被告第4準備書面・証拠説明書(4)

令和元年(ワ)第338号 損害賠償等請求事件
原  告  株式会社村田商店
被  告  遠藤 千尋

被告第4準備書面

2020(令和2)年5月22日
奈良地方裁判所民事部合議1係 御中
被告訴訟代理人弁護士

第1 はじめに

今後争点を整理する上で、結局は必要となると考えられることから、以下の通り、原告第3準備書面における原告の主張に再反論する。

なお、原告第3準備書面における原告の主張は、被告によるこれまでの主張のほとんどについて認否を明らかにしないまま、原告第1準備書面における原告の主張を、構成を変えて、ほぼそのまま繰り返したものとなっている。そのため、以下の再反論では、被告がすでに反論済みであると考える原告の主張については、被告がこれまでに提出した準備書面の記述を、改めて指摘するにとどめた。

第2 原告第3準備書面に対する認否

1 「第1 被告第2準備書面「第3 山林侵奪、他人占她(FACT.1) について」に対する反論」について

(1) 「1 本件土地1の不法掘削について」について
ア 「(1)真実性」について
  • アは、認める。

  • イ、ウは、争う。詳細は第3で述べる。

イ 「(2)相当性 」について
  • 第1段落は、認める。

  • 第2段落は、認める。本件記事では、〈村田商店代表乙の父〉が本件土地1を土地所有者から賃借していたこと、及び、〈村田商店代表乙の父〉が「どのように使ってもいいという約束で先代から借りた」と主張していたことにも触れている。

  • 第3段落は、争う。本件記事に、本件土地1の掘削のみを取り出して、不法掘削だとしている箇所はない。詳細は第3で述べる。

(2) 「2 本件土地1の不法占有について」について
ア 「(1)真実性」について
  • アは、認める。

  • イの第1段落は、争う。詳細は第3で述べる。

  • イの第2段落は、認める。

  • イの第3段落及び第4段落は、争う。詳細は第3で述べる。

  • ウは、争う。詳細は第3で述べる。

イ 「(2)相当性 」について
  • 第1段落は、認める。

  • 第2段落から第4段落は、争う。詳細は第3で述べる。

(3) 「3 本件土地2、本件土地3(以下「本件土地2等」という)の不法掘削について」について
ア 「(1)真実性」について
  • アは、認める。

  • イのうち

    • (ⅰ)のうち

      • aのうち

        • 第1段落(表題)から第4段落は、争う。詳細は第3で述べる。

        • 第5段落は、認める。

        • 第6段落及び第7段落は、争う。詳細は第3で述べる。

      • bのうち

        • 第1段落(表題の次の段落)から第5段落は、認める。もとより被告は、原告の指摘した地番(第5段落)の土地境界が正確に描かれているとは主張していないし、土地の広さの表示(第3段落)が正確だとも主張していない。詳細は第3で述べる。

        • 第6段落及び第7段落は、争う。詳細は第3で述べる。

      • cは、争う。詳細は第3で述べる。

      • (ⅱ)のうち

        • aのうち

          • 第1段落(表題の次の段落)及び第2段落については、裁判所からそのように認定されたことは認める。

          • 第3段落及び第4段落は、争う。詳細は第3で述べる。

        • bのうち

          • 第1段落(表題の次の段落)は、認める。

          • 第2段落及び第3段落は、争う。詳細は第3で述べる。

        • cは、争う。詳細は第3で述べる。

イ 「(2)相当性 」について
  • 第1段落は、争う。詳細は第3で述べる。

    • (ⅰ)については、本件記事に記載がある(甲2ー4頁)。

    • (ⅱ)が、事実であることは認める。

    • (ⅲ)は、争う。詳細は第3で述べる。掘削行為の当初は、「(甲7の3)の「市有土地境界図」は作成されていないし、その元になった当事者の何らかの合意」もなされていなかったことは認めるが、掘削行為は(甲7の3)の「市有土地境界図」が作成された後である平成20年1月まで続いている(甲6ー7頁)。また、掘削行為当時「いかなる境界合意も境界確定もなされていなかった」との原告の主張については、争う。詳細は第3で述べる。

  • 第6段落(結論部分)は争う。詳細は第3で述べる。

2 「第2 被告第2準備書面「第4 赤田川下流の水質汚濁(FACT.4)」に対する反論」について

(1) 「1 名誉毀損事実」について
  • 「(1)」のうち

    • 第1段落は、認める。

    • 第2段落及び第3段落は、争う。詳細は第3で述べる。

  • 「(2)」は、認める。

  • 「(3)」のうち

    • 第1段落は、認める。

    • 第2段落の第1文は、認める。

    • 第2段落の第2文は、争う。詳細は第3で述べる。

(2) 「2 真実性」について
ア 「(1)原告が赤田川の水質汚濁源であるということについて 」について
  • アは、認めるが、被告の主張は「平成29年11月の木津川市赤田川水質汚濁状況報告等(乙15)において、赤田川の水質汚濁源が村田養豚場付近であることまでは特定している」こと(乙15)のみに依拠するものではない。

  • イは、認める。

  • ウ及び結論部分は、争う。詳細は第3で述べる。

イ 「(2)原告には違法性があるということについて」について
  • アは認めるが、そもそも被告は、本件記事の水質汚濁に関する記事において、原告に違法性があるとは述べていない。詳細は第3で述べる。

  • イは、争う。詳細は、第3で述べる。

  • ウは、認める。

  • エは、争う。詳細は、第3で述べる。

(3) 「2 相当性」について
ア 「(1)相当性の判断材料」について
  • 第1段落は認めるが、本件記事内容に対する原告の解釈は、実際の本件記事内容から乖離している。

  • 第2段落及び第3段落は、認める。

イ 「(2)本件における相当性」について
  • 第1段落は、認める。

  • 第2段落及び第3段落は、争う。詳細は第3で述べる。

(4) 「3 小括」についてについては争う。詳細は第3で述べる。

第3 被告の主張

1 「第1 被告第2準備書面「第3 山林侵奪、他人占拠(FACT.1) について」に対する反論」に対する反論

(1) 「1 本件土地1の不法掘削について」について

被告第2準備書面13〜14頁ですでに述べたとおり、本件記事に、本件土地1の掘削のみを取り出して、「不法掘削」だと記述している箇所はない。したがって、原告の主張は、「(1)真実性」「(2)相当性」のいずれも、全く当を得ないものである。

また、原告による山林掘削工事は、本件土地1とそれ以外とを区別したものではなく、かつ、被告第2準備書面27〜36頁で検討したとおり、原告による山林掘削工事が、本件土地2及び本件土地3に越境していたことは明らかであるから、被告が、原告による山林掘削工事の全体について、不法掘削であったと論評することは、言うまでもなく表現の自由の範疇に属する。

なお、法的な見解の表明は、判決等により裁判所が判断を示すことができる事項に係るものであっても、意見ないし論評の表明に当たる(平成16年07月15日 最高裁第一小法廷判決 平成15年(受)第1793号、1794号 謝罪広告等請求事件)。

