第一審判決

2022年5月17日言渡

※本裁判の概要については、裁判編の冒頭をご覧ください。また確定判決については控訴審判決をご覧ください。

令和4年5月17日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
令和元年(ワ)第338号 損害賠償等請求事件
口頭弁論終結日 令和4年1月18日

判決

原告 株式会社村田商店
同代表者代表取締役 〈村田商店代表甲〉
同訴訟代理人弁護士

被告 遠藤 千尋
同訴訟代理人弁護士

主文

  1. 被告は、原告に対し、33万円及びこれに対する令和元年8月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  2. 被告は、別紙記事目録1記載の各記事部分を削除せよ。
  3. 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
  4. 訴訟費用は、これを2分し、その1を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。
  5. この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第1 請求

1 損害賠償請求

被告は、原告に対し、110万円及びこれに対する令和元年8月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2 民法723条に基づく名誉回復処分としての削除請求

(1) 主位的請求

被告は、原告に対し、被告がインターネット上に掲載した、「奈良ブランド豚肉『郷Pork(郷ポーク)』について知るべきこと」と題する記事(URL:https://goporkfacts.com/index.html)を削除せよ。

(2) 予備的請求

被告は、原告に対し、被告がインターネット上に掲載した、「奈良ブランド豚肉『郷Pork(郷ポーク)』について知るべきこと」と題する記事(URL:https://goporkfacts.com/index.html)中、別紙記事目録2記載部分を削除せよ。

第2 事案の概要

本件は、原告が、被告が平成28年6月頃にウェブサイトに掲載した「奈良ブランド豚肉『郷Pork(郷ポーク)』について知るべきこと」と題する記事(URL:https://goporkfacts.com/index.html)(以下「本件記事」という。)によって名誉を毀損されたと主張して、被告に対し、①民法709条(本件記事の掲載開始から本訴状送達日の翌日である令和元年8月10日までの掲載継続による不法行為)に基づき、無形損害の賠償金100万円及び弁護士費用10万円の合計110万円並びにこれに対する不法行為以後の日である令和元年8月10日から支払済みまで民法(ただし、平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに、②民法723条に基づき、主位的には、本件記事の全部の削除を、予備的には本件記事のうち別紙記事目録2記載部分の削除を求める事案である。

1 前提事実

以下の事実は、当事者間に争いがないか、掲記の証拠又は弁論の全趣旨によって認められる。

(1) 当事者等

ア 原告は、奈良市東鳴川町所在の畜産農場「村田養豚場」(以下、単に「養豚場」ということがある。)を経営する株式会社であり、奈良県のブランド豚「郷ポーク」を生産している。

村田養豚場は、昭和35年に個人事業として創業され、平成元年から創業者の子の〈村田商店代表乙の父〉(以下「〈村田商店代表乙の父〉」という。)が事業を承継し、平成18年には、〈村田商店代表乙の父〉の妻である〈村田商店代表甲〉及び両者の間の子の〈村田商店代表乙〉(以下「〈村田商店代表乙〉」という。)が事業を承継し、平成28年に法人成りし、原告が設立された(甲20)。

イ 被告は、「弥勒の道プロジェクト」と称して、奈良市と京都府木津川市の府県境にある古道の復興を目指して沿道の歴史及び文化財を紹介するなどの活動を行っている者である(甲1)。

(2)本件記事の掲載及びその要旨

ア 被告は、平成28年6月から現在まで「URL:https://goporkfacts.com/index.html」のウェブサイトに「奈良ブランド豚肉『郷Pork(郷ポーク)』について知るべきこと」と題する記事(本件記事)を掲載している。なお、被告は、令和元年9月、本件記事の一部を変更したが、記載内容の主要部分は維持されている。(甲22乙139)

イ 本件記事の要旨は、以下のとおりである。(甲2甲22乙139) 本件記事は、原告ないしその前身である個人事業者(両者を併せて「村田養豚場」ということがある。)は、①平成15年頃他人の山林を侵奪し、以後これを不法に占拠し、産業廃棄物を違法に投棄し、②その後、50匹余りの犬を放し飼いにしたり、通行人を恫喝したりし、③養豚場周辺の公道を実質的に占拠し、④木津川市議会において、村田養豚場の下流にある河川の水質汚濁が長年にわたり問題視されてきたなどの事情があるのに、奈良県及び奈良市は、村田養豚場の不法行為や迷惑行為を黙認し、村田養豚場が生産する豚をブランド豚として推奨し、村田養豚場を積極的に支援しているとして、村田養豚場の行為並びにこれに対する奈良県及び奈良市の対応を批判する内容のものである。

本件記事は、本文(メイン)と資料編で構成されており、本文(メイン)には、上記概要を記載した前文に続き、FACT1ないしFACT6の標題の下、おおむね以下の内容が記載されている。資料編には、被告が行政機関との間でやりとりしたメールや木津川市議会議事録などの本文(メイン)の記載に関わる資料が掲載されている。なお、被告は、本件訴訟が提起された後、資料編を裁判編に変更し、本件訴訟において当事者双方が提出した主張書面及び書証を全て掲載している。

(ア) FACT1 山林侵奪 他人地占拠

村田養豚場は、平成15年頃、赤田川北側の第三者所有の山林(奈良市東鳴川町502番所在の山林(以下「本件土地1」という。)、京都府木津川市加茂町西小長尾2番所在の山林(以下「本件土地2」という。)ほか1筆)を無断で掘削し、同1番乙の所在の山林(放棄田)(以下「本件土地3」という。)に、上記掘削に伴い出てきた岩、樹木、土砂を積み上げ、以後、これらの土地を不法に占拠し続けている。第三者所有地のうち村田養豚場が先代の時代に賃借した本件土地1については民事裁判に発展し、平成21年にはどのような解釈によっても賃貸借契約は解消したのに、村田養豚場は、その後も占有を続けている。本件土地1の所有者以外の第三者らは、村田養豚場を刑事告訴したが、山がすっかり平らになるまで削られ続けた。また、村田養豚場が前記第三者所有地及び村田養豚場の敷地に産業廃棄物を違法に埋めた疑いがあるのに、奈良市は適切に対処していない。

(イ) FACT2 犬の放し飼い 公道の占拠

村田養豚場は、平成19年、里道の西側の土地を買い取って里道の両側を養豚場の敷地としたが、この頃から、大量の犬の放し飼いを始め、平成28年1月にはその数が50匹以上となり、平成27年頃からは、これらの犬が10匹単位で浄瑠璃寺に現れるようになった。犬の放し飼いは、奈良県動物の愛護及び管理に関する条例により禁止されているが、奈良市保健所は、奈良県家畜保健衛生所の指導により適切な取締りをしていない。

また、村田養豚場は、通行人を恫喝し、立入りを制限する看板を設置して、公道(里道)を不法に占拠しており、奈良県家畜保健衛生所はこれに加担している。

(ウ) FACT3 公道を見捨てる 奈良市行政

奈良市土木管理課は、村田養豚場がその敷地の間にある公道(認定市道)を作業場として不法に占拠していることを知りながら、法定外公共物の敷地境界が確定しないことを理由に対処しない。

(エ) FACT4 赤田川下流の水質汚濁

奈良市に隣接する木津川市議会では、村田養豚場からの排水が下流に著しい水質汚濁をもたらしている可能性について、長年にわたり何度も議論されている。村田養豚場より上流では濁りや臭いはほとんどないのに、下流に限って臭いがひどいが、村田養豚場より上流の産廃処理場からしみ出す未処理の汚水があることから、原因が特定できないとされている。奈良市が行う水質検査の結果、村田養豚場の排水に何の問題もないとされているが、浄化槽も設置せずに「エコな豚」の宣伝にふさわしい環境対策が可能であるか疑問がある。

FACT5 奈良を代表するブランド豚、FACT6 何も変える気がない奈良県と奈良市

木津川市や周辺住民から村田養豚場の迷惑行為や不法行為に関してさまざまな申入れがある中、奈良県及び奈良市は、村田養豚場が生産する「郷ポーク」をブランド豚として宣伝し、村田養豚場を優良農場であると評価している。村田養豚場は、平成28年3月頃から、放し飼いにしていた犬を狭い囲いの中に押し込めるようになったが、いつ放し飼いにするか分からない。また、村田養豚場は、現在では、通行人を恫喝することはしていないが、相変わらず公道の占拠を続けている。奈良県及び奈良市は、今後の指導方針を示すべきである。

