甲第9号証

告訴状

平成28年5月10日
奈良警察署 御中

告訴人代理人弁護士
告訴人 村田商店こと村田畜産こと〈村田商店代表甲〉

被告訴人 弥勒の道プロジェクトこと村田養豚場から周辺環境と赤田川を守る有志の会こと氏名不詳者

第1 告訴事実

被告訴人は、

  1. 奈良市東鳴川町630において養豚を営む告訴人の名誉を毀損しようと企て,平成26年2月1日ころから現時点まで(平成28年1月5日に更新),某所において,「違法性を認識していない従業員」(資料1・1頁),「ここの養豚場は、どういうわけか養豚場関係者以外が敷地に近づいてほしくないようで,近隣住民が里道を通らないようさまざまな手を使って通行を妨害しています。」,「犬を放し飼いにしたり,違法な立て札を立てたり,どうしてこんな嫌がらせをするんでしょうか。」(資料1・1頁),「同じく中川寺跡で2月23日にみつけた犬の死骸。この犬も養豚場で見たことがある気がします。2月11日にはありませんでしたから,そのあと死んだものと思います。罠にかかって死んだのを捨てられたのか,大雪で衰弱したのか,原因はわかりませんが、毎週のように放し飼いにされた犬が死んでいるというのは酷い話です。」(資料1・7頁),「養豚場より下流の赤田川は,下水そのものの臭いと獣臭さが混じった,ひどい悪臭がします。養豚場よりも,養豚場の下流の赤田川の方が,ひどい臭いがします。」(資料1・8頁)などの内容の文章を,インターネットを介して,被告訴人が開設するホームページ内において掲載し続け,これらを不特定多数の者に閲覧させ,もって,公然と事実を摘示して告訴人の名誉を毀損し,
  2. 奈良市東鳴川町630において養豚を営む告訴人の名誉を毀損しようと企て,平成27年12月2日ころから現時点まで,某所において,「赤田川北側の削られた山は村田養豚場の所有地ではないことがわかりました。木津川市域の土地所有者は木津川市在住の方で,勝手に土地を削られた数軒の家で,刑事告訴したとのことです。」(資料2・1頁),「大きく削られている土地も村田養豚場の土地ではありませんでした。好きにしていいと言う約束だったと主張して,借りていた土地を削ったのだそうです。この件も裁判になっています。」(資料2・1頁)などの内容の文章を,インターネットを介して,被告訴人が開設するホームページ内において掲載し続け,これらを不特定多数の者に閲覧させ,もって、公然と事実を摘示して告訴人の名誉を毀損し,
  3. 奈良市東鳴川町630において養豚を営む告訴人の販売業務を妨害しようと企て,平成28年1月ころ,京都府木津川市において,告訴人の豚肉の発注先である大阪市〈食肉卸業者A〉に対し,「村田養豚場による10年以上に渡る迷惑行為」(資料3・2頁),「本件がテレビで報道された場合,奈良県畜産物への信頼が損なわれ,御社の事業にも大きく影響する可能性がございます」(資料3・2頁),告訴人が「通行人を恫喝する」(資料2・2頁),「通行人への恫喝,鎌倉時代の不動明王像の前を流れる,茶色く濁り泡立った,酷い臭いのする谷川それらの元凶である養豚場の豚」(資料3・3頁)などと虚偽の事実又は人を欺く事実を記載した書面を送付し,もって偽計を用いて告訴人の業務を妨害し,
