〈村田商店代表乙の父〉陳述書
〈村田商店代表乙の父〉陳述書
1 私の経歴
昭和35年頃から私の父・村田信男が養豚場の経営を始めました。父は、初め、村田養豚場の屋号で養豚場の経営をしておりましたが、平成元年5月にくも膜下出血で倒れたことから、私が引き継ぎ、平成18年まで私が代表者を務めていました。そして、平成18年には、現在の代表者である私の娘・〈村田商店代表乙〉と妻・〈村田商店代表甲〉の共同代表となりました。娘と妻は共同代表という形ですが、実質的な経営は全て娘が担っております。その後平成28年に法人成りし、現在に至っています。
養豚場の経営は肉体的にも精神的にも大変苦労の要る仕事ですが、最近では、漸く、当社の豚の飼育が認められるようになって、当社で飼育された豚の豚肉は、「郷ポーク」というブランドとして、奈良市内のレストラン等に出荷されるようになりました。
しかし、当社の経営は、被告の誹謗中傷の本件記事によって、大きなダメージを受けるようになってしまいました。しかしながら、本件記事は、虚偽の事実ばかりが記載されています。
私は、本件記事が虚偽であることについて、以下で、主に、本件記事の不動産侵奪の記事に関して、述べたいと思います。
2 本件土地1の掘削について
私は、平成14年3月1日、亡〈東鳴川Cの亡父〉(以下、「亡〈東鳴川Cの亡父〉」といいます)との間で、私が亡〈東鳴川Cの亡父〉から、亡〈東鳴川Cの亡父〉所有の奈良市東鳴川502番土地(以下、「本件土地1」といいます)を、賃料年額12万円で賃借するとの賃貸借契約を締結しました(甲4、以下、「本件賃貸借契約」といいます)。
私は、それに先立つ、平成13年12月末ごろ、亡〈東鳴川Cの亡父〉との間で、本件土地を養豚場のために賃借すること、そのために、本件土地の樹木を伐採して掘削するなどして平地として造成することを合意しました。
そして、平成14年1月上旬、亡〈東鳴川Cの亡父〉は息子の〈東鳴川C〉を同行して、私に対して、本件土地1の境界を示しました。
本件土地1の北側には、〈加茂町Bの亡夫〉(以下「〈加茂町Bの亡夫〉」といいます)らの所有する、木津川市加茂町西小長尾2番(甲3の2、以下、「本件土地2」といいます)及び木津川市加茂町西小長尾1-乙(甲3の3、以下、「本件土地3」といいます)が隣接しています。
本件土地1と本件土地2、3は、いずれも山林であり、地主もほとんど出入りすることがないような放置された山林でした。そのため、明確な境界標等は一切なかったのですが、亡〈東鳴川Cの亡父〉と〈東鳴川C〉は、歩いて、私に境界を示してくれたのでした。その亡〈東鳴川Cの亡父〉らから示されたところを境に、樹木の塊りや成育状況など、林相に差異が見られたので、私は、それが、山林の境界だと認識することができたのでした。
そして、私は、その亡〈東鳴川Cの亡父〉らの境界の指示に従い、その範限までが借地の範囲と認識して、掘削工事を行ったのです。
具体的には、私は、平成14年1月10日、〈業者A〉に依頼して、亡〈東鳴川Cの亡父〉の説明した土地の範囲を指示した上、同〈業者A〉との間で、本件土地1の山林伐採及び土砂撤去工事勝負契約を締結し、同〈業者A〉は、その指示された範囲内で工事を行っていったのです。
そして、亡〈東鳴川Cの亡父〉は、その進行状況を確認しつつ、平成14年3月1日に、本件貸貸借契約を締結したのです。
そして、私は、平成19年ころまで、本件土地1の掘削を続けて、養豚場の敷地を作っていきましたが、その間、所有者で賃貸人である亡〈東鳴川Cの亡父〉から、借地人の権限を逸脱しているとか、貸地の境界を越境しているなどといった注意は一度も受けたことがありませんでした。ですので、私は、不法な掘削をしているなどとは全く思っていなかったのでした。
以上の経過については、後に述べる確定判決の判決書にも認定事実として概ね記載されていますので、間違いのない事実です。
3 本件土地2、3に関する〈加茂町Bの亡夫〉らの抗議について
