拡大したことによって、本件境界確認書の測量図にある境界杭は、全て所在が分からなくなり、本件境界確認書の測量図に基づいて、東鳴川町502の土地境界を示すことは、極めて困難な状況となった。

④ そこで、平成19(2007)年に、京都府警の捜査に協力する形で、木津川市が市有土地境界確定図を作成するにあたり、木津川市職員の助言も受けながら、当時東鳴川町502の所有者であった〈東鳴川C〉と、長尾2共同所有者らが協議し、合意したのが、平成19(2007)年11月20日に確定した市有土地境界確定図(9木管第7ー85号。以下、「本件原確定」という。)に、府県境の確定線として書き込まれた本件境界(以下、「本件原確定境界」という。)である。

当時の当事者が本件原確定境界に合意していたことは、本件原確定に対し、隣接所有者全員が同意書を提出していることからも明らかである。

また、平成27(2015)年10月頃、当会代表が、長尾2共同所有者の一人である〈加茂町B〉とともに、東鳴川町502前所有者である〈東鳴川C〉に聞き取りを行なった際、〈東鳴川C〉と〈加茂町B〉の双方ともに、本件原確定境界に争いがあるとは全く主張しておらず、両者が本件原確定境界に合意していることを前提として、本件境界や東鳴川町502に関する事情を語っている。

⑤ ところが、平成30(2018)年3月に、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が木津川市に対し数度にわたり送った文書(当会代表による求釈明文書)を発端として、木津川市は本件原確定の修正に着手した(乙27)。

なお、すでに被告第1準備書面19〜20頁で述べたとおり、本件原確定の修正は、本件原確定境界が未確定あるいは誤りだったために行われたのではない。確定里道の一部が奈良市に越境していたことや、手続きの不足があったことを理由に、後に奈良市の同意を得て、本件原確定を尊重する形で、改めて再確定することを前提として、手続き上の必要から木津川市が一旦修正したものである。

その後木津川市は、平成30(2018)年8月10日に、本件原確定を修正したが、奈良市を通じて、村田養豚場(村田畜産/村田商店)からさらなる修正を求められたため、平成30年11月28日にも、本件原確定の再修正を行った。

一方で木津川市は、隣接所有者に対しては、平成30(2018)年6〜7月ごろ、本件原確定修正について口頭で説明し、その説明に対し口頭で了承を得たのみで、木津川市は、修正後の図面はおろか、修正を行った事実すら、隣接所有者に通知していない。そのため、東鳴川町502の前所有者である〈東鳴川C〉は、東鳴川町502売却までに、本件原確定の修正を、木津川市から一切知らされていなかった。当然木津川市は、本件原確定の修正に際し、隣接所有者の誰からも同意書を得ていない。詳細は、被告第1準備書面20〜23頁で述べた。

⑥ 令和元(2019)年8月27日、東鳴川町502は、〈東鳴川C〉から村田養豚場(村田畜産/村田商店)代表〈村田商店代表乙〉に売却された(甲11)。

⑦ 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、令和元(2019)年10月7日付けで、豚コレラ対策として、イノシシ侵入防止のための防護柵を、長尾2に越境する形で、東鳴川町502の周囲に設置する旨、〈加茂町B〉ら長尾2共同所有者全員に通知した(乙84の1)。これに対し、長尾2共同所有者は連名で、令和元(2019)年10月20日、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対し、長尾2に越境して防護柵を設置しないよう求める内容証明郵便を送付した(乙84の2)。詳細は、 被告第2準備書面25〜26頁で述べた。

なお、本件境界に争いがあることが明らかとなったのは、これが最初である。

⑧ 令和元(2019)年12月16日に、ようやく再確定部分の復元測量が行われた。この復元測量を受け、木津川市と奈良市は、令和元(2019)年12月23日に、再確定に関する協議を行った。このとき木津川市は、「点番号201が、両地権者で確認した点である」として、本件原確定境界に従い、点番号201を動かさずそのまま再確定する方針を説明しているが、奈良市はそれを了解している(乙105ー2頁)。

⑨ 令和元(2019)年12月27日、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、奈良県畜産課、奈良市土木管理課、京都府山城家畜保健衛生所、木津川市管理課を、一堂に集め、長尾2共同所有者を説得して、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の計画通りに防護柵を設置することを、長尾2共同所有者に認めさせるよう、協力を依頼した。

これに対し奈良県は、「自分の土地で明らかな位置に張るのはどうか」と村田養豚場(村田畜産/村田商店)に提案した。また、木津川市も「平成19(2007)年確定の所に柵を張るのであれば、隣接地権者は異議がないと思う」と指摘し、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の協力依頼に応じることはできないとした(乙106)。

⑩ ところが村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、こうした関連行政機関からの説得を無視し、令和2(2020)年1月6日付けで、長尾2共同所有者に宛てて、長尾2に越境する形で防護柵を設置することを、一方的に通告する文書を送付した。

この文書においても、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、「フェンス柵の設置場所は(中略)民民境界及び府県境界及び里道境界及び赤田川の府県境界ではないと考えております」と述べ、公図等を参考にしながら、境界ではないと考えるところに防護柵を設置するという、不可解な主張をしている。

しかし一方で村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、「今後、赤田川の境界(府県境)・里道確定(府県境)等が、確定され、確定位置よりフェンスの設置位置がずれていた場合、速やかに確定位置にフェンスの設置位置を移動させます」と述べ、フェンスの設置位置が、行政界が再確定されるまでの暫定的なものである旨、釈明した(乙107)。

⑪ そして実際に、令和2(2020)年1月10日ごろ、長尾2共同所有者らの抗議にも拘わらず、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、村田養豚場を囲う防護柵を、長尾2に越境する形で強行設置した(乙84の4)。当然、長尾2共同所有者は、これに対し連名で、越境して設置された防護柵の撤去を、改めて要求している(乙84の5)。

このような経緯で設置された防護柵であるにも拘らず、設置にかかった費用の全額が、農畜産業振興機構及び奈良県からの補助金で賄われた(乙84の1-10頁、乙115-1頁)ことには、強い驚きを禁じ得ない。

⑫ 令和2(2020)年3月11日、木津川市は、平成19(2007)年に確定した本件原確定を、木津川市の手続きに瑕疵があったことから、平成30(2018)年に一部修正したことに関し、再度、正式な手続きを踏んでこれを再確定するにあたり、その状況を関係地権者に事前に確認するため、現地立ち会いを行った。

この現地立ち会いにおいて木津川市は、本件原確定の点番号106及び201を移動させることなくそのまま復元し、点番号106及び201が府県境になることを示した。これについては、点番号106及び201が、平成19(2007)年に、東鳴川町502の当時の所有者と、長尾2共同所有者らで確認されたものであることが、その根拠とされた(乙108-2頁)。

⑬ なお、奈良県畜産課長の溝杭は、令和2(2020)年4月14日に開かれた木津川市と奈良県との協議において、長尾2共同所有者の一人である〈加茂町B〉に対し、「事業者(村田養豚場(村田畜産/村田商店))への売却すればと聞いた」ことを明かしている(乙115ー2頁。かっこ内は当会代表による補足)。

令和2年4月14日-村田養豚場の防護柵に係る奈良県との協議に関する報告書-01

令和2年4月14日-村田養豚場の防護柵に係る奈良県との協議に関する報告書-02

当会代表が〈加茂町B〉に聞き取ったところ、令和2(2020)年3月の中頃、溝杭から〈加茂町B〉に電話があり、より正確には、「防護柵のあるところまで土地を売る気はないか」と聞かれたとのことであった。

このことは、少なくとも溝杭個人は、長尾2共同所有者らが主張するとおり、本件原確定境界が正当な土地境界であることを前提に、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が設置した防護柵が、長尾2に越境するものであると認識していることを示している。

それにも拘らず、奈良県は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張する防護柵の位置をそのまま認め、防護柵設置に係る補助金まで交付したのであるから、〈加茂町B〉はもとより、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が協力的でないため、本件再確定に困難を抱える結果となった木津川市が、奈良県に不信感を持つのは当然と言える。

(b)本件境界をめぐる動きのまとめ

以上①乃至⑬のとおり、本件境界については、平成18(2006)年に土地境界確定図が作成されたものの、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の掘削により全ての境界杭が失われたため、平成19(2007)年に、当時の東鳴川町502所有者及び長尾2共同所有者らの同意の下、本件原確定に、本件境界が府県境の確定線として書き込まれた。

その後、確かに木津川市は、手続きに問題があったとして、平成30(2018)年に本件原確定を修正しているが、令和2(2020)年の再確定において、木津川市は、本件原確定の府県境をそのまま復元する方針を示した。したがって、本件境界が未確定であるとする村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張には、もはや何の根拠もない。

また村田養豚場(村田畜産/村田商店)は「当事者適格は、長尾2の共同所有者と村田養豚場(村田畜産/村田商店)以外のものになく、当会代表には、本件境界を語る資格がない」と主張するが、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が東鳴川町502の所有権を得たのは、本訴訟提起後の令和元(2019)年8月27日であるから、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張に従うならば、村田養豚場(村田畜産/村田商店)には令和元(2019)年8月27日以前には、本件境界を語る資格がなかった、ということになる。

ところで、前述のとおり、本件原確定における本件境界は、京都府警の捜査に協力する形で、木津川市の助言も得ながら、当時の当事者らが協議の末、合意したものである。それにも拘らず、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、この合意について、「客観的資料に基づいた熟慮の上のものではなかった」などと、何の根拠も示さずに断じているが、上記村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張に従うなら、当然村田養豚場(村田畜産/村田商店)には、東鳴川町502取得前の事情を、このように語る資格はない。

一方で、確かに現時点では、本件境界に争いが生じている。しかしそれは、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が東鳴川町502取得後、東鳴川町502前所有者と長尾2共同所有者らの間で成立していた合意を無視して、本件境界が未確定であると、一方的に主張し始めたことによる。すなわち、本件境界を巡る争いは、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が本訴訟提起後に、東鳴川町502を取得したあと、村田養豚場(村田畜産/村田商店)自身が引き起こしたものである。

しかも本件境界に関する村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張は極めて奇妙なもので、村田養豚場(村田畜産/村田商店)はこれまで、どこが境界であるとは一切主張しておらず、ただ境界が未確定であるとのみ主張している。そして、防護柵の位置が土地境界とは考えないと断りながら、長尾2に越境する形で、防護柵の設置を強行した。

一方で、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、令和2(2020)年1月6日付けの文書で、木津川市と奈良市によって府県境が確定すれば、それに従い防護柵を移設する旨、明言している(乙107)。

ところが前述のとおり、すでに木津川市は、本件原確定の府県境をそのまま復元して、再確定を行う方針を示している。もちろん、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が本件再確定に同意しなければ、再確定手続きは滞ることになるから、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が本件再確定に同意していないことをもって、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、府県境は確定していないと主張することは、今後も可能であろう。しかしそのような態度が、誠実であるとは到底言いがたい。

また村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、令和2(2020)年3月中ごろ、長尾2に越境して設置した防護柵沿いに、別の場所から運んできた廃材や資材を積み上げている(乙84の4乙109)。これには、長尾2の一部を村田養豚場(村田畜産/村田商店)が占有していることの既成事実化を、よりいっそう強化する意図があるとも考えられ、村田養豚場(村田畜産/村田商店)のこのようなふるまいは、防護柵の位置が暫定的なものであるとした、村田養豚場(村田畜産/村田商店)自身の釈明と全く整合しない(乙107)。

当会代表は、令和元(2019)年9月に提出した被告第1準備書面31頁において、「村田養豚場(村田畜産/村田商店)が本件訴訟の論拠を保つために再確定協議を拒んだり、あるいは原確定に沿った再確定を拒絶し、長尾2を大きくえぐる形で新たな境界線を提案する恐れもある」と懸念を述べたが、はたして令和2(2020)年5月現在、事態はほとんどそのとおりに推移していると言える。

以上のとおり、本件境界に関する村田養豚場(村田畜産/村田商店)の態度は、極めて不誠実であると言わなければならない。村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、後づけで、境界確定訴訟によって境界が確定されるべきだなどと主張せず、自らが令和2(2020)年1月6日付けの文書で述べたとおり、すでに木津川市から示されている府県境を受け入れ、越境して設置されている防護柵を、本件原確定境界を越えない位置へ、早急に移設するべきである。

(c)本件境界に一般市民が関心を持ち意見を公然と表明することの正当性

なお、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、当会代表には本件境界を語る資格はないと主張するが、一般市民が本件境界をめぐる争いに関心を持ち、意見を公然と表明することは、以下のことから、依然として正当である。

ⓐ 通行権の確保

本件境界は、市有土地境界確定図と密接に関係しており、本件境界を巡る争いは、市民の通行権に深刻な影響を与え得る。実際、令和2(2020)年1月に村田養豚場(村田畜産/村田商店)が設置を強行した防護柵は、木津川市が再確定を進めている木津川市道を横切っており、防護柵の門扉についても、木津川市道を半ば塞ぐ位置に設置されている(乙109)。

市道と防護柵の位置

そのため、令和2(2020)年5月現在、本件再確定図にある木津川市道を正しく通行することは、誰にもできない。

したがって、一般市民が本件再確定と、本件再確定を左右する本件境界紛争に関心を持つことは、これらが市民の通行権に大きく影響する以上、正当なことである。

ⓑ 境界損壊罪の関与

① 木津川市は、本件再確定にあたり、赤田川(国有水路)上の行政界を明らかにするため、昭和58(1983)年10月に確定した国有水路境界確定図(乙105-10頁。以下「本件水路確定図」という。)に基いて、赤田川南岸の府県境を復元しようとしている。

② しかし、木津川市が、令和元(2019)年12月16日に行った測量では、以下のとおり、赤田川南岸の府県境が、本件水路確定図とは全く異なる位置に、復元された。

本件水路確定図の確定点のうち、線分AーA’のA側の確定点(黒縁の白い円)を「a」、A’側の確定点を「a’」、線分BーB’のB側の確定点を「b」、B’側の確定点を「b’」とすると、 aー bー b’ーa’(aから時計回り)を復元した確定点が、令和元(2019)年12月16日時点の本件再確定図(乙105ー7頁。以下、「本件第1再確定図」という。)にある、2020Hー2019Hー2022ー2021である。

したがって、aー bー b’ーa’と、2020Hー2019Hー2022ー2021とが、完全に一致する形で、本件第1再確定図に本件水路確定図を合成すれば、2020Hー2019Hー2022ー2021がaー bー b’ーa’の、正確な復元であるかどうかを、検証できる。

実際にそのようにして合成した図が乙第110号証である。水色の図面が本件水路確定図で、そのうち、川底の境界線をピンク色の点線で、現在の橋の下に埋もれている古い橋(以下、「旧橋」という。)をピンク色の実線で、強調した。

本件第1再確定図と本件水路確定図の合成図

乙第110号証を見ると、一見して、両図面における旧橋の位置や赤田川の川筋が、明らかに数メートルずれているとわかる。中でも旧橋の位置は、実際には昭和58(1983)年から全く変わっていないため、旧橋の位置が両図面でこれだけずれているということは、2020Hー2019Hー2022ー2021が、誤った位置に復元されたことを示している。

そのため木津川市も現在では、2020Hー2019Hー2022ー2021が、誤った位置に復元されていることを確認しており、本件第1再確定図を修正して、国有水路境界を別の位置に変更している(乙108ー4頁)。

③ しかし、本件第1再確定図によると、2020H点及び2019H点については、現地に「既設金属鋲」があったとされている。しかも2020Hー2019H間の距離は、本件水路確定図のaー b間と全く同じ、12.18mであったという。このような一致は、偶然ではあり得ない。

すなわち、2020H点及び2019H点は、何者かが、本件水路確定図のa点及びb点に偽装する目的で、二点間の距離を正確に12.18mに合わせた上で、新たに設置した金属鋲である可能性が、極めて高い。言うまでもなく、このような行為は境界損壊罪(刑法262条の2)に該当する。

④ ところで、長尾2共同所有者の一人である〈加茂町B〉が、令和2(2020)年2月ごろ、木津川市管理課長の松本敏也に対し、誤った位置に2020Hー2019Hー2022ー2021を復元した理由について問い合わせたところ、松本敏也は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、絶対に位置が変わっていないと主張したので、2020H点及び2019H点を、既設金属鋲の位置にしたと答えた、とのことである。

つまり村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、現地に打たれていた金属鋲が、赤田川南岸の府県境を示す境界標だと信じていたことになる。しかし、昭和58(1983)年に赤田川南岸に設置された境界標が、金属鋲であったとは到底考えられない。

現在赤田川南岸にある石垣は、平成18(2006)年ごろに、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が長尾谷4などを取得して以降、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が積み上げたものであり、本件水路確定図が作成された昭和58(1983)年には、赤田川南岸に石垣はなかった。このことは本件水路確定図を見ても明らかで、本件水路確定図において、赤田川南岸は自然傾斜面となっており、a点及びb点とも、水田の畦道のようなところに位置している。昭和58(1983)年当時、これら確定点周辺の地面は、金属鋲を打ち込むのに適したものでなかったのである。

加えて、仮に金属鋲がa点及びb点に打たれていたのだとしても、その後村田養豚場(村田畜産/村田商店)が赤田川の自然傾斜面に積み上げた石垣の縁に、造成工事を経てなお、それら金属鋲がそのまま残されていたとは到底考えられない。

⑤ ただ、既設金属鋲が昭和58(1983)年の境界標であり得ないことは、村田養豚場(村田畜産/村田商店)も認識していたと思われる。村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、木津川市に対しては、既設金属鋲の位置は絶対変わっていないと主張していたが、長尾2共同所有者らに対しては、そのような主張をしていないからである。

既設金属鋲の存在をふまえると、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が長尾2に越境する形で設置した防護柵が、2020H点の対岸付近に位置していることに気づく。村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、2020H点を根拠に、防護柵の位置を決めたようにも見えるのである(乙109乙110)。ところが村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、長尾2共同所有者らに、既設金属鋲の存在を明かしていない。これは、金属鋲の真正性について、村田養豚場(村田畜産/村田商店)自身、確信を持てなかったことの現れとも考えられる。

そこで村田養豚場(村田畜産/村田商店)としては、木津川市と奈良市に既設金属鋲を真正なものと認めさせたのち、2020H点を根拠に防護柵の位置を正当化する必要に迫られたと解する余地もある。

⑥ なお、木津川市が現地確認で示した修正再確定図(以下、「本件第2再確定図」という。)にある、水路境界2023ー2024ー2026ー2025(乙108ー4頁)もまた、下記のとおり、aー bー b’ーa’を正確に復元したものではないと考えられる。

乙第110号証と同様にして、本件第2再確定図に、本件水路確定図を合成した図が、乙第111号証の1である。この図を見ると、旧橋の北西角については、たしかに位置が一致している。このことから、木津川市が、現在の赤田川南岸のうち、旧橋の北西角からa点までの距離と一致する地点を、2023点としたことがわかる。

本件第2再確定図と本件水路確定図の合成図(水路境界を合わせたもの)

しかし乙111の1においても、赤田川の川筋が、旧橋から離れるほど、次第にずれてしまっており、旧橋の北西角を中心として、全体に、本来の位置から数度回転しているように見える。当然ながら旧橋の角度もずれている。これは2023点の位置が、正確ではないためと考えざるを得ない。

また、昭和58(1983)年以降に、赤田川南岸の自然傾斜面が削られ、同時に赤田川北岸が南西にせり出して、川底が南西へ移動したとはおよそ考えられない。

そこで、旧橋の角度を合わせて、本件第2再確定図に、本件水路確定図を合成した図が、乙第111号証の2である。乙第111号証の2では、赤田川の川筋が無理なく一致し、赤田川南岸の府県境が201点ー106点の延長線上に重なっている。このことは、平成19(2007)年の本件原確定において、赤田川南岸府県境と、掘削域の一番高いところを結ぶ線を、東鳴川町502と長尾2の境界にしたとする、〈加茂町B〉の証言とも整合する。

本件第2再確定図と本件水路確定図の合成図(旧橋の角度を合わせたもの)

以上のように、乙第111号証の1乙第111号証の2を見比べると、乙第111号証の2にあるとおり、赤田川南岸の府県境であるa点が、現在は村田養豚場の休憩小屋の下にあるとする方が、より正確な復元であることは疑いようがない。当会代表としては、木津川市は、より正確に、aー bー b’ーa’を復元するべきだと考える。

⑦ いずれにせよ、2020H点の既設金属鋲が偽の境界標であることは確かであり、これら金属鋲が現地に存在したことには、境界損壊罪の関与が強く疑われる。このような、市民の財産たる市道の境界確定が、犯罪行為によって歪められかねない事態に、一般市民が関心を寄せ、意見を述べることは正当である。

b 「b 航空写真・公図・古図」について

(a) 当会代表は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)のいう「古図」のみに依拠して、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が境界を越境して山林を掘削したと主張しているわけではない。詳細は、すでに被告第2準備書面27〜36頁で述べた。

また当会代表は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が指摘した地番について、古図に描かれた境界や土地の広さが正確であるとは主張していない。

被告第2準備書面29頁及び31頁で指摘したとおり、村田養豚場(村田畜産/村田商店)のいう「古図」の原図は、明治22(1889)年10月12日作成の、「添上郡鳴川村実測全図」である。この実測全図では、当時の村界に、測量点間の距離と方角の実測値が記載されている。そのため、古図記載の境界線のうち、村界にあたる境界については、一般的な明治時代の公図と異なり、一定の信頼性があるものと考えられる。そして本件境界は、まさしく村界にあたる。

(b) ただし、古図に描かれた村界線は、正確には実測値に従っていないと思われる。そこで、以下のとおり、実測値の正確性を検証しておきたい。

まず、乙第112号証の1は、平成30(2018)年ごろの航空写真に、昭和58(1983)年の本件地内平面図(乙85)及び本件原確定を重ねたものである。

2018年の航空写真に古図の実測値に基づく村界線を合成した図

黄色の点線は、実測値に基づいた村界線で、点線上の円は測量点を表す。明治時代に、古図がどのように作成されたのかは不明であるものの、おそらく、現地において、測量点間の距離と方角を測ると同時に、測量点間の地形や境界をスケッチし、それらをもとに図面を書き起こしたものと考えられる。なお、乙第112号証の1では、測量点間は直線で表した。

また、赤田川南岸の府県境は明治時代からほとんど変わっていないと考えられるため、本件地内平面図の赤田川南岸の府県境確定点に一致させる形で、村界線を合成した。ところで、現在、赤田川南岸の府県境確定点(a点)が、村田養豚場の休憩小屋の下にある可能性が極めて高いことは、先に述べたとおりである(乙111の2)。

さて、乙第112号証の1を見ると、黄色の点線は、実際の府県境(村界)から時計回りに数度ずれているように見える。これは、被告第2準備書面31頁で述べたとおり、古図記載の方角実測値が偏角を補正していないためと考えられる。ここでいう偏角は、真北と地磁気の北(磁北)との差であるが、日本考古地磁気データベースによれば、 明治22(1889)年当時の、本件境界付近の推定偏角は西偏4.3度である(乙113)から、黄色の点線を反時計回りに4.3度回転させると、偏角を補正できる。なお、被告第2準備書面31頁では、座標入力値に誤りがあったため、「西偏4.4度」としたが、正確には西偏4.3度であったので訂正する。

このようにして補正した村界線が、乙第112号証の1の水色の点線である。補正後の村界線(水色の点線)は、実際の府県境とよく一致している。特に、科学的根拠のある角度で補正するだけで、本件地内平面図の府県境確定線上に、古図の測量点が重なることは、古図の実測値が、一般的な明治時代の公図と比して、高い信頼性を持つことの証左と言える。

(c) また、乙第112号証の2は、昭和50(1975)年の航空写真に、昭和58(1983)年の本件地内平面図(乙85)及び村界線(黄色の点線)・補正村界線(水色の点線)を重ねたものであるが、林相の違いとして判別できる実際の府県境と、補正村界線(水色の点線)とが、ほぼ一致していることがわかる。

1975年の航空写真に古図の実測値に基づく村界線を合成した図

加えて、東鳴川町502及び長尾2及び東鳴川町501の境界が交わる付近に、緑の樹木が固まっていることは、これまでに当会代表が長尾2共同所有者の一人である〈加茂町B〉から聞き取っていた「本件境界には背の高い木があって、それが目印となっていた」との証言とも整合する。

(d) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は反論において、合成の角度についても疑問視しているが、以上のとおり、科学的根拠のある角度で補正するだけで、古図の実測値に基づく村界線は、実際の府県境や林相の違いにほぼ一致するのである。したがって、古図の実測値には一定の正確性が期待でき、少なくとも、すでに死亡している人物の指示よりは、よほど信頼に足ると言える。

c 「c 小括」について

すでに述べたように、現在、確かに本件境界を巡って紛争が生じているが、この紛争は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が本訴訟提起後に、東鳴川町502を取得し、村田養豚場(村田畜産/村田商店)自身が引き起こしたものである。