(2) 「2 本件土地1の不法占有について」について
ア 「(1)真実性」について

確かに、本件土地1の掘削をめぐる裁判の控訴審(以下、「本件土地1控訴審」という。)で、裁判所は「控訴人(〈東鳴川C〉)による本訴提起は、本件契約に基づく賃貸人の義務に違反するものではないというべきである」との判断を示している(甲6ー9頁ー(7)。かっこ内は被告による補足)。

しかし裁判所は、それによって、本件賃貸借契約の解除が無効となるかどうかについては、何の判断も示していない。

一方で裁判所は、原告(本件土地1控訴審被控訴人)が、「本件土地において畜産業を営むことを断念した」と認定している(甲6ー9頁ー(6))。なお、畜産業を営むことは、本件賃貸借契約において、賃借の目的と定められていた。よって、これを原告が断念したということは、原告が賃貸借契約を継続する必要がなくなったことを意味する(甲6ー7頁ーア)。

ところで、当時本件土地1の所有者であった〈東鳴川C〉は、平成17(2005)年以降、原告から賃料を受け取ることを拒否しているので(甲6ー7頁ーエ)、〈東鳴川C〉が、本件賃貸借契約の更新を望んでいなかったことは明らかである。したがって、〈東鳴川C〉には、原告による契約解除の意思表明を拒絶する理由がないから、原告による本件賃貸借契約の解除は、内容証明郵便が〈東鳴川C〉に到達した平成22(2010)年4月15日に、その効力が発生したと解することができる。

以上のとおり、 本件土地1控訴審において、裁判所は、原告による本件賃貸借契約の解除が無効となったとの判断を示していないが、原告が契約解除撤回の意思表示をした証拠及び〈東鳴川C〉が撤回に同意した証拠は、これまでのところ提出されていない。また本件賃貸借契約が継続していた実態がないことは、被告第2準備書面17〜22頁ですでに述べた。

原告は、原告第3準備書面において、「賃貸人から原告に対して、土地明渡請求がなされたことは訴訟内外を通じて一度もなかった」と主張するが、この件に限らず、原告には、法的手段を用いた要求でなければ、一切聞く耳を持たず無視しても構わないとする態度がまま見られる。

一般に、法的手段に訴えることは、個人にとって、経済的にも精神的にも負担が極めて大きい。まして連続して裁判等を遂行することは、ほとんどの個人にとり、重すぎる負担と言える。その点で原告は資金力のある法人であり、裁判等法的手段を遂行する経済的資源あるいは人的資源を、個人である〈東鳴川C〉より豊富に持つことは疑いようがない。このように社会的にみて比較強者である側が、比較弱者に対し、何か要求があるのであれば、その都度法的手段を用いるべきとの立場をとることは、多くの場合、恫喝的に要求を拒絶するのと同じ効果を持ち、望ましいこととは言えない。このような態度は、「奈良を代表するブランド豚」を生産する農場に、全くふさわしいものではない。

また原告は、原告第3準備書面において、「令和元(2019)年8月8日、借地契約当事者間で一部賃料の授受も行われた」と強調している。しかし、 令和元(2019)年8月8日は、本訴訟が提起されたあとであるばかりか、原告と〈東鳴川C〉の間で売買交渉が成立し、本件土地1が原告に売却されることが決まった後でもある。

すでに被告第1準備書面29〜30頁で述べたとおり、被告は、令和元(2019)年8月9日、〈東鳴川C〉に電話をかけ、改めて賃貸借契約の有無等について確認しているが、その際〈東鳴川C〉は、本件土地1の売却が決まったことを明かして、次のように答えた。

  • (ア)「村田さんがまた借りるということにしても永久に借りることになるから、どうせなら売ってほしいというので、そこまで売ってほしいならということになった。」

  • (イ)「村田さんが言うには、今までも使ってきたのは事実だから、今まで賃借していたことにして、その分の賃料を払いたいとのことで、今までの賃料数年分と、今年の分は半年分を、8月初め頃に払ってもらった。」

また、本件土地2共同所有者の一人である〈加茂町B〉と、本件原確定の再確定に影響することが懸念されたため、〈加茂町B〉から相談を受けていた木津川市議の〈木津川市議P〉が、令和元(2019)年8月中旬ごろ、〈東鳴川C〉の自宅を訪れ、本件土地1売却の事情について、詳細を聞き取っている。〈木津川市議P〉によれば、このとき〈東鳴川C〉は次のように語ったとのことである。

  • (ウ)「去年までは村田さんも何も言って来なかったが、今年の2・3月くらいから頻繁に電話がかかって来た。最初は「新しい豚小屋を造るので資材置き場として土地を貸してほしい」という話だった。しかし以前の事があるので、一度貸したら永久に使われかねない。そこで「貸すつもりはない。資材も置くな」と返事をしたところ、しばらくして「買い取りたい」と言ってきた。」

上記、(ア)乃至(ウ)のいずれにおいても、原告が〈東鳴川C〉に語ったとされる内容は、本件賃貸借契約が継続していることを前提としていない。

加えて、すでに手放すことが決定している土地について、これまでも使っていたのは事実だからと、土地の購入代金とは別に、数年分の賃料を払いたいと、買主から申し出られた場合(上記(イ))、売主である〈東鳴川C〉にこれを断る理由がないのは当然である。このような、売却交渉成立後に追加で支払われた賃料に、本件賃貸借契約の継続を認定する効力があるとは、到底考えられない。

したがって、本件賃貸借契約が継続していなかったことは真実であり、少なくとも、被告が、本件記事において、原告が本件土地1を不法占拠していると論評したことは、表現の自由の範疇に属する。

イ 「(2)相当性」について

(ア) 〈東鳴川C〉が、平成21(2009)年に本件賃貸借契約が解消しているとした根拠に関しては、被告第2準備書面15〜17頁ですでに述べた。

なお、木津川市の平成20(2008)年第3回定例会においても、木津川市の建設部長が、「奈良市側の所有者(〈東鳴川C〉)から話をそういうことで聞くことにいたしました。内容は土地の明け渡しに関して双方の借地契約書の借地期限の違いから調停が行われ、不成立になったということ、相手(〈村田商店代表乙の父〉)の契約書の借地期限の切れる来年2月まで静観をしたいということで、奈良市の所有者(〈東鳴川C〉)と情報交換をしております」と述べている(乙6ー15頁。括弧内は被告による補足)が、このうち「相手の契約書の借地期限の切れる来年2月」は、言うまでもなく平成21(2009)年2月である。すなわち、この答弁の内容は、〈東鳴川C〉が、平成21(2009)年に本件賃貸借契約が解消していると述べたことと整合する。

また、木津川市議会議事録(乙6)は、本件記事公開当初より、本件記事に付属する資料として、インターネット上に公開されており、当然のことながら、被告は本件記事公開前に、この議事録についても目を通している。

木津川市議会議事録(乙6)の質問や答弁から読み取れる、上記のような経緯をふまえると、当時、〈東鳴川C〉が本件賃貸借契約の解消を望んでいたことは明らかであって、本件土地1控訴審後も、〈東鳴川C〉が本件賃貸借契約を継続したと考える方が、不自然だと言える。

(イ) 加えて被告は、〈東鳴川C〉と、本件土地1隣接地所有者らが、土地を売らない確約書を交わし、その際、土地を貸さないことについても約束したということ(被告第2準備書面18頁乙80の1及び)を、平成27(2015)年秋ごろには、〈加茂町B〉から聞いていた。