ところが、平成16年夏ごろ、私は、〈加茂町Bの亡夫〉らから、本件土地1を越境して山林を掘削していると苦情を受け、平成19年夏ごろにも、抗議を受けました。その当時、本件土地1の賃貸人であった亡〈東鳴川Cの亡父〉は死亡し、〈東鳴川C〉が相続していました。〈東鳴川C〉は、亡〈東鳴川Cの亡父〉が本件土地1の境界を示したとき、一緒に同行していたのですから、私の掘削行為が指示された境界を越境していないことがわかってくれているはずであったのです。ですが、〈加茂町Bの亡夫〉らの抗議の勢いに気圧されたのか、指示した境界について態度を明確にしてくれませんでした。
それで、困った私は、平成19年9月3日に、境界逸脱の費任がないことを明確にしようとして、〈東鳴川C〉を相手に、奈良簡易裁判所に民事調停を申し立てました。しかし、〈東鳴川C〉は、貸借人である私に、賃借土地の境界を明確にする責任を放棄し、調停は不調になってしまったのです。
また、私は、平成19年には、〈加茂町Bの亡夫〉らから、不動産侵奪罪で告訴されました。しかし、私は、平成20年2月に不起訴処分になっています。
また、このころ、私は、野焼きを告発されて逮捕されてしまいましたが、私の敷地内で争いのない土地での野焼きでしたので、境界越境や不法掘削とは全く関係がありません。 いずれにしても、このころ、私に対する〈加茂町Bの亡夫〉らの攻撃が酷くなってきました。そのため、上記不起訴の際に、検察官から、近隣関係で揉めない方がよいと、指導され、私は、以降の掘削は中止しました。しかし、検察官から掘削工事を中止する指導を受けましたが、既に掘削済みの山林部分についての原状回復の指導は一切受けていません。ですので、〈加茂町Bの亡夫〉らの刑事告訴の結果、既に掘削済みの山林部分についての不動産侵奪は認められなかったものです。
3 本件土地1に関する〈東鳴川C〉との裁判
平成20年、本件土地1の所有者が、亡〈東鳴川Cの亡父〉を相続した〈東鳴川C〉となった後、〈東鳴川C〉からの提訴で、本件賃貸借契約をめぐって訴訟となりました(御庁平成21年(ワ)第1125号損害賠償請求本訴事件、平成22年(ワ)第390号損害賠償講求反訴事件)。
しかし、この訴訟の判決の中でも、本件賃貸借契約においては、本件土地1の掘削をすることが契約内容として含まれていたとの判示がされ、〈東鳴川C〉の請求が棄却されています(甲5)。
そして、同訴訟は、〈東鳴川C〉により控訴されていますが、控訴審(平成23年(ネ)第3211号)においても、原審と同様の判断がされて、同判決は、平成24年4月には確定しているのです(甲6)。
ですから、村田養豚場が本件土地1を掘削したのは、所有者との質貸借契約に基づくものであって、不法掘削でなかったことが裁判で認められたのです。
ところで、私は、この裁判で、反訴として、〈東鳴川C〉に対し、債務不履行に基づく賃貸借契約の解除と損害賠償請求を行いました(以上、本訴、反訴をあわせて、「本件訴訟」といいます)。これは、〈東鳴川C〉が、私に対して訴訟を提起したということ自体が、賃貸借契約における、賃借人に土地を使用収益させる義務を履行する意思がないことを明らかにしたとして提起したものです。私は、詳しいことは判りませんでしたが、当時の訴訟代理人の弁護士さんの方針に従って、反訴を提起したのです。
そうすると、この反訴事件は、原審では私の主張が認められ、〈東鳴川C〉に5031万2652万円の損害賠償支払義務が命じられました(甲5)。しかし、控訴審では覆されて、私の請求は棄却されてしまいました(甲6、8頁)。つまり、反訴請求でなされた私の賃貸借契約の解除及び損害賠償請求は認められないという結果になったのです。
結局、本件訴訟では、〈東鳴川C〉も私もお互いに損害賠償請求できず、現状の賃貸借契約が継続する、という結果になったのです。もとより、私は、反訴は、〈東鳴川C〉の損害賠償請求に対する対抗手段として、提起したのでした。ですので、〈東鳴川C〉の主張が認められない以上、私が営業している村田養豚場を撤退する理由はなく、現状維持の判決として理解した次第です。
そして、現実に、この判決確定の後、村田養豚場は経営を続けましたし、〈東鳴川C〉から、土地を明け渡せ等言われたことは一度もありませんでした。
ただ、私と〈東鳴川C〉は、こんな裁判にまでなってしまったので、〈東鳴川C〉とのことは、私の娘の〈村田商店代表乙〉に任せることにしました。したがって、その後の養豚場の法的な問題や行政との関係については、〈村田商店代表乙〉に任せたので、詳しくは〈村田商店代表乙〉が陳述することにします。