よって、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張は当を得ておらず、当会代表が、本件記事において、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が長尾2等に越境して山林を掘削した事実に基づき、これを不法掘削であったと論評したことは、表現の自由の範疇に属する。

(イ) 「(ⅱ)故意・過失」について
a 「a 〈東鳴川Cの亡父〉の指示」について

確かに、東鳴川町502裁判一審において、裁判所は、〈村田商店代表乙の父〉が「民事調停の申立てを行い、正当な権利者として行動をとって」いたと認定している(甲5ー7頁)。しかしながらこれは、当該民事調停のあった平成19(2007)年9月時点(甲5ー6頁(12))においても、〈村田商店代表乙の父〉が本件賃貸借契約の借主として行動していたことを認定したもので、民事調停における〈村田商店代表乙の父〉の主張が正当であったことを認めるものではない。

しかもこの民事調停の相手方は〈東鳴川C〉であり、〈東鳴川C〉は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、〈村田商店代表乙の父〉に土地境界を指示したと主張している〈東鳴川Cの亡父〉の、正当な相続人である。

したがって、たとえ〈村田商店代表乙の父〉が、〈東鳴川Cの亡父〉からの指示に基づき掘削をしていたのだとしても、〈東鳴川Cの亡父〉の正当な相続人である〈東鳴川C〉から、東鳴川町502の土地の範囲を越えていると指摘されてなお、〈村田商店代表乙の父〉は、民事調停を申し立ててまで、それを頑として受け入れなかったのであるから、〈村田商店代表乙の父〉が、東鳴川町502の範囲を越えて、山林を掘削したことに全く過失がなかったとは、到底考えられない。

b 「b 当会代表の境界根拠」について

当会代表は、本件原確定を根拠として、〈村田商店代表乙の父〉が東鳴川町502を越えて山林を掘削したとは主張していない。詳細は、すでに被告第2準備書面27〜36頁で述べた。

たしかに本件記事には、参考のため、本件原確定境界及び本件地内平面図に基づく地図が記載されている。しかし、本件原確定境界は、山林掘削前に所有者間で了解されていた土地境界から、大きくかけ離れているわけではない。本件原確定境界は、山林掘削前の、およその土地境界を表す線として、妥当なものである。

このことは、乙第88号証の5及び乙第112号証の1から、明らかである。これら合成図を見ると、本件原確定境界は、掘削域のうち赤田川側では、もともとの土地境界より東鳴川町502側に数メートル入り込んでいる可能性が高いが、山側では逆に、もともとの土地境界より長尾2側に数メートル入り込んでいる可能性が高い。

また、被告第2準備書面33頁(ウ)で指摘したとおり、東鳴川町502のもともとの北端は、掘削面の北端より20mほど内側(南側)にあると考えられるから、本件記事記載の地図は、〈村田商店代表乙の父〉の越境掘削面積を過小評価するものであるとさえ言える。

c 「c 小括」について

以上のとおり、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張は当を得ないものである。したがって、〈村田商店代表乙の父〉に過失がなかったとは考えられないため、当会代表が、本件記事において、〈村田商店代表乙の父〉が長尾2等に越境して山林を掘削した事実に基づき、これを不法掘削であったと論評したことは、表現の自由の範疇に属する。

イ 「(2)相当性」について

村田養豚場(村田畜産/村田商店)の指摘する(ⅰ)については、本件記事に記載がある(甲2ー4頁)。当会代表が「起訴猶予に終わった」と記載した根拠は、木津川市議会での質問による(乙6ー10頁)。なお、この木津川市議会議事録については、本件記事に付属する資料として、本件記事公開当初より、インターネット上に公開されていた。

(ⅱ)については、民事上の権利が消失しているとしても、そのことは、当会代表が本件掘削に関する論評あるいは意見を表明する自由を、制限し得ない。本件掘削は、村田養豚場周辺の様相が一変するきっかけとなった出来事であり、その後、村田養豚場周辺では、本件記事で指摘しているような、様々な問題が次々と引き起こされた。村田養豚場(村田畜産/村田商店)が「奈良を代表する」と評価されるようなブランドを確立した現在でも、それらの問題の多くは、変わらず継続している。そのため当会代表は、村田養豚場の体質が大きく変化した嚆矢として、本件記事の最初に、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による山林掘削問題を記載した。また、長尾2共同所有者らが、民事訴訟を起こさなかった事情については、被告第2準備書面24〜27頁ですでに述べた。

(ⅲ)については、たしかに〈村田商店代表乙の父〉の掘削当初には、本件原確定及びその元となった当事者の合意は存在していない。しかし、〈村田商店代表乙の父〉の掘削は、平成20(2008)年1月まで継続しており、その間に、平成18(2006)年には本件境界確認書が作成され、平成19(2007)年には本件原確定が確定した。また、前述のとおり、当会代表は、本件原確定及びその元となった当事者の合意を根拠に、〈村田商店代表乙の父〉が越境して掘削したと主張しているのではない。

また、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、〈村田商店代表乙の父〉の掘削当時、「いかなる境界合意も境界確定もなされていなかった」とするが、仮にそうだとすれば、〈東鳴川Cの亡父〉が〈村田商店代表乙の父〉に境界を指示することもできなかったはずである。当然、〈村田商店代表乙の父〉の掘削当時にも、境界に関する合意は存在した。

以上のとおり、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の指摘はいずれも当を得ていない。よって、当会代表には、摘示事実が真実であると信ずるについて相当の理由があった。また、当会代表が、本件記事において、〈村田商店代表乙の父〉が長尾2等に越境して山林を掘削したことについて、不法掘削であったと論評したことは、表現の自由の範疇に属する。

ISSUE.2
犬の放し飼いは
適法か否か

本件記事の中では、村田養豚場が、大量の犬を違法に放飼いにしているということも記載されている。

確かに、村田養豚場は、犬を30匹ほど飼育しているが、それらの犬は、普段は、養豚場の敷地内の檻の中で飼育している。

畜産業を営んでいることから、豚コレラの蔓延防止のため、イノシシが養豚場内に侵入することを防止することが必要であり、そのために、飼育している犬の一部を檻から放すことはあるが、それ以外の犬を放飼いにすることはなく、また、常に放飼いの状態となっている犬も存在していない。

それにもかかわらず、本件土地の周辺で確認される犬が、すべて村田養豚場で飼育されている犬であると決めつけ、常に犬を放飼いにしているかのように記載された本件記事は、真実であるとはいえない。

まず村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張は詭弁の類と言える。常に放し飼いの状態になっている犬が存在しないことは、常に一定数の犬が放し飼いの状態にあるということを否定しない。常に犬が「交代で」放し飼いになっていれば前者と後者は両立する。

また、令和元年3月の本件御通知書で「犬を違法に放し飼いしておらず、檻の中で飼育している」としていたのに対し、本件訴状においては「犬の一部を檻から放すことはある」とし、村田養豚場(村田畜産/村田商店)はむしろ放し飼いの存在を認めており、このことには、本裁判を通じ、危険な犬の多頭放し飼いを正当化しようという、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の戦略的な意図が感じられる。このような主張は村田養豚場周辺の地域社会にとって脅威以外のなにものでもない。

そこで以下のとおり、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による犬の放し飼いが違法かつ極めて危険なものであることを示す。

1)村田養豚場(村田畜産/村田商店)は奈良市保健所・京都府山城南保健所の双方からこれまで繰り返し指導を受けている。

  1. 平成24(2012)年2月29日 奈良市保健所が京都府山城南保健所に、村田養豚場に対し次の指導を行なったと報告(乙34)。

    • 犬は繋いで飼うこと
    • 繁殖制限を行うこと
    • 犬の登録及び狂犬病予防注射を行うこと
    • 夜間は、オリの中に入れること
  2. 平成26(2014)年3月4日 奈良市保健所が京都府山城南保健所に、村田養豚場に対し次の対応を行なっていると報告(乙35)。

    • 村田養豚場の[不開示]が主に世話をしており、イノシシから身を守るために放し飼いにしているとのことだった。
    • 奈良市としては首輪を付ける、囲うように指導
  3. 平成26(2014)年3月7日から3月20日までに、京都府山城南保健所が、11頭の犬を浄瑠璃寺裏で捕獲し、4回計8頭を村田養豚場に返還した。返還時に放し飼いをしないように口頭で指導するとともに指導票を3回(計6枚)交付したが、状況は変わらなかった(乙36)。村田養豚場(村田畜産/村田商店)は3月12日に犬を引き取りに来た際、敷地を囲うように説明されたが、それに対して「考える」と答えている(乙35)。なお、指導票の内容は犬の状況により細かな違いがあるが、およそ下記のとおりである(乙52)。

    • 当該犬が敷地外に出ないように常に係留しておくか又は囲いの中で飼養すること。
    • 当該犬の登録をしていない場合は所在地の市町村で登録し、鑑札を犬に着けておくこと。
    • 当該犬に毎年狂犬病の予防接種を受けさせ、注射済票を当該犬に着けておくこと。

    平成26年3月12日-1-山城南保健所-指導票

  4. 平成26(2014)年3月26日、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が京都府山城南保健所に電話をかけ、犬の返還に関して同保健所の対応に抗議をしているが、村田養豚場(村田畜産/村田商店)はこの時もイノシシから養豚場を守るために犬を放していると説明している。これに対し京都府山城南保健所は次のように指導した(乙36)。

    • イノシシ、サル避けのためと言えども犬が多数放たれており、観光地でもある浄瑠璃寺周辺まで来ているので大変危険であるので、できるだけ早く繋ぐか囲うようにすること。
    • 当所は(村田養豚場(村田畜産/村田商店))の飼養場所への立入権限はないので奈良市からの具体的な指示を守って欲しい。
  5. 平成27(2015)年11月4日、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は京都府山城南保健所に電話をかけ、村田養豚場近くの木津川市道で草刈りをしていた人(当会代表)に、犬をつなぐよう言われたことが不当であると苦情を申し立てたが、保健所から次のように指導された。また、京都府山城南保健所はこのやり取りを奈良市保健所に伝え、犬について村田養豚場(村田畜産/村田商店)を指導するよう依頼している(乙39)。

    • 公道を通る際に犬に吠えかかられては、通行者が脅威を感じることは当然である。イノシシの害は理解できるが、人に危害を与えないよう係留は必要なことと考える。
  6. 平成28(2016)年1月25日、奈良市保健所は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対し、文書をもって下記のとおり指導した(乙41)。

    飼い犬を係留すること、また野犬への餌付けをやめるよう度々お伝えしてきましたが、一向に改善が見られません。

    (村田養豚場(村田畜産/村田商店))がかねてより主張する害獣対策よりも通行人や地域住民への危害の防止が優先されることは疑う余地はありません。

    これ以上事態を放置することは大変危険と判断できますので、以下のことについて遵守するよう申し伝えます。

    所有する犬について以下のことを実施すること

    • 係留または囲いの中での飼育(放飼いの禁止)
      (奈良県動物の愛護及び管理に関する条例第5条)
    • 飼い犬事故届の提出(飼い犬が人を咬んだ場合)
      (奈良県動物の愛護及び管理に関する条例第13条第2項)
    • 登録ならびに鑑札の装着
      (狂犬病予防法第4条)
    • 狂犬病予防注射ならびに狂犬病予防注射票の装着
      (狂犬病予防法第4条)

    ご協力のお願い

    • 当市による野犬の捕獲へのご協力
    • 野犬への餌付けや野犬の餌となるような物を放置しない
  7. 平成28(2016)年3月17日、京都府山城南保健所が奈良市保健所に対し、京都府山城南保健所長名で、村田養豚場における犬の適正飼養について要望書を発出した(乙44)。

    地域住民頭の安心・安全が脅かされることがあってはなりませんので、貴保健所におきましても、村田養豚場における犬の飼育等の状況を改めて把握いただき、必要に応じて、関係法律又は条例に基づき、犬の抑留・係留等の適正な飼養の指導等に万全な対応を徹底していただきますようお願いします。

  8. 平成29(2017)年4月12日、京都府山城南保健所が奈良保健所を訪れ、下記を要望した(乙33)。

    • 村田養豚場(村田畜産/村田商店)に飼い犬は係留や逃げ出さないように飼養することを指導して欲しい。
    • 今後犬の捕獲を実施すると村田養豚場(村田畜産/村田商店)に伝えて欲しい。
  9. 奈良市保健所から開示された経過文書は不開示部分が多いため詳細が不明であるが、頻繁に村田養豚場を訪れなんらかの指導を行なっている様子がうかがえる(乙33)。

2)村田養豚場周辺で捕獲された犬は、京都側奈良側を合わせ、平成26(2014)年以降だけで100頭を超える。

当会が、京都府山城南保健所から開示された、浄瑠璃寺周辺で捕獲された徘徊犬に関する文書(乙52)を集計したところ(乙53)、平成26(2014)年度以降平成31(2019)年3月までに京都側で捕獲された徘徊犬は、計54頭であった。そのうち他の文書(乙36乙49)から村田養豚場(村田畜産/村田商店)が引き取ったことが明らかな14頭に、捕獲後即日返還されていることから村田養豚場(村田畜産/村田商店)が引き取ったと推定できる5頭を加えると、合計19頭が村田養豚場(村田畜産/村田商店)に返還されていたことになる。

京都府山城南保健所捕獲犬リスト

一方、奈良市保健所から情報提供された捕獲犬リスト(乙54)は、抑留犬の公示文書を元にしており、公示前に返還された犬については、その数を捕獲された数に含めていない。そのため実際の捕獲数はこれよりも多いと思われるが、同リストによれば、平成26(2014)年度以降、中ノ川町及び東鳴川町で捕獲された犬の総数は33頭で、そのほぼ全数が処分されている。

奈良市保健所捕獲犬リスト

これに加え、京都府山城南保健所の平成26(2014)年3月12日付け連絡事項処理用紙(乙35)によれば、このとき奈良市保健所が、平成26(2014)年1月6日から3月4日までの間に計16頭を捕獲し、うち2頭を村田養豚場に返還したと報告している。

これらを全て合計すると、村田養豚場周辺では、平成26(2014)年以降だけで少なくとも103頭の徘徊犬が捕獲され、うち21頭が村田養豚場(村田畜産/村田商店)に返還されているとわかる。なお捕獲されたうち、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に返還されなかった犬のほとんどが処分された。浄瑠璃寺近隣住民などの証言によれば(乙35)、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による犬の放し飼いは二十数年前から始まっており、これまでにどれだけの数の徘徊犬が捕獲され処分されたかわからない。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、平成26(2014)年3月28日、京都府山城南保健所に「犬の避妊去勢をしておらず犬が勝手に増えすぎるのも困るので子犬が生まれた時に減らすこともある」と述べているが、このような、繁殖を制限しない不適切な犬の飼養は、動物虐待に等しいと言わなければならない(乙36)。

平成26年3月28日-浄瑠璃寺の南方にある養豚場が飼養する犬の放し飼いについて(第4報)-03

3)村田養豚場周辺の徘徊犬は広範囲を数頭から10頭ほどの群で移動している。

村田養豚場周辺の徘徊犬は、若草山にも現れたことがあり(乙35)、浄瑠璃寺周辺など近隣地域だけでなく奈良市内の観光地にも危険を及ぼしている。以下は、京都府山城南保健所の文書及び奈良市保健所の経過文書(乙33)から、主な通報のみを抜き出したものである。なおこれら以外にも、京都府山城南保健所、奈良市保健所ともに、村田養豚場周辺で頻繁に見回りや捕獲を行っている(乙33乙51)。また当会代表も、浄瑠璃寺周辺や中ノ川町の山道で頻繁に徘徊犬と遭遇している(乙55)。

  1. 平成26(2014)年3月12日に、京都府・木津川市・奈良市の合同で情報交換をした際、奈良市保健所が、次のように報告している(乙35)。

    • 広範囲に移動しており、若草山で捕獲された犬について村田養豚場が引き取りに来たこともあった。
  2. 平成26(2014)年4月21日、奈良市保健所が奈良公園管理事務所を訪問して状況を確認(乙33)。

    • 昨日は5頭の野犬がいた
    • 若草山ではなく公園におりてきていた
  3. 平成26(2014)年4月23日、奈良公園管理事務所から奈良市保健所に電話(乙33)。

    • 今朝若草山山麓で3頭の野犬を見かけた
  4. 平成26(2014)年4月28日、奈良市保健所が鹿苑で2頭の犬(黒茶、メス2頭、首輪なし)を吹き矢とガネで捕獲(乙33)。

  5. 平成26(2014)年4月30日、岩船区区長から木津川市まち美化推進課に通報(乙37)。

    • 今朝(4月30日午前7時ごろ)唐臼の壺二尊石仏周辺で犬10匹がうろついていたので捕獲してほしい。
  6. 平成26(2014)年12月1日、浄瑠璃寺から京都府山城南保健所に通報(乙38)。

    • 野犬が5匹現れたので対応願いたい。
    • 12月2日に京都府山城南保健所から浄瑠璃寺に電話で確認。「犬は11月30日に境内に現れ、住み着いている猫を1匹かみ殺した。その後は現れていない。」
  7. 平成27(2015)年11月2日、奈良公園管理事務所から奈良市保健所に電話(乙33)。

    • 若草山山頂に野犬2頭がいた。
  8. 平成28(2016)年1月29日、京都府山城南保健所が浄瑠璃寺の協力を得て徘徊犬を捕獲した際、浄瑠璃寺から相談を受ける(乙51)。

    • 年末年始に10頭くらいの犬が山の向こう(養豚場)から来て困っている。
  9. 平成28(2016)年3月9日、木津川市加茂町西小の住民とみられる者から木津川市まち美化推進課に通報(乙43)。

    • 自宅の庭に野犬が10頭ほど入り込んで来て怖くて外に出られない。
  10. 平成29(2017)年9月15日、中ノ川町自治会から奈良市保健所に通報(乙33)。

    • 庭に8頭が出没。20日にも出没。
  11. 平成29(2017)年10月23日、浄瑠璃寺から京都府山城南保健所に通報(乙48)。

    • 午前8時頃、寺の庭で野犬3頭を見た。いつも徘徊している犬とは違う犬。
    • 同日午後、京都府山城南保健所が、村田養豚場から浄瑠璃寺に向かう山道に犬の足跡を多数確認。
  12. 平成29(2017)年12月12日、京都府山城南保健所が、浄瑠璃寺山門方向から山道を下りてくる犬を目撃。また、駐車場隣の空き地でも犬を目撃。要対策とする(乙51)。

  13. 平成30(2018)年1月5日、浄瑠璃寺から京都府山城南保健所に連絡(乙51)。

    • 境内を5〜6頭の犬が徘徊し、山の方へ移動していった。
  14. 平成31(2019)年1月18日、浄瑠璃寺から京都府山城南保健所に通報(乙51)。

    • 16日から毎日のように、犬が徘徊している。
    • 最大5頭(茶4、白1、うち首輪付き2頭)。
  15. 平成31(2019)年1月21日、京都府山城南保健所が、浄瑠璃寺で徘徊犬について聴取(乙51)。

    • 犬の徘徊は頻繁で、昨日は2グループ(①7頭グループ、②5頭グループ)が寺境内を徘徊していた。
  16. 平成31(2019)年2月12日、奈良市東部出張所長から奈良市保健所に電話。平成31(2019)年2月20日に奈良市保健所が東部出張所長に、県道沿いの犬は見かけないと確認をとっていることから、県道沿いに犬が徘徊していたことを通報した電話と思われる。

  17. 平成31(2019)年3月13日、京都府山城南保健所が浄瑠璃寺近隣で徘徊犬について聴取(乙51)。

    • 夜間に犬が3頭ほど徘徊していた。

4)村田養豚場(村田畜産/村田商店)は放し飼いにしている飼い犬と野犬を区別していない。

  1. 仮に村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、村田養豚場周辺にいる犬について、飼い犬とそれ以外の徘徊犬を区別しているとすると、飼い犬以外の徘徊犬は、防疫上のリスクに他ならないので、飼い犬以外の徘徊犬を捕獲するよう奈良市保健所に依頼するはずである。しかし村田養豚場(村田畜産/村田商店)が奈良市保健所に徘徊犬を通報したり、徘徊犬の捕獲を依頼した記録は一切ない。

  2. 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、檻や囲いの外にいる犬について、飼い犬とそれ以外の野犬を区別して餌を与えておらず、村田養豚場周辺にいるどの犬でも容易に近づける場所に餌を置いている。また村田養豚場では豚の餌の管理がずさんで、カラスや徘徊犬が、市道脇のドラム缶に入れられた豚の餌を食べていることも多い。加えて、目的は不明であるが、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は敷地の外の数カ所で、定期的に地面に餌を撒いている。この地面に撒かれた餌は、周辺の徘徊犬だけでなく、カラスは当然のこととして、豚コレラを媒介するされるイノシシをも引き寄せている(乙56)。

  3. 平成31(2019)年2月14日、村田養豚場(村田畜産/村田商店)代表〈村田商店代表乙〉と見られる人物が、京都府山城南保健所が捕獲した犬を引き取っている。浄瑠璃寺野犬についての経過文書(乙51)に「飼い主娘」に返還とあることから、この人物は村田養豚場(村田畜産/村田商店)代表〈村田商店代表乙〉であると推定できる。

    この6日後の2月20日、村田養豚場(村田畜産/村田商店)とみられる人物が奈良市保健所を訪れ、犬を登録している(乙33:2月20日付の記事)。奈良市保健所犬担当の浦久保が口頭で情報提供したところによると、この時の登録は多かったとのことである。当会代表の「10頭程度か」との問いに、浦久保は「そんなような数です」と答えた。

    京都府山城南保健所において、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に犬が返還されたのは、約一年ぶりのことで、この間京都府山城南保健所では、首輪のない徘徊犬を11頭捕獲し、淡々と処分している。したがって、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が2月14日にその事実を知り、これ以上犬が減らないように、多数の犬を一度に登録したとも考えられる。

    いずれにせよ村田養豚場(村田畜産/村田商店)の都合次第で、多数の犬が登録され得るのであれば、村田養豚場周辺の徘徊犬が、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の飼い犬であるかどうかについては、ただ村田養豚場(村田畜産/村田商店)の心のうちにあるというほかはない。これではその犬が飼い犬かどうか、他者が見分けることは不可能である。外形的には、どの犬にも餌が与えられており、首輪のあるなしに拘わらず、どの犬も、村田養豚場が放し飼いにしている犬に見える。

以上アイウのとおり、実態として、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は放し飼いにしている飼い犬と野犬とを区別していないが、訴状にあるように、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、村田養豚場周辺には飼い犬以外の野犬もいると主張するので、奈良市保健所は、放し飼いだけでなく野犬への餌付けをやめるよう指導しているのである(乙41)。

5)村田養豚場(村田畜産/村田商店)には村田養豚場周辺の徘徊犬のほとんどを収容した実績がある。

平成28(2016)年3月17日、京都府山城南保健所が奈良市保健所に要望書を発出している(乙44)が、これを受け奈良市保健所などからの圧力が強まったことにより、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は同年3月末ごろから、犬の囲いを増設し、多くの犬を囲いの中に入れるようになった。それと同時に、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、村田養豚場付近で奈良市保健所が犬を捕獲することを一時的に容認している。これにより村田養豚場周辺の徘徊犬は激減した。本件記事 FACT.6 で「2016(平成28)年5月現在の現状を報告します。」として報告している状況が、ちょうどこの頃に当たる。

平成28(2016)年5月31日には、京都府山城南保健所が奈良市保健所を訪れ、「(村田養豚場)周辺で見かける犬がほとんどいなくなった。浄瑠璃寺でも見かけなくなり、捕獲箱は置いてあるが閉めてある状態である。指導対応していただいたことに感謝している」と礼を述べている(乙33)。

ところが本件記事で「ベニア板で作られたにわか作りの囲いの中や、建物の二階に犬を多数押し込めているのが実態です。このような飼い方が長続きするとはとても思えません」と指摘した通り、一年と待たず犬の放し飼いは再開された。京都府山城南保健所も、平成29(2017)年4月には二度にわたって村田養豚場周辺で現地確認し、犬の捕獲の再開を決めている(乙45乙46)。

しかしこの一件は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)がその気にさえなれば、村田養豚場周辺の徘徊犬のほとんどを、囲いの中に収容し続けられることを示すものである。したがって、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、1)で示した奈良市保健所及び京都府山城南保健所の指導に従うのに、なんら支障があるようには考えられない。もし村田養豚場(村田畜産/村田商店)が放し飼いをしたいのであれば、市道の両側にある敷地のそれぞれを柵で囲い、その中でのみ犬を放し飼いにするべきである。

6)犬の放し飼いは豚コレラ対策にならない。

農林水産省は、豚コレラ対策としても、犬の放し飼いを認めていない。平成29(2017)年9月に農林水産省消費・安全局が作成した「豚肉の生産衛生管理ハンドブック〜養豚農場・生産者編〜」には、ペット動物について次のように書かれている(乙57)。

