被告第9準備書面・証拠説明書(8)

令和元年(ワ)第338号 損害賠償等請求事件
原  告  株式会社村田商店
被  告  遠藤 千尋

被告第9準備書面

2021(令和3)年9月22日
奈良地方裁判所民事部合議1係 御中
被告訴訟代理人弁護士

第1 本準備書面の趣旨

本準備書面においては、以下のとおり、参考のため、裁判所の整理に対応するかたちで被告の主張・立証を一覧で示す。なお、かっこ内の数字は、争点表における主張番号である。

第2 裁判所の整理に関連する被告の主張一覧

1 FACT1について

(1) 本件土地1の不法掘削及び不法占拠について

① 平成15年(2003年)ころ、〈村田商店代表乙の父〉が本件土地1を掘削した際、〈村田商店代表乙の父〉に掘削権限がなかった事実(〈村田商店代表乙の父〉と〈東鳴川Cの亡父〉の賃貸借契約に本件土地1の掘削権限が含まれていなかった事実。ただし,被告が,上記事実を摘示したかどうかにつき争いがある。)。

  1. (1) 本件記事に、本件土地1の掘削のみを取り出して、村田養豚場に掘削権限がなかったと記述している箇所はない。
    [被②13-14頁、被④6頁](甲2乙139〈遠藤〉(111))
  2. (2) 原告による山林掘削工事は、本件土地1とそれ以外を区別して行われたものではなく、越境掘削はあった上、原告は越境掘削した他人地を占拠し続けている。
    [被②13頁、被④6頁](乙139〈遠藤〉(111))
  3. (3) 〈村田商店代表乙の父〉による山林掘削が〈東鳴川C〉にとって不本意な工事であったことを示すため、原告も認めているように、裁判があったという事実のみを摘示したものである。
    [被②13-14頁](甲5甲6=裁判はあった、乙139〈遠藤〉(112))

