村田養豚場(村田畜産/村田商店)について奈良市土木管理課とメールでやり取りした記録(平成26(2014)年〜平成27(2015)年)

村田養豚場(村田畜産/村田商店)が敷地の間を抜ける里道に立入禁止の立て札を立て、里道の通行を実質的に妨げていることを、奈良県家畜保健衛生所が追認している現状について、奈良市土木管理課として奈良県家畜保健衛生所に抗議するよう求めました。※これは2014年12月ごろからのメールのやり取りです。2016年春ごろに、立入禁止の看板は撤去されました。

奈良市土木管理課への質問

タイトル
奈良市のホームページにある「奈良市ご意見箱メール」を通じ、奈良市に問い合わせた内容
日時
2014年12月19日(金) 午前11時21分
発信者
******

奈良県家畜保健衛生所が、防疫を理由に、東鳴川町の村田養豚場が、敷地の中にある里道の通行を妨げることを認めてしまっています。奈良市として、市民の通行権より、一時業者の都合を優先する県家畜保健衛生所の指導姿勢に強く抗議してください。

奈良県家畜保健衛生所によると、奈良市が村田養豚場敷地内の里道境界を確定させていないので、どこが敷地かわからない以上、里道を含めた農場全体に一般市民が立ち入ることを制限するのは、やむを得ないとのことでした。

それでは実質的に家畜保健衛生所が里道の通行を妨害させていることになり、法定外公共物管理条例違反に加担することになるのではないかと聞いたところ、通さないとは言っていない、事前に電話で通行許可をもらって適切な消毒をすれば通れるのだから、物理的に通行を妨害しているわけではないとのお答えです。しかし、一般道路で隣接地所有者が電話連絡なしに通さないと言い出せば、通行妨害とされるはずです。

まして、本件の場合、里道の原状を許可なく大きく変更したのは当の村田養豚場です。地形が変わり橋も付け替えられています。以前の里道境界が現状にあわなくなったそもそもの原因が村田養豚場にあるのです。それにも関わらず里道境界がわからないから里道を含めて衛生管理区域と見なし、養豚場が通行を妨害することを認めるというのはおかしいのではないでしょうか。

農林水産省安全局動物衛生課の鶴田氏にうかがったところ、衛生管理区域の設定によって公道の通行を妨げてよいとする法的根拠はなく、一般市民の公道通行が優先されるべきとのお答えをいただきました。また、農水省のガイドラインにも下記のように書かれています。

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ns/tss/40/kachikueisei/pam_buta.pdf

Q.農場全体を衛生管理区域とした場合、近所の人が来たときにも消毒しなければならないのですか?

A.農場全体を衛生管理区域とした場合には、畜産関係者でない人でも、同様に消毒していただく必要があります。近所の方まで消毒をお願いするのは、現実的には難しい面があるかと思いますので、ロープ、白線やプランターなどの簡便な方法でも結構ですので、生活関係車両の通行帯や自宅を衛生管理区域と区分するようにお願いします。

敷地内であっても、生活関係車両や人が通るところは衛生管理区域から外すよう書かれています。すなわち、里道の境界が確定していなくても、家畜保健衛生所の指導で、里道と同等の機能を果たす通路を除外した衛生管理区域を設定させることは可能ということです。

飼養衛生管理基準が市の条例を上回ることはあり得るのでしょうか。奈良市として、市民の通行権より、一時業者の都合を優先する県家畜保健衛生所の指導姿勢に強く抗議し、県家畜衛生保健所に対し、下記指導を要請していただきたいと思います。

  • 里道(もしくはそれと同等の機能を果たす通路)を通ることをためらわせるような位置に「立入禁止」と書いた札を立てさせない。現在立てられている看板は撤去させる。
  • 農場全体を衛生管理区域とせず、一般市民が通り抜けられる通路を確保し、その部分を除外した衛生管理区域を設定させる。
  • その上で畜舎の入口や通路ではない道にのみ立入禁止の立て札を立てるよう指導する。

以上よろしくご検討ください。

参考)奈良市法定外公共物の管理に関する条例

第3条 何人も、法定外公共物の保全又は利用に支障を及ぼし、又は支障を及ぼすおそれのある行為をしてはならな い。

(占用等の許可) 第4条 次に掲げる行為をしようとする者は、あらかじめ市長の許可を受けなければならない。許可期間満了後引き続 いてこれらの行為をしようとするときも、また、同様とする。