犬や猫などのペット動物を衛生管理区域に入れないようにしましょう。

  • 犬や猫も、食中毒菌に感染していたり、毛や足の裏などの体表に食中毒菌が付いていたりすることがあります。

  • 防犯など実用目的で飼われている動物(番犬など)が衛生管理区域内にいる場合は、それらの動物が豚舎に出入りし、豚と接触しないようにしましょう。また、必要以上に衛生管理区域を出入りしないようにしましょう。

したがって、犬の放し飼いがそもそも飼養衛生管理基準上、全く適切でないことは明らかである。

また、平成30(2018)年12月28日に、全国の都道府県畜産主務部長宛に発出された通達「岐阜県で摘発された豚コレラ6例目の豚飼養農場における疫学調査結果を踏まえた飼養衛生管理基準の再徹底について」では、下記のとおり、飼養衛生管理基準第4「野生動物等からの病原体の侵入防止」を、さらに徹底することが求められている(乙58)。

外部からゴミ(食べ残し、野生動物の死骸など)を持ち込むリスクがあることから、野生も含め犬・猫等の愛がん動物を衛生管理区域内で飼養しないこと。

すなわち農林水産省は、豚コレラ対策の観点からは、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張とは逆に、衛生管理区域内で犬を飼わないよう求めているのである。

まして村田養豚場の場合、餌の管理がずさんな上、敷地周辺に餌が撒かれているため、農林水産省の懸念はまさに当たっている。敷地周辺に撒かれた餌は、野生のイノシシも口にしている。イノシシが餌を食べた直後に、放し飼いの犬が同じ餌を口にすることは十分にあり得る。加えて放し飼いの犬は敷地内外を自由に移動しており、豚の餌が入っているドラム缶に鼻面を突っ込むこともしばしばである。したがって、村田養豚場が放し飼いにしている犬が、野生動物の持つ病原体を養豚場に持ち込む可能性は決して低くない。犬の放し飼いは、むしろ豚コレラ感染リスクを高めていると言わなければならない(乙56)。

また村田養豚場周辺では、あちこちに餌となるものが散乱しているため、カラスが異常に繁殖している(乙34乙56)。近年では、浄瑠璃寺上空に数百羽のカラスが現れることも増えている(乙50)。こうした現状は、村田養豚場が、豚コレラ対策以前に、飼養衛生管理基準を遵守していないことを示唆するものである。三重県でも豚コレラ感染イノシシが見つかる中、隣接する奈良県がこうした劣悪な衛生管理状況を放置していることは、村田養豚場脇を流れる赤田川の下流にあたる京都府にとっても無視できないリスクとなっていると言える。

以上のように、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張はすでに奈良市保健所及び京都府山城南保健所から完全に否定されている。また村田養豚場(村田畜産/村田商店)による犬の放し飼いの実態は、イノシシを追い払うために短時間犬を放つというようなものではなく、放し飼いにされた犬が広範囲を群で移動する、極めて危険なものである。加えて、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による犬の放し飼い及び野犬の餌付けは、村田養豚場の餌の管理がずさんであることと合わせ、豚コレラを含む防疫上の重大なリスク要因となっている。

1 争点とすべき記事内容

本件記事において、重大なる虚偽事実の摘示は、次の部分である(下線は、本書面にて、重要部分に付したもの)。

  1. 「村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、50匹以上の犬を放し飼いにし、通行人を恫喝するなどして、長年にわたり公道を占拠し続けてきました。2015年末には、村田養豚場が放し飼いにしている犬が10匹単位で、隣接する観光地である木津川市浄瑠璃寺に入り込む事態となっています。」(11頁本文1行目~12頁1行目)。

  2. 「奈良県家畜保健・・・公道の占拠にも率先してお墨付きを与えています。奈良県家畜保健・・・村田養豚場の不法行為に加担しています。」(12頁2行目~5行目)。

  3. 「下図は犬の徘徊状況です。」(12頁本文6行目及び図)

  4. 「ざっと数えただけでも50匹以上、山林に・・・もっと多くの犬が、村田養豚場周辺を徘徊していました。下写真は・・・ものです。」(13頁1行目~4行目及び写真部分)。

  5. 「放し飼いにしている犬は、浄瑠璃寺でも頻繁に目撃されています。」(13頁6行目及び写真)。

  6. 「2015年の末ごろからは、村田養豚場が放し飼いにしている犬が、10匹単位で早朝の浄瑠璃寺に現われるようになり、・・・境内に多数の糞を残して行くため、浄瑠璃寺が非常に困る事態となっていました。・・・下写真は・・・前住職葬儀の最中に現われた犬です。」(14頁1行目~5行目及び写真)。

  7. 「村田養豚場は、2012年ごろから、通行人を含め、あらゆるじゃまものを衛生管理区域を理由に遠ざけてきました。」(17頁12行目~13行目)。

  8. 「ところが村田養豚場は、この道は私道であるから・・・しばしば通行人を脅しています。」(23頁5行目~6行目)。

  9. 「下記は2015年10月ごろに、・・・しかしよく平気で嘘がつけるものだと感心しています。」(23頁8行目~24頁)。

  10. 奈良県家畜保健衛生所の職員は、村田養豚場を指導した際、木津川市に対し「私道だから通れないと言え」と要求され、・・・伝えたのです。」(25頁6行目~7行目)。

  11. 「しかも奈良県家畜保健衛生所は、・・・実際に職員が村田養豚場による通行妨害に協力しています。下記は・・・奈良県家畜保健衛生所が村田養豚場に言われるまま、公道の通行妨害に加担してきた」(26頁3行目~7行目)。

  12. 「以前から東鳴川の人に・・・ふつうの人は通行を断念してしまうにちがいありません。」(26頁8行目~27頁)。

以上、ア乃至シで記載されていることをまとめると以下のとおりとなる。

==村田商店が経営する村田養豚場は、50匹以上のもの犬を放し飼いにしており、 その犬は、養豚場の敷地を越えた広範囲を徘徊しており、浄瑠璃寺まで入り込むという事態になっている。また、村田養豚場は、接豚場の敷地の間にある公道(里道)を「衛生管理区域」を理由に占拠し続けてきた。

村田養豚場は、里道を通行しようとする者に対して、恫喝をし、罵習雑言を浴 びせ、名前や住所を要求したりすることで、通行を諦めさせるような行為を続けていた。

このように、村田養豚場は、公道の占拠、犬の放し飼いという不法行為を行っ てきたが、奈良県家畜保健衛生所は、村田養豚場の言いなりであり、適切な指導をしようとしない。==

2 犬の放し飼いについて

(1)村田商店が経営する村田養豚場では、確かに犬の飼育は行っている。飼育している犬の数は、約20~30頭ほどであり、50頭以上もの多数ではない。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)が飼育している犬については、全て首輪が付けられており、首輪のついていない犬は村田養豚場(村田畜産/村田商店)が飼育する犬ではない。そもそも50匹以上の犬を放し飼いにし ていると記述する本件記事は、その数を誇張し、養豚場周辺で出没する野犬も、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が飼育するものであると誤信させるものである点で虚偽事実の記載があるといわねばならない。

(2)また、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、その飼育する犬を犬小屋や艦の中に入れて管理をしている。訴状でも主張をしているが、豚コレラを媒介するイノシシを養豚場内に侵入させないために養豚場敷地内で放すことはあるが、自由に放し飼いという状態にしていることはない。

(3) 本件記事の中で、木津川市浄瑠璃寺で、10数頭の犬が出没しているという内容があるが、かかる内容も真実ではない。浄瑠璃寺に出没しているのは単なる野犬であり、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が飼育する犬ではない。かかる記事内容も野犬の被害を村田養豚場(村田畜産/村田商店)に帰責させようとするものに外ならず、虚偽事実の記載である。

本件記事12頁において、2014年ごろの犬の徘徊状況として、図が示されており、その範囲は、養豚場の敷地を大きく越え、あたかも村田養豚場(村田畜産/村田商店)が飼育する犬が、 好き放題に広範囲を徘徊しているかのように記載されている。

しかし、同図は、真実を反映したものではない。図右下部の写真3枚については、犬の様子が映っているが、あくまでも養豚場の敷地内のものである。そして、 同図左下部で「ククリワナにかかった犬がいた場所」として、写真が示されているが、この犬は村田養豚場(村田畜産/村田商店)が飼育する犬ではない。このことは当会代表も確認をしているはずである。同写真の犬についての経緯は次のようなものであった。

  1. 同写真に映っている罠は、地元猟友会により仕掛けられたものであると考えられるが、その罠に犬がかかっているのを見つけた当会代表が、村田商店の養豚場を訪ねてきた。その際、当会代表は、養豚場の従業員男性に対し、「犬が罠にかかっているから助けてあげて欲しい。」と述べた。

  2. それを聞き、養豚場の従業員男性2名が、罠を外すための工具を持ち、現場へと向かった。そして、現地へとついた従業員男性は、犬の罠を外し、それが養豚場で飼育している犬ではないことを確認した。当会代表は、その現場に同行しており、罠にかかった犬が村田養豚場(村田畜産/村田商店)が飼育している犬ではないことを確認している。従業員男性によれば、犬が罠にかかっている現場で当会代表は、写真を撮っていたという。

(4)同写真は以上の経緯で撮影されたものであるにもかかわらず、当会代表は、あたかも村田養豚場(村田畜産/村田商店)が飼育している犬が罠にかかっており、それほど広範囲を徘徊していると誤信させるような記載を本件記事でしている。以上からすれば、犬の徘徊状況として記載されている図も虚偽事実の記載であるといわねばならない。

(1) 村田養豚場周辺を徘徊する犬の数について

ア 当会代表は、平成28(2016)年1月20日に、木津川市議会議員の〈木津川市議O〉とその支持者男性4名とともに、村田養豚場の間にある木津川市道を通り抜けているが、当会代表は当時、村田養豚場の諸問題について〈木津川市議O〉に相談しており、この日の村田養豚場通過は、現地を確認したいという〈木津川市議O〉の要望に応じたものである。

当会代表は、村田養豚場の現地を確認した後、〈木津川市議O〉及びその支持者らとしばらく話をしたが、その際、支持者男性(氏名不詳)が、「村田養豚場には少なくとも50頭の犬がいた。現地で数えた。実際にはもっと多くいたと思う」と述べた。当会代表自身の観察でも、村田養豚場を通過した際、少なくとも50頭は犬がいるように見えた。

以上のとおり、本件記事に「2016年1月には、ざっと数えただけでも50匹以上、山林に隠れている犬を含めればおそらくもっと多くの犬が、村田養豚場周辺を徘徊していました」とあるのは、〈木津川市議O〉の支持者男性の証言と、当会代表自身の観察に基づく。

なお、村田養豚場通過の際、〈村田商店代表乙〉と〈村田商店代表乙の父〉が、当会代表らに話しかけてきたため、写真を撮ることがはばかられ、現地を撮影した写真はあまりないが、本書面作成にあたり、当会代表あるいは〈木津川市議O〉らが当日撮影した写真に写っている犬の数を数えたところ、青い檻の中で飼養されているとされる4頭(乙36ー3頁)を加えると、32頭の犬が確認できた(乙91の1乃至3)。このうち6頭は明らかに首輪がなかった(乙91の1乃至3の赤字)が、首輪のない犬も首輪のある犬と行動をともにしており、村田養豚場(村田畜産/村田商店)も首輪のない犬を追い払うようなことはしていなかった。

乙91の2 は、〈村田商店代表乙の父〉の顔が入らないよう一部トリミングした上で、本件記事にも掲載した写真である。この写真に写っている人物のうち、青いリュックを背負っているのが当会代表で、当会代表に体を寄せているのが〈村田商店代表乙の父〉である。このとき当会代表は、当会代表の立っている木津川市道の右手、村田養豚場の休憩小屋の前(南側)あたりに、多数の犬がたむろしているのを見ている。また、村田養豚場敷地南側の市道にも、数頭の犬が徘徊していた。

したがって、平成28(2016)年1月に、村田養豚場に50頭以上の犬がいたと記載することは、まったく誇張ではない。

イ 村田養豚場周辺では、平成26(2014)年以降、平成31(2019)年3月までに、少なくとも103頭の徘徊犬が捕獲されたが、うち21頭が村田養豚場(村田畜産/村田商店)に返還され、残りの82頭はほぼ全数処分されている(当会代表第1準備書面35頁〜36頁乙35乙36乙49乙52乙53乙54)。このうち、平成28(2016)年1月以降に捕獲され、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に返還されることなく処分された徘徊犬の数は、京都側で22頭(乙52乙53)、奈良側で28頭(乙54)にのぼり、合計すると50頭となる。

したがって、現在も村田養豚場(村田畜産/村田商店)が約20〜30頭の犬を飼育しているとすると、当時、村田養豚場周辺には、少なくとも70〜80頭の犬が徘徊していたことになるから、平成28(2016)年1月20日に、村田養豚場周辺に50頭以上の犬がいたとしても、何ら不思議はない。

ウ 平成24(2012)年2月27日、木津川市議会議員〈木津川市議P〉が、木津川市に、村田養豚場で多くの犬が放し飼いになっていることについて苦情を申し立てているが、その際、支持者が数えた数として、40頭以上の犬を確認したと述べている(乙34)。

(2) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)が飼育する犬には、必ずしも首輪がつけられていなかった。

ア 平成26(2014)年3月4日に、木津川市、京都府山城南保健所、奈良市保健所が合同で、犬の捕獲場所の視察と情報交換を行っているが、このとき奈良市は次のように報告している。(乙35ー2頁)

  • 「奈良市としては首輪を付ける、囲うように指導しており、首輪に(村田の)名前が書いてあるようになった。しかし、首輪が外れた等全ての犬に徹底できていないとのことだった。」

イ 平成26(2014)年3月26日に、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が京都府山城南保健所を訪れ次のように発言している。(乙36ー3頁)

  • 「奈良市から野犬か自分の犬か区別するように指導を受けており、自分の犬に首輪をつけた。ただし犬によっては首輪を嫌がって外してしまい、以降首輪を着せなくなった犬もいる。」

ウ 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、平成26(2014)年3月18日に、平成26(2014)年3月13日及び3月14日に浄瑠璃寺近くで捕獲された、首輪のない犬2頭を、飼い犬として引き取っている。(乙36ー別表)

(3) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、飼い犬を収容するのに十分な、犬小屋あるいは囲いを整備したのは、平成28(2016)年3月末ごろである。

ア 平成28(2016)年3月25日に、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は京都府山城南保健所に対し、次のように述べている。(乙92ー1頁。下線は当会代表による)

  • (ア) 「現在、犬を囲うオリを作っている最中。既に30万以上は費やした。群れごとに分けており、将来はオスメスに分けて入れるようなオリを目指す。」

  • (イ) 「イノシシ対策として、犬の放し飼い以外の方法(電柵の設置等)は過去にも検討している。」

イ 平成28(2016)年5月10日に、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は当会代表を刑事告訴しているが、その告訴状の中で次のように述べている。(甲9ー8頁。下線は当会代表による)

  • 「告訴人は,被告訴人からの誹謗中傷を受けることを避けるため、飼い犬を檻の中に入れる、立て札を外すなどした」

ウ 当会代表は、本件記事の「FACT.6 何も変える気がない奈良県と奈良市」において、「2016年5月現在の現状を報告します」として、「2016年3月ごろから村田養豚場では、放し飼いにされていた犬が、狭い囲いの中に押し込められるようになりました」と記述し、写真とともに、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が設置した新しい囲いについても記載している(甲2)。しかし、残念ながら、その後村田養豚場(村田畜産/村田商店)による犬の放し飼いは再開された(乙55乙60)。

(4) 浄瑠璃寺周辺の徘徊犬について

ア 平成28(2016)年3月1日に、山城南保健所は村田養豚場を抜ける里道の現地確認を行っており、次のように報告している。(乙42

  • (ア) 「浄瑠璃寺〜村田養豚の入口までの里道において、多数の犬の足跡が認められた。」

  • (イ) 「また、複数の徘徊犬(少なくとも4頭)が京都府内の里道を徘徊していた。」

  • (ウ) 「村田養豚場内では多数の犬が放し飼いにされており、これらが里道の上から吠えかかるため、里道を通行することが出来なかった。(元の道を戻りました。)」

  • (エ) 「上記里道については、例え家畜伝染病予防法の「衛生管理区域」の対象外となったとしても、多数の徘徊犬が存在しているため、一般人が通行することは困難であると考えます。」

イ 京都府山城南保健所の平成28(2016)年3月10日付け伺い書に、次の記述がある。(乙93

  • 「現地確認(3月1日)の結果、未だに養豚場内では多数の犬が放し飼いにされており、それらの犬が京都府内に侵入していることが確認されました。」

ウ 平成28(2016)年3月17日に、京都府山城南保健所が奈良市保健所に手交した要望書に、次のような記述がある。(乙44

  • 「先日も村田養豚場内を徘徊している犬が浄瑠璃寺側へ出入りしている様子を確認したところです。」

エ 平成26(2014)年以降、平成31(2019)年3月までに、浄瑠璃寺周辺で捕獲された徘徊犬のうち、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は19頭の返還を受けている。うち2頭は首輪のない犬であった。(当会代表第1準備書面35頁〜36頁乙36乙52乙53

オ 当会代表は、浄瑠璃寺周辺で首輪のある犬を度々目撃している(乙55(7)・(8)・(14)・(15)・(20)、乙60(2)・(3))。平成31(2019)年2月5日に撮影された、乙55(15)に写っている、青い首輪をつけた白い犬など3頭の犬は、その直前に撮影された、村田養豚場周辺を山の上から撮影した写真にも写っており、まさにこの時、これらの犬が村田養豚場周辺から浄瑠璃寺方面に向かっていたことが見て取れる(乙60(19))。

(5) 村田養豚場内を徘徊している犬の行動範囲について

ア 本件記事において当会代表が図示した犬の徘徊範囲(甲2ー12頁)は、当会代表が実際にその範囲内で犬を目撃したことに基づく。

イ 平成26(2014)年3月4日に、木津川市、京都府山城南保健所、奈良市保健所が合同で、犬の捕獲場所の視察と情報交換を行っているが、このとき奈良市は次のように報告している。(乙35ー2頁。下線は当会代表による)

  • (ア) 「村田養豚場の犬は20頭ぐらいとのことだが今のところ8頭登録されており、捕獲犬の返還時に登録させている。」

  • (イ) 「広範囲を移動しており、若草山で捕獲された犬について村田養豚場が引取に来たこともあった。」

ウ 上述イの(ア)から、村田養豚場(村田畜産/村田商店)がしばしば奈良市保健所から捕獲犬の返還を受けていたことがわかるが、乙35に資料として添付された地図によれば、奈良市保健所が捕獲箱を設置していたのは、二ノ尾墓地(①)、ニノ尾墓地から県道33号線を挟んで南側の里道(②)、県道33号線と国道369号線の分岐から西へ入る里道(③)の三箇所である(乙35ー2頁)。

これら捕獲箱の設置場所は、いずれも、本件記事において当会代表が図示した犬の徘徊範囲よりも、村田養豚場から離れている。すなわち、奈良市保健所の報告から、当会代表の図示した犬の徘徊範囲よりも遠くで捕獲された犬について、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が返還を求めたことがあるとわかる。

(6) 本件記事記載の犬の徘徊状況の図(甲2ー12頁)にある写真3枚に写っている犬がいる場所は、下記の通り、いずれも村田養豚場の敷地の外である

ア 「養豚場に近づくと放し飼いの犬が多数集まってきます」とキャプションのある写真は、平成26(2014)年2月1日午後1時25分に、赤田川北側の林の出口付近で撮影された(乙94の1、位置図:乙94の4)。犬がいるのは、木津川市加茂町西小長尾谷1ー乙(本件土地3)と木津川市加茂町西小長尾2(本件土地2)に挟まれた木津川市道のあたりで、明らかに村田養豚場の敷地ではない。また、写真に写っている8頭の犬のうち、少なくとも2頭には首輪がつけられていない。

イ アの下、左側の写真は、平成26(2014)年2月11日午後4時9分に、村田養豚場南側の道で撮影された(乙94の2、位置図:乙94の4)。写真左奥の車やトラックが置かれている場所は、村田養豚場の駐車場であるが、右手前から右奥へ伸びているのは、奈良市の市道(正確には手前のわずかな区間は勝手道である)である。この写真に写っているのは、村田養豚場周辺にいる犬が、村田養豚場敷地内の駐車場から、敷地外の道路へ、まさに好き勝手に飛び出しているところである。なお手前の4頭とも首輪をしていない。

ウ アの下、右側の写真は、平成26(2014)年2月11日午後4時10分に、村田養豚場の敷地の間にある木津川市道で撮影された(乙94の3、位置図:乙94の4)。また、写真に写っている11頭の犬のうち、少なくとも2頭には首輪がつけられていない。

(7) ククリ罠にかかった犬を救出した経緯

ア 村田養豚場(村田畜産/村田商店)が主張する、ククリ罠にかかった犬を救出した経緯は、事実と異なる。実際には次のような経緯であった。

  1. (ア) 平成26(2014)年2月11日、当会代表は中ノ川町の山林に残る中川寺跡を踏査する目的で、中ノ川町の山林へ向かった。山林の中、谷を遡り中ノ川町共同墓地の下あたりに差し掛かった時、少し上の木の陰あたりから、犬が激しく吠える声が聞こえた。

  2. (イ) 当会代表は、平成26(2014)年2月1日にも、2月11日に犬が吠えてきた場所に近い里道で、村田養豚場からやって来たと思われる徘徊犬を見かけていた(乙95の1)ため、当会代表は、また近くまで徘徊犬が来ているのだろうと考え、しばらくすればどこかへ行くはずだと思い、犬の声がする場所から少し離れた山林を踏査しつつ、犬の様子を伺っていたが、その間犬が移動する気配が全くなかった。

  3. (ウ) 犬が動かないことを訝しく思い、当会代表が犬の方へ近づいてみると、黒茶の犬がククリ罠にかかっていることがわかった。当会代表はなんとか罠を外そうとしたが、犬が激しく暴れ、すぐに噛み付こうとするため、やむなくそれを断念した。

  4. (エ) そこで当会代表は、ククリ罠にかかった犬のことを保健所に連絡するほかないと考えたが、現場は山林であり、土地勘がないであろう保健所職員に携帯電話で場所を伝えることは難しいと判断し、またそれ以上現地で犬に時間を取られることがわずらわしく感じられたため、一旦犬を放置して、帰宅後、保健所にメールで、地図画像上に場所を示して、ククリ罠にかかった犬のことを知らせることにした。その際保健所に、現地の状況を伝えるため、ククリ罠にかかった犬の写真を撮影した。 当会代表がククリ罠にかかった犬を撮影したのは、平成26(2014)年2月11日午後2時13分である(乙95の2)。

  5. (オ) その後当会代表は、当初の予定通り、中川寺跡の踏査を行った。当会代表は、予定していた時間より遅い時間まで中ノ川町の山林を調べていた。(乙95の3)

  6. (カ) 午後4時ごろ、当会代表は村田養豚場の敷地の間を通り抜ける木津川市道に差し掛かった(乙94の2及び3)。当会代表がこの道を通って帰ることにしたのは、単純に一番の近道だからである。

    前述の通り当会代表は、ククリ罠にかかった犬は、村田養豚場の犬だろうと考えていた。それまでにも、村田養豚場から来たと思われる犬を、中ノ川町の山林で目撃していた(乙95の1)ことに加え、村田養豚場の犬は、黒茶の雑種犬が多く(乙52乙53乙54)、ククリ罠にかかった犬は黒茶で、この特徴によく一致していたためである。

    しかし当会代表は、この時までに、それがいつのことで誰から聞いたのか記憶が定かでないが、おそらく奈良市クリーンセンターの中ノ川町への移転に反対する奈良市内の団体に属する人など複数の人物から、「以前村田養豚場を通り抜けて浄瑠璃寺へ行こうとしたが、農場主に通れないと言われ、押し問答になった。最終的に恫喝してきたので、諦めて別の道を歩いた」という主旨のことを聞いていた。また、平成26(2014)年2月1日に、中ノ川町の三社神社で、地元の高齢女性二人組から、「犬がたくさんいるから危ない。あんなところに近づいてはいけない。怖い目にあうからやめときなさい」と忠告も受けていた。

    一方で当会代表は、それまでに何度か村田養豚場を通り抜けた経験から、通行人に声をかけてくるのは、〈村田商店代表乙の父〉と〈村田商店代表乙〉だけであり、他のほとんどの従業員は、敷地の間にある木津川市道を誰かが歩いていても何も言わないことを知っていた。従業員は、近くに〈村田商店代表乙の父〉か〈村田商店代表乙〉がいれば呼びに行くことはあったが、当会代表が足早に通り抜けてしまえば、〈村田商店代表乙の父〉あるいは〈村田商店代表乙〉に、後ろから「通行できない」といったことを言われることはあっても、追いかけてきて通行を制止されるようなことはなかった。

    そのため当会代表は、日暮れが迫っていたこともあり、当初は、いつも通り、村田養豚場を素早く通り過ぎるつもりであった。しかし、村田養豚場を少し通り過ぎたところで、やはりククリ罠にかかった犬がかわいそうに思い、引き返して、村田養豚場の従業員男性に声をかけた。