② 〈村田商店代表乙の父〉と亡義治との間の本件土地1に関する賃貸借契約が解除され終了した事実

  1. (4) 平成17(2005)年2月以降、〈東鳴川C〉は、本件土地1賃貸借契約に基づく〈村田商店代表乙の父〉からの賃料支払いを拒否しており、〈東鳴川C〉が本件賃貸借契約の解消を望んでいたのは明らかである。
    [被①17-18頁、被④7頁](甲5:6頁、甲6:7頁)
  2. (5) 平成20(2008)年7月頃、木津川市からの問い合わせに対し、〈東鳴川C〉は「内容は土地の明け渡しに関して双方の借地契約書の借地期限の違いから調停が行われ、不成立になった。相手の契約書の借地期限の切れる来年(2009年)2月まで静観をしたい」旨述べた。
    [被①18頁、被②16-17頁、被④7頁](乙6:15頁、乙81:2頁)
  3. (6) 原告は平成22(2010)年4月14日付け内容証明郵便で、本件賃貸借契約を解除することを〈東鳴川C〉に通知し、同郵便は翌15日に配達された。
    [被①18頁、被②15頁、被④7頁](甲5:6頁)
  4. (7) 本件土地1の掘削をめぐる裁判において、裁判所は本件賃貸借契約の解除が無効となったとの判断は示していない。
    [被④6-7頁](甲5甲6
  5. (8) 原告は、本件賃貸借契約の解除を通知した平成22(2010)年4月ごろまでに、本件土地1において本件賃貸借契約の目的とされた「畜産業(牛の放牧)」を営むことを断念した。実際その後も本件土地1において牛の放牧は全く行われなかった。
    [被②17頁、被④6頁](甲6:9頁)(乙139〈遠藤〉(113)、乙136〈〈加茂町B〉〉(9))
  6. (9) 平成27(2015)年10月22日、〈東鳴川C〉は、被告に対し、原告に勝手をさせないため本件土地1に抵当権をつけてもらったと語った。
    [被②15・19頁](乙139〈遠藤〉(71))
  7. (10) 原告が〈東鳴川C〉から聞いたとする「尋常でない打ち明け話」は事実と異なる。
    [原①8-9頁、被②17-20頁](乙80の1乃至2、乙136〈〈加茂町B〉〉(2))
  8. (11) 平成18(2006)年11月ごろに、〈東鳴川C〉と、本件土地1隣接地所有者らが、土地不譲渡確約書を交わし、その際、土地を貸さないことについても約束していた。
    [被②18・24頁、被④10-11頁](乙80の1乃至2)
  9. (12) 令和元(2019)年5月ごろ、〈東鳴川C〉が本件土地1売却を前向きに検討するようになったのだとすれば、原告が〈東鳴川C〉に好条件を示したことが、その理由だと考えられる。
    [原①9頁、被②20-21頁](乙136〈〈加茂町B〉〉(6))
  10. (13) 本件土地1裁判確定後、〈東鳴川C〉が原告から賃料を受け取ることを拒否していたにも拘わらず、原告はこれに対抗して賃料の供託を再開したとは主張していない。
    [原①8頁、被②21頁]
  11. (14) 令和元(2019)年8月8日付けの領収書は、本件賃貸借契約の規定と異なり、賃貸借期間が年末ごとに区切られているため、これら領収書を本件賃貸借契約が継続していた証拠とみなすことはできない。
    [被②21-22頁](甲12の1乃至3、乙139〈遠藤〉(176))
  12. (15) 売却交渉成立後に追加で支払われた賃料に、本件賃貸借契約の継続を認定する効力があるとは、到底考えられない。
    [被④8-9頁](甲12の1乃至3、乙139〈遠藤〉(176))
  13. (16) 平成27(2015)年10月22日、〈東鳴川C〉は、被告の聞き取りに対し、平成21(2009)年には契約は解消されたと明言した。その後も、〈東鳴川C〉が、被告の聞き取りに対し、本件賃貸借契約が継続しているとの認識を示したことはない。
    [被①18-19頁、被②14-17頁](乙139〈遠藤〉(71,162)、乙136〈〈加茂町B〉〉(5))
  14. (17) 〈東鳴川C〉は、被告のほか、〈加茂町B〉と木津川市議〈木津川市議P〉に対しても、本件土地1売却の事情を語っているが、その内容はいずれも本件賃貸借契約が継続していたことを前提としないものであった。
    [被④8-9頁](乙139〈遠藤〉(177,178)、乙136〈〈加茂町B〉〉(6))
  15. (18) 原告は、本件御通知書においては、本件賃貸借契約が存在し、かつ、同契約が継続しているとは主張していない。
    [被①19頁](乙1乙139〈遠藤〉(161))
  16. 奈良県は、平成28(2016)年2月ごろ、村田養豚場の衛生管理区域から、里道と赤田川北側の土地を除外する変更を行った。原告が賃貸契約が継続していたと主張する東鳴川町502についても、この時、村田養豚場の衛生管理区域から除外されたと考えられる。
    乙33:43頁(平成28年6月16日)、乙99:1頁、乙139〈遠藤〉(99))

