裁判編

ISSUE.2
犬の
放し飼い

目次

村田養豚場が犬を不法に放飼いにしているということについて

本件記事の中では、村田養豚場が、大量の犬を違法に放飼いにしているということも記載されている。

確かに、村田養豚場は、犬を30匹ほど飼育しているが、それらの犬は、普段は、養豚場の敷地内の檻の中で飼育している。

畜産業を営んでいることから、豚コレラの蔓延防止のため、イノシシが養豚場内に侵入することを防止することが必要であり、そのために、飼育している犬の一部を檻から放すことはあるが、それ以外の犬を放飼いにすることはなく、また、常に放飼いの状態となっている犬も存在していない。

それにもかかわらず、本件土地の周辺で確認される犬が、すべて村田養豚場で飼育されている犬であると決めつけ、常に犬を放飼いにしているかのように記載された本件記事は、真実であるとはいえない。

まず村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張は詭弁の類と言える。常に放し飼いの状態になっている犬が存在しないことは、常に一定数の犬が放し飼いの状態にあるということを否定しない。常に犬が「交代で」放し飼いになっていれば前者と後者は両立する。

また、令和元年3月の本件御通知書で「犬を違法に放し飼いしておらず、檻の中で飼育している」としていたのに対し、本件訴状においては「犬の一部を檻から放すことはある」とし、村田養豚場(村田畜産/村田商店)はむしろ放し飼いの存在を認めており、このことには、本裁判を通じ、危険な犬の多頭放し飼いを正当化しようという、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の戦略的な意図が感じられる。このような主張は村田養豚場周辺の地域社会にとって脅威以外のなにものでもない。

そこで以下のとおり、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による犬の放し飼いが違法かつ極めて危険なものであることを示す。

1)村田養豚場(村田畜産/村田商店)は奈良市保健所・京都府山城南保健所の双方からこれまで繰り返し指導を受けている。

  1. 平成24(2012)年2月29日 奈良市保健所が京都府山城南保健所に、村田養豚場に対し次の指導を行なったと報告(乙34)。

    • 犬は繋いで飼うこと
    • 繁殖制限を行うこと
    • 犬の登録及び狂犬病予防注射を行うこと
    • 夜間は、オリの中に入れること
  2. 平成26(2014)年3月4日 奈良市保健所が京都府山城南保健所に、村田養豚場に対し次の対応を行なっていると報告(乙35)。

    • 村田養豚場の[不開示]が主に世話をしており、イノシシから身を守るために放し飼いにしているとのことだった。
    • 奈良市としては首輪を付ける、囲うように指導
  3. 平成26(2014)年3月7日から3月20日までに、京都府山城南保健所が、11頭の犬を浄瑠璃寺裏で捕獲し、4回計8頭を村田養豚場に返還した。返還時に放し飼いをしないように口頭で指導するとともに指導票を3回(計6枚)交付したが、状況は変わらなかった(乙36)。村田養豚場(村田畜産/村田商店)は3月12日に犬を引き取りに来た際、敷地を囲うように説明されたが、それに対して「考える」と答えている(乙35)。なお、指導票の内容は犬の状況により細かな違いがあるが、およそ下記のとおりである(乙52)。

    • 当該犬が敷地外に出ないように常に係留しておくか又は囲いの中で飼養すること。
    • 当該犬の登録をしていない場合は所在地の市町村で登録し、鑑札を犬に着けておくこと。
    • 当該犬に毎年狂犬病の予防接種を受けさせ、注射済票を当該犬に着けておくこと。

    平成26年3月12日-1-山城南保健所-指導票

  4. 平成26(2014)年3月26日、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が京都府山城南保健所に電話をかけ、犬の返還に関して同保健所の対応に抗議をしているが、村田養豚場(村田畜産/村田商店)はこの時もイノシシから養豚場を守るために犬を放していると説明している。これに対し京都府山城南保健所は次のように指導した(乙36)。

    • イノシシ、サル避けのためと言えども犬が多数放たれており、観光地でもある浄瑠璃寺周辺まで来ているので大変危険であるので、できるだけ早く繋ぐか囲うようにすること。
    • 当所は(村田養豚場(村田畜産/村田商店))の飼養場所への立入権限はないので奈良市からの具体的な指示を守って欲しい。
  5. 平成27(2015)年11月4日、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は京都府山城南保健所に電話をかけ、村田養豚場近くの木津川市道で草刈りをしていた人(当会代表)に、犬をつなぐよう言われたことが不当であると苦情を申し立てたが、保健所から次のように指導された。また、京都府山城南保健所はこのやり取りを奈良市保健所に伝え、犬について村田養豚場(村田畜産/村田商店)を指導するよう依頼している(乙39)。

    • 公道を通る際に犬に吠えかかられては、通行者が脅威を感じることは当然である。イノシシの害は理解できるが、人に危害を与えないよう係留は必要なことと考える。
  6. 平成28(2016)年1月25日、奈良市保健所は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対し、文書をもって下記のとおり指導した(乙41)。

    飼い犬を係留すること、また野犬への餌付けをやめるよう度々お伝えしてきましたが、一向に改善が見られません。

    (村田養豚場(村田畜産/村田商店))がかねてより主張する害獣対策よりも通行人や地域住民への危害の防止が優先されることは疑う余地はありません。

    これ以上事態を放置することは大変危険と判断できますので、以下のことについて遵守するよう申し伝えます。

    所有する犬について以下のことを実施すること

    • 係留または囲いの中での飼育(放飼いの禁止)
      (奈良県動物の愛護及び管理に関する条例第5条)
    • 飼い犬事故届の提出(飼い犬が人を咬んだ場合)
      (奈良県動物の愛護及び管理に関する条例第13条第2項)
    • 登録ならびに鑑札の装着
      (狂犬病予防法第4条)
    • 狂犬病予防注射ならびに狂犬病予防注射票の装着
      (狂犬病予防法第4条)

    ご協力のお願い

    • 当市による野犬の捕獲へのご協力
    • 野犬への餌付けや野犬の餌となるような物を放置しない
  7. 平成28(2016)年3月17日、京都府山城南保健所が奈良市保健所に対し、京都府山城南保健所長名で、村田養豚場における犬の適正飼養について要望書を発出した(乙44)。

    地域住民頭の安心・安全が脅かされることがあってはなりませんので、貴保健所におきましても、村田養豚場における犬の飼育等の状況を改めて把握いただき、必要に応じて、関係法律又は条例に基づき、犬の抑留・係留等の適正な飼養の指導等に万全な対応を徹底していただきますようお願いします。

  8. 平成29(2017)年4月12日、京都府山城南保健所が奈良保健所を訪れ、下記を要望した(乙33)。

    • 村田養豚場(村田畜産/村田商店)に飼い犬は係留や逃げ出さないように飼養することを指導して欲しい。
    • 今後犬の捕獲を実施すると村田養豚場(村田畜産/村田商店)に伝えて欲しい。
  9. 奈良市保健所から開示された経過文書は不開示部分が多いため詳細が不明であるが、頻繁に村田養豚場を訪れなんらかの指導を行なっている様子がうかがえる(乙33)。