  7. (キ) 当会代表が「山中で罠にかかっている犬を見たが、ここの犬ではないか」と村田養豚場の従業員男性に声をかけ、午後2時13分にiPhoneで撮影した犬の写真を、iPhoneの画面に映して従業員男性に見せると、「確かにうちの犬だ」ということになった。その場には〈村田商店代表乙の父〉もいた。

  8. (ク) 当会代表は、ククリ罠にかかった犬がいる場所を口頭で説明したが、村田養豚場の従業員男性は、その場所がまったくわからないようであった。そのため当会代表は、従業員男性から「一緒に軽トラに乗って、現地まで案内してほしい」と要請された。当会代表はそれを承諾し、従業員男性2名とともに、村田養豚場の軽トラで、ククリ罠にかかった犬がいる場所へ向かった。

  9. (ケ) 当会代表はこの時、従業員男性に、村田養豚場には犬が何匹いるのか聞いたが、従業員男性が「何匹いるのかわからない。勝手に増えた。時々いなくなるやつもいる」という主旨のことを、事も無げに答えたので、当会代表は少なからず驚いた。当会代表が、その後インターネット上の記事に「違法性を認識していない従業員」と記載した(甲9)のは、この時の経験に基づく。

  10. (コ) それまで当会代表は、車で中ノ川町共同墓地を訪れたことはなく、軽トラとは言え、細い山道を奥まで車が入れるのか、入れたとしてもUターンして引き返せるのか確信が持てなかった。そこで当会代表は、中ノ川町の民家があるあたりで一旦軽トラを停めてもらい、まずは徒歩で、従業員男性らを現地へ案内しようとした。

  11. (サ) ところが中ノ川町共同墓地の手前に駐車スペースがあったため、従業員男性は、「これならここまで軽トラで入った方が良い」と言い、軽トラを取りに戻った。

  12. (シ) 上記のような経緯があり、当会代表が従業員男性とともに現地に到着するまでには、当会代表が思っていたより時間がかかった。

  13. (ス) 現地でククリ罠にかかった犬を確認した従業員男性は、「いつも???(具体的な場所を言っていた記憶はある)のあたりにおるやつや」「こいつこんなとこまで来とるんか」と言っていた。

  14. (セ) 当会代表は、犬の救出を手伝おうとしたが、やはり犬が噛み付こうとするため、従業員男性から手を出さないよう言われた。そこで道具が必要だという事になり、もう一人の従業員男性が軽トラに道具を探しに行った。

  15. (ソ) そのころにはあたりがかなり暗くなってきており、救出にはまだ時間がかかりそうだったため、当会代表は暗くなってきたので先に帰る旨、従業員男性に伝え、山道を帰路についた。なお当会代表は、従業員男性2名を、ククリ罠にかかった犬のところへ案内した時には、今さら必要もないので写真を撮っていない(乙95の3)。また当会代表は、従業員男性らが、犬の罠を外すところは見ていない。

  16. (タ) 当会代表が、帰路、再び村田養豚場の間にある木津川市道を通った際、〈村田商店代表乙の父〉に、無事犬を見つけて今犬を助けているところだと伝えると、〈村田商店代表乙の父〉は当会代表に礼を述べた。

  17. (チ) 当会代表は、この時点では「村田養豚場の人は、意外と話が通じるのかもしれない」と感じ、その後村田養豚場を通り抜けたときに、〈村田商店代表乙の父〉に「あの犬は元気にしていますか」などと声をかけた事もある。すると〈村田商店代表乙の父〉は、少し困ったような顔をしていたが、「おう元気にしとる」と答えていた。当会代表は、犬を助けた後しばらくは、それまでのように「通行できない」と声をかけられることもなかった。

イ 村田養豚場(村田畜産/村田商店)が主張する、ククリ罠にかかった犬を救出した経緯は、飼い犬を適切に飼養しているとする村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張と矛盾する。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張によれば、「現地へとついた従業員男性は、犬の罠を外し、それが養豚場で飼育している犬ではないことを確認した」(村田養豚場(村田畜産/村田商店)第2準備書面4頁、第1ー1ー(3)ーイ)とのことであるが、仮に、「村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、その飼育する犬を犬小屋や艦の中に入れて管理をしている。訴状でも主張をしているが、豚コレラを媒介するイノシシを養豚場内に侵入させないために養豚場敷地内で放すことはあるが、自由に放し飼いという状態にしていることはない」とする村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張が真実であるとすると、このような経緯はあり得ない。

なぜなら、ククリ罠にかかった犬が村田養豚場の飼い犬であるかどうかは、現地に行かずとも、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が村田養豚場に整備されていたと主張する囲いの中を確認し、犬の数を数えれば、容易に判明するはずだからである。たとえイノシシ除けのため一時的に放している飼い犬がいたとしても、飼い犬を適切に管理しているという村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張が真実だとすれば、飼い犬が敷地の外には出ないよう、目の届く範囲にそれらの飼い犬は管理されていたはずであり、やはり容易に存在を確認できなければならない。

すなわち、現地で村田養豚場で飼育している犬ではないことを確認したとする村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張は、「村田養豚場の飼い犬には、敷地外のどこにいるかわからない犬が含まれる」ということが前提されているのである。

(8) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)が何をもって飼い犬と野犬を区別しているのか不明である

ア 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は飼い犬について正確な数を提示しておらず、下記の通り、あやふやな数のみを主張している。

  • (ア) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)が訴状において示した飼い犬の数は「30匹ほど」である(訴状8頁)。

  • (イ) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)が村田養豚場(村田畜産/村田商店)第2準備書面において示した飼い犬の数は「約20〜30頭ほど」である(訴状3頁)。

イ 村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張する飼い犬の数は、下記の通り、狂犬病予防法に基づいて登録された犬の数と一致していない。

(ア) 平成26(2014)年3月4日に、木津川市、京都府山城南保健所、奈良市保健所が合同で、犬の捕獲場所の視察と情報交換を行っているが、このとき奈良市は次のように報告している。(乙35ー2頁。下線は当会代表による)

  • 「村田養豚場の犬は20頭ぐらいとのことだが今のところ8頭登録されており、捕獲犬の返還時に登録させている。」

(イ) 平成28(2016)年3月17日に、京都府山城南保健所が奈良市保健所に要望書を手交した際、奈良市保健所が次のように主張している。(乙44。下線は当会代表による)

  • ① 「村田養豚場の犬の数は把握できていない。」

  • ② 「登録と予防注射については、お金がないので全頭できていない。少しずつ実施させている段階である。」

ウ 上述(2)で検討した通り、村田養豚場には、首輪をつけていない飼い犬も存在した。

エ 当会代表は、村田養豚場の敷地の内外で、首輪のある犬と首輪のない犬が行動を共にしているようすを何度も目撃している(乙56乙60乙91の2及び3、 乙94の1乃至3 )。

オ 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、餌やりにおいて、首輪のある犬と首輪のない犬の区別をしておらず(乙56ー写真(9)、(10))、村田養豚場の敷地内に首輪のない犬がいても、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が首輪のない犬を追い払っている様子は見られなかった(乙91の2)。また野犬が養豚場周辺を徘徊することは、防疫上問題があるにも拘わらず、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、奈良市保健所に対し、野犬の捕獲を要請した記録もみつかっていない。

カ 村田養豚場(村田畜産/村田商店)には、平成28(2016)年3月末ごろからしばらくの間、村田養豚場周辺にいた犬を、ほぼ全頭囲いの中に収容した実績がある。

その結果、平成28(2016)年5月31日に、京都府山城南保健所が、奈良市保健所を訪れ、「(村田養豚場)周辺で見かける犬がほとんどいなくなった。浄瑠璃寺でも見かけなくなり、捕獲箱は置いてあるが閉めてある状態である。指導対応していただいたことに感謝している」と礼を述べている(乙33)。

残念ながら、その後村田養豚場(村田畜産/村田商店)による犬の放し飼いは再開された(乙55乙60)が、この一件は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)がその気にさえなれば、村田養豚場周辺の徘徊犬のほとんどを、囲いの中に収容し続けられることを示すものである。

以上ア乃至カから、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張する飼い犬の数とは、「村田養豚場(村田畜産/村田商店)が村田養豚場周辺で最低限徘徊させておきたい犬の数」という以上の意味がないようにも思われる。

少なくとも、本件記事で徘徊犬の状況について記述した、平成26(2014)年から平成28(2016)年1月ごろにおいては、村田養豚場周辺には首輪のない犬も多数徘徊しており、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の飼い犬への首輪の装着は徹底されておらず、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が首輪のない犬を追い払ったりもしていない中、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の飼い犬と、それ以外の野犬とを、正確に見分けることは、村田養豚場(村田畜産/村田商店)以外にはおよそ不可能と言ってよい状況にあった。

そこで、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対し、次の資料の提出を求めたい(後記求釈明)。

  1. 村田養豚場(村田畜産/村田商店)の飼い犬の正確な数がわかる資料。

  2. 村田養豚場(村田畜産/村田商店)の飼い犬のうち何頭が登録されているのかがわかる資料。

  3. 村田養豚場(村田畜産/村田商店)が何をもって飼い犬と野犬とを区別しているかがわかる資料。

(9) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、奈良市保健所・京都府山城南保健所の双方から、「害獣対策よりも通行人や地域住民への危害の防止が優先されることは疑う余地はありません(乙41)」などとして、犬を係留するか囲いの中に入れて飼育するよう、繰り返し指導を受けている。詳細は、当会代表第1準備書面32頁から35頁で、すでに述べた。

(10) 小括

以上の通り、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張は当を得ないものである。なお、当会代表第1準備書面35頁から43頁ですでに詳細を述べたように、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による犬の放し飼いの実態は、イノシシを追い払うために短時間犬を放つというようなものではなく、放し飼いにされた犬が広範囲を群で移動する、極めて危険なものであり、また、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による犬の放し飼い及び野犬の餌付けは、村田養豚場の餌の管理がずさんであることと合わせ、豚コレラ対策として犬を放っているとする村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張とは逆に、豚コレラを含む防疫上の重大なリスク要因ともなっている。

ISSUE.3
公道の違法占拠
はあったか

本件記事には、村田養豚場が、村田養豚場に隣接する里道に立入禁止の看板を立て、また、里道を通行しようとする者を恫喝することによって、里道を違法に占拠しているとの内容が記載されている。

看板を立てていた経緯については、平成23年、村田養豚場が、家畜伝染予防法に基づく衛生管理区域に指定されたことから、村田養豚場に隣接する里道を含めて、奈良県家畜保健衛生所の指導により立てたものである。そして、同看板は、平成28年には撤去されている。

このような経緯で看板を立てていたものであるが、村田養豚場は、県からの指導により看板を立てていたに過ぎず、その責任は村田養豚場にはない。にもかかわらず、村田養豚場が「違法に」公道を占拠しているという記載は、真実とは異なる。

さらに、村田養豚場が、里道を通行しようとする者を恫喝していたということについては、かかる事実は存在しない。そもそも同里道を通行する者はほとんどおらず、管理者である奈良市及び木津川市の管理が行き届かずに放置されたため、現在通行できない状態となっているに過ぎない。村田養豚場としては、同里道付近で道に迷っている通行人を、養豚場の従業員が車で目的地(岩船寺等)へ送り届けるなどの対応をしているものであり、本件記事のように通行人を恫喝しているなどと論難されるいわれはない。

したがって、本件記事の内容は、真実とは異なる事実を適示したものであるといわざるを得ない。

1)村田養豚場は現在も公道上で日常的に作業をしている。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)は現在も、養豚場の敷地の間にある、奈良市あるいは木津川市の市道上で、日中頻繁に、重機を用いた作業を行っている。とりわけ奈良市東鳴川町641土地と木津川市加茂町西小長尾谷6土地に挟まれた区間では、市道上で、運搬トラックを路上に停めての食品残渣の荷下ろし、路上に多数並べられた食品残渣の入ったドラム缶をフォークリフトで持ち上げ、ミニタイヤショベルのバケットに食品残渣を注ぎ込む作業、水を使ったドラム缶や重機の洗浄など、様々な作業が、断続的に、長時間行われており(乙59)、今なお村田養豚場の敷地の間にある市道は、安全に通行できる状況にはない。

市道上で作業をする村田養豚場従業員

市道上で作業をする村田養豚場従業員

すなわち、村田養豚場の敷地の間にある市道の現状は、本件記事において紹介した奈良交通のメールにある下記の状態から全く改善していない。

実際、浄瑠璃寺への道がどういった状況であるのかを確認いたしましたところ、道が途中で養豚場の敷地内に進入し、作業用の重機も往来しており、だれが見ても「これ以上奥へ進めない」状況であり、このような状況でお客様への案内に「浄瑠璃寺南口」は不適切であると判断した

2)村田養豚場の放し飼いの犬及び村田養豚場が餌付けしている野犬は通行の妨げとなっている。

1)で指摘した作業が行われていない間も、市道上あるいはそのすぐ近くに、常に数匹から10匹ほどの放し飼いの犬がいるため(乙60)、一般市民が市道を通行することが困難となっている。

村田養豚場による放し飼いの犬が恐怖を与え得るものであることについては、木津川市の平成19(2007)年第2回定例会における生活環境部長の答弁によっても指摘されている(乙6-6頁)。

◯生活環境部長(木下強)生活環境部長でございます。再度のご質問にお答えいたします。まず、犬の放し飼いの件でございますけれども、確かに私も年間数回現地を見に行ったりいたし、西小の方から重要河川をさかのぼって行けるところら辺までも行ったりという形でのことをしておるところでございます。上まで行きますと、数匹の犬がかなり意気込んで私たちの方に寄ってきますので、非常に恐怖を感じることでもあります。

また、京都府山城南保健所は、平成28(2016)年3月1日に村田養豚場を抜ける市道を現地確認した際、現地の状況を次のように評価している(乙42)。

浄瑠璃寺〜村田養豚までの里道において、多数の犬の足跡が認められた。

また、複数の徘徊犬(少なくとも4頭)が京都府内の里道を徘徊していた。

村田養豚場内では多数の犬が放し飼いにされており、これらが里道の上から吠えかかるため、里道を通行することができなかった(元の道を戻りました)。

<略>

上記里道については、例え家畜伝染病予防法の「衛生管理区域」の対象外となったとしても、多数の徘徊犬が存在しているため、一般人が通行することは困難であると考えます。

先に検討したように、放し飼いの犬についても、現在、状況は上記から全く改善していない(乙60)。

3)村田養豚場は市道を通行しようとする人を脅したり制止することがある。

  1. 平成27(2015)年11月13日の奈良市保健所への通報(乙40)。

    • 昨日(12日(木))の午前中に、木津川市から奈良市にかけての里道を通り、奈良市側の養豚場の傍まで行ったところ、6〜7匹の犬の取り囲まれて咬まれかけた(咬まれてはいない)。養豚場の人が出てきたが、「勝手に入るな」と叱られただけで犬については何もしなかった。養豚場は奈良市の管轄であろうが、犬は京都府の浄瑠璃寺あたりまで来ている。なんとか対応してほしい。養豚場の人にかなり脅されたので名前は言いたくない。
  2. 平成29(2017)年7月10日の木津川市まち美化推進課への通報(乙47)。

    • 昨日弥勒の道を歩いて村田養豚場付近まで行ったところ、複数の犬に取り囲まれ吠えられ怖い思いをした。養豚場から出てきた人に「入るな」とも言われた。(当会代表は該当する人物が思い当たらないが、「弥勒の道プロジェクト」のウェブサイトを見て、道を歩いてみたものと思われる。)

以上1)〜3)はいずれも奈良市法定外公共物の管理に関する条例第3条に反し、違法である(乙78)。

(行為の禁止)
第3条
何人も、法定外公共物の保全又は利用に支障を及ぼし、又は支障を及ぼすおそれのある行為をしてはならない。

奈良市法定外公共物の管理に関する条例

なお、奈良市公有財産規則第18条に「教育委員会及び部長は、その所管に属する土地の境界が明らかでないため管理に支障がある場合には、隣接地の所有者と協議のうえ、境界線上の主要な箇所に永久境界標を設置するとともに、土地境界確認書を作成しなければならない」との規定がある(乙79)。したがって、村田養豚場の敷地の間にある奈良市道について現状「土地の境界が明らかでないため管理に支障がある」のは明らかであるから、奈良市建設部長は境界確定を行う義務があると考える。

(境界確定の協議等)
第18条
教育委員会及び部長は、その所管に属する土地の境界が明らかでないため管理に支障がある場合には、隣接地の所有者と協議のうえ、境界線上の主要な箇所に永久境界標を設置するとともに、土地境界確認書を作成しなければならない。

奈良市公有財産規則

また、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は「そもそも同里道を通行する者はほとんどおらず、管理者である奈良市及び木津川市の管理が行き届かずに放置されたため、現在通行できない状態となっているに過ぎない」とするが、以下のとおり、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が長年にわたって実質的に市道(里道)の通行を妨げてきた実態がある。

  1. 平成14(2002)年から平成20(2008)年にかけ、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は市道を含む山林を掘削し続けた。掘削工事によって里道は跡形もなくなり(本件記事FACT.1)、通行が躊躇される状況であった(本件境界確定経緯参照)。
  2. 平成19(2007)年ごろから平成24(2012)年ごろにかけ、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は市道上に建築物を設置し続けた(本件境界確定経緯参照)。
  3. 平成23(2011)年から平成28(2016)年にかけ、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は市道を含めて衛生管理区域であるとして、市道上に立ち入り禁止の立て札を立てていた(村田養豚場(村田畜産/村田商店)自身本件訴状で認めている)。
  4. 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は二十数年前から村田養豚場周辺で犬を放し飼いにしており、この間現在に至るまで、京都府山城南保健所が「一般人が通行することは困難である」と評する状況(乙42)を継続してきた。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)が物理的に市道の通行を妨げていた期間だけを数えても、その合計は実に14年におよぶ。元の市道が掘削工事によって村田養豚場(村田畜産/村田商店)に跡形もなく損壊された上に、その後もこれだけの期間にわたって村田養豚場(村田畜産/村田商店)が市道の通行を妨げてきたわけであるから、たとえ村田養豚場周辺の市道が荒廃していたとしても、その責任の大部分は村田養豚場(村田畜産/村田商店)にあると言えよう。

そもそもこうした里道は隣接所有者の協力によって維持・修繕されるのが通例である。実際、木津川市加茂町西小地区では、現在でも毎年9月に、浄瑠璃寺から赤田川近くの林の出口付近までは、市道の草刈りをして、次の夏まで歩行に支障がないよう道を整備している(乙61)。しかしその先の、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が平らにした土地を通る市道については、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が放し飼いにしている犬が多数寄ってくるため、草刈りを断念し引き返しているのが実情である。

一方、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が西小地域の草刈りに協力したり、地域の草刈りに合わせて自発的に、赤田川北側の市道で草刈りをした事実はない。これは「奈良を代表する」ブランド豚を生産する農場としていかがなものか。どのような事情があれ、市道を破壊したうえ、長年の通行妨害によって市道の荒廃を進めたのは村田養豚場(村田畜産/村田商店)なのであるから、木津川市等の市道管理責任を問う前に、村田養豚場(村田畜産/村田商店)には、草刈りなどの市道の整備に協力する道義的責任があろう。市道が草むらに覆われがちなのは、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が山林を掘削して平らにした、赤田川北のほんのわずかな区間にすぎない。村田養豚場(村田畜産/村田商店)には、道に迷った人を車に乗せるよりも、その区間を草刈りして整備に努めた上で、わかりやすいところに道案内の立て札を立てることをぜひともお勧めしたい。

しかしながら最近になっても、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の意を受けていると見られる奈良県が、京都府なども通じて、木津川市に対し、防疫のため市道を封鎖して柵を作ることを認めるよう、執拗に要請している。市道の封鎖は違法であることから、現在のところ木津川市はこれを拒絶しており、もし必要であるなら、原因者である奈良県が地元に説明をするよう求めている。本件境界確定経緯や、先に述べた村田養豚場(村田畜産/村田商店)による長年の通行妨害を鑑みれば、木津川市が市道の封鎖を拒絶することは当然と言える。

先に村田養豚場(村田畜産/村田商店)による犬の放し飼いを検討する中で、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の衛生管理が劣悪であることに触れたが、奈良県がそうした状況を放置する一方で、木津川市道の封鎖にばかり熱心なのにはあきれるほかない。平成23(2011)年から平成28(2016)年にかけて市道を立ち入り禁止にしたのと同様、防疫を理由に再び市道を封鎖しようと画策する、奈良県のこのような動きには強い憤りを禁じ得ない。

  • 平成31(2019)年3月19日、赤田川の水質汚濁にかかる連絡調整会議で京都府が以下のように発言(乙62

    • 奈良県も、できれば県境付近の養豚場でも事業所を囲み対策を取りたい意向があるようだが、木津川市から指導が入り、囲むのは認められないと言われていると聞いている。
  • 平成31(2019)年3月27日、木津川市農政課との協議において奈良県畜産課長桜木が以下のように発言(乙63)。

    • 村田養豚場の敷地は木津川市に跨っているのと市道があり、市道を封鎖し柵を設置したい。
  • 平成31(2019)年4月17日、奈良県畜産課を訪問した木津川市に奈良県畜産課長溝杭が以下のように発言(乙64)。

    • 奈良県も本日、当該養豚場周辺に電気柵を設置したが、里道部分についてゲートを設けるなどの対応が取れないか検討してほしい。
  • 平成31(2019)年4月26日、奈良県畜産課長溝杭が木津川市を訪れ以下のように発言(乙65)。

    • 農場を柵で囲い込むことから市道を封鎖することになり、扉を市道の両端に設けたい。

なお、木津川市は令和元(2019)年5月7日、この件について京都府警木津署と協議している。このとき木津署交通課は「公道を遮断し、通行権を制限するには相当の事情が必要と考える。電気柵設置でイノシシ等野生動物の侵入を防ぐのであれば、豚舎等養豚場施設のみを包囲し、公道部分を解放することができるはずである。施設への出入りが不便になるという言い分は、申請者の身勝手である」と指摘している(乙75)。

公道の占拠について

(1)当会代表は、本件記事の中で、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、衛生管理区域を理由として、養豚場敷地の間にある里道や、養豚場周辺の公道から通行人を排除しようとし、恫喝するなどしていたと記載している。しかし、かかる記載も真実ではない。

(2)村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、当会代表が本件記事の中で主張するように養豚場敷地間の里道を通行しようとする者を恫喝してその通行を妨害したことなどない。訴状でも主張しているとおり、道に迷ったと思われる観光客に対して道案内をしたり、ときには、車で目的地へ送ったりしていたものである。

(3) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、養豚場周辺の里道を通行しようとする者に対し、声をかけたとすれば、それは当会代表本人かその関係者であると思われる人物に対してのみである。

先に述べたとおり、ククリワナにかかった犬の関係で、当会代表は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)従業員に犬を助けさせ、その際に撮影した写真を用いて、あたかも村田養豚場(村田畜産/村田商店)が飼育する犬が広範囲を徘徊しているかのような本件記事を作成している。このことは、当会代表が村田養豚場(村田畜産/村田商店)従業員の行為をを悪意を持って利用しているとしか考えられない。

このような事態を受けて、村田養豚場(村田畜産/村田商店)としては、当会代表から今後また同じように、虚偽事実を記載した記事をインターネット上に掲載されてしまうのではないかという危惧が生じ、当会代表及びその関係者が養豚場周辺に近づいてくるのを確認した際には、名前を聞いたり、「何をしているんだ。」と声を掛け、警戒することはあった。

本件記事に、第三者の証言という体裁で記載されている部分については、当会代表本人の体験を記載しているものであると考えられる。しかし、それは、養豚場に 関し、村田養豚場(村田畜産/村田商店)従業員が当会代表に利用され、虚偽事実をインターネットに掲載されたという経験から、当会代表が養豚場に近づくことを警戒してのことであり、公道を通行する人を妨害したということとは、全く次元の異なるものである。

また、本件記事によれば、罵詈雑言を浴びせたということや、いつ殴りかかられるような事態が起きないか等、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が相当な恫喝を行っているような記載がされているが、そのような事実はない。あくまでも、前述の経緯を踏まえ、当会代表が養豚場へ近づくことを警戒していたに過ぎない。

(4)以上のとおり、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、養豚場敷地の間の距道及びその周辺の公道に関し、通行人を恫喝し、妨害したことなどないにもかかわらず、あたかも全くの第三者たる通行人を恫喝し、何人も寄せつけようとせず占拠しているかのような内容を記載した本件記事は虚偽事実であるといえる。

公道を見捨てる奈良市行政(FACT.3)のうち、争点とすべき記事内容

  1. 「奈良市土木管理課は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)により奈良市の認定市道が占拠されていることを知りながら・・・何もしようとしません。」(29頁本文1行目~4行目)。

