裁判編(控訴審)
本裁判の詳細ではなく、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に関する様々な問題をお知りになりたい方は、ぜひ本編をお読みください。
ISSUE.3
公道の
違法占拠
目次
- 訴状における村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張
- 被告第1準備書面における当会代表の主張
- 原告第2準備書面における村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張
- 被告第3準備書面における当会代表の主張
- 争点表における村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張
- 奈良地方裁判所の判断
- 控訴理由書における当会代表の主張
- 控訴答弁書における村田養豚場(村田畜産/村田商店)の主張
- 大阪高等裁判所の判断
「(3) FACT2」について
(1) 「(イ)」(原判決23頁15行目〜24頁9行目)について
ア 原判決が「村田養豚場(村田畜産/村田商店)は(中略)一般の通行人による公道の通行を制限していたことが認められるが、このような措置が違法であったことを認めるに足りる証拠はない」(23頁17〜23行目)とし、所轄警察署長から道路使用許可を得ないまま道路を排他的に使用することの違法性を認めなかったことは不当である。しかも、記事目録1「3-(3)」は、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が予備的請求で削除するべきとした記事目録2に含まれておらず、これまで一度も争点とされたことがない(FACT2争点表)。
(ア) 村田養豚場の敷地の間にある道は、道路法が適用される木津川市の認定市道加2092号である(乙120:8頁)。道路法において、道路管理者は、道路の構造を保全すること、または、交通の危険を防止することを目的とする場合のみ、管理している道路について、通行の禁止又は制限ができる(道路法第46条及び第47条)が、言うまでもなく村田養豚場(村田畜産/村田商店)による通行制限は、上記のいずれにも該当しないし、そもそも村田養豚場(村田畜産/村田商店)は道路管理者ではない。
(イ) 家畜伝染病予防法では、通行の制限又は遮断について、第15条で「都道府県知事又は市町村長は、家畜伝染病のまん延を防止するため緊急の必要があるときは、政令で定める手続に従い、七十二時間を超えない範囲内において期間を定め、牛疫、牛肺疫、口蹄てい疫、豚熱、アフリカ豚熱、高病原性鳥インフルエンザ又は低病原性鳥インフルエンザの患畜又は疑似患畜の所在の場所(これに隣接して当該伝染性疾病の病原体により汚染し、又は汚染したおそれがある場所を含む。)とその他の場所との通行を制限し、又は遮断することができる」と定めているが、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による通行制限は、この規定には該当しない。
(ウ) 奈良県家畜保健衛生所は、衛生管理区域を設定すること、及び、設定した衛生管理区域において、飼養衛生管理基準に定められた衛生管理として、農場関係者以外の立ち入りを制限をすることを、村田養豚場(村田畜産/村田商店)に指導したようであるが、奈良県家畜保健衛生所は、公道及び他人地を衛生管理区域に含めるよう指導してはいない(乙74:2頁)。したがって、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、公道及び他人地を衛生管理区域に指定して、農場関係者以外の立ち入りを制限し、これらの土地を事実上占有する必要があったのであれば、公道については、道路占用許可及び道路使用許可を取得しなければならなかったし、他人地については、それぞれの土地所有者と賃貸借契約を結ぶなどして、正当な占有権限を得なければならなかった。そのようにして村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、衛生管理区域に設定した公道及び他人地について正当な占有権限を取得していた場合は、確かに「このような措置が違法であった」とは言えないが、そうでない場合は当然に違法である。