2)村田養豚場周辺で捕獲された犬は、京都側奈良側を合わせ、平成26(2014)年以降だけで100頭を超える。

当会が、京都府山城南保健所から開示された、浄瑠璃寺周辺で捕獲された徘徊犬に関する文書(乙52)を集計したところ(乙53)、平成26(2014)年度以降平成31(2019)年3月までに京都側で捕獲された徘徊犬は、計54頭であった。そのうち他の文書(乙36乙49)から村田養豚場(村田畜産/村田商店)が引き取ったことが明らかな14頭に、捕獲後即日返還されていることから村田養豚場(村田畜産/村田商店)が引き取ったと推定できる5頭を加えると、合計19頭が村田養豚場(村田畜産/村田商店)に返還されていたことになる。

京都府山城南保健所捕獲犬リスト

一方、奈良市保健所から情報提供された捕獲犬リスト(乙54)は、抑留犬の公示文書を元にしており、公示前に返還された犬については、その数を捕獲された数に含めていない。そのため実際の捕獲数はこれよりも多いと思われるが、同リストによれば、平成26(2014)年度以降、中ノ川町及び東鳴川町で捕獲された犬の総数は33頭で、そのほぼ全数が処分されている。

奈良市保健所捕獲犬リスト

これに加え、京都府山城南保健所の平成26(2014)年3月12日付け連絡事項処理用紙(乙35)によれば、このとき奈良市保健所が、平成26(2014)年1月6日から3月4日までの間に計16頭を捕獲し、うち2頭を村田養豚場に返還したと報告している。

これらを全て合計すると、村田養豚場周辺では、平成26(2014)年以降だけで少なくとも103頭の徘徊犬が捕獲され、うち21頭が村田養豚場(村田畜産/村田商店)に返還されているとわかる。なお捕獲されたうち、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に返還されなかった犬のほとんどが処分された。浄瑠璃寺近隣住民などの証言によれば(乙35)、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による犬の放し飼いは二十数年前から始まっており、これまでにどれだけの数の徘徊犬が捕獲され処分されたかわからない。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、平成26(2014)年3月28日、京都府山城南保健所に「犬の避妊去勢をしておらず犬が勝手に増えすぎるのも困るので子犬が生まれた時に減らすこともある」と述べているが、このような、繁殖を制限しない不適切な犬の飼養は、動物虐待に等しいと言わなければならない(乙36)。

平成26年3月28日-浄瑠璃寺の南方にある養豚場が飼養する犬の放し飼いについて(第4報)-03

3)村田養豚場周辺の徘徊犬は広範囲を数頭から10頭ほどの群で移動している。

村田養豚場周辺の徘徊犬は、若草山にも現れたことがあり(乙35)、浄瑠璃寺周辺など近隣地域だけでなく奈良市内の観光地にも危険を及ぼしている。以下は、京都府山城南保健所の文書及び奈良市保健所の経過文書(乙33)から、主な通報のみを抜き出したものである。なおこれら以外にも、京都府山城南保健所、奈良市保健所ともに、村田養豚場周辺で頻繁に見回りや捕獲を行っている(乙33乙51)。また当会代表も、浄瑠璃寺周辺や中ノ川町の山道で頻繁に徘徊犬と遭遇している(乙55)。

  1. 平成26(2014)年3月12日に、京都府・木津川市・奈良市の合同で情報交換をした際、奈良市保健所が、次のように報告している(乙35)。

    • 広範囲に移動しており、若草山で捕獲された犬について村田養豚場が引き取りに来たこともあった。
  2. 平成26(2014)年4月21日、奈良市保健所が奈良公園管理事務所を訪問して状況を確認(乙33)。

    • 昨日は5頭の野犬がいた
    • 若草山ではなく公園におりてきていた
  3. 平成26(2014)年4月23日、奈良公園管理事務所から奈良市保健所に電話(乙33)。

    • 今朝若草山山麓で3頭の野犬を見かけた
  4. 平成26(2014)年4月28日、奈良市保健所が鹿苑で2頭の犬(黒茶、メス2頭、首輪なし)を吹き矢とガネで捕獲(乙33)。

  5. 平成26(2014)年4月30日、岩船区区長から木津川市まち美化推進課に通報(乙37)。

    • 今朝(4月30日午前7時ごろ)唐臼の壺二尊石仏周辺で犬10匹がうろついていたので捕獲してほしい。
  6. 平成26(2014)年12月1日、浄瑠璃寺から京都府山城南保健所に通報(乙38)。

    • 野犬が5匹現れたので対応願いたい。
    • 12月2日に京都府山城南保健所から浄瑠璃寺に電話で確認。「犬は11月30日に境内に現れ、住み着いている猫を1匹かみ殺した。その後は現れていない。」
  7. 平成27(2015)年11月2日、奈良公園管理事務所から奈良市保健所に電話(乙33)。

    • 若草山山頂に野犬2頭がいた。
  8. 平成28(2016)年1月29日、京都府山城南保健所が浄瑠璃寺の協力を得て徘徊犬を捕獲した際、浄瑠璃寺から相談を受ける(乙52)。

    • 年末年始に10頭くらいの犬が山の向こう(養豚場)から来て困っている。
  9. 平成28(2016)年3月9日、木津川市加茂町西小の住民とみられる者から木津川市まち美化推進課に通報(乙43)。

    • 自宅の庭に野犬が10頭ほど入り込んで来て怖くて外に出られない。
  10. 平成29(2017)年9月15日、中ノ川町自治会から奈良市保健所に通報(乙33)。

    • 庭に8頭が出没。20日にも出没。
  11. 平成29(2017)年10月23日、浄瑠璃寺から京都府山城南保健所に通報(乙48)。

    • 午前8時頃、寺の庭で野犬3頭を見た。いつも徘徊している犬とは違う犬。
    • 同日午後、京都府山城南保健所が、村田養豚場から浄瑠璃寺に向かう山道に犬の足跡を多数確認。
  12. 平成29(2017)年12月12日、京都府山城南保健所が、浄瑠璃寺山門方向から山道を下りてくる犬を目撃。また、駐車場隣の空き地でも犬を目撃。要対策とする(乙51)。

  13. 平成30(2018)年1月5日、浄瑠璃寺から京都府山城南保健所に連絡(乙51)。

    • 境内を5〜6頭の犬が徘徊し、山の方へ移動していった。
  14. 平成31(2019)年1月18日、浄瑠璃寺から京都府山城南保健所に通報(乙51)。

    • 16日から毎日のように、犬が徘徊している。
    • 最大5頭(茶4、白1、うち首輪付き2頭)。
  15. 平成31(2019)年1月21日、京都府山城南保健所が、浄瑠璃寺で徘徊犬について聴取(乙51)。

    • 犬の徘徊は頻繁で、昨日は2グループ(①7頭グループ、②5頭グループ)が寺境内を徘徊していた。
  16. 平成31(2019)年2月12日、奈良市東部出張所長から奈良市保健所に電話。平成31(2019)年2月20日に奈良市保健所が東部出張所長に、県道沿いの犬は見かけないと確認をとっていることから、県道沿いに犬が徘徊していたことを通報した電話と思われる。