(3) FACT1にある第三者所有地に関する紛争

ア 村田養豚場を経営していた〈村田商店代表乙の父〉は、平成14年3月1日、〈東鳴川Cの亡父〉(以下「亡〈東鳴川Cの亡父〉」という。)から、本件土地1(登記記録上の地積2314㎡)を、賃貸期間3年、賃料年額12万円(1年分を持参払い)、畜産業の営業目的で賃借した(甲3の1、4〜6)(以下「本件賃貸借契約」という。)。

イ 亡〈東鳴川Cの亡父〉から本件土地1を相続した〈東鳴川C〉(以下「〈東鳴川C〉」という。)は、平成21年、〈村田商店代表乙の父〉に対し、〈村田商店代表乙の父〉が本件土地1を掘削して得た山土を売却して利益を得たことにより損害を被ったとして、不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償を求めて訴えを提起し(本訴)、〈村田商店代表乙の父〉は、〈東鳴川C〉に対し、本訴提起により本件賃貸借契約に基づく義務を履行する意思のないことを明らかにしたとして、同契約の債務不履行解除に基づく損害賠償を求めて反訴を提起したが、平成25年9月30日の上告棄却決定により、平成24年3月言渡しの反訴請求を棄却する旨の控訴審判決及び平成23年9月言渡しの本訴請求を棄却する旨の第一審判決が確定した(以下「別件訴訟」という。)。(甲5、6)

ウ 本件土地1に隣接する本件土地2(登記記録上の地積7008m2)の共有者〈加茂町Bの亡夫〉ほか2名及び同土地の西側の木津川市里道に隣接する本件土地3(登記記録上の地積694㎡)の所有者〈加茂町A〉は、平成19年3月、〈村田商店代表乙の父〉が平成15年10月頃、本件土地2を掘削し、もってこれを侵奪し、平成16年3月頃、本件土地3ほかにコンクリート片等を投棄し、みだりに廃棄物を捨てたとして、〈村田商店代表乙の父〉を刑事告訴したが、平成20年2月、不起訴処分がされた。以後、〈村田商店代表乙の父〉は、山林の掘削行為を中止した。(甲3の2・3、乙82)

エ 〈東鳴川C〉は、令和元年8月27日、本件土地1を〈村田商店代表乙〉に売却した(甲11)。

(4)本訴提起

原告は、令和元年7月18日、本件訴訟を提起した。

2 争点

(1) 本件記事掲載(掲載開始の平成28年6月から令和元年8月10日まで)による名誉毀損の不法行為の成否

(2) 原告の損害額

(3) 名誉回復のための適当な処分としての本件記事の削除の必要性及び範囲

3 争点についての当事者の主張

(1) 争点(1)(本件記事掲載による名誉毀損の不法行為の成否)について

【被告の主張】

奈良が誇る希少なブランド豚の生産者である原告が、法令を遵守し、高い倫理観をもって行動しているかは、一般市民の正当な関心事であるから、本件記事の内容は、公共の利害に関する事実であるといえる。また、本件記事の掲載は、環境保全という公益を図る目的でしたものであり、以下のとおり、摘示された事実のうち原告が問題とする部分は、重要な部分について真実であるか(以下「真実性」という。)、又は真実と信ずるについて相当の理由がある(以下「相当性」という。)から、不法行為は成立しない。

ア FACT1

(ア) 本件土地1の無断掘削及び不法占拠について

FACT1は、本件土地1のみを取り出して〈村田商店代表乙の父〉に掘削権限がなかったと指摘しているのではない。裁判の事実を摘示したのは、〈村田商店代表乙の父〉による山林掘削が〈東鳴川C〉にとって不本意な工事であったことを示すためであり、FACT1において、平成15年頃、〈村田商店代表乙の父〉が本件土地1を掘削した際にその権限を有していなかった事実(本件賃貸借契約に基づく使用収益の内容に掘削が含まれていなかった事実)は摘示していない。

〈村田商店代表乙の父〉は、別件訴訟において、平成22年4月14日付けで本件賃貸借契約を解除した旨主張していたが、同解除が無効であるとの判断はされていないこと、〈東鳴川C〉は、平成27年10月22日、被告に対し、本件賃貸借契約は平成21年には解消されたと明言していたことなどから、本件賃貸借契約は、〈村田商店代表乙の父〉の上記解除の意思表示により終了したといえる。

したがって、村田養豚場は、本件賃貸借契約解除後、本件土地1の占有権原を有していなかったのであるから、村田養豚場が本件土地1を不法占拠していたことについて、真実性、相当性があるといえる。

(イ) 本件土地2の無断掘削及び本件土地3の不法占拠について

本件土地1と本件土地2の境界(以下「本件境界」という。)は、奈良県と京都府の府県境になっており、昭和58年に確定した赤田川南岸府県境点から東北東に緩やかなカーブを描きながら109mほど稜線を辿り、本件土地2と奈良市東鳴川町501番所在の土地の境界である北へ上る稜線に接続していたと考えられるが、〈村田商店代表乙の父〉の掘削域は明らかに本件境界を越えていた。

本件境界については、平成18年に土地境界確定図が作成されたものの、〈村田商店代表乙の父〉の山林の掘削により境界杭が所在不明となり、平成19年、京都府警の捜査に協力する形で、木津川市職員の助言も受けながら、本件土地1の所有者であった〈東鳴川C〉と本件土地2の共有者らが協議し、合意した結果を府県境として書き込んだのが平成19年11月20日に確定した市有土地境界確定図(9木管第7-85号。甲7の3。以下「本件原確定図」という。)である。原告は、奈良市を通じ、木津川市に対し、二度にわたり本件原確定図の修正を要求しているが、二度目の修正要求においても、掘削域の中にある本件原確定図中の確定点108及び202の削除を求めておらず、越境掘削を認めていた。また、この本件原確定図の修正は、境界が未確定であったり、誤っていたりしたことによるものではなく、確定里道の一部が奈良市に越境していたことや、手続の不足があったために行われたものである。

〈村田商店代表乙の父〉は、本件境界を越えて山林を掘削していることについて、本件土地1の隣地所有者らから複数回にわたって抗議を受けていた。

また、村田養豚場は、本件土地3も不法に占拠していた。

これらのことからすると、〈村田商店代表乙の父〉の掘削域内に本件境界があることは明らかであるから、本件土地2の無断掘削につき真実性、相当性があるといえる。

(ウ) その他の事実について

〈村田商店代表乙の父〉が他人地で野焼きをして逮捕されたこと、不動産侵奪罪で刑事告訴されたことは、原告も認める真実である。また、村田養豚場は、豚舎から出たとみられる汚泥や生ゴミを不法投棄しているから、産業廃棄物の不法投棄も真実である。

イ FACT2

(ア) 犬の放し飼いについて

養豚場内で犬を放していたことは原告も認めているところ、令和元年10月以前は、村田養豚場の周囲に防護柵は存在せず、村田養豚場の敷地内で犬を放った場合、犬は容易に敷地の外に出ることができた。

村田養豚場は、犬の不適切な飼育と野犬への餌付けについて、京都府山城南保健所及び奈良市保健所から繰り返し指導を受けているほか、村田養豚場周辺で捕獲された犬は、京都側と奈良側を合わせて平成26年以降100頭を超えており、そのうち少なくとも21頭が村田養豚場に返還されている。

以上のとおり、村田養豚場が数十頭の犬を放し飼いにした結果、それらの犬が養豚場の敷地を越えて、浄瑠璃寺にまで入り込み、糞尿被害を起こしたことにつき、真実性、相当性があるといえる。

(イ) 通行人の恫喝、公道占拠について

被告は、赤田川北側で草刈りをした際、実際に〈村田商店代表乙の父〉から、「今度ここを通ろうとして里道から少しでもはずれたらどうなっても知らんぞ。」と恫喝された。養豚場の周辺住民は、〈村田商店代表乙の父〉が養豚場を訪れた地域住民らを脅していたと述べている。