(2)本件土地2及び本件土地3の不法掘削について

本件土地1と本件土地2及び本件土地3の境界線が,被告の主張する範囲内に存在する事実

  1. (19) 〈村田商店代表乙の父〉の掘削当時にも、境界に関する合意は存在した。
    [被④27頁](乙136〈〈加茂町B〉〉(2))
  2. (20) 原告は不法掘削はなかったと主張するが、これは、元々の本件境界が掘削域の外縁もしくはその外側にあると主張していることと同義である。しかし、元々の本件境界が掘削域の外縁もしくはその外側にあることはあり得ない。
    [被②33-34頁](乙83:8-11,30-31頁、乙84の1乙85甲13乙86乙87乙88の1乃至5、乙111の2乙112の1乃至2、乙113乙139〈遠藤〉(53))
  3. (21) 元々の本件境界は、昭和58(1983)年に確定した赤田川南岸府県境点から、東北東に緩やかなカーブを描きながら109mほど稜線を辿り、本件土地2と東鳴川町501の境界である北へ上る稜線に接続していたと考えられるが、原告の掘削域は明らかに元々の本件境界を越境している。
    [被②27-35頁、被④22-25頁](乙83:8-11,30-31頁、乙84の1乙85甲13乙86乙87乙88の1乃至5、乙111の2乙112の1乃至2、乙113乙139〈遠藤〉)
  4. (22) 添上郡鳴川村実測全図の村界には実測値が記載されており、比較的信頼できる。
    [被②27-35頁、被④22-25頁](乙86乙88の1乃至5、乙112の1乃至2、乙113乙139〈遠藤〉(53))
  5. (23) 山林掘削時、〈村田商店代表乙の父〉が「古図」という、土地境界を判断する上で重要な資料を持ち合わせていた可能性がある。
    [被②29-30頁](甲13
  6. (24) 〈村田商店代表乙の父〉は、越境して山林を掘削していると、〈加茂町B〉らから複数回にわたって抗議を受けていた。
    [被②23頁](甲5:6頁、甲6:7頁)
  7. (25) 〈加茂町B〉らは刑事告訴の告訴状において、平成16(2004)年4月28日に、〈加茂町B〉らが現地で〈村田商店代表乙の父〉に抗議した際、〈村田商店代表乙の父〉が口頭では工事の中止を了解したことや、平成17(2005)年2月25日に、〈村田商店代表乙の父〉の代理人が、やはり掘削の中止と堆積物の撤去で合意していたことを指摘している。
    [被②23頁](乙82:2頁)
  8. (36) 原告は奈良市を通じ、木津川市に対して、二度にわたり本件原確定の修正を要求しているが、二度目の修正要求においても、原告は掘削域の中にある確定点108及び202の削除を求めていない。したがって原告は、少なくとも現在は、越境して掘削したことを認めている。
    [被②35-36頁](甲7の4乙28:5-6頁、乙136〈〈加茂町B〉〉(3))
  9. (40) 〈加茂町B〉らは、経済的にも精神的にも負担が大きすぎるため民事訴訟は提起しなかったが、原告の代替わりによって、原告の態度が変わることに期待し、機会を捉えては、口頭で原告の説得を試みていた。
    [被②24-27頁](乙136〈〈加茂町B〉〉(4)、乙139〈遠藤〉(185))
  10. (46) 原告の本件境界に関する主張は矛盾しており、何ら具体的境界線の提案を伴わないため、信用するに値しない。
    [原①10-12頁、被②39-40頁、被④17頁](乙84の1乙139〈遠藤〉(182))
  11. (47) 裁判所は、〈村田商店代表乙の父〉が「民事調停の申立てを行い、正当な権利者として行動をとって」いたと認定しているが、これは当該民事調停のあった平成19(2007)年9月時点においても、〈村田商店代表乙の父〉が本件賃貸借契約の借主として行動していたことを認定したもので、民事調停における〈村田商店代表乙の父〉の主張が正当であったと認めるものではない。
    [被④25頁](甲5:6-7頁)
  12. (49)本件記事のFACT.1に、〈村田商店代表乙の父〉の「不法行為責任」について触れた箇所はない。
    [被②23頁](甲2乙139〈遠藤〉(114))

(3)その他

① 2005年,A,Bが原告のことを刑事告訴した事実

  1. (52)〈事〉〈加茂町B〉らは平成17(2005)年8月に山林掘削を木津警察署に告発している。さらに平成19(2007)3月には、〈村田商店代表乙の父〉を刑事告訴した。
    乙6:1頁、乙82乙139〈遠藤〉(67)、乙136〈〈加茂町B〉〉(2))

② 村田養豚場の農場主が他人地で野焼きをした結果現行犯逮捕された事実

  1. (53)本件記事の文章では、野焼きでは現行犯逮捕されたが、山を削り取られたことに関する刑事告訴は起訴猶予に終わったと言う文脈となっている。
    [被②40頁](甲2:4頁、乙139〈遠藤〉(71))

