村田養豚場(村田畜産/村田商店)に関する奈良市議会での質問と答弁

2024年06月12日:令和6年奈良市議会6月定例会会議録(第4号)

○副議長(九里雄二君) 19番阪本君。
   (19番 阪本美知子君 登壇)

◆19番(阪本美知子君) 新世の会、阪本です。
 通告しておりますテーマにつきまして、早速質問をいたします。
 東部地域の魅力向上のために、木津川市とどう連携するのかについてです。
 奈良市東部地域は、緑豊かな森林が広がり、自然の恵みを受けるとともに、長い歴史に育まれた里山が広がっています。須川にお住まいの方から、奈良市東部をぐるりと回るような楽しみ方ができる道がないとお聞きをしました。本当は木津川市の浄瑠璃寺や岩船寺を通って、須川や狭川まで歩ける道があるが、府県境にある事業場の辺りが長い間通れない状態になっている。あそこを気持ちよく通れるようになれば、ハイキングやマウンテンバイク、トレイルランを楽しむ人が東部に遊びに来やすくなるのではとのことでした。
 これを受けて調べましたところ、府県境にある事業場をめぐって、加茂町の時代から木津川市が誕生して以降も、長年にわたって議会で問題になっていることが分かりました。木津川市議会の議事録を見ますと、2007年、平成19年6月議会では、赤田川は昔清流が流れていたが、今は大変汚れ、上流では臭いがするほどですと赤田川の現状が訴えられ、同じく9月議会では事業場の犬の放し飼いについて、平成16年頃、奈良市の保健所に対して現状を説明し、対応をお願いしたという木津川市長の発言が見られます。このようにかなり前から問題になっていることが分かりました。
 そこで、今日は赤田川の水質悪化の問題、事業場の犬の放し飼いの問題、事業場を通り抜ける道で通行に支障がある状態が続いている3点につきまして、奈良市の現状認識と取組をお伺いいたします。
 1点目は、赤田川の水質についてです。
 赤田川は府県境を超えて木津川に合流する河川で、奈良市側が上流、木津川市側が下流になっておりますが、平成28年には木津川市側においてこれまでになく水質が悪化したことから、木津川市は水質検査の回数を増やすなど監視を強化いたしました。赤田川の水は、流域では農業用水として利用されており、主には米やナスが作られてきましたが、平成29年当時、水質は水稲に適するものではないという評価がされるほどでした。
 こういった一連の経過がありますけれども、1点目は、赤田川の水質についてこれまで検査を続けてきた立場から、奈良市の現状認識について教えてください。
 2点目は、木津川市の水質検査調査の結果によりますと、2023年2月に、赤田川の奥の院付近で大腸菌数が100ミリリットル当たり16万cfuという飛び抜けた値となっておりますが、この数値が示す水の状態について説明をしてください。健康に影響はないのでしょうか。
 3点目、事業場の新施設建設に伴って水質汚濁防止上の届出がされておりますが、奈良市は根拠法がないので木津川市に資料を提供できないというふうにしておりましたけれども、その後どうなったでしょうか。
 4点目、木津川市が年1回開催する地元説明会において、奈良県、奈良市にも参加してほしいという住民からの声が上がっております。奈良市は事業場を所管する立場にあると思いますが、地元説明会に参加しないのでしょうか。
 続いて、犬の放し飼いについてお伺いをいたします。
 府県境にある事業場が場内で犬を放し飼いにしていて外に出ていることは、奈良市側の中ノ川町、東鳴川町に加え、木津川市の浄瑠璃寺周辺で長年問題となっています。
 奈良市保健所の記録によると、中ノ川バス停付近で犬が徘回をしているという連絡、また、犬10匹以上に取り囲まれたという通報があったと記録をされております。山城南保健所の記録によりますと、本年2月にも浄瑠璃寺境内にまで犬が侵入していたようです。
 1点目、保健所として事業場が飼育する犬の頭数の登録状況と狂犬病の予防接種の実施について、正確な数字を把握しているのかお聞きをいたします。
 2点目、事業場内で犬が放し飼いにされ公道上を徘回している状態は、奈良県動物の愛護及び管理に関する条例第5条に抵触していないのか見解をお伺いします。抵触していないとするなら、どのような理由でしょうか。
 3点目、これまで奈良市長が奈良県動物の愛護及び管理に関する条例第14条に基づき、措置命令を出したことはあるのでしょうか。
 続いて、木津川市道の安全な通行についてお伺いをいたします。
 事業場の敷地の間を木津川市道が通っておりますが、昨年の12月27日に行われた木津川市と奈良市の情報交換会議の議事録によりますと、木津川市はこの市道について、未係留の犬がおり飛び出してくる、市道については危なく、実質的に通行できないとの見解を示しております。この道は木津川市道2092号であると同時に、奈良市の里道であると聞いております。里道は道路法の適用のない法定外公共物であり、奈良市の公共財産です。
 1点目、当該木津川市道は奈良市域を通っておりますが、木津川市と奈良市のそれぞれの権限が及ぶ範囲について説明してください。道幅を決めるのはどちらでしょうか。
 2点目、木津川市の市有土地境界確定図によりますと、市道の木津川市側の道幅は2メートルと書かれております。また、地元の方によると、この道は以前、軽トラックでも通行できていたようです。しかし、奈良市域区間については境界確定が行われておりません。奈良市が里道なので91センチと言っているというのが独り歩きしているようでもありますが、昨年の2月には、木津川市の2つの団体から現況2.8メートルでの境界確定を求める要望書が奈良市と木津川市に出されております。これに対する見解をお示しください。
 これを1問目といたします。

