被告第1準備書面・証拠説明書(1)

令和元年(ワ)第338号 損害賠償等請求事件
原  告  株式会社村田商店
被  告  遠藤 千尋

被告第1準備書面

2019(令和元)年9月10日
奈良地方裁判所民事部3B係 御中
被告訴訟代理人弁護士

- 目次 -

第1 請求の原因に対する認否

1 第1 当事者 について

  1. 第1段落は、認める。

  2. 第2段落は、「そのプロジェクトの活動の一環として」の部分は争うが、その余の部分については認める。本件記事記載の事実は、確かに「弥勒の道プロジェクト」として活動する中で知ったものであるが、さまざまな事実が明らかになるうち、本件記事が取り扱う問題は「弥勒の道プロジェクト」の趣旨を逸脱すると考え、別の活動として分離することとした。「弥勒の道プロジェクト」は古道の魅力を伝えるとともに、古道を復興させることを目的としている(甲1)が、本件記事の取り扱う問題は、あまりにも負の印象が強烈で、かつ、改善の見通しも立っておらず、古道の魅力を伝えるという目的には合致しないためである。

2 第2 本件記事の内容について

  1. 1~5は、認める。ただし本件記事では、原告の要約に収まらない、詳細な検討が加えられている。また、確かに本件記事2FACT2「犬の放し飼い 公道の占拠」において、平成19(2007)年頃から村田養豚場が犬を放し飼いにし始めた旨記載されているが、浄瑠璃寺近隣住民などの証言によれば(乙35)、原告は二十数年以上前、すなわち1990年代から犬を多数放し飼いにしていたとのことである。

  2. 6は争う。本件記事は、関連行政機関に対し、原告を適切に指導するよう促すことに力点が置かれている。なんとなれば、原告が本件記事が指摘する問題について、なんらかの改善を見せたとしても、関連行政機関にその状態を保つ意思がなければ、それほど時をおかず、再び状況が悪化することがあり得るからである。

第3 本件記事が被告の名誉を毀損するものであることについて

  1. 争う。詳細は、第2-3で述べる。

第4 本件記事の内容が真実ではないことについて

  1. 村田養豚場が他人所有地を無断で掘削・占拠しているということについて

    1. 1-(1)のうち、

      • 「かかる記載は真実ではない」とする第1段落は、争う。詳細は、第2で述べる。

      • 「本件記事によれば」で始まる第2段落は、争う。本件記事は本件土地1・本件土地2・本件土地3のすべてについて、原告が「無断で不法に掘削」したとは記述していない。

        原告は、平成27(2015)年10月ごろ、本件土地3所有者の一人、〈加茂町B〉の紹介で、〈加茂町B〉とともに、本件土地2所有者の〈東鳴川C〉宅を訪れ、詳細な聞き取りを行った。本件記事の当該箇所は、この時の聞き取りを元に書かれている。そのため表現が、御庁平成21年(ワ)第1125号損害賠償請求事件における、「裁判所の判断」(甲5)と異なるところはあるが、原告が本件土地1を土地所有者から賃借していたこと、及び、原告が「どのように使ってもいいという約束で先代から借りた」と主張していたことにも、明確に触れている。

        また原告が本件土地2及び本件土地3を、当該土地所有者に「無断で」削ったことは事実である。その結果、原告は、本件土地3所有者から、不動産侵奪、廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反の容疑で告訴された。この告訴は不起訴処分となったが、原告は検察から掘削工事をやめるよう指導されており、不起訴処分となったとはいえ不法な掘削があったことは明らかである(甲5

    2. 1-(2)のうち、

      • 第1段落から第3段落は、認める。

      • 第4段落は、争う。本件記事に、本件土地1の掘削のみを取り出して、これを不法だと論難している箇所はない。

      • 第5段落は、争う。詳細は、第2で述べる。

      • 第6段落は、争う。詳細は、第2で述べる。

    3. 1-(3)のうち、

      • 第1段落は、争う。

      • アの第1段落は、争う。「本境界が未確定ゆえ削除された」事実はない。詳細は、第2で述べる。

      • アの第2段落は、争う。詳細は、第2で述べる。

      • アの第3段落は、争う。詳細は、第2で述べる。

      • イの第1段落は、認める。

      • イの第2段落は、「村田養豚場が、廃棄物を違法に処理していることが間違いないことであるかのように記載している」という部分は争うが、その余の部分は認める。ここで本件記事が指摘しているのは、奈良市による回答が本件土地1所有者が産廃については知らないとしていることと矛盾しているので、奈良市の回答した内容と奈良市の状況把握に疑問があるということである。

      • イの第3段落は、争う。原告代表者が行ったという説明については不知。原告の指摘は、本件賃貸借契約が継続していたことを前提としているが、そのような事実はない(詳細は、第2で述べる)。したがって、それが何であれ無断で他人の土地に埋めることは違法である。

      • イの第4段落は、争う。詳細は、第2で述べる。

  2. 村田養豚場が犬を不法に放飼いにしているということについて について

    • 第1段落は、認める。

    • 第2段落は、争う。詳細は、第2で述べる。

    • 第3段落は、争う。詳細は、第2で述べる。

    • 第4段落は、争う。詳細は、第2で述べる。

  3. 公道の違法占拠について について

    • 第1段落は、認める。

    • 第2段落は、認める。

    • 第3段落第1文は、争う。本件記事においても、原告が立入禁止の看板を立てていたことに関しては、奈良県家畜保健衛生所を強く非難する内容となっている。また、公道を含む衛生管理区域を設定したのは奈良県家畜保健衛生所ではなく原告である(乙74)。

    • 第3段落第2文は、争う。本件記事は、原告が立入禁止の看板を立てていたことのみをもって、公道の違法占拠を指摘していない。

    • 第4段落第1文は、争う。詳細は、第2で述べる。なお本件記事で、「2015年10月に村田養豚場の北側で草刈りをした方」とあるのは、被告自身のことであり、原告代表者父 〈村田商店代表乙の父〉から、実際に「今度ここを通ろうとして里道から少しでもはずれたらどうなっても知らんぞ」と恫喝されている。ただしこれは正確には11月4日のことであった。

    • 第4段落第2文は、争う。詳細は、第2で述べる。

    • 第4段落第3文は、争う。詳細は、第2で述べる。

    • 第5段落は、争う。詳細は、第2で述べる。

  4. 赤田川の水質汚濁について について

    • 第1段落は、認める。

    • 第2段落は、争う。詳細は、第2で述べる。

    • 第3段落は、争う。被告は、村田養豚場の排水に問題がないとは認識していない。詳細は、第2で述べる。

    • 第4段落は、認める。被告は、村田養豚場の排水に問題がないとは認識していない。詳細は、第2で述べる。

    • 第5段落は、争う。本件記事は、村田養豚場の排水に問題があるとは断定していない。しかしその可能性がある以上、「排水の水質を十二分に改善するよう指導すること」を求めるのは当然である。

    • 第6段落は、争う。詳細は、第2で述べる。

第2 被告の主張

1 被告の主張の要旨

(1) 訴状第4-1「村田養豚場が他人所有地を無断で掘削・占拠しているということについて」に対する反論

本件賃貸借契約が継続していた事実はない。また、本件市有土地境界確定図から本件土地1と本件土地2の境界線が削除されたのは、両土地の境界線が未確定であったためではなく、木津川市による越境確定が問題視され、奈良市と連携して境界を再確定する上で、越境部分を一旦削除することが、手続き上必要とされたことによる。したがって原告の主張には根拠がない。

(2) 訴状第4-2「村田養豚場が犬を不法に放飼いにしているということについて」に対する反論

原告はこれまでに、奈良市保健所及び京都府山城南保健所より、文書によるものも含め、犬の放し飼いをしないよう繰り返し指導を受けている。村田養豚場が放し飼いにする犬は、広範囲を群れで行動しており、地域にとって危険なものとなっている。また原告が飼い犬と野犬を区別している様子は見られない。原告は、豚コレラが蔓延しておりイノシシ除けのために犬を放つことがあるとするが、豚コレラ発生を受けた農林水産省の通達では、衛生管理区域内で犬などの愛玩動物を飼わないよう求めている。そもそも村田養豚場では餌の管理はずさんで、カラスが異常繁殖しており、豚コレラ対策以前の劣悪な衛生管理状態となっている。したがって原告の指摘は当たらない。

(3) 訴状第4-3「公道の違法占拠について」に対する反論

村田養豚場は現在でも公道上で日常的に作業を行っている。また村田養豚場に近づくと多数の放し飼いの犬が吠えながら駆け寄ってくる。さらに村田養豚場関係者はしばしば一般市民の里道通行を拒絶している。こうした状況は公道の通行の妨げとなっており、奈良市法定外公共物の管理に関する条例第3条「何人も、法定外公共物の保全又は利用に支障を及ぼし、又は支障を及ぼすおそれのある行為をしてはならない」に反する。したがって原告の指摘は当たらない。

(4) 訴状第4-4「赤田川の水質汚濁について」に対する反論

平成29(2017)年11月の木津川市による赤田川水質汚濁状況調査報告では「養豚場周辺の流入水に強い有機物汚濁が認められたことから、府県境に位置する養豚場付近で、高濃度かつ大量の有機汚濁成分が排出されて、赤田川の水質汚濁を引き起こしていると考えられる」と結論している。原告は、木津川市の赤田川水質汚濁状況調査報告に基づき、奈良県・奈良市から水質の改善を指導されている。また、原告は木津川市の立ち入り調査を拒否し続けている。したがって原告の指摘は当たらない。

(5) 公益を目的とした記事であること

本件記事は、地域の持つ様々な価値が毀損され続けている現状を打開するべく公開された。本件記事は、地域の歴史と文化を育んできた古い道を後世に伝えること、地域住民と観光客を危険に晒している犬の放し飼いをやめさせること、本来静かで清らかな山村の魅力に溢れているはずの当尾地域の環境を保全すること、そのために行政による監視と指導を正常化させること、といった、公益を目的とするものであり、公益以外の目的は一切ない。

以上のとおり、本件記事は事実を摘示するものであり、かつ、公益を目的とするものである。少なくとも、被告が真実であると信じることにつき相当な理由があることは明らかであるため、違法性ないし責任は阻却される。よって、原告の請求は速やかに棄却されるべきである。

2 本件訴訟に至る経緯

  1. 平成28(2016)年6月ごろ、被告が本件ウェブサイトを立ち上げる。
  2. 平成28(2016)年夏頃、原告が警察から、本件記事の執筆責任者が被告だと知らされる(乙1)。
  3. 平成28(2016)年8月4日、警察から被告に電話による連絡があり、原告側の弁護士がウェブページの記述を消してほしいと求めていると伝えられる。
  4. 平成28(2016)年8月、被告は、警察を通じて、原告に対し、消してほしいウェブページを、被告側弁護士宛に、書面で具体的に通知してほしい旨伝えたが、その後返答がなかった。
  5. 平成31(2019)年3月1日、原告が御通知書(以下、「本件御通知書」という。)を内容証明郵便にて被告に送付し、翌3月1日同御通知書は被告に到達した(乙1)。
  6. 平成31(2019)年3月14日、被告は原告に対し、3月末日までに本件御通知書の返答をする旨記した返答書を、内容証明郵便にて原告代理人弁護士に送付し、翌3月15日に同返答書は原告代理人に到達した(乙2)。
  7. 平成31(2019)年3月28日、被告は原告に対し、本件御通知書に対する正式な返答書(以下、「本件返答書」という。)を、内容証明郵便にて原告代理人弁護士に送付し、翌3月29日に同返答書は原告代理人に到達した(乙3)。
  8. 令和元(2019)年7月18日、原告が本件訴訟を提起した。請求の原因には、本件御通知書の内容と異なる部分が散見される。詳細は争点を検討する中で述べる。

3 公共の利害に関する事実

原告が訴状第1で指摘する通り、原告の経営する村田養豚場が生産する「郷ポーク」は、ブランド豚として名高い。本件記事 FACT 5 でも紹介したとおり、奈良市はふるさと納税の返礼品として「郷ポーク」を採用しており、「郷ポークセット」など「郷ポーク」を使用した返礼品を紹介するウェブページでは、「奈良が誇る、流通量の少ない希少なブランド豚」という表現を用いている(乙4)。

また平成30(2018)年5月には、奈良市の興福寺で行われた第76期名人戦において、奈良ホテルが佐藤天彦名人と羽生善治竜王のそれぞれに「郷ポーク」を用いた料理を提供したが、このことは新聞やテレビのニュースで、地元の食材が使われたという、明るい話題として取り上げられた(乙5の1乙5の2)。

したがって、「郷ポーク」を生産する原告が、法令及びガイドラインを遵守しているか否かはもちろん、原告が「奈良が誇る」にふさわしく、高い倫理観を持って行動しているかどうかについて、「郷ポーク」の消費者にくわえ、奈良県民、中でも奈良市民、さらには奈良を愛する多くの一般市民が、関心を寄せることは正当であると考えられる。

よって本件記事記載の事実が、公共の利害に関する事実に該当することは明らかである。原告自身、訴状において「郷ポーク」が「奈良を代表するブランド豚」であると自負しているのであるから、そのような「名高いブランド」を確立した現在、原告は、自らが「奈良を代表する」にふさわしいかどうか、常に一般市民から問われ得る立場となったことを自覚しているべきであろう。

4 本件土地1・2・3に係る木津川市市有土地境界確定図が確定されるまでの経緯

原告の主張を検討する上で必要となるため、平成21年(ワ)第1125号損害賠償請求事件判決文(甲5)及び木津川市議会議事録(乙6)に基づき、本件土地1・2・3に係る木津川市市有土地境界確定図(以下、「本件市有土地境界確定図」という。)が確定されるまでの経緯(以下、「本件境界確定経緯」という。)を以下のとおり確認する。