2 FACT2について

(1)犬の放し飼いについて

原告が犬を数十頭放し飼いにしている結果、その犬が養豚場の敷地を越えて、浄瑠璃寺にまで入り込み、糞尿被害を起こしている事

  1. 乙138〈浄瑠璃寺住職〉
  2. (56)常に放し飼いの状態になっている犬が存在しないことは、常に一定数の犬が放し飼いの状態にあるということを否定しない。
    [訴状8頁、被①32頁]
  3. (57)本件訴状における原告の主張は、本件御通知書と異なっている。本件御通知書では「犬を違法に放し飼いしておらず、檻の中で飼育している」としていたのに対し、本件訴状においては「犬の一部を檻から放すことはある」としている。
    [訴状8頁、被①32頁](乙1:3頁、乙139〈遠藤〉(161))
  4. (58)原告は、犬の不適切な飼養と野犬への餌付けについて、奈良市保健所・京都府山城南保健所の双方からこれまで繰り返し指導を受けている。
    [被①32-35頁、被③17頁](乙34:2頁、乙35:2-3頁、乙36:1・3・4(別表)頁、乙39乙41:1頁、乙44:2頁、乙33:H29.4.12他、乙52:4・6・11・17頁、乙139〈遠藤〉(77,92))
  5. (59)村田養豚場周辺で捕獲された犬は、京都側奈良側を合わせ、平成26年(2014)以降だけで100頭を超え、そのうち少なくとも21頭が原告に返還された。
    [被①35-36頁、被③8頁](乙35:2頁、乙36:2頁、乙49:1頁、乙52乙53乙54)
  6. (60)浄瑠璃寺周辺住民の証言によれば、原告は1990年代から犬を多数放し飼いにしており、これまでにどれだけの数の徘徊犬が捕獲され処分されたかわからない。
    [被①3・36頁](乙35:1頁)
  7. (62)村田養豚場周辺の徘徊犬は広範囲を数頭から10頭ほどの群で移動している。村田養豚場周辺の徘徊犬は、若草山にも現れたことがあり、浄瑠璃寺周辺など近隣地域だけでなく奈良市内の観光地にも危険を及ぼしている。
    [被①36-39頁](乙33:H26.4.21・H26.4.23・H2014.4.28・H26.4.30・H27.11.2・H29.9.15・H31.2.12・H31.2.20、乙35:2頁、乙37乙38乙43乙48乙51:H29.12.12・H30.1.5・H30.1.18・H31.1.21・H31.3.13、乙52:37頁(H28.1.29)、乙55)
  8. (63)奈良市保健所は村田養豚場周辺の徘徊犬について「広範囲に移動しており、若草山で捕獲された犬について村田養豚場が引き取りに来たこともあった」と述べている。
    [被①36-39頁、被③9頁](乙35:2頁)
  9. (64)平成28(2016)年1月29日、京都府山城南保健所が浄瑠璃寺の協力を得て徘徊犬を捕獲した際、京都府山城南保健所は、浄瑠璃寺から「年末年始に10頭くらいの犬が山の向こう(養豚場)から来て困っている」との相談を受けている。
    [被①37-38頁](乙52:37頁(H28.1.29)、乙44:2頁)、乙138〈浄瑠璃寺住職〉)
  10. (65)原告が奈良市保健所に徘徊犬を通報したり、徘徊犬の捕獲を依頼した記録はみつかっていない。
    [被①39頁、被③16頁]
  11. (66)原告は、檻や囲いの外にいる犬について、飼い犬とそれ以外の野犬を区別して餌を与えていない。
    [被①39頁、被③16頁、被⑤15-16頁](乙56:(9)(10)、乙128:(30)-(33)(56)(57))
  12. (67)平成31年2月20日、原告は一度に多数の犬を登録している。原告の都合次第で、多数の犬が登録され得るのであれば、村田養豚場周辺の徘徊犬が、原告の飼い犬であるかどうかについては、ただ原告の心のうちにあるというほかはない。これではその犬が飼い犬かどうか、他者が見分けることは不可能である。
    [被①39頁](乙33:H31.2.20、乙139〈遠藤〉(160))
  13. (68)原告が何をもって飼い犬と野犬を区別しているのか不明である。原告は飼い犬について正確な数を提示していない上、原告の主張する飼い犬の数は、狂犬病予防法に基づいて登録された犬の数と一致していない。原告の主張する飼い犬の数とは、「原告が村田養豚場周辺で最低限徘徊させておきたい犬の数」という以上の意味がないようにも思われる。
    [被③15-17頁、訴状8頁、原②3頁](乙35:2頁、乙44:1頁)
  14. (69)被告は、村田養豚場の敷地の内外で、首輪のある犬と首輪のない犬が行動を共にしているようすを何度も目撃している。
    [被③16頁](乙56乙60乙91の2及び3、 乙94の1乃至3、乙128)
  15. (70)実態として、原告は放し飼いにしている飼い犬と野犬とを区別していないが、訴状にあるように、原告は、村田養豚場周辺には飼い犬以外の野犬もいると主張するので、奈良市保健所は、放し飼いだけでなく野犬への餌付けをやめるよう指導している。
    [被①40頁](乙41)
