乙第144号証

訴状

原告 〈長尾2共同所有者3名〉
原告ら訴訟代理人 弁護士〈長尾2共同所有者代理人〉
被告 〈村田商店代表乙〉
被告 〈村田商店代表乙の父〉
被告 株式会社村田商店
上記代表者代表取締役 〈村田商店代表乙〉
2021(令和3)年9月9日
原告ら訴訟代理人 弁護士〈長尾2共同所有者代理人〉

京都地方裁判所民事部 御中

境界確定等請求事件

訴訟物の価額
900万8555円
貼用印紙代
4万8000円

請求の趣旨

  1. 別紙土地目録1記載の土地と別紙土地目録2記載の土地との境界は添附市有土地境界確定図の201-308-309-300を結ぶ線であることを確定する。
  2. 添附市有土地境界確定図の201-308-309-300を結ぶ線より北側は原告らの所有土地であることを確認する。
  3. 被告らは原告らに対し、別紙土地目録1記載の土地内にある被告ら所有の構造物及び動産類を撤去せよ。
  4. 被告らは原告ら各自に対し、連帯して各金300万円及びこれに対する2020(令和2)年2月1日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  5. 訴訟費用は被告らの負担とする。

との判決を求める。

請求の原因

第1 当事者

  1. 原告らは別紙土地目録1記載の土地(以下、「原告ら土地」という)を各持分3分の1ずつ共有する者である(甲1)。

    原告ら土地は、相続による承継があるだけで、従前からの原告らの所有地であり、山林であった。

  2. 被告〈村田商店代表乙〉(以下、「被告〈村田商店代表乙〉」という)は、別紙土地目録2記載の土地(以下、「被告土地」という)の所有者であり、被告株式会社村田商店の代表者である。

    被告土地は、訴外〈東鳴川C〉義博(以下、「訴外〈東鳴川C〉」という)が従前所有していたが、2019(令和元)年8月27日に被告〈村田商店代表乙〉が買い受けた(甲2)。

  3. 被告〈村田商店代表乙の父〉(以下、「被告〈村田商店代表乙の父〉」という)は、被告〈村田商店代表乙〉の父であり、被告会社の前身農場である「村田養豚場」の農場主であり、2002(平成14)年頃までには訴外〈東鳴川C〉から、被告土地を借り受けていた者である。

  4. 被告株式会社村田商店(以下、「被告会社」という)は、被告〈村田商店代表乙〉が代表取締役をつとめる、「村田養豚場」の経営を業とする株式会社である。

第2 被告らによる原告らの土地侵奪の経過と本件合意の経過

1 本件土地侵奪1

(1)被告〈村田商店代表乙の父〉は、2002(平成14)年頃から2007(平成19)年末ごろにかけ、原告らに無断で原告らの土地の一部を掘削して平地にしたうえ、平地が十分に広くなった2006(平成18)年頃からは、そこに工作物を設置し、動産類を置くなどして占有した(以下、「本件土地侵奪1」という)。 この時掘削された山林には、被告〈村田商店代表乙の父〉が当時訴外〈東鳴川C〉から賃借していた被告土地及び原告ら土地の一部だけでなく、奈良県奈良市東鳴川町501の一部及び木津川市道(当時は加茂町道)の一部が含まれていた。加えて被告〈村田商店代表乙の父〉は、赤田川縁の一段下がった土地であった木津川市加茂町西小長尾谷1―乙の一部を土砂や廃棄物などで埋め立てた。 被告〈村田商店代表乙の父〉は、従前関係する土地所有者の間で土地境界の目印として了解されていた地形や樹木を損壊したため、従前の土地境界は不明になった。

(2)そのため2で後述するように、2006(平成18)年10月26日に、東鳴川町502の境界確認書(甲3。以下、「旧境界確認書」という)が作成され、現地に杭が打たれた。

しかしその後も被告〈村田商店代表乙の父〉は掘削をやめなかったため、ほどなくしてこの時打たれた杭は掘削により全て失われ、再び確定境界線も不明になった。

原告らは、たびたび警察に相談したが、逆に被告〈村田商店代表乙の父〉は上記掘削範囲を徐々に広げていったため、原告らは2007(平成19)年3月9日、被告〈村田商店代表乙の父〉に廃棄物を無断で埋め立てられて侵奪された他の被告隣接土地(加茂町西小長尾谷1―乙)所有者訴外〈加茂町A〉(以下、「訴外〈加茂町A〉」という)とともに、被告〈村田商店代表乙の父〉(当時は被告〈村田商店代表乙の父〉の氏名が不明であったため、被告〈村田商店代表乙の父〉の父である「村田信男の息子と思われる50歳代の男性」とした)を不動産侵奪罪等で刑事告訴した。但し、当時は亡〈加茂町Bの亡夫〉(原告〈加茂町Bの娘〉の父)、亡〈長尾2共同所有者L〉(原告〈長尾2共同所有者Lの息子〉の父)、原告〈長尾2共同所有者M〉が告訴人である。

なお、刑事告訴の結果は、不起訴(起訴猶予)に終わった。訴外〈加茂町B〉(原告〈加茂町Bの娘〉の母)が病床に伏していた亡〈加茂町Bの亡夫〉の代理として不起訴の理由を担当検事に問いあわせたところ、「けがをしたわけでも殺されたわけでもないので今回は不起訴処分とした。同じことを繰り返した時には不起訴にはならないでしょう」とのことであった。

また、この掘削は、当時被告土地の所有者であった訴外〈東鳴川C〉にも詳細を確認しないまま行われたため、訴外〈東鳴川C〉と被告〈村田商店代表乙の父〉の間で裁判となった。