  4. 奈良市東鳴川町630において養豚を営む告訴人の販売業務を妨害しようと企て,平成28年3月ころ,京都府木津川市において,告訴人の豚肉の発注先である大阪市〈食肉卸業者A〉に対し、「もし2016年3月末日までに,私どもの示した 5つの要望のすべてを受け入れると,奈良県家畜保健衛生所が文書で 具体的に回答しなかった場合,あるいは,村田養豚場が外見としてわ かる形で改善への意志を示さなかった場合,皆さまには多大な協力を いただいております中,たいへん心苦しく存じますが,私どもは前回 予告しました通り,テレビ報道をはじめ,メディアを通じた本件の告発に全力を傾ける所存です。」(資料4・2頁)などと虚偽の事実又は人を欺く事実を記載した書面を送付し,もって偽計を用いて告訴人の業務を妨害し,
  5. 奈良市東鳴川町630において養豚を営む告訴人の販売業務を妨害しようと企て,平成28年3月8日ころ,京都府木津川市において,告訴人の豚肉の発注先である奈良県大和郡山市〈食肉卸業者B〉に対し、「村田養豚場による10年以上に渡る迷惑行為」(資料5・2頁),「本件がテレビで報道された場合,奈良県畜産物への信頼が損なわれ、御社の事業にも大きく影響する可能性がございます」(資料5・2頁),告訴人が「通行人を恫喝する」(資料5.2頁),「不衛生極まりない環境で豚が飼養されていることが疑われる」(資料5・2頁),「私どもの要望が無視されていると判断した場合は,いつでもテレビなどメディアを通じた告発へ踏み切る所存です。そこで,御社におかれましても,告発報道に備え,今から準備を進めておかれることをお勧めいたします。」(資料5・6頁)などと虚偽の事実又は人を欺く事実を記載した書面を送付し,もって偽計を用いて告訴人の業務を妨害し,
  6. 奈良市東鳴川町630において養豚を営む告訴人の販売業務を妨害しようと企て,平成28年3月8日ころ,京都府木津川市において,告訴人の豚肉の発注先である奈良市〈ホテルC〉〈レストランD〉に対し,「村田養豚場による10年以上に渡る迷惑行為」(資料6・2頁),「本件がテレビで報道された場合,奈良県畜産物への信頼が損なわれ,貴ホテルの事業にも大きく影響する可能性がございます」(資料6・2頁),告訴人が「通行人を恫喝する」(資料6・2頁),「不衛生極まりない環境で豚が飼養されていることが疑われる」(資料5・2頁),「貴レストランが,ホテルの名に恥じない、賢明な判断をされますことを,当会一同心より祈念しております」(資料6・6頁)などと虚偽の事実又は人を欺く事実を記載した書面を送付し,もって偽計を用いて告訴人の業務を妨害し,
  7. 奈良市東鳴川町630において養豚を営む告訴人の販売業務を妨害しようと企て,平成28年3月13日ころ、某所において,告訴人の豚肉の発注先である奈良市〈レストランE〉に対し,「あの放し飼いの犬がうろつき無数 のカラスが舞う養豚場をご覧になってこういう感想をお持ちになる方もいるということに,大いに驚き呆れているところでございます。」(資料1・1頁),「貴レストランの考える「食育」なるものがどういうものかたいへんよくわかりました。私どもの回りにもご紹介してまいります。」(資料1・1頁)などと虚偽の事実又は人を欺く事実を記載した e-mail を送付し(発信元: ****@mirokunomichi.org),もって偽計を用いて告訴人の業務を妨害したものである。