以上のとおり、被告には、本件賃貸借契約が継続していなかったことが真実であると信じるについて相当の理由があった。また、被告が、本件記事において、原告が本件土地1を不法占拠していると論評したことは、表現の自由の範疇に属する。

(3) 「3 本件土地2、本件土地3(以下「本件土地2等」という)の不法掘削について」について
ア 「(1)真実性」について
(ア) 「(ⅰ)境界の越境行為」について
a 「a 現時点において、境界未確定である。」という主張について
(a) 本件境界をめぐる動き

① 本件土地1の土地境界については、平成18(2006)年10月26日に、本件土地1の所有者と、本件土地1に隣接する本件土地2及び東鳴川町501の所有者らの間で確認された、境界確認書が存在する乙104。以下、「本件境界確認書」という。)。また、本件境界確認書が作成されてすぐ、平成18(2006)年11月3日には、関係者の間で土地不譲渡確約書が交わされた(被告第2準備書面18頁乙80の1及び)。

② 本件境界確認書の測量図(乙104)における、本件土地1と本件土地2の土地境界(以下、「本件境界」という。)の長さは、98.87mである。一方、平成19(2007)年11月20日に確定した市有土地境界確定図(9木管第7ー85号)における本件境界の長さ(201ー308ー309ー300の合計)は117.93mであり(甲7の3)、これは本件境界確認書の測量図(乙104)における本件境界より、20mほど長い。

したがって、 本件境界確認書測量図における本件境界の北端( 乙104測量図 ーK23)は、明らかに、原告による掘削域の内側にある。

③ 上記は、以下のような事情によると考えられる。

関係者が本件境界確認書に係る現地立ち合いを行なった平成18(2006)年5月21日時点では、関係者の間で本件土地1の北端だと了解されていた場所の周辺が、まだ掘削されずに残っており、その地点を本件土地1の北端とすることに、関係者全員が合意した。

ところが、原告による掘削はその後も続き(甲6ー7頁)、この間に、原告による掘削域は、さらに北側にも広がった。

その結果、本件境界確認書測量図における本件境界の北端(乙104測量図 ーK23)周辺は、地形が完全に破壊されて、原告による掘削域の内側に取り込まれる形となった。

それだけでなく、原告による掘削が拡大したことによって、本件境界確認書の測量図にある境界杭は、全て所在が分からなくなり、本件境界確認書の測量図に基づいて、本件土地1の土地境界を示すことは、極めて困難な状況となった。

④ そこで、平成19(2007)年に、京都府警の捜査に協力する形で、木津川市が市有土地境界確定図を作成するにあたり、木津川市職員の助言も受けながら、当時本件土地1の所有者であった〈東鳴川C〉と、本件土地2共同所有者らが協議し、合意したのが、平成19(2007)年11月20日に確定した市有土地境界確定図(9木管第7ー85号。以下、「本件原確定」という。)に、府県境の確定線として書き込まれた本件境界(以下、「本件原確定境界」という。)である。

当時の当事者が本件原確定境界に合意していたことは、本件原確定に対し、隣接所有者全員が同意書を提出していることからも明らかである。

また、平成27(2015)年10月頃、被告が、本件土地2共同所有者の一人である〈加茂町B〉とともに、本件土地1前所有者である〈東鳴川C〉に聞き取りを行なった際、〈東鳴川C〉と〈加茂町B〉の双方ともに、本件原確定境界に争いがあるとは全く主張しておらず、両者が本件原確定境界に合意していることを前提として、本件境界や本件土地1に関する事情を語っている。

⑤ ところが、平成30(2018)年3月に、原告が木津川市に対し数度にわたり送った文書(被告による求釈明文書)を発端として、木津川市は本件原確定の修正に着手した(乙27)。

なお、すでに被告第1準備書面19〜20頁で述べたとおり、本件原確定の修正は、本件原確定境界が未確定あるいは誤りだったために行われたのではない。確定里道の一部が奈良市に越境していたことや、手続きの不足があったことを理由に、後に奈良市の同意を得て、本件原確定を尊重する形で、改めて再確定することを前提として、手続き上の必要から木津川市が一旦修正したものである。

その後木津川市は、平成30(2018)年8月10日に、本件原確定を修正したが、奈良市を通じて、原告からさらなる修正を求められたため、平成30年11月28日にも、本件原確定の再修正を行った。

一方で木津川市は、隣接所有者に対しては、平成30(2018)年6〜7月ごろ、本件原確定修正について口頭で説明し、その説明に対し口頭で了承を得たのみで、木津川市は、修正後の図面はおろか、修正を行った事実すら、隣接所有者に通知していない。そのため、本件土地1の前所有者である〈東鳴川C〉は、本件土地1売却までに、本件原確定の修正を、木津川市から一切知らされていなかった。当然木津川市は、本件原確定の修正に際し、隣接所有者の誰からも同意書を得ていない。詳細は、被告第1準備書面20〜23頁で述べた。

⑥ 令和元(2019)年8月27日、本件土地1は、〈東鳴川C〉から原告代表〈村田商店代表乙〉に売却された(甲11)。

⑦ 原告は、令和元(2019)年10月7日付けで、豚コレラ対策として、イノシシ侵入防止のための防護柵を、本件土地2に越境する形で、本件土地1の周囲に設置する旨、〈加茂町B〉ら本件土地2共同所有者全員に通知した(乙84の1)。これに対し、本件土地2共同所有者は連名で、令和元(2019)年10月20日、原告に対し、本件土地2に越境して防護柵を設置しないよう求める内容証明郵便を送付した(乙84の2)。詳細は、 被告第2準備書面25〜26頁で述べた。

なお、本件境界に争いがあることが明らかとなったのは、これが最初である。

⑧ 令和元(2019)年12月16日に、ようやく再確定部分の復元測量が行われた。この復元測量を受け、木津川市と奈良市は、令和元(2019)年12月23日に、再確定に関する協議を行った。このとき木津川市は、「点番号201が、両地権者で確認した点である」として、本件原確定境界に従い、点番号201を動かさずそのまま再確定する方針を説明しているが、奈良市はそれを了解している(乙105ー2頁)。

⑨ 令和元(2019)年12月27日、原告は、奈良県畜産課、奈良市土木管理課、京都府山城家畜保健衛生所、木津川市管理課を、一堂に集め、本件土地2共同所有者を説得して、原告の計画通りに防護柵を設置することを、本件土地2共同所有者に認めさせるよう、協力を依頼した。

これに対し奈良県は、「自分の土地で明らかな位置に張るのはどうか」と原告に提案した。また、木津川市も「平成19(2007)年確定の所に柵を張るのであれば、隣接地権者は異議がないと思う」と指摘し、原告の協力依頼に応じることはできないとした(乙106)。

⑩ ところが原告は、こうした関連行政機関からの説得を無視し、令和2(2020)年1月6日付けで、本件土地2共同所有者に宛てて、本件土地2に越境する形で防護柵を設置することを、一方的に通告する文書を送付した。

この文書においても、原告は、「フェンス柵の設置場所は(中略)民民境界及び府県境界及び里道境界及び赤田川の府県境界ではないと考えております」と述べ、公図等を参考にしながら、境界ではないと考えるところに防護柵を設置するという、不可解な主張をしている。