  2. 「・・・奈良市の公道である村田養豚場の敷地の間にある里道を、村田養豚場が不法に占拠している・・・」(29頁5行目~6行目)。

  3. 「厳然たる事実として、村田炎豚場では今や日常的に公道が作業場となっており、公道の不法占拠が続いています。」(31頁7行目~8行目)。

  4. 常に重機やトラックが公道上を右往左往し公道の真ん中で従業員が豚のエサとなる残飯の仕分けなどを行っています。」(32頁左上部)。

  5. 「橋の向こうは他人地ですが、村田養豚場により犬小屋や山小屋が建てられています。」(33頁左上部3行目~5行目)。

  6. 残飯の扱いがずさんなため、・・・カラスが大量に繁殖し、・・・田畑を荒らしています。」(33頁右上部1行目~3行目)。

  7. 「つまり、公道であるはずの里道が敷地の一部にしか見えない状況ということです。それも、長年親しまれたバス停名を代えなければならないほどの状況です。 ・・・違法な公道占拠が放置されていることを示す重要な証言です。」(46頁 21行目~24行目)。

以上、ア乃至キで記載されていることをまとめると以下のとおりとなる。

==村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、養豚場の敷地の間にある里道を、恒常的な重機、トラックの往来や、作業場とすることにより違法に占拠している。また、他人地にも犬小屋や山小屋といった施設を建て、また、残飯の処理がずさんなため、カラスの大量繁殖等が起こり、周辺の田畑に被害が及んでいる。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)による、里道の占拠が原因で、かつての「浄瑠璃寺南口」バス停は、「中ノ川東」バス停へと改名をせざるを得なくなった。行政は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)のこのような 違法な占拠に対し、里道と養豚場敷地との境界が確定していないことを理由に 何もしようとしない。==

里道の占拠について

(1)当会代表が主張する里道は、確かに養豚場敷地の間に存在しており、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の電機やトラックが往来をすることはある。里道を挟んで養豚場敷地が存在している以上、養豚場経営において、里道を重機やトラックが通行することそれ自体は避けがたいものである。

(2) しかし、本件記事で記載されているように、常に重機やトラックが公道上に存在していたり、公道のど真ん中で作業をしていたりという事実は存在していない。

当会代表が主張する里道の左右には確かに養豚場関係の物が置かれていることはあるが、公道を塞ぐ形では置かれていない。里道と養豚場敷地の境界が確定されて いない中、村田養豚場(村田畜産/村田商店)としては、里道を全て塞ぐようなことはせず、あくまでも通行することが可能な幅を確保しているものである。

そうであるにもかかわらず、常に養豚場の重機、トラックが里道上にあり、または、里道の真ん中で作業をしているため人が通行することができないかのような記載をしている本件記事については、虚偽事実の摘示であるといわねばならない。

(3)また、当会代表は、本件記事の中で、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の残飯処理がずさんなためカラスが大量発生し、近隣の田畑に被害を及ぼしているかのような記載をするが、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は適正に残飯の処理をしているし、養豚場が原因がカラスが繁殖していること、さらには、それが近隣の田畑に被害を及ぼしているということについて因果関係が不明であるにもかかわらず、養豚場が原因であるかのように決めつけ記載している。これも虚偽事実の記載である。

バス停の改名について

(1) 当会代表は、本件記事の中で、「浄瑠璃寺南口」バス停が、「中ノ川東」バス停に改名された経緯について、当会代表と奈良交通株式会社とのメールのやり取りによれば、浄瑠璃寺へ続く本件里道が、途中で養豚場内に侵入し、誰が見てもこれ以上奥へ進めない状況にあることから、「浄瑠璃寺南口」という名前が適切ではないと判断したためであるとしている。

そして、このメールの内容を受けて、当会代表は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が本件里道を違法に占拠していることを示す証言であると結んでいる。しかし、かかる内容も、当会代表の意見が強く反映されたものであり、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が里道を違法に占拠しているという事実はないにもかかわらず、断定するような記載をされているという点で虚偽事実の記載である。

(2)村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、里道を占拠するようなことをしていないのは前記のとおりであるが、そもそも、里道が隣接している施設が養豚場ということそれ自体が、一般人をして通行しにくいと感じさせる要因となっていると考えられる。

つまり、村田養豚場(村田畜産/村田商店)としては、養豚場の経営の中でも、里道は通行できるよう里道上に恒常的に設備を置いたりはしていないが、養豚場という性質上実際に通行をするということははばかられてしまうような状況があると思われる。

そうした状況から、バス停の名称として「浄瑠璃寺南口」という名前は不適切であり、「中ノ川東」という名前に改名をしたのではないかと考えられる。

(3) したがって、あたかも村田養豚場(村田畜産/村田商店)が原因となってバス停名を改名せざるを得なくなったように記載する本件記事は、虚偽事実の記載があるといえる。

公道の占拠(FACT.2)について

(1) 前述の通り、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張する、ククリ罠にかかった犬を助けた経緯は、事実と異なる。

(2) 当会代表は確かに、ククリ罠にかかった犬に関する記述がある記事「浄瑠璃寺裏の養豚場」をインターネット上に公開したが、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が記事の公開から間をおかず、当該記事の存在を知ったとは思われない。

ア 「弥勒の道プロジェクト」のウェブサイトは、狭い地域のマニアックな話題を取り扱っているため、1日あたりのアクセス数は全体で10〜20件ほどである。個別記事となると日々のアクセスはほとんどなく、まして観光地でも文化財でもない養豚場について書かれた当該記事へのアクセスは、非常に少なかった。

当該記事は、元々は、平成26(2014)年2月1日ごろ、浄瑠璃寺から東大寺まで、現在、京都府と奈良県の府県境にもなっている古い道を紹介する、全体で14ある一連の記事の一つで、当会代表は、当該記事に、養豚場の敷地の間にある木津川市道を通り抜ける上で注意するべきことなどを記載していた。

その後当会代表は、平成26(2014)年2月11日に、ククリ罠にかかった犬を見つけたので、そのことを、当会代表の率直な感想とともに、当該記事に追記した。道を安全に通行するためには、周辺に徘徊犬がいる可能性があることを、あらかじめ知っておいた方が良いと考えたためである。それ以降も当会代表は、新たに判ったことで、村田養豚場の敷地の間にある木津川市道を通行するにあたり知っておいた方が良いと思われる事柄については、折に触れ当該記事に追記していった。

しかし、当該記事では「村田養豚場」という固有名詞は使っておらず、上記の通り、もともとアクセスの少ないウェブサイトであったので、インターネット上の検索エンジンで、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に関連するキーワードで検索しても、当該記事が検索結果に表示されることは、まずなかったと思われる。

また村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、「弥勒の道プロジェクト」が取り扱う話題に関心があるとは到底思われないため、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が偶然「弥勒の道プロジェクト」のウェブサイトを閲覧し、当該記事をみつけるということもあまり考えられない。

イ 村田養豚場(村田畜産/村田商店)の指摘する「シ」(甲2ー26頁3行目〜7行目)は、当会代表第1準備書面6頁で述べたとおり、当会代表自身の体験を記載したものである。

当会代表は実際に、〈村田商店代表乙の父〉から「今度ここを通ろうとして里道から少しでもはずれたらどうなっても知らんぞ」と恫喝された。ただしこれは、正確には、平成27(2015)年11月4日のことであった。

(ア) このとき当会代表は、〈村田商店代表乙〉から、以前何回か通ったことがあるのではないかといったことは聞かれたが、当会代表は、〈村田商店代表乙の父〉、〈村田商店代表乙〉のいずれからも、当会代表がインターネット上に公開した記事については何も言われていない。

(イ) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、このときの当会代表とのやりとりの中で、当会代表が村田養豚場(村田畜産/村田商店)に犬を繋ぐように言ったことがよほど腹に据えかねたらしく、16時45分ごろに当会代表が立ち去った後すぐ、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は17時過ぎに京都府山城南保健所に電話をし、「先日、数名の人が養豚場にやってきた。目的は道の整備のためとかで、草刈り等をしていった。その際に、犬を繋ぐよう言われた。確かに犬が放たれており、その人たちに吠えかかったが、特に咬むような犬はいない(咬みそうな犬は繋いでいる)。安易に犬を繋げというが、ここいらにはイノシシが多く出没する。犬が放たれて場内を歩いているからイノシシにとって脅威となって近寄らないが、もし犬を繋いだら場内を好きに荒らされるだけでなく、犬が襲われる危険もある」と主張している(乙39)。同様の主張は、当会代表も現地で、〈村田商店代表乙の父〉あるいは〈村田商店代表乙〉から聞かされた。

これに対し、山城南保健所は「公道を通る際に犬に吠えかかられては、通行者が脅威を感じることは当然である。イノシシの害は理解できるが、人に危害を与えないよう係留は必要なことと思われる」と答えている(乙39)。

このとき村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、なぜか当会代表が数人で草刈りをしていたと思ったようだが、実際にはこの日当会代表は一人で草刈りをしていた。ただし、浄瑠璃寺から村田養豚場手前の林の出口までは、毎年9月中旬に地元西小地区の草刈りがあるので、その区間については、当会代表が草刈りをする前から、すでに草刈りが終わった状態であった。

しかし、地区の草刈りでは、毎年、浄瑠璃寺から林の出口までは草刈りされるものの、村田養豚場周辺の徘徊犬が増えて以降、林の出口あたりで草刈りをしていると、多数の徘徊犬が寄ってくるようになったため、そこから先は草刈りを断念して、来た道を引き返している。当会代表は、その林の出口から、橋のあたりまでの草刈りをして、道を繋げただけである。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)としては、浄瑠璃寺から林の出口までを含めると、一人で草刈りをするには範囲が広いので、数人で来て草刈りをしていたに違いないと考えたのかもしれない。

ところで山城南保健所の報告書(乙39)からは、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が怒りで興奮した様子で電話をしてきたことがうかがえるが、このとき村田養豚場(村田畜産/村田商店)は「弥勒の道プロジェクト」の名前を出していない上、以前インターネット上に嘘の記事を書かれたとも訴えていない。もしこの時点で、当会代表が「弥勒の道プロジェクト」名義でインターネット上でも活動していることを、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が知っていたとすれば、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が京都府山城南保健所に苦情を申し立てる際、「弥勒の道プロジェクト」を名指ししなかったことは不自然である。

ウ 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は平成28(2016)年3月ごろから、行政に対して「弥勒の道」という名前を口にするようになった(乙92)。したがって、村田養豚場(村田畜産/村田商店)はこのころになって、公文書公開請求により、当会代表が行政に対して送っていたメールを入手し、当会代表が「弥勒の道プロジェクト」名義で活動していることを知ったものと考えられる。

なお、当会代表は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による刑事告訴に係る、村田養豚場(村田畜産/村田商店)関係者や市議会議員に送った手紙では、「村田養豚場から赤田川と周辺環境を守る有志の会」を名乗っており、「弥勒の道プロジェクト」とは一切名乗っていない。しかし、行政機関に送ったメールでは、差出人メールアドレスが「弥勒の道プロジェクト」名義のものとなっていた(甲9ー6頁)。

以上ア乃至ウから、「当会代表から今後また同じように、虚偽事実を記載した記事をインターネット上に掲載されてしまうのではないかという危惧が生じ」たとする村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張には疑問がある。村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、「弥勒の道プロジェクト」のウェブサイトに掲載された記事を、その公開直後から知っていたとは、到底思われないからである。

(3) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)が通行を拒絶したり、通行人を恫喝していたことは、行政への相談や通報として、報告書が残されている。

ア 京都府山城南保健所の平成26(2014)年4月28日付け連絡事項処理用紙「養豚場周辺のウォーキングについて(第2報)」に、「4/26(土)にウォーキングをする木津川市加茂町の人が村田養豚場に電話したところ、『浄瑠璃寺から村田養豚場への道は入られないことになっている』と言われた」とある(乙96)。

イ 平成26(2014)年5月23日、「加茂の水と緑を守る会」(乙97の1)が木津川市長に提出した「養豚場に関しての申し入れ書」に「現状は『市道』に立ち入ることを明らかに拒んでいます」とある(乙97の2)。

ウ 平成27(2015)年11月13日の奈良市保健所への通報に、「昨日(12日(木))の午前中に、木津川市から奈良市にかけての里道を通り、奈良市側の養豚場の傍まで行ったところ、6〜7匹の犬の取り囲まれて咬まれかけた(咬まれてはいない)。養豚場の人が出てきたが、『勝手に入るな』と叱られただけで犬については何もしなかった。養豚場は奈良市の管轄であろうが、犬は京都府の浄瑠璃寺あたりまで来ている。なんとか対応してほしい。養豚場の人にかなり脅されたので名前は言いたくない。」とある(乙40)。

エ 平成29(2017)年7月10日の木津川市まち美化推進課への通報に、「昨日弥勒の道を歩いて村田養豚場付近まで行ったところ、複数の犬に取り囲まれ吠えられ怖い思いをした。養豚場から出てきた人に『入るな』とも言われた。」とある(乙47)。通報者は、加茂町在住であることから、京都側から村田養豚場まで歩いたと考えられる。当会代表には該当する人物が思い当たらないが、この通報者は「弥勒の道プロジェクト」のウェブサイトなどを見て、道を歩いてみたものと思われる。

(4) 上記(3)のウは、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の指摘する「ケ」(甲2ー23頁8行目〜24頁)に該当する証言を、当会代表に提供した人物による通報と考えられる。

当該人物は、古い道や遺跡、石造物などを訪ねることを楽しみにとしている人で、平成27(2015)年11月9日に、当会代表が運営していたツイッターの「弥勒の道プロジェクト」アカウントに、それまでに当会代表がウェブサイトなどで紹介してきた古道を歩いてみたい旨、初めてメッセージを送った。

これに対し当会代表は、その少し前の平成27(2015)年11月4日に、村田養豚場の北側で草刈りをした際、前述の通り、〈村田商店代表乙の父〉から恫喝を受けた経験から、当該人物に、今通り抜けることは勧められないと答えたが、当該人物がどうしても古い道を通ってみたいということだったので、村田養豚場の敷地の間にある木津川市道を通り抜けるのに必要と思われる情報や、古い道がある場所などについて、当該人物に対し、説明した。

そのような経緯があった上で、平成27(2015)年11月12日に当該人物が村田養豚場の敷地の間にある木津川市道を通り抜けた際、やはり〈村田商店代表乙の父〉から恫喝されたため、当該人物は、そのことを、古い道を歩いた感想とともに、当会代表に知らせた。本件記事記載の証言は、この時の当該人物による報告に基づく。なお、当該人物が〈村田商店代表乙の父〉から恫喝されている様子は、奈良県家畜保健衛生所の女性職員2名も見ていたとのことである。

当会代表と当該人物は、この時点では全く面識がなく、上記の通り、ツイッターで何度かメッセージをやりとりした程度であり、当該人物は、当会代表の「関係者」と呼べるような関係になかった。当会代表は今もって当該人物がどこに住んでいるかも知らない。当会代表と当該人物は、平成30(2018)年12月に、初めて浄瑠璃寺近辺で会っているが、両者の年齢はそれほど近くなく、古い道や遺跡、石造物などを訪ねるのが好きなこと以外、共通点はほとんどない。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、「当会代表及びその関係者が養豚場周辺に近づいてくるのを確認した際には、名前を聞いたり、『何をしているんだ。』と声を掛け、警戒することはあった」とするが、当会代表はともかく、通行人が当会代表の関係者であるかどうかをどのようにして見分けることができたのか、皆目見当がつかない。

(5) 小括

以上の通り、そもそもククリ罠にかかった犬を助けた経緯に関する村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張が事実と異なる上、当会代表がインターネット上に公開した記事を村田養豚場(村田畜産/村田商店)が直ちに感知できていたとも思われず、加えて、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は通行人が近づくだけで当会代表の関係者かどうかを確認できたとしており、不自然である。したがって、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張は信用に値しない。

里道の占拠について(FACT.3)

(1) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は現在も、村田養豚場の敷地の間にある木津川市道上で、日中頻繁に、重機を用いた作業を行っている。とりわけ奈良市東鳴川町641土地と木津川市加茂町西小長尾谷6土地に挟まれた区間では、市道上で、運搬トラックを路上に停めた上での食品残渣の荷下ろし、路上に多数並べられた食品残渣の入ったドラム缶をフォークリフトで持ち上げ、ミニローダーのバケットに食品残渣を注ぎ込む作業、水を使ったドラム缶や重機の洗浄など、様々な作業が、断続的に、長時間行われている(乙59)。

(2) 村田養豚場の敷地の間にある木津川市道「加2092号線」は、道路法及び道路交通法の適用を受ける認定市道であるから、木津署長の許可なく路上で作業をすることは、道路交通法第77条に反する。

(3) 本件記事でも紹介した農林水産省「飼養衛生管理基準の改正に関するQ&A」Q10(乙98ー5頁)の答えに、「公道を通行する人や車両に消毒を義務付けることはできないので、両農場間の移動に当たっては、両農場の出入口で踏込消毒槽等による長靴の入念な消毒を行ってください」とある。また、Q10(乙98ー6頁)の答えには、「生活関係車両や人の通行帯を設け、衛生管理区域と区分することが望ましい」とある。

公道は、当然のことながら、不特定多数が通行する可能性があるので、公道上で、豚の餌となる食品残渣の荷下ろしや、重機を用いた餌の混ぜ合わせなどの作業を行うことは、上述の飼養衛生管理基準の趣旨からは、全く望ましくないと言える。

加えて、餌の保管や混ぜ合わせなどに使用しているドラム缶を、不特定多数が通行し得る公道脇に放置することについても、飼養衛生管理基準の趣旨からは、到底望ましいことと思われない。

すなわち、飼養衛生管理基準の趣旨に従えば、餌の荷下ろしや混ぜ合わせは、公道上で行われるべきではなく、公道から柵などで明確に区分された、養豚場の敷地の中で完結するべき作業であると言える。

また、上述Q10(乙98ー5頁)の答えの趣旨からすると、衛生管理区域内で用いられる重機は、本来、公道を出入りするたび、念入りに消毒されなければならない。しかし毎回そうした作業を行うことが面倒であるのは確かであり、飼養衛生管理基準上、畜産農場には、衛生管理区域内で用いられる重機が、極力公道を通らずに済むよう工夫することが求められていると考えられる。

ところが、村田養豚場では、上述(1)で述べたとおり、木津川市道上で日中頻繁に作業が行われている上、豚舎を出入りする重機が毎回不可避的に木津川市道を通過している(乙59)。このような衛生管理が、一般市民が「奈良を代表するブランド豚」を生産する農場に期待する水準を満たしているとは、到底思われない。

(4) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、平成28(2016)年3月ごろ、奈良県家畜保健衛生所より、奈良市側の里道について、すみやかに境界確定を行うよう求められている(乙99)。

(5) 村田養豚場では、屋外の木津川市道上で餌の荷下ろしや餌の混ぜ合わせが行われており、その際路上にこぼれ落ちる餌は多い(乙56)。また、平成29(2017)年及び平成30(2018)年の、冬から翌年春にかけて、村田養豚場は、余剰食品残渣らしきものを、東鳴川町502に大量に投棄している(乙31ー(1)乃至(3)、(18)乃至(24))。村田養豚場(村田畜産/村田商店)による、こうしたずさんな餌の管理が、村田養豚場周辺に異常な数のカラスが集まっている(乙100の1乃至3)ことと無関係であるとは、およそ考えられない。

なお、村田養豚場から、東鳴川町の田畑までは200mと離れていない(乙100の4)。当会代表は、実際に東鳴川町の畑で、防鳥ネットをくぐり抜け、作物を荒らしているカラスを目撃しているが、そうしたカラスが、村田養豚場に集まっているカラスとは全く別のカラスだと考える方が、困難である。

(6) 小括

以上の通り、本件記事記載の事実は虚偽とは言えない。

バス停の改名について(FACT.3)

(1) 奈良交通「浄瑠璃寺南口」バス停の改称に関する、奈良交通及び奈良市交通政策課からの返答メールは、本件記事にも掲載されているが、これらのメールから判明した、「浄瑠璃寺南口」バス停が改称された経緯は、以下のとおりである。

  1. 旧「浄瑠璃寺南口」バス停留所で降車した観光客が、浄瑠璃寺にたどり着けず迷うことが多く、度々観光客を自家用車で送り届けていると主張する周辺住民が、奈良交通にバス停改称などの対応を要望していた(乙101の2)。

  2. アの周辺住民は、奈良交通からの回答がなかったことから、奈良市に相談した(乙101の2)。

  3. 奈良市は、その要望内容について奈良交通で対応するよう依頼した(乙101の2)。

  4. ウの奈良市の依頼について、奈良交通は、観光客が迷うようなバス停名を変更するよう依頼されたものと受け止めた(乙101の1)。

  5. 奈良市からの依頼を受け、奈良交通の担当者が、実際浄瑠璃寺への道がどういった状況であるのかを確認したところ、道が途中で養豚場の敷地内に進入し、作業用の重機も往来しており、だれが見ても「これ以上奥へ進めない」状況であり、このような状況では「浄瑠璃寺南口」というバス停名は不適切であると判断した(乙101の3)。

ところで、上記アの「周辺住民」の主張と、「道に迷っている通行人を、養豚場の従業員が車で目的地(岩船寺等)へ送り届けるなどの対応をしている」とする、訴状における村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張(訴状9頁6〜7行目)は、ほぼ同じである。また、奈良交通「浄瑠璃寺南口」バス停から浄瑠璃寺へ続く道の途中には、村田養豚場の他に民家や事業所が存在しないため、この上記アの「周辺住民」は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)のことだと考えられる。

そうすると、上記ア乃至オの経緯のとおり、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の苦情が発端となって、奈良交通「浄瑠璃寺南口」バス停は改称されたということになるから、本件記事に、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が原因となって、バス停名が改称されたと受け取れる記述があるとしても、その記述は何ら虚偽ではない。

(2) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、「里道が隣接している施設が養豚場ということそれ自体が、一般人をして通行しにくいと感じさせる要因となっていると考えられる」「養豚場という性質上実際に通行をするということははばかられてしまうような状況があると思われる」と主張するが、当会代表が小・中学生だった平成元(1989)年前後までは、村田養豚場に隣接する里道は、通行がはばかれるような状態になかった。その当時は、おそらく〈村田商店代表乙の父〉の父、〈村田商店代表乙の祖父〉が、村田養豚場を経営していたと思われる。

小・中学生の頃、当会代表は何度もこの里道を自転車や徒歩で通っている。当時は現在のように道の両側が村田養豚場の敷地ではなく、道の東側のみが村田養豚場の敷地ではあったが、当会代表が重機の往来に遭遇したことはなかった。また、村田養豚場周辺に犬はおらず、カラスも見かけなかった。当会代表の記憶するところでは、道と村田養豚場の敷地は、板塀か柵で仕切られ、樹木も生えていて、敷地の中の様子は全くうかがい知れず、ごくまれに、叫び声のような豚の鳴き声がして、ようやく中で豚か何かが飼われているらしいと気づく、といった状態であった。当会代表は、あまりに人気がないので、廃屋ではないかと思ったこともある。

当会代表は、中学生の頃には、友人たちと大晦日の晩に、懐中電灯を片手に、この里道を通って、初詣を名目に、奈良の春日大社まで歩いたりもした。当時は、そうすることに危険を感じる道ではなかったのである。

以上の通り、過去の村田養豚場を思い起こすだけでも、養豚場があることそれ自体が、一般人をして、隣接する道を通行しにくいと感じさせるということはないと言える。

3ー(3)でも指摘したが、飼養衛生管理基準が求める通り、もし村田養豚場(村田畜産/村田商店)が里道と敷地を柵や板塀などで明確に区分し、かつ、作業用重機が公道を通過することなしに、作業が敷地内のみで完結するよう、作業工程あるいは建物の配置を見直すならば、奈良交通が「現在は養豚場があり行くことは出来ません」(乙101の1)、「道が途中で養豚場の敷地内に進入し、作業用の重機も往来しており、だれが見ても『これ以上奥へ進めない』」(乙101の3)と指摘した状況は、解消されると考えられる。

しかし現状では、村田養豚場の豚舎は、出入口がほとんど直接木津川市道に接しており、豚舎と市道の間は何によっても区分されていない。加えて、豚舎出入口にはカーテンの仕切りがあるだけで、日中はそれすらも開け放たれていることがあり、木津川市道から容易に豚舎の中が見えるような状態となっている(乙100の2)。こうした光景は、「道が途中で養豚場の敷地内に進入」していると見られても仕方のないものである。

加えて、村田養豚場周辺にいる徘徊犬が通行の妨げとなっていることも改めて指摘しておきたい。すでに述べたが、平成28(2016)年3月1日に、山城南保健所は村田養豚場を抜ける里道を現地確認し、「多数の徘徊犬が存在しているため、一般人が通行することは困難である」と評価している。

なお、株式会社都市景観設計と木津川市文化財保護課が編集・執筆を担当した、令和元(2019)年8月19日発行の「特別名勝及び史跡 浄瑠璃寺庭園 保存修理事業報告書II(保存修理工事編)」の「第5章 今後の課題」に、「2 活用上の課題」として、「奈良県側の悪質な土地利用による古道の実質的な封鎖」が挙げられている(乙102)。「奈良県側の悪質な土地利用による古道の実質的な封鎖」が何を指しているのかは、今さら言うまでもない。

