本編

FACT.2
執拗に続く
犬の多頭放し飼い

村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、一時は50頭以上の犬を放し飼いにし、長年にわたり周辺地域を徘徊犬による危険にさらしてきました。2014年(平成26年)から2020年(令和2年)ごろにかけては、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が放し飼いにしている犬が多数、隣接する観光地である浄瑠璃寺周辺を頻繁に徘徊し、それらの犬が多いときには10頭単位で浄瑠璃寺の境内にまで入り込む事態ともなっています。しかし奈良県農林部畜産課は、木津川市と京都府警木津警察署に嘘の説明をしてまで、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による犬の放し飼いを擁護し、2024年(令和6年)現在も、公道上での犬の放し飼いをやめさせようとはしません。

FACT.2 目次

2010年代に急激に増えた放し飼いの犬

中ノ川町出身の方から聞いた話によると、村田養豚場周辺には1990年代から放し飼いの犬がおり、子どもの頃父親に連れられて浄瑠璃寺まで歩いたとき、犬がうろついていて怖かったそうです。村田養豚場では、1989年(平成元年)に、村田商店現代表(〈村田商店代表乙〉氏)の祖父に当たる村田養豚場の創業者が倒れ、現代表の父に代替わりしています。村田養豚場での犬の放し飼いは、このときの代替わりの後、始まったようです。

下報告書は、2012年(平成24年)2月27日に、木津川市議が京都府山城南保健所に電話を入れ、村田養豚場付近に多数の犬が徘徊していることについて対応を求めた時のもので、支持者が村田養豚場付近にいた犬を数えたところ、40頭以上の犬を確認したといいます。村田養豚場周辺を徘徊する犬の数は、2010年代に入り急激に増えたと見られます。

平成24年2月27日-犬の多頭飼育苦情について

また、2014年(平成26年)3月3日に、京都府山城南保健所と木津川市が浄瑠璃寺周辺で徘徊犬の状況について聞き取りを行ったところ、「以前から村田養豚場から犬は来ていたがここ2年ほどで頭数が増えた」「少ない時で2、3匹、多い時は5、6匹来る」「昼間はいないが夜に来ている」「年末門前の店舗周辺にいる猫も襲われた」といった情報が寄せられています。

平成26年3月12日-浄瑠璃寺の南方にある養豚場が飼養する犬の放し飼いについて(第3報)-01

平成26年3月12日-浄瑠璃寺の南方にある養豚場が飼養する犬の放し飼いについて(第3報)-02

その二日後の2014年(平成26年)3月5日には、京都府山城南保健所と木津川市、奈良市保健所の間で、村田養豚場周辺の徘徊犬に関する情報交換が行われました。その中で奈良市保健所が、「広範囲に移動しており、若草山で捕獲された犬について村田養豚場が引取に来たこともあった」と報告しています(上報告書2ページ目)。このころ、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が放し飼いにしている犬がかなりの広範囲を徘徊するようになっており、若草山に現れることもあったとわかります。

奈良市保健所と京都府山城南保健所に残る通報や報告

前述のとおり、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が放し飼いにしている犬は若草山にも現れ、全く予想できないほど広い範囲を、数頭から10頭ほどの群れで移動し、各所に危険を及ぼしていました。当然のことながら、近隣地域への犬の徘徊は頻繁で、2015年(平成27年)の末ごろには、村田養豚場から来た犬が、10頭単位で早朝の浄瑠璃寺に現れるようになり、姿が見えない時も境内に多数の糞を残して行くため、浄瑠璃寺がたいへん困る事態なっていました。国宝の三重塔や本堂などに、尿をかけられたりしていた恐れもあります。また、2016年(平成28年)3月に京都側の木津川市加茂町西小で、2017年(平成29年)9月には奈良側の奈良市東鳴川町で、民家の庭に10頭ほどの犬が入り込む出来事まで起きています。

以下は、記録を取り寄せることができた2014年(平成26年)以降の、京都府山城南保健所の文書、及び、奈良市保健所の経過文書から、通報や報告を抜き出したものです。奈良市保健所は、奈良公園の鹿苑に現れた徘徊犬についても、村田養豚場周辺の東鳴川町と中ノ川町の徘徊犬に関する経過文書に記録を残しており、当時の奈良市保健所は、若草山周辺に現れ時折奈良公園にまで降りてくる徘徊犬が、村田養豚場から来ている可能性があるという認識を持っていたと考えられます。

  1. 2014年(平成26年)年4月21日、奈良市保健所が奈良公園管理事務所を訪問して状況を確認しました。

    • 昨日は5頭の野犬がいた
    • 若草山ではなく公園におりてきていた
  2. 2014年(平成26年)年4月23日、奈良公園管理事務所から奈良市保健所に電話がありました。

    • 今朝若草山山麓で3頭の野犬を見かけた
  3. 2014年(平成26年)年4月28日、奈良市保健所が鹿苑で2頭の犬を捕獲しています。

    • 鹿苑内に2頭の犬(黒茶、メス2頭、首輪なし)を確認。吹き矢とガネで収容。
  4. 2014年(平成26年)年4月30日、岩船区区長から木津川市まち美化推進課に通報がありました。

    • 今朝(4月30日午前7時ごろ)唐臼の壺二尊石仏周辺で犬10匹がうろついていたので捕獲してほしい。
  5. 2014年(平成26年)年12月1日、浄瑠璃寺から京都府山城南保健所に通報がありました。

    • 野犬が5匹現れたので対応願いたい。
    • 12月2日に京都府山城南保健所から浄瑠璃寺に電話で確認。「犬は11月30日に境内に現れ、住み着いている猫を1匹かみ殺した。その後は現れていない。」
  6. 2015年(平成27年)年5月26日、奈良公園管理事務所から鹿愛護会事務所を訪れた際、下記を聞き取っています。

    • 仔鹿が生まれた時に臭いがするのか、事務所近くにも来るようである。
  7. 2015年(平成27年)年8月27日、奈良市保健所が、緑ヶ丘浄水場(川上町2534)付近で2頭を捕獲しました。

    • 丸十青山モータープール(般若寺町357付近)内で2頭発見。
    • 奈良市企業局上水道部浄水課緑ヶ丘浄水場(川上町2534)緑ヶ丘ポンプ所前付近路上で2頭捕獲。
  8. 2015年(平成27年)年11月2日、奈良公園管理事務所から奈良市保健所に電話がありました。

    • 若草山山頂に野犬2頭がいた。捕獲箱の設置を検討したい。
    • 発見場所は山頂付近と南部交番所付近。
  9. 2016年(平成28年)年1月29日、京都府山城南保健所が浄瑠璃寺の協力を得て徘徊犬を捕獲した際、浄瑠璃寺から相談を受けています。