しかし一方で原告は、「今後、赤田川の境界(府県境)・里道確定(府県境)等が、確定され、確定位置よりフェンスの設置位置がずれていた場合、速やかに確定位置にフェンスの設置位置を移動させます」と述べ、フェンスの設置位置が、行政界が再確定されるまでの暫定的なものである旨、釈明した(乙107)。

⑪ そして実際に、令和2(2020)年1月10日ごろ、本件土地2共同所有者らの抗議にも拘わらず、原告は、村田養豚場を囲う防護柵を、本件土地2に越境する形で強行設置した(乙84の4)。当然、本件土地2共同所有者は、これに対し連名で、越境して設置された防護柵の撤去を、改めて要求している(乙84の5)。

このような経緯で設置された防護柵であるにも拘らず、設置にかかった費用の全額が、農畜産業振興機構及び奈良県からの補助金で賄われた(乙84の1-10頁、乙115-1頁)ことには、強い驚きを禁じ得ない。

⑫ 令和2(2020)年3月11日、木津川市は、平成19(2007)年に確定した本件原確定を、木津川市の手続きに瑕疵があったことから、平成30(2018)年に一部修正したことに関し、再度、正式な手続きを踏んでこれを再確定するにあたり、その状況を関係地権者に事前に確認するため、現地立ち会いを行った。

この現地立ち会いにおいて木津川市は、本件原確定の点番号106及び201を移動させることなくそのまま復元し、点番号106及び201が府県境になることを示した。これについては、点番号106及び201が、平成19(2007)年に、本件土地1の当時の所有者と、本件土地2共同所有者らで確認されたものであることが、その根拠とされた(乙108-2頁)。

⑬ なお、奈良県畜産課長の溝杭は、令和2(2020)年4月14日に開かれた木津川市と奈良県との協議において、本件土地2共同所有者の一人である〈加茂町B〉に対し、「事業者(原告)への売却すればと聞いた」ことを明かしている(乙115ー2頁。かっこ内は被告による補足)。

被告が〈加茂町B〉に聞き取ったところ、令和2(2020)年3月の中頃、溝杭から〈加茂町B〉に電話があり、より正確には、「防護柵のあるところまで土地を売る気はないか」と聞かれたとのことであった。

このことは、少なくとも溝杭個人は、本件土地2共同所有者らが主張するとおり、本件原確定境界が正当な土地境界であることを前提に、原告が設置した防護柵が、本件土地2に越境するものであると認識していることを示している。

それにも拘らず、奈良県は、原告の主張する防護柵の位置をそのまま認め、防護柵設置に係る補助金まで交付したのであるから、〈加茂町B〉はもとより、原告が協力的でないため、本件再確定に困難を抱える結果となった木津川市が、奈良県に不信感を持つのは当然と言える。

(b)本件境界をめぐる動きのまとめ

以上①乃至⑬のとおり、本件境界については、平成18(2006)年に土地境界確定図が作成されたものの、原告の掘削により全ての境界杭が失われたため、平成19(2007)年に、当時の本件土地1所有者及び本件土地2共同所有者らの同意の下、本件原確定に、本件境界が府県境の確定線として書き込まれた。

その後、確かに木津川市は、手続きに問題があったとして、平成30(2018)年に本件原確定を修正しているが、令和2(2020)年の再確定において、木津川市は、本件原確定の府県境をそのまま復元する方針を示した。したがって、本件境界が未確定であるとする原告の主張には、もはや何の根拠もない。

また原告は「当事者適格は、本件土地2の共同所有者と原告以外のものになく、被告には、本件境界を語る資格がない」と主張するが、原告が本件土地1の所有権を得たのは、本訴訟提起後の令和元(2019)年8月27日であるから、原告の主張に従うならば、原告には令和元(2019)年8月27日以前には、本件境界を語る資格がなかった、ということになる。

ところで、前述のとおり、本件原確定における本件境界は、京都府警の捜査に協力する形で、木津川市の助言も得ながら、当時の当事者らが協議の末、合意したものである。それにも拘らず、原告は、この合意について、「客観的資料に基づいた熟慮の上のものではなかった」などと、何の根拠も示さずに断じているが、上記原告の主張に従うなら、当然原告には、本件土地1取得前の事情を、このように語る資格はない。

一方で、確かに現時点では、本件境界に争いが生じている。しかしそれは、原告が本件土地1取得後、本件土地1前所有者と本件土地2共同所有者らの間で成立していた合意を無視して、本件境界が未確定であると、一方的に主張し始めたことによる。すなわち、本件境界を巡る争いは、原告が本訴訟提起後に、本件土地1を取得したあと、原告自身が引き起こしたものである。

しかも本件境界に関する原告の主張は極めて奇妙なもので、原告はこれまで、どこが境界であるとは一切主張しておらず、ただ境界が未確定であるとのみ主張している。そして、防護柵の位置が土地境界とは考えないと断りながら、本件土地2に越境する形で、防護柵の設置を強行した。

一方で、原告は、令和2(2020)年1月6日付けの文書で、木津川市と奈良市によって府県境が確定すれば、それに従い防護柵を移設する旨、明言している(乙107)。

ところが前述のとおり、すでに木津川市は、本件原確定の府県境をそのまま復元して、再確定を行う方針を示している。もちろん、原告が本件再確定に同意しなければ、再確定手続きは滞ることになるから、原告が本件再確定に同意していないことをもって、原告が、府県境は確定していないと主張することは、今後も可能であろう。しかしそのような態度が、誠実であるとは到底言いがたい。

また原告は、令和2(2020)年3月中ごろ、本件土地2に越境して設置した防護柵沿いに、別の場所から運んできた廃材や資材を積み上げている(乙84の4乙109)。これには、本件土地2の一部を原告が占有していることの既成事実化を、よりいっそう強化する意図があるとも考えられ、原告のこのようなふるまいは、防護柵の位置が暫定的なものであるとした、原告自身の釈明と全く整合しない(乙107)。

被告は、令和元(2019)年9月に提出した被告第1準備書面31頁において、「原告が本件訴訟の論拠を保つために再確定協議を拒んだり、あるいは原確定に沿った再確定を拒絶し、本件土地2を大きくえぐる形で新たな境界線を提案する恐れもある」と懸念を述べたが、はたして令和2(2020)年5月現在、事態はほとんどそのとおりに推移していると言える。

以上のとおり、本件境界に関する原告の態度は、極めて不誠実であると言わなければならない。原告は、後づけで、境界確定訴訟によって境界が確定されるべきだなどと主張せず、自らが令和2(2020)年1月6日付けの文書で述べたとおり、すでに木津川市から示されている府県境を受け入れ、越境して設置されている防護柵を、本件原確定境界を越えない位置へ、早急に移設するべきである。

(c)本件境界に一般市民が関心を持ち意見を公然と表明することの正当性

なお、原告は、被告には本件境界を語る資格はないと主張するが、一般市民が本件境界をめぐる争いに関心を持ち、意見を公然と表明することは、以下のことから、依然として正当である。