  1. 法定外公共物の敷地内において工作物、物件又は施設(以下「工作物等」という。)を設け、継続して占用する こと。
  1. 法定外公共物の敷地内において掘削、盛土その他土地の形質の変更をすること。
  2. 前2号に掲げるもののほか、法定外公共物の現状に影響を及ぼし、又は及ぼすおそれのある行為をすること。< <<重要

第15条 使用者は、占用等の許可に係る行為に伴い、法定外公共物 を損傷し、又は滅失したときは、これによって生じた損害を賠償しなければならない。<<<重要

奈良市土木管理課からの回答

タイトル
ご意見メール(回答)
日時
2015年1月26日(月) 午後2時22分
発信者
奈良市土木管理課

****** 様

奈良市 土木管理課です。
平成26年12月19日付でいただきました「ご意見メール」について
別紙のとおり、回答させていただきます。
ご理解いただきますよう、よろしくお願いします。

奈良市 土木管理課 TEL 0742-34-4893
mail dobokuk<somebody@on.the.net>city.nara.lg.jp



****** 御代表様

 この度は、貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございます。

 東鳴川町村田養豚場が里道の通行を妨げているとの「ご意見メール」について回答させて頂きます。

 衛生管理区域について、奈良県 農林部 畜産課 防疫衛生課と協議を行い、確認いたしましたところ管理区域は事業者側で設定し、公道を含めて設定をしないと指導を行っています。との回答を得ました。

 奈良市では里道(法廷外公共物)の管理につきましては条例で定めております。

○奈良市法定外公共物の管理に関する条例
(行為の禁止)
第3条 何人も、法定外公共物の保全又は利用に支障を及ぼし、又は支障を及ぼすおそれのある行為をしてはならない。

 また、市では法定外公共物の敷地確定につきましては、隣接土地所有者からの申請により境界明示確定作業として実施しているため、当該地付近における法定外公共物の敷地確定はできておりません。

 隣接地所有者からの申請が提出されましたら、確定作業の実施ならびに工作物等による不法占用等違反行為が確定され次第、速やかに撤去及び原状回復の行政指導を行って参ります。
 ご理解をよろしくお願いします。

平成27年1月23日
奈良市 建設部 土木管理課

別途市役所を訪問して質問したことに対する奈良市土木管理課からの回答

タイトル
里道の通行を妨害していること(回答)
日時
2015年1月26日(月) 午後2時17分
発信者
奈良市土木管理課

****** 様

奈良市 土木管理課 です。
平成26年12月18日 ご来庁いただき、お預かりいたしました質問について
別紙のとおり、回答させていただきます。

奈良市 土木管理課 TEL 0742-34-4893
mail dobokuk<somebody@on.the.net>city.nara.lg.jp



****** 御代表様

 この度は、貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございます。

 東鳴川町村田養豚場が里道の通行を妨害していることにつきまして、奈良市では里道(法廷外公共物)の管理につきましては条例で定めております。

○奈良市法定外公共物の管理に関する条例
(行為の禁止)
第3条 何人も、法定外公共物の保全又は利用に支障を及ぼし、又は支障を及ぼすおそれのある行為をしてはならない。

 また、市では法定外公共物の敷地確定につきましては、隣接土地所有者からの申請により境界明示確定作業として実施しているため、当該地付近における法定外公共物の敷地確定はできておりません。

 隣接地所有者からの申請が提出されましたら、確定作業の実施ならびに工作物等による不法占用等違反行為が確定され次第、速やかに撤去及び原状回復の行政指導を行って参ります。
 ご理解をよろしくお願いします。

平成27年1月23日
奈良市 建設部 土木管理課

奈良市土木管理課への再質問

タイトル
Re: 里道の通行を妨害していること(回答)
日時
2015年1月26日(月) 午後7時1分
発信者
******

奈良市 土木管理課御中

ご回答ありがとうございます。

申請がなければ里道境界が確定できないとのことですが、木津川市では、管理に支障がある場合、市の側から境界確定協議求められる条例があり、実際に境界が確定しております。

木津川市の法定外公共物管理条例(協議による境界の確定)
第17条 市長は、法定外公共物の境界が明らかでないためにその管理に支障があるときは、隣接地の所有者に対し、必要な事項を通知して、境界を確定するための協議を求めることができる。
2 前項の規定により協議を求められた隣接地の所有者は、同項の通知に従い、その場所に立ち会って境界の確定につき協議するよう努めなければならない。
3 市長及び隣接地の所有者は、第1項の協議が整ったときは、書面により、確定された境界を明らかにするものとする。

