原告第5準備書面・証拠説明書

令和元年(ワ)第338号 損害賠償等請求事件
原  告  株式会社村田商店
被  告  遠藤 千尋

原告第5準備書面

令和3年9月24日
奈良地方裁判所民事部合議1係 御中
原告代理人弁護士

本件記事の修正による原告の主張の変更について

第1 はじめに

原告の本件訴訟の主張は,次の通りであった。

① 本件記事は、全体が一体として,原告の名誉を毀損するものであるから,本件記事全体の削除を求める(訴状請求の趣旨第1項)。

② 特に,本件記事のうち,名誉毀損が明らかな記事としては,「山林侵奪,他人地占有」(FACT.1)について,原告第1準備書面第2記載の記事部分,「犬の放し飼い・公道の占拠」(FACT.2)について,原告第2準備書面第1記載の記事部分,「公道を見捨てる奈良市行政」(FACT.3)について,原告第2準備書面第2記載の記事部分,「赤田川下流の水質汚濁」(FACT.4)について,原告第1準備書面第3記載の記事部分がある。

③ 前記②の対象記事及びそれらを構成要素とする本件記事全体は,原告の名誉を毀損するものであって,原告は,被告に対して,不法行為に基づく損害賠償を求める。

ところが,本件記事は,訴訟提起時から現在までにおいて,被告自らの判断で,名誉毀損性に対する配慮がなされたのか,一部修正された(甲22)。

しかし,修正によって,本件記事の重要部分及びその趣旨に変更はないから,原告は,上記①の主張については,変更しない。 そして,上記②の主張については,本件記事の修正に伴い,主張の一定の変更を行う。すなわち,本件記事の修正があるので,修正前後を比較したうえ,修正後も名誉毀損記事であると認められる記事についての主張を行う。そして,その名誉毀損記事に対しては、個別的に,当該記事部分の削除を求める。これは,上記①の主位的請求に対する予備的請求である。

また,上記③の主張については,記事修正前の本件記事を基準として考察するものであるから,主張は変更しない。ただし,加えられた修正は,被告自身が,名誉毀損と考える部分が修正されたと評価することができるので,その修正内容に着目し,それを適示することによって,修正前の本件記事の違法性をより明確にすることとする。

以上について,以下では,「山林侵奪,他人地占有」(FACT.1),「犬の放し飼い・公道の占拠」(FACT.2),「公道を見捨てる奈良市行政」(FACT.3),「赤田川下流の水質汚濁」(FACT.4),について,順次述べる。

第2 山林侵奪,他人地占有(FACT.1)

1 修正後の記事の削除請求(上記②)

修正後の削除請求対象記事に関する原告の主張は,以下のア乃至キの通りである。ここで,ア乃至キは,原告第1準備書面第2記載の修正前のア乃至キに対応する記事部分である。よって,修正前の記事を示したうえで,修正後も削除請求の必要があるので,削除請求する修正後の記事を記載することとする。

また,修正がなされなかった記事につき,従前どおりに削除を主張する記事については,その旨を記載し,また,修正によって削除されたため,削除の主張をする必要がなくなった記事については,その旨,記載する。

ア, 修正前「村田養豚場(村田畜産/村田商店)は,2003年頃他人の山林を侵害し,その後も50匹あまりの犬を放し飼いにしたり通行人を恫喝するなどして,不法掘削した他人地と敷地周辺の公道を実質的に占拠し続けています」(甲2,1頁本文5行目〜6行目)。

修正後「この奈良ブランド豚を生産する村田養豚場(村田畜産/村田商店)は,2003年頃他人の山林を,所有者の抗議にも拘わらず掘削し,その後も数十匹の犬を放し飼いにしたり通行人を制止・恫喝するなどして,無断掘削した他人地と敷地周辺の公道を実質的に占拠し続けています。」(甲22,1頁本文2行目〜5行目)

イ, 修正前「これら村田養豚場(村田畜産/村田商店)による不法行為や迷惑行為」(甲2,1頁本文8行目〜9行目)。

この記事は、修正されていないので,記事の削除を求める(甲22,1頁本文6行目〜2頁1行目)。

ウ, 修正前「山林侵奪 他人地占拠」(甲2,2頁表題)

修正後「山林無断掘削 他人地占有」(甲22,3頁表題)

エ, 修正前「村田養豚場(村田畜産/村田商店)は,2003年頃他人の山林を掘削・侵奪し,その後も不法掘削した他人地を実質的に占拠し続けています。」(甲2,2頁本文1行目〜3行目)