  1. 東鳴川町502土地所有者の〈東鳴川Cの父〉と村田養豚場〈村田商店代表乙の父〉は、平成14(2002)年3月1日、東鳴川町502土地について、〈東鳴川Cの父〉を賃貸人、〈村田商店代表乙の父〉を賃借人、賃貸借期間を同日から3か年・更新可、賃料年額12万円、賃料の支払は1年分を賃貸人の住所に持参払い、畜産業を営むことを目的とする土地賃貸契約を締結した(甲5-3頁)。
  2. 〈村田商店代表乙の父〉は、平成14(2002)年2月から山林伐採及び土砂撤去工事を開始した(甲5-5頁)。
  3. 平成16(2004)年夏頃、〈村田商店代表乙の父〉は、隣接の加茂町の〈加茂町B亡夫〉ほか2名から、境界を侵害して工事を行なっているとの苦情を受けた(甲5-5頁)。
  4. 平成17(2005)年2月以降、〈東鳴川C〉は、本件土地1賃貸借契約に基づく〈村田商店代表乙の父〉からの賃料支払いを拒否した(甲5-6頁)。
  5. 平成17(2005)年8月、〈村田商店代表乙の父〉は、〈加茂町B亡夫〉らから、不動産侵奪廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反の容疑で告訴された(乙6-1頁/甲5-6頁)。
  6. 平成19(2007)年6月25日、木津川市定例会において建設部長が次のように答弁した。「ご質問の養豚場問題につきましては、京都府・木津警察署により捜査が進められておりまして、旧加茂町から引き継ぎ、木津川市においても捜査機関からの捜査・協力依頼に対して積極的に協力しているところでございます。道路につきましては、旧町の町道は3町ともすべて合併により木津川市に引き継ぎ、木津川市の認定道路となってございます。この問題は、合併前の加茂町議会において活発に議論されており、認定道路における違法行為として早期に解決すべき問題であると考えてございます。旧加茂町議会において議論のあったように、測量図等のある精度の高い資料で道路を特定できるものがあれば、これをもとに現地で道路の区域を確認できるのではないかと考えています。」(乙6-2頁)
  7. 平成19(2007)年7月下旬、上記告訴(本件境界確定経緯5)に係る京都府警の捜査に協力する形で、木津川市が現地立ち会いと測量作業を行った。立ち会いには、京都府側と奈良県側の双方の土地所有者も同時に招集され、京都府警に対し各自所有地の境界の確認が行われた。木津川市は、道路管理者として市道の位置を確認した。通常の境界確定手続は、隣接所有者が測量専門業者に委託して市に申請されるが、今回は木津川市自らが積極的に測量を行い、図面の作成から行った。木津川市は、境界確定手続が完了すれば、これをもとに道路上の支障物件の撤去等について、警察と協議しつつ、具体的な方法を検討していきたいとした(乙6-4頁)。
  8. 〈村田商店代表乙の父〉は平成19(2007)年夏頃、再び〈加茂町B亡夫〉から土地の境界を侵害しているとの抗議を受けたため、同年9月3日、東鳴川町502土地の範囲の確認を求め、〈東鳴川C〉を相手方に、奈良簡易裁判所に対し、民事調停の申立てを行ったが不成立となった(甲5-6頁)。
  9. 平成19(2007)年11月20日、本件市有土地境界確定図が確定。
  10. 平成19(2007)年12月10日、木津川市定例会において木津川市長が次のように答弁した。「市道管理につきまして、関係土地所有者の同意を得た中で、道路の境界の確定手続を現在完了いたしたところでございます。今後、境界確定をもとに、通行の支障となる物件の撤去を求めていく考えを持っております。それと、今後につきましては、通行支障物件の撤去と道路の原状復旧を求めるため、警察との連携をとりつつ、有効な措置をとっていきたいというふうに考えております。被害者との認識はあるのかということでございますが、木津川市としてはそういうふうな認識をいたしております。」(乙6-7頁)
  11. 〈村田商店代表乙の父〉は平成20(2008)年2月29日、上記告訴につき不起訴処分となったが、検察官の指導を受けて工事を中断した(甲5-6頁)。
  12. 平成20(2008)年7月8日、木津川市が〈村田商店代表乙の父〉に、市道上にある建物の撤去を口頭で求めたが、〈村田商店代表乙の父〉は「奈良市側の所有者から借地している範囲に市道が入っていると聞いている。市の言うこともわかるが、所有者から話があってしかるべき」と述べ、市の求めを拒否した。そこで木津川市が東鳴川町502土地所有者〈東鳴川C〉に事情を聞いたところ、〈東鳴川C〉は「内容は土地の明け渡しに関して双方の借地契約書の借地期限の違いから調停が行われ、不成立になった。相手の契約書の借地期限の切れる来年2月まで静観をしたい」旨述べた(乙6-15頁)。
  13. 平成21(2009)年2月下旬、木津川市は、木津川市長名において「市道2092号に建築されている事務所については、市道を不法に占有している行為であり、速やかに撤去するよう請求します」という文書を発送した。しかしながら、不在のため、郵便局での保管期間を過ぎた3月9日に返送されてきた。このことを受け、翌日の3月10日に再度、文書を発送した(乙6-21頁)。
  14. 平成21(2009)年12月15日、〈東鳴川C〉が〈村田商店代表乙の父〉に対し損害賠償請求の訴えを提起(甲5-6頁)。
  15. 平成22(2010)年4月14日付け内容証明郵便で、〈村田商店代表乙の父〉が〈東鳴川C〉に対し、本件土地1賃貸借契約の解除を通知(甲5-6頁)。
  16. 平成23(2011)3月9日、木津川市定例会で建設部長が次のように答弁。「市有地に設置されているプレハブにつきましては、平成21(2009)年10月ごろに養豚場経営者がプレハブを撤去することとなっておりました。しかしながら、養豚場経営者が予定しているプレハブの代替建築物の建築場所が市街化調整区域であることから、都市計画法などの法令に基づく整理が必要でありましたので、プレハブの代替建築物の建築等について、養豚場経営者を初め京都府並びに奈良市と協議を行ってまいりました。現在、養豚場経営者が申し出た計画について、京都府と奈良市で協議が進められているところでございます。しかし、当市としまして、京都府、奈良市での都市計画法の整理と同時指導ではなく、道路管理者として不法占用の対応を速やかに進めることが必要であることから、速やかな撤去を求めています。」
  17. 平成23(2011)年10月19日撮影の航空写真においても、市道上に建築物が存在することが確認できる(乙7の1)。
  18. 平成24(2012)年3月21日、控訴審判決言渡し。〈村田商店代表乙の父〉の反訴請求を棄却(甲6)。
  19. 平成24(2012)年5月17日、木津川市道上の建築物が撤去された旨報告があった(乙7の3)。
  20. 平成25(2013)年9月20日、最高裁第二小法廷が〈村田商店代表乙の父〉の上告を棄却。
  21. 現在、市道上に建築物は置かれていない。平成25(2013)年5月に撮影された写真(乙7の2)では、市道上に建築物はなく、他人地である長尾2土地に設置されている。しかし結局、その建築物は平成28(2016)年春頃まで他人地である長尾2土地に設置された。平成28(2016)年春頃以降は、やはり他人地である奈良市東鳴川町502土地に設置されている。

以上のように、本件市有土地境界確定図の原確定は、木津川市もまた原告による行為の被害者であるという認識の下、原告の不法占用から市の財産たる市道を守るため、京都府木津警察署の捜査と連携して行われたものである。しかし、実際に違法な建築物を撤去させるまでには、原確定から4年以上の歳月を要した。

5 木津川市による赤田川水質汚濁状況調査から本件市有土地境界確定図修正に至るまでの経緯

原告の主張を検討する上で必要となるため、木津川市による赤田川水質汚濁状況調査から本件市有土地境界確定図修正に至るまでの経緯を下記のとおり確認する。

  1. 平成28(2016)年12月26日、木津川市による赤田川の水質検査で著しい水質汚濁が検出(高田でBODが30mg/L、CODが26mg/L)。そこで木津川市は調査頻度を年4回から月1回以上に増やした。その後も環境基準値を大幅に超える異常な水質汚濁が頻発する(乙8の1)。
  2. 平成29(2017)年4月10日、木津川市が京都府山城南保健所とともに、エヌエス環境株式会社と赤田川の水質汚濁について協議(乙8の1)。エヌエス環境株式会社は赤田川の大腸菌群数について「し尿レベルの汚染」と指摘。
  3. 平成29(2017)年4月14日、木津川市が京都府山城南保健所とともに、京都府山城南農業改良普及センターを訪れ助言を求めた。その結果「現在の水質が続けば、水稲・ナス等への生育への影響が懸念される」と指摘される(乙8の2乙15)。
  4. 平成29(2017)年4月21日、木津川市が京都府庁を訪れ赤田川の水質汚濁について協議(乙9)。
  5. 平成29(2017)年5月30日、木津川市が赤田川水質汚濁状況調査を実施(乙10)。
  6. 平成29(2017)年6月23日、京都やましろJAから木津川市長に赤田川の水質改善要望書が直接手渡された(乙11)。
  7. 平成29(2017)年7月21日、西小・大門・高田・観音寺・大野の流域五地区から合同で木津川市長に赤田川の水質改善要望書が直接手渡された(乙12)。
  8. 平成29(2017)年8月17日、木津川市が奈良県と協議。木津川市及び京都府による村田養豚場への立ち入り調査について、奈良県に調整を依頼するが、翌日拒否された旨報告が返る。原告は京都府が求めた調査内容も回答拒否(乙13)。
  9. 平成29(2017)年10月22日、台風21号。
  10. 平成29(2017)年11月7日、木津川市長が奈良県農林部長と懇談し、水質を改善したいこと、事業者を適切に指導してほしいことを依頼(乙14)。
  11. 平成29(2017)年11月8日、赤田川水質汚濁状況調査報告書(乙15)が奈良県畜産課及び奈良市保健所に手渡され、ECメーターのピークが夜間にあることも合わせて報告された。ECメーターの夜間のピークは奈良側でも衝撃をもって受け止められている(乙16の1)。
  12. 平成29(2017)年11月14日、木津川市長が奈良県知事を訪問し、赤田川水質汚濁状況調査報告書と要請書(乙17の1)を手渡す。木津川市は当初、この要請書を木津川市長と京都府知事の連名で発出することを目指しており(乙17の2)、検討途中の文案では「事業所が上流側の汚濁源の一つとなっている可能性が示唆されています」と、かなり踏み込んだ表現をしていた(乙17の3)。
  13. 平成29(2017)年11月22日、木津川市長が奈良市長を訪問し、赤田川水質汚濁状況調査報告書と要請書(乙18の1)を手渡す。
  14. 平成29(2017)年12月8日、EC連続モニタリング調査を再開。夜間のピークが消え、10時と14時にピークが現れる(乙19)。
  15. 平成29(2017)年1月16日、村田養豚場が奈良県畜産課を通じ12月8日から22日のEC連続モニタリング調査の詳細について問い合わせ。木津川市はそれに回答(乙20)。
  16. 平成30年(2018)2月16日、奈良県が「養豚場は[不開示]の費用をかけて排水処理施設の改修を行う意向を示している」と連絡(乙21)。
  17. 平成30(2018)年3月5日、奈良県から木津川市に以下の連絡(乙22)。
    • 村田養豚場の意向が変わり、排水対策の実施自体がどうなるかわからない状況になった。
    • (養豚場が)過去から主張されている、木津川市の市道管理、水路管理、境界確定等の改善を改めて求められ、これらが整理されなければ、予定されていた排水対策は取りやめるという意向であった。
    • 本件について、関係行政機関(木津川市、京都府、奈良市)と話し合う場を求められ、これに奈良県も同席してほしいという意向であった。
  18. 平成30(2018)年3月、原告が木津川市に対し数度にわたり文書を送る(乙27)。
  19. 平成30(2018)年3月26日、翌27日にかけ村田養豚場から関連行政機関に直接電話。3月29日の17時以降であれば、全ての行政機関の日程調整がつくため協議を行うことになった(乙23)。
  20. 平成30(2018)年3月29日、赤田川水質汚濁に係る関係行政機関と村田養豚場の合同会議が開かれた(乙24)。
  21. 平成30(2018)年6月7日、木津川市が奈良市を訪問して村田養豚場の赤田川を挟んで北側の土地に関する市有土地境界確定図の修正について協議(乙25)。
  22. 平成30(2018)年6月26日、木津川市が奈良市に電話をして村田養豚場の赤田川を挟んで北側の土地に関する市有土地境界確定図の修正について協議(乙26)。
  23. 平成30(2018)年8月10日、木津川市が、村田養豚場の赤田川を挟んで北側の土地に関する市有土地境界確定図から、本件土地1と本件土地2の土地境界線を削除した(乙27)。
  24. 平成30(2018)年8月21日、奈良市よりファックスがあり、原告が本件市有土地境界確定図の追加修正を求めている旨連絡があった(乙28)。
  25. 平成30(2018)年11月28日、木津川市が、村田養豚場の赤田川を挟んで北側の土地に関する市有土地境界確定図から、赤田川に架かる橋付近の木津川市道の土地境界線を削除した(乙28)。

6 訴状第4-1「村田養豚場が他人所有地を無断で掘削・占拠しているということについて」

原告の主張には、以下にあげる二つの前提がある。

  • 本件土地1所有者 〈東鳴川C〉と原告の間で締結された本件賃貸借契約が、本件土地1の掘削を巡り、両者を当事者として裁判が行われたにも拘わらず、本件賃貸借契約がその締結時から現在にいたるまで途切れずに継続していること。
  • 平成30(2018)年11月28日に、木津川市の市有土地境界確定図から、本件土地1と本件土地2の境界線が削除された理由が、両土地の境界線が未確定であったことによること。

そこで、上記が真実であるかついてそれぞれ検討したのち、現状を説明する。

(1)争点ア 本件賃貸借契約は継続していたか。

以下のとおり、平成17(2005)年2月以降、本件土地1所有者〈東鳴川C〉が本件賃貸借契約の解消を望んでいたことは明らかである。

  • 平成17(2005)年2月以降、〈東鳴川C〉は、本件土地1賃貸借契約に基づく〈村田商店代表乙の父〉からの賃料支払いを拒否した(本件境界確定経緯4/甲5-6頁)。
  • 平成20(2008)年7月頃、木津川市からの問い合わせに対し、〈東鳴川C〉は「内容は土地の明け渡しに関して双方の借地契約書の借地期限の違いから調停が行われ、不成立になった。相手の契約書の借地期限の切れる来年2月まで静観をしたい」旨述べた(本件境界確定経緯12/乙6)。
  • 平成21(2009)年12月15日、〈東鳴川C〉が〈村田商店代表乙の父〉に対し損害賠償請求の訴えを提起(本件境界確定経緯14/甲5-6頁)。

よって、〈村田商店代表乙の父〉が平成22(2010)年4月14日付け内容証明郵便で、〈東鳴川C〉に対し、本件土地1賃貸借契約の解除を通知したことにより(本件境界確定経緯15/甲5-6頁)、〈東鳴川C〉が本件賃貸借契約が完全に解消されたと受け取るのは当然である。

原告は「前期訴訟後、訴外〈村田商店代表乙の父〉及び訴外〈東鳴川C〉の双方から、本件賃貸借契約の解消の申出がされたことはない」とするが、すでに解消されている契約について、重ねて解消の申出を行う必要はない。事態はむしろ逆であって、いずれかから再契約の申出があり、双方が再契約に合意しない限り、本件賃貸契約が解消されたという事実は覆らない。

被告は、平成27(2015)年10月頃に、本件土地2所有者の一人、〈加茂町B〉の紹介で、〈加茂町B〉とともに〈東鳴川C〉と面会し、本件土地1に関する事情を詳しく聞き取っているが、〈東鳴川C〉はその際はっきりと「賃貸契約はどのような解釈によっても完全に解消した」と述べている。この言葉遣いからは、〈東鳴川C〉が本件賃貸借契約の解消のため、様々な苦労(上記ア〜ウ)を強いられてきたことがうかがえる。

また被告は、平成31(2019)年3月2日、原告代理人より本件御通知書(乙1)が到達したことを受け、〈東鳴川C〉に電話をして賃貸契約の有無について改めて確認している。この時にも〈東鳴川C〉は次のように述べている。

  • 村田さんに今は東鳴川502の使用権はない。
  • 裁判では山林掘削時には村田さんの使用権があったということになった。
  • でも今現在は賃貸契約などはない。
  • 小屋やゴミは片付けてもらわないと困る。

なお、原告代理人が被告に送付した本件御通知書には、本件賃貸借契約が継続していることが書かれていない(乙1)。原告が主張するとおり、本件賃貸借契約が途切れなく継続していたのであれば、そのことが本件御通知書で指摘されなかったことは不自然である。

したがって、本件賃貸借契約が、本件土地1掘削をめぐる訴訟が提起されたことによって解消されたことは事実である。よって、本件賃貸借契約が継続していることを前提とした原告の主張は、すべて根拠がない。

(2)争点イ 本件市有土地境界確定図から削除された境界線は誤りだったか。
1)本件土地1及び本件土地2の境界線が削除された理由は、未確定ゆえではない。

原告は「本境界が未確定ゆえ削除された」とするが、実際にはそのような理由で削除されたのではない。平成30(2018)年8月10日施行の木津川市の回議書「法定外道路(加茂町西小長尾・長尾谷地内)の市有地境界確定図の修正について」(甲7の1)には、誤りの内容として次のように書かれている。

  • 境界線が、奈良市域まで入っている。
  • 本件確定に関係のない民々界が記載されている。
  • 方位の記載がない。

またこれより前に、木津川市管理課が奈良市を訪れて、本件市有土地境界確定図の修正について協議しているが、その報告書では同じ理由がもう少しわかりやすい表現で書かれている(乙25)。

  • 長尾2と東鳴川町502の民々界が記載されていること(ヒゲ線だけで足りるのに)。
  • 奈良市側と思われる箇所にまで里道を作ったこと(奈良市・奈良市地元の了解を得ずに)。

すなわち、本件市有土地境界確定図修正は、木津川市による奈良市側への越境確定が問題視されたために行われたものである。越境の可能性がある境界線については、奈良市等と連携して再確定手続きを進める上で必要とされたことから、木津川市で確定した境界線を一旦未確定とされた。つまり、それらの境界線は「未確定ゆえ削除された」のではない。

なお、平成30(2018)年11月28日施行の木津川市の回議書「法定外道路(加茂町西小長尾・長尾谷地内)の市有地境界確定図の修正について」(甲7の2)には、今後の方針として「上記の修正により推定線としたため、改めて確定線とするため、当該市有里道敷に市有水路敷(準用河川赤田川)も含め、既確定を考慮して、本市が申請人となって府県境確定を奈良県・奈良市に申請する」とあり、木津川市が修正前の既確定を尊重して、削除した境界線を奈良市とともに再確定する方針であることがわかる。本件境界確定経緯から、これは当然のことと言える。

したがって、平成30(2018)年8月10日及び平成30(2018)年11月28日に本件市有土地境界確定図修正があったからと言って、それ以前に遡って土地境界が未確定であったとみなすことはできない。

2)本件市有土地境界確定図修正手続きは違法であり、修正後の境界確定図は無効である。

平成30(2018)年8月10日施行の木津川市の回議書「法定外道路(加茂町西小長尾・長尾谷地内)の市有地境界確定図の修正について」(甲7の1)には資料として、修正前の本件市有土地境界確定図に係る隣接所有者の同意書が付属している。これを見ると、修正前の確定図では隣接所有者全員が同意書に署名捺印し、同意書と本件市有土地境界確定図の写しの両方にまたがって割印が押されている(乙27)。