また里道が市町村に譲渡される以前の国有財産法にも同様の条文があります。奈良市に置いても

第12条 市長は、使用者が次のいずれかに該当するときは、占用等の許可を取り消し、その効力を停止し、若しくはその条件を変更し、又は法定外公共物の管理について必要な措置をとることができる。
(1) 占用等の許可の条件に違反したとき。
(2) 占用料を納期限までに納入しないとき。
(3) 偽りその他不正な手段により占用等の許可を受けたとき。
2 市長は、次のいずれかに該当するときは、前項に規定する処分をし、又は必要な措置をとることができる。
(1) 国、独立行政法人、地方公共団体又は地方独立行政法人が、法定外公共物に関する工事を施工するためにやむを得ない必要が生じたとき。
(2) その他法定外公共物の管理上やむを得ない必要が生じたとき。

現在養豚場の敷地の間を通る里道は、実質的に通行が妨げられる状況にあり、12条の2-2に該当することから、12条の2にある「必要な措置」として里道境界協議を求めることが可能ではないでしょうか。

*土木管理課としては申請がない限り、里道境界を確定できない。
*家畜保健衛生所としては、里道境界が確定されない限り、里道を立入禁止にする。
*養豚場としては、里道を実質的に自分の敷地として占用したい。

となると、

敷地境界が確定しない → 家畜保健衛生所が里道を含めて衛生管理区域にする
      ↑                 ↓
農場が里道境界の協議に応じない ← 農場にとって合法的に里道を立入禁止にできる

上記のような関係になり、いつまでも里道境界が確定せず、したがっていつまでも立入禁止となり、実質養豚場が里道を占用するということになります。

この連鎖を断ち切るには、少なくとも奈良市土木管理課は、家畜保健衛生所に、下記を求めなければなりません。奈良市の条文には「何人も」とあります。家畜保健衛生所とて例外ではないはずです。

*里道の可能性が少しでもある場所、および、里道相当の機能を果たしている通路を衛生管理区域に指定させてはならない。
*里道の可能性が少しでもある場所、および、里道相当の機能を果たしている通路を衛生管理区域に指定することを認めるのは家畜保健衛生所による奈良市法定外公共物管理条例違反である。

こうすることで初めて、養豚場に、里道境界確定の申請を行う動機が生まれます。そんなことはない、現状を放置していても、そのうち申請はあるし、問題は解決するというのでしたら、どういう理屈でそのような見通しを立てられているのかご教示ください。

もし養豚場が里道を占用したいと考えている場合、里道境界を確定しない限り、家畜保健衛生所が実質的な里道の占用にお墨付きを与えてくれるならば、いったいどうして里道確定の協議をしたいと考えるでしょうか。

というよりも、そもそも申請されなければ里道を確定しないし、里道が確定しなければ占用など違反行為を問えない、というのがおかしいのではないかと思います。確定しない限り、不法占用等違反行為を問えないのだとしたら、里道を確定させなければ、永久に占用できるということになります。

奈良市が里道の通行が実質的に妨げられている状況を放置することによって、木津川市側の里道も急速に荒廃しています。奈良市は将来的に里道境界が確定した場合、それまで里道境界が確定せず通行に支障があることを放置したことによって荒廃した周囲の里道について、その原状を復帰させてくださるのでしょうか。

以上をふまえ、下記を要望いたします。

*奈良市法定外公共物管理条例第12条に基づき、必要な措置を行ってください。

*奈良県家畜保健衛生所に里道の可能性が少しでもある場所、および、里道相当の機能を果たしている通路を衛生管理区域に指定させてはならないことを強く要請してください。

*奈良県家畜保健衛生所に里道の可能性が少しでもある場所、および、里道相当の機能を果たしている通路を衛生管理区域に指定することを認めるのは家畜保健衛生所による奈良市法定外公共物管理条例違反である旨念を押してください。

上記要望を受け入れられない場合は、その理由をご教示ください。
以上よろしくお願い申し上げます。

奈良市土木管理課への追加質問

タイトル
東鳴川の村田養豚場の敷地の間にある里道について筆界特定手続きの申請を要望します
日時
2015年1月30日(金) 午後3時39分
発信者
******

奈良市 土木管理課御中

お世話になります。
先日来、里道の通行についてご相談させていただいている者です。

先日、東鳴川の村田養豚場の敷地の間にある里道について、里道境界確定の申請がないため、「市としては」里道境界を確定できない旨ご回答いただきました。別途要望を返信いたしましたが、追加して下記を要望いたします。