  16. (71)原告には村田養豚場周辺の徘徊犬のほとんどを収容した実績がある。このことは、原告がその気にさえなれば、村田養豚場周辺の徘徊犬のほとんどを、囲いの中に収容し続けられることを示す。しかし一年と待たず犬の放し飼いは再開された。
    [被①40-41頁、被③16-17頁、被⑤15-16頁](乙44:2頁、乙33:H28.5.31、乙45:1頁、乙46:1頁、乙55乙60乙92乙128乙139〈遠藤〉(109))
  17. (73)被告は、平成28(2016)年1月20日に、木津川市議会議員の〈木津川市議O〉とその支持者男性4名とともに、村田養豚場の間にある木津川市道を通り抜けているが、この時の参加者が現地で50頭以上の犬を数えたと証言している。通過時に撮影された写真からも、少なくとも32頭の犬が確認できる。首輪のない犬も首輪のある犬と行動をともにしており、原告も首輪のない犬を追い払うようなことはしていなかった。
    [被③4-5頁、被③16頁](乙91の1乃至3、乙36:3頁、乙139〈遠藤〉(90))
  18. (74)平成28(2016)年1月以降に捕獲され、原告に返還されることなく処分された徘徊犬の数は、京都側で22頭、奈良側で28頭にのぼり、合計すると50頭となる。したがって、当時、村田養豚場周辺には、少なくとも70〜80頭の犬が徘徊していたことになるから、平成28(2016)年1月20日に、村田養豚場周辺に50頭以上の犬がいたとしても、何ら不思議はない。
    [被③5頁](乙52乙53乙54)
  19. (75)平成24(2012)年2月27日、木津川市議会議員〈木津川市議P〉が、木津川市に、村田養豚場で多くの犬が放し飼いになっていることについて苦情を申し立てているが、その際、支持者が数えた数として、40頭以上の犬を確認したと述べている。
    [被③5頁](乙34:1・2頁)
  20. (76)原告が飼養する犬には、必ずしも首輪がつけられていなかった。
    [被③6・16頁](乙35:2頁、乙36:3頁・別表)
  21. (77)原告が、飼い犬を収容するのに十分な、犬小屋あるいは囲いを整備したのは、平成28(2016)年3月末ごろである
    [被③6-7頁](乙92:1頁、甲9:8頁)
  22. (78)被告は、本件記事において、写真とともに、原告が設置した新しい囲いについても記載している。しかし、残念ながら、その後原告による犬の放し飼いは再開された。
    [被③7頁、被⑤15-16頁](甲2:64-66頁、乙55乙60乙128)
  23. (79)平成28(2016)年3月ごろ、京都府山城南保健所が、村田養豚場内を徘徊している犬が浄瑠璃寺側へ出入りしている様子を確認している。
    [被③7-8頁ア乃至ウ](乙42:1頁、乙93乙44:2頁、乙139〈遠藤〉(90))
  24. (80)被告は、浄瑠璃寺周辺で首輪のある犬を度々目撃している.
    [被③8頁](乙55:(7)(8)(14)(15)(20)、乙60:(2)(3)(19)、乙139〈遠藤〉(206,207,208))
  25. (81)原告は、被告が図示した犬の徘徊範囲よりも遠くで捕獲された犬について、奈良市保健所に返還を求めたことがある。
    [被③9頁](甲2:12頁、乙35:2・4頁)
  26. (82)本件記事において被告が図示した犬の徘徊範囲(甲2ー12頁)は、被告が実際にその範囲内で犬を目撃したことに基づく。
    [被③9頁](甲2:12頁、乙139〈遠藤〉(18,25,28,76))
  27. (83)本件記事記載の犬の徘徊状況の図にある写真3枚に写っている犬がいる場所は、いずれも村田養豚場の敷地の外である。
    [被③9-10頁](甲2:12頁、乙94の1乃至4)
  28. (84)原告が主張する、ククリ罠にかかった犬を救出した経緯は、事実と異なる。被告がククリ罠にかかった犬を撮影したのは、平成26(2014)年2月11日午後2時13分であり、被告は原告男性従業員と現地に向かう前に、撮影した写真をiPhoneの画面に映して男性従業員に見せている。
    [被③10-14頁、原②4頁](乙94の2及び3、乙95の1乃至3、乙139〈遠藤〉(25))
  29. (85)原告が主張する、ククリ罠にかかった犬を救出した経緯は、飼い犬を適切に飼養しているとする原告の主張と矛盾する。現地で村田養豚場で飼育している犬ではないことを確認したとする原告の主張は、「村田養豚場の飼い犬には、敷地外のどこにいるかわからない犬が含まれる」ということが前提されている。
    [被③14-15頁、原②4頁](乙139〈遠藤〉(26))
  30. 少なくとも2016年ごろまでは原告自身、犬を放し飼いにしている認識があった。
    乙35:2頁、乙36:1・4頁、乙92乙139〈遠藤〉(26,37,38,100))
  31. 平成27(2015)年3月6日、木津川市平成27年第1回定例会において河井規子木津川市長は、曽我千代子議員の質問に答えて「ここ、通れなくなって、私も行きましたけれども、犬にほえられたり、そういう状況になっている」と述べた。
    乙6:43頁、乙139〈遠藤〉(55))