    • 年末年始に10頭くらいの犬が山の向こう(養豚場)から来て困っている。
  10. 2016年(平成28年)年3月9日、木津川市加茂町西小の住民とみられる者から木津川市まち美化推進課に通報がありました。

    • 自宅の庭に野犬が10頭ほど入り込んで来て怖くて外に出られない。
  11. 2017年(平成29年)年9月15日、中ノ川町自治会から奈良市保健所に通報がありました。

    • 平成29年9月15日及び20日 中ノ川町自治会8頭犬が庭に出没。
  12. 2017年(平成29年)年10月23日、浄瑠璃寺から京都府山城南保健所に通報がありました。

    • 午前8時頃、寺の庭で野犬3頭を見た。いつも徘徊している犬とは違う犬。
    • 同日午後、京都府山城南保健所が、村田養豚場から浄瑠璃寺に向かう山道に犬の足跡を多数確認。
  13. 2017年(平成29年)年11月7日、京都府山城南保健所から奈良市保健所に電話がありました。

    • 本日京都府側の(村田養豚場)周辺を歩いていたら、首輪もついている犬も含め8頭に吠えられた。
    • 先日も京都府内(浄瑠璃寺付近)で首輪のついていない犬を捕獲した。
  14. 2017年(平成29年)年12月12日、京都府山城南保健所が、浄瑠璃寺付近で徘徊犬を目撃しました。

    • 浄瑠璃寺山門方向から山道を下りてくる犬を目撃。また、駐車場隣の空き地でも犬を目撃。
  15. 2018年(平成30年)年1月5日、浄瑠璃寺から京都府山城南保健所に連絡がありました。

    • 境内を5〜6頭の犬が徘徊し、山の方へ移動していった旨連絡あり。
  16. 2018年(平成30年)年2月1日、浄瑠璃寺から京都府山城南保健所に1月末ごろに撮影された浄瑠璃寺境内を徘徊する犬の写真などが提供されました。

    1月末ごろに撮影された浄瑠璃寺境内を徘徊する犬の写真

  17. 2018年(平成30年)年11月19日、浄瑠璃寺から京都府山城南保健所に電話がありました。

    • この一週間ほど、今まで見たことがない犬1頭が徘徊している。今までいた雌犬と行動を共にしている。
    • 犬の特徴:中型犬、雑種、茶色。首輪あり。人に吠えかかったりはしないが、人に近づきすぎて邪魔になっている。
  18. 2018年(平成30年)年12月3日、匿名男性から奈良市保健所に通報がありました。

    • 中ノ川バス停150mぐらいの辺りに茶色と黒の混じった犬が4頭いた。最近は首輪もなく、時間も夜に限らず出るようになった。危なくて歩けない。
  19. 2019年(平成31年)年1月18日、浄瑠璃寺から京都府山城南保健所に通報がありました。

    • 16日から毎日のように、犬が徘徊している。
    • 最大5頭(茶4、白1、うち首輪付き2頭)。
  20. 2019年(平成31年)年1月21日、京都府山城南保健所が、浄瑠璃寺で徘徊犬について聞き取りをしています。

    • 犬の徘徊は頻繁で、昨日は2グループ(①7頭グループ、②5頭グループ)が寺境内を徘徊していた。
  21. 2019年(平成31年)年2月12日、奈良市東部出張所長から奈良市保健所に電話がありました。

    • 東里地区連合会長から、県道付近の犬が道路を横切るなどして危険であるので、対処して欲しいと依頼あり。
    • →(保健所)以前から情報はあり巡回し検討している。地域で単車で犬に追いかけられ転倒した事案もあり、捕獲機も置いても捕まらないことなど、会長も認識しているが、強化をお願いしたい。
  22. 2019年(平成31年)年3月13日、京都府山城南保健所が浄瑠璃寺近隣で徘徊犬について聞き取りをしています。

    • 夜間に犬が3頭ほど徘徊していた。
  23. 2019年(平成31年)年4月8日、奈良市保健所に村田養豚場(村田畜産/村田商店)関係者と思われる人物から、犬が死んでいることについて電話がありました。

    • 先週から13頭以上が血便を出し、死亡した。
  24. 2019年(平成31年)年4月15日、京都府山城南保健所に浄瑠璃寺から電話がありました。

    • 昼間に5頭ほど犬が来た。
  25. 2019年(平成31年)年4月16日、奈良市保健所が、村田養豚場(村田畜産/村田商店)関係者と思われる人物に、犬が死んでいることについて、電話でその後の状況を聞き取りました。この頃、なんらかの伝染病により、村田養豚場で犬が多数死亡していたことが窺えますが、経過文書を見る限り、奈良市保健所が村田養豚場に犬の放し飼いをやめるよう強く指導した形跡はありません。

    • ■■■で来ている畜産の獣医師に相談したら、■への影響はないであろうとの見解。
    • これまでに20頭弱が死亡した。
  26. 2019年(令和元年)年5月21日、中ノ川バス停付近を通行した運転手から奈良市保健所に通報がありました。

    • バス停付近に数頭の犬がうろついていた。当地はカーブで見通しが悪く、犬が飛び出すと事故につながりかねない。
  27. 2019年(令和元年)年7月4日、奈良市保健所に柳生駐在所から電話がありました。

    • 中ノ川東バス停付近に犬が2〜3匹いる。
  28. 2019年(令和元年)年8月19日、奈良市保健所に奈良署警務課から電話がありました。

    • 愛知在住の人から放し飼いの相談があった。
  29. 2019年(令和元年)年8月19日、奈良市保健所に通行者からメールと電話がありました。

    • 令和元年8月16日(金)14:45ごろ村田養豚場付近の木津川市市道を通行していたところ、繋がれていない犬5頭に取り囲まれた。
    • 令和元年5月20日にも10頭ぐらい見かけた。
    • 村田養豚場は犬を放し飼いにしており、京都府条例5条違反である。京都府知事による措置命令を出さないのか。
  30. 2019年(令和元年)年10月15日、京都府山城南保健所に浄瑠璃寺から連絡がありました。

    • 浄瑠璃寺住職から3〜4頭参道を徘徊していると連絡あり。
  31. 2019年(令和元年)年10月16日、奈良市保健所が中ノ川町あるいは東鳴川町で計15頭の徘徊犬を確認しました。