*当該里道について、奈良市として、法務局に対し、ただちに筆界特定手続き(不動産登記法第123条〜)の申請をするよう要望します。

参考)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H16/H16HO123.html

筆界特定制度は、市町村が里道や水路の境界特定のために利用することも想定されており、奈良市自身の制度で敷地境界を確定できないのであれば、奈良市はすぐにでも筆界特定制度を利用しなければならないと考えます。

奈良県家畜保健衛生所が、敷地境界が確定していないことを理由に、里道を立入禁止にする衛生管理区域を認めてしまっている以上、里道の通行および管理に支障が出ているのは明らかです。奈良市が筆界特定手続きを申請する理由は十分にあります。

筆界特定手続き後は次のような流れになるはずです。

筆界特定手続きによる、敷地境界の特定。
それに基づく、不法占用行為の確定。
里道上の工作物の撤去、原状回復の行政指導。
上記に不服があれば、境界確定申請もしくは農場主による筆界確定訴訟。

市として筆界特定手続きを申請できないとうことでしたら、その法的根拠をお聞かせください。

もうひとつおうかがいしたいことがございます。

昨年6月頃、木津川市から奈良市に対し、県道33号線の奈良交通「中ノ川東」停留所付近から、村田養豚場へ向かう道について、一般市民が通行できるようにしてほしいとの申し入れがあったかと思います(この申し入れは当方とは別の団体の希望によるものと思います)。

木津川市管理課でうかがったところによると、養豚場から県道33号線までの区間は「私道」であるので通れない旨、奈良市として木津川市に回答されたとのことですが、これは事実でしょうか。

なお、当該私道所有者に通行の可否を確認したところ、一切通行を制限していないとのご回答をいただきました。

この私道の所有者は、大阪市阿倍野区のテラサキ不動産(旧・浪華不動産)となります。
http://www.terasaki-realty.co.jp/
Tel:06-*******/担当:**

電話で問い合わせたところ、私道所有者としては土地取得前からある勝手道であり、観光客や地元住民が通行することをなんら制限していないとのことです。必要あれば、上記電話番号にて確認していただけます。

また私道から養豚場の間は里道となっており奈良市の所有物となっています。

奈良市は、木津川市に対し、私道所有者が通行を禁止したい意志を持っていると確認した上で、上記のように回答されたのかどうかお答えください。

以上、ご回答よろしくお願い申し上げます。

これ以降奈良市土木管理課から返答はありません。

「里道(りどう)」とは、明治の地租改正の際、国道県道に次ぐ「公道」として国有とされた道路です。長らく国が所有者とされる一方で、管理は地方自治体に任される制度となっていましたが、2005年に里道や水路などの法定外公共物が、国から地方自治体に譲渡され、現在では各地方自治体が所有し管理しています。

現在、京都府木津川市の浄瑠璃寺裏の谷あい、奈良市東鳴川にある村田養豚場が、敷地の間を通る里道を、2003年前後から実質的に占用し、一般市民の通行を妨げています。当該里道の木津川市側では、木津川市の法定外公共物管理条例に基づき、平成19年(2007年)、里道境界が確定され、行政指導により里道上にあった小屋(村田養豚場が里道隣接地所有者の許可無く設置したもの)が数年がかりで撤去されました。

一方、当該里道の奈良市側では、奈良市の法定外公共物管理条例に、里道隣接地所有者に境界確定協議に応じることを義務づける規定がないことから、奈良市は境界確定について硬直的な申請主義を貫いており、村田養豚場が境界確定を申請しないことを理由に、奈良市は当該里道と敷地の境界を確定しようとしません。その結果、里道の実質的な占用が放置され続けています。しかし奈良市公有財産規則第18条に基づき、奈良市建設部長には、村田養豚場の敷地の間にある里道について、すみやかに境界確定手続きを進める義務があると考えます。

私たちは一日も早く、村田養豚場の敷地と里道の境界を確定し、里道両側にある敷地のそれぞれを囲う板塀もしくは柵を設置することが絶対に必要だと考えています。そうすれば、たとえ犬の放し飼いが行われたとしても、その影響を敷地の中にとどめることができます。