なお「木津川市所管法定内公共用財産、法定外公共用財産及び市有地境界確定事務取扱要領」(以下、「要領」という。)には、修正あるいは訂正に関する規定が存在しないため、一度確定した市有地境界確定図の修正を行うためには、要領第15条に定められた再確定の規定に従わなければならない。この場合、境界確定の手続きを再度はじめからやり直すことになるので、当然のことながら、要領第10条に定める隣接所有者の同意書についても再度提出される必要がある(乙76)。

ところが、平成30(2018)年8月10日の修正及び平成30(2018)年11月28日の修正では、いずれも修正前の本件市有土地境界確定図と同様の同意書が提出されていない(乙27乙28)。

木津川市は、本件確定図修正前の平成30(2018)年6月末から7月中旬にかけ、木津川市管理課が隣接所有者を戸別訪問しているが、このとき口頭で本件市有土地境界確定図を修正する大まかな方針を隣接所有者に伝え、その方針に対し隣接所有者から口頭で了承を得たことをもって、隣接所有者の了解を得たとしている(乙27)。しかし隣接所有者は事前に口頭で了承を求められたのみで、修正後の本件市有土地境界確定図を見せられてもおらず、それどころか本件確定図が修正されたことすら、隣接所有者には通知されていない。このような手続きは明らかに要領を逸脱している。

さて被告は確かに、原告が指摘するように、本件市有土地境界確定図修正の後、木津川市からメールで本件市有土地境界確定図が修正された旨を周知され、「弥勒の道プロジェクト」ホームページ上の掲載について配慮をお願いされている(甲8)。ただし、メールの内容は「指示」と呼べるようなものではなく、「配慮」についても具体的に何をどうするべきか不明で、またなぜそのような修正がなされたかについても具体的な説明がなかった。当然被告は本件境界確定経緯を知っているので、このような修正はあり得ないと感じ、平成31(2019)年2月、木津川市に対し本件市有土地境界確定に関する行政文書の開示を請求した(乙29)。その中においても被告は、同意書が提出されていないこと及び隣接所有者に修正を通知していないことは違法である旨指摘しているが、この指摘に対して、木津川市は、理由説明書及び補充理由説明書において次のように答えている(乙30)。

  • 同意書が提出されていないことについて。
    ➡規定がない以上、本市の裁量の範囲内と考える(同意書が提出されていないことは認めている)。
  • 修正が通知されていないことについて。
    ➡隣接所有者に説明を行った際に、再度、本市により改めて確定手続きを行うことを前提に一旦修正することで了解を得たため、本件修正後に改めて本件修正の完了の報告や通知、修正図を見せたりはしていなかったものである。

一方木津川市法定外公共物管理条例第17条では、以下のとおり「協議による境界の確定」が定められている(乙77)。

第17条 市長は、法定外公共物の境界が明らかでないためにその管理に支障があるときは、隣接地の所有者に対し、必要な事項を通知して、境界を確定するための協議を求めることができる。
2 前項の規定により協議を求められた隣接地の所有者は、同項の通知に従い、その場所に立ち会って境界の確定につき協議するよう努めなければならない。
3 市長及び隣接地の所有者は、第1項の協議が整ったときは、書面により、確定された境界を明らかにするものとする。

本条文が木津川市に与えている権限は「(隣接所有者に)協議を求めること」であって「(木津川市が)自ら確定すること」あるいは「(木津川市が)自ら修正すること」ではない。したがって木津川市が、隣接所有者と協議を持つことなく、隣接所有者による同意書も得ずに、本件市有土地境界確定図を修正したことは、木津川市法定外公共物管理条例及び要領に照らして、明らかに違法である。しかも令和元(2019)年8月現在、未だ隣接所有者に修正が通知されていないことは理解に苦しむ。木津川市は直ちに違法な修正を撤回するべきと考える。

いずれにせよ、木津川市は本件市有土地境界確定図の修正について「本市により改めて確定手続きを行うことを前提に一旦修正する」ものとしており、木津川市としては、この修正は手続き上必要とされた仮のものという認識であることがうかがえる。

3)本件市有土地境界確定図修正は、原告による排水設備改修の交換条件とされていた。

平成30(2018)年8月10日施行の木津川市の回議書「法定外道路(加茂町西小長尾・長尾谷地内)の市有地境界確定図の修正について」(乙27)別紙「本件修正に至る経緯」を見ると、本件市有土地境界確定図修正は、隣接所有者ではない第三者からの抗議あるいは指摘が発端となっていることがわかる。結論から言えば、この第三者は原告である。

本件市有土地境界確定図の修正を要望していたのが原告であることは、平成19(2007)年の確定時からこれに疑義を述べていたのが原告の他に存在しないことに加え、木津川市が被告に送った本件市有土地境界確定図修正を周知するメールを、原告が知っていた事実からも明らかである。

原告は被告に送った本件御通知書において、前述のメールが「村田養豚場から赤田川と周辺環境を守る有志の会」宛に送られたものと思い込んでいる(乙1)。これはそのようなメールを送るよう木津川市に要求した当人以外にあり得ない思い込みと言える。なぜなら、もし原告が情報公開請求などで事後的に前述のメールを知ったのであれば、宛先を正しく認識できたはずだからである。すなわち、原告は平成30(2017)年11月28日の修正前から、本件市有土地境界確定図が修正されることを知っていたということになる。一方で本件市有土地境界確定図の修正は隣接所有者にも通知されておらず、被告も前述のメールがなければ修正を知り得なかった。よって、木津川市にこのようなメールを要求できたのは修正の発端となった苦情申立者以外にあり得ないと結論できる。

前述の「本件修正に至る経緯(乙27)」によると、原告は平成28(2016)年にも本件市有土地境界確定図の修正を求めているが、この時の木津川市は修正には取り掛かっていない。「本件修正に至る経緯(乙27)」の記述からは、修正に必要な奈良市の協力が十分には得られなかったことがその理由とうかがえる。

ところが、平成30(2018)年3月に、原告が数度に渡って文書による指摘を木津川市に送付して以降、木津川市は、それ以前と同様、奈良市の協力が得られる目処が立っていない(乙26)にも拘わらず、修正へと見切り発車してしまうのである。

平成30(2018)年11月28日施行の木津川市の回議書「法定外道路(加茂町西小長尾・長尾谷地内)の市有地境界確定図の修正について」(甲7の2)には、平成30(2018)年8月21日に奈良市から送られてきたファックス文書が添付されている(乙28)。このファックス文書は、8月10日の修正に関し、奈良市に対しても、原告が追加の修正を主張してきたことを木津川市に伝えるもので、「(原告)が奈良市に言って来られ、木津川市に言うようにとのことでしたので、お伝えします」との口ぶりから、このファックスが奈良市の意向というよりも、原告の意向によって送られたものとわかる。このファックス文書では、奈良市に連絡してきた人物が誰であるかが不開示となっているが、この時点で本件市有土地境界確定図の修正を知り得たのは、最初の苦情申立者以外にないので、この人物は原告である。

結局木津川市は、8月21日のファックスにある修正要求を反映させる形で、平成30(2018)年11月28日に本件市有土地境界確定図を修正し、同日、被告にこれを周知するメールを送った。

本件境界確定経緯を考えると、この修正は極めて不可解だと言わなければならない。木津川市は、京都府警の捜査に協力する形で、原告の違法行為を是正させるために確定した境界線(本件境界確定経緯参照)を、原告の求めに応じて、あろうことかただ削除し、しかもそれを山林掘削の被害者が含まれる隣接所有者には通知せず、「一旦修正」としながらも削除した境界線を未だ再確定していない。

実はこの木津川市の異様な動きは、赤田川水質汚濁問題と連動している。赤田川水質汚濁問題について詳しくは後述するが、原告の経営する村田養豚場の北を流れる木津川の支流、赤田川では、平成28(2016)年12月以降、木津川市の水質調査でたびたび異常な水質汚濁が検知されていた。

これを受け、木津川市は平成29(2017)年5月30日に赤田川を遡る現地調査を行い、その後も詳細な分析を続けている(乙10)。また下流では農業への影響が心配されたため、平成29年夏ごろ、農協や下流地域から、赤田川の水質改善を求める要望書が、木津川市長に直接手渡された(乙11乙12)。

こうした下流域農家の懸念を背景に、木津川市長の問題解決への意気込みは強く、平成29(2017)年11月、木津川市長は奈良県知事と奈良市長を相次いで訪問し、赤田川水質汚濁状況調査報告書と要請書(乙17の1乙18の1)を両者に自ら手渡している。

この間木津川市は、月1回以上の水質調査を継続するとともに、機会を捉えては奈良県などに水質改善への協力を要請しているが、平成30(2018)年2月16日、ようやく奈良県から「養豚場は[不開示]の費用をかけて排水処理施設の改修を行う意向を示している」という情報が、木津川市にもたらされた(乙21)。

ところが、平成30(2018)年3月5日、奈良県から木津川市に、一転して以下のような報告がなされる(乙22)。

  • 村田養豚場の意向が変わり、排水対策の実施自体がどうなるかわからない状況になった。
  • (養豚場が)過去から主張されている、木津川市の市道管理、水路管理、境界確定等の改善を改めて求められ、これらが整理されなければ、予定されていた排水対策は取りやめるという意向であった。
  • 本件について、関係行政機関(木津川市、京都府、奈良市)と話し合う場を求められ、これに奈良県も同席してほしいという意向であった。

イにある「境界確定」とは、本件市有土地境界確定図のことである。この連絡のすぐ後、原告は木津川市の複数の部局に質問状を送っている(乙27別紙)。

また平成30(2018)年3月23日に開かれた木津川市と奈良県畜産課との協議でも、奈良県畜産課が次のように発言している(乙23)。

養豚場は、基本的には、引き続き排水処理について改善措置を図る意向と思うが、法令違反の事実がない中、木津川市の対応によって、今後の方向を考えるといった話も聞いている。

このころ以降、本件市有土地境界確定図の修正は、原告に村田養豚場の排水設備を改修させるための交換条件となったとみられる。原告と木津川市のやり取りは不開示となっており、どのような交渉がなされたか不明であるが、下流域からの強い水質改善要求にさらされていた木津川市が、原告の示した交換条件(上記イ)を実質的に受け入れたのだとしても不思議はない。実際木津川市は平成30(2018)年の4月から9月にかけ、原告の要求にある水路工事も行なっている。

以上のように、赤田川の水質改善を焦る木津川市が、原告の示した交換条件を満たすため、本件市有土地境界確定図の修正を急いだのだと考えると、木津川市が、隣接所有者との協議を省略し、要領に定められた同意書を提出せず、隣接所有者に修正図を通知してもいないことの理由が推測できる。

奈良市の協力が得られない現状では、境界線を削除した場合、それらをいつどのように再確定するのか、全く見通しが立たないことになるが、この状態で、隣接所有者が境界線の削除に同意することは、本件境界確定経緯からみて、まずあり得ない。それゆえ木津川市は、原告に排水設備を改修させるための交換条件を満たすべく、本件市有土地境界確定図の修正を、隣接所有者から故意に隠している可能性がある。

以上見てきたように、本件市有土地境界確定図の修正は、木津川市の自発的な修正というよりも、赤田川水質汚濁問題をも利用した、原告の強い働きかけによるものと言える。

4)原告には原確定を尊重する道義的責任がある。

上記3)で検討したとおり、木津川市に本件市有土地境界確定図の修正を求めたのは、原告である。また、8月21日の奈良市からファックスによれば、原告は確定点番号を細かく指定して追加の修正を求めている。これらの事実から、原告が、本件市有土地境界確定図の原確定について、その詳細を熟知していることは明らかである。

本件市有土地境界確定図が、原告の違法行為をやめさせるために確定されたという経緯を鑑みれば(本件境界確定経緯参照)、原告には、当時の隣接土地所有者が同意した、原確定の境界線を尊重する道義的責任があると言わなければならない。

またどのような事情があれ、原告が山林を掘削したことによって、それまで土地所有者間で土地境界として了解されていた地形上の目印が失われたことは事実である。したがって、土地所有者間で、失われた地形上の目印に替えて、新たな地形上の目印を頼りに、それまでと異なる土地境界線が同意されたとしても、地形を失わせた原因者たる原告が、そのことにことさら疑義を申し立てることは、道義にもとる行為である。少なくともそれは、「奈良を代表する」にふさわしい振る舞いとは言えないであろう。

以上のとおり、本件市有土地境界確定図から削除された境界線がはじめから誤りであったとする原告の主張は不当である。よって、本件市有土地境界確定図から本件土地1と本件土地2の境界線が削除されたことをもって、過去に遡って当該境界線が未確定であるとし、ゆえに明確な境界侵害はなかったとする原告の主張は、すべて根拠がない。なお本件境界確定経緯からみて、そもそも原告には原確定の境界線を尊重する道義的責任がある。

(3)現状1 つづく汚泥・生ゴミ等の投棄

本件記事公開後も、本件土地1には、様々なものが捨てられたり置かれたりしていたことについても指摘したい。中でも、豚舎から出たと見られる汚泥を、冬から春にかけ頻繁に投棄していることは、本件土地1が赤田川に隣接することから赤田川の水質への影響が心配される(乙31)。

本件土地1には、汚泥が積み重なっているため、常に真っ黒な水が溜まった水たまりができており、気温が上がると、水たまりにも拘わらず、たくさんの泡が浮いている。こうした汚泥から染み出した汚水が、赤田川へ流れ込んでいることは確実と思われる。冬期は生ゴミの投棄も多く、本件土地1には多くのカラスが常に群がっている(乙31)。

ところで平成30(2018)年、平成31(令和元、2019)ともに、原告は春頃になると、投棄した汚泥を畑の畝のように整形する作業を行っている(乙31)。

これは汚泥の投棄について「畑作のために土壌を改良している」と説明できるよう形を整えているものと考えられる。ただし、この場所に畑作の実態はない。確かに、片隅に家庭菜園程度に作物が植えられてはいるが、ほとんど管理されておらず、雑草に覆われている。そのほかの場所は、畑の畝のようになっているとは言ってもゴミ混じりで、とても作物の育成に適した土には見えない。実際、赤田川北の小屋の横にあった汚泥にはほとんど雑草が生えなかった(乙31)。

被告は、原告のこうした行為を、不法投棄や家畜排せつ物法違反に該当するのではないかと考えていたが、本件土地1所有者〈東鳴川C〉は、原告との一連の裁判で心身ともに疲弊しきっている様子が見られ、〈東鳴川C〉に原告による違法疑いのある行為を知らせたとしても、適切な対応を避けてしまうおそれがあった。その場合、将来なんらかの事故や災害があったときに、〈東鳴川C〉が違法疑いのある行為を知っていて放置したのは容認していたからだと判断される危険があると考え、〈東鳴川C〉にこうした現状を知らせることはあえて控えた上で、被告としては、事故や災害等で汚泥が流れ出した場合に備え、その原因者を特定できるよう証拠の保全に務めていたものである。

(4)現状2 所有権の移転

以上、原告の訴状および本件提訴前の状況を前提として、原告による請求の原因を検討してきた。しかしながら、本件訴状の到達を受けて、令和元(2019)年8月9日、被告が本件土地1所有者 〈東鳴川C〉に、改めて賃貸借契約の有無等について確認したところ、以下のような回答があった。

  • 東鳴川町502土地は8月の末に村田さんに売却することになっている。
  • 村田さんがまた借りるということにしても永久に借りることになるから、どうせなら売ってほしいというので、そこまで売ってほしいならということになった。
  • 夏までに、奈良側の隣接所有者とは境界を確定した。
  • 村田さんが言うには、今までも使ってきたのは事実だから、今まで賃借していたことにして、その分の賃料を払いたいとのことで、今までの賃料数年分と、今年の分は半年分を、8月初め頃に払ってもらった。
  • 京都側の境界は村田さんが木津川市と相談しているというので、知らない。
  • 京都側のことはよくわからないが、村田さんは木津川市とは市道の買い取りについても相談していると言っていた。
  • 木津川市加茂町西小長尾2土地所有者の〈加茂町B〉さんが何か言ってきても、村田さんが対応するということになっている。

上記は電話でのやり取りであった上、〈東鳴川C〉は「あの土地と自分はもう関係がない」として、被告の問い合わせに対しあまり協力的ではなかった。そのため詳細は不明であるが、令和元(2019)年9月現在、すでに本件土地1の所有権は村田養豚場関係者に移っている。