第2 罪名・罰条

  • 名誉毀損罪・刑法第230条第1項
  • 偽計業務妨害罪・刑法第233条

第3 事実関係

1 告訴人について

告訴人は,奈良市東鳴川町630において養豚を営むものである(資料2)。「郷 Pork」という名称のブランド豚を出荷している。

2 被告訴人について

被告訴人は,「弥勒の道プロジェクト」や「村田養豚場から周辺環境と赤田川を守る有志の会」と名乗って活動する者である。

ホームページ(http://mirokunomichi.org/index.shtml)を開設し、 e-mail アドレスは、「****@mirokunomichi.org」を使用している(資料1・1頁)。

また,被告訴人は,平成28年3月8日,木津川市に木津川市アダプト・プログラム(一定区画の公共の場所を養子にみたて,住民が里親となって美化・清掃をおこない,行政がこれを支援する仕組み。資料9)の里親届を行い(資料10。※被告訴人の住所・氏名・電話番号が記載されているが,公文書部分開示決定通知書において,非開示となった。),同月22日,木津川市に受理された(資料11)。

3 被告訴人による名誉毀損行為について

被告訴人は,自らが開設するインターネット上のホームページ(http://mirokunomichi.org/index.shtml)上に,上記告訴事実1〜2のとおりの記事を載せ,告訴人が違法な行為を行っており,告訴人の従業員がそれを認識していない,告訴人が通行を妨害する嫌がらせをする,毎週のように告訴人の飼い犬が死んでいる,告訴人が原因で赤田川に悪臭がする,告訴人が刑事告訴や訴訟提起をされているなどとする事実を摘示した。

これにより,告訴人の社会的評価が著しく低下した。告訴人は,養豚を営んでおり,多くの取引先が存在し,社会的評価の低下は特に重大な問題である。

4 被告訴人による業務妨害行為について

被告訴人は,上記告訴事実3〜7のとおり,告訴人が10年以上に渡る迷惑行為を続けている,不衛生極まりない環境で豚が飼養されている,テレビ報道で何らかのことが告発されるなどの事実を記載した文書又は e-mail を告訴人の取引先に送った。

これにより,告訴人の取引先が,告訴人の出荷する際の品質が悪質(不衛生)であると考えたり,告訴人の出荷する豚を眺入すると何らかの告発を受ける可能性があると考えたりすることとなった。

このような被告訴人の虚偽の情報の伝播,又は欺罔により,告訴人の業務に重大な支障を生じさせた。

5 被告訴人によるその他の行為について

上記告訴事実は,被告訴人が行った名誉毀損行為,業務妨害行為の一部であり,実際には,被告訴人は,上記告訴事実以外についても,ホームページ上で告訴人の誹謗中傷を繰り返し,告訴人の取引先等に告訴人を誹謗中傷する文書等を送っている。

また,被告訴人は,奈良県,奈良市等の行政に対して,告訴人の業務に問題がある等の申告を執拗に行ったり,告訴人に対する行政の対応に苦情を述べたりしており(資料は添付しないが,告訴人が公文書開示請求を行ったところ,かなりの数のやりとり(e-mail 等)が開示された。),〈奈良県農業者団体F〉,〈奈良県農業者団体G〉,〈奈良県農業者団体H〉等の告訴人の加入する団体等に対しても,告訴人の取引先に送ったのと同様の文書を送付している(資料)。

第4 告訴の経緯・処罰を求める意思表示

被告訴人の上記行為は,告訴人が被告訴人のホームページを閲覧したり,告訴人の取引先から書面の写しを受け取ったり,行政に対して公文書開示請求をしたりすることにより,発覚した。

告訴人は,被告訴人からの誹謗中傷を受けることを避けるため,飼い犬を檻の中に入れる,立て札を外すなどしたが,被告訴人による告訴人への誹謗中傷は収まるどころか、エスカレートしていった。

また,告訴人は,被告訴人が誰であるかも分からず、不安を感じている。被告訴人は,告訴人に直接ではなく、ホームページでの公開,重要な取引先,関係行政機関,関係団体への執拗な書面の送付等を行っており,告訴人としては,交渉等による対処ができない。

そして,被告訴人による誹謗中傷は続いており,今後,社会的評価の低下,業務の妨害等の被害が拡大していくおそれがある。

以上のことから,告訴人は告訴をすることを決意した

被告訴人の上記行為は,刑法第230条第1項(名誉毀損罪),同法第233条(偽計業務妨害罪)に該当すると考えるので,被告訴人の厳重な処罰を求めるため告訴する。

証拠資料

別紙資料説明書のとおり

添付書類

  1. 資料説明書 1通
  2. 資料写し 各1通
  3. 委任状 1通