  17. 平成31(2019)年3月13日、京都府山城南保健所が浄瑠璃寺近隣で徘徊犬について聴取(乙51)。

    • 夜間に犬が3頭ほど徘徊していた。

4)村田養豚場(村田畜産/村田商店)は放し飼いにしている飼い犬と野犬を区別していない。

  1. 仮に村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、村田養豚場周辺にいる犬について、飼い犬とそれ以外の徘徊犬を区別しているとすると、飼い犬以外の徘徊犬は、防疫上のリスクに他ならないので、飼い犬以外の徘徊犬を捕獲するよう奈良市保健所に依頼するはずである。しかし村田養豚場(村田畜産/村田商店)が奈良市保健所に徘徊犬を通報したり、徘徊犬の捕獲を依頼した記録は一切ない。

  2. 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、檻や囲いの外にいる犬について、飼い犬とそれ以外の野犬を区別して餌を与えておらず、村田養豚場周辺にいるどの犬でも容易に近づける場所に餌を置いている。また村田養豚場では豚の餌の管理がずさんで、カラスや徘徊犬が、市道脇のドラム缶に入れられた豚の餌を食べていることも多い。加えて、目的は不明であるが、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は敷地の外の数カ所で、定期的に地面に餌を撒いている。この地面に撒かれた餌は、周辺の徘徊犬だけでなく、カラスは当然のこととして、豚コレラを媒介するされるイノシシをも引き寄せている(乙56)。

  3. 平成31(2019)年2月14日、村田養豚場(村田畜産/村田商店)代表〈村田商店代表乙〉と見られる人物が、京都府山城南保健所が捕獲した犬を引き取っている。浄瑠璃寺野犬についての経過文書(乙51)に「飼い主娘」に返還とあることから、この人物は村田養豚場(村田畜産/村田商店)代表〈村田商店代表乙〉であると推定できる。

    この6日後の2月20日、村田養豚場(村田畜産/村田商店)とみられる人物が奈良市保健所を訪れ、犬を登録している(乙33:2月20日付の記事)。奈良市保健所犬担当の浦久保が口頭で情報提供したところによると、この時の登録は多かったとのことである。当会代表の「10頭程度か」との問いに、浦久保は「そんなような数です」と答えた。

    京都府山城南保健所において、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に犬が返還されたのは、約一年ぶりのことで、この間京都府山城南保健所では、首輪のない徘徊犬を11頭捕獲し、淡々と処分している。したがって、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が2月14日にその事実を知り、これ以上犬が減らないように、多数の犬を一度に登録したとも考えられる。

    いずれにせよ村田養豚場(村田畜産/村田商店)の都合次第で、多数の犬が登録され得るのであれば、村田養豚場周辺の徘徊犬が、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の飼い犬であるかどうかについては、ただ村田養豚場(村田畜産/村田商店)の心のうちにあるというほかはない。これではその犬が飼い犬かどうか、他者が見分けることは不可能である。外形的には、どの犬にも餌が与えられており、首輪のあるなしに拘わらず、どの犬も、村田養豚場が放し飼いにしている犬に見える。

以上アイウのとおり、実態として、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は放し飼いにしている飼い犬と野犬とを区別していないが、訴状にあるように、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、村田養豚場周辺には飼い犬以外の野犬もいると主張するので、奈良市保健所は、放し飼いだけでなく野犬への餌付けをやめるよう指導しているのである(乙41)。

5)村田養豚場(村田畜産/村田商店)には村田養豚場周辺の徘徊犬のほとんどを収容した実績がある。

平成28(2016)年3月17日、京都府山城南保健所が奈良市保健所に要望書を発出している(乙44)が、これを受け奈良市保健所などからの圧力が強まったことにより、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は同年3月末ごろから、犬の囲いを増設し、多くの犬を囲いの中に入れるようになった。それと同時に、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、村田養豚場付近で奈良市保健所が犬を捕獲することを一時的に容認している。これにより村田養豚場周辺の徘徊犬は激減した。本件記事 FACT.6 で「2016(平成28)年5月現在の現状を報告します。」として報告している状況が、ちょうどこの頃に当たる。

平成28(2016)年5月31日には、京都府山城南保健所が奈良市保健所を訪れ、「(村田養豚場)周辺で見かける犬がほとんどいなくなった。浄瑠璃寺でも見かけなくなり、捕獲箱は置いてあるが閉めてある状態である。指導対応していただいたことに感謝している」と礼を述べている(乙33)。

ところが本件記事で「ベニア板で作られたにわか作りの囲いの中や、建物の二階に犬を多数押し込めているのが実態です。このような飼い方が長続きするとはとても思えません」と指摘した通り、一年と待たず犬の放し飼いは再開された。京都府山城南保健所も、平成29(2017)年4月には二度にわたって村田養豚場周辺で現地確認し、犬の捕獲の再開を決めている(乙45乙46)。

しかしこの一件は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)がその気にさえなれば、村田養豚場周辺の徘徊犬のほとんどを、囲いの中に収容し続けられることを示すものである。したがって、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、1)で示した奈良市保健所及び京都府山城南保健所の指導に従うのに、なんら支障があるようには考えられない。もし村田養豚場(村田畜産/村田商店)が放し飼いをしたいのであれば、市道の両側にある敷地のそれぞれを柵で囲い、その中でのみ犬を放し飼いにするべきである。

6)犬の放し飼いは豚コレラ対策にならない。

農林水産省は、豚コレラ対策としても、犬の放し飼いを認めていない。平成29(2017)年9月に農林水産省消費・安全局が作成した「豚肉の生産衛生管理ハンドブック〜養豚農場・生産者編〜」には、ペット動物について次のように書かれている(乙57)。

犬や猫などのペット動物を衛生管理区域に入れないようにしましょう。

  • 犬や猫も、食中毒菌に感染していたり、毛や足の裏などの体表に食中毒菌が付いていたりすることがあります。

  • 防犯など実用目的で飼われている動物(番犬など)が衛生管理区域内にいる場合は、それらの動物が豚舎に出入りし、豚と接触しないようにしましょう。また、必要以上に衛生管理区域を出入りしないようにしましょう。

したがって、犬の放し飼いがそもそも飼養衛生管理基準上、全く適切でないことは明らかである。

また、平成30(2018)年12月28日に、全国の都道府県畜産主務部長宛に発出された通達「岐阜県で摘発された豚コレラ6例目の豚飼養農場における疫学調査結果を踏まえた飼養衛生管理基準の再徹底について」では、下記のとおり、飼養衛生管理基準第4「野生動物等からの病原体の侵入防止」を、さらに徹底することが求められている(乙58)。

外部からゴミ(食べ残し、野生動物の死骸など)を持ち込むリスクがあることから、野生も含め犬・猫等の愛がん動物を衛生管理区域内で飼養しないこと。

すなわち農林水産省は、豚コレラ対策の観点からは、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張とは逆に、衛生管理区域内で犬を飼わないよう求めているのである。

まして村田養豚場の場合、餌の管理がずさんな上、敷地周辺に餌が撒かれているため、農林水産省の懸念はまさに当たっている。敷地周辺に撒かれた餌は、野生のイノシシも口にしている。イノシシが餌を食べた直後に、放し飼いの犬が同じ餌を口にすることは十分にあり得る。加えて放し飼いの犬は敷地内外を自由に移動しており、豚の餌が入っているドラム缶に鼻面を突っ込むこともしばしばである。したがって、村田養豚場が放し飼いにしている犬が、野生動物の持つ病原体を養豚場に持ち込む可能性は決して低くない。犬の放し飼いは、むしろ豚コレラ感染リスクを高めていると言わなければならない(乙56)。