したがって、訴状における原告の主張とは関係なく、本件土地1所有者の許可なく原告が同土地に設置したり投棄したりしていた物について、現在ではその違法性を疑う根拠が失われている。本件土地1所有者と原告の間で本件土地1の売買契約が成立したうえ、過去に遡って本件賃貸借契約が継続していたとみなすことに双方が合意したことにより、過去における原告の行為が、〈東鳴川C〉にすべて認容されたと解すことができるためである。ただし、本件賃貸借契約が継続していたとみなす合意は、令和元年8月初めに成立したのであるから、本件賃貸借契約が過去から途切れずに継続していたことを前提とする原告の主張は不当である。

よって、上記(3)現状1で報告した本件土地1における汚泥投棄についても、現在では、土地所有者の許可なしに投棄したとして、その違法性を問うことはできない。今後同様のことが繰り返された場合は、家畜排せつ物法に基づき、奈良県によって適切な指導がなされているかどうかが問われることになると思われる。

この新しい状況を受け、被告はすでに本件記事及び本件ウェブサイトの内容を変更した。詳しくは、第2-11で述べる。

以上のとおり、訴状第4-1における原告の主張には根拠がない。それだけでなく、原告が本件土地1を取得したことで、今後原告が、現在および将来の行為に対しても、本件訴状同様の主張を行うことが強く危惧される。すなわち境界が未確定であるから不動産侵奪に当たらないと主張して、修正前の本件市有土地境界確定図にある本件土地1と本件土地2の境界を無視し、本件土地2や公道上に物や建築物を設置したり、あるいは検察官に指導されて中断した山林掘削を再開するような事態が今後起こりかねない。

なお現在でも、修正前の本件市有土地境界確定図において本件土地2とされている場所には、村田養豚場のトラックやコンテナが置かれており、橋のそばにある犬の檻についても、本件土地2の上に置かれている可能性が高い(乙32)。

また木津川市は、今後、奈良市と連携して、一旦削除した境界線の再確定を進めると考えられるが、原告が本件訴訟の論拠を保つために再確定協議を拒んだり、あるいは原確定に沿った再確定を拒絶し、本件土地2を大きくえぐる形で新たな境界線を提案するおそれもある。

しかし第2-6-(2)-4)で検討したように、原告には本件市有土地境界確定図の原確定を尊重する道義的責任がある。原告は、原確定を踏襲した境界線の再確定に快く協力するべきと考える。また、原確定は、京都府警の捜査に協力する形で、京都府警に対して、当時の土地所有者がそれぞれの土地の土地境界を示したものであることを、原告は改めて思い起こすべきである。これまでに検討したように、原告が原確定の境界線を熟知しているのは明らかであるから、仮に原告が次また無断で他人地を掘削するなどした場合に、検察官が原告に対し二度目の温情を示すとは限らないということを、あらかじめ指摘しておきたい。

7 訴状第4-2「村田養豚場が犬を不法に放飼いにしているということについて」

まず原告の主張は詭弁の類と言える。常に放し飼いの状態になっている犬が存在しないことは、常に一定数の犬が放し飼いの状態にあるということを否定しない。常に犬が「交代で」放し飼いになっていれば前者と後者は両立する。

また、令和元年3月の本件御通知書で「犬を違法に放し飼いしておらず、檻の中で飼育している」としていたのに対し、本件訴状においては「犬の一部を檻から放すことはある」とし、原告はむしろ放し飼いの存在を認めており、このことには、本裁判を通じ、危険な犬の多頭放し飼いを正当化しようという、原告の戦略的な意図が感じられる。このような主張は村田養豚場周辺の地域社会にとって脅威以外のなにものでもない。

そこで以下のとおり、原告による犬の放し飼いが違法かつ極めて危険なものであることを示す。

1)原告は奈良市保健所・京都府山城南保健所の双方からこれまで繰り返し指導を受けている。
  1. 平成24(2012)年2月29日 奈良市保健所が京都府山城南保健所に、村田養豚場に対し次の指導を行なったと報告(乙34)。

    • 犬は繋いで飼うこと
    • 繁殖制限を行うこと
    • 犬の登録及び狂犬病予防注射を行うこと
    • 夜間は、オリの中に入れること
  2. 平成26(2014)年3月4日 奈良市保健所が京都府山城南保健所に、村田養豚場に対し次の対応を行なっていると報告(乙35)。

    • 村田養豚場の[不開示]が主に世話をしており、イノシシから身を守るために放し飼いにしているとのことだった。
    • 奈良市としては首輪を付ける、囲うように指導
  3. 平成26(2014)年3月7日から3月20日までに、京都府山城南保健所が、11頭の犬を浄瑠璃寺裏で捕獲し、4回計8頭を村田養豚場に返還した。返還時に放し飼いをしないように口頭で指導するとともに指導票を3回(計6枚)交付したが、状況は変わらなかった(乙36)。原告は3月12日に犬を引き取りに来た際、敷地を囲うように説明されたが、それに対して「考える」と答えている(乙35)。なお、指導票の内容は犬の状況により細かな違いがあるが、およそ下記のとおりである(乙52)。

    • 当該犬が敷地外に出ないように常に係留しておくか又は囲いの中で飼養すること。
    • 当該犬の登録をしていない場合は所在地の市町村で登録し、鑑札を犬に着けておくこと。
    • 当該犬に毎年狂犬病の予防接種を受けさせ、注射済票を当該犬に着けておくこと。
  4. 平成26(2014)年3月26日、原告が京都府山城南保健所に電話をかけ、犬の返還に関して同保健所の対応に抗議をしているが、原告はこの時もイノシシから養豚場を守るために犬を放していると説明している。これに対し京都府山城南保健所は次のように指導した(乙36)。

    • イノシシ、サル避けのためと言えども犬が多数放たれており、観光地でもある浄瑠璃寺周辺まで来ているので大変危険であるので、できるだけ早く繋ぐか囲うようにすること。
    • 当所は(原告)の飼養場所への立入権限はないので奈良市からの具体的な指示を守って欲しい。
  5. 平成27(2015)年11月4日、原告は京都府山城南保健所に電話をかけ、村田養豚場近くの木津川市道で草刈りをしていた人(被告)に、犬をつなぐよう言われたことが不当であると苦情を申し立てたが、保健所から次のように指導された。また、京都府山城南保健所はこのやり取りを奈良市保健所に伝え、犬について原告を指導するよう依頼している(乙39)。

    • 公道を通る際に犬に吠えかかられては、通行者が脅威を感じることは当然である。イノシシの害は理解できるが、人に危害を与えないよう係留は必要なことと考える。
  6. 平成28(2016)年1月25日、奈良市保健所は、原告に対し、文書をもって下記のとおり指導した(乙41)。

    飼い犬を係留すること、また野犬への餌付けをやめるよう度々お伝えしてきましたが、一向に改善が見られません。

    (原告)がかねてより主張する害獣対策よりも通行人や地域住民への危害の防止が優先されることは疑う余地はありません。

    これ以上事態を放置することは大変危険と判断できますので、以下のことについて遵守するよう申し伝えます。

    所有する犬について以下のことを実施すること

    • 係留または囲いの中での飼育(放飼いの禁止)
      (奈良県動物の愛護及び管理に関する条例第5条)
    • 飼い犬事故届の提出(飼い犬が人を咬んだ場合)
      (奈良県動物の愛護及び管理に関する条例第13条第2項)
    • 登録ならびに鑑札の装着
      (狂犬病予防法第4条)
    • 狂犬病予防注射ならびに狂犬病予防注射票の装着
      (狂犬病予防法第4条)

    ご協力のお願い

    • 当市による野犬の捕獲へのご協力
    • 野犬への餌付けや野犬の餌となるような物を放置しない
  7. 平成28(2016)年3月17日、京都府山城南保健所が奈良市保健所に対し、京都府山城南保健所長名で、村田養豚場における犬の適正飼養について要望書を発出した(乙44)。

    地域住民頭の安心・安全が脅かされることがあってはなりませんので、貴保健所におきましても、村田養豚場における犬の飼育等の状況を改めて把握いただき、必要に応じて、関係法律又は条例に基づき、犬の抑留・係留等の適正な飼養の指導等に万全な対応を徹底していただきますようお願いします。

  8. 平成29(2017)年4月12日、京都府山城南保健所が奈良保健所を訪れ、下記を要望した(乙33)。

    • 原告に飼い犬は係留や逃げ出さないように飼養することを指導して欲しい。
    • 今後犬の捕獲を実施すると原告に伝えて欲しい。
  9. 奈良市保健所から開示された経過文書は不開示部分が多いため詳細が不明であるが、頻繁に村田養豚場を訪れなんらかの指導を行なっている様子がうかがえる(乙33)。

2)村田養豚場周辺で捕獲された犬は、京都側奈良側を合わせ、平成26年(2014)以降だけで100頭を超える。

被告が、京都府山城南保健所から開示された、浄瑠璃寺周辺で捕獲された徘徊犬に関する文書(乙52)を集計したところ(乙53)、平成26(2014)年度以降平成31(2019)年3月までに京都側で捕獲された徘徊犬は、計54頭であった。そのうち他の文書(乙36乙49)から原告が引き取ったことが明らかな14頭に、捕獲後即日返還されていることから原告が引き取ったと推定できる5頭を加えると、合計19頭が原告に返還されていたことになる。

一方、奈良市保健所から情報提供された捕獲犬リスト(乙54)は、抑留犬の公示文書を元にしており、公示前に返還された犬については、その数を捕獲された数に含めていない。そのため実際の捕獲数はこれよりも多いと思われるが、同リストによれば、平成26(2014)年度以降、中ノ川町及び東鳴川町で捕獲された犬の総数は33頭で、そのほぼ全数が処分されている。

これに加え、京都府山城南保健所の平成26(2014)年3月12日付け連絡事項処理用紙(乙35)によれば、このとき奈良市保健所が、平成26(2014)年1月6日から3月4日までの間に計16頭を捕獲、しうち2頭を村田養豚場に返還したと報告している。

これらを全て合計すると、村田養豚場周辺では、平成26(2014)年以降だけで少なくとも103頭の徘徊犬が捕獲され、うち21頭が原告に返還されているとわかる。なお捕獲されたうち、原告に返還されなかった犬のほとんどが処分された。浄瑠璃寺近隣住民などの証言によれば(乙35)、原告による犬の放し飼いは二十数年前から始まっており、これまでにどれだけの数の徘徊犬が捕獲され処分されたかわからない。

原告は京都府山城南保健所に「犬の避妊去勢をしておらず犬が勝手に増えすぎるのも困るので子犬が生まれた時に減らすこともある」と述べているが、このような、繁殖を制限しない不適切な犬の飼養は、動物虐待に等しいと言わなければならない(乙36)。

3)村田養豚場周辺の徘徊犬は広範囲を数頭から10頭ほどの群で移動している。

村田養豚場周辺の徘徊犬は、若草山にも現れたことがあり(乙35)、浄瑠璃寺周辺など近隣地域だけでなく奈良市内の観光地にも危険を及ぼしている。以下は、京都府山城南保健所の文書及び奈良市保健所の経過文書(乙33)から、主な通報のみを抜き出したものである。なおこれら以外にも、京都府山城南保健所、奈良市保健所ともに、村田養豚場周辺で頻繁に見回りや捕獲を行っている(乙33乙51)。また被告も、浄瑠璃寺周辺や中ノ川町の山道で頻繁に徘徊犬と遭遇している(乙55)。

  1. 平成26(2014)年3月12日に、京都府・木津川市・奈良市の合同で情報交換をした際、奈良市保健所が、次のように報告している(乙35)。

    • 広範囲に移動しており、若草山で捕獲された犬について村田養豚場が引き取りに来たこともあった。
  2. 平成26(2014)年4月21日、奈良市保健所が奈良公園管理事務所を訪問して状況を確認(乙33)。

    • 昨日は5頭の野犬がいた
    • 若草山ではなく公園におりてきていた
  3. 平成26(2014)年4月23日、奈良公園管理事務所から奈良市保健所に電話(乙33)。

    • 今朝若草山山麓で3頭の野犬を見かけた
  4. 平成26(2014)年4月28日、奈良市保健所が鹿苑で2頭の犬(黒茶、メス2頭、首輪なし)を吹き矢とガネで捕獲(乙33)。

  5. 平成26(2014)年4月30日、岩船区区長から木津川市まち美化推進課に通報(乙37)。

    • 今朝(4月30日午前7時ごろ)唐臼の壺二尊石仏周辺で犬10匹がうろついていたので捕獲してほしい。
  6. 平成26(2014)年12月1日、浄瑠璃寺から京都府山城南保健所に通報(乙38)。

    • 野犬が5匹現れたので対応願いたい。
    • 12月2日に京都府山城南保健所から浄瑠璃寺に電話で確認。「犬は11月30日に境内に現れ、住み着いている猫を1匹かみ殺した。その後は現れていない。」
  7. 平成27(2015)年11月2日、奈良公園管理事務所から奈良市保健所に電話(乙33)。

    • 若草山山頂に野犬2頭がいた。
  8. 平成28(2016)年1月29日、京都府山城南保健所が浄瑠璃寺の協力を得て徘徊犬を捕獲した際、浄瑠璃寺から相談を受ける(乙51)。

    • 年末年始に10頭くらいの犬が山の向こう(養豚場)から来て困っている。
  9. 平成28(2016)年3月9日、木津川市加茂町西小の住民とみられる者から木津川市まち美化推進課に通報(乙43)。

    • 自宅の庭に野犬が10頭ほど入り込んで来て怖くて外に出られない。
  10. 平成29(2017)年9月15日、中ノ川町自治会から奈良市保健所に通報(乙33)。

    • 庭に8頭が出没。20日にも出没。
  11. 平成29(2017)年10月23日、浄瑠璃寺から京都府山城南保健所に通報(乙48)。

    • 午前8時頃、寺の庭で野犬3頭を見た。いつも徘徊している犬とは違う犬。
    • 同日午後、京都府山城南保健所が、村田養豚場から浄瑠璃寺に向かう山道に犬の足跡を多数確認。
  12. 平成29(2017)年12月12日、京都府山城南保健所が、浄瑠璃寺山門方向から山道を下りてくる犬を目撃。また、駐車場隣の空き地でも犬を目撃。要対策とする(乙51)。

  13. 平成30(2018)年1月5日、浄瑠璃寺から京都府山城南保健所に連絡(乙51)。

    • 境内を5〜6頭の犬が徘徊し、山の方へ移動していった。
  14. 平成31(2019)年1月18日、浄瑠璃寺から京都府山城南保健所に通報(乙51)。

    • 16日から毎日のように、犬が徘徊している。
    • 最大5頭(茶4、白1、うち首輪付き2頭)。
  15. 平成31(2019)年1月21日、京都府山城南保健所が、浄瑠璃寺で徘徊犬について聴取(乙51)。

    • 犬の徘徊は頻繁で、昨日は2グループ(①7頭グループ、②5頭グループ)が寺境内を徘徊していた。
  16. 平成31(2019)年2月12日、奈良市東部出張所長から奈良市保健所に電話。平成31(2019)年2月20日に奈良市保健所が東部出張所長に、県道沿いの犬は見かけないと確認をとっていることから、県道沿いに犬が徘徊していたことを通報した電話と思われる。

  17. 平成31(2019)年3月13日、京都府山城南保健所が浄瑠璃寺近隣で徘徊犬について聴取(乙51)。

    • 夜間に犬が3頭ほど徘徊していた。
4)原告は放し飼いにしている飼い犬と野犬を区別していない。
  1. 仮に原告が、村田養豚場周辺にいる犬について、飼い犬とそれ以外の徘徊犬を区別しているとすると、飼い犬以外の徘徊犬は、防疫上のリスクに他ならないので、飼い犬以外の徘徊犬を捕獲するよう奈良市保健所に依頼するはずである。しかし原告が奈良市保健所に徘徊犬を通報したり、徘徊犬の捕獲を依頼した記録は一切ない。

  2. 原告は、檻や囲いの外にいる犬について、飼い犬とそれ以外の野犬を区別して餌を与えておらず、村田養豚場周辺にいるどの犬でも容易に食べられる場所に餌を置いている。また村田養豚場では豚の餌の管理がずさんで、カラスや徘徊犬が、市道脇のドラム缶に入れられた豚の餌を食べていることも多い。加えて、目的は不明であるが、原告は敷地の外の数カ所で、定期的に地面に餌を撒いている。この地面に撒かれた餌は、周辺の徘徊犬だけでなく、カラスは当然のこととして、豚コレラを媒介するされるイノシシをも引き寄せている(乙56)。