したがって、村田養豚場が通行人を恫喝して公道を占拠したことにつき真実性、相当性があるといえる。

ウ FACT3

村田養豚場は、村田養豚場の敷地の間にある市道上において、日常的にトラックや重機を停めて、従業員が残飯の仕分けなどの作業をしている。被告が撮影した写真によっても、相当な数の、異なる曜日や時間帯の写真に公道上で村田養豚場の作業員が作業していることが認められ、村田養豚場が日常的にそうした作業をしていることは明らかであり、公道の不法占拠については真実性、相当性があるといえる。

エ FACT4

被告は、村田養豚場が赤田川の水質汚濁の原因者であると断定していない。

FACT4は、赤田川で水質汚濁が続いている中、村田養豚場がその原因として疑われているのであるから、村田養豚場は、ブランド豚のうたい文句にふさわしい環境対策として、浄化槽を設置するべきとの趣旨で記載したものである。

赤田川の水質汚濁は、合併して木津川市となる前の加茂町時代から行政上の懸案事項となっており、木津川市議会でも長年議論されており、村田養豚場は当初から水質汚濁の原因として疑われていた。平成28年までに行われた民間の調査においても、赤田川の化学的酸素要求量(COD)が、木津川水系の中で突出していることが指摘されており、その原因として「上流域にある産廃の山と養豚場」が挙げられていた。同年12月26日、木津川市による赤田川の水質検査で著しい水質汚濁が確認され、農業用水としての使用が衛生的に懸念される状況であった。平成29年5月30日、木津川市が赤田川の水質汚濁状況調査を実施し、同年11月の報告書では、「府県境に位置する養豚場付近で、高濃度かつ大量の有機汚濁成分が排出されて、赤田川の水質汚濁を引き起こしていると考えられる」と結論付けた。京都府は、養豚場への立入り調査を受け入れるよう求めていたが、平成15年3月、村田養豚場はこれを拒否し、また、原告は、平成29年8月、木津川市及び京都府による村田養豚場の立入り調査を拒否し、京都府が求めた調査内容についても回答を拒否した。

村田養豚場は、下流で問題視されている有機汚濁物質に関して、排出規制を受けていないから、村田養豚場が水質汚濁防止法上の排水基準を満たしていることは、上記の原因者でないことを何ら保証しない。

したがって、赤田川の水質汚濁につき、村田養豚場がその原因となっていると疑われていることにつき、真実性、相当性があるといえる。

【原告の主張】

FACT1ないし4に摘示された以下の事実は、真実性も相当性もなく、意見論評としての域を逸脱したものであるから、名誉毀損の不法行為が成立する。

ア FACT1

(ア) 本件土地1の無断掘削及び不法占有について

本件土地1の掘削行為が本件賃貸借契約における使用収益の内容に含まれており、〈村田商店代表乙の父〉が掘削権限を有していたことは、別件訴訟の判決において認められた。本件記事が掲載された平成28年6月の時点において、別件訴訟の判決は確定しており、かつ、被告は、〈東鳴川C〉からその内容を聞いて知っていた。したがって、本件土地1の無断掘削について真実性及び相当性が認められないのは明らかである。

本件賃貸借契約は、令和元年8月27日に〈村田商店代表乙〉が〈東鳴川C〉から本件土地1を購入するまで継続していた。

したがって、原告は、本件土地1について占有権原を有していたから、本件土地1の不法占拠について真実性及び相当性は認められない。

(イ) 本件土地2の無断掘削及び本件土地3の不法占拠について

被告が指摘する本件原確定図に示されている境界線は、現在では変更されている(甲7の4)。また、仮に本件原確定図作成に当たって、所有者らの間で何らかの合意がされたとしても、客観的資料に基づいた合意ではなかったから、本件境界は未確定である。本件境界は、本件土地1の現所有者である〈村田商店代表乙〉と本件土地2の共有者らとの間に係属中の境界確定訴訟において確定されるべきものである。山林の境界は、被告の主張するような直線ではあり得ず、山の膨らみに沿った曲線になるはずで、本件境界は北側に膨らんだものとなる。さらに、被告が航空写真に主張する境界線や住宅地図を重ねて作成した図(乙88の5)は、現況の近隣住民の占有状況と全く合致していないから、表示された境界線も真実のものではない。一般に、山林においては、尾根が境界とされることが多く、本件境界は、〈村田商店代表乙の父〉による掘削地域の北側の尾根にあると推察される。〈村田商店代表乙の父〉は、境界尾根に松の木が5本立っており、亡〈東鳴川Cの亡父〉からその地点が山林の境界と指示されたことを具体的に証言している。

このように、〈村田商店代表乙の父〉が本件境界である尾根を越えて掘削していない以上、本件土地2の無断掘削は真実ではない。また、被告は、本件境界の境界確定図(乙104)が〈村田商店代表乙の父〉による掘削行為の後に作成されたことを認識していた上、本件原確定図の使用について木津川市から配慮するように指摘されていたにもかかわらず、専門的知識がないままにこれを根拠として本件境界を主張しているのであって、相当性は認められない。

また、本件土地3の不法占拠についても真実性、相当性は認められない。

(ウ) その他の事実について

〈村田商店代表乙の父〉が野焼きをしたことで逮捕されたことはあったが、自己所有地内の行為であり、他人の土地を削ったことはなかったし、不動産侵奪罪等で刑事告訴された際も、後付けで作成された境界確認書(乙104)は証拠にならないとして不起訴処分(嫌疑なし)がされたのであって、起訴猶予との記載は真実でない。また、村田養豚場が産業廃棄物を不法に投棄したとの記載も真実ではない。

イ FACT2

(ア) 犬の放し飼いについて

村田養豚場が養豚場内で飼育している犬は20ないし30頭であり、50頭もの犬を飼育している事実はなく、飼育している犬には首輪を付けた上で名前を付け、野犬と区別して養豚場の柵の中で飼っているのであり、養豚場の柵の外に放し飼いにしている事実はない。

(イ) 通行人の恫喝、公道占拠について

村田養豚場は、公道の通行者に対して恫喝等をしたことはない。むしろ、道に迷っている観光客と思われる通行人に対しては目的地まで車で送る等の対応をしてきた。〈村田商店代表乙の父〉や〈村田商店代表乙〉が養豚場の敷地内を通る里道の通行に際し、声を掛けていたのは被告又はその関係者らと思う人物に対してのみである。それは、村田養豚場に関する記事がインターネット上に掲載されていることを知り、虚偽の事実が新たに掲載されることを危惧していたからである。

養豚場の入口に立てた立入禁止の立看板についても行政からの指示によるものであり当該行為に違法性はない。

ウ FACT3

村田養豚場が公道上にその通行を妨げる態様でトラックや重機を停車している事実はなく、常に公道上で仕分け作業をしているということはない。

村田養豚場が養豚場の経営において公道を使用することはあるが、それは豚の餌の運搬や積卸しという作業のためであり、同作業は1日のうち午前と午後の1回ずつ、作業時間も10分程度のものである。

エ FACT4

被告は、村田養豚場が赤田川の水質汚濁の原因であると「疑われている」という表現を用いているが、記事の内容を全体的に見れば、一般読者をして、村田養豚場が水質汚濁の元凶であるとの印象を抱かせるものである。

村田養豚場は、養豚場事業者として、奈良市による排水検査において法定の基準値を満たさなかったことはなく、行政指導等を受けたこともない。木津川市議会の議論においても、議員の一部が水質汚濁の問題に関して奈良市の養豚場の存在に言及していることは確認できるが、木津川市は、村田養豚場が原因である可能性については明確に言及していない。また、被告が提出する民間人の調査結果(乙89)においても水質汚濁の原因について「産廃の山と養豚場の影響です」と並列に挙げられているのみであり、具体的に養豚場の何が原因なのかは記載されていない。

