乙第137号証

令和元年(ワ)第338号 損害賠償等請求事件
原  告  株式会社村田商店
被  告  遠藤 千尋

陳述書

2021(令和3)年6月14日
氏名:〈通行人〉
  1. 私は、2015(平成27)年11月12日に、原告の経営する村田養豚場の敷地の間を抜ける市道を通行した際、村田養豚場の男性にひどく恫喝されました。そのことをこの裁判の被告となっている遠藤氏にお伝えした経緯などについてお話しします。

  2. 私と遠藤氏との関わり

    私は、各地に残る石仏などの石造物や古い道を訪ねることを、休日の楽しみとしています。2015(平成27)年10月ごろ、私は、ツイッター上で、「弥勒の道プロジェクト」というアカウントが、奈良市中ノ川町の山中にある中川寺跡や、京都府と奈良県の府県境となっている道などを、写真とともに紹介しているのを見つけました。私は、その中でも特に、中川寺跡のある谷を流れる小川に石塔の残欠が散らばっている光景や、梅谷三角点近くにある護摩石と呼ばれる石に、強く心を惹かれ、ぜひともこの道を歩いてみたいと思いました。

    そこで私は、2015(平成27)年11月9日に、ツイッターのメッセージ機能を利用して、「弥勒の道プロジェクト」のアカウントに連絡を取り、府県境の道を通行するにあたって、迷いやすい箇所など、注意するべきことがあるかどうか問い合わせました。これが、私と遠藤氏の最初の関わりですが、私はつい最近まで遠藤氏の本名すら知りませんでした。

  3. 村田養豚場の敷地の間の道を通るまでの経緯

    私の問い合わせに対し、遠藤氏は当初、ぜひ歩いてみてほしいとしつつも、浄瑠璃寺側から中川寺跡へ向かうよりも、牛塚から入った方が良いと助言してくださいました。しかし私は浄瑠璃寺側から養豚場を通り抜けてみたいと思っていましたので、改めてその旨を遠藤氏に伝えたところ、遠藤氏は養豚場の親父さんが絡んで来ることを心配されて、養豚場の言い分にその場で反論できるよう、この場所の事情についてまとめた資料を、インターネットを通じて私に提供してくださいました。その際、養豚場は「郷ポーク」というブランド豚を生産しているので、いざというときには、その名前を出すと態度が変わるかもしれないとも教えていただきました。

  4. 村田養豚場の敷地の間の道を通った時の状況

    2015(平成27)年11月12日、この日、私の仕事は休日でしたので、早速私は、浄瑠璃寺から、養豚場の敷地の間にある道を抜けて、府県境の道を歩いてみることにしました。

    私が養豚場の敷地の間にある道を抜けた時の状況は、日付が10月ではないものの、本件記事(甲2:24頁)記載の下記証言の通りで間違いありません。私は、帰宅後、遠藤氏に道の状況や、石造物を見た感想などを書き送りましたが、本件記事記載の下記証言は、そのうち養豚場通過に関する部分を抜粋したものです。また、この時点では、遠藤氏から、ホームページに証言を記載したいというような話は一切なく、遠藤氏は通行に際し、私に何かトラブルがなかったか心配している様子でした。

    なお遠藤氏から私に、ホームページ記載の可否について相談があったのは、2016(平成28)年6月のことです。私は、私の下記証言が真実であることに間違いははないので、私の証言をホームページに記載することを了承しました。

  5. 本件記事記載の証言は下記の通りです。

    「こんばんは。先ず養豚場内里道通過の件ですが村田氏自身により通過を拒否されましたがいただいた資料にある内容を告げそのまま進行しました。すると中程で前に立ちはだかり住所氏名を告げるよう要求し始めました。更に拒否すると罵詈雑言を叫び始め次回通過しようとするのを見つけたら無事には通過させないと恫喝されました。たまたま奈良県家畜保健衛生所職員が2名検査で来ており彼女達にも住所氏名を控えるよう要求していましたが当方が拒否する以上私たちには権限が無い旨説明されていました。

    その後も恫喝しながら林への入り口まで追いかけられました。犬の放し飼いも酷いです。境界確定させずにこのまま占有を続け、里道を荒廃させれば事実上自由に使えますからこのまま放置することは彼の目論見を幇助することになりますね。なんともやりきれないです。ちなみに今回は郷ポークを話題にしても効果無しでした(笑)。このような一触即発的な状況ではいつか殴り掛かられるような事態が起きないか憂慮します。まあ、手を出せば刑事事件ですから多少事態は動くかもですが。

    林への入り口付近より上のコンクリート舗装されている道は私道でしょうか。村田氏は具体的な会社名挙げて絶対通行ならんと言っておりました。入り口まで追って来たのもそれが言いたかったのかもしれません。

    罵詈雑言には強い方だと自負していますがやはり非生産的な無意味な議論は消耗します。ただギリギリまで身体を寄せてきたり、林の入り口まで追ってきたりと尋常ならぬ殺気を感じましたので今後は十分お気をつけ下さい。説得に応ずるようなタイプではないかと。。録画録音は必須と感じました。しかしよく平気で嘘がつけるものだと感心しています。」

  6. 行政機関への通報について

    府県境の道を歩いた翌日の2015(平成27)年11月13日、私は、養豚場で犬に取り囲まれたことや、養豚場の人に恫喝されたことを、奈良市土木管理課と、奈良市保健所、及び、京都府山城南保健所に通報しました。通報内容が、私が京都府山城南保健所にお話ししたことと全く同じですので、乙第40号証の通報者は私で間違いありません。私が行政機関に名前を告げなかったのは、手違い等により行政機関から原告に私の名前が伝わることを恐れたためです。本件記事記載の上記証言にあるとおり、私が養豚場の敷地の間の道を通り抜けた際、養豚場の男性は、ギリギリまで身体を寄せてきたり、林の入り口まで追ってきたりしながら、私を恫喝し続けましたから、私は少なからず身の危険を感じていました。

  7. おわりに

    実のところ私は、村田養豚場で恫喝を受けた体験から、今回陳述書を提出することについても、原告に個人情報が渡るということを聞き、当初躊躇していました。しかし、村田養豚場の敷地の間を抜ける道を、誰もが安心して、気兼ねなく通れるようになることは、私自身の望みでもあります。そのことに少しでもお役に立てるなら、という思いから、私が養豚場で恫喝された経緯について、以上のとおり、お話しすることにしました。

以上