  3. 平成31(2019)年2月14日、原告代表〈村田商店代表乙〉と見られる人物が、京都府山城南保健所が捕獲した犬を引き取っている。浄瑠璃寺野犬についての経過文書(乙51)に「飼い主娘」に返還とあることから、この人物は原告代表〈村田商店代表乙〉であると推定できる。

    この6日後の2月20日、原告とみられる人物が奈良市保健所を訪れ、犬を登録している(乙33:2月20日付の記事)。奈良市保健所犬担当の浦久保が口頭で情報提供したところによると、この時の登録は多かったとのことである。被告の「10頭程度か」との問いに、浦久保は「そんなような数です」と答えた。

    原告に犬が返還されたのは、約一年ぶりのことで、京都府山城南保健所では、この間11頭の首輪のない徘徊犬を捕獲し、淡々と処分している。したがって、原告が2月14日にその事実を知り、これ以上犬が減らないように、多数の犬を一度に登録したとも考えられる。

    いずれにせよ原告の都合次第で、多数の犬が登録され得るのであれば、村田養豚場周辺の徘徊犬が、原告の飼い犬であるかどうかについては、ただ原告の心のうちにあるというほかはない。これではその犬が飼い犬かどうか、他者が見分けることは不可能である。外形的には、どの犬にも餌が与えられており、首輪のあるなしに拘わらず、どの犬も、村田養豚場が放し飼いにしている犬に見える。

以上アイウのとおり、実態として、原告は放し飼いにしている飼い犬と野犬とを区別していないが、訴状にあるように、原告は、村田養豚場周辺には飼い犬以外の野犬もいると主張するので、奈良市保健所は、放し飼いだけでなく野犬への餌付けをやめるよう指導しているのである(乙41)。

5)原告には村田養豚場周辺の徘徊犬のほとんどを収容した実績がある。

平成28(2016)年3月17日、京都府山城南保健所が奈良市保健所に要望書を発出している(乙44)が、これを受け奈良市保健所などからの圧力が強まったことにより、原告は同年3月末ごろから、犬の囲いを増設し、多くの犬を囲いの中に入れるようになった。それと同時に、原告は、村田養豚場付近での奈良市保健所による犬の捕獲を一時的に容認している。これにより村田養豚場周辺の徘徊犬は激減した。本件記事 FACT.6 で「2016(平成28)年5月現在の現状を報告します。」として報告している状況が、ちょうどこの頃に当たる。

平成28(2016)年5月31日には、京都府山城南保健所が奈良市保健所を訪れ、「(村田養豚場)周辺で見かける犬がほとんどいなくなった。浄瑠璃寺でも見かけなくなり、捕獲箱は置いてあるが閉めてある状態である。指導対応していただいたことに感謝している」と礼を述べている(乙33)。

ところが本件記事で「ベニア板で作られたにわか作りの囲いの中や、建物の二階に犬を多数押し込めているのが実態です。このような飼い方が長続きするとはとても思えません」と指摘した通り、一年と待たず犬の放し飼いは再開された。京都府山城南保健所も、平成29(2017)年4月には二度にわたって村田養豚場周辺で現地確認し、犬の捕獲の再開を決めている(乙45乙46)。

しかしこの一件は、原告がその気にさえなれば、村田養豚場周辺の徘徊犬のほとんどを、囲いの中に収容し続けられることを示すものである。したがって、原告が、1)で示した奈良市保健所及び京都府山城南保健所の指導に従うのに、なんら支障があるようには考えられない。もし原告が放し飼いをしたいのであれば、市道の両側にある敷地のそれぞれを柵で囲い、その中でのみ犬を放し飼いにするべきである。

6)犬の放し飼いは豚コレラ対策にならない。

農林水産省は、豚コレラ対策として、犬の放し飼いは認めていない。平成29(2017)年9月に農林水産省消費・安全局が作成した「豚肉の生産衛生管理ハンドブック〜養豚農場・生産者編〜」には、ペット動物について次のように書かれている(乙57)。

犬や猫などのペット動物を衛生管理区域に入れないようにしましょう。

  • 犬や猫も、食中毒菌に感染していたり、毛や足の裏などの体表に食中毒菌が付いていたりすることがあります。

  • 防犯など実用目的で飼われている動物(番犬など)が衛生管理区域内にいる場合は、それらの動物が豚舎に出入りし、豚と接触しないようにしましょう。また、必要以上に衛生管理区域を出入りしないようにしましょう。

したがって、犬の放し飼いがそもそも飼養衛生管理基準上、全く適切でないことは明らかである。

また、平成30(2018)年12月28日に、全国の都道府県畜産主務部長宛に発出された通達「岐阜県で摘発された豚コレラ6例目の豚飼養農場における疫学調査結果を踏まえた飼養衛生管理基準の再徹底について」では、下記のとおり、飼養衛生管理基準第4「野生動物等からの病原体の侵入防止」を、さらに徹底することが求められている(乙58)。

外部からゴミ(食べ残し、野生動物の死骸など)を持ち込むリスクがあることから、野生も含め犬・猫等の愛がん動物を衛生管理区域内で飼養しないこと。

すなわち農林水産省は、豚コレラ対策の観点からは、原告の主張とは逆に、衛生管理区域内で犬を飼わないよう求めているのである。

まして村田養豚場の場合、餌の管理がずさんな上、敷地周辺に餌が撒かれているため、農林水産省の懸念はまさに当たっている。敷地周辺に撒かれた餌は、野生のイノシシも口にしている。イノシシが餌を食べた直後に、放し飼いの犬が同じ餌を口にすることは十分にあり得る。加えて放し飼いの犬は敷地内外を自由に移動しており、豚の餌が入っているドラム缶に鼻面を突っ込むこともしばしばである。したがって、村田養豚場が放し飼いにしている犬が、野生動物の持つ病原体を、養豚場に持ち込む可能性は決して低くはない。犬の放し飼いは、むしろ豚コレラ感染リスクを高めていると言わなければならない(乙56)。

また村田養豚場周辺では、あちこちに餌となるものが散乱しているため、カラスが異常に繁殖している(乙34乙56)。近年では、浄瑠璃寺上空に数百羽のカラスが現れることも増えている(乙50)。こうした現状は、村田養豚場が、豚コレラ対策以前に、飼養衛生管理基準を遵守していないことを示唆するものである。三重県でも豚コレラ感染イノシシが見つかる中、隣接する奈良県がこうした劣悪な衛生管理状況を放置していることは、下流にあたる京都府にとっても無視できないリスクとなっていると言える。

以上のように、原告の主張はすでに奈良市保健所及び京都府山城南保健所から完全に否定されている。また原告による犬の放し飼いの実態は、イノシシを追い払うために短時間犬を放つというようなものではなく、放し飼いにされた犬が広範囲を群で移動する、極めて危険なものである。加えて、原告による犬の放し飼い及び野犬の餌付けは、村田養豚場の餌の管理がずさんであることと合わせ、豚コレラを含む防疫上の重大なリスク要因となっている。

8 訴状第4-3「公道の違法占拠について」

1)村田養豚場は現在も公道上で日常的に作業をしている。

原告は現在も、会社の敷地の間にある、奈良市あるいは木津川市の市道上で、日中頻繁に、重機を用いた作業を行っている。とりわけ奈良市東鳴川町641土地と木津川市加茂町西小長尾谷6土地に挟まれた区間では、市道上で、運搬トラックを路上に停めての食品残渣の荷下ろし、路上に多数並べられた食品残渣の入ったドラム缶をフォークリフトで持ち上げ、ミニタイヤショベルのバケットに食品残渣を注ぎ込む作業、水を使ったドラム缶や重機の洗浄など、様々な作業が、断続的に、長時間行われており(乙59)、今なお村田養豚場の敷地の間にある市道は、安全に通行できる状況にはない。

すなわち、村田養豚場の敷地の間にある市道の現状は、本件記事において紹介した奈良交通のメールにある下記の状態から全く改善していない。

実際、浄瑠璃寺への道がどういった状況であるのかを確認いたしましたところ、道が途中で養豚場の敷地内に進入し、作業用の重機も往来しており、だれが見ても「これ以上奥へ進めない」状況であり、このような状況でお客様への案内に「浄瑠璃寺南口」は不適切であると判断した

2)村田養豚場の放し飼いの犬及び村田養豚場が餌付けしている野犬は通行の妨げとなっている。

1)で指摘した作業が行われていない間も、市道上あるいはそのすぐ近くに、常に数匹から10匹ほどの放し飼いの犬がいるため(乙60)、一般市民が市道を通行することが困難となっている。

村田養豚場による放し飼いの犬が恐怖を与え得るものであることについては、木津川市の平成19(2007)年第2回定例会における生活環境部長の答弁によっても指摘されている(乙6-6頁)。

◯生活環境部長(木下強)生活環境部長でございます。再度のご質問にお答えいたします。まず、犬の放し飼いの件でございますけれども、確かに私も年間数回現地を見に行ったりいたし、西小の方から重要河川をさかのぼって行けるところら辺までも行ったりという形でのことをしておるところでございます。上まで行きますと、数匹の犬がかなり意気込んで私たちの方に寄ってきますので、非常に恐怖を感じることでもあります。

また、京都府山城南保健所は、平成28(2016)年3月1日に村田養豚場を抜ける市道を現地確認した際、現地の状況を次のように評価している(乙42)。

浄瑠璃寺〜村田養豚までの里道において、多数の犬の足跡が認められた。

また、複数の徘徊犬(少なくとも4頭)が京都府内の里道を徘徊していた。

村田養豚場内では多数の犬が放し飼いにされており、これらが里道の上から吠えかかるため、里道を通行することができなかった(元の道を戻りました)。

<略>

上記里道については、例え家畜伝染病予防法の「衛生管理区域」の対象外となったとしても、多数の徘徊犬が存在しているため、一般人が通行することは困難であると考えます。

7で検討したように、放し飼いの犬についても、現在、状況は上記から全く改善していない(乙60)。

3)村田養豚場は市道を通行しようとする人を脅したり制止することがある。

  1. 平成27(2015)年11月13日の奈良市保健所への通報(乙40)。

    • 昨日(12日(木))の午前中に、木津川市から奈良市にかけての里道を通り、奈良市側の養豚場の傍まで行ったところ、6〜7匹の犬の取り囲まれて咬まれかけた(咬まれてはいない)。養豚場の人が出てきたが、「勝手に入るな」と叱られただけで犬については何もしなかった。養豚場は奈良市の管轄であろうが、犬は京都府の浄瑠璃寺あたりまで来ている。なんとか対応してほしい。養豚場の人にかなり脅されたので名前は言いたくない。
  2. 平成29(2017)年7月10日の木津川市まち美化推進課への通報(乙47)。

    • 昨日弥勒の道を歩いて村田養豚場付近まで行ったところ、複数の犬に取り囲まれ吠えられ怖い思いをした。養豚場から出てきた人に「入るな」とも言われた。(被告は該当する人物が思い当たらないが、「弥勒の道プロジェクト」のウェブサイトを見て、道を歩いてみたものと思われる。)

以上1)〜3)はいずれも奈良市法定外公共物の管理に関する条例第3条「何人も、法定外公共物の保全又は利用に支障を及ぼし、又は支障を及ぼすおそれのある行為をしてはならない」に反し、違法である(乙78)。

なお、奈良市公有財産規則第18条に「教育委員会及び部長は、その所管に属する土地の境界が明らかでないため管理に支障がある場合には、隣接地の所有者と協議のうえ、境界線上の主要な箇所に永久境界標を設置するとともに、土地境界確認書を作成しなければならない」との規定がある(乙79)。したがって、村田養豚場の敷地の間にある奈良市道について現状「土地の境界が明らかでないため管理に支障がある」のは明らかであるから、奈良市建設部長は境界確定を行う義務があると考える。

また、原告は「そもそも同里道を通行する者はほとんどおらず、管理者である奈良市及び木津川市の管理が行き届かずに放置されたため、現在通行できない状態となっているに過ぎない」とするが、以下のとおり、原告が長年にわたって実質的に市道(里道)の通行を妨げてきた実態がある。

  1. 平成14(2002)年から平成20(2008)年にかけ、原告は市道を含む山林を掘削し続けた。掘削工事によって里道は跡形もなくなり(本件記事FACT.1)、通行が躊躇される状況であった(本件境界確定経緯参照)。
  2. 平成19(2007)年ごろから平成24(2012)年ごろにかけ、原告は市道上に建築物を設置し続けた(本件境界確定経緯参照)。
  3. 平成23(2011)年から平成28(2016)年にかけ、原告は市道を含めて衛生管理区域であるとして、市道上に立ち入り禁止の立て札を立てていた(原告自身本件訴状で認めている)。
  4. 原告は二十数年前から村田養豚場周辺で犬を放し飼いにしており、この間現在に至るまで、京都府山城南保健所が「一般人が通行することは困難である」と評する状況(乙42)を継続してきた。

原告が物理的に市道の通行を妨げていた期間だけを数えても、その合計は実に14年におよぶ。元の市道が掘削工事によって原告に跡形もなく損壊された上に、その後もこれだけの期間にわたって原告が市道の通行を妨げてきたわけであるから、たとえ村田養豚場周辺の市道が荒廃していたとしても、その責任の大部分は原告にあると言えよう。

そもそもこうした里道は隣接所有者の協力によって維持・修繕されるのが通例である。実際、木津川市加茂町西小地区では、現在でも毎年9月に、浄瑠璃寺から赤田川近くの林の出口付近までは、市道の草刈りをして、次の夏まで歩行に支障がないよう道を整備している(乙61)。しかしその先の、原告が平らにした土地を通る市道については、原告が放し飼いにしている犬が多数寄ってくるため、草刈りを断念し引き返しているのが実情である。

一方、原告が西小地域の草刈りに協力したり、地域の草刈りに合わせて自発的に、赤田川北側の市道で草刈りをした事実はない。これは「奈良を代表する」ブランド豚を生産する農場としていかがなものか。どのような事情があれ、市道を破壊したうえ、長年の通行妨害によって市道の荒廃を進めたのは原告なのであるから、木津川市等の市道管理責任を問う前に、原告には、草刈りなどの市道の整備に協力する道義的責任があろう。市道が草むらに覆われがちなのは、原告が山林を掘削して平らにした、赤田川北のほんのわずかな区間にすぎない。原告には、道に迷った人を車に乗せるよりも、その区間を草刈りして整備に努めた上で、わかりやすいところに道案内の立て札を立てることをぜひともお勧めしたい。

しかしながら最近になっても、原告の意を受けていると見られる奈良県が、京都府なども通じて、木津川市に対し、防疫のため市道を封鎖して柵を作ることを認めるよう、執拗に要請している。市道の封鎖は違法であることから、現在のところ木津川市はこれを拒絶しており、もし必要であるなら、原因者である奈良県が地元に説明をするよう求めている。本件境界確定経緯や、先に述べた原告による長年の通行妨害を鑑みれば、木津川市が市道の封鎖を拒絶することは当然と言える。

第2ー7ー6で原告による犬の放し飼いを検討する中で、原告の衛生管理が劣悪であることに触れたが、奈良県がそうした状況を放置する一方で、木津川市道の封鎖にばかり熱心なのにはあきれるほかない。平成23(2011)年から平成28(2016)年にかけて市道を立ち入り禁止にしたのと同様、防疫を理由に再び市道を封鎖しようと画策する、奈良県のこのような動きには強い憤りを禁じ得ない。

  • 平成31(2019)年3月19日、赤田川の水質汚濁にかかる連絡調整会議で京都府が以下のように発言(乙62

    • 奈良県も、できれば県境付近の養豚場でも事業所を囲み対策を取りたい意向があるようだが、木津川市から指導が入り、囲むのは認められないと言われていると聞いている。
  • 平成31(2019)年3月27日、木津川市農政課との協議において奈良県畜産課長桜木が以下のように発言(乙63)。

    • 村田養豚場の敷地は木津川市に跨っているのと市道があり、市道を封鎖し柵を設置したい。
  • 平成31(2019)年4月17日、奈良県畜産課を訪問した木津川市に奈良県畜産課長溝杭が以下のように発言(乙64)。

    • 奈良県も本日、当該養豚場周辺に電気柵を設置したが、里道部分についてゲートを設けるなどの対応が取れないか検討してほしい。
  • 平成31(2019)年4月26日、奈良県畜産課長溝杭が木津川市を訪れ以下のように発言(乙65)。

    • 農場を柵で囲い込むことから市道を封鎖することになり、扉を市道の両端に設けたい。

なお、木津川市は令和元(2019)年5月7日、この件について京都府警木津署と協議している。このとき木津署交通課は「公道を遮断し、通行権を制限するには相当の事情が必要と考える。電気柵設置でイノシシ等野生動物の侵入を防ぐのであれば、豚舎等養豚場施設のみを包囲し、公道部分を解放することができるはずである。施設への出入りが不便になるという言い分は、申請者の身勝手である」と指摘している(乙75)。