修正後「村田養豚場(村田畜産/村田商店)は,2003年頃他人の山林を所有者の抗議にも拘わらず掘削し,その後も無断掘削した他人地を実質的に占拠し続けています。」(甲22,4頁本文1行目〜3行目)

オ, 修正前「2003年頃,奈良ブランド豚「郷PorK」を生産する村田養豚場(村田畜産/村田商店)は,赤田川北側の他人の山林を無断で削る事件を起こしました。村田養豚場の敷地は上図のようになっており,削られた山林はすべて他人の土地です。」(甲2,3頁本文2行目〜4行目)

この記事は修正されていない(甲22,5頁本文1行目〜3行目)ので記事の削除を求める。

カ, 修正前「このうち東鳴川のCさんの先代が,村田氏の先代にこの山林を賃貸していました。両方の先代がほぼ同時期に亡くなった後,現在の農場主が「どのように使ってもいいという約束で先代から借りた」として,借りている山林を突如削り始めたのです。この件は裁判になっています」(甲2,3頁本文5行目〜8行目)

修正後「このうち東鳴川のCさんの先代が,村田氏(当時の農場主=現村田商店代表の父)にこの山林を賃貸していました。両方の先代(先々代)がほぼ同時期に亡くなった後,当時の農場主(現村田商店代表の父)が「どのように使ってもいいという約束で先代から借りた」として,借りている山林を削り始めたのです。この件は裁判になっていますが,その裁判では,前述した山林賃貸の土地賃貸借契約書に,特約事項として「目的として,畜産業をいたします」と規定されていることが認められ,裁判所の判断として,山林掘削エ事も賃貸借契約の内容に含まれていたとされました。正直なところ,この裁判の一連の判決は,一般人にはあまりすっきりと理解できないものです。」(甲22,5頁本文4行目〜12行目)

キ, 修正前「2009年には,村田氏と東鳴川のCさんとの山林賃貸契約はどのような解釈によっても解消しています」(甲2,9頁本文5行目〜6行目)

修正後「当会代表が2015年秋頃に聞き取った東鳴川Cさんの証言によると,2009年には,村田氏と東鳴川のCさんとの山林賃貸契約はどのような解釈によっても解消しています」(甲22,11頁本文7行目〜9行目)

ク, 修正前「京都府木津川市側のAさんBさんは完全に巻き添えで山林を破壊され」(甲2,3頁本文9行目)

この記事は修正されていない(甲22,5頁本文13行目〜15行目)ので記事の削除を求める。

ケ, 修正前「2005年AさんBさんらは村田養豚場(村田畜産/村田商店)を刑事告訴しました」(甲2,3頁本文10行目)

この記事は修正されていない(甲22,6頁本文3行目)ので記事の削除を求める。

コ, 修正前「村田養豚場(村田畜産/村田商店)が,削りとった他人地で野焼きを繰り返し,農場主が現行犯逮捕されています」(甲2,4頁本文2行目〜3行目)

この記事は修正されていない(甲22,5頁本文18行目〜6頁本1行目)ので記事の削除を求める。

サ, 修正前「しかし,山林を削り取られたAさんBさんらによる刑事告訴はなぜか起訴猶予に終わりました」(甲2,4頁本文3行目〜4行目)

修正後「しかし,AさんBさんらによる刑事告訴は,なぜか不起訴に終わりました。検察からは「けが人や死人が出たわけではないから」と言われたそうです。また,木津川市の平成20年第1回定例会において,当時の市議が報告していますが,関係者の方が検察に電話で問い合わせたところ,検察は,今回は不起訴の中でも起訴猶予だと説明したとのことです。」(甲22,6頁6行目〜10行目)

2 記事の修正の評価(上記③)

上記の通り,本件記事アウエカキサは、掲載時から現在に至るまでに修正された。

すなわち,被告は,従前,ア,ウ,エにおいて,原告の行為を「山林の侵害」,「山林侵奪」,「不法掘削」と記述していたが,そのような記述を「無断掘削」といった記述に改め,原告の違法性に関する記述を弱めるに至った。また,カ,キ,サについては,民事裁判や刑事司法の結果などについて,原告の違法性を窺わせる記述を希釈する記述を追加した。

それでも,いまだ記事の名誉毀損性が払拭されているわけではないが,被告自身が,従前の表現を弱めたり希釈させたりしていること自体において,従前の記事の強い名誉毀損性を原告自らが認めたものと評価することができる。

第3 「犬の放し飼い・公道の占拠(FACT.2)」

1 修正後の記事の削除請求

ア, 修正前「村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、50匹以上の犬を放し飼いにし,通行人を恫喝するなどして、長年にわたり公道を占拠し続けてきました。2015年末には,村田養豚場が放し飼いにしている犬が10匹単位で,隣接する観光地である木津川市浄瑠璃寺に入り込む事態となっています。」(甲2,11頁本文1行目〜12頁1行目)。