したがって、赤田川下流の水質汚濁源が村田養豚場であることの摘示には、真実性も相当性も認められない。

(2) 争点(2)(原告の損害額)について

【原告の主張】

原告は、本件記事の掲載により名誉を毀損された。これによる無形の損害を金銭に換算すると100万円を下らない。また、本件訴訟の弁護士費用は10万円を下らない。

【被告の主張】

否認し、争う。

(3) 争点(3)(本件記事の削除の必要性及びその範囲)について

【原告の主張】

ア 本件記事は、大きなポイントと鮮烈な書体の文字によって「山林侵奪」との表現が冒頭に据えられ、記事内において、無断掘削、不法行為、不法占拠、裁判、刑事告訴、現行犯逮捕及び起訴猶予など犯罪性、違法性を示すような文言がちりばめられ、記事全体として、村田養豚場の違法性、犯罪性を強烈に印象付けている。そして、被告は、本件記事の冒頭及びFACT5において、村田養豚場の営業活動について、大きなポイントと強烈な書体の文字によって「奈良ブランド豚肉『郷ポーク』」、「奈良を代表するブランド肉」、「奈良のタウン情報誌や有名レストランからも支持される奈良を代表するブランド肉」などと記載し、村田養豚場の犯罪性、違法性と村田養豚場の営業行為を意図的に結び付けている。このように、本件記事は個々の記事内容にとどまらず、記事全体として村田養豚場が違法行為や不法行為を行っているものであるかのような印象を一般読者に与える構成となっている。しかも、原告は、被告の目算どおり、本件記事によって養豚場経営について大打撃を受けた。本件記事の掲載は、「ネット社会における私刑」の典型例である。

これらのことからすると、原告の名誉を回復するためには、本件記事(ただし、本件訴訟提起後に被告が記載の一部を変更したもの。甲22)全部の削除を命ずる必要がある。

イ 本件記事全部の削除が相当でないとしても、本件記事(前同)のうち別紙記事目録2記載の各記載は明らかな虚偽事実の摘示であり、原告の社会的信用を著しく低下させるものであるから、原告の名誉を回復するため、削除を命ずる必要がある。

【被告の主張】

否認し、争う。

第3 争点に対する判断

1 争点(1)(本件記事掲載による名誉毀損の不法行為の成否)

(1)ア ある記事の意味内容が他人の社会的評価を低下させるものであるかどうかは、一般の読者の普通の注意と読み方を基準として判断すべきであるところ(最高裁昭和29年分第634号同31年7月20日第二小法廷判決・民集10巻8号1059頁参照)、ウェブサイトに個人が掲載した本件記事においても、上記基準により名誉毀損該当性を判断するのが相当である。

本件記事の要旨は、前提事実(2)に記載のとおり、原告ないしその前身である個人事業者が、奈良のブランド豚としてもてはやされている豚を生産する一方、その生産にかかる養豚業に関し、他人の山林を無断で掘削して侵奪し、産業廃棄物を不法投棄し、多数の犬を放し飼いにし、通行人を恫喝し、公道を不法に占拠し、排水先の河川の汚染源であるとの疑惑を持たれるなどの不法行為、迷惑行為をしたというものであるから、個人事業主の行為に関する記述も含め、一般の読者の普通の注意と読み方を基準として、原告の社会的評価を低下させる内容を含んでいると認められる。

イ 事実の摘示による名誉毀損において、その行為が公共の利害に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあった場合において、摘示された事実がその重要な部分について真実であることの証明があったときには、当該行為には違法性がなく不法行為は成立しないものと解するのが相当であり、もし、同事実が真実であることが証明されなくても、その行為者においてその事実を真実と信ずるについて相当の理由があるときには、同行為には故意もしくは過失がなく、結局、不法行為は成立しないものと解するのが相当である(最高裁昭和37年分第815号同41年6月23日第一小法廷判決・民集20巻5号1118頁、最高裁昭和56年式第25号同58年10月20日第一小法廷判決・集民140号177頁等)。

また、ある事実を基礎としての意見ないし論評の表明による名誉毀損にあっては、その行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあった場合において、当該意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があったときには、人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない限り、違法性を欠き、不法行為は成立しない(最高裁昭和55年オ第1188号同62年4月24日第二小法廷判決・民集41巻3号490頁、最高裁昭和60年オ第1274号平成元年12月21日第一小法廷判決・民集43巻12号2252頁等)。

これを本件についてみると、本件記事に摘示された、原告の社会的評価を低下させると認められる事実は、原告の事業活動の適法性や村田養豚場が属する地域の生活環境に関わるものであるから、公共の利害に関する事実に当たると認められる。また、本件記事(甲2)の掲載は、その記載内容及び方法からして、原告の事業活動における違法行為の是正、村田養豚場が属する地域の生活環境の向上を企図したものであると認められるから、専ら公益を図る目的によってされたものであると認められる。

そこで、本件記事における、原告の社会的評価を低下させると認められる前記事実の摘示が不法行為に当たるかは、被告が主張する真実性及び相当性の抗弁の成否によることになるから、以下、主として、この点について検討する。

(2) FACT1

ア 本件土地1の無断掘削及び不法占拠について

(ア) 被告は、本件土地1の無断掘削の事実は摘示していないと主張する。しかし、FACT1(甲2・2頁〜)には、平成15年頃、村田養豚場が他人の山林を無断で削る事件を起こしたとの記載に続き、「このうち東鳴川のCさんの先代が、村田氏の先代にこの山林を賃貸していました。」「両方の先代が(中略)亡くなった後、現在の農場主が(中略)借りている山林を突如削り始めたのです。」との記載があり(甲2・3頁)、その後には、「B、C、Dさんの山林」と表記された山が掘削された様子が図示されているところ(甲2の4頁)、東鳴川町Cさんの山林は本件土地1であることが明記されているのであるから(甲2・2頁)、FACT1において、本件土地1の無断掘削の事実が摘示されているものと認められる。

そして、別件訴訟の第一審判決(甲5)においては、〈村田商店代表乙の父〉が本件賃貸借契約に基づき本件土地1を掘削する権限を有していたものと認定されているのであって(なお、控訴審判決においては、他の争点についての判断により結論が導かれたため、上記の点は判断されていない(甲6)。)、本件全証拠によっても、本件土地1を「村田養豚場の農場主」が無断掘削したとの事実についての真実性及び相当性を認めるに足りる事情は見当たらない。

(イ) また、FACT1には、「2009年には、村田氏と東鳴川のCさんとの山林賃貸契約はどのような解釈によっても解消しています。」(甲2・9頁)とあるなど、平成21年以降の本件土地1の不法占拠の事実が摘示されているところ、被告は、平成22年4月に本件賃貸借契約が解除されたことにより、本件土地1についての村田養豚場の占有権原はなくなり、不法占拠となったと主張する。しかし、別件訴訟の控訴審判決(甲6)においては、〈村田商店代表乙の父〉が主張する解除の前提である〈東鳴川C〉の債務不履行の事実が否定されており、同解除の有効性については何ら判断されておらず、他に本件賃貸借契約が終了したことを認めるに足りる事情は見当たらない。被告は、平成27年10月に〈東鳴川C〉から契約解消の事実を聞いたと主張する。しかし、裏付けとなる的確な証拠は見当たらないし、仮に〈東鳴川C〉がそのような説明をしたとしても、法的な契約終了原因が明らかでなく、契約終了の事実は認められず、被告において、契約の一方当事者の口頭での説明を軽々に信用したからといって、村田養豚場が訴訟による紛争解決後に不法占有を続けていると信じるにつき相当の理由があったとはいえない。被告は、本件賃貸借契約の存在が障害となって村田養豚場による撤去がされなかった木津川市道上の構築物が、平成24年5月になって撤去されたとの報告が木津川市にされたことも本件賃貸借契約終了の根拠として主張するが、構築物撤去の理由が本件賃貸借契約終了によってしか説明できないものでないとは認められないし、被告が主張するその他の事情を併せて考慮しても、不法占有の事実を信じることを相当とする事情とはいえない。