(2)原告が通行人を恫喝していることについて

〈村田商店代表乙の父〉や〈村田商店代表乙〉が通行人を恫喝している事実

  1. (92)村田養豚場は市道を通行しようとする人を脅したり制止することがある。
    [被①45頁、被③22-23頁](乙40乙47乙96乙97の1乃至2、乙139〈遠藤〉(14,40,80,131,157)、乙137〈〈通行人〉〉)
  2. (94)「シ」の体験談は被告自身のものであるが、被告は、赤田川北側で草刈りをした際、実際に〈村田商店代表乙の父〉から「今度ここを通ろうとして里道から少しでもはずれたらどうなっても知らんぞ」と恫喝された。ただしこれは、正確には、平成27(2015)年11月4日のことであった。なおこのとき被告は、〈村田商店代表乙〉から、以前何回か通ったことがあるのではないかといったことは聞かれたが、被告は、〈村田商店代表乙の父〉、〈村田商店代表乙〉のいずれからも、被告がインターネット上に公開した記事については何も言われていない。
    [被③19-20頁](甲2:26頁、乙39乙139〈遠藤〉(76))

3 FACT3について

① 原告が養豚場前の公道に常に(日常的に)トラックや重機を停めている事実

② 公道で原告の作業員が残飯の仕分けなどを常に(日常的に)行っている事実

  1. (103)村田養豚場は現在も公道上で日常的に作業をしている。村田養豚場の敷地の間にある市道は、本件記事で紹介した奈良交通のメールにある状況から改善しておらず、今なお安全に通行できる状況にはない。 [被①43-44頁、被③24頁、被⑤16-18頁](乙59乙101の1及び3、乙122:2頁1枚目の写真、乙129乙133乙134乙135乙139〈遠藤〉(45,51,52)、乙141)
  2. (113)木津川市道から容易に豚舎の中が見えるような状態となっている村田養豚場の光景は、「道が途中で養豚場の敷地内に進入」していると見られても仕方のないものである。
    [被③29頁](乙100の2)
  3. (114)株式会社都市景観設計と木津川市文化財保護課が編集・執筆を担当した、令和元(2019)年8月19日発行の「特別名勝及び史跡 浄瑠璃寺庭園 保存修理事業報告書II(保存修理工事編)」の「第5章 今後の課題」に、「2 活用上の課題」として、「奈良県側の悪質な土地利用による古道の実質的な封鎖」が挙げられている。
    [被③29頁](乙102乙139〈遠藤〉(179))
  4. 平成27(2015)年1月ごろ、奈良県農林部畜産課は、被告の問い合わせに対する返信メールで、「現在、当該養豚場内については、重機やトラック等が行き交っ ており通行するには非常に危険な状況です」と述べた。
    (乙140:1頁、乙139〈遠藤〉(51))
  5. 「施設への出入りが不便になる」という原告の主張は、実際には公道に重機が頻繁に出入りしているということを、原告自ら認めたものである。
    (乙75乙139〈遠藤〉(174))

③ 原告が他人地に犬小屋や小屋を建てている事実。

  1. (27)そもそも、原告が本件賃貸借契約の解除を通知して以降、原告が本件土地1を取得した令和元(2019)年8月末までの間、原告が本件土地1を使用することに正当性がなかった。したがって、その間に原告が赤田川より北の土地に設置していたものは、本件境界がどこかあるかに拘らず、他人地を不法に占拠していた。
    甲2:2頁の合成図、乙3:1頁=被告の主張として、乙7の2乙88の3乙136〈〈加茂町B〉〉(4))