9 訴状第4-4「赤田川の水質汚濁について」

1)木津川市は赤田川の水質汚濁を「府県境を跨ぐ公害」と捉えている。

赤田川の水質汚濁は合併前の加茂町時代から懸案事項となっており、平成14(2002)年ごろに地元三区長から加茂町長への要望など平成14(2002)年ごろから記録があるという。加茂町は住民からの要望を受け、平成15(2003)年ごろから、その対策に乗り出している。河川の状況から、当初より村田養豚場が赤田川の水質汚濁源となっていることが疑われており、加茂町と京都府は原告に対し立ち入り調査を受け入れるよう求めていたが、平成15年3月、原告は京都府側の立ち入りを拒否している(乙8の2資料・乙9の1)。

そこで平成16(2004)年以降、加茂町と町村合併後の木津川市は、年4回、赤田川で水質検査を実施するようになった。合併後の木津川市は、平成21(2009)年10月、京都府に問題解決に向けた関係行政機関連絡会の設置を依頼し、翌月には「赤田川上流域の環境問題等に係る連絡調整会議」が開かれた。この連絡調整会議は、平成22(2010)年3月にも開かれ、以降平成23(2011)年3月にかけ、木津川市と京都府は奈良県側と協議を重ねて、一定の解決を見ている(乙9の1)。

しかしその後も、赤田川の水質状況は悪く、木津川市には地元住民から度々悪臭や浮遊物の流出など苦情が寄せられていた(乙9の1)。

そして平成28(2016)年12月26日、木津川市による赤田川の水質検査で、著しい水質汚濁が検出(高田で BODが30mg/L、CODが26mg/L)された。これを受け木津川市は、水質検査の頻度を年4回から月1回以上に増やしたが、その後も異常な数値が検出され続けたため、平成29(2017)年4月10日、木津川市と京都府山城南保健所は、水質検査を依頼しているエヌエス環境株式会社と、赤田川の水質汚濁について協議を行なった。エヌエス環境株式会社は、提案書において次のように述べた(乙8の1)。

特に糞便生大腸菌が10,000個/mlを超過した状態は、し尿レベルの汚染であり、他の病原菌に汚染が心配される。一般河川、また農業用水として衛生的に心配。

平成29(2017)年4月14日には、木津川市が京都府山城南保健所とともに、京都府山城南農業改良普及センターを訪れ助言を求めている。以下のとおり京都府山城南農業改良普及センターの見解は厳しいものであった(乙8の2乙9の2

現在の水質が続けば、水稲・ナス等への生育への影響が懸念される。

その10日後の平成29(2017)年4月24日、木津川市長が市町村会議で京都府庁を訪れた際、木津川市長が京都府の協力を求めて、京都府環境部長に手渡した木津川市市民部作成の資料には次のように書かれている。「府県境を跨ぐ公害」という表現には、木津川市の強い危機感が反映されていると言える(乙9の2

  • 昨年末から、一級河川赤田川の水質汚濁(有機物汚濁)が進行しています。
  • 悪臭などの生活環境への影響と共に、農繁期を控えて流域の農業被害が憂慮される状況です(複数の農業用利水点で、国基準値の4倍を超過する汚濁)。
  • 当尾京都府歴史的自然環境保全地域、砂防堰堤で、著しい汚濁が見られます。
  • 汚染源は、赤田川上流の奈良県(奈良市)域にある可能性があります。
    ➡本市でも対策を進めておりますが、府県境を跨ぐ公害問題であり、府民・市民の生活環境と財産を守るため、特段のご配慮・ご支援をお願いするものです。

2)木津川市の赤田川水質汚濁状況調査では、汚濁源が村田養豚場付近にあると結論づけている。

平成29(2017)年5月30日、木津川市は、調査業務を委託したエヌエス環境株式会社、京都府環境管理課、山城南保健所、奈良市保健所に加え、地元代表者ともに、赤田川水質汚濁状況調査を実施している。この調査では、砂防堰堤から上流へ向けて100mごとに底質のサンプルを採取しつつ、この区間に沢や支流の流入がないかについても確認された(乙10)。

現地調査の報告書では、以下のように、村田養豚場を境に河川の状況が変化する様子が報告された。こうした河川の状況は、被告が川の上から観察して感じていた印象(本件記事)と一致している。

  • 養豚場直下では、川底に大量の食品残渣が見られ、川底の泥から強烈な悪臭が発生していた。
  • 赤田川本流への養豚場からの排水路を過ぎると、川底の食品残渣が見られなくなり、底質が黒く変色していることもなくなった。
  • 養豚場を過ぎると、水の濁りはましになり魚影も見られた。

平成29(2017)年5月30日に行われた赤田川水質状況調査の概要は、ほどなくして下流地域も伝わり、平成29年6月23日には、京都やましろJAから木津川市長に、赤田川の水質改善を求める要望書が直接手渡された(乙11)。また平成29(2017)年7月21日、西小・大門・高田・観音寺・大野の流域五地区からも、赤田川の水質改善要望書が、木津川市長に、やはり手渡しする形で、提出されている(乙12)。

木津川市では、平成29(2017)年6月15日から9月26日にかけ、汚濁源からの流入が、恒常的・定期的ではない可能性を考慮し、赤田川の水質の連続モニタリング調査を行っている。これは赤田川の浄瑠璃寺奥の院付近において、河川水の電気伝導度(EC)を15分間隔で連続モニタリングするというもので、値の変化により流入の頻度と時間帯を把握することが期待された。ECは水中の電解質濃度を一括して推定する指標とされる(乙15)。

このEC連続モニタリング調査の中で、高頻度で夜間にピークが現れることが観察されたため、木津川市は、平成29(2017)年7月19日の19時30分から、ECメーターが設置された浄瑠璃寺奥の院前の赤田川で、一時間ごとに採水して水質を調査している。その結果、19時30分に、COD=170mg/L、BOD=830mg/L(環境基準の100倍以上)、全窒素=35mg/L、全りん=2.0mg/L、アンモニア性窒素=23mg/Lと著しい有機汚濁が検知され、その後急速にそれらの数値が低下する様子が確認された。

こうした詳細な調査と分析を経て、平成29(2017)年11月には、赤田川水質汚濁状況調査報告書の内容が固まり、平成29(2017)年11月7日、木津川市長が奈良県農林部長を訪れて赤田側の水質汚濁改善への協力を要請している。

木津川市から開示された文書はほとんどが黒塗りとなっているが、市長の発言のうち読み取れる箇所を抜き出すと以下のようになる(乙14)。

  • 平成15(2003)年頃から水質汚濁が進んできており、流域市民から苦情や相談を受けるに至っている。
  • 昨年末頃から水質汚濁が顕著になってきており、農家のみなさんは、大変困っている。何とか助けて欲しい。
  • ブランド肉を作る事業者も応援したいし、事業者を同行しようなど一切、思っていない。

随行した職員は、概況として以下のとおり報告している。

  • 市長は始終、水質改善に向けたお願いをされていた。
  • 水質を改善したいこと、事業者を適切に指導してほしいこと、[不開示]が主な依頼であった。

木津川市長の「ブランド肉を生産する事業者」という言葉から、木津川市長の依頼が村田養豚場を念頭に置いたものであることは明らかである。

翌11月8日には、木津川市が奈良県と奈良市の担当部局を相次いで訪れ、赤田川水質汚濁状況調査報告書について説明しているが、とりわけ奈良市はECメーターに現れた夜間のピークについて、大きなショックを受けている(乙16の1

なお木津川市による赤田川水質汚濁状況調査報告書は、赤田川の汚濁原因について、次のように結論づけている(乙15)。

連続モニタリング調査の結果から、赤田川の水質汚濁については、「奥の院」における水質を著しく悪化させるような、高濃度かつ大量の有機汚濁成分が、人為的に、高い頻度で主に夜間に排出され、河川に流入することによって生じている可能性が高い。

4月17日の水質調査では、「奥の院」で従来見られなかった高濃度の有機汚濁が確認されたが、これは、有機汚濁成分の流入時の水質である可能性が高い。

本年度の赤田川の水質は、参考資料2のとおりだが、河川への汚濁成分の流入が短時間に集中していると考えられる今回のようなケースでは、通常の水質検査では、汚濁状況を十分把握することが困難である。

一方、底質は、河川水の影響を蓄積するため、一時的な汚濁成分の流入についても、一定捕捉することができる。汚濁源の確認調査において、底質に大きな差異が認められたのは底質⑤と底質⑥の間であり、底質⑤から下流側で底質の有機物汚濁を示す化学的酸素要求量(COD)が高い状況であった。

また、養豚場周辺の流入水に強い有機物汚濁が認められたことから、府県境に位置する養豚場付近で、高濃度かつ大量の有機汚濁成分が排出されて、赤田川の水質汚濁を引き起こしていると考えられる。

なお、事業所敷地内の状況が不明であることから、付近の事業所の汚水処理等の調査が必要である。

この結論を受け、平成29(2017)年11月14日には、木津川市長が奈良県知事を訪れ、赤田川の水質改善に配慮を願う要請書を手渡している(乙17の1)。当初木津川市はこの要請書を京都府知事と連名で発出することを希望していたが、このことは木津川市の問題解決にかける強い意志を感じさせる(乙17の2)。また、検討中の文案では「奈良市と木津川市の境界付近で河川の状況が大きく悪化していることが確認され、その付近にある事業所が上流側の汚濁源の一つとなっている可能性が示唆されています」としており、最終案よりも踏み込んだ表現となっていた(乙17の3)。

次いで平成29(2017)年11月22日には、木津川市長が奈良市長を訪問して、奈良県知事宛と同内容の要請書を手渡している(乙18の1)。この要請文においても、途中の文案は最終案と少し異なっており、「調査・対応をされた結果につきましては、木津川市及び京都府に提供いただけますようお願いいたします」という、具体的な要請が含まれていた(乙18の2)。奈良市側から十分な情報が入ってこないことに対する木津川市の苛立ちが滲み出ていると言えよう。

3)原告はECメーターの測定値を踏まえて、排水設備の改修を行った。

原告は平成29(2017)年11月8日、木津川市から赤田川水質汚濁状況調査報告の説明を受けた奈良県から、夜間のECメーターのピークを含め、同報告書の概要を聞かされている(乙16の2

その後木津川市は平成29(2017)年12月8日から22日にかけても、再びEC連続モニタリング調査を行なったが、その結果を奈良県畜産課に以下のとおり説明している(乙19)。

府県境の奈良側ではECにほとんど変化が見られなかったが、京都側では明確な変化があり、この間でEC上昇を引き起こす物質が河川に流入していることが確認できた。また、昼間(10時頃・14時頃)にピークが見られるようになり、原因行為が変化していると考えられる。

年が明けて、平成30(2018)年1月16日、原告は奈良県を通じ、木津川市にEC連続モニタリング調査結果の詳細を問い合わせている。木津川市は1月23日、これに回答して原告に詳細なデータを提供している(乙20)。

そして翌月の平成30(2018)年2月16日、奈良県から木津川市に以下のような連絡が入るのである(乙21)。

先日提供を受けたECの測定値等を踏まえて、養豚場と話し合っており、養豚場は[不開示]の費用をかけて排水処理設備の改修を行う意向を示している。

ところが翌月の3月5日、奈良県から原告の意向が変わったと新たな連絡が入る(乙22)。

(養豚場が)過去から主張されている、木津川市の市道管理、水路管理、境界確定等の改善を改めて求められ、これらが整理されなければ、予定されていた排水対策は取りやめるという意向であった。

この時の報告書には木津川市職員による興味深い手書きの書き込みが見られる(乙22)。

  • 木津川市は原因者を村田養豚場とは特定していない。奈良県が特定したのなら、市に報告があったのか?
  • 里道・水路については市にもルールがある。
  • 堰堤についてはそもそも原因者が回復すべきもの。
  • 指導管理責任を有している主体が会議室を確保すべきで理解に苦しむ。

正直なところ、被告の目から見ても、奈良県の非協力的な態度には目に余るものがある。木津川市長自らが要請に訪れていても、このような対応にしかならないということが、全く信じられない。木津川市側担当者の溜まりに溜まった不満は相当なものであったに違いない。

それはさておき、ここでは書き込み「ア」には注目しなければならない。「ア」からは、原告が赤田川水質汚濁の原因者であるということを前提として、奈良県が何ごとかを発言していたことがうかがえる。2月16日の連絡と合わせ考えると、ECの測定値等から、原告が排水設備の改修を検討せざるを得ない状況に追い込まれ、そのことを奈良県としては、原告が水質汚濁の原因者であることを認めたと、受け取っていたのであろう。

しかし、この時点では「里道・水路については市にもルールがある」と書き込んだ木津川市だが、原告の強硬な姿勢に押され、やがて排水設備改修と交換で、水路工事と境界修正を行う方向に舵を切って行くのである。

平成30(2018)年3月29日、どうしても年度内に開きたいという原告の強い要望で、奈良県、奈良市、京都府、木津川市、原告による合同会議が開かれたが、その席上でも、原告は終始高圧的な態度で木津川市に接しており、「今後、どういった対策をしてもらえるのか」などと迫っている。また、原告は村田養豚場からの排水が、水質汚濁防止法上、規制対象とならない排水量であることから、「村田養豚場は、基準を満たしており、BOD、CODは基準に含まれていない。河川の色で汚濁していると言えるのか。塩水を流してやろうか」と言い放っている。これなどは、とても「奈良を代表する」ブランド豚を生産する農場の発言とは思われない(乙24)。

境界修正についてはすでに検討したところであるが、木津川市が平成30(2018)年4月から10月にかけて村田養豚場の西側の水路で行った工事(以下、「本件水路工事」という。)も、極めて異常なものであった。

本件水路工事の出来高報告書(乙66)によると、本件水路工事は随意契約によるいわゆる単価契約で、当初こそ70万2000円の見積もりであったが、第一回変更で318万6000円もの費用が追加され、総額で388万8000円が支出されている。工事を元請負業者と異なる業者が施工している点も不審である。しかも施工体制台帳が提出されていないうえ、出来高報告書には日報が一切含まれておらず、この工事は違法な一括下請負に該当する可能性が高い。

なお本件水路工事は、実際には大和郡山市の〈建設業者H〉が施工しているが、〈建設業者H〉がウェブサイト上で協力業者として紹介している〈配管業者I〉は、原告の自宅兼会社事務所と同じ住所を連絡先としており(乙67)、〈建設業者H〉と原告は近しい関係にあることがうかがわれる。加えて〈建設業者H〉は、本件水路工事と並行して、村田養豚場の汚水槽の撤去なども行なっている。〈建設業者H〉は、のちに村田養豚場の新しい排水設備のほか、村田養豚場敷地内の様々な工事を施工している。(乙68

以上のように、本件水路工事についても、境界修正同様、木津川市が相当な無理を重ねて実現したものであることがうかがえるが、本件水路工事が完了しても、原告による排水設備改修は、すぐには始まらなかった。

それどころか原告は、平成31(2019)年3月から4月にかけ、奈良県を通じてさかんに、木津川市に対し追加の水路工事を求めている。

  1. 平成31(2019)年3月19日、赤田川の水質汚濁にかかる連絡調整会議で京都府が以下のように発言(乙62)。

    • 木津川市の水路の工事が完了していないため、汚水処理装置の工事ができない状況だと聞いている。
    • 水質を改善するためには汚水処理装置の工事が重要であると考えているが、周りの工事が進まなければできない。
  2. 平成31(2019)年3月27日、木津川市農政課との協議において奈良県畜産課長桜木が以下のように発言(乙63)。

    • こちらが、村田から聞いているのは、河川工事は完了しているが応急工事とのことで、村田が設置する施設は河川に隣接することから、将来沈下する恐れがあることから本工事を望んでいるとのことであった。
  3. 平成31(2019)年4月17日、奈良県畜産課を訪問した木津川市に奈良県畜産課長溝杭が以下のように発言(乙64)。

    • 隣接する国有水路について、木津川の改修では、基礎が抉られる恐れがあり、安心して曝気槽を作ることができないという認識でいる。
    • 奈良県が現地を見たところ水路の管が波打っていた。また、大雨の際には水路の上流の桝からオーバーフローした水が豚舎に流入する可能性があると考える。
    • 養豚場が安心して水処理施設の工事ができるようにするための環境整備が重要だと考えている。
  4. 平成31(2019)年4月26日、奈良県畜産課長溝杭が木津川市を訪れ以下のように発言(乙65)。