また村田養豚場周辺では、あちこちに餌となるものが散乱しているため、カラスが異常に繁殖している(乙34乙56)。近年では、浄瑠璃寺上空に数百羽のカラスが現れることも増えている(乙50)。こうした現状は、村田養豚場が、豚コレラ対策以前に、飼養衛生管理基準を遵守していないことを示唆するものである。三重県でも豚コレラ感染イノシシが見つかる中、隣接する奈良県がこうした劣悪な衛生管理状況を放置していることは、村田養豚場脇を流れる赤田川の下流にあたる京都府にとっても無視できないリスクとなっていると言える。

以上のように、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張はすでに奈良市保健所及び京都府山城南保健所から完全に否定されている。また村田養豚場(村田畜産/村田商店)による犬の放し飼いの実態は、イノシシを追い払うために短時間犬を放つというようなものではなく、放し飼いにされた犬が広範囲を群で移動する、極めて危険なものである。加えて、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による犬の放し飼い及び野犬の餌付けは、村田養豚場の餌の管理がずさんであることと合わせ、豚コレラを含む防疫上の重大なリスク要因となっている。

1 争点とすべき記事内容

本件記事において、重大なる虚偽事実の摘示は、次の部分である(下線は、本書面にて、重要部分に付したもの)。

  1. 「村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、50匹以上の犬を放し飼いにし、通行人を恫喝するなどして、長年にわたり公道を占拠し続けてきました。2015年末には、村田養豚場が放し飼いにしている犬が10匹単位で、隣接する観光地である木津川市浄瑠璃寺に入り込む事態となっています。」(11頁本文1行目~12頁1行目)。

  2. 「奈良県家畜保健・・・公道の占拠にも率先してお墨付きを与えています。奈良県家畜保健・・・村田養豚場の不法行為に加担しています。」(12頁2行目~5行目)。

  3. 「下図は犬の徘徊状況です。」(12頁本文6行目及び図)

  4. 「ざっと数えただけでも50匹以上、山林に・・・もっと多くの犬が、村田養豚場周辺を徘徊していました。下写真は・・・ものです。」(13頁1行目~4行目及び写真部分)。

  5. 「放し飼いにしている犬は、浄瑠璃寺でも頻繁に目撃されています。」(13頁6行目及び写真)。

  6. 「2015年の末ごろからは、村田養豚場が放し飼いにしている犬が、10匹単位で早朝の浄瑠璃寺に現われるようになり、・・・境内に多数の糞を残して行くため、浄瑠璃寺が非常に困る事態となっていました。・・・下写真は・・・前住職葬儀の最中に現われた犬です。」(14頁1行目~5行目及び写真)。

以上、ア乃至カで記載されていることをまとめると以下のとおりとなる。

==村田商店が経営する村田養豚場は、50匹以上のもの犬を放し飼いにしており、その犬は、養豚場の敷地を越えた広範囲を徘徊しており、浄瑠璃寺まで入り込むという事態になっている。ま

このように、村田養豚場は、公道の占拠、犬の放し飼いという不法行為を行ってきたが、奈良県家畜保健衛生所は、村田養豚場の言いなりであり、適切な指導をしようとしない。==

2 犬の放し飼いについて

(1)村田商店が経営する村田養豚場では、確かに犬の飼育は行っている。飼育している犬の数は、約20~30頭ほどであり、50頭以上もの多数ではない。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)が飼育している犬については、全て首輪が付けられており、首輪のついていない犬は村田養豚場(村田畜産/村田商店)が飼育する犬ではない。そもそも50匹以上の犬を放し飼いにし ていると記述する本件記事は、その数を誇張し、養豚場周辺で出没する野犬も、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が飼育するものであると誤信させるものである点で虚偽事実の記載があるといわねばならない。

(2)また、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、その飼育する犬を犬小屋や艦の中に入れて管理をしている。訴状でも主張をしているが、豚コレラを媒介するイノシシを養豚場内に侵入させないために養豚場敷地内で放すことはあるが、自由に放し飼いという状態にしていることはない。

(3) 本件記事の中で、木津川市浄瑠璃寺で、10数頭の犬が出没しているという内容があるが、かかる内容も真実ではない。浄瑠璃寺に出没しているのは単なる野犬であり、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が飼育する犬ではない。かかる記事内容も野犬の被害を村田養豚場(村田畜産/村田商店)に帰責させようとするものに外ならず、虚偽事実の記載である。

本件記事12頁において、2014年ごろの犬の徘徊状況として、図が示されており、その範囲は、養豚場の敷地を大きく越え、あたかも村田養豚場(村田畜産/村田商店)が飼育する犬が、 好き放題に広範囲を徘徊しているかのように記載されている。

しかし、同図は、真実を反映したものではない。図右下部の写真3枚については、犬の様子が映っているが、あくまでも養豚場の敷地内のものである。そして、 同図左下部で「ククリワナにかかった犬がいた場所」として、写真が示されているが、この犬は村田養豚場(村田畜産/村田商店)が飼育する犬ではない。このことは当会代表も確認をしているはずである。同写真の犬についての経緯は次のようなものであった。

  1. 同写真に映っている罠は、地元猟友会により仕掛けられたものであると考えられるが、その罠に犬がかかっているのを見つけた当会代表が、村田商店の養豚場を訪ねてきた。その際、当会代表は、養豚場の従業員男性に対し、「犬が罠にかかっているから助けてあげて欲しい。」と述べた。

  2. それを聞き、養豚場の従業員男性2名が、罠を外すための工具を持ち、現場へと向かった。そして、現地へとついた従業員男性は、犬の罠を外し、それが養豚場で飼育している犬ではないことを確認した。当会代表は、その現場に同行しており、罠にかかった犬が村田養豚場(村田畜産/村田商店)が飼育している犬ではないことを確認している。従業員男性によれば、犬が罠にかかっている現場で当会代表は、写真を撮っていたという。

(4)同写真は以上の経緯で撮影されたものであるにもかかわらず、当会代表は、あたかも村田養豚場(村田畜産/村田商店)が飼育している犬が罠にかかっており、それほど広範囲を徘徊していると誤信させるような記載を本件記事でしている。以上からすれば、犬の徘徊状況として記載されている図も虚偽事実の記載であるといわねばならない。

(1) 村田養豚場周辺を徘徊する犬の数について

ア 当会代表は、平成28(2016)年1月20日に、木津川市議会議員の〈木津川市議O〉とその支持者男性4名とともに、村田養豚場の間にある木津川市道を通り抜けているが、当会代表は当時、村田養豚場の諸問題について〈木津川市議O〉に相談しており、この日の村田養豚場通過は、現地を確認したいという〈木津川市議O〉の要望に応じたものである。

当会代表は、村田養豚場の現地を確認した後、〈木津川市議O〉及びその支持者らとしばらく話をしたが、その際、支持者男性(氏名不詳)が、「村田養豚場には少なくとも50頭の犬がいた。現地で数えた。実際にはもっと多くいたと思う」と述べた。当会代表自身の観察でも、村田養豚場を通過した際、少なくとも50頭は犬がいるように見えた。

以上のとおり、本件記事に「2016年1月には、ざっと数えただけでも50匹以上、山林に隠れている犬を含めればおそらくもっと多くの犬が、村田養豚場周辺を徘徊していました」とあるのは、〈木津川市議O〉の支持者男性の証言と、当会代表自身の観察に基づく。