4 FACT4について

村田養豚場下流の水質汚濁について

水質汚濁につき,村田養豚場がその原因となっていると疑われている事実

  1. 1. 乙6乙89:4頁、乙139〈遠藤〉(30,31,65,108)
  2. (161)被告は、本件記事公開前に、木津川市議会において、赤田川の水質汚濁問題が長年議論されており、村田養豚場がその原因と疑われていることを、インターネット上に公開された木津川市議会議事録で確認していた。
    [被②43頁](乙6乙139〈遠藤〉(103))
  3. (142)平成28(2016)年までに行われた民間の調査においても、赤田川の化学的酸素要求量(COD)が木津川水系の中で突出していることが指摘されており、その原因として「上流域にある産廃の山と養豚場」が挙げられていた。
    [被②43頁](乙89:4頁、乙139〈遠藤〉(103))
  4. (118)平成28(2016)年12月26日、木津川市による赤田川の水質検査で、著しい水質汚濁が検出(高田で BODが30mg/L、CODが26mg/L)された。
    [被①14・49頁](乙8の1:4頁)
  5. (119)平成29(2017)年4月10日、エヌエス環境株式会社は、提案書において「特に糞便生大腸菌が10,000個/mlを超過した状態は、し尿レベルの汚染であり、他の病原菌に汚染が心配される。一般河川、また農業用水として衛生的に心配。」と指摘した。
    [被①14・50頁](乙8の1:2頁)
  6. (120)平成29(2017)年4月14日、京都府山城南農業改良普及センターは「現在の水質が続けば、水稲・ナス等への生育への影響が懸念される」との見解を示した。
    [被①14・50頁](乙8の2:1頁、乙9の2:2頁)
  7. (121)木津川市は赤田川の水質汚濁を「府県境を跨ぐ公害」と捉えている。
    [被①49-51頁](乙9の1:4頁、乙9の2:1・2頁)
  8. (122)平成29(2017)年5月30日、木津川市は赤田川水質汚濁状況調査を実施した。現地調査の報告書では、村田養豚場を境に河川の状況が変化する様子が報告された。こうした河川の状況は、被告が川の上から観察して感じていた印象(本件記事)と一致する。
    [被①15・49-51頁](甲2:51頁、乙10:2頁、乙139〈遠藤〉(128))
  9. (123)平成29(2017)年6月23日には、京都やましろJAから木津川市長に、赤田川の水質改善を求める要望書が直接手渡された。
    [被①15・51頁](乙11)
  10. (124)平成29(2017)年7月21日、西小・大門・高田・観音寺・大野の流域五地区から、赤田川の水質改善要望書が、木津川市長に直接手渡された。
    [被①15・51-52頁](乙12)
  11. (125)加茂町と京都府は原告に対し立ち入り調査を受け入れるよう求めていたが、平成15(2003)年3月、原告は京都府側の立ち入りを拒否している。
    [被①49頁](乙9の1:3頁)
  12. (126)平成29(2017)年8月、原告は木津川市及び京都府による村田養豚場への立ち入り調査を拒否し、京都府が求めた調査内容についても回答を拒否した
    [被①15・51-52頁](乙13:3頁)
  13. (127)平成29(2017)年11月7日、木津川市長が奈良県農林部長と懇談し、村田養豚場を念頭に、赤田側水質改善への協力と、事業者を適切に指導することを依頼した。
    [被①15・52-53頁](乙14)
  14. (128)平成29(2017)年11月、木津川市による赤田川水質汚濁状況調査報告書は、赤田川の汚濁原因について「府県境に位置する養豚場付近で、高濃度かつ大量の有機汚濁成分が排出されて、赤田川の水質汚濁を引き起こしていると考えられる」と結論づけた。
    [被①15・53-54頁](乙15:25頁、乙139〈遠藤〉(136))
  15. (129)平成29(2017)年11月14日、木津川市長が奈良県知事を訪れ、赤田川の水質改善に配慮を願う要請書を手渡してた。当初木津川市はこの要請書を京都府知事と連名で発出することを希望していたが、このことは木津川市の問題解決にかける強い意志を感じさせる。また、検討中の文案では「奈良市と木津川市の境界付近で河川の状況が大きく悪化していることが確認され、その付近にある事業所が上流側の汚濁源の一つとなっている可能性が示唆されています」としており、最終案よりも踏み込んだ表現となっていた。
    [被①15・54頁](乙17の1乃至3)