    • 徘徊犬12頭確認、逃走。
    • ■■氏宅周辺で徘徊犬3頭確認、逃走。
  32. 2019年(令和元年)年10月23日、京都府山城南保健所に浄瑠璃寺参道横飲食店から連絡がありました。翌24日には、京都府山城南保健所職員が計4頭を目撃しています。設置場所4付近は、浄瑠璃寺から村田養豚場へ向かう市道の途中にあたります。

    • 最近3〜4匹の犬が昼間にも徘徊している。昨日は猫が襲われた。今後観光客が増える時期なので捕獲してほしい。
    • 設置場所4付近で犬3頭と遭遇。その後駐車場周辺で別の1頭を見かけた。
  33. 2019年(令和元年)年10月30日、奈良市保健所が中ノ川東バス停付近で犬が3頭ほど徘徊しているとの通報を受けました。

    • ■■氏の家の周辺の道路に犬が3頭ほど徘徊している。
    • 対応中10/30訪問(4頭確認)。
  34. 2019年(令和元年)年11月25日、奈良市保健所が中ノ川町あるいは東鳴川町で9頭の徘徊犬を確認しました。この後なぜか、奈良市保健所の記録が2021年(令和3年)5月まで途絶えます。

    • 徘徊犬9頭確認、逃走。
  35. 2019年(令和元年)年12月16日、京都府山城南保健所に浄瑠璃寺周辺の飲食店で情報収集を行いました。

    • 茶黒色の犬および他2頭が徘徊しているとのこと。
  36. 2019年(令和元年)年12月20日、京都府山城南保健所に浄瑠璃寺門前の飲食店から情報提供がありました。

    • 猫が襲われたとの情報提供があった。
  37. 2019年(令和元年)年12月27日、京都府山城南保健所に浄瑠璃寺から電話がありました。

    • 今日は6頭ぐらい白と茶色の犬がうろついているとのこと。
  38. 2020年(令和2年)年1月7日、京都府山城南保健所に木津川市から電話がありました。

    • 浄瑠璃寺で猫が襲われたと情報提供があったと電話があった。
  39. 2020年(令和2年)年3月31日、京都府山城南保健所に浄瑠璃寺から連絡がありました。

    • 浄瑠璃寺バス停付近の茶黒色犬について、2月頃に出産し、近辺を親子3匹で徘徊しているとの書面連絡あり。
  40. 2020年(令和2年)年12月1日、京都府山城南保健所に浄瑠璃寺から連絡がありました。

    • 11月28日(土)朝8時30分頃、浄瑠璃寺の庭に茶黒色犬1頭、ベージュ色犬1頭、白色犬1頭の計3頭を見かけた。大きめの犬だったとのこと。首輪は遠目だったため不明とのこと。
  41. 2021年(令和3年)年1月7日、京都府山城南保健所に情報提供がありました。

    • 12月末に6匹の野犬の群れの徘徊情報を聞き、自分も1日朝に3匹の犬の徘徊をみた。黒色の子犬の徘徊は続いているとの情報提供あり。

    徘徊犬の写真

    徘徊犬の写真

    徘徊犬の写真

  42. 2021年(令和3年)年1月12日、京都府山城南保健所に情報提供がありました。

    • 1月11日(祝・月)10日(日)連続して日中に5匹の野犬が寺(浄瑠璃寺)に入ってきたとのこと。特に昨日は猫が襲われたとのこと。1/7の6匹とは別の犬とのこと。
  43. 2021年(令和3年)年5月31日、奈良市保健所に京都府山城南保健所から連絡がありました。

    • 5月中旬、■■■■近く(山城南保健所管内)で青い首輪をした徘徊犬を発見した。当該犬は令和3年1月に当保健所が捕獲し、■■■■■■■■■■■■■■■。
    • その他にも■■■■■の犬と思われる徘徊犬が数頭いる様子で、ハイキング客より当保健所に犬がウロウロしていて怖いとの連絡があった。
  44. 2021年(令和3年)年8月15日、京都府山城南保健所に浄瑠璃寺から電話がありました。

    • 13日あたりより、3頭また徘徊し始めた。
  45. 2021年(令和3年)年8月16日、京都府山城南保健所に浄瑠璃寺から報告がありました。

    • 「昨日午後より1匹増えて4匹が徘徊している。」と報告あり。3匹はこれまでと同様な組み合わせ(成犬オス首輪あり・メス首輪なし・その子犬風1匹)
  46. 2021年(令和3年)年8月20日、京都府山城南保健所に浄瑠璃寺から電話がありました。

    • 昨日夜よりさらに1匹増えて5匹の徘徊と電話あり。バス道路だけでなく昨夜は境内まで入り込んでいる。奈良市保健所にも情報共有。村田養豚に係留するよう指導を願う。夕方現地調査し、御堂付近に犬4匹の集団(いずれも体は茶と黒の模様あり)と、バス道路上の1匹の単独行動(体は薄茶色)の計5匹を現認した。
  47. 2021年(令和3年)年11月12日、京都府山城南保健所に浄瑠璃寺から情報提供がありました。

    • 徘徊犬(雌)がまた出産したかもしれない、との情報あり(子犬は見ていない)。青色首輪のオス犬が居ついている、とのこと。→村田養豚(3箇所)に引き取りに来るように電話をいれる。
  48. 2021年(令和3年)年11月30日、京都府山城南保健所に浄瑠璃寺から電話がありました。

    • 茶黒のメス犬、青色首輪の黒茶のオス犬、生まれた子犬2匹が周辺で徘徊中。オス犬が子猫を数匹襲った可能性がある。対処を願いたい。
    • 奈良市役所へ架電し、青色首輪の黒茶のオス犬について村田養豚への指導を依頼。
    • さらに村田養豚へ架電し、犬の収容を依頼。
  49. 2021年(令和3年)年12月14日、京都府山城南保健所が浄瑠璃寺付近で女性から情報提供を受けました。

    • 話しかけてきた女性によると、朝早い時刻で犬の集団で走り回っていること、首輪の青い犬が子猫を引っ掻いていること、村田商店の人が山側から来た時に犬が子猫を襲うことや係留するように話をしたことがある、との証言あり。
  50. 2022年(令和4年)年2月1日、京都府山城南保健所に浄瑠璃寺から電話がありました。

    • 1/28(金)に新たな徘徊犬2匹(茶の長毛種と茶黒)がいた。1/29(土)9時頃、別の新たな徘徊犬2匹(薄茶黒と茶黒、写真あり)が塔尾茶屋〜浄瑠璃寺の参道にいた。1/30(日)・31(月)にも薄茶黒・茶黒が現れた。いつもの茶黒♀青首輪♂茶黒子犬の3匹は一緒にバス道路で寝そべっている。
    • →15時、捕獲箱③⑥を仕掛ける。野犬は見当たらない。村田養豚に連絡し収容するよう伝える。