○副議長(九里雄二君) 健康医療部長。
   (健康医療部長 有本和子君 登壇)

◎健康医療部長(有本和子君) 阪本議員の御質問にお答えいたします。
 御質問いただきましたのは、赤田川の水質についてでございます。
 まず、1点目でございますが、赤田川の水質に関する市の現状認識でございます。
 平成15年に当時の加茂町から、本市に対しまして赤田川の水質悪化に関する連絡があったことに端を発し、本市は赤田川の水質監視を継続して実施しております。監視地点は府県境から約0.3キロメートル上流と約1.2キロメートル下流の2地点とし、年4回の頻度で水質監視を開始いたしました。平成29年からは監視地点に府県境付近を追加し、計3地点で水質を監視しております。
 平成28年から29年頃にかけては、下流におきまして有機物等により水質が最も悪化した状態となりましたが、同地点における現在の水質は改善傾向にあるものと認識しております。
 次に、木津川市の水質調査結果の数値が示す水の状態についてでございます。
 木津川市は令和5年に赤田川の奥の院付近で大腸菌数検査を2月、6月、9月、11月の年4回実施をされました。その結果を見ますと、議員お述べの2月の測定値につきましては、他の3回の測定値と比較して高い値となっていることから、一時的な河川の汚濁が生じたものと推測しております。
 次に、水質汚濁防止法上の届出内容に関する情報提供についてでございます。
 令和6年5月16日付で水質汚濁防止法を所管する京都府から公文書で資料提供の依頼があり、同年5月30日付で同資料の提供を行ったところでございます。
 最後に、住民説明会への参加についてでございますが、本市が実施いたしました赤田川の水質検査結果を速やかに木津川市へ情報提供していること、また、赤田川に放流している事業場排水が水質汚濁防止法に基づく排水基準に適合していること並びに住民説明会には水質汚濁防止法を所管する京都府も同席していることから、同説明会への本市の参加は不要であると考えております。
 続きまして、犬の放し飼いについての御質問、3点頂戴いたしました。
 まず1点目でございます。事業場が飼育する犬の登録状況及び狂犬病の予防接種実施の把握についてでございます。
 犬の飼い主の方につきましては、狂犬病予防法に基づく飼い犬の登録と飼い犬への年1回の狂犬病予防注射の接種が義務づけられております。本年4月に事業者に確認をいたしましたところ、犬の頭数については登録状況と異なる点があったことから、届出をするよう指導したところでございます。狂犬病の予防注射の接種状況については把握しているところでございます。
 次に、事業場内での犬の放し飼い及び公道上の徘回について、奈良県動物の愛護及び管理に関する条例第5条に抵触していないかについてでございますが、同条例第5条では、犬の飼い主の遵守事項といたしまして、飼養する犬の形態や性状等に応じて丈夫な綱や鎖等で固定的な工作物などに係留するか、もしくはおりや囲い等の障壁の中で飼養することとし、常に飼養する犬が人の生命等を侵害することのないようにしておくことと記載されております。
 一般的に事業場内で犬が放し飼いにされ、公道上を徘回している状態は条例に抵触する可能性がございます。しかしながら、本事業者は感染症予防のために、木津川市、木津警察署、奈良県と協議を行い、公道についての道路使用許可や侵入防止柵の門扉の道路占用許可を取得し、周囲を柵などで囲った占有地内で犬を飼養されているため、同条例第5条には抵触しないものと考えております。
 なお、仮に事業場外に犬が出て、本市内を徘回した場合には、迅速に対応を行うこととしており、本市内において直近2年間で犬が事業場外を徘回したとの苦情は報告されておりません。
 最後に、これまでに奈良県動物の愛護及び管理に関する条例第14条に基づき措置命令を出したか否かについてでございますが、本市におきまして、同条例第14条に基づき、犬の係留についての措置命令を出したことは今までございません。
 以上でございます。