修正後「村田養豚場は、一時は50匹以上の犬を放し飼いにし,通行人を恫喝するなどして,長年にわたり公道を占拠し続けてきました。近年では,村田養豚場が放し飼いにしている犬が10匹単位で,隣接する観光地である木津川市浄瑠璃寺に入り込む事態となっています。」(甲22,16頁本文1行目〜6 行目)。

イ, 修正前「奈良県家畜保健衛生所はこれを今なお容認しており,公道の占拠にも率先してお墨付きを与えています。奈良県家畜保健衛生所は自ら,村田養豚場の不法行為に加担しています。」(甲2,12頁2行目〜5行目)。

修正後「奈良県農林部畜産課はこれを今なお容認しており,公道の占拠にも理由を見つけてはお墨付きを与えようと蠢いています。奈良県農林部畜産課は自ら,村田養豚場の不法行為に加担しています。」(甲22,16頁本文6行目〜9行目)

ウ, 修正前「下図は犬の徘徊状況です。」(甲2,12頁本文6行目及び図)

本件記事内容については、修正後も同様の図が掲載されているため,同図を削除対象とする(甲22,17頁図)。

エ, 修正前「ざっと数えただけでも50匹以上,山林に隠れている犬を含めればおそらくもっと多くの犬が,村田養豚場周辺を徘徊していました。下写真は2016年1月に村田養豚場の間を抜ける公道で撮影したものです。」(甲2,13頁1行目〜4行目及び写真部分)。

同記事については、修正されていない(甲22,17頁5行目〜7行目及び18頁写真部分)。

オ, 修正前「放し飼いにしている犬は,浄瑠璃寺でも頻繁に目撃されています。」(甲2,13頁6行目及び写真)。

同記事については,文章は修正されていないが,写真部分が変更されている。

変更後の写真はSNS投稿記事の引用であると思われるが,その内容は,「近くの養豚場で放し飼いにされている犬」が浄瑠璃寺に出没していることを指摘するものであるため、変更後の引用部分全てを削除対象とする(甲22,20頁1行目〜2行目及び21頁〜22頁引用部分)。

カ, 修正前「2015年の末ごろからは,村田養豚場が放し飼いにしている犬が,10匹単位で早朝の浄瑠璃寺に現われるようになり,姿が見えない時も境内に多数の糞を残して行くため,浄瑠璃寺が非常に困る事態となっていました。下写真は2016年4月5日に執り行われた浄瑠璃寺の前住職葬儀の最中に現われた犬です。」(甲2,14頁1行目〜5行目及び写真)。

同記事については、修正されていない(甲22,22頁1行目〜23頁2行目及び23頁写真)。

キ, 修正前「村田養豚場は,2012年ごろから,通行人を含め、あらゆるじゃまものを衛生管理区域を理由に遠ざけてきました。」(甲2,17頁12行目〜13行目)。

同記事については,修正されていない(甲22,31頁13行目〜15行目)。

ク, 修正前「ところが村田養豚場は,この道は私道であるから通ってはならないと,しばしば通行人を脅しています。」(甲2,23頁5行目〜6行目)。

同記事については、修正されていない(甲22,36頁10行目〜11行目)。

ケ, 修正前「下記は2015年10月ごろに,村田養豚場の間を抜ける里道を通行しようとした方の証言(一部抜粋)です。・・・しかしよく平気で嘘がつけるものだと感心しています。」(甲2,23頁8行目〜24頁)。

修正後「下記は2015年11月ごろに,村田養豚場の間を抜ける里道を通行しようとした方の証言(一部抜粋)です。・・・しかしよく平気で嘘がつけるものだと感心しています。」(甲22,37頁1行目〜2行目及び37頁〜38 頁証言引用部分)。

コ, 修正前「奈良県家畜保健衛生所の職員は,村田養豚場を指導した際,木津川市に対し「私道だから通れないと言え」と要求され,それをそのまま木津川市に伝えたのです。」(甲2,25頁6行目〜7行目)。

同記事については,修正されていない(甲22,38頁5行目〜7行目)。

サ, 修正前「しかも奈良県家畜保健衛生所は,木津川市に違法性が高い指導方針を回答するだけでなく,実際に職員が村田養豚場による通行妨害に協力しています。下記は2015年10月村田養豚場の北側で草刈りをした方の証言です。この証言からも,奈良県家畜保健衛生所が村田養豚場に言われるまま,公道の通行妨害に加担してきた」(甲2,26頁3行目〜7行目)。