    令和4年1月19日〜令和4年1月29日-写真帳

  51. 2022年(令和4年)年2月15日、奈良市保健所にお問い合わせメールがありました。

    2月14日14時10分ごろ、木津川市梅谷と奈良市の間の旧道において、野良犬の群れ(少なくとも2匹)に遭遇しました。遭遇したのは、奈良市中ノ川の集落の北西あたりで、里道の東部第76号線の付近です。奈良市側から現れ、にらみ合ったのち、木津川市側の森へ消えてゆきました。

    日頃よりハイキング/ジョギングで良く使う道であり、子ども連れでMTBを楽しむ家族も見かける道なので、怖いと思いました。

    目撃したのは、茶色で背中が黒い中型犬です。(首輪はしていないようでした)この界隈、似たようなタイプの野良犬の群れを見かけることが多いように感じています。中ノ川集落南側の車道でも良く群れで見かけますし、またそのような話もよく聞きます。

    このような情報提供をするのは初めてなのですが、通報先が間違っている等ございましたら、ご教示いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

  52. 2022年(令和4年)年3月18日、奈良市保健所に京都府山城南保健所から電話があり、両者は23日にも情報交換をしています。

    • 市民より通報があり、写真の提供もあった。提供された写真には成犬3頭と子犬5頭が写っていた。
    • 今回の子犬5頭はヒメの子ではない模様。
    • 写真の成犬はヒメ(浄瑠璃寺周辺に居ついている茶黒のメス犬)とその他白っぽい犬。■■■■■の犬は黒茶と認識しているが、白っぽい犬がいるのか。お腹が大きい白い犬がいたのか。

    令和4年3月25日-中ノ川町と東鳴川町の徘徊犬に関する経過文書写真-01

    写真の場所は、村田養豚場が赤田川の北側に設置した防護柵のすぐ外です。2022年(令和4年)年3月31日、村田養豚場(村田畜産/村田商店)から奈良市保健所に、養豚場の犬ではないとの連絡がありましたが、その直後から母犬も子犬もこの場所から姿を消したため、京都府山城南保健所は捕獲を行いませんでした。

  53. 2022年(令和4年)年5月6日、京都府山城南保健所に浄瑠璃寺から電話がありました。

    • いつもの首輪の犬が参拝者に吠える。雌犬や、みたことない別の犬とその子犬がいる。
  54. 2022年(令和4年)年5月9日、京都府山城南保健所が村田養豚場(村田畜産/村田商店)に電話をしています。

    • 首輪付きの犬は村田養豚の犬と推察されるので速やかに収容する様に口頭指導した。村田養豚より、敷地を囲むフェンスが破られていないか(穴を掘っていないか)確認しておくとの回答があった。
  55. 2022年(令和4年)年7月11日、京都府山城南保健所に情報提供がありました。

    • 子犬4匹がバス道路まで出てくると情報提供を受ける。
    • 休日に■■■■の犬がバス道路まで出てきたので驚いた観光客が■■■■の飼い犬が放し飼いになっていると誤解して木津署に通報する一件があったとのこと。警察に「■■■■の飼い犬ではない」と保健所から言ってほしいと依頼を受ける。
  56. 2022年(令和4年)年7月19日、京都府山城南保健所に電話がありました。

    • かねてから、こちらに徘徊する青い首輪の黒茶の雄犬、黒茶の雌犬と、黒茶の子犬4匹が朝から走り回っている。本日は、参拝客が駐車場で犬に囲まれ、下車出来ずどうしたらいい?と救助を求める電話が■■■■に入り、皆で犬を追い払ったところだ。
  57. 2022年(令和4年)年10月21日、京都府山城南保健所に電話がありました。

    • 新たに黒茶の犬が増えた。
    • 子犬(若犬)1匹の他に、成犬の黒茶の犬が4匹、合計2匹いる。
  58. 2022年(令和4年)年10月21日、京都府山城南保健所に電話がありました。

    • 新たに黒茶の犬が増えた。
    • 子犬(若犬)1匹の他に、成犬の黒茶の犬が4匹、合計2匹いる。
  59. 2023年(令和5年)年2月17日、市民からの通報を受けて現場を確認した京都府山城南保健所職員が、徘徊犬の危険性について報告しています。

    • こちらが見つけていないのに小職に向かってオス犬は吠えながら、オス犬とメス犬の2匹の成犬が一緒に真っ直ぐに近づいてきて、近い距離で吠えられながら対峙することになり、周囲は誰もおらず、怖い印象を持った。
    • 今までは小職から吠えながら逃げていたが、近づいてきたケースは初めて。人を恐れなくなっている。
    • 気温があがり、観光客が戻ってくれば、人へ気概を与える可能性が考えられるので、今のうちに確実に捕獲したい。
    • (上司による追加のメモ)犬が人なれし、人を怖がらない状況であり、観光客等がかまれる咬傷事件へ発展する可能性があり、対応が必要と考えられる。
  60. 2023年(令和5年)年5月17日、奈良市保健所が村田養豚場(村田畜産/村田商店)に電話で次のように伝えています。

    • 中ノ川町で小鹿の死体の近くに4頭の犬が発見され、確認した3頭の写真を撮ったこと、うち2頭が令和5年2月に■■■■■の駐車場から逃走した2頭の犬に特徴が似ていることを伝えた。■■氏の犬であれば、駐車場から出るだけでなく、行動範囲が広がっていることを伝えた。

    徘徊犬の写真

  61. 2023年(令和5年)年12月18日、京都府山城南保健所に電話がありました。

    • 先週から以前からいる雌犬以外に雌犬の子1頭(過去に生んだと思われる)とよく似た色の犬1頭と白い大きめの首輪付きの犬1頭が徘徊している。捕獲してほしい。

    徘徊犬の写真

  62. 2024年(令和6年)年2月9日、京都府山城南保健所に電話がありました。

    • 先週から以前からいる雌犬以外に雌犬の子1頭(過去に生んだと思われる)とよく似た色の犬1頭と白い大きめの首輪付きの犬1頭が徘徊している。捕獲してほしい。

    徘徊犬の写真

    徘徊犬の写真

このように浄瑠璃寺周辺など、村田養豚場に隣接する地域では、頻繁に徘徊犬が目撃されています。その都度、京都府山城南保健所奈良市保健所は付近を巡回したり捕獲を試みたりと、数ヶ月にわたる対応を余儀なくされています。また、くわしくは後述しますが、2019年(令和元年)ごろからは、浄瑠璃寺周辺に居ついてしまった青い首輪の犬が、観光客に吠えかかったり猫を襲うなど、様々な問題を引き起こすようになりました。なお青い首輪の犬については、京都府山城南保健所も、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の犬だと考えています