○副議長(九里雄二君) 建設部長。
   (建設部長 田上智弘君 登壇)

◎建設部長(田上智弘君) 阪本議員の御質問にお答えいたします。
 奈良市域を通る木津川市道の木津川市と奈良市のそれぞれの権限と道幅の決め方についての御質問でございます。
 それぞれの権限につきましては、木津川市は市道であり道路管理者であり、奈良市は里道であり底地の管理者であります。重なっている場合は、道路法の第4条により道路を構成する敷地は私権を行使することができないとありますので、木津川市は道路管理者としての管理責任があると考えます。また、道路の幅の決定についても道路管理者になると考えております。
 次に、境界確定を求める要望書の見解についてでございます。
 境界確定については、隣接土地所有者から境界明示申請が提出され、申請人、隣接土地所有者及び地区代表者、その他の関係者の立会いを求め、資料等事前調査の結果を参考にし、立会人から意見を聞きながら公正妥当な境界を見いだすよう十分協議を行い、関係者全員の同意が得られれば境界は確定されるものでございます。
 以上でございます。

○副議長(九里雄二君) 19番阪本君。

◆19番(阪本美知子君) 2問目は自席より行います。
 御答弁いただきました内容で水質汚濁に関しては、検査は平成15年から続けてきたけれども、今は落ち着いていると。また、犬の放し飼いについては県の動物愛護条例に抵触しない。また、木津川市道の道幅を決めるのは木津川市側であるという見解が示されました。
 しかし、基準がクリアされているとしても、一般的に考えて、これで奈良市の責任はありませんということにはならないんではないでしょうか。
 下流に水質汚濁が発生している可能性のある事業場が奈良市側にあるということで、木津川市側は権限がなく、これまで奈良県、奈良市にお願いするしかなかったわけです。2017年にも非常に水質汚濁がひどいということで、木津川市長から奈良県知事と奈良市長に対して、水質改善に向け特段の配慮を要望するという内容の要請書が出されております。仲川市長も御覧になったと思います。
 発端からかれこれ20年近くたっております。とても長い時間が経過をしておりますけれども、早急な解決が必要だと思いますが、それぞれの課題について奈良市として今後どう取り組むのか、担当部門ごとにお答えいただきたいと思います。