(エ) 木津川市は、平成27(2015)年3月6日、木津川市議会における議員の質問に答える形で「この道は、養豚場の衛生管理区域設定により、通行禁止看板が設置されているところでございますが、その看板の撤去を奈良県家畜保健衛生所から養豚場に指導していただくよう申し入れており、通行について家畜保健衛生所と協議を行ってまいります。(乙6:42頁)」「養豚場の衛生管理区域という通行を妨げるような状況があるということで、そこのことに対しましては、奈良市の、先ほど建設部長が答えましたように、奈良県家畜衛生保健所のほうから御指導いただき、許可権者でもあるところでございますので、しっかり御指導いただき、対策を講じてい ただけるように求めてまいりたいと思います。(乙6:43頁)」と述べている。したがって、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が立ち入りを制限していた市道について、木津川市による道路占用許可、及び、京都府警木津署による道路使用許可が出されていなかったことは明らかである。
(オ) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)が市道上に設置した「通行禁止看板」(乙6:42頁、乙147(1)〜(4))とバリケード(乙147(3))に対し、前述「(エ)」のとおり木津川市による道路占用許可、及び、京都府警木津署による道路使用許可は、許可が申請された形跡がなく、当然ながら許可は出されていない。したがって、これらの物件は、道路交通法第76条第3項「何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。」に違反している。
(カ) 加えて仮に村田養豚場(村田畜産/村田商店)が、道路占用許可を申請していたとしても、道路法の趣旨からして、道路の遮断を目的とする道路占用が認められることはない。また、道路を遮断する行為は、現に交通の妨害となるおそれがあり(道路交通法第77条第2項の一に該当せず)、かつ、どのような条件を付しても交通の妨害となることが明らかであって(道路交通法第77条第2項の二に該当せず)、しかも公益上又は社会の慣習上止むを得ないとは到底認められない(道路交通法第77条第2項の三に該当せず)から、道路交通法第77条に基づく道路使用許可が下りることもない。
(キ) 以上のとおり、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が一般の通行人による公道の通行を制限していたことには法的根拠がなく、違法である。
イ 原判決が「声掛けにとどまらず恫喝とまで評価されるような行為に及んでいたことは客観的証拠もなく、これを否定する〈村田商店代表乙〉の供述に照らし、当会代表の供述等は直ちに信用することができず、他にこの事実を認めるに足りる証拠はない」(24頁3〜6行目)とし、一方的に当会代表らの供述を否定したことは不当である。
(ア) 当会代表がツイッターのダイレクトメッセージ機能を用いて〈通行人〉と最初にメッセージのやりとりをしたのは、平成27(2015)年11月9日のことで(乙168)、それ以前から互いに互いのアカウントをフォローしてはいたが、特にメッセージをやり取りすることはなかった。ツイッターは、自分の興味がある話題を発信しているアカウントを一方的にフォローする仕組みとなっており、アカウントをフォローしているからと言って、特に知り合いや友達と言うわけではない。また村田養豚場(村田畜産/村田商店)が運用している「弥勒の道プロジェクト」のアカウントは、フォローされれば半自動的にフォローを返す方針となっているため、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は〈通行人〉のことを全く知らなかったが、フォローを返す形で〈通行人〉のアカウントをフォローしていた。
(イ) 〈通行人〉は、村田養豚場の間にある市道を通過した日の翌日である平成27(2015)年11月13日、養豚場通過時に6〜7匹の犬に取り囲まれたことについて、山城南保健所に苦情を申し立てているが、その際「養豚場の人にかなり脅されたので名前は言いたくない」とも述べている(乙40)。この苦情は、市道上にいた徘徊犬に関するものであり、末尾の「養豚場の人にかなり脅されたので名前は言いたくない」との発言は、山城南保健所から名前や連絡先を問われたことに答えたものと考えられるから、〈通行人〉としては「養豚場の人にかなり脅された」ことを、そもそも保健所の業務と関係がないのに、山城南保健所に訴えるつもりがなかったことが明らかである。したがって、〈通行人〉の「養豚場の人にかなり脅された」と言う発言には、何の作意もなかったと言わなければならないし、〈通行人〉が、平成27(2015)年11月12日に、村田養豚場の間にある木津川市道を通過した際、〈村田商店代表乙の父〉から恫喝された事実(乙137、乙167)を疑う理由はない。