  16. (130)平成29(2017)年11月22日、木津川市長が奈良市長を訪問して、奈良県知事宛と同内容の要請書を手渡している。この要請文においても、途中の文案は最終案と少し異なっており、「調査・対応をされた結果につきましては、木津川市及び京都府に提供いただけますようお願いいたします」という具体的な要請が含まれていた。
    [被①16・54-55頁](乙18の1及び2)
  17. (141)村田養豚場は、下流で問題視されている有機汚濁物質に関して、排水規制を受けておらず、したがって、村田養豚場が水質汚濁防止法上の排水基準を満たしていることは、村田養豚場が下流で問題となっている有機汚濁の原因者ではないことを何ら保証しない。
    [被②42-43頁、甲①15-16頁、被④29-30頁](甲14:15-16頁)
  18. (145)奥之院下流の砂防ダムが、赤田川の二次的な水質悪化の原因となっている可能性が考えられるようになったのは、平成29(2017)年5月30日に行われた木津川市による赤田川水質汚濁状況調査の後である。したがって、平成28(2016)年6月公開の本件記事に、砂防ダムが二次汚濁源となっている可能性について記載がないことは、当然と言える。
    [被②45頁](乙62:1頁)
  19. (146)砂防ダムの取水設備の開閉が行われなくなったのは、開閉機構が故障したことに加え、開放時に汚濁した底質を含んだ黒い水が下流に流れ込むためである(乙15ー25頁)。
    [被②45頁](乙15:25頁)
  20. (147)砂防ダムが二次的な水質悪化の原因となる理由は、ガスとともにスカム状の物質が噴き上がり、それらが水面を浮遊して、下流に流れ下ることなどによる。この現象は、赤田川上流から大量の有機汚濁成分が流れ込むことによって生じていると考えられ、それゆえに砂防ダムは、「二次的な」水質悪化の原因とされている。
    [被②45-46頁](乙15:20頁)
  21. (148)現在では、砂防ダムにおいて、スカム状物質の噴き上がりは少なくなっており、砂防ダムが二次汚濁源となっているとは考えられていない。
    [被②46頁](乙62:2頁)
  22. (156)被告は、本件記事の水質汚濁に関する記事において、原告に違法性があるとは述べていない。
    [被④5・30-31頁](甲2:47-54頁)
  23. (157)「赤田川で著しい水質汚濁が続いている中、その原因として疑われてもいるのだから、原告は、ブランド豚のうたい文句にふさわしい環境対策として、浄化槽を設置するべきだ」という意見の表明が、「赤田川下流の水質汚濁(FACT.4)」の趣旨である。
    [被④28-29頁](甲2:47-54頁、乙114:3頁)
  24. (158)「平成29(2017)年11月の木津川市赤田川水質汚濁状況報告等(乙15)において、赤田川の水質汚濁源が村田養豚場付近であることまでは特定している」ことは、赤田川の水質汚濁源が村田養豚場であると疑われていることの妥当性を補強しこそすれ、否定するものではない。
    [被④29頁](乙15:25頁)
  25. (159)被告は「村田養豚場が赤田川の水質汚濁の原因者である」とは断定していない。
    [被④30頁](甲2:47-54頁)
  26. (162)村田養豚場直下の赤田川に、強烈な悪臭を放つ泥が溜まっていることや、村田養豚場を境に赤田川の水質汚濁状況が一変することについても、木津川市が行った赤田川の踏査によって、確かめられている。
    [被④30頁](乙10:2頁)
  27. (163)本件記事に、原告による水質汚濁防止法違反を指摘する記述はない。また、赤田川下流で具体的な農業被害が発生していると指摘している箇所もない。村田養豚場からすぐ下流の浄瑠璃寺奥之院近辺では、著しい水質汚濁が頻繁に観察されているので、被告はそのことを象徴する出来事をいくつか紹介したに過ぎない。
    [被②8・9・44頁](甲2:50-51頁)
  28. (164)「人が少なくなる時間を見計らって汚水が流されて」いたこと自体は、のちに木津川市が、赤田川の奥之院付近で実施した、EC連続モニタリング調査において、高い頻度で夜間に、人為的な水質汚濁が検知されたことにより、科学的に裏付けられた。
    [被④30頁](乙15:22頁、乙139〈遠藤〉(134))
以上
令和元年(ワ)第338号 損害賠償等請求事件
原  告  株式会社村田商店
被  告  遠藤 千尋

証拠説明書(8)

2021(令和3)年9月22日
奈良地方裁判所民事部合議1係 御中
【乙第144号証】訴状(写し)
作成日:R3(2021).9.9
作成者:被告代理人
立証趣旨:本件土地2の所有者ら全員が原告会社らを被告として、境界確定、所有権確認、妨害排除、損害賠償を求めて京都地方裁判所に提訴した事実。