なお、村田養豚場通過の際、〈村田商店代表乙〉と〈村田商店代表乙の父〉が、当会代表らに話しかけてきたため、写真を撮ることがはばかられ、現地を撮影した写真はあまりないが、本書面作成にあたり、当会代表あるいは〈木津川市議O〉らが当日撮影した写真に写っている犬の数を数えたところ、青い檻の中で飼養されているとされる4頭(乙36ー3頁)を加えると、32頭の犬が確認できた(乙91の1乃至3)。このうち6頭は明らかに首輪がなかった(乙91の1乃至3の赤字)が、首輪のない犬も首輪のある犬と行動をともにしており、村田養豚場(村田畜産/村田商店)も首輪のない犬を追い払うようなことはしていなかった。

乙91の2 は、〈村田商店代表乙の父〉の顔が入らないよう一部トリミングした上で、本件記事にも掲載した写真である。この写真に写っている人物のうち、青いリュックを背負っているのが当会代表で、当会代表に体を寄せているのが〈村田商店代表乙の父〉である。このとき当会代表は、当会代表の立っている木津川市道の右手、村田養豚場の休憩小屋の前(南側)あたりに、多数の犬がたむろしているのを見ている。また、村田養豚場敷地南側の市道にも、数頭の犬が徘徊していた。

したがって、平成28(2016)年1月に、村田養豚場に50頭以上の犬がいたと記載することは、まったく誇張ではない。

イ 村田養豚場周辺では、平成26(2014)年以降、平成31(2019)年3月までに、少なくとも103頭の徘徊犬が捕獲されたが、うち21頭が村田養豚場(村田畜産/村田商店)に返還され、残りの82頭はほぼ全数処分されている(当会代表第1準備書面35頁〜36頁乙35乙36乙49乙52乙53乙54)。このうち、平成28(2016)年1月以降に捕獲され、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に返還されることなく処分された徘徊犬の数は、京都側で22頭(乙52乙53)、奈良側で28頭(乙54)にのぼり、合計すると50頭となる。

したがって、現在も村田養豚場(村田畜産/村田商店)が約20〜30頭の犬を飼育しているとすると、当時、村田養豚場周辺には、少なくとも70〜80頭の犬が徘徊していたことになるから、平成28(2016)年1月20日に、村田養豚場周辺に50頭以上の犬がいたとしても、何ら不思議はない。

ウ 平成24(2012)年2月27日、木津川市議会議員〈木津川市議P〉が、木津川市に、村田養豚場で多くの犬が放し飼いになっていることについて苦情を申し立てているが、その際、支持者が数えた数として、40頭以上の犬を確認したと述べている(乙34)。

(2) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)が飼育する犬には、必ずしも首輪がつけられていなかった。

ア 平成26(2014)年3月4日に、木津川市、京都府山城南保健所、奈良市保健所が合同で、犬の捕獲場所の視察と情報交換を行っているが、このとき奈良市は次のように報告している。(乙35ー2頁)

  • 「奈良市としては首輪を付ける、囲うように指導しており、首輪に(村田の)名前が書いてあるようになった。しかし、首輪が外れた等全ての犬に徹底できていないとのことだった。」

イ 平成26(2014)年3月26日に、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が京都府山城南保健所を訪れ次のように発言している。(乙36ー3頁)

  • 「奈良市から野犬か自分の犬か区別するように指導を受けており、自分の犬に首輪をつけた。ただし犬によっては首輪を嫌がって外してしまい、以降首輪を着せなくなった犬もいる。」

ウ 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、平成26(2014)年3月18日に、平成26(2014)年3月13日及び3月14日に浄瑠璃寺近くで捕獲された、首輪のない犬2頭を、飼い犬として引き取っている。(乙36ー別表)

(3) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、飼い犬を収容するのに十分な、犬小屋あるいは囲いを整備したのは、平成28(2016)年3月末ごろである。

ア 平成28(2016)年3月25日に、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は京都府山城南保健所に対し、次のように述べている。(乙92ー1頁。下線は当会代表による)

  • (ア) 「現在、犬を囲うオリを作っている最中。既に30万以上は費やした。群れごとに分けており、将来はオスメスに分けて入れるようなオリを目指す。」

  • (イ) 「イノシシ対策として、犬の放し飼い以外の方法(電柵の設置等)は過去にも検討している。」

イ 平成28(2016)年5月10日に、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は当会代表を刑事告訴しているが、その告訴状の中で次のように述べている。(甲9ー8頁。下線は当会代表による)

  • 「告訴人は,被告訴人からの誹謗中傷を受けることを避けるため、飼い犬を檻の中に入れる、立て札を外すなどした」

ウ 当会代表は、本件記事の「FACT.6 何も変える気がない奈良県と奈良市」において、「2016年5月現在の現状を報告します」として、「2016年3月ごろから村田養豚場では、放し飼いにされていた犬が、狭い囲いの中に押し込められるようになりました」と記述し、写真とともに、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が設置した新しい囲いについても記載している(甲2)。しかし、残念ながら、その後村田養豚場(村田畜産/村田商店)による犬の放し飼いは再開された(乙55乙60)。

(4) 浄瑠璃寺周辺の徘徊犬について

ア 平成28(2016)年3月1日に、山城南保健所は村田養豚場を抜ける里道の現地確認を行っており、次のように報告している。(乙42

  • (ア) 「浄瑠璃寺〜村田養豚の入口までの里道において、多数の犬の足跡が認められた。」

  • (イ) 「また、複数の徘徊犬(少なくとも4頭)が京都府内の里道を徘徊していた。」

  • (ウ) 「村田養豚場内では多数の犬が放し飼いにされており、これらが里道の上から吠えかかるため、里道を通行することが出来なかった。(元の道を戻りました。)」

  • (エ) 「上記里道については、例え家畜伝染病予防法の「衛生管理区域」の対象外となったとしても、多数の徘徊犬が存在しているため、一般人が通行することは困難であると考えます。」

イ 京都府山城南保健所の平成28(2016)年3月10日付け伺い書に、次の記述がある。(乙93

  • 「現地確認(3月1日)の結果、未だに養豚場内では多数の犬が放し飼いにされており、それらの犬が京都府内に侵入していることが確認されました。」

ウ 平成28(2016)年3月17日に、京都府山城南保健所が奈良市保健所に手交した要望書に、次のような記述がある。(乙44

  • 「先日も村田養豚場内を徘徊している犬が浄瑠璃寺側へ出入りしている様子を確認したところです。」

エ 平成26(2014)年以降、平成31(2019)年3月までに、浄瑠璃寺周辺で捕獲された徘徊犬のうち、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は19頭の返還を受けている。うち2頭は首輪のない犬であった。(当会代表第1準備書面35頁〜36頁乙36乙52乙53

オ 当会代表は、浄瑠璃寺周辺で首輪のある犬を度々目撃している(乙55(7)・(8)・(14)・(15)・(20)、乙60(2)・(3))。平成31(2019)年2月5日に撮影された、乙55(15)に写っている、青い首輪をつけた白い犬など3頭の犬は、その直前に撮影された、村田養豚場周辺を山の上から撮影した写真にも写っており、まさにこの時、これらの犬が村田養豚場周辺から浄瑠璃寺方面に向かっていたことが見て取れる(乙60(19))。