修正後「しかも奈良県家畜保健衛生所は,木津川市に違法性が高い指導方針を回答するだけでなく,実際に職員が村田養豚場による通行妨害に協力しています。下記は2015年11月4日に,当会代表が村田養豚場の北側で草刈りをした時の体験です。この体験からも,奈良県家畜保健衛生所が村田養豚場に言われるまま,公道の通行妨害に加担してきた」(甲22,39頁5行目〜9行目)。

シ, 修正前「以前から東鳴川の人に・・・ふつうの人は通行を断念してしまうにちがいありません。」(甲2,26頁8行目〜27頁)。

同記事については,修正はされていない(甲22,39頁〜40頁引用部分及び40頁1行目〜3行目)。

2 記事の修正の評価

記事の修正の評価以上のとおり,本件記事については,いくつかの修正が加えられている。その中でも,記事アにおいて,村田養豚場が50匹以上の犬を放し飼いにしている,という内容を,「一時は50匹以上の犬を放し飼いにしている,というように修正している点については、修正前記事があたかも常時村田養豚場で犬が50匹以上も放し飼いにされているという印象を与えるという意味で虚偽事実であった,ということを被告自身が認識していることの顕れであると言える。

また,記事サにおいては、修正前はあたかも本件とは関係のない第三者の証言かのように記載されていた部分について,被告本人の体験である,という修正がされており,被告が,本件記事掲載当時,第三者の証言,という形式を採ることにより,村田養豚場への悪評価をより強く読者に印象づけようとしていたことが伺え,被告の不法行為を論ずるに際して,その違法性は高いといえる。

第4 「公道を見捨てる奈良市行政(FACT.3)」

1 修正後の記事の削除請求

ア, 修正前「奈良市土木管理課は,村田養豚場(村田畜産/村田商店)により奈良市の認定市道が占拠されていることを知りながら敷地境界が画定していないことを理由にいっさい何もしようとしません。」(甲2,29頁本文1行目〜4行目)。

同記事については、修正されていない(甲22,61頁FACT.3本文1行目〜4行目)。

イ, 修正前「奈良市の公道である村田養豚場の敷地の間にある里道を,村田養豚場 が不法に占拠している」(甲2,29頁5行目〜6行目)。

同記事については、修正されていない(甲22,61頁FACT.3,5行目〜6行目)。

ウ, 修正前「厳然たる事実として,村田養豚場では今や日常的に公道が作業場となっており,公道の不法占拠が続いています。」(甲2,31頁7行目〜8行目)。

同記事については、修正されていない(甲22,64頁1行目〜2行目)。

エ, 修正前「常に重機やトラックが公道上を右往左往し,公道の真ん中で従業員が 豚のエサとなる残飯の仕分けなどを行っています。」(甲2,32頁左上部)。

修正後「日中頻繁に重機やトラックが公道上を右往左往し,公道の真ん中で従業員が豚の餌となる残飯の仕分けなどを行っています。」(甲22,65頁左上部写真及び文章)。

オ, 修正前「橋の向こうは他人地ですが,村田養豚場により犬小屋や山小屋が建てられています。」(甲2,33頁左上部3行目〜5行目)。

同記事については,削除されている。

カ, 修正前「残飯の扱いがずさんなため,この付近ではカラスが大量に繁殖し,近隣の田畑を荒らしています。」(甲2,33頁右上部1行目〜3行目)。

同記事については,修正されていない(甲22,65頁右下部写真及び1行目〜3行目)。

キ, 修正前「つまり,公道であるはずの里道が敷地の一部にしか見えない状況ということです。それも,長年親しまれたバス停名を変えなければならないほどの状況です。このような状況を公道の占拠・占用と言わずに何と言うのでしょうか。違法な公道占拠が放置されていることを示す重要な証言です。」(甲2,46頁21行目〜24行目)。

修正後「つまり,公道であるはずの里道が敷地の一部にしか見えない状況ということです。それも,長年親しまれたバス停名を変えなければならないほどの状況です。このような状況を公道の占拠と言わずに何と言うのでしょうか。違法な公道占拠が放置されていることを示す重要な証言です。」(甲22,78頁13行目〜79頁1行目)。

2 記事の修正の評価

FACT.3においては,記事エにつき,「常に」トラックが右往左往していたという表現が,「日中頻繁に」という表現に改められ,記事キについては,公道の「占拠・占用」と表現されていたものが,「占拠」のみに改められるといった修正がされており,修正前記事よりも,原告の違法性が希釈された書きぶりとなっている。このことは,被告自身が,本件記事の名誉毀損性を認識していたことに他ならない。