写真と動画で見る徘徊犬の状況

2016年(平成28年)1月20日の村田養豚場

下写真は2016年(平成28年)1月20日に、当会代表が村田養豚場を通り抜けた時に、同行者が撮影した写真です。同行者の一人が現地で放し飼いの犬の数を数えたところ少なくとも50頭はいたとのことです。村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、このころ村田養豚場周辺にいた犬の全てが飼い犬ではなく、野犬もたくさんいたと主張していますが、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が飼い犬と野犬を区別して扱っていたようには見えず、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は当時保健所に捕獲された首輪のない犬を引き取ってもいるため、首輪がある犬だけが飼い犬というわけではなかったと考えられます。

平成28年1月20日-現地確認-1,2

平成28年1月20日-現地確認-3

2016年(平成29年)3月ごろに新設された犬小屋

2016年(平成28年)3月ごろ、村田養豚場の駐車場内や休憩小屋の前に犬小屋が新設され、その中に犬が収容されました。下写真は、2016年(平成28年)3月ごろに撮影した村田養豚場の様子です。

ただ見ての通り、このときはベニア板で作られたにわか作りの囲いの中や、建物の2階に犬を多数押し込めているのが実態でした。当時からこのような飼い方が長続きするとはとても思えませんでしたが、実際長続きすることはありませんでした。

2017年(平成29年)以降2024年(令和6年)春までの徘徊犬の状況

結局、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による犬の放し飼いは、2016年(平成29年)秋ごろには再開されました。以下は、2017年(平成29年)以降の徘徊犬の状況です。

村田養豚場周辺地域にいた徘徊犬-01

村田養豚場周辺地域にいた徘徊犬-02

村田養豚場周辺地域にいた徘徊犬-03

村田養豚場のずさんな餌の管理-01

村田養豚場のずさんな餌の管理-02

下写真のとおり、村田養豚場の敷地の間にある市道に多数の犬が徘徊しており、とても安心して通行できる状態ではありませんでした。くわしくは後で述べますが、村田養豚場の敷地の間にある市道については、こうした状況が2023年(令和5年)現在も続いています。

村田養豚場に近づくと吠えかかってくる犬-01

村田養豚場に近づくと吠えかかってくる犬-02

村田養豚場に近づくと吠えかかってくる犬-03

村田養豚場に近づくと吠えかかってくる犬-04

村田養豚場に近づくと吠えかかってくる犬-05

村田養豚場に近づくと吠えかかってくる犬-06

村田養豚場に近づくと吠えかかってくる犬-07

下動画は2018年(平成30年)から2019年(令和元年)にかけての徘徊犬の状況です。

犬の放し飼いは、村田養豚場(村田畜産/村田商店)により2020年(令和2年)1月に防護柵が設置された後も続きました。下写真は防護柵設置直後の、赤田川北側の様子です。防護柵の外側に餌置き場が作られ、首輪をした犬を含め多数の犬が防護柵の外に放たれています。

以下は防護柵設置後の村田養豚場周辺を徘徊する犬の状況です。多数の犬があちこち自由に徘徊しており、防護柵設置前とほとんど変わりがないことがわかります。

村田養豚場周辺の徘徊犬-01

村田養豚場周辺の徘徊犬-02

村田養豚場周辺の徘徊犬-03

村田養豚場周辺の徘徊犬-04

村田養豚場周辺の徘徊犬-05

村田養豚場周辺の徘徊犬-06

村田養豚場周辺の徘徊犬-07

2020年末から2021年の村田養豚場の状況-01

2020年末から2021年の村田養豚場の状況-02

2020年末から2021年の村田養豚場の状況-03

2020年末から2021年の村田養豚場の状況-04

2020年末から2021年の村田養豚場の状況-05

2020年末から2021年の村田養豚場の状況-06

2022年の村田養豚場の状況

2023年の村田養豚場の状況

2023年の村田養豚場の状況

木津川市と木津署による2023年9月の現地確認では、市道に設置された門扉の内側に多数の犬がいたため、危険であることを理由に現地確認が中止されました。

令和5(2023)年9月4日-(株)村田商店による市道の占用状況の現地確認-01

令和5(2023)年9月4日-(株)村田商店による市道の占用状況の現地確認-02

2024年の村田養豚場の状況

2024年の村田養豚場の状況

最新の状況については、本編目次下の動画をご覧ください。

2014年(平成26年)以降だけで100頭を優に超える捕獲犬

当会が、京都府山城南保健所から開示された、浄瑠璃寺周辺で捕獲された徘徊犬に関する文書を集計したところ、2014年(平成26年)以降2022年(令和4年)3月までに、京都側で捕獲された徘徊犬は、計69頭にのぼりました。うち21頭が村田養豚場(村田畜産/村田商店)に返還されたとみられます。

山城南保健所-浄瑠璃寺野犬について-抑留犬リスト

一方、奈良市保健所から情報提供された捕獲犬リストは、抑留犬の公示文書を元にしており、公示前に返還された犬については、その数を捕獲数に含めていません。そのため実際の捕獲数はこれよりも多いと思われますが、同リストによれば、2014年(平成26年)4月以降、2017年(平成29年)9月までの間に、中ノ川町・東鳴川町で捕獲された犬の総数は33頭で、そのほぼ全数が処分されています。なお2017年(平成29年)10月以降については、奈良市保健所が捕獲した犬の数はわかっていません。

令和1年7月22日-情報提供-平成26年4月以降奈良市で捕獲された徘徊犬のリスト

これに加え、京都府山城南保健所の平成26年3月12日付け「浄瑠璃寺の南方にある養豚場が飼養する犬の放し飼いについて(第3報)」によれば、奈良市保健所が、2014年1月6日から3月4日までの間に、計16頭を捕獲しうち2頭を村田養豚場に返還したと報告しています。

平成26年3月12日-浄瑠璃寺の南方にある養豚場が飼養する犬の放し飼いについて(第3報)-02

これらを全て合計すると、村田養豚場周辺では、2014年(平成26年)以降、2022年(令和4年)3月までだけで少なくとも118頭の徘徊犬が捕獲され、うち23頭が村田養豚場(村田畜産/村田商店)に返還されています。そして残りの犬のほとんどが処分されました。浄瑠璃寺近隣の方々の証言によれば、村田養豚場による犬の放し飼いは二十数年前から始まったといいます。2014年(平成26年)以降でこれだけの数ですから、これまでにどれだけの数の徘徊犬が捕獲され処分されたかわかりません。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、京都府山城南保健所に対し「犬の避妊去勢をしておらず犬が勝手に増えすぎるのも困るので子犬が生まれた時に減らすこともある」と説明していたようですが、このような、繁殖を制限しない不適切な犬の飼養は、動物虐待に等しいと言わなければなりません。