(5) 村田養豚場内を徘徊している犬の行動範囲について

ア 本件記事において当会代表が図示した犬の徘徊範囲(甲2ー12頁)は、当会代表が実際にその範囲内で犬を目撃したことに基づく。

イ 平成26(2014)年3月4日に、木津川市、京都府山城南保健所、奈良市保健所が合同で、犬の捕獲場所の視察と情報交換を行っているが、このとき奈良市は次のように報告している。(乙35ー2頁。下線は当会代表による)

  • (ア) 「村田養豚場の犬は20頭ぐらいとのことだが今のところ8頭登録されており、捕獲犬の返還時に登録させている。」

  • (イ) 「広範囲を移動しており、若草山で捕獲された犬について村田養豚場が引取に来たこともあった。」

ウ 上述イの(ア)から、村田養豚場(村田畜産/村田商店)がしばしば奈良市保健所から捕獲犬の返還を受けていたことがわかるが、乙35に資料として添付された地図によれば、奈良市保健所が捕獲箱を設置していたのは、二ノ尾墓地(①)、ニノ尾墓地から県道33号線を挟んで南側の里道(②)、県道33号線と国道369号線の分岐から西へ入る里道(③)の三箇所である(乙35ー2頁)。

これら捕獲箱の設置場所は、いずれも、本件記事において当会代表が図示した犬の徘徊範囲よりも、村田養豚場から離れている。すなわち、奈良市保健所の報告から、当会代表の図示した犬の徘徊範囲よりも遠くで捕獲された犬について、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が返還を求めたことがあるとわかる。

(6) 本件記事記載の犬の徘徊状況の図(甲2ー12頁)にある写真3枚に写っている犬がいる場所は、下記の通り、いずれも村田養豚場の敷地の外である

ア 「養豚場に近づくと放し飼いの犬が多数集まってきます」とキャプションのある写真は、平成26(2014)年2月1日午後1時25分に、赤田川北側の林の出口付近で撮影された(乙94の1、位置図:乙94の4)。犬がいるのは、木津川市加茂町西小長尾谷1ー乙(本件土地3)と木津川市加茂町西小長尾2(本件土地2)に挟まれた木津川市道のあたりで、明らかに村田養豚場の敷地ではない。また、写真に写っている8頭の犬のうち、少なくとも2頭には首輪がつけられていない。

イ アの下、左側の写真は、平成26(2014)年2月11日午後4時9分に、村田養豚場南側の道で撮影された(乙94の2、位置図:乙94の4)。写真左奥の車やトラックが置かれている場所は、村田養豚場の駐車場であるが、右手前から右奥へ伸びているのは、奈良市の市道(正確には手前のわずかな区間は勝手道である)である。この写真に写っているのは、村田養豚場周辺にいる犬が、村田養豚場敷地内の駐車場から、敷地外の道路へ、まさに好き勝手に飛び出しているところである。なお手前の4頭とも首輪をしていない。

ウ アの下、右側の写真は、平成26(2014)年2月11日午後4時10分に、村田養豚場の敷地の間にある木津川市道で撮影された(乙94の3、位置図:乙94の4)。また、写真に写っている11頭の犬のうち、少なくとも2頭には首輪がつけられていない。

(7) ククリ罠にかかった犬を救出した経緯

ア 村田養豚場(村田畜産/村田商店)が主張する、ククリ罠にかかった犬を救出した経緯は、事実と異なる。実際には次のような経緯であった。

  1. (ア) 平成26(2014)年2月11日、当会代表は中ノ川町の山林に残る中川寺跡を踏査する目的で、中ノ川町の山林へ向かった。山林の中、谷を遡り中ノ川町共同墓地の下あたりに差し掛かった時、少し上の木の陰あたりから、犬が激しく吠える声が聞こえた。

  2. (イ) 当会代表は、平成26(2014)年2月1日にも、2月11日に犬が吠えてきた場所に近い里道で、村田養豚場からやって来たと思われる徘徊犬を見かけていた(乙95の1)ため、当会代表は、また近くまで徘徊犬が来ているのだろうと考え、しばらくすればどこかへ行くはずだと思い、犬の声がする場所から少し離れた山林を踏査しつつ、犬の様子を伺っていたが、その間犬が移動する気配が全くなかった。

  3. (ウ) 犬が動かないことを訝しく思い、当会代表が犬の方へ近づいてみると、黒茶の犬がククリ罠にかかっていることがわかった。当会代表はなんとか罠を外そうとしたが、犬が激しく暴れ、すぐに噛み付こうとするため、やむなくそれを断念した。

  4. (エ) そこで当会代表は、ククリ罠にかかった犬のことを保健所に連絡するほかないと考えたが、現場は山林であり、土地勘がないであろう保健所職員に携帯電話で場所を伝えることは難しいと判断し、またそれ以上現地で犬に時間を取られることがわずらわしく感じられたため、一旦犬を放置して、帰宅後、保健所にメールで、地図画像上に場所を示して、ククリ罠にかかった犬のことを知らせることにした。その際保健所に、現地の状況を伝えるため、ククリ罠にかかった犬の写真を撮影した。 当会代表がククリ罠にかかった犬を撮影したのは、平成26(2014)年2月11日午後2時13分である(乙95の2)。

  5. (オ) その後当会代表は、当初の予定通り、中川寺跡の踏査を行った。当会代表は、予定していた時間より遅い時間まで中ノ川町の山林を調べていた。(乙95の3)

  6. (カ) 午後4時ごろ、当会代表は村田養豚場の敷地の間を通り抜ける木津川市道に差し掛かった(乙94の2及び3)。当会代表がこの道を通って帰ることにしたのは、単純に一番の近道だからである。

    前述の通り当会代表は、ククリ罠にかかった犬は、村田養豚場の犬だろうと考えていた。それまでにも、村田養豚場から来たと思われる犬を、中ノ川町の山林で目撃していた(乙95の1)ことに加え、村田養豚場の犬は、黒茶の雑種犬が多く(乙52乙53乙54)、ククリ罠にかかった犬は黒茶で、この特徴によく一致していたためである。

    しかし当会代表は、この時までに、それがいつのことで誰から聞いたのか記憶が定かでないが、おそらく奈良市クリーンセンターの中ノ川町への移転に反対する奈良市内の団体に属する人など複数の人物から、「以前村田養豚場を通り抜けて浄瑠璃寺へ行こうとしたが、農場主に通れないと言われ、押し問答になった。最終的に恫喝してきたので、諦めて別の道を歩いた」という主旨のことを聞いていた。また、平成26(2014)年2月1日に、中ノ川町の三社神社で、地元の高齢女性二人組から、「犬がたくさんいるから危ない。あんなところに近づいてはいけない。怖い目にあうからやめときなさい」と忠告も受けていた。

    一方で当会代表は、それまでに何度か村田養豚場を通り抜けた経験から、通行人に声をかけてくるのは、〈村田商店代表乙の父〉と〈村田商店代表乙〉だけであり、他のほとんどの従業員は、敷地の間にある木津川市道を誰かが歩いていても何も言わないことを知っていた。従業員は、近くに〈村田商店代表乙の父〉か〈村田商店代表乙〉がいれば呼びに行くことはあったが、当会代表が足早に通り抜けてしまえば、〈村田商店代表乙の父〉あるいは〈村田商店代表乙〉に、後ろから「通行できない」といったことを言われることはあっても、追いかけてきて通行を制止されるようなことはなかった。