ⓐ 通行権の確保

本件境界は、市有土地境界確定図と密接に関係しており、本件境界を巡る争いは、市民の通行権に深刻な影響を与え得る。実際、令和2(2020)年1月に原告が設置を強行した防護柵は、木津川市が再確定を進めている木津川市道を横切っており、防護柵の門扉についても、木津川市道を半ば塞ぐ位置に設置されている(乙109)。

そのため、令和2(2020)年5月現在、本件再確定図にある木津川市道を正しく通行することは、誰にもできない。

したがって、一般市民が本件再確定と、本件再確定を左右する本件境界紛争に関心を持つことは、これらが市民の通行権に大きく影響する以上、正当なことである。

ⓑ 境界損壊罪の関与

① 木津川市は、本件再確定にあたり、赤田川(国有水路)上の行政界を明らかにするため、昭和58(1983)年10月に確定した国有水路境界確定図(乙105-10頁。以下「本件水路確定図」という。)に基いて、赤田川南岸の府県境を復元しようとしている。

② しかし、木津川市が、令和元(2019)年12月16日に行った測量では、以下のとおり、赤田川南岸の府県境が、本件水路確定図とは全く異なる位置に、復元された。

本件水路確定図の確定点のうち、線分AーA’のA側の確定点(黒縁の白い円)を「a」、A’側の確定点を「a’」、線分BーB’のB側の確定点を「b」、B’側の確定点を「b’」とすると、 aー bー b’ーa’(aから時計回り)を復元した確定点が、令和元(2019)年12月16日時点の本件再確定図(乙105ー7頁。以下、「本件第1再確定図」という。)にある、2020Hー2019Hー2022ー2021である。

したがって、aー bー b’ーa’と、2020Hー2019Hー2022ー2021とが、完全に一致する形で、本件第1再確定図に本件水路確定図を合成すれば、2020Hー2019Hー2022ー2021がaー bー b’ーa’の、正確な復元であるかどうかを、検証できる。

実際にそのようにして合成した図が乙第110号証である。水色の図面が本件水路確定図で、そのうち、川底の境界線をピンク色の点線で、現在の橋の下に埋もれている古い橋(以下、「旧橋」という。)をピンク色の実線で、強調した。

乙第110号証を見ると、一見して、両図面における旧橋の位置や赤田川の川筋が、明らかに数メートルずれているとわかる。中でも旧橋の位置は、実際には昭和58(1983)年から全く変わっていないため、旧橋の位置が両図面でこれだけずれているということは、2020Hー2019Hー2022ー2021が、誤った位置に復元されたことを示している。

そのため木津川市も現在では、2020Hー2019Hー2022ー2021が、誤った位置に復元されていることを確認しており、本件第1再確定図を修正して、国有水路境界を別の位置に変更している(乙108ー4頁)。

③ しかし、本件第1再確定図によると、2020H点及び2019H点については、現地に「既設金属鋲」があったとされている。しかも2020Hー2019H間の距離は、本件水路確定図のaー b間と全く同じ、12.18mであったという。このような一致は、偶然ではあり得ない。

すなわち、2020H点及び2019H点は、何者かが、本件水路確定図のa点及びb点に偽装する目的で、二点間の距離を正確に12.18mに合わせた上で、新たに設置した金属鋲である可能性が、極めて高い。言うまでもなく、このような行為は境界損壊罪(刑法262条の2)に該当する。

④ ところで、本件土地2共同所有者の一人である〈加茂町B〉が、令和2(2020)年2月ごろ、木津川市管理課長の松本敏也に対し、誤った位置に2020Hー2019Hー2022ー2021を復元した理由について問い合わせたところ、松本敏也は、原告が、絶対に位置が変わっていないと主張したので、2020H点及び2019H点を、既設金属鋲の位置にしたと答えた、とのことである。

つまり原告は、現地に打たれていた金属鋲が、赤田川南岸の府県境を示す境界標だと信じていたことになる。しかし、昭和58(1983)年に赤田川南岸に設置された境界標が、金属鋲であったとは到底考えられない。

現在赤田川南岸にある石垣は、平成18(2006)年ごろに、原告が長尾谷4などを取得して以降、原告が積み上げたものであり、本件水路確定図が作成された昭和58(1983)年には、赤田川南岸に石垣はなかった。このことは本件水路確定図を見ても明らかで、本件水路確定図において、赤田川南岸は自然傾斜面となっており、a点及びb点とも、水田の畦道のようなところに位置している。昭和58(1983)年当時、これら確定点周辺の地面は、金属鋲を打ち込むのに適したものでなかったのである。

加えて、仮に金属鋲がa点及びb点に打たれていたのだとしても、その後原告が赤田川の自然傾斜面に積み上げた石垣の縁に、造成工事を経てなお、それら金属鋲がそのまま残されていたとは到底考えられない。

⑤ ただ、既設金属鋲が昭和58(1983)年の境界標であり得ないことは、原告も認識していたと思われる。原告は、木津川市に対しては、既設金属鋲の位置は絶対変わっていないと主張していたが、本件土地2共同所有者らに対しては、そのような主張をしていないからである。

既設金属鋲の存在をふまえると、原告が本件土地2に越境する形で設置した防護柵が、2020H点の対岸付近に位置していることに気づく。原告は、2020H点を根拠に、防護柵の位置を決めたようにも見えるのである(乙109乙110)。ところが原告は、本件土地2共同所有者らに、既設金属鋲の存在を明かしていない。これは、金属鋲の真正性について、原告自身、確信を持てなかったことの現れとも考えられる。

そこで原告としては、木津川市と奈良市に既設金属鋲を真正なものと認めさせたのち、2020H点を根拠に防護柵の位置を正当化する必要に迫られたと解する余地もある。

⑥ なお、木津川市が現地確認で示した修正再確定図(以下、「本件第2再確定図」という。)にある、水路境界2023ー2024ー2026ー2025(乙108ー4頁)もまた、下記のとおり、aー bー b’ーa’を正確に復元したものではないと考えられる。

乙第110号証と同様にして、本件第2再確定図に、本件水路確定図を合成した図が、乙第111号証の1である。この図を見ると、旧橋の北西角については、たしかに位置が一致している。このことから、木津川市が、現在の赤田川南岸のうち、旧橋の北西角からa点までの距離と一致する地点を、2023点としたことがわかる。

しかし乙111の1においても、赤田川の川筋が、旧橋から離れるほど、次第にずれてしまっており、旧橋の北西角を中心として、全体に、本来の位置から数度回転しているように見える。当然ながら旧橋の角度もずれている。これは2023点の位置が、正確ではないためと考えざるを得ない。

また、昭和58(1983)年以降に、赤田川南岸の自然傾斜面が削られ、同時に赤田川北岸が南西にせり出して、川底が南西へ移動したとはおよそ考えられない。

そこで、旧橋の角度を合わせて、本件第2再確定図に、本件水路確定図を合成した図が、乙第111号証の2である。乙第111号証の2では、赤田川の川筋が無理なく一致し、赤田川南岸の府県境が201点ー106点の延長線上に重なっている。このことは、平成19(2007)年の本件原確定において、赤田川南岸府県境と、掘削域の一番高いところを結ぶ線を、本件土地1と本件土地2の境界にしたとする、〈加茂町B〉の証言とも整合する。