平成26年3月28日-浄瑠璃寺の南方にある養豚場が飼養する犬の放し飼いについて(第4報)-03

なお、奈良市保健所と京都府山城南保健所の努力により、2014年(平成26年)から2016年(平成28年)ごろと比べると、徘徊犬は減っています。それにともない村田養豚場周辺で捕獲される犬の数は減少傾向にあります。ただし、奈良市保健所、山城南保健所ともに、最近は行政文書から正確な捕獲数を把握することが難しくなっています。動物愛護センターへの送付文書が存在しないケースや、経過表に登場する捕獲情報が抑留犬の公示に反映されていないケースが散見されます。そのため2023年以降の捕獲犬数と返還数はよくわかりません。

捕獲犬数の推移

村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対する指導

〈村田商店代表乙〉氏(現村田商店代表)に、なぜ犬を多数放し飼いにするのか聞くと「イノシシ除けのために認められている」と主張します。そこで、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による犬の放し飼いについて、村田養豚場(村田畜産/村田商店)を監督する立場にある奈良県家畜保健衛生所に問い合わせたところ、「それは保健所の仕事だからうちは関係ない」の一点張りでした。

しかし犬の放し飼いは奈良県動物愛護条例により禁止されています。

(犬の飼い主の遵守事項)
第五条 犬の飼い主は、前条各号に掲げるもののほか、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
一 次に掲げる方法により、常に、飼養する犬が人の生命等を侵害することのないようにしておくこと。
ア 飼養する犬の形態、性状等に応じ、丈夫な綱、鎖等で固定的な工作物等に係留すること。
イ 飼養する犬の形態、性状等に応じ、おり、囲い等の障壁の中で飼養すること。
ウ 飼養する犬を連れ出す場合にあっては、飼養する犬の形態、性状等に応じ、丈夫な綱、鎖等で保持する等これを制御できるようにしておくこと。
エ アからウまでに掲げるもののほか、規則で定める方法
二 犬の種類、発育状態等に応じて適正な運動をさせること。
三 犬の生態、習性及び生理を理解した上で、当該犬に適したしつけを行うこと。

(措置命令)
第十四条 知事は、犬の飼い主が第五条第一号に掲げる事項を遵守していないと認めるときは、当該犬の飼い主に対し、期限を定めて、次に掲げる措置を講ずべきことを命ずることができる。
一 係留すること。
二 口輪をつけること。
三 前二号に掲げるもののほか、犬による人の生命等に対する侵害を防止するために必要な措置を講ずること。

第十九条 第十四条の規定による命令に違反した者は、三十万円以下の罰金に処する。

奈良県動物の愛護及び管理に関する条例

当然のことながら、京都府山城南保健所奈良市保健所は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対し、犬を放し飼いにしないよう何度も指導を行なっています。以下は、その中でも特に書面で指導が行われた例です。

2014年(平成26年)3月7日から3月20日までに、京都府山城南保健所が、11頭の犬を浄瑠璃寺裏で捕獲し、4回にわたり計8頭を村田養豚場(村田畜産/村田商店)に返還しました。この時、京都府山城南保健所は、犬の返還時に放し飼いをしないように口頭で指導するとともに指導票を3回(計6枚)交付しています。村田養豚場(村田畜産/村田商店)が3月12日に犬を引き取りに来た際、京都府山城南保健所は敷地を囲うよう説明しましたが、それに対して村田養豚場(村田畜産/村田商店)は「考える」と答えています。しかし、その後も敷地が柵などで囲われることはなく、状況は全く改善しませんでした。なお、指導票の内容は犬の状況により細かな違いがあるものの、およそ下記のとおりでした。

  • 当該犬が敷地外に出ないように常に係留しておくか又は囲いの中で飼養すること。
  • 当該犬の登録をしていない場合は所在地の市町村で登録し、鑑札を犬に着けておくこと。
  • 当該犬に毎年狂犬病の予防接種を受けさせ、注射済票を当該犬に着けておくこと。

平成26年3月12日-1-山城南保健所-指導票

2016年(平成28年)年1月25日には、奈良市保健所が、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対し、文書をもって下記のとおり指導しています。

飼い犬を係留すること、また野犬への餌付けをやめるよう度々お伝えしてきましたが、一向に改善が見られません。

(村田養豚場(村田畜産/村田商店))がかねてより主張する害獣対策よりも通行人や地域住民への危害の防止が優先されることは疑う余地はありません。

これ以上事態を放置することは大変危険と判断できますので、以下のことについて遵守するよう申し伝えます。

所有する犬について以下のことを実施すること

  • 係留または囲いの中での飼育(放飼いの禁止)
    (奈良県動物の愛護及び管理に関する条例第5条)
  • 飼い犬事故届の提出(飼い犬が人を咬んだ場合)
    (奈良県動物の愛護及び管理に関する条例第13条第2項)
  • 登録ならびに鑑札の装着
    (狂犬病予防法第4条)
  • 狂犬病予防注射ならびに狂犬病予防注射票の装着
    (狂犬病予防法第4条)

ご協力のお願い

  • 当市による野犬の捕獲へのご協力
  • 野犬への餌付けや野犬の餌となるような物を放置しない

平成28(2016)年1月25日-指導書-01

平成28(2016)年1月25日-指導書-02

平成28(2016)年1月25日-指導書-03

しかし、それでも放し飼いの状況が改善しないため、2016年(平成28年)年3月17日、京都府山城南保健所が奈良市保健所に対し、京都府山城南保健所長名で、村田養豚場における犬の適正飼養について要望書を発出しました。

地域住民頭の安心・安全が脅かされることがあってはなりませんので、貴保健所におきましても、村田養豚場における犬の飼育等の状況を改めて把握いただき、必要に応じて、関係法律又は条例に基づき、犬の抑留・係留等の適正な飼養の指導等に万全な対応を徹底していただきますようお願いします。

平成28(2016)年3月17日-養豚場における犬の適正飼養の指導等について-01

平成28(2016)年3月17日-養豚場における犬の適正飼養の指導等について-02

このように京都府山城南保健所奈良市保健所は、犬を捕獲するとともに、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対し頻繁に指導を行なっていますが、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による犬の放し飼いは現在も続けられています。