当会代表の言う「公道の占拠」、奈良交通の言う「だれが見ても『これ以上奥へ進めない』状況」、浄瑠璃寺庭園保存修理事業報告書の言う「古道の実質的な封鎖」、表現は違えど、これらが言わんとする状況は、いずれも同じであり、当会代表の意見は取り立てて特異なものではない。

(3) 小括

以上の通り、本件記事記載の事実は真実相当性が認められることはもとより、真実である。

ISSUE.4
赤田川下流の
水質汚濁

本件記事では、赤田川下流の水質汚濁についても記載されており、その原因が村田養豚場からの排水にある可能性があるという内容を掲載している。

村田養豚場には、奈良市及び木津川市から、その排水について立入検査が入ったことも何度かあるが、その中で、排水が規制値に違反しているという結果が出たことはなく、具体的な指摘を受け、排水に関する是正を求められたことはない。

本件記事においても、村田養豚場への立入検査では基準値を満たしているとの結果が出ている旨の記載はあり、当会代表としても、村田養豚場の排水に問題がないことを認識していることは明らかである。にもかかわらず、赤田川の水質汚濁について主に言及する FACT 4 も含め、本件記事全体の構成として、村田養豚場の違法行為を行政が放置しているという体裁になっており、村田養豚場の排水については現状問題がないということが伝わるものではない。

さらに、本件記事 FACT 6 の中で、「排水の水質を十二分に改善するよう指導すること」という奈良県及び奈良市への要望が挙げられており、このことからも、本件記事の中で村田養豚場の排水に問題があるという事実が伝えられているとしか考えられない。

したがって、本件記事は、根拠なく村田養豚場の排水に問題があり、赤田川の水質汚濁を引き起こしているという内容を伝えるものであり、真実を記載しているとは到底いえない。

1)木津川市は赤田川の水質汚濁を「府県境を跨ぐ公害」と捉えている。

赤田川水質汚濁に係る主な経緯及び今後の対策

赤田川水質汚濁に係る主な経緯及び今後の対策

赤田川の水質汚濁は合併前の加茂町時代から懸案事項となっており、地元三区長から加茂町長への要望など平成14(2002)年ごろから記録があるという。加茂町は住民からの要望を受け、平成15(2003)年ごろから、その対策に乗り出している。河川の状況から、当初より村田養豚場が赤田川の水質汚濁源となっていることが疑われており、加茂町と京都府は村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対し立ち入り調査を受け入れるよう求めていたが、平成15年3月、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は京都府側の立ち入りを拒否している(乙8の2資料・乙9の1)。

そこで平成16(2004)年以降、加茂町と町村合併後の木津川市は、年4回、赤田川で水質検査を実施するようになった。合併後の木津川市は、平成21(2009)年10月、京都府に問題解決に向けた関係行政機関連絡会の設置を依頼し、翌月には「赤田川上流域の環境問題等に係る連絡調整会議」が開かれた。この連絡調整会議は、平成22(2010)年3月にも開かれ、以降平成23(2011)年3月にかけ、木津川市と京都府は奈良県側と協議を重ねて、一定の解決を見ている(乙9の1)。

しかしその後も、赤田川の水質状況は悪く、木津川市には地元住民から度々悪臭や浮遊物の流出など苦情が寄せられていた(乙9の1)。

そして平成28(2016)年12月26日、木津川市による赤田川の水質検査で、著しい水質汚濁が検出(高田で BODが30mg/L、CODが26mg/L)された。これを受け木津川市は、水質検査の頻度を年4回から月1回以上に増やしたが、その後も異常な数値が検出され続けたため、平成29(2017)年4月10日、木津川市と京都府山城南保健所は、水質検査を依頼しているエヌエス環境株式会社と、赤田川の水質汚濁について協議を行なった。エヌエス環境株式会社は、提案書において次のように述べた(乙8の1)。

特に糞便生大腸菌が10,000個/mlを超過した状態は、し尿レベルの汚染であり、他の病原菌に汚染が心配される。一般河川、また農業用水として衛生的に心配。

平成29年4月11日-赤田川の水質問題について

平成29(2017)年4月14日には、木津川市が京都府山城南保健所とともに、京都府山城南農業改良普及センターを訪れ助言を求めている。以下のとおり京都府山城南農業改良普及センターの見解は厳しいものであった(乙8の2乙9の2

現在の水質が続けば、水稲・ナス等への生育への影響が懸念される。

平成29年4月14日-赤田川の水質問題について

その10日後の平成29(2017)年4月24日、木津川市長が市町村会議で京都府庁を訪れた際、木津川市長が京都府の協力を求めて、京都府環境部長に手渡した木津川市市民部作成の資料には次のように書かれている。「府県境を跨ぐ公害」という表現には、木津川市の強い危機感が反映されていると言える(乙9の2

  • 昨年末から、一級河川赤田川の水質汚濁(有機物汚濁)が進行しています。
  • 悪臭などの生活環境への影響と共に、農繁期を控えて流域の農業被害が憂慮される状況です(複数の農業用利水点で、国基準値の4倍を超過する汚濁)。
  • 当尾京都府歴史的自然環境保全地域、砂防堰堤で、著しい汚濁が見られます。
  • 汚染源は、赤田川上流の奈良県(奈良市)域にある可能性があります。
    ➡本市でも対策を進めておりますが、府県境を跨ぐ公害問題であり、府民・市民の生活環境と財産を守るため、特段のご配慮・ご支援をお願いするものです。

平成29年4月24日-市長・府庁訪問用資料1

平成29年4月24日-市長・府庁訪問用資料2

2)木津川市の赤田川水質汚濁状況調査では、汚濁源が村田養豚場付近にあると結論づけている。

平成29(2017)年5月30日、木津川市は、調査業務を委託したエヌエス環境株式会社、京都府環境管理課、山城南保健所、奈良市保健所に加え、地元代表者ともに、赤田川水質汚濁状況調査を実施している。この調査では、砂防堰堤から上流へ向けて100mごとに底質のサンプルを採取しつつ、この区間に沢や支流の流入がないかについても確認された(乙10)。

現地調査の報告書では、以下のように、村田養豚場を境に河川の状況が変化する様子が報告された。こうした河川の状況は、当会代表が川の上から観察して感じていた印象(本件記事)と一致している。

  • 養豚場直下では、川底に大量の食品残渣が見られ、川底の泥から強烈な悪臭が発生していた。
  • 赤田川本流への養豚場からの排水路を過ぎると、川底の食品残渣が見られなくなり、底質が黒く変色していることもなくなった。
  • 養豚場を過ぎると、水の濁りはましになり魚影も見られた。

平成29年5月30日-赤田川水質汚濁状況調査の実施について/養豚場直下では、川底に大量の食品残渣が見られ、川底の泥から強烈な悪臭が発生していた。赤田川本流への養豚場からの排水路を過ぎると、川底の食品残渣が見られなくなり、帝室が黒く変色していることもなくなった。養豚場を過ぎると、水の濁りはましになり魚影も見られた。

平成29(2017)年5月30日に行われた赤田川水質状況調査の概要は、ほどなくして下流地域も伝わり、平成29(2017)年6月23日には、京都やましろJAから木津川市長に、赤田川の水質改善を求める要望書が直接手渡された(乙11)。

京都やましろJAからの要望書

また平成29(2017)年7月21日、西小・大門・高田・観音寺・大野の流域五地区からも、赤田川の水質改善要望書が、木津川市長に、やはり手渡しする形で、提出されている(乙12)。

赤田川下流地域からの要望書

木津川市では、平成29(2017)年6月15日から9月26日にかけ、汚濁源からの流入が、恒常的・定期的ではない可能性を考慮し、赤田川の水質の連続モニタリング調査を行っている。これは赤田川の浄瑠璃寺奥の院付近において、河川水の電気伝導度(EC)を15分間隔で連続モニタリングするというもので、値の変化により流入の頻度と時間帯を把握することが期待された。ECは水中の電解質濃度を一括して推定する指標とされる(乙15)。

このEC連続モニタリング調査の中で、高頻度で夜間にピークが現れることが観察されたため、木津川市は、平成29(2017)年7月19日の19時30分から、ECメーターが設置された浄瑠璃寺奥の院前の赤田川で、一時間ごとに採水して水質を調査している。その結果、19時30分に、COD=170mg/L、BOD=830mg/L(環境基準の100倍以上)、全窒素=35mg/L、全りん=2.0mg/L、アンモニア性窒素=23mg/Lと著しい有機汚濁が検知され、その後急速にそれらの数値が低下する様子が確認された。

こうした詳細な調査と分析を経て、平成29(2017)年11月には、赤田川水質汚濁状況調査報告書の内容が固まり、平成29(2017)年11月7日、木津川市長が奈良県農林部長を訪れて赤田側の水質汚濁改善への協力を要請している。

木津川市から開示された文書はほとんどが黒塗りとなっているが、市長の発言のうち読み取れる箇所を抜き出すと以下のようになる(乙14)。

  • 平成15(2003)年頃から水質汚濁が進んできており、流域市民から苦情や相談を受けるに至っている。
  • 昨年末頃から水質汚濁が顕著になってきており、農家のみなさんは、大変困っている。何とか助けて欲しい。
  • ブランド肉を作る事業者も応援したいし、事業者をどうこうしようなど一切、思っていない。

随行した職員は、概況として以下のとおり報告している。

  • 市長は始終、水質改善に向けたお願いをされていた。
  • 水質を改善したいこと、事業者を適切に指導してほしいこと、[不開示]が主な依頼であった。

平成29年11月7日-赤田川水質汚濁改善に向けた要請-平成15年頃から水質汚濁が進んできており、流域市民から苦情や相談を受けるに至っている。昨年末頃から水質汚濁が顕著になってきており、農家のみなさんは、大変困っている。何とか助けて欲しい。ブランド肉を作る事業者も応援したいし、事業者を同行しようなど一切、思っていない。随行した職員は、概況として以下のとおり報告している。市長は始終、水質改善に向けたお願いをされていた。水質を改善したいこと、事業者を適切に指導してほしいこと、[不開示]が主な依頼であった。

木津川市長の「ブランド肉を生産する事業者」という言葉から、木津川市長の依頼が村田養豚場を念頭に置いたものであることは明らかである。

翌11月8日には、木津川市が奈良県と奈良市の担当部局を相次いで訪れ、赤田川水質汚濁状況調査報告書について説明しているが、とりわけ奈良市はECメーターに現れた夜間のピークについて、大きなショックを受けている(乙16の1

なお木津川市による赤田川水質汚濁状況調査報告書は、赤田川の汚濁原因について、次のように結論づけている(乙15)。

連続モニタリング調査の結果から、赤田川の水質汚濁については、「奥の院」における水質を著しく悪化させるような、高濃度かつ大量の有機汚濁成分が、人為的に、高い頻度で主に夜間に排出され、河川に流入することによって生じている可能性が高い。

4月17日の水質調査では、「奥の院」で従来見られなかった高濃度の有機汚濁が確認されたが、これは、有機汚濁成分の流入時の水質である可能性が高い。

本年度の赤田川の水質は、参考資料2のとおりだが、河川への汚濁成分の流入が短時間に集中していると考えられる今回のようなケースでは、通常の水質検査では、汚濁状況を十分把握することが困難である。

一方、底質は、河川水の影響を蓄積するため、一時的な汚濁成分の流入についても、一定捕捉することができる。汚濁源の確認調査において、底質に大きな差異が認められたのは底質⑤と底質⑥の間であり、底質⑤から下流側で底質の有機物汚濁を示す化学的酸素要求量(COD)が高い状況であった。

また、養豚場周辺の流入水に強い有機物汚濁が認められたことから、府県境に位置する養豚場付近で、高濃度かつ大量の有機汚濁成分が排出されて、赤田川の水質汚濁を引き起こしていると考えられる。

なお、事業所敷地内の状況が不明であることから、付近の事業所の汚水処理等の調査が必要である。

この結論を受け、平成29(2017)年11月14日には、木津川市長が奈良県知事を訪れ、赤田川の水質改善に配慮を願う要請書を手渡している(乙17の1)。

平成29年11月14日-赤田川水質汚濁状況調査の結果について(奈良県知事宛)

当初木津川市はこの要請書を京都府知事と連名で発出することを希望していたが、このことは木津川市の問題解決にかける強い意志を感じさせる(乙17の2)。

平成29年7月14日-今後の赤田川の水質汚濁への対応に係る木津川市の意向について

また、検討中の文案では「奈良市と木津川市の境界付近で河川の状況が大きく悪化していることが確認され、その付近にある事業所が上流側の汚濁源の一つとなっている可能性が示唆されています」としており、最終案よりも踏み込んだ表現となっていた(乙17の3)。

要請書案(奈良県知事宛)

次いで平成29年11月22日には、木津川市長が奈良市長を訪問して、奈良県知事宛と同内容の要請書を手渡している(乙18の1)。

平成29年11月22日-赤田川水質汚濁状況調査の結果について(奈良市長宛)

この要請文においても、途中の文案は最終案と少し異なっており、「調査・対応をされた結果につきましては、木津川市及び京都府に提供いただけますようお願いいたします」という、具体的な要請が含まれていた(乙18の2)。奈良市側から十分な情報が入ってこないことに対する木津川市の苛立ちが滲み出ていると言えよう。

要請書案(奈良市長宛)

3)村田養豚場(村田畜産/村田商店)はECメーターの測定値を踏まえて、排水設備の改修を行った。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)は平成29(2017)年11月8日、木津川市から赤田川水質汚濁状況調査報告の説明を受けた奈良県から、夜間のECメーターのピークを含め、同報告書の概要を聞かされている(乙16の2

その後木津川市は平成29(2017)年12月8日から22日にかけても、再びEC連続モニタリング調査を行なったが、その結果を奈良県畜産課に以下のとおり説明している(乙19)。

府県境の奈良側ではECにほとんど変化が見られなかったが、京都側では明確な変化があり、この間でEC上昇を引き起こす物質が河川に流入していることが確認できた。また、昼間(10時頃・14時頃)にピークが見られるようになり、原因行為が変化していると考えられる。

年が明けて、平成30(2018)年1月16日、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は奈良県を通じ、木津川市にEC連続モニタリング調査結果の詳細を問い合わせている。木津川市は1月23日、これに回答して村田養豚場(村田畜産/村田商店)に詳細なデータを提供している(乙20)。

そして翌月の平成30(2018)年2月16日、奈良県から木津川市に以下のような連絡が入るのである(乙21)。

先日提供を受けたECの測定値等を踏まえて、養豚場と話し合っており、養豚場は[不開示]の費用をかけて排水処理設備の改修を行う意向を示している。

ところが翌月の3月5日、奈良県から村田養豚場(村田畜産/村田商店)の意向が変わったと新たな連絡が入る(乙22)。

(養豚場が)過去から主張されている、木津川市の市道管理、水路管理、境界確定等の改善を改めて求められ、これらが整理されなければ、予定されていた排水対策は取りやめるという意向であった。

この時の報告書には木津川市職員による興味深い手書きの書き込みが見られる(乙22)。

平成30年3月5日-村田養豚場の排水対策に関する奈良県畜産課からの連絡-02

  • 木津川市は原因者を村田養豚場とは特定していない。奈良県が特定したのなら、市に報告があったのか?
  • 里道・水路については市にもルールがある。
  • 堰堤についてはそもそも原因者が回復すべきもの。
  • 指導管理責任を有している主体が会議室を確保すべきで理解に苦しむ。

正直なところ、当会代表の目から見ても、奈良県の非協力的な態度には目に余るものがある。木津川市長自らが要請に訪れていても、このような対応にしかならないということが、全く信じられない。木津川市側担当者の溜まりに溜まった不満は相当なものであったに違いない。

それはさておき、ここでは書き込み「ア」には注目しなければならない。「ア」からは、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が赤田川水質汚濁の原因者であるということを前提として、奈良県が何ごとかを発言していたことがうかがえる。2月16日の連絡と合わせ考えると、ECの測定値等から、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が排水設備の改修を検討せざるを得ない状況に追い込まれ、そのことを奈良県としては、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が水質汚濁の原因者であることを認めたと、受け取っていたのであろう。

しかし、この時点では「里道・水路については市にもルールがある」と書き込んだ木津川市だが、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の強硬な姿勢に押され、やがて排水設備改修と交換で、水路工事と境界修正を行う方向に舵を切って行くのである。

平成30年3月29日、どうしても年度内に開きたいという村田養豚場(村田畜産/村田商店)の強い要望で、奈良県、奈良市、京都府、木津川市、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による合同会議が開かれたが、その席上でも、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は終始高圧的な態度で木津川市に接しており、「今後、どういった対策をしてもらえるのか」などと迫っている。また、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は村田養豚場からの排水が、水質汚濁防止法上、規制対象とならない排水量であることから、「村田養豚場は、基準を満たしており、BOD、CODは基準に含まれていない。河川の色で汚濁していると言えるのか。塩水を流してやろうか」と言い放っている。これなどは、とても「奈良を代表する」ブランド豚を生産する農場の発言とは思われない(乙24)。

境界修正についてはすでに検討したところであるが、木津川市が平成30年4月から10月にかけて村田養豚場の西側の水路で行った工事(以下、「本件水路工事」という。)も、極めて異常なものであった。

本件水路工事の出来高報告書(乙66)によると、本件水路工事は随意契約によるいわゆる単価契約で、当初こそ70万2000円の見積もりであったが、第一回変更で318万6000円もの費用が追加され、総額で388万8000円が支出されている。工事を元請負業者と異なる業者が施工している点も不審である。しかも施工体制台帳が提出されていないうえ、出来高報告書には日報が一切含まれておらず、この工事は違法な一括下請負に該当する可能性が高い。

なお本件水路工事は、実際には大和郡山市の〈建設業者H〉が施工しているが、〈建設業者H〉がウェブサイト上で協力業者として紹介している〈配管業者I〉は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の自宅兼会社事務所と同じ住所を連絡先としており(乙67)、〈建設業者H〉と村田養豚場(村田畜産/村田商店)は近しい関係にあることがうかがわれる。加えて〈建設業者H〉は、本件水路工事と並行して、村田養豚場の汚水槽の撤去なども行なっている。〈建設業者H〉は、のちに村田養豚場の新しい排水設備のほか、村田養豚場敷地内の様々な工事を施工している。(乙68

以上のように、本件水路工事についても、境界修正同様、木津川市が相当な無理を重ねて実現したものであることがうかがえるが、本件水路工事が完了しても、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による排水設備改修は、すぐには始まらなかった。

それどころか村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、平成31(2019)年3月から4月にかけ、奈良県を通じてさかんに、木津川市に対し追加の水路工事を求めている。

  1. 平成31(2019)年3月19日、赤田川の水質汚濁にかかる連絡調整会議で京都府が以下のように発言(乙62)。

    • 木津川市の水路の工事が完了していないため、汚水処理装置の工事ができない状況だと聞いている。
    • 水質を改善するためには汚水処理装置の工事が重要であると考えているが、周りの工事が進まなければできない。
  2. 平成31(2019)年3月27日、木津川市農政課との協議において奈良県畜産課長桜木が以下のように発言(乙63)。

    • こちらが、村田から聞いているのは、河川工事は完了しているが応急工事とのことで、村田が設置する施設は河川に隣接することから、将来沈下する恐れがあることから本工事を望んでいるとのことであった。
  3. 平成31(2019)年4月17日、奈良県畜産課を訪問した木津川市に奈良県畜産課長溝杭が以下のように発言(乙64)。

    • 隣接する国有水路について、木津川の改修では、基礎が抉られる恐れがあり、安心して曝気槽を作ることができないという認識でいる。
    • 奈良県が現地を見たところ水路の管が波打っていた。また、大雨の際には水路の上流の桝からオーバーフローした水が豚舎に流入する可能性があると考える。
    • 養豚場が安心して水処理施設の工事ができるようにするための環境整備が重要だと考えている。
  4. 平成31(2019)年4月26日、奈良県畜産課長溝杭が木津川市を訪れ以下のように発言(乙65)。

    • 先般、市が施工した水路であるが、既存は開渠であるが管渠になっている。山側からの雨水処理はどうなるのか。暗渠の上に土砂が堆積しているが、どこが除去するのか。

しかし結局、特に支障なく、平成31(2019)年4月末ごろから新しい排水設備を作る工事が始まり、6月中旬ごろには完成した排水設備が稼働し始めている(乙68)。前述のとおり、新しい排水設備の工事を施工したのは、木津川市の水路工事を施工したのと同じ、大和郡山市の〈建設業者H〉であった。

4) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は木津川市の立ち入り調査を拒否し続けている。

  1. 平成15(2003)年3月19日、加茂町が奈良市に対して村田養豚場への合同立ち入り調査を申しいれたが、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は京都府側行政の立ち入りを拒否した(乙9の1)。

  2. 平成28(2016)12月、奈良市保健所から立ち入りを申し入れ(乙9の1)。

    • ➡平成29(2017)年1月4日、奈良県畜産課、京都府畜産課、木津川市市民部長、管理課長、全て管理職の同行を求められる。加えて、インフルエンザ予防接種証明書および防疫服の着用、万一、インフルエンザ被害が出た場合の補償を求められる。
    • ➡日程指定を受けるも、状況が整わず立ち入りを中止することになる。

    (村田養豚場(村田畜産/村田商店)は実現困難な条件を突きつけて実質的に立ち入りを拒否した。)

  3. 平成29(2017)年8月18日、京都府と木津川市が奈良県を通じ村田養豚場への立ち入り調査を申し入れたところ、村田養豚場(村田畜産/村田商店)はこれを拒否した。村田養豚場(村田畜産/村田商店)は京都府が求めた調査への回答も拒否した(乙13)。

  4. 平成30(2018)年3月29日、奈良県、奈良市、京都府、木津川市、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による合同会議が開かれたが、その席上、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は次のように発言している(乙24)。

    • なぜ木津川市は、養豚場内に立ち入りができないと思うか。
    • 行政は、法律・条例に基づいて行動すべきで、木津川市の職員には勉強しようとする努力が見られないからである。民間より知識や経験が欠けている。
    • 京都府は、よく勉強しているし、時と場合によっては対処法が違うと理解できる人たちだから入ってもらっている。
    • 村田養豚場としては、会社としてやるべきことはやっていくつもりで、奈良県や京都府に協力も求めていく。しかし、その内容については、一切、木津川市に伝えないよう言っている。知りたかったら木津川市も変わってほしい。

実際、木津川市は、村田養豚場の排水設備について、現在でも奈良県や京都府からもその詳細を一切知らされておらず、実態をほとんど把握していない。そのため、地元説明会でも説明に苦慮している様子が見られる(乙69)。

5) 新しい排水設備には疑問が多い。

村田養豚場の新しい排水設備は、平成31(2019)年4月末ごろから工事が始まり、6月上旬に完成したとみられる。この排水設備は、1.5m四方の縦穴の隣に、6m×1.5m×深さ1mの長方形の槽と7.5m×1.5m×深さ0.1mの長方形の浅い槽が並んだ構造をしている。最終貯留槽の容量は10㎥強ほどでしかない。

新しい排水設備

外から観察する限り、この排水設備には次の機能があるように見える(乙70)。

  1. 豚舎から出た汚水を集める縦穴①から汚水がポンプで汲み上げられ、まず二つの振動篩②を通り、固形分を槽の外側のコンクリート台の中に落とす。
  2. その後、汚水は浅い槽③を流れ、汚水の上に浮かんだ油分や浮遊物を槽に渡した板でせき止め、液体のみ板の下をくぐらせ次の貯留槽④に流す。
  3. 貯留槽④に貯められた汚水は、ポンプで再び見えない位置にある縦穴⑤に戻され、汚水が何度もこの工程を繰り返すことで固形分を分離する。

新しい排水設備拡大写真

したがって、この排水設備の主な機能は、固体・油分と液体の分離で、尿分離機とも呼ばれるものと思われる。しかし、村田養豚場の排水設備をめぐるこれまでの議論では、これとは異なる排水処理設備が取りざたされていた。

平成30(2018)年7月5日、奈良県畜産課及び家畜保健衛生所が、村田養豚場の汚水処理について相談するため、京都府畜産センターを訪問しているが、その際「回分槽」という汚水処理設備を紹介されている(乙71の1乙71の2)。

  1. 仮に回分槽を設置するのであれば、60㎥程度のものが必要。(50㎥程度で250〜300万円程度、100㎥で500万円程度。)
  2. 回分槽では、曝気後に静置を行うことにより一定脱窒素を行なっている。(水濁法のアンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物及び硝酸化合物の基準が将来的に下がっていくと考えられるため、窒素除去は必要。)
  3. 一度、畜産センターに現地を確認してもらう必要がある(7月下旬か8月)。

また、平成31(2019)年4月17日、奈良県畜産課を訪問した木津川市に、奈良県畜産課長溝杭が「隣接する国有水路について、木津川の改修では、基礎が抉られる恐れがあり、安心して曝気槽を作ることができないという認識でいる」と述べており、この時点では回分槽のような曝気槽が作られると想定されていた可能性がある(乙64)。