以上のように、乙第111号証の1乙第111号証の2を見比べると、乙第111号証の2にあるとおり、赤田川南岸の府県境であるa点が、現在は村田養豚場の休憩小屋の下にあるとする方が、より正確な復元であることは疑いようがない。被告としては、木津川市は、より正確に、aー bー b’ーa’を復元するべきだと考える。

⑦ いずれにせよ、2020H点の既設金属鋲が偽の境界標であることは確かであり、これら金属鋲が現地に存在したことには、境界損壊罪の関与が強く疑われる。このような、市民の財産たる市道の境界確定が、犯罪行為によって歪められかねない事態に、一般市民が関心を寄せ、意見を述べることは正当である。

b 「b 航空写真・公図・古図」について

(a) 被告は、原告のいう「古図」のみに依拠して、原告が境界を越境して山林を掘削したと主張しているわけではない。詳細は、すでに被告第2準備書面27〜36頁で述べた。

また被告は、原告が指摘した地番について、古図に描かれた境界や土地の広さが正確であるとは主張していない。

被告第2準備書面29頁及び31頁で指摘したとおり、原告のいう「古図」の原図は、明治22(1889)年10月12日作成の、「添上郡鳴川村実測全図」である。この実測全図では、当時の村界に、測量点間の距離と方角の実測値が記載されている。そのため、古図記載の境界線のうち、村界にあたる境界については、一般的な明治時代の公図と異なり、一定の信頼性があるものと考えられる。そして本件境界は、まさしく村界にあたる。

(b) ただし、古図に描かれた村界線は、正確には実測値に従っていないと思われる。そこで、以下のとおり、実測値の正確性を検証しておきたい。

まず、乙第112号証の1は、平成30(2018)年ごろの航空写真に、昭和58(1983)年の本件地内平面図(乙85)及び本件原確定を重ねたものである。

黄色の点線は、実測値に基づいた村界線で、点線上の円は測量点を表す。明治時代に、古図がどのように作成されたのかは不明であるものの、おそらく、現地において、測量点間の距離と方角を測ると同時に、測量点間の地形や境界をスケッチし、それらをもとに図面を書き起こしたものと考えられる。なお、乙第112号証の1では、測量点間は直線で表した。

また、赤田川南岸の府県境は明治時代からほとんど変わっていないと考えられるため、本件地内平面図の赤田川南岸の府県境確定点に一致させる形で、村界線を合成した。ところで、現在、赤田川南岸の府県境確定点(a点)が、村田養豚場の休憩小屋の下にある可能性が極めて高いことは、先に述べたとおりである(乙111の2)。

さて、乙第112号証の1を見ると、黄色の点線は、実際の府県境(村界)から時計回りに数度ずれているように見える。これは、被告第2準備書面31頁で述べたとおり、古図記載の方角実測値が偏角を補正していないためと考えられる。ここでいう偏角は、真北と地磁気の北(磁北)との差であるが、日本考古地磁気データベースによれば、 明治22(1889)年当時の、本件境界付近の推定偏角は西偏4.3度である(乙113)から、黄色の点線を反時計回りに4.3度回転させると、偏角を補正できる。なお、被告第2準備書面31頁では、座標入力値に誤りがあったため、「西偏4.4度」としたが、正確には西偏4.3度であったので訂正する。

このようにして補正した村界線が、乙第112号証の1の水色の点線である。補正後の村界線(水色の点線)は、実際の府県境とよく一致している。特に、科学的根拠のある角度で補正するだけで、本件地内平面図の府県境確定線上に、古図の測量点が重なることは、古図の実測値が、一般的な明治時代の公図と比して、高い信頼性を持つことの証左と言える。

(c) また、乙第112号証の2は、昭和50(1975)年の航空写真に、昭和58(1983)年の本件地内平面図(乙85)及び村界線(黄色の点線)・補正村界線(水色の点線)を重ねたものであるが、林相の違いとして判別できる実際の府県境と、補正村界線(水色の点線)とが、ほぼ一致していることがわかる。

加えて、本件土地1及び本件土地2及び東鳴川町501の境界が交わる付近に、緑の樹木が固まっていることは、これまでに被告が本件土地2共同所有者の一人である〈加茂町B〉から聞き取っていた「本件境界には背の高い木があって、それが目印となっていた」との証言とも整合する。

(d) 原告は反論において、合成の角度についても疑問視しているが、以上のとおり、科学的根拠のある角度で補正するだけで、古図の実測値に基づく村界線は、実際の府県境や林相の違いにほぼ一致するのである。したがって、古図の実測値には一定の正確性が期待でき、少なくとも、すでに死亡している人物の指示よりは、よほど信頼に足ると言える。

c 「c 小括」について

すでに述べたように、現在、確かに本件境界を巡って紛争が生じているが、この紛争は、原告が本訴訟提起後に、本件土地1を取得し、原告自身が引き起こしたものである。

よって、原告の主張は当を得ておらず、被告が、本件記事において、原告が本件土地2等に越境して山林を掘削した事実に基づき、これを不法掘削であったと論評したことは、表現の自由の範疇に属する。

(イ) 「(ⅱ)故意・過失」について
a 「a 〈東鳴川Cの亡父〉の指示」について

確かに、本件土地1裁判一審において、裁判所は、〈村田商店代表乙の父〉が「民事調停の申立てを行い、正当な権利者として行動をとって」いたと認定している(甲5ー7頁)。しかしながらこれは、当該民事調停のあった平成19(2007)年9月時点(甲5ー6頁(12))においても、〈村田商店代表乙の父〉が本件賃貸借契約の借主として行動していたことを認定したもので、民事調停における〈村田商店代表乙の父〉の主張が正当であったことを認めるものではない。

しかもこの民事調停の相手方は〈東鳴川C〉であり、〈東鳴川C〉は、原告が、〈村田商店代表乙の父〉に土地境界を指示したと主張している〈東鳴川Cの亡父〉の、正当な相続人である。

したがって、たとえ〈村田商店代表乙の父〉が、〈東鳴川Cの亡父〉からの指示に基づき掘削をしていたのだとしても、〈東鳴川Cの亡父〉の正当な相続人である〈東鳴川C〉から、本件土地1の土地の範囲を越えていると指摘されてなお、〈村田商店代表乙の父〉は、民事調停を申し立ててまで、それを頑として受け入れなかったのであるから、〈村田商店代表乙の父〉が、本件土地1の範囲を越えて、山林を掘削したことに全く過失がなかったとは、到底考えられない。

b 「b 被告の境界根拠」について

被告は、本件原確定を根拠として、〈村田商店代表乙の父〉が本件土地1を越えて山林を掘削したとは主張していない。詳細は、すでに被告第2準備書面27〜36頁で述べた。

たしかに本件記事には、参考のため、本件原確定境界及び本件地内平面図に基づく地図が記載されている。しかし、本件原確定境界は、山林掘削前に所有者間で了解されていた土地境界から、大きくかけ離れているわけではない。本件原確定境界は、山林掘削前の、およその土地境界を表す線として、妥当なものである。