飼養衛生管理基準でも禁止されている犬の放し飼い

奈良県家畜保健衛生所は、犬の放し飼いについては保健所の管轄だとして、一貫して我関せずという態度をとっています。しかし2015年(平成27年)11月6日、犬の放し飼いの是非について、農林水産省安全局家畜防疫対策室に問い合わせたところ、次のような回答を得ました。

イノシシの進入を防ぐために犬を飼うことは飼養衛生管理基準違反ではありませんが、犬を放し飼いにするのは、その犬がどこで野生のイノシシと接触するかわからないので、よい措置とは言えません。柵で囲い、その中で犬を飼うなど、犬が衛生管理区域を出入りしないようにすることが望ましいと考えます。犬が行動できる範囲を、衛生管理区域の内側か外側かのいずれかに限定するべきです。

実際、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が放し飼いにしている犬は、容易に野生のイノシシと接触し得る状態にありました。村田養豚場の餌の管理がずさんなため、一時は養豚場の周囲に餌を撒いていたこともあり、野生のイノシシが頻繁に養豚場に近づいていたからです。

村田養豚場のずさんな餌の管理-03

村田養豚場のずさんな餌の管理-04

したがって、奈良県畜産課と奈良県家畜保健衛生所は本来、2015年(平成27年)当時も、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に犬の放し飼いを止めるよう指導するべき立場にあったと言えます。

このことは、豚熱(CSF/豚コレラ)対策のため、農林水産省によって2020年(令和2年)10月1日に作成され、2021年(令和3年)10月5日に一部が変更された「飼養衛生管理基準遵守指導の手引き(豚及びイノシシの場合)」によって、より明確となりました。下記のとおり、同手引きには、番犬を含む愛玩動物の飼育禁止が明記されています(27ページ)。

  • 衛生管理区域内への家畜以外の動物(番犬や飼い猫を含む。)を侵入させている場合及び衛生管理区域内で当該動物を飼育している場合は不遵守となります。
  • 野生動物の侵入防止については、犬等の飼育ではなく、防護柵の設置等の方法により対策してください。
  • 飼育場所が衛生管理区域内にあった場合、自宅や他の場所に飼育場所を変更するか、衛生管理区域の設定を工夫して飼育場所を衛生管理区域外とする必要があります。

令和3年10月5日改定-飼養衛生管理基準遵守指導の手引き (豚及びいのししの場合)-抜粋-27

令和3年10月5日改定-飼養衛生管理基準遵守指導の手引き (豚及びいのししの場合)-抜粋-28

しかしそれでも奈良県畜産課と奈良県家畜保健衛生所は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による犬の放し飼いをやめさせようとはしません。

嘘の説明をしてまで木津川市と木津警察署に犬の放し飼いを容認するよう求める奈良県畜産課

2022年(令和4年)2月25日に、豚熱対策として設置された市道上の門扉に関する木津川市の占用許可について、木津川市と奈良県の間で協議がもたれました(この門扉の問題についてはFACT.3でくわしく見ていきます)。この中で奈良県畜産課は、村田養豚場で飼養している40頭の犬のうち、防疫上20頭を衛生管理区域内で放し飼いにすることが必要だと、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が主張していると報告した上で、奈良県畜産課としてはこれに一定の合理性・必要性があるとして追認する姿勢を示しました。

令和4年2月25日-村田商店に対する市道(加2092号)占用許可について(奈良県との協議)-01

しかし前述の指導の手引きでは、衛生管理区域内で番犬を含む愛玩動物を飼養することが明確に禁止されていますから、村田養豚場(村田畜産/村田商店)と奈良県畜産課の主張は明らかに指導の手引きと矛盾しています。この点について奈良県畜産課は、2022年(令和4年)3月22日に開かれた木津川市及び木津警察署との三者協議で、飼養衛生管理基準の解釈について農林水産庁と調整中であるとして、調整がつくまで犬の放し飼いについては判断を保留するよう木津川市に求めています。

令和4年3月22日-(株)村田商店に対する市道(加2092号)占用許可の3者協議-01

令和4年3月22日-(株)村田商店に対する市道(加2092号)占用許可の3者協議-02

ところが、農林水産省に関連行政文書の開示を請求したところ、この間、農林水産省と奈良県畜産課が、飼養衛生管理基準について何らかの協議を行なっていることを示す文書は一切存在しませんでした。また、畜産業界団体が、飼養衛生管理基準の緩和を求める要望書を提出していることを示す行政文書もありませんでした。

令和4年6月8日-行政文書不開示決定通知書-4消安第1258号

したがって、農林水産省と犬の飼養につき調整を行なっているという奈良県畜産課の主張は、真実であることが極めて疑わしく、少なくとも行政文書が作成される水準で基準緩和の検討が進んでいる事実は存在しません。そもそも、公道上での犬の放し飼いは奈良県の動物愛護条例違反であり、公務員には「その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」告発義務がある(刑訴法239条2項)ことからすると、奈良県畜産課の主張は公務員としてあるまじきものと言わなければなりません。

このように奈良県畜産課は嘘の説明をしてまで、公道上での村田養豚場(村田畜産/村田商店)による犬の放し飼いを容認する姿勢を崩さず、その結果、現在も村田養豚場の敷地の間にある木津川市道では、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が放し飼いにしている犬が多数徘徊しています(徘徊犬の状況参照)。

「衛生管理」の実態

これまで述べてきたように、奈良県畜産課は「衛生管理」のために村田養豚場では犬の放し飼いが必要だと主張してきました。しかし、2024年(令和6年)2月28日に木津署とともに村田養豚場を訪れた木津川市は、「通行帯の周辺でおびただしい数の犬の糞便が放置されており、通行がためらわれる箇所があった。さらに、通行帯に血痕らしきものが確認できた」と報告しています。この報告からは、現地における「衛生管理」の実態が窺い知れます。

令和6(2024)年2月28日-(株)村田商店による道路占用及び道路使用の状況確認-01

令和6(2024)年2月28日-(株)村田商店による道路占用及び道路使用の状況確認-05

こうした現地の実態を受けて、2024年(令和6年)3月6日に木津川市と木津署が奈良県畜産課に対応を迫ったところ、奈良県畜産課は「衛生管理区域内に犬の糞便があるのは衛生上問題がないとはいえない」と認めました。これを受け、2024年(令和6年)3月21日、木津川市は奈良県畜産課に対し、文書で「適切な豚熱感染防止対策の実施に必要な指導」を要請し、同時に、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対しても「市道占用許可条件の順守」を求める文書を発出しました。

令和6(2024)年3月21日-適切な豚熱感染防止対策の実施に必要な指導について(要請)