ところが、実際に完成した排水設備は容量が小さく、曝気槽らしきものが見当たらない。また、汚水槽の外に落ちた固形分からは汚い水がにじみ出ており、これが汚水槽の周りに敷かれたコンクリートの上を流れて広がっているが、この場所は豚の運搬トラックが後ろづけする、豚の搬出入口ともなっている。したがって村田養豚場の新しい排水設備は、仮に村田養豚場で豚コレラ等の患畜が発生した場合、運搬トラックのタイヤに容易に病原体が付着し得る配置と構造となっている(乙70)。

そもそも新しい排水設備は、その作りが極めて粗雑で、これが本当に京都府畜産センターの指導を受けて作られたものなのか、にわかに信じがたい。その上、この排水設備は完成した後にも何度か配管が変わっている。(乙72

本件訴状によれば、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は排水の水質に自信を持っていることがうかがえる。そうであるならば、相手が木津川市であれどこであれ、立ち入り調査を認めたとして何も支障はないはずである。今後村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、木津川市の立ち入り調査を快く受け入れるとともに、自らすすんで、木津川市に排水設備に関する詳細な情報を伝えるべきであろう。そうすれば、木津川市も、下流地域に対して、赤田川の水質改善見通しに関し具体的な説明ができるようになり、もし新しい排水設備が赤田川の水質改善に十分なものであるなら、それは下流地域の理解と安心につながるはずである。

以上のとおり、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、木津川市の赤田川水質汚濁状況調査報告に基づき、奈良県・奈良市から水質の改善を指導されている。また、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は木津川市の立ち入り調査を拒否し続けている。したがって、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張は当たらない。

1 争点とすべき本件記事内容

  1. 村田養豚場(村田畜産/村田商店)下流の水質汚濁が・・・問題視されてきました。しかし、奈良県と奈良市は・・・不法行為や迷惑行為をすべて然認し・・・」(甲2、1頁本文6行目〜9行目)
  2. 「赤田川下流の水質汚濁」(甲2、47頁FACT.4表題)。
  3. 村田養豚場(村田畜産/村田商店)からの排水が、下流に落しい水質汚濁汚濁をもたらしている可能性について・・・議論されています」(甲2、47 頁頭書3行目〜6行目)。
  4. 「赤田川の地権者・・・養豚場の少し下流の山林の持ち主が、しいたけ栽培のため川からポンプで・・・ぼやいていた」(甲2、50頁5行目〜7行目)。
  5. 「砂防ダムより上流であるためか・・・茶色いヘドロがたまっています。撮影した人によると、・・・一面白い粉をふいていたとのことです。撮影した人 は、帰宅後熱が出ました」(甲2、50頁9行目〜51頁2行目)。
  6. 「こうした水質汚濁の原因として・・・長年議論されている場所のひとつが、 ・・・村田養豚場(村田畜産/村田商店)です」(甲2、51頁3行目〜5行目)。
  7. 「村田養豚場より下流に限って・・・どぶ川のような臭いが酷いという現実 があります。最近は・・・日暮れごろ臭くなります。谷の上の尾根道まで・・ ・ほどです。外にいる人が少なくなる時間を見計らって汚水が流されているのかもしれません」(甲2、51頁6行目〜10行目)。

以上、ア乃至キで当会代表が記事に記載していることを纏めると以下のとおりである。

== 村田養豚場(村田畜産/村田商店)の排水が赤田川下流の水質汚濁の原因ではないかということが長年議論されている。その影響は、農作物にも被害を及ぼし、また、付近で写真を撮っていた人の身体に害を及ぼすほどである。水質汚濁は養豚場の下流に限って発生しており、夕方に特に酷いことから、人が少ない時間を見計らって村田養豚場(村田畜産/村田商店)が汚水を流しているものと考えられる。==

本件記事1頁目の記載(前記ア.)からすると、当会代表は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が養豚場から排出する排水が赤田川の水質汚濁の原因となっている可能性があるということを、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による「不法行為や迷惑行為」という言葉でひとくくりにし、あたかも村田養豚場(村田畜産/村田商店)が水質汚濁の原因を作出しており、それが迷惑行為ひいては不法行為に該当するかのような記述をしている。

確かに、本件記事においては、「下流に著しい水質汚濁をもたらしている可能性」というような表現を用いてはいるが、養豚場の下流だけに汚濁が見られるということや、養豚場下流で写真を撮った人物が発熱したというような記述をし、読み手に対して、明らかに村田養豚場が水質汚濁の原因であり、農作物、人体に実害が出ているという印象を与える記載内容となっている。

2 村田養豚場(村田畜産/村田商店)が赤田川水質汚濁の原因者として記載されていることについて

(1)水質汚濁防止法について
  1. 本件記事の中で、特にFACT.4において頻繁に用いられている「汚濁」という表現であるが、これは、直接的に本件配事中には出てはいないが、水質汚濁防止法にいう「汚濁」を示しているものと考えられる。「汚濁」という言葉は、水質汚濁防止法に特有の表現であり、その原因となっている可能性が高いということをインターネットにおいてことさらに記載されることは、一般人をして、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、法律に反する営業活助をしているのではないかという強烈なインパクトを与えるものであり、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の名誉を毀損する程度は大きいといえる。

  2. まず以下では、水質汚濁防止法において、村田養豚場に課される排水基準について論じる。

    村田養豚場は、水質汚濁防止法上の「特定事業場」に該当し、かつ、1日当たりの平均排水量が50㎥未満の施設であることから、水質汚濁防止法上の排水基準としては、甲14の別添2表1記載のものとなる。この項目の中で、村田養豚場のような養豚場施設については、一般的に、「アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物及び硝酸化合物」という項目が排水検査の対象となる(他の項目に係る物質についてはそもそも取扱いをしていないため)。その排水基準値は一律排水基準は100mg/Lであるが、畜産農業に係る暫定排水基準は500mg/Lである(甲14甲15の4頁)。

    排水量50㎥以上の事業場と、50㎥未満の事業場とで、異なる排水基準が設けられている趣旨は、排水量の多寡により、有害物質の希釈の程度には差異があり、河川等に流入する物質の絶対量にも大きな差があると考えられることから、生活環境への影響の大きさの違いという観点で、排水量の多い事業場と少ない事業場では異なる基準が設けられているものだと考えられる。

    なお、村田商店が経営する村田養豚場は、1日の排水量は8㎥程度である。

(2)村田養豚場の排水検査結果

赤田川において水質汚濁が問題視されたのは、平成28年12月頃であるが(被告第1準備書面49頁23行目〜27行目)、平成28年3月23日に実施された、奈良市による村田養豚場の排水検査によれば、村田養豚場は、「アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物及び硝酸化合物」において、1.4〜6.0mg/Lの値に収まっているものであり(甲16)、畜産農業に適用される暫定排水基準500mg/lを満たしていることはもとより、より厳しい一律排水医準100mg/Lと比較しても、大きく基準値を下回っており、法律上の基準を問題なく満たしている。

水質汚濁防止法上の排水基準を満たしている以上、養豚場からの排水が、赤田川の水質汚濁の原因であると論難されるいわれはないと言わざるを得ない。

したがって、村田養豚場が、赤田川の水質汚濁の原因を作出しているかのような印象を与える本件記事は、虚偽の事実を記載しているものといえる。

(3)村田養豚場に対する行政の対応

当会代表は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、木津川市の赤田川水質汚濁状況調査報告に基づき、奈良県・奈良市から水質の改善を指導されている旨主張する。

しかし、前記のとおり村田養豚場は、法律上の排水規制に違反したことはない。

水質汚濁防止法を所管しているのは奈良市であるが、村田養豚場の排水処理に関し、行政法上の指導を行ったことはない。木津川市からの赤田川の水質汚濁に関する報告を受けて、排水を扱う事業場として、水質の改善に努力するよう要請するレベルでの話をしたことはあるが、それは当然、赤田川の水質汚濁の原因が村田養豚場にあることを前提とするものではない。

そして、奈良県は、水質汚濁防止法ではなく、家畜排せつ物法を所管しており、村田養豚場における排せつ物処理について監督を行っている。村田養豚場は、排せつ物処理における管理基準についても、前記排水基準と同様違反したことはなく、奈良県としては、不定期的に養豚場へ立入り検査を行い、排せつ物の処理の観点から、排水をより良くするための助言を行っているに過ぎず、これも村田養豚場が赤田川の水質汚濁の原因であることを前提とするものではない。

木津川市も、赤田川の上流に汚濁源があるとはしつつも、村田養豚場が原因であると特定しての報告・指導を行ったことはない。

そして、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、奈良県や奈良市からの要請や助言を受け、後述のとおり、豚に与えるエサの改良や、浄化設備の設置といった対策を講じており、努力をしてきた。

3 村田養豚場の不法行為責任について

(1)私権の侵害について
  1. 村田養豚場が、法律上の排水基準を満たしており、汚濁原因として論難される理由のないことは前述のとおりである。しかし、仮に、村田接豚場からの排水が 原因で、地域住民への健康被害や、農作物の栽培不良等私権の侵害が発生しているのだとすれば、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の営業権と地域住民の法的権利利益が衝突し、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に公法上の違法がないとしても、私法上の責任が生じる余地はある。

  2. しかし、村田養豚場(村田畜産/村田商店)訴訟代理人が、令和元年11月1日、木津川市まち美化推進課に聞き取り調査を行ったところ、現状において、地域住民や農作物に対し、実害が 出ているとの報告が、山城広域振興局山城南農業改良普及センターにされたことはなく、具体的な権利利益侵害状況は発生していないものである。

  3. そもそも具体的侵害の発生していない状況において、村田養豚場を名指しで赤田川の水質汚濁の原因であるかのように記載し、その影響で、養豚場下流のしい たけ栽培農家に被害が出ているということや、養豚場下流で写真を撮っていた人物が発熱した等、あたかも村田養豚場が農作物や人の生命身体を侵害していると 読めるような記事をインターネット上に掲載することは、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対する名誉毀損に当たるといわざるを得ない。

(2)因果関係について

村田養豚場(村田畜産/村田商店)に不法行為責任があるかのような記載がされている本件記事において、前述のようにそもそも具体的権利利益侵害が発生していないということに加え、仮に何らかの私権の侵害が発生していたとしても、村田養豚場の排水との因果関係が問題となる。

  1. 本件記事にも若干の指摘があるが、村田養豚場よりもさらに上流には、閉鎖された産業廃棄物処分場が存在している。赤田川には、同処分場から汚水が流れ込むということや、埋め立てられている産業廃棄物が汚染の原因となっているという可能性は大いに考えられる。

  2. そして、村田養豚場下流には、砂防ダムが位置している。同ダムは、平成26年頃までは、地域住民の農業用水を取水するため、開閉が行われていたが、平成 27年以降は、開閉設備の故障等の理由により、開閉されなくなった。

    以降、同ダムに溜まった水が流れる機会がなくなり、ダム内の水が、微生物が分解できない栄養量となり、水が腐るといった状況が発生している。

    このことは、赤田川における有機汚濁成分の増加の原因となっている可能性があるにも関わらず、本件記事においては、このことへの言及はされておらず、前述のとおり、村田養豚場が原因であるとの印象を与える構成となっている。

(3)小括

以上からしても、村田義隊場を経営する村田養豚場(村田畜産/村田商店)に不法行為責任等が成立する余地はないにもかかわらず、本件記事では、村田養豚場が赤田川の水質汚濁の原因であり、そのために、周辺地域の農作物や人体に実害が出ているかのような記載がされているものであり、虚偽の事実を適示するものであるといえる。

4 まとめ

以上のとおり、当会代表がインターネット上に記載した本件記事FACT.4は、村田養豚場下流の水質汚濁が長年問題視されてきたということを、「不法行為や迷惑行為」としてひとくくりにし、村田養豚場の下流に限って臭いが酷いということや、養豚場下流の山林の持ち主のしいたけ栽培に悪影響が出ている、養豚場下流で写真を撮った人は発熱した、夕方は特に臭いが酷く、人が少なくなる時間を見計らって汚水が流されているのではないか等記載し、あたかも、村田商店が経営する村田養豚場が原因となって赤田川の水質汚濁が発生しており、周辺住民や農作物に具体的権利侵害をもたらしているかのような印象を与えるものであって、虚偽の事実の適示により、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の名誉を毀損するものである。

5 村田養豚場(村田畜産/村田商店)の排水に対する取組み

  1. なお、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、排水に関する法的基準を遵守した上で、適正な営業権の行使として養豚場経営をしてきたことはこれまでの主張のとおりであるが、排水を扱う事業場として、村田養豚場(村田畜産/村田商店)もその排水を少しでも良いものにすべく、自身の営業権との関係で調整をしつつ、努力をしてきた。

  2. 家畜のエサの改善

    村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、家畜のエサとして食品残渣等を原料に製造されるエコフィードを採用していたが、その中で、アクや色が出やすく、浮きやすいエサがあるということを認職していた。そこで、平成29年夏か秋頃、最終排水への影響も考慮し、そのようなエサの仕入取引を辞め、より排水への影響の小さいエサを利用するように取り組んできた。

  3. 浄化設備の設置

    村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、排水基準は満たしているという状況の中で、より排水を良いものとするため、養豚場に浄化設備を設置した。令和元年10月の時点で、ほぼ完成形となっており、最終調整の段階である。

    この浄化設備については、村田養豚場(村田畜産/村田商店)代表者〈村田商店代表乙〉が、浄化設備を設置するに当たり、設置費用、維持管理等の観点からどのような浄化設備にすべきか検討していたところ、知人の農家より、「京都に技術を持った人がいる。」という話を聞き、実際にその知人の浄化設備を自身の目で確認した上で、費用や維持管理のことについても話を聞き、村田養豚場としても、その浄化設備を設置しようという考えに至った。

    そして、平成29年9月25日付けで、奈良県を通じて、京都府農林水産技術センター畜産センターに汚水処理技術の指導協力を依頼(甲17)し、派遣された技術者が図面等を作成した上で、現在、ほぼ完成という状況に至った。

  4. このように、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、排水をより良いものとするため、自身の営業権との関係でギリギリの調整をしながら、「弥勒の道プロジェクト」の要求に応じ、排水改良のための努力を行ってきた。

    そのような中で、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の営業権、財産権を一切顧慮することなく、村田養豚場(村田畜産/村田商店)を攻撃し続ける当会代表の対応は、非常に苛烈なものであるといわざるを得ない。

1 「汚濁」と言う言葉は水質汚濁防止法特有の表現ではない

村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、「汚濁」という言葉が水質汚濁防止法特有のものであり、本件記事の中で用いられている「汚濁」と言う表現は、水質汚濁防止法上の「汚濁」を示すと主張するが、言うまでもなく、「汚濁」という言葉は水質汚濁防止法特有のものではない。むしろ「汚濁」と言う言葉を用いずに「汚濁」を表現することの方が難しいと言える。

また法令の分野に限っても、「汚濁」と言う言葉は水質汚濁防止法特有のものではない。例えば木津川市は、様々な報告書で「赤田川水質汚濁」と言う表現を用いているが、木津川市が念頭においているのは、水質汚濁防止法ではなく、環境基本法(平成5年法律第91号)第16条による公共用水域の水質汚濁に係る環境上の条件につき人の健康を保護し及び生活環境(同法第2条第3項で規定するものをいう。以下同じ。)を保全するうえで維持することが望ましい基準(以下「環境基準」という。)である。

このことは、木津川市が、平成29(2017)年4月10日、京都府山城南保健所とともに、エヌエス環境株式会社と赤田川の水質汚濁について協議(乙8の1)した際、エヌエス環境株式会社から、赤田川の大腸菌群数について、「し尿レベルの汚染」と指摘されたにも拘わらず、その後木津川市が、赤田川の大腸菌群数について、ほとんど注意を払っていないことからもうかがえる。農業用水とみなして赤田川に適用される河川類型Dの環境基準には、大腸菌群数の基準値が設定されていないため、赤田川の大腸菌群数に関しては、環境基準に照らした評価が行えないためである。

また、公共用水域である赤田川の、その中でも当尾京都府歴史的自然環境保全地域に指定された区間で、環境基準を超える著しい水質汚濁がたびたびみられる(乙9の2)ことは、そのこと自体が地域にとって被害であると言わなければならない。当該地域には、永仁四年の瑠璃不動磨崖仏がある浄瑠璃寺奥之院へのハイキングコースもあり、赤田川の水質汚濁とそれに起因する悪臭は、地域の観光価値をも毀損している。

2 村田養豚場は、下流で問題視されている有機汚濁物質に関して、排水規制を受けていない。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、第3、(1)のイ乃至(2)で、村田養豚場が水質汚濁防止法上の排水規制に違反したことはないと主張するが、赤田川下流で問題視されているのは、生物化学的酸素要求量(BOD)あるいは化学的酸素要求量(COD)として現れる有機汚濁である。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、第3、(1)のイで明らかにしていることは、村田養豚場は、1日当たりの平均排水量が50㎥未満とされているので、甲14の別添2表1記載の有害物質に係る排水基準の適用は受けても、生物化学的酸素要求量(BOD)など、甲14の別添2表2記載の生活環境項目に係る排水基準については、何の規制も受けていないという事実である。

したがって、村田養豚場が水質汚濁防止法上の排水基準を満たしていることは、村田養豚場が下流で問題となっている有機汚濁の原因者ではないことを何ら保証しない。

3 村田養豚場が、下流で問題視されている有機汚濁の原因であると疑われていることは事実である。

(1) 平成28(2016)年6月の本件記事公開時点

当会代表は、本件記事公開前に、木津川市議会において、赤田川の水質汚濁問題が長年議論されており、村田養豚場がその原因と疑われていることを、インターネット上に公開された木津川市議会議事録で確認していた(乙6)。

また、平成28(2016)年までに行われた民間の調査においても、赤田川の化学的酸素要求量(COD)が木津川水系の中で突出していることが指摘されており、その原因として「上流域にある産廃の山と養豚場」が挙げられていた(乙89ー4頁)。

加えて、当会代表は実際に赤田川の奥之院付近などを訪れ、その水質汚濁状況を何度も確認していた。本件記事には、本件記事の内容を根拠づけるものとして、当会代表が撮影した赤田川の写真や動画が複数掲載された。

(2) 平成28(2016)年6月の本件記事公開以降

本件記事公開以降の、赤田川の水質汚濁状況を巡る動きについては、当会代表第1準備書面、第2、9で詳しく述べたので、そちらを参照されたい。

4 私権の侵害について

本件記事に、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による水質汚濁防止法違反を指摘する記述はない。また、赤田川下流で具体的な農業被害が発生していると指摘している箇所もない。村田養豚場からすぐ下流の浄瑠璃寺奥之院近辺では、著しい水質汚濁が頻繁に観察されているので、当会代表はそのことを象徴する出来事をいくつか紹介したに過ぎない。

しかし、もし赤田川下流で具体的な農業被害が出た場合は、下流域農業者から原因者に対し、公害訴訟などが提起されることが大いにあり得る。実際、木津川市は、平成29(2017)年春頃には、赤田川の水質汚濁が深刻化したことを受けて、公害調停あるいは公害訴訟についても検討しており、京都府に対して、公害紛争処理を念頭に、農業被害が出た場合の農業者への支援を要請している(乙9の2)。

5 因果関係について

(1) 赤田川上流の松谷処分場が、赤田川の汚濁源である可能性は、木津川市赤田川水質汚濁状況調査報告書によって否定されている。(乙15

ア 平成29(2017)年4月10日の段階で、木津川市から赤田川の水質調査を委託されていたエヌエス環境株式会社は、「降雨量が増えれば河川流量は増加するが、汚濁物質は薄められる傾向」にあることを指摘し、赤田川の水質汚濁源について、「雨に伴って濁水のように流出する発生源ではない」と結論づけている(乙8)。すなわち、産廃処分場などから雨に伴って流出するような汚濁物質が、赤田川水質汚濁の原因となっているとは考えられない。

イ 赤田川水質汚濁状況調査では、村田養豚場のすぐ上流の調査地点「底質⑤」から採取した底質の分析結果と、松谷処分場跡より上流の調査地点「奈良上流」から採取した底質の分析結果に、ほとんど差が認められていない(乙15ー12頁、調査地点は乙15ー6頁)。したがって、松谷処分場跡が赤田川水質汚濁の原因とは考えられない。

調査地点

ウ 連続モニタリング調査によって、夜間、短時間に有機汚濁成分が赤田川に大量に流入していることが確認されたが、これは自然現象としては説明が困難であり、赤田川の水質汚濁は人為的なものであると考えられている(乙15ー22頁)。

(2) 奥之院下流の砂防ダムが、赤田川の二次的な水質悪化の原因となっている可能性が考えられるようになったのは、平成29(2017)年5月30日に行われた木津川市による赤田川水質汚濁状況調査の後である(乙62)。それまで、奥之院下流の砂防ダムは、いわば天然の沈殿槽として、有機汚濁成分が下流に流れるのを、ある程度食い止めていると考えられていた。したがって、平成28(2016)年6月公開の本件記事に、砂防ダムが二次汚濁源となっている可能性について記載がないことは、当然と言える。

なお、砂防ダムの取水設備の開閉が行われなくなったのは、開閉機構が故障したことに加え、開放時に汚濁した底質を含んだ黒い水が下流に流れ込むためである(乙15ー25頁)。

また、砂防ダムが二次的な水質悪化の原因となる理由は、ガスとともにスカム状の物質が噴き上がり、それらが水面を浮遊して、下流に流れ下ることなどによる(乙15ー20頁)。この現象は、赤田川上流から大量の有機汚濁成分が流れ込むことによって生じていると考えられ、それゆえに砂防ダムは、「二次的な」水質悪化の原因とされている。

しかし現在では、砂防ダムにおいて、スカム状物質の噴き上がりは少なくなっており、砂防ダムが二次汚濁源となっているとは考えられていない(乙62ー2頁)。理由は不明であるものの、上流からの有機汚濁成分の流入が減ったことにより、砂防ダムの汚濁状況が改善したことなどが考えられる。

ただし、今後、上流から有機汚濁成分の大量流入が繰り返された場合は、砂防ダムがいよいよ深刻な二次汚濁源となる可能性はある。

なお砂防ダム改修について、京都府山城南土木事務所は、河川法に基づき、有機汚濁成分流入の原因者に現状復旧させること、あるいは、原因者に代わって木津川市が現状復旧を行い、原因者にその費用を請求することが可能であると結論づけている(乙90)。

したがって、今後砂防ダムの改修が不可避となれば、一次汚濁の原因者特定について、それまで以上に踏み込んだ判断がなされ、もし原因者が特定された場合は、その原因者が、砂防ダム改修工事を負担させられる可能性がある。

以上の通り、一時、砂防ダムが水質悪化の原因となっていたことは、上流の汚濁源から大量の有機汚濁成分が赤田川に流れ込んでいたことの結果であって、砂防ダムが単独で赤田川の水質を悪化させていたわけではない。

(3) 木津川市赤田川水質汚濁状況調査報告書は「府県境に位置する養豚場付近が、赤田川の水質汚濁源となっていると考えられる」としている(乙15ー20頁)。以下、赤田川の汚濁原因に関する結論部分を引用する。

「 連続モニタリング調査の結果から、赤田川の水質汚濁については、「奥の院」における水質を著しく悪化させるような、高濃度かつ大量の有機汚濁成分が、人為的に、高い頻度で主に夜間に排出され、河川に流入することによって生じている可能性が高い。

4月17日の水質調査では、「奥の院」で従来見られなかった高濃度の有機汚濁が確認されたが、これは、有機汚濁成分の流入時の水質である可能性が高い。

本年度の赤田川の水質は、【参考資料2】のとおりだが、河川への汚濁成分の流入が短時間に集中していると考えられる今回のようなケースでは、通常の水質検査では、汚濁状況を十分把握することが困難である。

一方、底質は、河川水の影響を蓄積するため、一時的な汚濁成分の流入についても、一定捕捉することができる。汚濁源の確認調査において、底質に大きな差異が認められたのは底質⑤と底質⑥の間であり、底質⑤から下流側で底質の有機物汚濁を示す化学的酸素要求量(COD)が高い状況であった。

また、養豚場周辺の流入水に強い有機物汚濁が認められたことから、府県境に位置する養豚場付近で、高濃度かつ大量の有機汚濁成分が排出されて、赤田川の水質汚濁を引き起こしていると考えられる。

なお、事業所敷地内の状況が不明であることから、付近の事業所の汚水処理等の調査が必要である。」(乙15ー25頁)

当会代表は平成28(2016)年6月に公開した本件記事において、赤田川水質汚濁の原因が村田養豚場であるとは断定していないが、以上の通り、平成29(2017)年11月の木津川市赤田川水質汚濁状況調査報告書では、水質汚濁源が村田養豚場付近であることまでは特定している。