このことは、乙第88号証の5及び乙第112号証の1から、明らかである。これら合成図を見ると、本件原確定境界は、掘削域のうち赤田川側では、もともとの土地境界より本件土地1側に数メートル入り込んでいる可能性が高いが、山側では逆に、もともとの土地境界より本件土地2側に数メートル入り込んでいる可能性が高い。

また、被告第2準備書面33頁(ウ)で指摘したとおり、本件土地1のもともとの北端は、掘削面の北端より20mほど内側(南側)にあると考えられるから、本件記事記載の地図は、〈村田商店代表乙の父〉の越境掘削面積を過小評価するものであるとさえ言える。

c 「c 小括」について

以上のとおり、原告の主張は当を得ないものである。したがって、〈村田商店代表乙の父〉に過失がなかったとは考えられないため、被告が、本件記事において、〈村田商店代表乙の父〉が本件土地2等に越境して山林を掘削した事実に基づき、これを不法掘削であったと論評したことは、表現の自由の範疇に属する。

イ 「(2)相当性」について

原告の指摘する(ⅰ)については、本件記事に記載がある(甲2ー4頁)。被告が「起訴猶予に終わった」と記載した根拠は、木津川市議会での質問による(乙6ー10頁)。なお、この木津川市議会議事録については、本件記事に付属する資料として、本件記事公開当初より、インターネット上に公開されていた。

(ⅱ)については、民事上の権利が消失しているとしても、そのことは、被告が本件掘削に関する論評あるいは意見を表明する自由を、制限し得ない。本件掘削は、村田養豚場周辺の様相が一変するきっかけとなった出来事であり、その後、村田養豚場周辺では、本件記事で指摘しているような、様々な問題が次々と引き起こされた。原告が「奈良を代表する」と評価されるようなブランドを確立した現在でも、それらの問題の多くは、変わらず継続している。そのため被告は、村田養豚場の体質が大きく変化した嚆矢として、本件記事の最初に、原告による山林掘削問題を記載した。また、本件土地2共同所有者らが、民事訴訟を起こさなかった事情については、被告第2準備書面24〜27頁ですでに述べた。

(ⅲ)については、たしかに〈村田商店代表乙の父〉の掘削当初には、本件原確定及びその元となった当事者の合意は存在していない。しかし、〈村田商店代表乙の父〉の掘削は、平成20(2008)年1月まで継続しており、その間に、平成18(2006)年には本件境界確認書が作成され、平成19(2007)年には本件原確定が確定した。また、前述のとおり、被告は、本件原確定及びその元となった当事者の合意を根拠に、〈村田商店代表乙の父〉が越境して掘削したと主張しているのではない。

また、原告は、〈村田商店代表乙の父〉の掘削当時、「いかなる境界合意も境界確定もなされていなかった」とするが、仮にそうだとすれば、〈東鳴川Cの亡父〉が〈村田商店代表乙の父〉に境界を指示することもできなかったはずである。当然、〈村田商店代表乙の父〉の掘削当時にも、境界に関する合意は存在した。

以上のとおり、原告の指摘はいずれも当を得ていない。よって、被告には、摘示事実が真実であると信ずるについて相当の理由があった。また、被告が、本件記事において、〈村田商店代表乙の父〉が本件土地2等に越境して山林を掘削したことについて、不法掘削であったと論評したことは、表現の自由の範疇に属する。

2 「第2 被告第2準備書面「第4 赤田川下流の水質汚濁(FACT.4)」に対する反論」に対する反論

(1) 「1 名誉毀損事実」について

本件記事の「赤田川下流の水質汚濁(FACT.4)」の構成は次のようなものである(甲2ー47〜54頁)。

  • 木津川市議会で、村田養豚場の汚水処理が不十分であることが長年強く疑われてきたことを紹介(甲2ー47頁)。

  • 村田養豚場には浄化槽が設置されていないと見られることを指摘(甲2ー47頁)。

  • 赤田川の水質汚濁状況を、写真と動画のほか、エピソードを交えて説明(甲2ー48〜50頁)。

  • 赤田川水質汚濁の原因として村田養豚場が疑われていることを改めて指摘し、上流ではそれほど水質汚濁が見られないことを説明(甲2ー51頁)。

  • 奈良市・木津川市ともに、原告の排水に何の問題もないとしていることを指摘(甲2ー52頁)。

  • 村田養豚場の生産するブランド豚「郷ポーク」が、「人間の食べ残しを食べさせるエコな豚、奈良の自然豊かなむらざとで育んだブランド豚」として宣伝されていることを紹介し、「浄化槽も設置せずに、これらのうたい文句にふさわしい環境対策は可能なのでしょうか」と疑問を提起(甲2ー52〜53頁)。

  • インターネット上に公開されている記事「畜産の情報-調査・報告-2003年10月」月報国内編「養豚に切っても切れない汚水処理」(乙114)から、「放流できる処理水を得るためには浄化槽(活性汚泥処理施設)が必要である。養豚ではふんと尿を分離し、ふんはたい肥化、尿は浄化槽がメジャーな方法となっているのである」との記述を引用(甲2ー53〜54頁)。

  • 赤田川が当尾京都府歴史的自然環境保全地域に接しており、砂防ダムで作られた池の一部を含め浄瑠璃寺奥之院瑠璃不動像周辺は文化財環境保全地区に指定されていることを指摘(甲2ー54頁)。

冒頭のイと結論部分のカ・キが、対応していることからも明らかなように、「赤田川下流の水質汚濁(FACT.4)」の中核は、「原告は、ブランド豚のうたい文句にふさわしい環境対策として、浄化槽を設置するべきだ」という、意見の表明にある。

確かに被告は、上記主張の前提として、赤田川に著しい水質汚濁が見られること、及び、その原因として村田養豚場が疑われていることについて指摘しているが、被告は、原告が赤田川の水質汚濁源であるとは断定しておらず、原告に違法性があるとも述べていない。

以上をまとめると、「赤田川で著しい水質汚濁が続いている中、その原因として疑われてもいるのだから、原告は、ブランド豚のうたい文句にふさわしい環境対策として、浄化槽を設置するべきだ」という意見の表明が、「赤田川下流の水質汚濁(FACT.4)」の趣旨である。

したがって、原告の指摘はこじつけにすぎず、的外れである。

(2) 「2 真実性」について
ア 「(1)原告が赤田川の水質汚濁源であるということについて」について

(ア) 「平成29(2017)年11月の木津川市赤田川水質汚濁状況報告等(乙15)において、赤田川の水質汚濁源が村田養豚場付近であることまでは特定している」ことは、赤田川の水質汚濁源が村田養豚場であると疑われていることの妥当性を補強しこそすれ、否定するものではない。

(イ) 村田養豚場が水質汚濁防止法上の排水基準を満たしていることが、村田養豚場が下流で問題となっている有機汚濁の原因者ではないことを何ら保証しないことについては、被告第2準備書面42〜43頁で、すでに述べた。

(ウ) 被告は「村田養豚場が赤田川の水質汚濁の原因者である」とは断定していない。

たしかに本件記事には、「人が少なくなる時間を見計らって汚水が流されているのかもしれません」という記述があるが、原告は、村田養豚場が汚水を流しているとは記述していない。そして、「人が少なくなる時間を見計らって汚水が流されて」いたこと自体は、のちに木津川市が、赤田川の奥之院付近で実施した、EC連続モニタリング調査において、高い頻度で夜間に、人為的な水質汚濁が検知されたことにより、科学的に裏付けられた(乙15ー22頁)。