したがって、村田養豚場が本件土地1を不法占拠したとの事実について、真実性、相当性は認められない。

(ウ) 以上のとおり、FACT1のうち、〈村田商店代表乙の父〉が本件土地1を無断掘削し、不法占拠したことを摘示する部分については、名誉毀損の不法行為が成立する。

イ 本件土地2の無断掘削及び本件土地3の不法占拠について

(ア) 本件境界については、令和3年9月、本件土地2の共有者らが本件土地1の所有者である〈村田商店代表乙〉に対して境界確定訴訟を提起しており(乙144)、同訴訟において法的に確定されるところ、本件全証拠をもってしても、本件境界の位置を正確に認定することはできない。

確かに、本件土地1と本件土地2の所有者らが合意して作成した平成18年10月26日付け境界確認書(乙104)には、本件境界として、被告の主張に沿うかのような記載がされているが、これは、同年に〈村田商店代表乙の父〉による山林の掘削について紛争が生じたことに起因して〈東鳴川C〉の主導により作成されたものであって、境界の目印が確認できないままに本件境界の位置を特定したため、正確なものでないことが認められるから(証人〈加茂町B〉2頁)、その記載を信用することはできない。

また、被告は、平成19年7月下旬、〈村田商店代表乙の父〉が不動産侵奪罪の被疑事実で刑事告訴された事件の捜査の過程において、木津川市が本件土地1及び本件土地2の各所有者の立会い、同意の下で木津川市所有の里道の位置を確認して作成された同年11月20付けの本件原確定図(市有土地境界確定図)(甲7の3)に表示された本件境界(府県境)の位置は信頼に足りるものであると主張する。しかし、本件原確定図は、木津川市が市有道路の管理のため市有道路の境界を確定する趣旨で作成した図面であり、本件境界(民有地間の境界又は京都府と奈良県の府県境)の確定は目的とされていないし、奈良県及び奈良市の職員の立会いや同意もなく作成されたものであること、作成に当たって関係土地の所有者らが関与しているものの、前記のとおり、同人らにおいて本件境界を正確に特定するのは困難であったことからして、同図面に表示された本件境界の位置について正確性が担保されているとはいえない(乙27)。しかも、本件原確定図は、平成30年8月、市道の範囲に誤りがあること(境界線が奈良市域まで入っている。)、市道の範囲の確定に関係のない本件境界が記載されていることなどを指摘されて、本件境界部分については府県境の方向線として一部を残し、その余は抹消する修正が施され(甲7の1)、同年11月にも再修正がされているのであって(甲7の2)、本件原確定図によって本件境界の正確な位置を認定することはできない。

また、本件土地2及び本件土地3の所有者らがした〈村田商店代表乙の父〉を被疑者とする本件土地2の不動産侵奪罪の刑事告訴についても、捜査は行われたものの、不起訴処分となっている。

被告が提出した実測全図(乙86[枝番を含む])についても、被告の現地再現結果は、現況の近隣住居の位置と齟齬しており、正確性に疑問を差し挟む余地があるし(乙88の5被告本人29〜30頁)、そもそも、本件境界を確定するために収集されるべき資料全体における実測全図の位置付けも不明であって、これによって、本件境界の位置を正確に看取することはできない。

そうすると、本件境界の位置及び〈村田商店代表乙の父〉による本件土地2の掘削の有無は現時点では明らかでないといわざるを得ず、〈村田商店代表乙の父〉の掘削が本件境界を越境し、本件土地2に及ぶものであったことについて真実性は認められない。

また、村田養豚場による本件土地3の不法占拠についても、これを認めるに足りる証拠はなく、真実性は認められない。

(イ) 被告が本件土地2の無断掘削及び不法占拠の根拠とする図面等の信頼性には前記のとおり疑義があるところ、被告が摘示している事実は、不動産侵奪という犯罪行為にも当たるものであることからすると、相当性の認定は慎重であるべきである。そうすると、被告が指摘する図面等に被告の主張に沿う部分があるとしても、本件境界の目印が失われた状態で、山林の境界確定についての専門家の知見を踏まえた十分な調査もないまま、〈村田商店代表乙の父〉の掘削行為が本件境界を越えたものと信じたことに相当の理由があると認めることはできない。

また、本件土地3の不法占拠の相当性についてもこれを認めるに足りる証拠がない。

したがって、FACT1のうち、〈村田商店代表乙の父〉が本件境界を越境して本件土地2を掘削してこれを不法占拠し、本件土地3についても不法占拠している旨を摘示する部分については、名誉毀損の不法行為が成立する。

ウ その他の事実について

(ア) 原告は、FACT1のうち「2006年には、(中略)村田養豚場が、削り取った他人地で野焼きを繰り返し、農場主が現行犯逮捕されています。」との記載(甲2・4頁)について、〈村田商店代表乙の父〉が野焼きの廃棄物処理法違反で逮捕されたことはあるが、他人地の掘削(不動産侵奪)で現行犯逮捕されたことはないのに、上記記載は不動産侵奪の刑事責任が問責されたかのように受け取られる記載であるから、虚偽事実の適示であると主張する。しかし、上記記載に続いて山林掘削についての刑事告訴は起訴猶予で終わったとの記載があり(甲2・4頁)、上記記載は、原告が主張するような誤解を招来するものではないから、この記載が原告に対する名誉毀損の不法行為を構成するとの原告の主張は採用することができない。

(イ) 〈村田商店代表乙の父〉による産業廃棄物の違法投棄の事実については、真実性及び相当性を認めるに足りる証拠はないから、名誉毀損の不法行為の成立が認められる。

(ウ) 刑事告訴された被疑事実の不起訴処分の理由が起訴猶予であることについては、真実性及び相当性を認めるに足りる証拠がない。したがって、〈村田商店代表乙の父〉に対する刑事告訴における被疑事実について不起訴処分となった理由が起訴猶予であると摘示する部分については、名誉棄損の不法行為が成立する。

(3) FACT2

ア 犬の放し飼いについて

FACT2の記事は、村田養豚場が平成19年以降、大量の犬を違法に放し飼いにし、周辺に糞尿被害をもたらしたり、通行人等を畏怖させたりした事実を摘示する。

まず、原告は、村田養豚場が飼育している犬30匹程度の一部をイノシシ避けのため檻から出して放し飼いにしていたことは認めているところ、原告が養豚場の敷地に豚コレラ等の感染防止のための防護策(フェンス)を設置したのは、令和元年10月以降のことであること(乙84の1、〈村田商店代表乙〉・8頁)、村田養豚場は、養豚場の敷地の外から養豚場内に入ってきた野犬を餌付けして養豚場で飼うことがあり、養豚場内で飼っている犬が敷地の外に出ていくこともあったこと(〈村田商店代表乙〉33ないし35頁)からすると、村田養豚場は、少なくとも原告が名誉毀損の不法行為の対象とする令和元年8月までの間は、野犬と飼い犬とを厳密に区別せずに餌を与え、これらの犬が養豚場の敷地の内外に出入りできる状態で放し飼いにしていたことが認められる。

そして、証拠(乙34〜56、92〜96、138)によれば、平成24年以降、村田養豚場近くにある浄瑠璃寺関係者ほかの近隣住民等から保健所に対し、村田養豚場の飼い犬が敷地を出て周辺を徘徊しているとの苦情が度々寄せられていたこと、村田養豚場は、奈良市保健所等から、首輪の装着、囲いの設置について繰り返し指導を受けたが、指導を遵守せず、苦情が度重なり、行政機関が村田養豚場の飼い犬を捕獲することもしばしばで、放し飼いを禁止した奈良県動物愛護及び管理に関する条例違反の状態が継続していたこと、村田養豚場は、平成28年3月頃から犬を囲いの中に入れるようにしたが、約1年後には放し飼いを再開し、令和元年8月までは継続していたこと、平成27年末から平成28年初めにかけては、村田養豚場から来たと思われる犬10頭程度が浄瑠璃寺を訪れたことがあり、糞の被害も受けていたことが認められる。

そうすると、FACT2で摘示されている、村田養豚場が犬の放し飼いをした結果、浄瑠璃寺周辺に糞尿被害をもたらしているとの事実のうち重要な部分について真実性が認められる。