(ウ) 当会代表が平成27(2015)年11月4日に、〈村田商店代表乙の父〉から恫喝されたこと(乙139:26〜27頁(76))は真実である。
(エ)) 〈村田商店代表乙の父〉が、自身の意に沿わない相手に激昂しやすいことは、令和元(2019)年12月7日に、〈加茂町B〉と〈加茂町B〉が相談していた木津川市会議員や〈加茂町B〉の支援者らが、長尾2の現状を確認するため現地を訪れた際、〈加茂町B〉らが林の出口からそう離れていない場所にとどまっていたにもかかわらず(乙169の2の位置図)、〈加茂町B〉らの姿を見とがめた〈村田商店代表乙の父〉が激昂し、罵声を浴びせながら近づいてきた時の音声(乙169の1)からもわかる。〈村田商店代表乙の父〉は市会議員が手にしていた鎌についてしきりに抗議しているようであるが、これは境界杭の確認などのため草を刈る必要があると考えられたことから、市会議員が小さな手鎌を持参していたもので、〈加茂町B〉によると市会議員はその鎌を〈村田商店代表乙の父〉に向けたりはしていない。また、〈村田商店代表乙の父〉が罵声を浴びせている女性は、〈加茂町B〉であるが、〈加茂町B〉は当時83歳(昭和11年3月12日生)であった。〈村田商店代表乙の父〉は激昂しやすく、相手が高齢の女性であれ、初対面の通行人であれ、このような「声掛け」をする傾向があり、〈加茂町B〉らは〈村田商店代表乙の父〉のこうした対応に慣れているため落ち着いて対応できているが、こうした「声掛け」は恫喝と受け取られても仕方のないものだと言わなければならない。
※個人名がカットされています。
(オ) 令和元(2019)年8月16日には、名古屋から自転車で旅をしていた旅行者が、村田養豚場の間にある市道を通り抜けて浄瑠璃寺に向かおうとして、誤って村田養豚場の敷地に進入してしまい、それを見とがめた〈村田商店代表乙の父〉に罵声を浴びせられたことにより、激しい口論となった結果、〈村田商店代表乙の父〉が警察を呼んでいる(乙170)。そもそも村田養豚場には、市道と敷地を区分する柵がなく、どこが道かわかりにくいため、当該旅行者が誤って敷地に入ったとしても無理からぬ状態となっているが、このように〈村田商店代表乙の父〉には初対面の旅行者に対しても、自身が気に入らない行動を取った場合は、罵声を浴びせる傾向がある。
この時〈村田商店代表乙の父〉が「弥勒の道プロジェクトを裁判で訴えている」と言っていたため、そのことが気になった当該旅行者は、令和元(2019)年8月19日に、ツイッターのダイレクトメッセージを通じて、当会代表に事実関係を問い合わせた。当該旅行者と当会代表がやりとりをしたのはこれが初めてである。当会代表が当該旅行者に、実際に訴訟を提起されていることを告げたところ、裁判で〈村田商店代表乙の父〉が通行人を恫喝することがあることの証拠などに使えるかもしれないと、当該旅行者は奈良警察署から調書を取り寄せ、令和元(2019)年10月1日に、当会代表に郵送で調書を提供した。原審では、当該旅行者の住所氏名などが村田養豚場(村田畜産/村田商店)に伝わることなどから、当該旅行者に何らかの不利益が降りかかる可能性を考慮し、また〈通行人〉の陳述書(乙137)や山城南保健所への通報記録(乙40)など証拠は十分にあると考え、当会代表としてはこれを書証として提出することをしなかったが、原判決で恫喝の事実を認められなかったため、追加でこれを提出することにした。
(カ) 以上のとおり、村田養豚場(村田畜産/村田商店)のうちとりわけ〈村田商店代表乙の父〉が、声掛けにとどまらず、恫喝と評価されるべき言動に及んでいたことは明らかである。
(2) 「(ウ)」(原判決24頁10〜12行目)について
以上のとおり、村田養豚場が通行人を恫喝したり、立入りを制限する看板を設置したりして公道(里道)を不法に占拠しているとの事実は真実であるから、FACT2のうち、これらの事実を摘示する部分についても名誉毀損の不法行為は成立しない。
「(4) FACT3」(原判決24頁14行目〜25頁10行目)について
原判決は「通行するには危険な状態であったことが認められる」(24頁20〜21行目)とし、「FACT3において摘示された村田養豚場による公道占拠の事実は、真実であると認められる」(25頁1〜2行目)としながら、「村田養豚場による公道の占拠が不法であるとの事実については、真実性及び相当性ともに認められない」(25頁7〜8行目)としているが、争点整理時に当時の裁判長が「公道を占拠していれば道路交通法違反になる」という趣旨の発言をしていたことからしても、原判決の判断は不当である。