また、村田養豚場直下の赤田川に、強烈な悪臭を放つ泥が溜まっていることや、村田養豚場を境に赤田川の水質汚濁状況が一変することについても、木津川市が行った赤田川の踏査によって、確かめられている(乙10ー2頁)。

イ 「(2)原告には違法性があるということについて」について

(ア) 村田養豚場が水質汚濁防止法上の排水基準を満たしていることが、村田養豚場が下流で問題となっている有機汚濁の原因者ではないことを何ら保証しないことについては、被告第2準備書面42〜43頁ですでに述べた。

(イ) 村田養豚場に、水質汚濁防止法上の違法性がないことは認めるが、犬の放し飼いなど、原告の養豚場経営には、公法上の違法性が少なからず存在する。

(ウ) 原告が「ウ」の第2段落で指摘するとおり、被告の反論については、被告第2準備書面44頁「4 私権の侵害について」ですでに述べた。

(エ) 被告は、本件記事の「赤田川下流の水質汚濁(FACT.4)」では、原告に違法性があるとは述べていない。

(3) 「3 相当性」について

被告は、原告が赤田川の水質汚濁源であるとは断定しておらず、原告に違法性があるとも指摘していないが、平成28(2016)年6月の時点で、被告が、赤田川水質汚濁の原因が、村田養豚場であると疑われていること自体について、これを真実だと信じた根拠については、被告第2準備書面43頁ですでに述べた。

また、被告が被告第2準備書面44〜47頁の「5 因果関係について」において、「平成29(2017)年4月10日の段階で、木津川市から赤田川の水質調査を委託されていたエヌエス環境株式会社による調査結果(乙8)及び平成29(2017)年11月の木津川市赤田川水質汚濁状況調査報告書(乙15)を中心として、村田養豚場が赤田川の水質汚濁源である可能性についての主張」をしたのは、原告第1準備書面18頁の「(2)因果関係について」を受けてのことである。

原告第1準備書面18頁の「(2)因果関係について」において、原告は、平成27(2015)年以降の出来事に言及し、砂防ダムが赤田川の汚濁源である可能性を指摘している。しかしながら、被告第2準備書面45頁で述べたとおり、砂防ダムが、赤田川の二次的な水質悪化原因となっている可能性が考えられるようになったのは、木津川市による赤田川水質汚濁状況調査の後である。すなわち、少なくともこの論点に関しては、そもそも原告自身が、平成28(2016)年6月時点における事実のみに基づいて、主張を展開していない。したがって、被告が、原告の主張に反論するために、平成29(2017)年11月の木津川市赤田川水質汚濁状況調査報告書等に触れたことは、当然である。

(4) 「3 小括」について

原告の主張はいずれも曲解に基づいており、的外れである。したがって、本件記事に、原告に対する名誉毀損を構成する要素は何も存在しない。

- 以上 -
令和元年(ワ)第338号 損害賠償等請求事件
原  告  株式会社村田商店
被  告  遠藤 千尋

証拠説明書(4)

2020(令和2)年5月22日
奈良地方裁判所民事部合議1係 御中
【乙第104号証】土地境界確認書(写し)
作成日:H18.10.26
作成者:本件土地1所有者、本件土地2共同所有者、東鳴川町501共同所有者
立証趣旨:平成18年に、本件土地1所有者とその隣接地所有者とで土地境界確認書を作成していること
【乙第105号証】復命書(写し)
作成日:R1.12.23
作成者:木津川市管理課課長 松本敏也・栁沢課長補佐
立証趣旨:木津川市が、平成19年の境界に従い、点番号201を動かさずそのまま再確定する方針を示したこと
【乙第106号証】連絡処理報告(写し)
作成日:R2.1.7
作成者:木津川市農政課長 芝原利晃
立証趣旨:奈良県・木津川市ともに、自分の土地だと明らかな場所に防護柵を張るよう、原告を説得していること
【乙第107号証】連絡処理報告(写し)
作成日:R2.1.8
作成者:木津川市農政課長 芝原利晃
立証趣旨:原告が本件土地2共同所有者らに送付した通知書に、里道等が再確定されれば、それに合わせて防護柵を移動させることが書かれていること
【乙第108号証】報告書(写し)
作成日:R2.3.16
作成者:木津川市管理課課長 松本敏也・課長補佐 栁沢昌明
立証趣旨:木津川市が、本件原確定の点番号106及び201を移動させることなくそのまま復元し、点番号106及び201が府県境となるとしたこと
【乙第109号証】市道と防護柵の位置関係(写し)
撮影日:H2.4.14
作成日:H2.4.26
作成者:被告
立証趣旨:木津川市道と原告の設置した防護柵及び赤田川南岸府県境の位置関係
【乙第110号証】本件第1再確定図と本件水路確定図の合成図(写し)
作成日:R2.4.26
作成者:被告
立証趣旨:本件第1再確定図の赤田川南岸府県境が誤った位置に復元されたこと
【乙第111号証の1】本件第2再確定図と本件水路確定図の合成図(水路境界を合わせたもの)(写し)
作成日:R2.4.26
作成者:被告
立証趣旨:本件第2再確定図の赤田川南岸府県境が誤った位置に復元されていること
【乙第111号証の2】本件第2再確定図と本件水路確定図の合成図(旧橋の角度を合わせたもの)(写し)
作成日:R2.4.26
作成者:被告
立証趣旨:旧橋の角度を合わせると、本件第2再確定図の赤田川南岸府県境をより正しい位置に復元できること
【乙第112号証の1】2018年の航空写真に古図の実測値に基づく村界線を合成した図(写し)
作成日:R2.4.26
作成者:被告
立証趣旨:古図の方角実測値を測量当時の推定偏角で補正すると、村界線が本件地内平面図の府県境や植生の違いから判別できる府県境とほぼ一致すること
【乙第112号証の2】1975年の航空写真に古図の実測値に基づく村界線を合成した図(写し)
作成日:R2.4.26
作成者:被告
立証趣旨:古図の方角実測値を測量当時の推定偏角で補正すると、1975年の航空写真では、本件境界に該当する村界付近に緑の樹木が見えること
【乙第113号証】日本周辺での推定地磁気方位(写し)
作成日:R2.4.30
作成者:畠山唯達(岡山理科大学)
立証趣旨:明治22(1889)年における、北緯34度42分47.07秒(34.713074)・東経135度52分26.84秒(135.874121)地点の推定偏角が、西偏4.3度であること
【乙第114号証】調査・報告-畜産の情報(国内編)平成15年10月号「養豚に切っても切れない汚水処理」(写し)
作成日:H15.10
作成者:独立行政法人 農業技術研究機構 畜産草地研究所 羽賀清典
立証趣旨:本件記事に一部を引用した記事
【乙第115号証】会議・協議等報告書(写し)
作成日:R2.4.15
作成者:木津川市管理課課長 松本敏也、主査 駒文敬
立証趣旨:奈良県畜産課長溝杭が、本件土地2地権者に土地の売却を促していたこと、及び、原告の設置した防護柵の補助金が交付されたこと