甲第24号証

文中の証拠番号は別件裁判のもので、本訴訟とは無関係。

原告土地境界調査報告書(甲17)に対する意見

令和4年6月13日
京都地方裁判所 第2民事部はB係 御中
土地家屋調査士 〈土地家屋調査士Y〉
  1. 遠藤千尋氏作成の「土地境界調査報告雷」は、極めて大きな疑義があります。

    まず、鳴川村実測全図と、航空写真を返ねること自体が、本件境界の探索にあたっては、全く無意味だと言わねばなりません。

  2. なぜならば、鳴川村実測全図は、その外周については測量しており、甲17号証添付資料1の2及び1の3に一定の信用性を認められるとしても、その内側、すなわち、奈良市東鳴川町502の広さ、面積については全く測量しておらず、信用性がないのです。

  3. 前記図面の作成当時、水平角及び垂直角を考慮した測最技術はありませんでした。ですので、高低差が著しい山林の広さや面積について測量することが出来なかったのです。したがって、同図面で表された東鳴川町502の広さ、すなわち横幅や縦幅については、全く信用性がありません。

    そのため、実測図や公図をもとに、かつて表示された登記簿上の面積について実測すると、山林の場合、10倍くらいの面積の大きさになっていることもざらにあります。そうすると、実測図や公図の縮尺を航空写真に近づけたとしても、その山林の大きさについては、実測図や公図で表されたものの3倍や10倍の大きさになることもあります。逆に小さくなるということはほぼありません。

  4. しかしながら、本件境界の探索において重要なのは、内部である東鳴川町502の横幅や縦幅なのです。したがって、これに信用性が全くない以上、航空写真と返ねても意味が無いと言わざるを得ないのです。

  5. このように、意味の無い重ね方をしたために、報告書の不整合が至るところで現れております。

    例えば、甲17号証添付替類5の4を示しますと、左端の道について、実測全図から援用した黒線と航空写真で現れた土色の道との間で死離が生じており、本来、実測全図の黒線は、西にずれるべきです。また、同号証添付資料5の4の中央に表示された「赤田川」をみると、実測全図の黒線より、北に実際の赤田川が存在しております。つまり本来図面の赤田川の黒線は、もっと北にずれなければならないのです。

  6. そのようなことを考えますと、この図面の重ね方は間違いであって、北西側にずらす必要があります。なおかつ、東鳴川町502の横幅、縦幅が信用性がないということになりますと、東鳴川町502の北端境界は、さらに北西へずれることが考えられるのです。

    そのような結果、養豚場の越境がないという結果を導くことが可能となっていきます。

  7. 以上のとおり、選藤千尋氏の提出した報告書は信用性がありません。当職としては、別に報告いたしました、航空写真と、都市計画図面の尾根線との照合が本件土地境界の探索には有用であると考えております。

以上