○副議長(九里雄二君) 健康医療部長。

◎健康医療部長(有本和子君) 阪本議員の御質問に自席からお答えさせていただきます。
 まず、1つ目の赤田川の水質についての今後の取組でございますが、赤田川に放流する事業場排水が水質汚濁防止法に基づく排水基準に適合しているかどうか、継続的に確認するとともに、本市独自に実施しております年4回の赤田川水質調査を引き続き実行し、関係する行政機関と連携することで、赤田川の水質監視に努めてまいります。
 続きまして、犬の放し飼いについての今後の取組でございますが、犬の管理は周囲の安全確保や感染症の予防に重要な役割を果たすものでございます。通行者や周辺住民の安全を守るために犬の正確な登録数の管理、狂犬病予防注射による健康管理を行うとともに、犬の係留など必要が生じた場合は遅滞なく措置、指導を行ってまいります。
 また、令和6年4月に木津川市及び山城南保健所との三者間で情報を共有したところであり、今後も緊密に連携して問題解決に向け対応してまいります。
 以上でございます。

○副議長(九里雄二君) 建設部長。

◎建設部長(田上智弘君) 御質問にお答えいたします。
 奈良市域を通る木津川市道の安全な通行について、現在、隣接土地所有者間で境界について合意されていないと聞いております。このことが解決いたしましたら、木津川市と協議等を行ってまいりたいと考えております。
 以上です。

○副議長(九里雄二君) 19番阪本君。

◆19番(阪本美知子君) 3問目は意見、要望といたします。
 木津川市側でこれほど長い間大きな問題になっていても、奈良市側の認識は低いのではないかと感じております。
 赤田川が木津川と合流した地点の少し下流には奈良市の水道の取水口があります。赤田川の水質が奈良市民と全く無関係ではないというふうに言えると思います。
 水質汚濁防止法、また奈良県動物愛護条例においても法律的に違反行為は認められないというのが奈良県、奈良市の立場ですが、本当にそれでいいのでしょうか。もし仮に奈良市と木津川市が逆の立場で、川の上流が木津川市、下流が奈良市で、奈良市民に被害が及んでいるとしたらどうでしょうか。奈良市はこれほど長く事態を放っておくわけはないと思います。奈良市側に原因があって、木津川市側が困っていることについて、奈良市としてもっと協力できることがあるのではないかと考えております。
 現在の水質は改善傾向にあるという認識が示されましたが、全く問題がなくなったわけではなく、昨年の稲作のときに田んぼに引き入れている赤田川の水に、水色の浮遊物がたくさん浮いている写真も見せていただきました。これが現状です。
 この地域は京都府側でいいますと、当尾京都府歴史的自然環境保全地域となっておりまして、事業場から600メートルほど下流に浄瑠璃寺奥の院があります。奥の院への道は浄瑠璃寺の御住職と岩船寺の副住職さんが毎月草刈りや清掃などをされていて、ハイキング客も訪れているところだそうです。しかし、奥の院付近の砂防ダムから滝のように落ちた川の水が霧になって谷を漂い、臭いがひどいことが度々あると地元の方からお聞きをいたしました。
 こうした状況を放置することは、赤田川上流の奈良市東部に対するイメージを悪化させかねません。奈良市東部の魅力を向上させるためにも、この状態を放置せず、早急な解決が必要だと考えております。
 水も道も空気も府県境で断ち切られるわけではなく、つながっております。また、奈良時代には平城京から加茂の国境へ遷都されたことからも歴史的につながりの深い地域です。奈良市東部の魅力を高め人を呼び込むためには、木津川市と十分に協力し合って自然環境を守っていくこと、共に環境の改善、整備を進めることが重要だと考えております。
 今回、市長にはあえて答弁を求めておりませんが、奈良市が問題から目をそらさず、自分事として考え、今ある木津川市との包括連携協定を生かして水質調査を強化するなど、協力して問題の解決に取り組むよう期待して質問を終わります。ありがとうございました。