(1) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、木津川市道場で、積荷の荷下ろしだけでなく、フォークリフトやミニローダーといった重機を用いて、餌の混ぜ合わせ作業などを行なっている(乙59、乙129、乙133、乙134、乙141:(9)、乙163:(3)(6)(7))のみならず、コンクリートを作るために、中型バックホウ(ショベルカー)を用いて、木津川市道上に直接セメントや砂利などを積み上げ、そこに水を注ぎ込んで練り合わせる作業まで行なっている(乙141:(9)、乙163:(3)(6)(7))。
「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする」道路交通法の趣旨(第1条)からすると、原判決も「通行するには危険な状態であったことが認められる」(24頁20〜21行目)としているような、こうした作業が、道路交通法第77条第1項の一で、所轄警察署長の許可を受けなければならないと定められている「工事若しくは作業」に該当しないとは到底考えられない。
(2) 村田養豚場(村田畜産/村田商店)はしばしば積荷や重機、かごなどを長時間木津川市道上に放置している(乙59・乙133:(28)(30)、乙129・乙134(16)、乙141:(18))が、このことは道路交通法第76条第3項「何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。」に違反している。
(3) 令和4(2022)年3月22日、木津川市と京都府警木津警察署と奈良県畜産課の三者が、村田養豚場(村田畜産/村田商店)の市道占用許可について協議したが、この時木津川市と木津警察署は、奈良県畜産課に対し、「道路占用及び道路使用の何の観点からも、(株)村田商店が排他的に市道を占用することは認められない」ことを明確に示した。木津警察署は「現状は、占用者が市道を極めて排他的に使用している、もしくは使用しようとしていることが問題である。警察も市も、排他的に使用することまでは許可していない。」と述べている(乙158)。なお、市道上の門扉について道路占用許可及び道路使用許可が下りたのは、令和元(2019)年10月3日であり(乙121)、それ以前には、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は村田養豚場の敷地の間にある市道に関し、道路占用許可も道路使用許可も取得していなかった。
(4) 令和4(2022)年3月25日、木津川市と京都府警木津警察署と奈良県畜産課の三者が、村田養豚場を訪れ、村田養豚場(村田畜産/村田商店)による市道占用状況を確認した。この時木津警察署は、「市道上でフォークリフトが操業している状況では事故等の恐れがあり、我々も通行できない。本日、通行することを断念せざるを得ない」とし、市道上でフォークリフトが操業していることを問題視した上で、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が道路を排他的に使用していると判断した(乙161:1頁)。しかし、この時の現地の状況(乙161:4〜6頁写真)は、奈良県畜産課が認めているとおり「特別な状況」ではなく(乙161:3頁)、村田養豚場では本件記事公開以前から長らく常態化しているものである(乙59、乙129、乙133、乙134、乙141:(9)、乙163:(3)(6)(7))。
公道(里道)の不法占拠(FACT.2)
1 通行人に対する恫喝について
村田養豚場関係者らが、通行人に対し、恫喝をしていたと認めるに足りる客観的証拠はなく、村田養豚場が、通行人に対する恫喝により違法な通行妨雪を行っているとまでは認められないとした原判決は、正当である。
当会代表は、控訴理由書において、〈村田商店代表乙の父〉が自身の意に沿わない相手に激昂しやすい旨主張するが、この主張自体、村田養豚場が、通行人を恫喝し違法に 通行妨雪を行っていたことを根拠付けるものではない。乙169号証についても、土地境界等に関し一定の紛争が認められる相手であり、しかも、その同伴者が手に鎌を持っていた(通常人であれば鎌など兇器となり得るものを把持している人物を警戒するのは当然であると思われる)という状況での会話内容であり、公道の通行人に対する恫喝、という点でいえば一切関係のない事実である。
また、当会代表が指摘する乙170号証についても、旅行者が養豚場敷地内に誤って入ってしまった際に、それを指摘した〈村田商店代表乙の父〉と口論になった、というものであり、認証が同旅行者に罵声を浴びせたなどの記載は一切なく、そもそも、村田養豚場が管理する敷地内に立ち入ってしまった者との間の口論に関する証拠であって、公道の通行人に対する恫喝行為との関係で意義のあるものではない。
以上からすれば、村田養豚場が、公道の通行人に対し、恫喝行為により違法に通行妨害をしていたと認定するに足りる客観的な証拠は存在しておらず、原判決の認定は正当である。