令和6(2024)年3月21日-市道占用許可条件の順守について

木津川市が発出した文書は「衛生管理区域内で複数の犬が未係留の状態で飼育され、市道上を徘徊する」事態が、「占用許可条件に違反し、市道の安全かつ円滑な通行の妨げとなるばかりでなく(中略)、飼養衛生管理基準に抵触する」と明確に指摘した点で画期的なものです。今後、奈良県畜産課と村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、木津川市の要請に従い、すみやかに犬を全頭係留することを望みます。

しかしながら、これまで見てきたように、村田養豚場における犬の飼育状況は、長年にわたりほとんど改善していません。なお、奈良市保健所が記録している経過文書によると、2019年(平成31年)4月には村田養豚場で多数の犬(連絡があった数で20頭弱)が血便を出すなどして死亡したといいます。

平成31年2月12日-平成31年4月25日

これは何らかの感染症によって村田養豚場の犬が多数死亡したものと考えられますが、これほどの事態が起きても、奈良市保健所が村田養豚場(村田畜産/村田商店)に飼い犬の係留を強く指導した形跡はなく、その後も感染を拡大させる恐れがある犬の放し飼いを事実上放置しました。またこのとき奈良市保健所は、村田養豚場で深刻な犬の感染症が発生したことを周辺地域に知らせることもしていません。奈良市保健所のこのような対応は、地域、とりわけ地域住民の飼い犬を致死性感染症の危険にさらすものであり疑問を覚えます。村田養豚場(村田畜産/村田商店)による犬の放し飼いが今なお続いていることについては、いつまでもこの問題に積極的に対応しようとしない奈良市保健所に最も重い責任があると言わなければなりません。

浄瑠璃寺周辺に居ついてしまった犬の問題

2024年(令和6年)現在、浄瑠璃寺周辺地域を悩ませているのは、浄瑠璃寺周辺に居ついてしまった犬の問題です。そのうち一頭は2015年(平成27年)ごろに村田養豚場から浄瑠璃寺周辺にやってきて、そのまま居ついてしまったメス犬で、地元ではいつしか「ヒメ」という愛称で呼ばれるようになりました。村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、この犬は飼い犬ではないと主張していますが、浄瑠璃寺周辺地域では村田養豚場からやってきた犬だと考えられており、この犬は臆病なため「村田養豚場周辺の犬の群れに馴染めず、いじめられて逃げてきたのではないか」と言う人もいます。少なくとも村田養豚場が敷地周辺に餌を撒いていた頃は、この犬は餌に困ると餌が豊富に落ちている村田養豚場周辺に戻っていたと思われ、浄瑠璃寺から村田養豚場へ向かう姿が度々目撃されています。

下写真は、2016年(平成28年)4月5日に執り行われた浄瑠璃寺前住職の葬儀の最中に現れたヒメと呼ばれるメス犬です。茶色の体で背中が黒いところは、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が飼っている犬の多くに見られる特徴です。

2016年4月5日に執り行われた浄瑠璃寺の前住職の葬儀の最中にも現れた犬

困ったことにこのヒメと呼ばれるメス犬は、浄瑠璃寺に居ついた数年後から、村田養豚場周辺にいるオス犬との間で毎年のように子犬を生むようになりました。しかも性格が臆病で慎重なため、保健所が設置した捕獲檻には絶対に入りません。

さらに2019年(令和元年)ごろからは、青い首輪をしたオス犬が、新たに浄瑠璃寺周辺に居つくようになりました。その後ヒメと呼ばれるメス犬は、このオス犬との間で数回子犬を生んでいます。このオス犬は京都府山城南保健所の設置した捕獲檻によって捕獲されたことがあり、その際村田養豚場(村田畜産/村田商店)がこのオス犬を引き取っているため、京都府山城南保健所は、このオス犬は村田養豚場(村田畜産/村田商店)の飼い犬だと考えていたようです。下写真は、2021年(令和3年)2月19日に浄瑠璃寺参道で撮影されたヒメと呼ばれるメス犬と青い首輪のオス犬です。

2021年2月19日に撮影されたヒメと呼ばれるメス犬と青い首輪のオス犬

下動画の13:07ごろに、浄瑠璃寺近くのカフェ瑠璃付近を徘徊する青い首輪のオス犬が写っています。

下動画の3:03ごろには、浄瑠璃寺前のバス道路で吠えている青い首輪のオス犬が写っています。

青い首輪のオス犬は、ヒメと呼ばれるメス犬に比べ気性が荒く、観光客に激しく吠えかかったり、浄瑠璃寺周辺にいる猫を襲ったりすることがありました。そのため山城南保健所は、2023年(令和5年)2月には「毒餌」の使用を検討していたといいます。しかしその後2023年(令和5年)5月に地域の方が幸いにも捕獲に成功し、今では飼い犬として適切な予防接種や医療を受け、おとなしく暮らしているそうです。

ヒメと呼ばれるメス犬を含め、徘徊犬はまずは捕獲する必要があります。ヒメと呼ばれるメス犬には何人か引き取り希望者がいることを、京都府山城南保健所も認識しています。浄瑠璃寺付近にいる徘徊犬をかわいそうに思って、つい餌をあげてしまう観光客だけでなく、遠方からわざわざ餌を持ってくる犬好きの方もおられるようです。しかし餌をもらっているとお腹が減らないため、京都府山城南保健所が設置した捕獲檻に徘徊犬が入らなくなってしまいます。そうこうするうちに徘徊犬が人間から餌をもらうことに慣れ、人に近づきすぎたり人に吠えかかったりするようになると、浄瑠璃寺周辺は老若男女が集まる観光地ですから、その犬は危険だと判断されて、強い対応が行われる場合があります。餌やりは決して徘徊犬のためにはなりません。どうぞ餌やりはお控えください。

※ヒメと呼ばれるメス犬は、2024年夏頃に山城南保健所により捕獲されたようです。詳細がわかり次第追記します。

放し飼いに執着する村田養豚場(村田畜産/村田商店)

以上見てきたとおり、どういう理由があるのか皆目見当がつきませんが、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は犬を放し飼いにすることに、異様な執着を見せています。もし村田養豚場(村田畜産/村田商店)がどうしても犬を放し飼いにしたいのであれば、市道両側の敷地をそれぞれ堅固な柵で囲い、その中でのみ犬を放し飼いにするべきです。それでも、衛生管理区域で番犬を含む愛玩動物を飼ってはならないとする飼養衛生管理基準に反するという問題が残りますが、それは畜産農場内の問題であって、周辺地域の安全な生活や一般市民の通行権にはあまり関係がありません。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)には、一日でも早く、一般市民の通行権を侵害せず、周辺地域の安全を脅かさないやり方で、犬を飼うよう望みます。