2 土地境界及び所有権の範囲についての合意

原告らと訴外〈東鳴川C〉に加え、東鳴川町501の共同所有者らは、原告ら土地と被告土地と東鳴川町501の境界及び所有権の範囲について協議の上、2006(平成18)年10月26日に合意(以下、「本件旧合意」という)し、境界確認書(以下、「本件旧境界確認書」という)を作成した(甲3)。

しかしながら、1(2)で述べた通り、その後も被告〈村田商店代表乙の父〉は掘削をやめなかったことから、本件旧合意の土地境界は間を置かず不明になった。そのため、原告らの刑事告訴を受けた京都府警は、木津川市と原告ら及び訴外〈東鳴川C〉及び訴外〈加茂町A〉に、それぞれの所有地(木津川市は道路)の土地境界を現地で確認するよう求めた。

その結果、2007(平成19)年7月24日に、京都府警の捜査に協力する形で、現地立ち合いとヘリコプターによる上空からの確認を含む大規模な測量(以下、「本件測量」という)が行われた。

そして、本件測量の結果に基づいて原告らと訴外〈東鳴川C〉は改めて同年11月20日に原告ら土地と被告土地の境界及び所有権の範囲について正式に合意し(甲4。以下、「本件合意」という)、木津川市による市有土地境界確定図(甲4=添附市有土地境界確定図。以下、「本件土地境界確定図」という)に書き込まれた。

新しい土地境界では、赤田川南岸に当時は現存していた昭和58(1983)年に確定した府県境の杭と、府県境となっている赤田川北側の尾根筋に当たる山林掘削面の一番高いところにある木(300点)を結ぶ線(以下、「指標線」という。)、すなわち被告〈村田商店代表乙の父〉による掘削あるいは埋め立てを免れた現存府県境を直線で結んだ線が、指標とされた。この指標線と赤田川北側の木津川市道が交わる点を、106点(市道南縁)、201点(市道北縁)とし、201点と300点(掘削面頂点)を結ぶ線を、新しい土地境界として確定して、所有権の範囲としても合意した。なお、現地で実際に、赤田川南岸府県境の杭がある地点と掘削面頂点の木に白い紐を張り、白い紐の直下と思われた掘削面の中段二箇所の点を、308点、309点とした。

3 被告土地の訴外〈東鳴川C〉から被告〈村田商店代表乙〉への所有権移転

被告らは被告土地につき、所有者である訴外〈東鳴川C〉から訴外〈東鳴川C〉が十分に満足できる額で買い取ることを強く持ちかけた結果、2019(令和元)年8月27日に、被告〈村田商店代表乙〉は被告土地を訴外〈東鳴川C〉から買い受けた(甲2)。

その際に、訴外〈東鳴川C〉は、本件旧境界確認書(甲3)の写しを被告〈村田商店代表乙〉に交付するとともに、本件土地境界確定図を被告〈村田商店代表乙〉に示し、本件土地境界確定図の201の地点に打たれた杭が、両土地の境界の起点になっていることを説明して、原告ら土地と被告土地の筆界及び所有権の範囲について説明した。

4 本件土地侵奪2

2019(令和元)年8月27日に被告〈村田商店代表乙〉が被告土地を購入するまでは、原告ら土地と被告土地の土地境界及び所有権の範囲に争いはなかった。

ところが、2020(令和2)年1月、被告らは本件合意を無視して、原告らの所有する原告ら土地に越境する形で、被告土地を囲う防護柵を設置して占有した(以下、「本件土地侵奪2」という。添附市有土地境界確定図と航空写真の合成図面=甲5)。

また、1記載のとおり、それまでから被告らは原告ら土地の一部に工作物を設置し、動産類を置いて占有していたが、防護柵の範囲において工作物や動産類の設置を拡大して占有の範囲を拡大した(甲5,6)。

第3 請求の根拠

1 請求の趣旨第3項は、土地所有権に基づく妨害排除請求である。

2 損害賠償請求(請求の趣旨第4項関連)

(1)被告らが侵奪して占有を続けている原告らの土地面積は、約590平方メートルに達する(甲5,6)。

(2)原告らの土地は被告らの故意または重過失により侵奪され、自由に出入りも出来ない状況に置かれている一方、被告らは被告会社の犬小屋、コンテナ置場、資材置場等として原告ら土地を利用することにより、多大の利益を受けている(甲5,6)。被告らの利益額は現時点では原告らには不明であるが、慰謝料も含めた損害額は原告ら各人につき少なくとも200万円を下回らない(民事訴訟法248条参照)。

(3)被告らの本件各土地の侵奪行為は、故意または重過失によるものであり、原告らの財産権を侵害する不法行為に該当するところ、原告らは被害回復のためには訴訟によらざるを得ず、これに要する弁護士費用としては、各100万円を下回らない。

第4 結語

よって、原告らは請求の趣旨記載の判決を求め、本訴に及んだ。

証拠方法

  1. 甲第1号証      土地登記事項証明書
  2. 甲第2号証      土地登記事項証明書
  3. 甲第3号証      旧境界確認書
  4. 甲第4号証の1,2  同意書、市有土地境界確定図
  5. 甲第5号証      市有境界確定図と航空写真の合成図面
  6. 甲第6号証      市有境界確定図と航空写真の合成図面(拡大)

添付書類

  1. 訴訟委任状         3通
  2. 甲号証の写し    正・副各1通
  3. 商業登記簿謄本       1通
  4. 固定資産評価証明書     1通
以上
別紙1
別紙2