また,記事オについて,修正後記事においては削除されている。これは,他人地に村田養豚場が犬小屋や山小屋を建てているという事実について,真実ではなかったと被告が自認しているものであるといえる。

1 修正後の記事の削除請求

ア, 修正前「村田養豚場(村田畜産/村田商店)下流の水質汚濁が長年にわたり問題視されてきました。しかし,奈良県と奈良市はこれら村田養豚場(村田畜産/村田商店)による不法行為や迷惑行為をすべて黙認し」(甲2,1頁本文6行目〜9行目)

同記事については,修正前において,赤田川下流の水質汚濁が問題視されてきた,という内容を包摂する形で,「しかし,奈良県と奈良市はこれら村田養豚場(村田畜産/村田商店)による不法行為や迷惑行為を全て黙認し」と記載されていたが,修正後は,文章の順序を入れ替え,赤田川下流の水質汚濁については,前記一文にかからない形で記載されている(甲22,2頁3行目〜4行目)。

いずれにしても,同内容の記述がされている以上は,削除対象となることに相違はない。

イ, 修正前「赤田川下流の水質汚濁」(甲2,47頁FACT.4標題)。

同記事については、修正はされていない(甲22,81頁FACT.4標題)

ウ, 修正前「村田養豚場(村田畜産/村田商店)からの排水が,下流に著しい水質汚濁をもたらしている可能性について,長年にわたり何度も議論されています」(甲2,47頁頭書3行目〜6行目)。

同記事については、修正されていない(甲22,82頁1行目〜5行目)。

エ, 修正前「赤田川の地権者(Aさん)によると,養豚場の少し下流の山林の持ち主が,しいたけ栽培のため川からポンプで水を汲み上げていたが,糞尿ですぐポンプが詰まるとぼやいていた」(甲2,50頁5行目〜7行目)。

同記事については,修正はされていない(甲22,87頁1行目〜3行目)。

オ, 修正前「砂防ダムより上流であるためか,渓流にある水たまりにも,どろりとした茶色いヘドロがたまっています。撮影した人によると,谷にただよう滝しぶきが乾いて,葉っぱやあたり一面白い粉をふいていたとのことです。撮影した人は,帰宅後熱が出ました」(甲2,50頁9行目〜51頁2行目)。

同記事については,修正されていない(甲22,87頁5行目〜8行目)。なお,同記事に続けて,「寒い中長時間川べりにいたため軽い風邪を引いただけかもしれませんが」との記載が追加されているが,この記載により,同記事の名誉毀損性を減少させるものではない。

カ, 修正前「こうした水質汚濁の原因として,木津川市議会で長年議論されている場所のひとつが,奈良ブランド豚「郷Pork」を生産する村田養豚場(村田畜産/村田商店)です」(甲2,51頁3行目〜5行目)。

同記事については、修正されていない(甲22,88頁1行目〜3行目)。

キ, 修正前「村田養豚場より下流に限って糞尿あるいはどぶ川のような臭いが酷いという現実があります。最近は特に日暮れごろ臭くなります。谷の上の尾根道まで臭いが漂ってくるほどです。外にいる人が少なくなる時間を見計らって汚水が流されているのかもしれません」(甲2,51頁6行目〜10行目)。

修正後「村田養豚場より下流の赤田川に限って糞尿あるいはどぶ川のような臭いが酷いという現実があります。2016年から2017年にかけては,特に日暮れごろ臭くなるといわれていました。谷の上の尾根道まで臭いが漂ってくることもしばしばで,外にいる人が少なくなる時間を見計らって,夜に汚水が流されているのではと噂されていました。」(甲22,88頁4行目〜8行目)

2 記事の修正の評価

以上のとおりFACT.4についても、記事内容の修正がところどころ行われているが,特に,記事キにつき,「外にいる人が少なくなる時間を見計らって汚水が流されているのかもしれません」という内容について,「噂されていました」と修正がされている。

このことは,修正前の記事においては水質汚濁の原因者が村田養豚場であるということを読者をして確信させるものであったことを被告自身が認め,その強い名誉毀損性を自認していたものであるといえる。

以上
令和元年(ワ)第338号
原  告  株式会社村田商店
被  告  遠藤 千尋

証拠説明書

今和3年9月24日
奈良地方裁判所民事部合議1係 御中
【甲第22号証】奈良ブランド豚肉「郷Pork(郷ポーク)について知るべきこと」と題された記事(修正後)(写し)
作成日:R1.7〜
作成者:被告本人
立証趣旨:本訴訟係属中に修正された本件記事内容