2 立入りを制限する看板の設置について
立入り禁止の看板を設置していたことについては、奈良県が、村田養豚場に対する衛生管理区域の設定を養豚場敷地及び養豚場敷地を縦断する黒道にも指定していたことに伴い、行政からの指導によって設置をしていたものである。乙99号証からも、かかる衛生管理区域の設定が県により主尊されていたことは明らかである。これら行政による指導については、豚コレラに対する防疫として行われていたものであり、豚の飼養を業として行っている村田養豚場としては、当然従わざるを得なかったものである。
そして、平成28年3月、公道が衛生管理区域の指定から外されると、村田養豚場は、前記立入り禁止の看板については撤去しているものである。
村田養豚場によるかかる看板の設置が違法であったと認められる余地はない。
したがって、公道の通行制限していたことは認められるが、このような措置が違法であると認めるに足りる証拠がないとした原判決は、正当である。
3 小括
以上からすれば、村田養豚場が通行人を恫喝したり、立入りを制限する看板を設置して不法に公道を占拠していた、との事実を適示する部分について、名誉毀損の不法行為が成立するとした原判決は、正当である。
公道の不法占拠(FACT.3)
まず前提として、村田養豚場の敷地の間に存する市道については、私有地との境界が明示されておらず、その位置を正確に特定することはできない。
そして、村田養豚場は、かかる市道について、恒常的に事業用の重機や、機材等を置くことによって通行人による通行を妨げるようなことはしておらず、市道を含むと思われる範囲については、その空間を空けている。
その上で、養豚場の業務における必要性に応じて、市道を使用することはあるが、それは、1日に午前と午後の1回ずつ、約10分程度の作業であって、この作業時間を越えて市道を占拠し続けているというものではない。当会代表が指摘する、作業現場を撮影したと思われる写真についても、村田養豚場が作業をしている時間を切り取ったものであり、恒常的に市道上で作業をしている、という証拠たり得ない。
また、当会代表は、乙161号証により、市道上でフォークリフトが操業していることが問題視され、それが常態化していることが示されている旨主張するが、乙161号証によりフォークリフト操業において問題視されていたのは、その車両の仕様の点であったと思われる。甲26号証によれば、公道を横断していたフォークリフト等に関し、ナンバープレート取得の手続きを行うよう指導されており、村田養豚場はこれに従っている(甲27)。かかるやり取りから明らかなとおり、フォークリフト等が公道を横断すること自体について問題視をされているものではない。
なお、本件公道にかかる占用許可申請についても、継続的に認可されているものである(甲28)。
以上からすれば、村田養豚場が、公道上で作業を行っている事実が認められるとしても、業務上の必要に応じて使用することが直ちに違法とはならず、また、作業に要する時間を越えて恒常的に公道が占拠されていると認めるに足りる証拠はなく、村田養豚場による「不法な」公道占拠の事実には真実性、相当性ともに認められないとした原判決は、正当である。
イ FACT2について
当会代表が上記第2の5(2)において主張する〈村田商店代表乙の父〉の言動は、その人物との関係性や口論に至った経緯、状況などに照らすと、仮にこれらの言動が認められるとしても、〈村田商店代表乙の父〉をはじめとする村田養豚場(村田畜産/村田商店)の関係者などが通行人を恫喝して公道(里道)の通行を妨げている事実を推認させるものとは到底いえず、この点に関する当会代表の主張は採用することができない。
ウ FACT3について
証拠(甲25ないし28)及び弁論の全趣旨によると、村田養豚場(村田畜産/村田商店)は、現在、村田養豚場の敷地の間にある市道を占有使用するにつき、所轄警察署長から継続的に道路使用許可を得ていることが認められる。しかしながら、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が道路使用許可をいつから受けていたのかは必ずしも明らかでない上、証拠(甲25ないし28、乙33ないし47、60、156ないし160)及び弁論の全趣旨によると、前記市道(里道)には、村田養豚場(村田畜産/村田商店)が村田養豚場において飼育する多数の犬が係留されることなく放置されている常態にあったと認められるから、いずれにしても村田養豚場(村田畜産/村田商店)による公道占拠の事実を不法占拠と指摘することについては、名誉毀損の不法行為は成立しないというべきであり、この点に関する当会代表の主張には理由がある。