したがって、FACT2のうち上記事実摘示部分について、名誉毀損の不法行為は成立しない。

イ 村田養豚場が通行人を恫喝したり、立入りを制限する看板を設置したりして公道(里道)を不法に占拠していることについて

証拠(乙99)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、平成23年、村田養豚場の敷地の間を通る公道(里道)を含む同敷地が家畜伝染法に基づく衛生管理区域に指定され、奈良県家畜保健衛生所の指導により、一般通行人の立入りを禁ずる看板を立て、平成28年3月に公道が衛生管理区域から除外されるまでの間、その看板を維持して、一般の通行人による公道の通行を制限していたことが認められるが、このような措置が違法であったことを認めるに足りる証拠はない。

また、村田養豚場が、公道を占拠する手段として通行人を恫喝したとの事実については、これを裏付ける被告の供述及び第三者の陳述書(乙137)がある。しかし、村田養豚場の関係者らは、観光客等に、衛生上の問題や、被告の関係者がインターネット上に村田養豚場を誹謗中傷する記事を掲載しようとしているのではないかと考え、通行人に声を掛けていたことは認められるものの(〈村田商店代表乙〉12〜13頁)、このような声掛けにとどまらず恫喝とまで評価されるような行為に及んでいたことは客観的証拠もなく、これを否定する〈村田商店代表乙〉の供述に照らし、被告の供述等は直ちに信用することができず、他にこの事実を認めるに足りる証拠はない。

そうすると、村田養豚場が事実上公道を占拠していた事実は認められるけれども、被告が摘示するように村田養豚場関係者の恫喝による違法な通行妨害を行っているとまでは認められない。

ウ 以上のとおり、FACT2のうち、村田養豚場が通行人を恫喝したり、立入りを制限する看板を設置したりして公道(里道)を不法に占拠しているとの事実を摘示する部分については名誉毀損の不法行為が成立する。

(4) FACT3

村田養豚場の敷地の間にある市道については、私有地との境界の明示がされていないため、その位置を正確に確定することはできないが(弁論の全趣旨)、市道を含む通路部分において、村田養豚場がしばしばトラックや重機を停車させて荷物の積卸し等の作業をしたり、物を置いたりしていることは原告も認めるところである。そして証拠(乙59133140)によれば、村田養豚場は、公道を塞ぐような形で公道に車両を駐車したり、荷物を置いたりする作業を日常的に行っている上、公道付近も重機やトラック等が行き交っており、通行するには危険な状態であったことが認められる。また、平成28年3月までは、市道を含めて衛生管理区域とされ、立入りの禁止の看板が設置されており、その後、看板が撤去された後も、市道部分について自由に通行できる旨明示された形跡はなく、本件訴訟提起後も、同様の作業を継続していることが認められるから(乙99129133135)、村田養豚場による公道の占拠と評価できる事実はあるものと認められる。

そうすると、FACT3において摘示された村田養豚場による公道占拠の事実は、真実であると認められる。

もっとも、村田養豚場が養豚場敷地内の公道を業務上の必要に応じて使用することが直ちに違法とはいえないこと、村田養豚場による公道の占拠が作業に要する時間を越えて、恒常的にされていると認めるに足りる証拠はなく、公道上の作業が通行人の通行を妨害する形でしばしば行われているといった事実も認められないことからすると、村田養豚場による公道の占拠が不法であるとの事実については、真実性及び相当性ともに認められない。

したがって、FACT3において村田養豚場による同敷地の間の公道の不法占拠の事実を摘示したことについては、名誉毀損の不法行為が成立する。

(5) FACT4

原告は、FACT4の記事は、赤田川の水質汚濁の原因が村田養豚場であると特定はしていないものの、一般読者の注意と読み方を基準として、記事内容を全体的にみると、村田養豚場が水質汚濁の元凶であるとの印象を抱かせるものであるから、当該記事の摘示事項は村田養豚場が赤田川の水質汚濁の原因であることであると主張する。

しかしながら、当該記事において、赤田川の水質汚濁の原因が村田養豚場からの排水であると断定している箇所はなく、むしろ、原因は特定できないこと、奈良市による水質調査の結果では村田養豚場の排水に何の問題もないことを摘示した上で、環境対策としての不十分さを指摘する内容となっているものであり、村田養豚場が水質汚濁の原因である可能性を指摘しているものの、一般の読者の普通の注意と読み方を基準として、その旨断定しているとの印象を抱かせるものとまでは認められない。

そして、証拠(乙68の19の12101315246989)によれば、赤田川の水質悪化は、平成14年頃から地元の区長らによって指摘され、平成16年以降、木津川市が定期的に水質調査を行う中で、村田養豚場又はその上流の産業廃棄物処理場跡地の影響が疑われ、平成19年以降、村田養豚場が水質汚濁の原因である可能性について木津川市議会で繰り返し議論されていること、平成22年以降、京都府と奈良市との間で解決に向けた協議が行われているが、終局的な解決には至らず、未だ村田養豚場が原因事業者であるとの疑いが指摘されていること、民間人が平成23年から平成27年にかけて複数回にわたって実施した水質調査の結果、赤田川流域では、汚染の指標である化学的酸素要求量(COD)の数値が高く、下流より上流の窒素量が多いことから村田養豚場の影響が指摘されたこと、平成28年12月以降、赤田川のCOD及び生物化学的酸素要求量(BOD)の数値が急速に悪化し、有機物汚濁の進行が確認されたため、平成29年5月から同年9月まで木津川市から委託を受けた調査会社が調査をしたところ、水質、底質ともに高濃度の有機汚濁が確認され、同年11月に作成した調査報告書においては、調査地点、検出数値、流水の性質、周辺の観察結果から、村田養豚場が水質汚濁原であるとの考察結果が提示されたこと、奈良県による村田養豚場の調査では調査項目の基準を満たしており、水質汚濁防止法の規制(日排水量が50m2未満の養豚場に対する基準)及び家畜排泄物法の規制に違反した事実は認められなかったが、BOD及びCODは調査項目に含まれていないこと、村田養豚場は、京都府及び木津川市の調査受入れを拒否していたことからすると、本件記事掲載時点において、赤田川の水質汚濁の原因が村田養豚場の排水にあると考えたのは合理的であり、その後の調査によっても、その疑いは払拭されず、むしろ強まっているものと認められる。

そうすると、赤田川の公害というべき事態について、村田養豚場が原因事業者であることが合理的な根拠をもって疑われているとの事実は真実であり、環境対策としての不十分さを指摘する被告の意見についても、その前提とする主要事実が真実であると認められ、人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評の域を逸脱しているともいえない。

したがって、FACT4における上記事実の摘示について、名誉毀損の不法行為は成立しない。

(6) 本件記事の前文

以上のとおりであるから、前文の部分についても、上記(2)ないし(4)の名誉毀損の不法行為該当部分を含む事実の摘示について不法行為が成立する。

2 争点(2)(原告の損害額)

本件記事の内容、表現方法、本件記事掲載の目的、態様、当事者の属性等本件に現れた一切の事情を総合考慮すると、本件記事における前記部分の掲載により原告の社会的評価が低下したことによる無形損害は、金銭に換算すると30万円が相当である。本件訴訟の経過、認容額等に照らすと、本件と相当因果関係のある弁護士費用は3万円とするのが相当である。

3 争点(3)(削除請求の必要性及び範囲)

本件削除請求は、名誉毀損の不法行為が成立する場合の名誉回復のための適当な処分として求めているものであるから、削除の対象となり得るは、本件記事のうち前記1で判示した名誉毀損の不法行為該当部分である。原告は、本件記事全部の削除を求めるが、本件記事のうち不法行為性の認められない部分の削除は、原告の名誉回復のために必要であるとは認められないから、記事全部の削除は認められない。

そして、本件記事のうち名誉毀損の不法行為該当部分について、掲載が継続されていると、前記のとおりの慰謝料請求を認めても、名誉の回復は困難であると認められる。被告は、本件訴え提起後、本件記事の内容を一部変更しているが、記事内容の主要部分は維持されていることから、本件記事のうち前記の不法行為該当部分が変更後の記事(甲22)において同一性を保持したまま、記載が維持されている部分については、名誉回復のための適当な処分として削除を命ずる必要があるいえる。