    そのため当会代表は、日暮れが迫っていたこともあり、当初は、いつも通り、村田養豚場を素早く通り過ぎるつもりであった。しかし、村田養豚場を少し通り過ぎたところで、やはりククリ罠にかかった犬がかわいそうに思い、引き返して、村田養豚場の従業員男性に声をかけた。

  7. (キ) 当会代表が「山中で罠にかかっている犬を見たが、ここの犬ではないか」と村田養豚場の従業員男性に声をかけ、午後2時13分にiPhoneで撮影した犬の写真を、iPhoneの画面に映して従業員男性に見せると、「確かにうちの犬だ」ということになった。その場には〈村田商店代表乙の父〉もいた。

  8. (ク) 当会代表は、ククリ罠にかかった犬がいる場所を口頭で説明したが、村田養豚場の従業員男性は、その場所がまったくわからないようであった。そのため当会代表は、従業員男性から「一緒に軽トラに乗って、現地まで案内してほしい」と要請された。当会代表はそれを承諾し、従業員男性2名とともに、村田養豚場の軽トラで、ククリ罠にかかった犬がいる場所へ向かった。

  9. (ケ) 当会代表はこの時、従業員男性に、村田養豚場には犬が何匹いるのか聞いたが、従業員男性が「何匹いるのかわからない。勝手に増えた。時々いなくなるやつもいる」という主旨のことを、事も無げに答えたので、当会代表は少なからず驚いた。当会代表が、その後インターネット上の記事に「違法性を認識していない従業員」と記載した(甲9)のは、この時の経験に基づく。

  10. (コ) それまで当会代表は、車で中ノ川町共同墓地を訪れたことはなく、軽トラとは言え、細い山道を奥まで車が入れるのか、入れたとしてもUターンして引き返せるのか確信が持てなかった。そこで当会代表は、中ノ川町の民家があるあたりで一旦軽トラを停めてもらい、まずは徒歩で、従業員男性らを現地へ案内しようとした。

  11. (サ) ところが中ノ川町共同墓地の手前に駐車スペースがあったため、従業員男性は、「これならここまで軽トラで入った方が良い」と言い、軽トラを取りに戻った。

  12. (シ) 上記のような経緯があり、当会代表が従業員男性とともに現地に到着するまでには、当会代表が思っていたより時間がかかった。

  13. (ス) 現地でククリ罠にかかった犬を確認した従業員男性は、「いつも???(具体的な場所を言っていた記憶はある)のあたりにおるやつや」「こいつこんなとこまで来とるんか」と言っていた。

  14. (セ) 当会代表は、犬の救出を手伝おうとしたが、やはり犬が噛み付こうとするため、従業員男性から手を出さないよう言われた。そこで道具が必要だという事になり、もう一人の従業員男性が軽トラに道具を探しに行った。

  15. (ソ) そのころにはあたりがかなり暗くなってきており、救出にはまだ時間がかかりそうだったため、当会代表は暗くなってきたので先に帰る旨、従業員男性に伝え、山道を帰路についた。なお当会代表は、従業員男性2名を、ククリ罠にかかった犬のところへ案内した時には、今さら必要もないので写真を撮っていない(乙95の3)。また当会代表は、従業員男性らが、犬の罠を外すところは見ていない。

  16. (タ) 当会代表が、帰路、再び村田養豚場の間にある木津川市道を通った際、〈村田商店代表乙の父〉に、無事犬を見つけて今犬を助けているところだと伝えると、〈村田商店代表乙の父〉は当会代表に礼を述べた。

  17. (チ) 当会代表は、この時点では「村田養豚場の人は、意外と話が通じるのかもしれない」と感じ、その後村田養豚場を通り抜けたときに、〈村田商店代表乙の父〉に「あの犬は元気にしていますか」などと声をかけた事もある。すると〈村田商店代表乙の父〉は、少し困ったような顔をしていたが、「おう元気にしとる」と答えていた。当会代表は、犬を助けた後しばらくは、それまでのように「通行できない」と声をかけられることもなかった。

イ 村田養豚場(村田畜産/村田商店)が主張する、ククリ罠にかかった犬を救出した経緯は、飼い犬を適切に飼養しているとする村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張と矛盾する。

村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張によれば、「現地へとついた従業員男性は、犬の罠を外し、それが養豚場で飼育している犬ではないことを確認した」(村田養豚場(村田畜産/村田商店)第2準備書面4頁、第1ー1ー(3)ーイ)とのことであるが、仮に、「村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、その飼育する犬を犬小屋や艦の中に入れて管理をしている。訴状でも主張をしているが、豚コレラを媒介するイノシシを養豚場内に侵入させないために養豚場敷地内で放すことはあるが、自由に放し飼いという状態にしていることはない」とする村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張が真実であるとすると、このような経緯はあり得ない。

なぜなら、ククリ罠にかかった犬が村田養豚場の飼い犬であるかどうかは、現地に行かずとも、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が村田養豚場に整備されていたと主張する囲いの中を確認し、犬の数を数えれば、容易に判明するはずだからである。たとえイノシシ除けのため一時的に放している飼い犬がいたとしても、飼い犬を適切に管理しているという村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張が真実だとすれば、飼い犬が敷地の外には出ないよう、目の届く範囲にそれらの飼い犬は管理されていたはずであり、やはり容易に存在を確認できなければならない。

すなわち、現地で村田養豚場で飼育している犬ではないことを確認したとする村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張は、「村田養豚場の飼い犬には、敷地外のどこにいるかわからない犬が含まれる」ということが前提されているのである。

(8) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)が何をもって飼い犬と野犬を区別しているのか不明である

ア 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は飼い犬について正確な数を提示しておらず、下記の通り、あやふやな数のみを主張している。

  • (ア) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)が訴状において示した飼い犬の数は「30匹ほど」である(訴状8頁)。

  • (イ) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)が村田養豚場(村田畜産/村田商店)第2準備書面において示した飼い犬の数は「約20〜30頭ほど」である(訴状3頁)。

イ 村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張する飼い犬の数は、下記の通り、狂犬病予防法に基づいて登録された犬の数と一致していない。

(ア) 平成26(2014)年3月4日に、木津川市、京都府山城南保健所、奈良市保健所が合同で、犬の捕獲場所の視察と情報交換を行っているが、このとき奈良市は次のように報告している。(乙35ー2頁。下線は当会代表による)

  • 「村田養豚場の犬は20頭ぐらいとのことだが今のところ8頭登録されており、捕獲犬の返還時に登録させている。」

(イ) 平成28(2016)年3月17日に、京都府山城南保健所が奈良市保健所に要望書を手交した際、奈良市保健所が次のように主張している。(乙44。下線は当会代表による)

  • ① 「村田養豚場の犬の数は把握できていない。」

  • ② 「登録と予防注射については、お金がないので全頭できていない。少しずつ実施させている段階である。」

ウ 上述(2)で検討した通り、村田養豚場には、首輪をつけていない飼い犬も存在した。

エ 当会代表は、村田養豚場の敷地の内外で、首輪のある犬と首輪のない犬が行動を共にしているようすを何度も目撃している(乙56乙60乙91の2及び3、 乙94の1乃至3 )。