6 まとめ

以上のことから、本件記事における「汚濁」と言う表現が、水質汚濁防止法上の「汚濁」を示すということを前提とした村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張は、全て当を得ていない。また、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張は、木津川市の水質汚濁状況調査報告をふまえていないため、すでに明らかとなっていることを無視したものである。したがって、本件記事が虚偽の事実の摘示だとする村田養豚場(村田畜産/村田商店)の指摘には根拠がない。少なくとも、当会代表には、摘示事実が真実であると信ずるについて相当の理由があった。

7 村田養豚場(村田畜産/村田商店)の排水に対する取組みについて

(1) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、平成29(2017)年夏か秋ごろ家畜の餌を改善したとするが、これは、平成29(2017)年5月30日に行われた、木津川市の赤田川水質汚濁状況調査で、村田養豚場直下の川底に、大量の食品残渣がみられた(乙10乙15ー7頁)ことを、木津川市から指摘されたためと考えられる。

ところで、乙31ー(1)乃至(3)で示したように、木津川市の赤田川水質汚濁状況調査より少し前、平成29(2017)年の冬から春にかけ、村田養豚場は、余剰食品残渣などを、東鳴川町502に大量に投棄している(乙31ー(1)の日付が「2018.2.16」とあるのは、「2017.2.16」の誤りであるので、訂正したい。)。

つまり、木津川市の調査で発見された赤田川川底の食品残渣は、村田養豚場が赤田川の川べりに投棄した余剰食品残渣が、雨などによって赤田川に流れ込んだ結果、川底に堆積したものと考えられる。

また、村田養豚場では、敷地の間にある木津川市道上で、フォークリフトとミニローダーを用いて餌の混ぜ合わせが行われているが、この作業時に、少なくない量の食品残渣が路上にこぼれ落ちている(乙56)。こうしてこぼれ落ちた食品残渣は、ホースの水を使って洗い流され、最終的には赤田川に流れ込んでいると考えられる。

しかし村田養豚場(村田畜産/村田商店)が餌を改善したとする、平成29(2017)年の夏か秋以降にも、食品残渣らしきものが、やはり東鳴川町502の赤田川川べりに、大量に投棄されている(乙31ー(18)乃至(24))。加えてこの間、市道上での餌の混ぜ合わせ作業についても、何かが改善されたようには思われない(乙56)。したがって、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が餌を改善した後も、それまで同様、食品残渣は赤田川に流れ込み続けていたと考えられる。

以上のことから、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による餌の改善は、水質改善のための工夫というよりも、食品残渣が流出した際、それが露見することを避けるための工夫であったと解する余地もある。

(2) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)が新しい排水設備設置の工事を開始したのは、令和元(2019)年5月ごろである(乙72ー(25))。これは村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、当会代表に対し、本件御通知書(乙1)を内容証明郵便で送付した平成31(2019)年3月1日よりもあとである。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)はこの新しい排水設備が令和元(2019)年10月の時点でほぼ完成したとするが、これは村田養豚場(村田畜産/村田商店)による本訴訟の提起よりあとであることはもちろん、当会代表が当会代表第1準備書面を提出した2019(令和元)年9月10日よりもあとである。

(3) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)が村田養豚場の排水設備に関し、何らかの対策を取ってきたのだとしても、それが「弥勒の道プロジェクト」の要求に対応するものだとは到底考えられない。

第一、当会代表は「弥勒の道プロジェクト」として村田養豚場(村田畜産/村田商店)に何かを要求したことはない。一方、赤田川の水質汚濁に関しては、平成29(2017)年初夏ごろ、下流五地区やJA京都やましろが、水質改善を求める要望書を木津川市長に手渡している(乙11乙12)。さらにその後、平成29(2017)年11月には、木津川市による赤田川水質汚濁状況調査報告書(乙15)の内容を受け、木津川市長自ら、奈良県知事及び奈良市長を訪問して、赤田川の水質改善に関し、文書で協力を要請する事態ともなった(乙17の1乙18の1)。

それにも拘わらず、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が「弥勒の道プロジェクト」の要求に応じて努力をしてきたと主張することには、問題を、村田養豚場(村田畜産/村田商店)と当会代表の関係のみに矮小化しようという、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の戦略的意図が込められているものと考える。

また村田養豚場(村田畜産/村田商店)が「村田養豚場(村田畜産/村田商店)の排水に対する取組み」として挙げたものは、いずれも本件記事が公開された後に行われたものである。

加えて、当会代表は、本件記事公開後、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による訴訟提起を受けた後の、令和元(2019)年9月11日まで、本件記事を一切変更しておらず、また村田養豚場(村田畜産/村田商店)も、平成31(2019)年3月1日の本件御通知書送付まで、本件記事を具体的に指定して、当会代表に何かを要求したことはない。したがって「村田養豚場(村田畜産/村田商店)を攻撃し続ける当会代表の対応は、非常に苛烈なものである」とする村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張は、実態を反映していない。

そもそも、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は木津川市の立ち入り調査を拒んでいる(乙13)上、奈良県や京都府などにも、木津川市に村田養豚場に関する情報を提供しないよう求めている(乙24ー8頁)ので、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の排水に対する取組みは、木津川市にほとんど把握されておらず、当然の帰結として、木津川市による下流地域への説明でも、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の取組みの詳細はほとんど伝えられていない(乙69)。この状況で、当会代表に対し、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の取組みを理解するよう求めることには無理がある。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、当会代表の理解を得るためではなく、赤田川下流地域の理解を得るため、木津川市による立ち入り調査を、それがいつであっても快く受け入れ、木津川市に対し、すすんで排水設備の詳細を逐一説明するべきであろう。

当会代表としても、立ち入り調査などをふまえた上で、木津川市から赤田川下流地域に対し、地域が納得するような、詳細な説明があった場合には、その説明内容を本件記事に反映させることに吝かではない。

1 名誉毀損事実

(1) 本件記事においては、村田養豚場の下流に限って、赤田川の水質汚濁が見られるということ、また、養豚場下流における住民らからの話として、しいたけ栽培のためのポンプが糞尿やゴミで詰まるといったことや、養豚場下流付近の赤田川の写真を撮影した人物がその後発熟したということ等が記載されている。

さらに、「人が少なくなる時間を見計らって汚水が流されているのかもしれません」等、村田養豚場が赤田川の水質汚濁の原因であることを前提とした記載がされているものであり、これらの内容は、「村田養豚場(村田畜産/村田商店) による不法行為や迷惑行為」(甲2、1頁本文6行目~9行目)という形で括られている。

これらの記載からすれば、本件記事は、「村田養豚場が赤田川の水質汚濁の原因者」であり、それにより、村田養豚場の下流、農業や人体への被害が出ており、 村田養豚場(村田畜産/村田商店)には「違法性がある」との認識を与えるもので、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の社会的評価を著しく低下させるものである。

(2) これに対し、当会代表は、「下流域で農作目全般に被害が及んでいるとは記述していない」、「撮影者が帰宅後熱が出たことの原因が、赤田川の水質汚濁にあるとも断定していない」、「村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、汚水を流しているとは断定していない」等主張する。

(3) しかし、名誉毀損の判断に当たっては、当該記事の特定の文言のみよって判断されるべきではなく、記事の趣旨、目的、当該部分の前後の文脈、見出し、体裁等も考慮した上、当該記事全体から、一般読者が受ける印象及び認識に従って判断すべきである。

本件記事は、確かに、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が経営する村田養豚場が赤田川の水質汚濁源であると直接断じている部分はない。しかし、本件記事についてみるに、本件記事が全体として、「村田養豚場による不法行為や迷惑行為」として括られており、養豚場下流での農業被害、人体への害が記載され、「人が少なくなる時間を見計らって汚水が流されているのかもしれない」等記載していることからすれば、一般読者をして、村田養豚場の不法行為ないし迷惑行為によって、赤田川が汚染され、現実的に農業や人体への被害が生じていると認識させるものであることは明白であり、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の社会的評価を著しく毀損するものであるとの評価を免れない。

2 真実性

(1)村田養豚場(村田畜産/村田商店)が赤田川の水質汚濁源であるということについて

ア 当会代表は、平成29年11月の木津川市赤田川水質汚濁状況報告等(乙15)において、赤田川の水質汚濁源が村田養豚場付近であることまでは特定しているとし、本件記事の記載内容は虚偽ではない旨主張している。

イ 当会代表が指摘する木津川市赤田川水質汚濁状況報告書(乙15)は、「養豚場周辺の流入水に強い有機物汚濁が認められたことから、府県境に位置する養豚場付近で、高濃度かつ大量の有機汚濁成分が排出されて、赤田川の水質汚濁を引き起こしていると考えられる。」(25頁)との記載があるが、この記載はあくまでも赤田川の水質汚濁原因を村田養豚場に特定しているものではないことは明らかである。

また、これまで村田養豚場(村田畜産/村田商店)が繰り返し主張しているとおり、村田養豚場は、その排水検査において、水質汚濁防止法に定める排水規制に違反したことはなく、赤田川を所管する奈良市より、排水に関し、行政法上の指導を受けたことは一度もない。

ウ このような状況にあって、「村田養豚場が赤田川の水質汚濁の原因者である」という事実が真実であるとはいえない。

しかし、当会代表は、本件記事の中で、村田養豚場の少し下流における山林の持ち主の被害や、村田養豚場より下流に限って糞尿あるいはどぶ川のような臭いする、人が少なくなる時間帯を見計らって汚水が流されているのかもしれない等記載し、一般的な読み手をして、村田養豚場が赤田川水質汚濁の原因であるとの認識を与えているものであり、かかる記事内容が真実であるとはいえない。

(2)村田養豚場(村田畜産/村田商店)には違法性があるということについて

ア 村田養豚場(村田畜産/村田商店)が従前主張をしてきており、この点については、当会代表としても争いがないと考えられるが、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、赤田川を所管する奈良市より、養豚場の排水について検査を受けているが、その検査の結果が、水質汚濁防止法が定める基準に違反したことはなく、行政法上の指導を受けたこともない。

イ したがって、村田養豚場(村田畜産/村田商店)には、その養豚場経営に関し、公法上の違法性は全く存在していない。

ウ さらに、私法上の違法性が存在しているか否かという点についても、原告第1準備書面において主張のとおり、現状において、地域住民や農作物に対し、実害が出ているとの報告が、山城広域振興局山城南農業改良普及センターにされたことはなく、具体的な権利利益侵害状況は発生していないものである。

この点、当会代表は、「赤田川下流で具体的な農業被害が発生していると指摘している箇所もない」と主張をしており、本件記載の名誉毀損事実該当性について争っているものと考えられるが、当該記事が、「村田養豚場(村田畜産/村田商店)の違法性」を摘示するものであるとの評価がされた場合、その真実性がないということについては争いがないものと思われる。

エ したがって、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に違法性があるということについても、その真実性が認められないことは明らかである。

2 相当性

(1)相当性の判断材料

当会代表は、被告第2準備書面において、本件記事内容が真実であると主張する根拠と同様の根拠をもって、「少なくとも、当会代表には、摘示事実が真実であると信ずるについて相当の理由があった」旨主張していると考えられる。

しかし、真実相当性は、当会代表が行為当時に、相当の資料に張づいて本件記事の作成を行ったか否かという点についての判断であり、「かかる相当理由の存在の有無を判断するための資料としての「事実」は、行為当時において存在することを要する」(最判平成14・1・29判時1778号49頁)ものである。

当会代表が本件記事を掲載したのは、平成28年6月であるから、この時点において存在する事実のみが、真実相当性の判断材料となるものである。

(2)本件における相当性

当会代表は、平成29年4月10日の段階で、木津川市から赤田川の水質調査を委託されていたエヌエス環境株式会社による調査結果(乙8)及び平成29年11月の木津川市赤田川水質汚濁状況調査報告書(乙15)を中心として、村田養豚場が赤田川の水質汚濁源である可能性についての主張をしているものと考えられるが、これらの事実は、当会代表が本件記事を掲戦した平成28年6月の時点においては、存在していないものであるといわねばならない。

したがって、本件記事掲載時において、当会代表が、「村田養豚場が赤田川下流の水質汚濁の原因者である」ということが真実であると信じるにつき相当の理由があったとは到底いえない。

当会代表が、赤田川の水質汚濁によって現実の被害が生じており、村田養豚場(村田畜産/村田商店)には違法性があると信じたことについても、当然相当性は認められない。

3 小括

以上のことからすれば、「赤田川の水質汚濁(FACT.4)」に記載された内容は、村田機豚場が赤田川の水質汚濁源であり、そのために実際の被害が生じているのであって、村田養豚場(村田畜産/村田商店)には違法性がある、という虚偽事実を摘示したものであり、当会代表が、それを真実であると信じるにつき正当な理由があったともいえないため、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対する名誉毀損を構成するものである。

2 「第2 被告第2準備書面「第4 赤田川下流の水質汚濁(FACT.4)」に対する反論」に対する反論

(1) 「1 名誉毀損事実」について

本件記事の「赤田川下流の水質汚濁(FACT.4)」の構成は次のようなものである(甲2ー47〜54頁)。

  • 木津川市議会で、村田養豚場の汚水処理が不十分であることが長年強く疑われてきたことを紹介(甲2ー47頁)。

  • 村田養豚場には浄化槽が設置されていないと見られることを指摘(甲2ー47頁)。

  • 赤田川の水質汚濁状況を、写真と動画のほか、エピソードを交えて説明(甲2ー48〜50頁)。

  • 赤田川水質汚濁の原因として村田養豚場が疑われていることを改めて指摘し、上流ではそれほど水質汚濁が見られないことを説明(甲2ー51頁)。

  • 奈良市・木津川市ともに、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の排水に何の問題もないとしていることを指摘(甲2ー52頁)。

  • 村田養豚場の生産するブランド豚「郷ポーク」が、「人間の食べ残しを食べさせるエコな豚、奈良の自然豊かなむらざとで育んだブランド豚」として宣伝されていることを紹介し、「浄化槽も設置せずに、これらのうたい文句にふさわしい環境対策は可能なのでしょうか」と疑問を提起(甲2ー52〜53頁)。

  • インターネット上に公開されている記事「畜産の情報-調査・報告-2003年10月」月報国内編「養豚に切っても切れない汚水処理」(乙114)から、「放流できる処理水を得るためには浄化槽(活性汚泥処理施設)が必要である。養豚ではふんと尿を分離し、ふんはたい肥化、尿は浄化槽がメジャーな方法となっているのである」との記述を引用(甲2ー53〜54頁)。

  • 赤田川が当尾京都府歴史的自然環境保全地域に接しており、砂防ダムで作られた池の一部を含め浄瑠璃寺奥之院瑠璃不動像周辺は文化財環境保全地区に指定されていることを指摘(甲2ー54頁)。

冒頭のイと結論部分のカ・キが、対応していることからも明らかなように、「赤田川下流の水質汚濁(FACT.4)」の中核は、「村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、ブランド豚のうたい文句にふさわしい環境対策として、浄化槽を設置するべきだ」という、意見の表明にある。

確かに当会代表は、上記主張の前提として、赤田川に著しい水質汚濁が見られること、及び、その原因として村田養豚場が疑われていることについて指摘しているが、当会代表は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が赤田川の水質汚濁源であるとは断定しておらず、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に違法性があるとも述べていない。

以上をまとめると、「赤田川で著しい水質汚濁が続いている中、その原因として疑われてもいるのだから、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、ブランド豚のうたい文句にふさわしい環境対策として、浄化槽を設置するべきだ」という意見の表明が、「赤田川下流の水質汚濁(FACT.4)」の趣旨である。

したがって、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の指摘はこじつけにすぎず、的外れである。

(2) 「2 真実性」について

ア 「(1)村田養豚場(村田畜産/村田商店)が赤田川の水質汚濁源であるということについて」について

(ア) 「平成29(2017)年11月の木津川市赤田川水質汚濁状況報告等(乙15)において、赤田川の水質汚濁源が村田養豚場付近であることまでは特定している」ことは、赤田川の水質汚濁源が村田養豚場であると疑われていることの妥当性を補強しこそすれ、否定するものではない。

(イ) 村田養豚場が水質汚濁防止法上の排水基準を満たしていることが、村田養豚場が下流で問題となっている有機汚濁の原因者ではないことを何ら保証しないことについては、被告第2準備書面42〜43頁で、すでに述べた。

(ウ) 当会代表は「村田養豚場が赤田川の水質汚濁の原因者である」とは断定していない。

たしかに本件記事には、「人が少なくなる時間を見計らって汚水が流されているのかもしれません」という記述があるが、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、村田養豚場が汚水を流しているとは記述していない。そして、「人が少なくなる時間を見計らって汚水が流されて」いたこと自体は、のちに木津川市が、赤田川の奥之院付近で実施した、EC連続モニタリング調査において、高い頻度で夜間に、人為的な水質汚濁が検知されたことにより、科学的に裏付けられた(乙15ー22頁)。

また、村田養豚場直下の赤田川に、強烈な悪臭を放つ泥が溜まっていることや、村田養豚場を境に赤田川の水質汚濁状況が一変することについても、木津川市が行った赤田川の踏査によって、確かめられている(乙10ー2頁)。

イ 「(2)村田養豚場(村田畜産/村田商店)には違法性があるということについて」について

(ア) 村田養豚場が水質汚濁防止法上の排水基準を満たしていることが、村田養豚場が下流で問題となっている有機汚濁の原因者ではないことを何ら保証しないことについては、被告第2準備書面42〜43頁ですでに述べた。

(イ) 村田養豚場に、水質汚濁防止法上の違法性がないことは認めるが、犬の放し飼いなど、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の養豚場経営には、公法上の違法性が少なからず存在する。

(ウ) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)が「ウ」の第2段落で指摘するとおり、当会代表の反論については、被告第2準備書面44頁「4 私権の侵害について」ですでに述べた。

(エ) 当会代表は、本件記事の「赤田川下流の水質汚濁(FACT.4)」では、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に違法性があるとは述べていない。

(3) 「3 相当性」について

当会代表は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が赤田川の水質汚濁源であるとは断定しておらず、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に違法性があるとも指摘していないが、平成28(2016)年6月の時点で、当会代表が、赤田川水質汚濁の原因が、村田養豚場であると疑われていること自体について、これを真実だと信じた根拠については、被告第2準備書面43頁ですでに述べた。

また、当会代表が被告第2準備書面44〜47頁の「5 因果関係について」において、「平成29(2017)年4月10日の段階で、木津川市から赤田川の水質調査を委託されていたエヌエス環境株式会社による調査結果(乙8)及び平成29(2017)年11月の木津川市赤田川水質汚濁状況調査報告書(乙15)を中心として、村田養豚場が赤田川の水質汚濁源である可能性についての主張」をしたのは、原告第1準備書面18頁の「(2)因果関係について」を受けてのことである。

原告第1準備書面18頁の「(2)因果関係について」において、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、平成27(2015)年以降の出来事に言及し、砂防ダムが赤田川の汚濁源である可能性を指摘している。しかしながら、被告第2準備書面45頁で述べたとおり、砂防ダムが、赤田川の二次的な水質悪化原因となっている可能性が考えられるようになったのは、木津川市による赤田川水質汚濁状況調査の後である。すなわち、少なくともこの論点に関しては、そもそも村田養豚場(村田畜産/村田商店)自身が、平成28(2016)年6月時点における事実のみに基づいて、主張を展開していない。したがって、当会代表が、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張に反論するために、平成29(2017)年11月の木津川市赤田川水質汚濁状況調査報告書等に触れたことは、当然である。

(4) 「3 小括」について

村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張はいずれも曲解に基づいており、的外れである。したがって、本件記事に、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対する名誉毀損を構成する要素は何も存在しない。

ISSUE.5
公益を目的
とした記事

本件記事中でも述べているとおり、村田養豚場から南へ伸びる道が県道33号と交わる地点には、奈良交通のバス停があり、その停留所名は、近年まで「浄瑠璃寺南口」とされていた。この停留所名からも、村田養豚場の敷地の間にある、木津川市あるいは奈良市の市道が、奈良側から浄瑠璃寺へ向かう多くの観光客に長らく利用されてきたことは明らかである。また、村田養豚場から南へ伸びる道の途中で、木津川市の市道が西側の山林に入っていくが、この道の歴史は古く、享保20(1735)年頃に出版された大和志には、中ノ川から西小田原(浄瑠璃寺周辺)へ抜ける道として、この道が「中川越」という名前で記録されている(乙73)。

乙-73-五畿内志/中巻/奈良志/区域

さらに浄瑠璃寺の歴史を記録した古文書「浄瑠璃寺流記事」には、平治元(1159)年の十万堂棟上をはじめとして、中川寺の僧侶が度々浄瑠璃寺に出仕していた記録が残っている。すなわち、中川寺(奈良市中ノ川町にかつてあった寺院)から浄瑠璃寺へ至る道は、村田養豚場の敷地の間を通る道(以下「中川越道」という。)以外にあり得ないことから、中川越道が遅くとも平安時代後期に存在していたことは、古文書からも疑いようがない事実である。

当尾地域は、奈良の喧騒を嫌い、修行の地を山岳に求めた僧らによって、その歴史と文化が育まれてきた。中川越道は、まさにそうした僧らが歩いた道であり、当尾地域の歴史と文化のルーツを体現する道と言える。そしてこの中川越道は、名前を変えながら、弥勒信仰の聖地だった笠置山まで繋がっており、現在いわゆる「当尾の石仏の道」として多くのハイカーに親しまれている区間には、鎌倉時代から南北朝時代に造立された石仏が道沿いに点在している。このような歴史ある古い道を、一農場の身勝手な都合で、敷地の一部のように占用することは、到底許されない。まして、多数の犬が放し飼いにされ、その犬の一部が、当尾地域の観光ハイキングコースや、本来静謐であるべき浄瑠璃寺庭園(国の特別名勝)にまで現れる現在の状況は、極めて異常だと言わなければならない。しかも関連行政機関は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による犬の放し飼いを、未だやめさせられずにいる。これは行政が正常に機能していないことを示すものである。

また、赤田川の「アカ」は神仏に供える水「閼伽」に由来すると言われ、当尾地域のお年寄りは、昔の赤田川は非常に美しい清流だったと証言している。村田養豚場より下流の赤田川は当尾京都府歴史的自然環境保全地域に接しており、浄瑠璃寺奥の院付近は当尾磨崖仏文化財環境保全地区にも指定されている(乙9の2)。しかしながら現在の赤田川は、とりわけ村田養豚場のすぐ下流に位置する浄瑠璃寺奥の院付近において、ほとんど常に川の水が泡立ち、時には谷中に酷い臭いが充満するという状況にあり、かつての清流の面影はもはやなく、現状は「環境保全」からかけ離れたものとなっている。

本件記事は、上述のような、地域の持つ様々な価値が毀損され続けている現状を打開するべく公開された。本件記事は、地域の歴史と文化を育んできた古い道を後世に伝えること、地域住民と観光客を危険に晒している犬の放し飼いをやめさせること、本来静かで清らかな山村の魅力に溢れているはずの当尾地域の環境を保全すること、そのために行政による監視と指導を正常化させること、といった、公益を目的とするものであり、公益以外の目的は一切ない。

本訴訟は、本件記事が虚偽であるか否かが中核的争点であるので、本書面では、「公共目的や公共の利害」に関する反論も行わない。

第1回弁論準備手続において、公共目的および公共の利害については争点とせず、真実性・真実相当性のみを争点とすることが確認された。

  1. 村田養豚場(村田畜産/村田商店)の請求を棄却する。
  2. 訴訟費用は村田養豚場(村田畜産/村田商店)の負担とする。

との判決を求める。

更新履歴

2019年9月11日
裁判編を公開しました。
2019年11月28日
裁判編に原告第1準備書面を追加しました。
2019年11月22日に奈良地方裁判所で開かれた第1回弁論準備手続の内容を報告しました。
2020年2月3日
裁判編に被告第2準備書面を追加しました。
2020年2月9日
裁判編に原告第2準備書面を追加しました。
2020年2月7日に奈良地方裁判所で開かれた第2回弁論準備手続の内容を報告しました。
2020年3月23日
裁判編に被告第3準備書面を追加しました。
2020年4月10日
裁判編に原告第3準備書面を追加しました。
2020年4月8日に奈良地方裁判所で開かれた第3回弁論準備手続の内容を報告しました。
2020年5月25日
裁判編に被告第4準備書面を追加しました。
2020年5月29日
2020年5月27日に電話会議で開かれた第4回弁論準備手続の内容を報告しました。
裁判編に争点表を追加しました。
2020年7月9日
2020年7月9日に電話会議で開かれた第5回弁論準備手続の内容を報告しました。
裁判編に争点表を追加しました。

カンパのお願い

赤田川や浄瑠璃寺周辺の環境を守るために、もしこの裁判にかかる費用のほんの一部だけでも、負担してくださる方がいらっしゃいましたら、下記口座にカンパしていただけるとたいへんありがたいです。集まった寄付金については、後ほど会計を必ずご報告いたします。ご協力よろしくお願いいたします。

郵便局総合口座
14460 - 27323251
銀行名
ゆうちょ銀行
金融機関コード
9900
店番
448
預金種目
普通
店名
四四八 店(ヨンヨンハチ店)
口座番号
2732325
口座名義
遠藤 千尋 (エンドウ チヒロ)