この趣旨において、削除部分を特定すると、別紙記事目録1のとおりとなる。

第4 結論

以上のとおりであるから、原告の請求は、被告に対し、損害賠償金33万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和元年8月10日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払並びに本件記事のうち別紙記事目録1記載の各記事部分の削除を求める限度で理由があるから、この限度でこれを認容し、その余の請求をいずれも棄却することとして主文のとおり判決する。

奈良地方裁判所民事部
裁判長裁判官 寺本佳子

裁判官千葉沙織及び裁判官糸賀陸理は、転補のため、署名押印することができない。
裁判長裁判官 寺本佳子

別紙

記事目録1

URL:https://goporkfacts.com/index.html のウェブサイトに掲載された「奈良ブランド豚肉『郷Pork(郷ポーク)』について知るべきこと」と題する記事のうち、以下の記載部分

1 前文

  1. (1)「この奈良ブランド豚を生産する村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、2003年頃、他人の山林を、所有者の抗議にも拘わらず掘削し」
  2. (2)「通行人を制止・恫喝するなどして、無断掘削した他人地」
  3. (3)「村田養豚場(村田畜産/村田商店)による不法行為や迷惑行為」

2 FACT1

  1. (1)「山林無断掘削他人地占拠」(標題)
  2. (2)「村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、2003年頃他人の山林を所有者の抗議にも拘わらず掘削し、その後も無断掘削した他人地を実質的に占拠し続けています。」(冒頭太字部分)
  3. (3)「Aさん、Bさん、Cさんの許可無く村田養豚場の工作物が設置されています。」(冒頭太字部分下の写真中の記載)
  4. (4)「2003年頃、奈良ブランド豚「郷Pork」を生産する村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、赤田川北側の他人の山林を無断で削る事件を起こしました。当時の村田養豚場の敷地は上図のようになっており、削られた山林はすべて他人の土地です。」
  5. (5)「一方京都府木津川市側のAさんBさん(Bさんの土地はBさんを含む三軒の共同所有ですが、ここでは代表して「Bさん」とします)は完全に巻き添えで山林を破壊され」
  6. (6)「検察は、今回は不起訴の中でも起訴猶予だと説明したとのことです。」
  7. (7)「BさんCさんDさん(Dさんの土地は二軒共同所有)の山を削ったときに出てきた岩や樹木、土砂が、Aさんの放棄田の上に積み上げられたのです。」
  8. (8)「村田養豚場はその後も、ゴミを捨てるためにこの場所を掘り返しています。2014年の秋ごろ、当会代表が下画像の赤丸のあたりに犬やカラスが群がっているのでなんだろうと見に行くと、犬が掘り返した穴から骨と毛皮が突き出していました。いつかはわかりませんが、このあたりに豚の死骸を埋めたようです。ただでさえ岩や樹木片を積み上げた弱い地盤であるのに、そこを何度も掘り返しているのですから、いつ大雨で崩れてもおかしくない状態です。」
  9. (9)「ゴミを捨てるため掘られた穴は他にもあります。中でも大きなものは、2011年10月の航空写真(下写真)に写っている四角い池です。この池は赤田川北の、山林を削った場所に作られていましたが、現在はなくなっています。何かが埋められたのは間違いありません。」
  10. (10)「一方Bさんが、2016年4月ごろ村田氏の娘さんに会った際、池になっていた穴に何を埋めたのか聞いたところ、コンクリート片などを埋めたと聞かされたとのことです。」
  11. (11)「当会代表が2015年秋頃に聞き取った東鳴川Cさんの証言によると、2009年には、村田氏と東鳴川のCさんとの山林賃貸借契約はどのような解釈によっても解消しています。ということは、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は土地所有者に断りなく、コンクリート片を含む再生クラッシャーなるものを埋めたということなのでしょうか。」
  12. (12)「また村田養豚場は他人地を占拠するだけでなく、地権者をしばしば恫喝しています。山林が削られ始めたころ、Bさんの亡くなったご主人は、削られ続ける自分の山をなんとかして守ろうと、当時の加茂町長に何度も直談判し、あるときようやく町の協力を取り付けました。」
  13. (13)「それでもBさんのご主人は、不自由な身体を押して、村田養豚場に削られた自分の土地を見に行っていたそうです。」
  14. (14)「ご主人に数年前先立たれたBさんは、奈良ブランド豚「郷Pork」を生産する村田養豚場(村田畜産/村田商店)に持ち山を削られたことが、ご主人の寿命を縮めたと感じてらっしゃるようです。Bさんの土地には今も村田養豚場のコンテナや犬の檻、トラックなどが許可なく置かれています。」
  15. (15)「土地境界を越えて長尾2に置かれているコンテナやトラック」(写真中の記載)

3 FACT2

  1. (1)「通行人を恫喝するなどして」(冒頭太字部分)
  2. (2)「村田養豚場の不法行為」(冒頭太字部分)
  3. (3)「もちろん敷地ではない公道にこのような札を立てるのは違法ですので」
  4. (4)「ところが村田養豚場は、この道は私道であるから通ってはならないと、しばしば通行人を脅しています。」
  5. (5)「村田養豚場が、この方を恫喝したケースでも、私道だから通れないという理屈が、その根拠となっています。なお、当会代表とこの方との間に、この時点では全く面識はなく、直前にツイッターで何度かやりとりをした程度の関係でしたが、後日、現地で恫喝されたことを、くわしく報告してくださいました。」
  6. (6)「更に拒否すると罵詈雑言を叫び始め次回通過しようとするのを見つけたら無事には通過させないと恫喝されました。」
  7. (7)「その後も恫喝しながら林への入り口まで追いかけられました。」
  8. (8)「村田氏は具体的な会社名挙げて絶対通行ならんと言っておりました。」
  9. (9)「入り口まで追って来たのもそれが言いたかったのかもしれません。罵詈雑言には強い方だと自負していますがやはり非生産的な無意味な議論は消耗します。ただギリギリまで身体を寄せてきたり、林の入り口まで追ってきたりと尋常ならぬ殺気を感じましたので今後は十分お気をつけ下さい。」
  10. (10)「奈良県家畜保健衛生所の村田養豚場におもねる態度が、村田養豚場の通行妨害を助長させ、今や通行しようとする観光客を恫喝するにおよんでいます。」
  11. (11)「何かにつけ役所にしつこく電話をし、さんざんわめいて自分に都合がいいことを役所に言わせるのだと。」
  12. (12)「予想通り、農場主は私が草刈りをしているのをみつけると、誰の許可を取ってやっているのかと因縁をつけてきました。」
  13. (13)「それを聞いた農場主は、お前じゃ話にならない、別のやつを出せと怒鳴り散らしました。」
  14. (14)「私は事前にいろいろと教えてもらっていたので、この場所の事情をくわしく知っていましたが、そうでなければ、あんな態度で詰め寄られ、役所にも名前を言うよう言われたら、ふつうの人はあきらめて引き返すと思います。最後に農場主は、今度ここを通ろうとして里道から少しでもはずれたらどうなっても知らんぞと恫喝して去って行きました。」
  15. (15)「上記でも指摘した通り、農場主から威丈高に名前と住所を問われ、奈良県家畜保健衛生所にもそれに従うように言われれば、ふつうの人は通行を断念してしまうにちがいありません。」

4 FACT3

  1. (1)「奈良市土木管理課は、奈良市の公道である村田養豚場の敷地の間にある里道を、村田養豚場が不法に占拠している現状について、」の「不法に」の部分
  2. (2)「厳然たる事実として、村田養豚場では、今や日常的に公道が作業場となっており、公道の不法占拠が続いています。」の「不法」の部分
  3. (3)「違法な公道占拠が放置されていることを示す重要な証言です。」の「違法な」の部分
以上
別紙

記事目録2

URL:https://goporkfacts.com/index.html のウェブサイトに掲載された「奈良ブランド豚肉『郷Pork(郷ポーク)』について知るべきこと」と題する記事のうち、以下の記載部分