オ 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、餌やりにおいて、首輪のある犬と首輪のない犬の区別をしておらず(乙56ー写真(9)、(10))、村田養豚場の敷地内に首輪のない犬がいても、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が首輪のない犬を追い払っている様子は見られなかった(乙91の2)。また野犬が養豚場周辺を徘徊することは、防疫上問題があるにも拘わらず、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、奈良市保健所に対し、野犬の捕獲を要請した記録もみつかっていない。

カ 村田養豚場(村田畜産/村田商店)には、平成28(2016)年3月末ごろからしばらくの間、村田養豚場周辺にいた犬を、ほぼ全頭囲いの中に収容した実績がある。

その結果、平成28(2016)年5月31日に、京都府山城南保健所が、奈良市保健所を訪れ、「(村田養豚場)周辺で見かける犬がほとんどいなくなった。浄瑠璃寺でも見かけなくなり、捕獲箱は置いてあるが閉めてある状態である。指導対応していただいたことに感謝している」と礼を述べている(乙33)。

残念ながら、その後村田養豚場(村田畜産/村田商店)による犬の放し飼いは再開された(乙55乙60)が、この一件は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)がその気にさえなれば、村田養豚場周辺の徘徊犬のほとんどを、囲いの中に収容し続けられることを示すものである。

以上ア乃至カから、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張する飼い犬の数とは、「村田養豚場(村田畜産/村田商店)が村田養豚場周辺で最低限徘徊させておきたい犬の数」という以上の意味がないようにも思われる。

少なくとも、本件記事で徘徊犬の状況について記述した、平成26(2014)年から平成28(2016)年1月ごろにおいては、村田養豚場周辺には首輪のない犬も多数徘徊しており、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の飼い犬への首輪の装着は徹底されておらず、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が首輪のない犬を追い払ったりもしていない中、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の飼い犬と、それ以外の野犬とを、正確に見分けることは、村田養豚場(村田畜産/村田商店)以外にはおよそ不可能と言ってよい状況にあった。

そこで、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に対し、次の資料の提出を求めたい(後記求釈明)。

  1. 村田養豚場(村田畜産/村田商店)の飼い犬の正確な数がわかる資料。

  2. 村田養豚場(村田畜産/村田商店)の飼い犬のうち何頭が登録されているのかがわかる資料。

  3. 村田養豚場(村田畜産/村田商店)が何をもって飼い犬と野犬とを区別しているかがわかる資料。

(9) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、奈良市保健所・京都府山城南保健所の双方から、「害獣対策よりも通行人や地域住民への危害の防止が優先されることは疑う余地はありません(乙41)」などとして、犬を係留するか囲いの中に入れて飼育するよう、繰り返し指導を受けている。詳細は、当会代表第1準備書面32頁から35頁で、すでに述べた。

(10) 小括

以上の通り、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張は当を得ないものである。なお、当会代表第1準備書面35頁から43頁ですでに詳細を述べたように、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による犬の放し飼いの実態は、イノシシを追い払うために短時間犬を放つというようなものではなく、放し飼いにされた犬が広範囲を群で移動する、極めて危険なものであり、また、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による犬の放し飼い及び野犬の餌付けは、村田養豚場の餌の管理がずさんであることと合わせ、豚コレラ対策として犬を放っているとする村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張とは逆に、豚コレラを含む防疫上の重大なリスク要因ともなっている。

  • 常に放し飼いの状態になっている犬は存在していないということ及び村田養豚場(村田畜産/村田商店)が飼養している犬は,20~30匹程度であることからすれば,「50匹上の犬を放し飼いにしている」という記事内容は真実であるとはいえない。
  • 「一部犬を檻から放すことはある」という主張は,豚やイノシシの養豚場内への侵入を防ぐために養豚場敷地内で放すことはあるという主張であり,「違法に」犬を放し飼いにはしていないという主張とは矛盾しない。
  • 村田養豚場付近で平成26年以降捕獲された100頭以上の野犬のうち,21頭が村田養豚場(村田畜産/村田商店)に返還されたという事実は,村田養豚場周辺を徘徊する犬の中の大多数は,村田養豚場(村田畜産/村田商店)の飼い犬ではなく,野犬であるということを示している。
  • 本件記事においては,村田養豚場周辺を徘徊している犬や,浄瑠璃寺に出没するという10匹単位で群れをなしているという犬など,その全ての犬について,村田養豚場が放し飼いにしている犬であると断定をしているが,そのような根拠はない。
  • 乙55号証において,浄瑠璃付近であるといえるC地点,D地点における徘徊犬として示されている犬については,いずれも村田養豚場で飼育している犬とは異なる。
  • 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は,子犬が生まれたときに処分することもある,としているのであって,村田養豚場(村田畜産/村田商店)が飼育する犬が増えすぎることのないよう対応をしている。

犬の放し飼いについて

FACT2の記事は、村田養豚場が平成19年以降、大量の犬を違法に放し飼いにし、周辺に糞尿被害をもたらしたり、通行人等を畏怖させたりした事実を摘示する。

まず、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、村田養豚場が飼育している犬30匹程度の一部をイノシシ避けのため檻から出して放し飼いにしていたことは認めているところ、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が養豚場の敷地に豚コレラ等の感染防止のための防護策(フェンス)を設置したのは、令和元年10月以降のことであること(乙84の1、〈村田商店代表乙〉・8頁)、村田養豚場は、養豚場の敷地の外から養豚場内に入ってきた野犬を餌付けして養豚場で飼うことがあり、養豚場内で飼っている犬が敷地の外に出ていくこともあったこと(〈村田商店代表乙〉33ないし35頁)からすると、村田養豚場は、少なくとも村田養豚場(村田畜産/村田商店)が名誉毀損の不法行為の対象とする令和元年8月までの間は、野犬と飼い犬とを厳密に区別せずに餌を与え、これらの犬が養豚場の敷地の内外に出入りできる状態で放し飼いにしていたことが認められる。

そして、証拠(乙34〜56、92〜96、138)によれば、平成24年以降、村田養豚場近くにある浄瑠璃寺関係者ほかの近隣住民等から保健所に対し、村田養豚場の飼い犬が敷地を出て周辺を徘徊しているとの苦情が度々寄せられていたこと、村田養豚場は、奈良市保健所等から、首輪の装着、囲いの設置について繰り返し指導を受けたが、指導を遵守せず、苦情が度重なり、行政機関が村田養豚場の飼い犬を捕獲することもしばしばで、放し飼いを禁止した奈良県動物愛護及び管理に関する条例違反の状態が継続していたこと、村田養豚場は、平成28年3月頃から犬を囲いの中に入れるようにしたが、約1年後には放し飼いを再開し、令和元年8月までは継続していたこと、平成27年末から平成28年初めにかけては、村田養豚場から来たと思われる犬10頭程度が浄瑠璃寺を訪れたことがあり、糞の被害も受けていたことが認められる。

そうすると、FACT2で摘示されている、村田養豚場が犬の放し飼いをした結果、浄瑠璃寺周辺に糞尿被害をもたらしているとの事実のうち重要な部分について真実性が認められる。

したがって、FACT2のうち上記事実摘示部分について、名誉毀損の不法行為は成立しない。