    • 先般、市が施工した水路であるが、既存は開渠であるが管渠になっている。山側からの雨水処理はどうなるのか。暗渠の上に土砂が堆積しているが、どこが除去するのか。

しかし結局、特に支障なく、平成31(2019)年4月末ごろから新しい排水設備を作る工事が始まり、6月中旬ごろには完成した排水設備が稼働し始めている(乙68)。前述のとおり、新しい排水設備の工事を施工したのは、木津川市の水路工事を施工したのと同じ、大和郡山市の〈建設業者H〉であった。

4) 原告は木津川市の立ち入り調査を拒否し続けている。

  1. 平成15(2003)年3月19日、加茂町が奈良市に対して村田養豚場への合同立ち入り調査を申しいれたが、原告は京都府側行政の立ち入りを拒否した(乙9の1)。

  2. 平成28(2016)12月、奈良市保健所から立ち入りを申し入れ(乙9の1)。

    • ➡平成29(2017)年1月4日、奈良県畜産課、京都府畜産課、木津川市市民部長、管理課長、全て管理職の同行を求められる。加えて、インフルエンザ予防接種証明書および防疫服の着用、万一、インフルエンザ被害が出た場合の補償を求められる。
    • ➡日程指定を受けるも、状況が整わず立ち入りを中止することになる。

    (原告は実現困難な条件を突きつけて実質的に立ち入りを拒否した。)

  3. 平成29(2017)年8月18日、京都府と木津川市が奈良県を通じ村田養豚場への立ち入り調査を申し入れたところ、原告はこれを拒否した。原告は京都府が求めた調査への回答も拒否した(乙13)。

  4. 平成30(2018)年3月29日、奈良県、奈良市、京都府、木津川市、原告による合同会議が開かれたが、その席上、原告は次のように発言している(乙24)。

    • なぜ木津川市は、養豚場内に立ち入りができないと思うか。
    • 行政は、法律・条例に基づいて行動すべきで、木津川市の職員には勉強しようとする努力が見られないからである。民間より知識や経験が欠けている。
    • 京都府は、よく勉強しているし、時と場合によっては対処法が違うと理解できる人たちだから入ってもらっている。
    • 村田養豚場としては、会社としてやるべきことはやっていくつもりで、奈良県や京都府に協力も求めていく。しかし、その内容については、一切、木津川市に伝えないよう言っている。知りたかったら木津川市も変わってほしい。

実際、木津川市は、村田養豚場の排水設備について、現在でも奈良県や京都府からもその詳細を一切知らされておらず、実態をほとんど把握していない。そのため、地元説明会でも説明に苦慮している様子が見られる(乙69)。

5) 新しい排水設備には疑問が多い。

村田養豚場の新しい排水設備は、平成31(2019)年4月末ごろから工事が始まり、6月上旬に完成したとみられる。この排水設備は、1.5m四方の縦穴の隣に、6m×1.5m×深さ1mの長方形の槽と7.5m×1.5m×深さ0.1mの長方形の浅い槽が並んだ構造をしている。最終貯留槽の容量は10㎥強ほどでしかない。外から観察する限り、この排水設備には次の機能があるように見える(乙70)。

  1. 豚舎から出た汚水を集める縦穴から汚水がポンプで汲み上げられ、まず二つの振動篩を通り、固形分を槽の外側のコンクリート台の中に落とす。
  2. その後、汚水は浅い槽を流れ、汚水の上に浮かんだ油分や浮遊物を槽に渡した板でせき止め、液体のみ板の下をくぐらせ次の貯留槽に流す。
  3. 貯留槽に貯められた汚水は、ポンプで再び縦穴に戻され、汚水が何度もこの工程を繰り返すことで固形分を分離する。

したがって、この排水設備の主な機能は、固体・油分と液体の分離で、尿分離機とも呼ばれるものと思われる。しかし、村田養豚場の排水設備をめぐるこれまでの議論では、これとは異なる排水処理設備が取りざたされていた。

平成30(2018)年7月5日、奈良県畜産課及び家畜保健衛生所が、村田養豚場の汚水処理について相談するため、京都府畜産センターを訪問しているが、その際「回分槽」という汚水処理設備を紹介されている(乙71の1乙71の2)。

  1. 仮に回分槽を設置するのであれば、60㎥程度のものが必要。(50㎥程度で250〜300万円程度、100㎥で500万円程度。)
  2. 回分槽では、曝気後に静置を行うことにより一定脱窒素を行なっている。(水濁法のアンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物及び硝酸化合物の基準が将来的に下がっていくと考えられるため、窒素除去は必要。)
  3. 一度、畜産センターに現地を確認してもらう必要がある(7月下旬か8月)。

また、平成31(2019)年4月17日、奈良県畜産課を訪問した木津川市に、奈良県畜産課長溝杭が「隣接する国有水路について、木津川の改修では、基礎が抉られる恐れがあり、安心して曝気槽を作ることができないという認識でいる」と述べており、この時点では回分槽のような曝気槽が作られると想定されていた可能性がある(乙64)。

ところが、実際に完成した排水設備は容量が小さく、曝気槽らしきものが見当たらない。また、汚水槽の外に落ちた固形分からは汚い水がにじみ出ており、これが汚水槽の周りに敷かれたコンクリートの上を流れて広がっているが、この場所は豚の運搬トラックが後ろづけする、豚の搬出入口ともなっている。したがって村田養豚場の新しい排水設備は、仮に村田養豚場で豚コレラ等の患畜が発生した場合、運搬トラックのタイヤに容易に病原体が付着し得る配置と構造となっている(乙70)。

そもそも新しい排水設備は、その作りが極めて粗雑で、これが本当に京都府畜産センターの指導を受けて作られたものなのか、にわかに信じがたい。その上、この排水設備は完成した後にも何度か配管が変わっている。(乙72

本件訴状によれば、原告は排水の水質に自信を持っていることがうかがえる。そうであるならば、相手が木津川市であれどこであれ、立ち入り調査を認めたとして何も支障はないはずである。今後原告は、木津川市の立ち入り調査を快く受け入れるとともに、自らすすんで、木津川市に排水設備に関する詳細な情報を伝えるべきである。そうすれば、木津川市も、下流地域に対して、赤田川の水質改善見通しに関し具体的な説明ができるようになり、もし新しい排水設備が赤田川の水質改善に十分なものであるなら、それは下流地域の理解と安心につながるはずである。

 以上のとおり、原告は、木津川市の赤田川水質汚濁状況調査報告に基づき、奈良県・奈良市から水質の改善を指導されている。また、原告は木津川市の立ち入り調査を拒否し続けている。したがって、原告の主張は当たらない。

10 公益を目的とした記事であること

本件記事中でも述べているとおり、村田養豚場から南へ伸びる道が県道33号と交わる地点には、奈良交通のバス停があり、その停留所名は、近年まで「浄瑠璃寺南口」とされていた。この停留所名からも、村田養豚場の敷地の間にある、木津川市あるいは奈良市の市道が、奈良側から浄瑠璃寺へ向かう多くの観光客に長らく利用されてきたことは明らかである。また、村田養豚場から南へ伸びる道の途中で、木津川市の市道が西側の山林に入っていくが、この道の歴史は古く、享保20(1735)年頃に出版された大和志には、中ノ川から西小田原(浄瑠璃寺周辺)へ抜ける道として、この道が「中川越」という名前で記録されている(乙73)。さらに浄瑠璃寺の歴史を記録した古文書「浄瑠璃寺流記事」には、平治元(1159)年の十万堂棟上をはじめとして、中川寺の僧侶が度々浄瑠璃寺に出仕していた記録が残っている。すなわち、中川寺(奈良市中ノ川町にかつてあった寺院)から浄瑠璃寺へ至る道は、村田養豚場の敷地の間を通る道(以下「中川越道」という。)以外にあり得ないことから、中川越道が遅くとも平安時代後期に存在していたことは、古文書からも疑いようがない事実である。

当尾地域は、奈良の喧騒を嫌い、修行の地を山岳に求めた僧らによって、その歴史と文化が育まれてきた。中川越道は、まさにそうした僧らが歩いた道であり、当尾地域の歴史と文化のルーツを体現する道と言える。そしてこの中川越道は、名前を変えながら、弥勒信仰の聖地だった笠置山まで繋がっており、現在いわゆる「当尾の石仏の道」として多くのハイカーに親しまれている区間には、鎌倉時代から南北朝時代に造立された石仏が道沿いに点在している。このような歴史ある古い道を、一農場の身勝手な都合で、敷地の一部のように占用することは、到底許されない。まして、多数の犬が放し飼いにされ、その犬の一部が、当尾地域の観光ハイキングコースや、本来静謐であるべき浄瑠璃寺庭園(国の特別名勝)にまで現れる現在の状況は、極めて異常だと言わなければならない。しかも関連行政機関は、原告による犬の放し飼いを、未だやめさせられずにいる。これは行政が正常に機能していないことを示すものである。

また、赤田川の「アカ」は神仏に供える水「閼伽」に由来すると言われ、当尾地域のお年寄りは、昔の赤田川は非常に美しい清流だったと証言している。村田養豚場より下流の赤田川は当尾京都府歴史的自然環境保全地域に接しており、浄瑠璃寺奥の院付近は当尾磨崖仏文化財環境保全地区にも指定されている(乙9の2)。しかしながら現在の赤田川は、とりわけ村田養豚場のすぐ下流に位置する浄瑠璃寺奥の院付近において、ほとんど常に川の水が泡立ち、時には谷中に酷い臭いが充満するという状況にあり、かつての清流の面影はもはやなく、現状は「環境保全」からかけ離れたものとなっている。

本件記事は、上述のような、地域の持つ様々な価値が毀損され続けている現状を打開するべく公開された。本件記事は、地域の歴史と文化を育んできた古い道を後世に伝えること、地域住民と観光客を危険に晒している犬の放し飼いをやめさせること、本来静かで清らかな山村の魅力に溢れているはずの当尾地域の環境を保全すること、そのために行政による監視と指導を正常化させること、といった、公益を目的とするものであり、公益以外の目的は一切ない。

11 新しい状況への対応

(1) 第2-6-(4)で述べたとおり、本件土地1の所有権が原告に移ったことが判明したため、本件記事の内容に、現在では正しくない記述が生じる事態となった。この事態を受け、また訴状による指摘を考慮し、被告はすでに本件記事の内容を、以下のとおり、より正確なものに変更している。

  • 東鳴川町502の所有権が原告に移ることを踏まえ、原告が東鳴川町502に、物を置いたり捨てたりしていたことについて、現在では土地所有者の許可なく行っていたことの違法性は問えない旨明記した。
  • 東鳴川町502に埋められたコンクリート片について、原告が「再生クラッシャー」と呼ばれるものだと主張していることを明記した。
  • 原告と〈東鳴川C〉との間で起こった裁判について、結果を追記した。
  • 本件記事付属の地図を修正し、東鳴川町502について、2019年夏頃から村田養豚場の敷地となったことを明記した。また、修正前の本件市有土地境界確定図に、この市有土地境界確定図が京都府警の捜査に協力する形で作成されたものであり、図にある土地境界は関係土地所有者が京都府警に示した土地境界である旨を付記した。

本件御通知書においても誤読を誘う形で裁判に言及するなど、これまでの原告の振る舞いを考慮すると、今後原告が「裁判で係争中の案件である」などと主張して、行政からの指導を牽制しようと試みるおそれがある。原告の主張のうち、とりわけ犬の放し飼いの正当化は周辺地域にとり危険きわまりないものである。そこで、本件裁判の存在によって行政による指導が妨げられることのないよう、本件裁判の全てを広く公開する必要があると判断し、原告の訴状及び証拠ならびに被告の答弁書及び証拠を、本件ウェブサイト上に公開した。また「裁判編」として、争点ごとに原告被告両者の主張を併記したウェブページを新設した。なお今後も本裁判における原告の主張は、全て本件ウェブサイトに掲載する。

上記は、憲法21条により保障された表現の自由の範囲の対応であることは言うまでもない。

第3 求釈明

  • 原告が平成30(2018)年3月に数度にわたり木津川市に送った質問書及び平成30(2018)年4月12付け木津川市の回答書(4枚程度のもの)を提出されたい。
  • 原告が〈東鳴川C〉に毎年継続して賃料を払っていたことの証明となる資料を提出されたい。
- 以上 -
令和元年(ワ)第338号 損害賠償等請求事件
原  告  株式会社村田商店
被  告  遠藤 千尋

証拠説明書(1)