4 本件記事(甲2)について
(1) 不動産侵等に関する記事について
上記で述べましたとおり、私は、平成14年の亡〈東鳴川Cの亡父〉との賃貸借契約締結時に、現場で借地範囲を指示された上で、その範囲を〈業者A〉に指示し、平成19年ころまで、土地を掘削しました。たしかに、平成16年と19年に、隣接地の〈加茂町Bの亡夫〉から苦情や抗議を受けたことがありましたが、地主の〈東鳴川C〉は、境界を越境しているなどと注意しませんでした。ですので、私は、平成19年に〈東鳴川C〉に対して、境界を明確にしてくれるように調停を申し立てましたが、〈東鳴川C〉は何も解決してくれませんでした。そして、平成19年には、〈加茂町Bの亡夫〉らが私を不動産侵奪罪で告訴し、平成20年には、〈東鳴川C〉が不法掘削で損筈賠償請求の民事裁判を提起しました。
しかし、前者は平成20年不起訴、後者は平成24年〈東鳴川C〉敗訴確定の結果で、いずれも、私の不動産侵奪ではないことが法的に認められたのです。そして、その後は、〈東鳴川C〉や〈加茂町B〉らとの法的紛争は何ら生じていません。
ところが、被告は、平成26年2月ごろから、甲2の本件記事と同趣旨の記事をインターネット上のホームページに掲載したのです。
株式会社村田商店は、その記事の掲載によって、豚肉出荷先に対する信用が大きく毀損されたので、弁護士(本件代理人弁護士とは別の弁護士です)に依頼し、平成28年5月10日、名誉毀損罪、偽計業務妨害罪で刑事告訴しました(甲9)。ただし、当時、本件同種記事の掲載者が、「弥勒の道プロジェクト」と名乗るだけであったので、被告訴人については、特定できず「弥勒の道 プロジェクトこと村田整豚場から周辺環境と赤田川を守る有志の会こと氏名不詳者」とせざるを得なかったのでした(甲9、2頁)。
しかし、奈良警察署は精力的に捜査を行ってくれ、本件同種記事の掲載者を被告と特定し、被告に対する強制捜査(捜索押収)が行われたと聞いています。ただし、本件同種記事に関する刑事処分の結果としては、平成28年12月19日、不起訴処分となってしまいました(甲10)。
そして、被告は、平成28年6月、本件同種記事よりも、表現や文学の大きさなどにおいてインパクトが強く、かつ、株式会社村田商店に対する攻撃を頗る激化させた本件記事をホームページに掲載したのです。
要するに、被告は、民事事件や刑事事件で、私の不動産侵奪が否定されたにもかかわらず、法的手続きでなく、本件記事により、一方的な言い分や虚偽の事実をもってして、私や株式会社村田商店の名誉を侵害しているのです。
このような法的手続きに則らない攻撃はとても許されるとは思いません。本件記事によって、私と株式会社村田商店の名誉や信用は侵害され続けており、養豚場の営業に重大な悪影響があります。
どうか、速やかに、このような記事が削除されるように、お願い致します。
(2)その他の記事について
①私の刑事事件
私の刑事事件に関する記事は、私の名誉に重大に関わる記事です。本件記事では、私の不動産侵奪行為が「起訴猶予」になったと記載しています(甲2、4頁)が、これは、虚偽であり、「起訴猶予」でなく「不起訴」になったのです。「起訴猶予」というと、犯罪事実はあったが情状で許されたということなので、まるで、私の不動産侵奪行為が認められたかのようです。したがって、本件記事は重大な名誉毀損です。
また、私は、野焼きで逮捕された事実がありましたが、それは、自分の敷地で野焼きして逮捕されたのです。しかし、本件記事では、「削り取った他人地で野焼きを繰り返し、農場主が現行犯逮捕されています。」と記載されています(甲2、4頁)。しかし、これでは、私が不動産侵奪行為によって逮捕されたかのような意味になりますので、この記事は虚偽の記載であって、私の名誉を侵害するものです。
②産業廃棄物の投棄
また、本件記事には、廃棄物を不法に投棄しているかのような記事が掲載されています(甲2、7頁)が、これも真実ではありません。
私及び株式会社村田商店は、産業廃棄物を不法棄した事実はいっさいございません。③その他
その他、本件記事には、水質汚濁、犬の放し飼い・公道占拠などの虚偽の事実が記載され、株式会社村田商店の名誉が侵害されています。これらの虚偽性と名誉毀損については、〈村田商店代表乙〉から述べさせてもらいます。