  1. 1 「この奈良ブランド豚を生産する村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、2003年頃、他人の山林を、所有者の抗議にも拘わらず掘削し、その後も数十匹の犬を放し飼いにしたり通行人を制止・恫喝するなどして、無断掘削した他人地と敷地周辺の公道を実質的に占拠し続けています。」(前文)
  2. 2 「これら村田養豚場(村田畜産/村田商店)による不法行為や迷惑行為」(前文)
  3. 3 「山林無断掘削他人地占拠」(FACT1)
  4. 4 「村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、2003年頃他人の山林を所有者の抗議にも拘わらず掘削し、その後も無断掘削した他人地を実質的に占拠し続けています。」(FACT1)
  5. 5 「2003年頃、奈良ブランド豚「郷Pork」を生産する村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、赤田川北側の他人の山林を無断で削る事件を起こしました。当時の村田養豚場の敷地は上図のようになっており、削られた山林はすべて他人の土地です。」(FACT1)
  6. 6 「このうち東鳴川のCさんの先代が、村田氏(当時の農場主=現村田商店代表の父)にこの山林を賃貸していました。両方の先代(先先代)がほぼ同時期に亡くなった後、当時の農場主(現村田商店代表の父)が「どのように使ってもいいという約束で先代から借りた」として、借りている山林を削り始めたのです。この件は裁判になっていますが、その裁判では、前述した山林賃貸の土地賃貸借契約書に、特約事項として「目的として、畜産業をいたします」と規定されていたことが認められ、裁判所の判断として、山林掘削工事も賃貸借契約の内容に含まれていたとされました。正直なところ、この裁判の一連の判決は、一般人にはあまりすっきりと理解できないものです。」(FACT1)
  7. 7 「当会代表が2015年秋頃に聞き取った東鳴川Cさんの証言によると、2009年には、村田氏と東鳴川のCさんとの山林賃貸借契約はどのような解釈によっても解消しています。」(FACT1)
  8. 8 「京都府木津川市側のAさんBさんは完全に巻き添えで山林を破壊され」(FACT1)
  9. 9 「2005年AさんBさんらは村田養豚場(村田畜産/村田商店)を刑事告訴しました」(FACT1)
  10. 10 「村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、削りとった他人地で野焼きを繰り返し、農場主(現村田商店代表の父)が廃棄物処理法違反で現行犯逮捕されています。」(FACT1)
  11. 11 「AさんBさんらによる刑事告訴は、なぜか不起訴に終わりました。検察からは「けが人や死人が出たわけではないから」と言われたそうです。また、木津川市の平成20年第1回定例会において、当時の市議が報告していますが、関係者の方が検察に電話で問い合わせたところ、検察は、今回は不起訴の中でも起訴猶予だと説明したとのことです。」(FACT1)
  12. 12 「村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、一時は50匹以上の犬を放し飼いにし、通行人を恫喝するなどして、長年にわたり公道を占拠し続けてきました。近年では、村田養豚場が放し飼いにしている犬が10匹単位で、隣接する観光地である木津川市浄瑠璃寺に入り込む事態となっています。」(FACT2)、
  13. 13 「奈良県農林部畜産課はこれを今なお容認しており、公道の占拠にも理由を見つけてはお墨付きを与えようと蠢いています。奈良県農林部畜産課は自ら、村田養豚場の不法行為に加担しています。」(FACT2)
  14. 14 「これ以前の1990年代から犬が放し飼いにされていたようですが、敷地が広がったことで、このころ以降、次第に、より多くの犬が村田養豚場周辺を徘徊するようになったと思われます。」の下の図表(FACT2)
  15. 15 「ざっと数えただけでも50匹以上、山林に隠れている犬を含めればおそらくも
  16. っと多くの犬が、村田養豚場周辺を徘徊していました。下写真は2016年1月に村田養豚場の間を抜ける公道で撮影したものです。」(FACT2)
  17. 16 「放し飼いにしている犬は、浄瑠璃寺でも頻繁に目撃されています。」(FACT2)
  18. 17 「2015年の末ごろからは、村田養豚場が放し飼いにしている犬が、10匹単位で早朝の浄瑠璃寺に現れるようになり、姿が見えない時も境内に多数の葉を残して行くため、浄瑠璃寺が非常に困る事態となっていました。国宝建造物などに尿をかけていた恐れもあります。下写真は2016年4月5日に執り行われた浄瑠璃寺の前住職葬儀の最中に現れた犬です。」(FACT2)
  19. 18 「村田養豚場は2012年ごろから、通行人を含め、あらゆるじゃまものを衛生管理区域を理由に遠ざけてきました。」(FACT2)
  20. 19 「ところが村田養豚場は、この道は私道であるから通ってはならないと、しばしば通行人を脅しています。」(FACT2)
  21. 20 「下記は2015年11月ごろに、村田養豚場の間を抜ける里道を通行しようとした方の証言(一部抜粋)です。」(FACT2)「こんばんは・・・しかしよく平気で嘘がつけるものだと感心しています。」(FACT2)
  22. 21 「奈良県家畜保健衛生所の職員は、村田養豚場を指導した際、木津川市に対し「私道だから通れないと言え」と要求され、それをそのまま木津川市に伝えたのです。」(FACT2)
  23. 22 「しかも奈良県家畜保健衛生所は、木津川市に違法性が高い指導方針を回答するだけでなく、実際に職員が村田養豚場による通行妨害に協力しています。下記は2015年11月4日に、当会代表が村田養豚場の北側で草刈りをした時の体験です。この体験からも、奈良県家畜保健衛生所が村田養豚場に言われるまま、公道の通行妨害に加担してきた」(FACT2)
  24. 23 「以前から東鳴川の人に・・・ふつうの人は通行を断念してしまうにちがいあり
  25. ません」(FACT2)
  26. 24 「奈良市土木管理課は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)により奈良市の認定市道が占拠されていることを知りながら、敷地境界が確定していないことを理由にいっさい何もしようとしません。」(FACT3)
  27. 25 「奈良市の公道である村田養豚場の敷地の間にある里道を、村田養豚場が不法に
  28. 占拠している」(FACT3)
  29. 26 「厳然たる事実として、村田養豚場では今や日常的に公道が作業場となっており、公道の不法占拠が続いています。」(FACT3)1027「日中頻繁に重機やトラックが公道上を右往左往し、公道の真ん中で従業員が豚の餌となる残飯の仕分けなどを行っています。」(FACT3)
  30. 28 「残飯の扱いがずさんなため、この付近ではカラスが大量に繁殖し、近隣の田畑を荒らしています。」(FACT3)
  31. 29 「つまり、公道であるはずの里道が敷地の一部にしか見えない状況ということです。それも長年親しまれたバス停名を変えなければならないほどの状況です。このような状況を公道の占拠と言わずになんと言うのでしょうか。違法な公道占拠が放置されていることを示す重要な証言です。」(FACT3)
  32. 30 「村田養豚場(村田畜産/村田商店)下流の水質汚濁が長年にわたり問題視されています。」(前文)
  33. 31 「赤田川下流の水質汚濁」(FACT4)
  34. 32 「村田養豚場(村田畜産/村田商店)からの排水が、下流に著しい水質汚濁をもたらしている可能性について、長年にわたり何度も議論されています。」(FACT4)
  35. 33 「赤田川の地権者(Aさん)によると、養豚場の少し下流の山林の持ち主が、以
  36. 前は持ち山でしいたけ栽培をしており、しいたけ栽培のため川からポンプで水を汲み上げていたが、糞尿やゴミですぐポンプが詰まるとぼやいていた」(FACT4)
  37. 34 「砂防ダムより上流であるためか、渓流にある水たまりにも、どろりとした茶色いヘドロがたまっています。谷にただよう滝しぶきが乾いて、葉っぱやあたり一面白い粉をふいていました。これを撮影した日は帰宅後熱が出ました。」(FACT4)35「こうした水質汚濁の原因として、木津川市議会で長年議論されている場所のひとつが、奈良ブランド豚「郷Pork」を生産する村田養豚場(村田畜産/村田商店)です。」(FACT4)
  38. 36 「村田養豚場より下流の赤田川に限って糞尿あるいはどぶ川のような臭いが酷いという現実があります。2016年から2017年にかけては、特に日暮れごろ臭くなると言われていました。谷の上の尾根道まで酷い臭いが漂ってくることもしばしばで、外にいる人が少なくなる時間を見計らって、夜に汚水が流されているのではと噂されていました。」(FACT4)
以上