2019(令和元)年9月10日
奈良地方裁判所民事部3B係 御中
【乙第1号証】原告代理人から被告に内容証明郵便で送られた御通知書(写し)
作成日:H31.3.1
作成者:原告代理人弁護士 田中啓義・同弁護士 室屋和輝
立証趣旨:御通知書における原告の主張に、本件訴状と異なる部分があること
【乙第2号証】被告の期限延長を通知する返答書(写し)
作成日:H31.3.14
作成者:被告
立証趣旨:期限内に被告が御通知書に返答したこと
【乙第3号証】被告の正式な返答書(写し)
作成日:H31.3.28
作成者:被告
立証趣旨:返答書における被告の主張
【乙第4号証】奈良市のふるさと納税返礼品「郷ポークセット」紹介ウェブページ(写し)
作成日:不明
作成者:不明
立証趣旨:原告の経営する村田養豚場が生産する「郷ポーク」が「奈良が誇る」ブランド豚として紹介されていること
【乙第5号証の1】第76期名人戦における料理を紹介する新聞記事(写し)
作成日:H30.5.8
作成者:朝日新聞社
立証趣旨:「郷ポーク」を使用した料理が供されたことを取り上げる新聞記事
【乙第5号証の2】第76期名人戦における料理を紹介する新聞記事(写し)
作成日:H30.5.10
作成者:毎日新聞社
立証趣旨:「郷ポーク」を使用した料理が供されたことを取り上げる新聞記事
【乙第6号証】木津川市定例会議事録(写し)
作成日:(文書に記載)
作成者:木津川市
立証趣旨:村田養豚場が関わる問題の経緯及び木津川市議会で村田養豚場に関する問題が長年議論されていること
【乙第7号証の1】村田養豚場周辺の航空写真(写し)
作成日:H23.10.19
作成者:国土地理院(トリミングは被告)
立証趣旨:市道上に原告が設置した建築物があること
【乙第7号証の2】京都側から見た村田養豚場の写真(写し)
作成日:H25.5.2
作成者:被告
立証趣旨:市道上に設置されていた建築物が長尾2に移動していること
【乙第7号証の3】報告書(写し)
作成日:H24.5.17
作成者:木津川市管理課
立証趣旨:木津川市道上の建築物の撤去が平成24年5月17日に報告されたこと
【乙第8号証の1】会議報告書(写し)
作成日:H29.4.11
作成者:山城南保健所環境衛生室 大脇副室長・エヌエス環境株式会社
立証趣旨:赤田川水質汚濁がし尿レベルの汚染とするエヌエス環境株式会社の見解
【乙第8号証の2】会議報告書(写し)
作成日:H29.4.14
作成者:山城南保健所環境衛生室 大脇副室長
立証趣旨:赤田川水質汚濁が水稲に適する者ではないとの山城南農業改良普及センターの見解
【乙第9号証の1】会議報告書(写し)
作成日:H29.4.24
作成者:山城南保健所環境衛生室 大脇副室長
立証趣旨:赤田川水質問題の経緯
【乙第9号証の2】木津川市長資料(写し)
作成日:H29.4.29
作成者:木津川市
立証趣旨:木津川市が赤田川の水質汚濁を府県境をまたぐ公害問題としていること
【乙第10号証】報告書(写し)
作成日:H29.5.30
作成者:木津川市まち美化推進課 中野真仁
立証趣旨:踏査においても赤田川の水質汚濁状況が村田養豚場の上流と下流で異なることが観察されていること
【乙第11号証】赤田川水質改善要望書(写し)
作成日:H29.6.23
作成者:京都やましろ農業協同組合
立証趣旨:京都やましろJAが赤田川の水質悪化を強く懸念していること
【乙第12号証】赤田川水質改善要望書(写し)
作成日:H29.7.21
作成者:赤田川下流五地区区長
立証趣旨:赤田川下流地域が水質汚濁の原因を村田養豚場だと考えていること
【乙第13号証】報告書(写し)
作成日:H29.8.18
作成者:木津川市まち美化推進課 中野真仁
立証趣旨:原告が立ち入り調査および京都府が求めた調査への回答を拒否したこと
【乙第14号証】復命書(写し)
作成日:H29.11.7
作成者:木津川市 武田マチオモイ部長 他
立証趣旨:赤田川水質汚濁問題に対する木津川市長の認識
【乙第15号証】平成29年11月-赤田川水質汚濁状況調査報告書(写し)
作成日:H29.11
作成者:エヌエス環境株式会社
立証趣旨:赤田川の汚濁原因が村田養豚場付近にあると結論し、村田養豚場の汚水処理等の調査が必要と考察
【乙第16号証の1】報告書(写し)
作成日:H29.11.13
作成者:木津川市まち美化推進課 中谷美知郎
立証趣旨:ECメーターの夜間のピークが奈良市に衝撃をもって受け止められていること
【乙第16号証の2】報告書(写し)
作成日:H29.11.17
作成者:木津川市まち美化推進課 中谷美知郎
立証趣旨:奈良県が赤田川水質汚濁状況調査報告の内容を11月8日に原告に伝えていること
【乙第17号証の1】奈良県知事宛要請書(写し)
作成日:H29.11.14
作成者:河井規子木津川市長
立証趣旨:木津川市長が奈良県知事に赤田川の水質改善に配慮を要請していること
【乙第17号証の2】今後の赤田川の水質汚濁への対応に係る木津川市の意向について(写し)
作成日:H29.7.14
作成者:京都府山城南保健所 環境衛生室
立証趣旨:木津川市が知事、市長連名で奈良県・奈良市への要請を発出したい強い希望を持っていたこと
【乙第17号証の3】奈良県知事宛要請書(案)(写し)
作成日:不明
作成者:木津川市
立証趣旨:木津川市が最終的な要請書よりも踏み込んだ表現をしていること
【乙第18号証の1】奈良市長宛要請書(写し)
作成日:H29.11.22
作成者:河井規子木津川市長
立証趣旨:木津川市長が奈良市長に赤田川の水質改善に配慮を要請していること
【乙第18号証の2】奈良市長宛要請書(案)(写し)
作成日:H29.11.22
作成者:木津川市
立証趣旨:木津川市が最終的な要請書よりも具体的な要請をしていること
【乙第19号証】報告書(写し)
作成日:H29.12.28
作成者:木津川市まち美化推進課 中野真仁
立証趣旨:ECメーターのピークが変化したこと
【乙第20号証】回議書(写し)
作成日:H30.1.19
作成者:木津川市まち美化推進課 中谷美知郎
立証趣旨:原告がECメーター調査結果について詳細を問い合わせていたこと
【乙第21号証】報告書(写し)
作成日:H30.2.16
作成者:木津川市まち美化推進課 中谷美知郎
立証趣旨:原告が排水処理施設改修の意向を示したこと
【乙第22号証】報告書(写し)
作成日:H30.3.5
作成者:木津川市まち美化推進課 中谷美知郎
立証趣旨:原告の意向が変わり、木津川市の市道管理、水路管理、境界確定の改善がなければ排水処理設備の改修をしない意向となったこと
【乙第23号証】報告書(写し)
作成日:H30.3.27
作成者:木津川市まち美化推進課 中谷美知郎
立証趣旨:奈良県が交換条件との引き換えを求める原告の意向を重ねて伝えてきていること
【乙第24号証】報告書(写し)
作成日:H30.4.16
作成者:山城南保健所環境衛生室 大脇副室長
立証趣旨:原告が木津川市への情報提供を拒絶していること
【乙第25号証】事務事項処理用紙(写し)
作成日:H30.6.7
作成者:木津川市管理課長 松本敏也
立証趣旨:木津川市が本件市有土地境界確定図の修正が必要と判断した理由
【乙第26号証】事務事項処理用紙(写し)
作成日:H30.6.26
作成者:木津川市管理課長 松本敏也
立証趣旨:本件市有土地境界確定図の修正に関して、木津川市が奈良市の十分な協力を得られずにいたこと
【乙第27号証】回議書(写し)
作成日:H30.7.31
作成者:木津川市管理課長 松本敏也
立証趣旨:本件修正に至る経緯及び原確定における同意書の存在と修正に際し同意書が提出されていないこと
【乙第28号証】回議書(写し)
作成日:H30.11.20
作成者:木津川市管理課長 松本敏也
立証趣旨:原告が追加修正を求めていたこと及び同意書が提出されていないこと
【乙第29号証】審査請求書(写し)
作成日:R1.4.5
作成者:被告
立証趣旨:被告が同意書のなく隣接所有者に通知もない修正が違法だと木津川市に指摘していたこと
【乙第30号証】理由説明書・補充理由説明書(写し)
作成日:R1.6.6, R1.6.24
作成者:木津川市
立証趣旨:木津川市が同意書の提出なしに本件市有土地境界確定図を修正し、そのことを隣接所有者に通知していないことを認めていること
【乙第31号証】汚泥投棄写真 (1)乃至(31)(写し)
作成日:写真中に記載
作成者:被告
立証趣旨:原告が本件土地1に汚泥を投棄していたこと
【乙第32号証】赤田川北の土地境界(写し)
作成日:R1.9.2
作成者:被告
立証趣旨:原告が現在、原確定における境界線を越えて車両などを置いていること
【乙第33号証】経過文書(写し)
作成日:文書に掲載
作成者:奈良市保健所
立証趣旨:中ノ川町・東鳴川町のみならず広範囲で、村田養豚場から来たとみられる犬が報告されていること
【乙第34号証】連絡事項処理用紙(写し)
作成日:H24.2.27, H24.3.1
作成者:京都府山城南保健所 環境衛生室千葉副室長
立証趣旨:原告が奈良市から犬をつないで飼うよう指導されていたこと
【乙第35号証】連絡事項処理用紙(写し)
作成日:H26.3.12
作成者:京都府山城南保健所 環境衛生室長崎主任
立証趣旨:原告が奈良市・京都府の双方から犬の適切な飼養を指導されていたこと
【乙第36号証】連絡事項処理用紙(写し)
作成日:H26.3.28
作成者:京都府山城南保健所 環境衛生室長崎主任
立証趣旨:原告がイノシシ除けに必要だと主張しても、できるだけ早く囲うよう指導されていること
【乙第37号証】連絡事項処理用紙(写し)
作成日:H26.4.30
作成者:京都府山城南保健所 環境衛生室長崎主任
立証趣旨:石仏の道でも村田養豚場付近から来たとみられる多数の徘徊犬が目撃されていること
【乙第38号証】動物苦情処理票(写し)
作成日:H26.12.1
作成者:京都府山城南保健所 岡田主査
立証趣旨:村田養豚場付近から来たとみられる徘徊犬が浄瑠璃寺に住み着いている猫を噛み殺したこと
【乙第39号証】連絡事項処理用紙(写し)
作成日:H27.11.4
作成者:京都府山城南保健所 仲井副主査
立証趣旨:原告がイノシシ除けに必要だと主張しても、係留を指導されていること
【乙第40号証】連絡事項処理用紙(写し)
作成日:H27.11.13
作成者:京都府山城南保健所 仲井副主査
立証趣旨:村田養豚場の敷地の間を通り抜けようとした人が脅されていたこと
【乙第41号証】指導書(写し)
作成日:H28.1.25
作成者:奈良市保健所生活衛生課長
立証趣旨:原告に対し奈良市保健所が文書による指導を行なっていたこと
【乙第42号証】連絡事項処理用紙(写し)
作成日:H28.3.1
作成者:京都府山城南保健所 環境衛生室杉浦副室長
立証趣旨:村田養豚場近くの里道について、多数の徘徊犬が存在するため一般人が通行することは困難であると報告していること
【乙第43号証】動物苦情処理票(写し)
作成日:H28.3.9
作成者:京都府山城南保健所 仲井副主査
立証趣旨:木津川市加茂町西小の民家から通報があり、自宅の庭に野犬が10頭入り込んできて怖くて外に出られないと訴えていたこと
【乙第44号証】連絡事項処理用紙(写し)
作成日:H28.3.17
作成者:京都府山城南保健所 環境衛生室衛生担当
立証趣旨:京都府山城南保健所が奈良市保健所に対し、犬の適正な使用に関し、原告を指導するよう文書で要請していたこと
【乙第45号証】連絡事項処理用紙(写し)
作成日:H29.4.10
作成者:京都府山城南保健所 仲井副主査
立証趣旨:京都府山城南保健所が原告による犬の放し飼いの再開を確認し、犬の捕獲を再開したこと
【乙第46号証】連絡事項処理用紙(写し)
作成日:H29.4.12
作成者:京都府山城南保健所 仲井副主査
立証趣旨:京都府山城南保健所が村田養豚場付近の徘徊犬を京都府動物愛護センター職員と確認
【乙第47号証】連絡事項処理用紙(写し)
作成日:H29.7.10
作成者:京都府山城南保健所 仲井副主査
立証趣旨:村田養豚場で複数の犬に取り囲まれ怖い思いをしたうえ、従業員に「入るな」と言われた旨通報があったこと
【乙第48号証】連絡事項処理用紙(写し)
作成日:H29.10.23
作成者:京都府山城南保健所 仲井副主査
立証趣旨:浄瑠璃寺境内に3頭の犬が入り込んでいるとの通報があり、村田養豚場から浄瑠璃寺に向かう山道に犬の足跡が多数確認されたこと
【乙第49号証】連絡事項処理用紙(写し)
作成日:H29.11.17
作成者:京都府山城南保健所 仲井副主査
立証趣旨:浄瑠璃寺奥の山道で捕獲した犬を原告が引き取っていること
【乙第50号証】連絡事項処理用紙(写し)
作成日:H30.2.7
作成者:京都府山城南保健所 仲井副主査
立証趣旨:村田養豚場から上ってきた犬と同じ犬とみられる犬が浄瑠璃寺境内に入り込んでいたこと
【乙第51号証】浄瑠璃寺野犬について(平成29年度〜)(写し)
作成日:文書に記載
作成者:京都府山城南保健所
立証趣旨:京都府山城南保健所が浄瑠璃寺周辺で野犬の捕獲を頻繁に行っていること
【乙第52号証】捕獲犬の抑留に関する文書(写し)
作成日:文書に記載
作成者:京都府山城南保健所
立証趣旨:平成26年度以降浄瑠璃寺周辺で捕獲された徘徊犬の数
【乙第53号証】京都府山城南保健所抑留犬リスト(写し)
作成日:R1.7.13
作成者:被告
立証趣旨:乙51を集計したもの
【乙第54号証】平成26年4月以降奈良市で捕獲された徘徊犬のリスト(写し)
作成日:R1.7.22
作成者:奈良市保健所
立証趣旨:平成26年度以降、奈良市保健所が中ノ川町及び東鳴川町で少なくとも33頭の犬を捕獲しいていること
【乙第55号証】村田養豚場の周辺の山林で撮影された徘徊犬の写真 (1)乃至(20)(写し)
作成日:写真中に記載
作成者:被告
立証趣旨:被告が頻繁に浄瑠璃寺近くや中ノ川町の山道で徘徊犬と遭遇していたこと
【乙第56号証】村田養豚場の敷地周辺で餌に群がる犬やカラス、イノシシの写真 (1)乃至(19)(写し)
作成日:写真中に記載
作成者:被告
立証趣旨:原告が飼い犬と野犬を区別しておらず、原告のずさんな餌の管理が野生動物を引き寄せていること
【乙第57号証】豚肉の生産衛生管理ハンドブック〜養豚農場・生産者編〜(写し)
作成日:H29.9
作成者:農林水産省 消費・安全局
立証趣旨:農林水産省が、番犬などについて、必要以上に衛生管理区域を出入りさせないよう求めていること
【乙第58号証】岐阜県で摘発された豚コレラ6例目の豚飼養農場における疫学調査結果を踏 まえた飼養衛生管理基準の再徹底について(写し)
作成日:H30.12.28
作成者:農林水産省消費・安全局動物衛生課長
立証趣旨:農林水産省が、豚コレラ対策として、野生も含め犬・猫等の愛がん動物を衛生管理区域内で飼養しないよう求めていること
【乙第59号証】村田養豚場の間にある市道で様々な作業が行われている様子を写した写真 (1)乃至(32)(写し)
作成日:写真中に記載
作成者:被告
立証趣旨:村田養豚場の間にある市道で様々な作業が行われているため、通行に支障がある状態が続いていること
【乙第60号証】村田養豚場に近づくと吠えながら寄ってくる犬の写真 (1)乃至(35)(写し)
作成日:写真中に記載
作成者:被告
立証趣旨:村田養豚場周辺には常に放し飼いの犬がおり、養豚場に近づくと吠えかかってくること
【乙第61号証】浄瑠璃寺から林の出口までの写真 ①乃至⑧(写し)
作成日:H31.3.20
作成者:被告
立証趣旨:地域の草刈りによって林の出口までは歩行に支障がない状態が保たれていること
【乙第62号証】報告書(写し)
作成日:H31.4.10
作成者:京都府山城南保健所 環境衛生室
立証趣旨:奈良県が追加の水路工事と市道の封鎖を求めてきたこと
【乙第63号証】連絡処理報告(写し)
作成日:H31.3.27
作成者:木津川市農政課 芝原
立証趣旨:奈良県が追加の水路工事と市道の封鎖を求めてきたこと
【乙第64号証】報告書(写し)
作成日:H31.4.17
作成者:木津川市まち美化推進課 中谷美知郎
立証趣旨:奈良県が追加の水路工事と市道の封鎖を求めてきたこと
【乙第65号証】連絡処理報告(写し)
作成日:H31.4.26
作成者:木津川市農政課 芝原
立証趣旨:奈良県が追加の水路工事と市道の封鎖を求めてきたこと
【乙第66号証】出来高報告書(写し)
作成日:H30.9.28
作成者:〈水路工事元請負業者〉
立証趣旨:村田養豚場の西側にある水路で行われた工事の内容
【乙第67号証】〈建設業者H〉、〈配管業者I〉、原告の関係性を示す資料(写し)
作成日:不明
作成者:〈建設業者H〉・奈良市
立証趣旨:木津川市の水路工事と原告の排水設備の改修を施工した〈建設業者H〉と原告の関係
【乙第68号証】〈建設業者H〉が水路工事と汚水槽撤去を同時に行なっている写真 (1)乃至(14)(写し)
作成日:文書に記載
作成者:被告
立証趣旨:〈建設業者H〉が水路工事と汚水槽撤去を同時に行なっていたこと
【乙第69号証】報告書(写し)
作成日:H31.5.13
作成者:木津川市まち美化推進課 竹村啓祐
立証趣旨:木津川市が水質が改善したとは言いながら、なぜそうなったかを説明できずにいること
【乙第70号証】新しい排水設備の写真(写し)
作成日:写真に記載
作成者:被告
立証趣旨:新しい排水設備の構造
【乙第71号証の1】連絡事項処理用紙(写し)
作成日:H30.7.9
作成者:山城南保健所環境衛生室 石倉副室長
立証趣旨:奈良県畜産課らが回分槽を紹介されていたこと
【乙第71号証の2】低コスト回分式活性汚泥法汚水処理施設の開発(写し)
作成日:不明
作成者:京都府畜産技術センター
立証趣旨:回分槽の仕組み
【乙第72号証】排水設備の変遷写真 (19)乃至(39)(写し)
作成日:写真・動画中に記載
作成者:被告
立証趣旨:排水設備の変遷
【乙第73号証】五畿内志/中巻/奈良志/区域(写し)
作成日:西暦1735年
作成者:関祖衡・並河誠所
立証趣旨:村田養豚場の敷地の間を抜ける市道が掲載されていること
【乙第74号証】行政相談・苦情対応カード(写し)
作成日:H26.4.24
作成者:木津川市管理課用地係 野口貴史
立証趣旨:村田養豚場の衛生管理区域を設定したのが原告であること
【乙第75号証】報告書(写し)
作成日:R1.5.7
作成者:木津川市管理課用地係 主査 駒 文敬
立証趣旨:木津署が公道を封鎖する形で柵をつくることは認められないとしていること
【乙第76号証】木津川市所管法定内公共用財産、法定外公共用財産及び市有地境界確定事務取扱要領(写し)
作成日:H19.3.12
作成者:木津川市
立証趣旨:木津川市の里道境界確定手続き
【乙第77号証】木津川市法定外公共物管理条例(写し)
作成日:H19.3.12
作成者:木津川市
立証趣旨:木津川市の里道境界確定手続き
【乙第78号証】奈良市法定外公共物の管理に関する条例(写し)
作成日:H16.3.25
作成者:奈良市
立証趣旨:奈良市の条例で里道の通行妨害が禁止されていること
【乙第79号証】奈良市公有財産規則(写し)
作成日:H28.4.1
作成者:奈良市
立証趣旨:奈良市の条例で管理に支障がある場合は建設部長に里道の境界確定を進める義務があると定められていること